説明

固体電解質およびリチウム電池

【課題】Li−P−S系およびLi−P−S−O系の硫化物系固体電解質を含む導電率の高い固体電解質を提供する。
【解決手段】本発明の固体電解質は、組成式Li3+5x1-x4-zz(0.01≦x≦1.42、かつ0.01≦z≦1.55)の硫化物系固体電解質を含み、この硫化物系固体電解質は、少なくとも、12.9°、14.4°、15.2°、18.0°、20.5〜22.0°、24.2°、25.0°、28.0°、30.6°の回折角(2θ/CuKα)付近にX線回折のピークを有する。また、本発明の他の固体電解質は、組成式Li3+5x1-x4(0.06≦x≦0.08)の硫化物系固体電解質を含み、硫化物系固体電解質が、少なくとも、13.3°、14.75°、15.3°、18.0°、21.0〜21.7°、24.2°、25.4°、28.4°、30.6°の回折角(2θ/CuKα)付近にX線回折のピークを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硫化物系固体電解質を含む固体電解質およびその固体電解質を含むリチウム電池に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話、ノートパソコン、タブレットパソコンなどの情報電子機器の高性能化に伴い、1回の充電でこれらの情報電子機器を長時間駆動させるための高性能な蓄電池が望まれている。また、温室効果ガスの削減、ガソリン価格の高騰などのために、ハイブリッド自動車や電気自動車が急速に普及し、これらに搭載されたモーターを駆動させるための高出力かつ高容量の蓄電池が望まれている。このような要求を満たす電池として、現在、リチウム電池が主に使用されている。
【0003】
現在、リチウム電池の電解質として、イオン導電性が高いこと、電位窓が広いこと、安価なことなどを理由に、可燃性の有機溶媒が使用されている。しかし、リチウム電池のエネルギー密度は非常に高いため、リチウム電池の安全性をより高めるために、難燃性の材料をリチウム電池の電解質として使用することが望ましい。このような難燃性の材料として無機固体電解質が注目されている。
【0004】
無機固体電解質として、窒化物、酸化物、硫化物などの非晶質、または結晶質の無機系電解質がある。硫化物系ガラス固体電解質として、硫化リチウム、二硫化ゲルマニウム、およびヨウ化リチウムの3成分系ガラス状固体電解質(特許文献1)や、一般式Li2−Xで表されるリチウムイオン伝導性硫化物ガラスに、リン酸リチウムを存在させた固体電解質(特許文献2)が知られている。これらのイオン伝導度は10-4S/cmレベルである。さらに、非晶質ではなく、結晶質として高いイオン伝導性を目指してSiS4やPO4、PS4、PN4四面体を基本構造とする結晶物質が探索され、Li2S−GeS2−Ga23系固体電解質でイオン伝導度10-5〜10-4S/cmが報告されている(特許文献3)。
【0005】
固体電解質の中で、リチウムイオン導電率が非常に高い固体電解質として、硫化物系チオリシコン(thio-LISICON : LIthium SuperIonic CONductor)と呼ばれる硫化物系固体電解質が知られている。その中でもLi3.25Ge0.250.754のイオン伝導度は、2.2×10-3S/cmであり、硫化物系チオリシコンの中でも最も高い(たとえば、非特許文献1参照)。また、電解質の安定性を向上させるためにリチウム以外の金属元素を含まない硫化物系チオリシコンとして、Li−P−S系およびLi−P−S−O系の硫化物系固体電解質が報告されている(たとえば、非特許文献2および3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特公平6−70906号公報
【特許文献2】特許第3184517号公報
【特許文献3】特許第3744665号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】R. Kanno and M. Murayama, "Lithium Ionic Conductor Thio-LISICON The Li2S-GeS2-P2S5 System", Journal of The Electrochemical Society, 148(7), A742-A746 (2001)
【非特許文献2】M. Murayama, N. Sonoyama, A. Yamada and R. Kanno, "Material design of new lithium ionic conductor, Thio-LISICON, in the Li2S-P2S5 System", Solid State Ionics, 170, 173-180 (2004)
【非特許文献3】K. Takeda, M Osada, N. Ohta, T. Inada, A. Kajiyama, H. Sasaki, S. Kondo, M. Watanabe and T Sasaki, "Lithium ion conductive oxysulfide, Li3PO4-Li3PS4 ", Solid State Ionics, 176, 2355-2359 (2005)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、これらの硫化物系固体電解質の導電率は、現在使用されている可燃性の有機溶媒の導電率に比べればまだ低い。本発明は、電解質の安定性を向上させるためにリチウム以外の金属元素を含まないLi−P−S系およびLi−P−S−O系の硫化物系固体電解質の中で、高い導電性を有する可能性がある新たな固体電解質を開発することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の構成を採用した。
(1)請求項1の発明の固体電解質は、組成式Li3+5x1-x4-zzで示される硫化物系固体電解質を含み、0.01≦x≦1.42であり、かつ0.01≦z≦1.55である。
(2)請求項2の発明は、請求項1に記載の固体電解質であって、さらに、0.02≦x≦1.11であり、かつ0.20≦z≦1.20である。
(3)請求項3の発明は、請求項2に記載の固体電解質であって、さらに、0.03≦x≦0.09であり、かつ0.25≦z≦1.00である。
(4)請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の固体電解質であって、硫化物系固体電解質が、X線波長1.5418オングストロームのCu−Kα線による粉末X線回折測定において、少なくとも、12.9°、14.4°、15.2°、18.0°、20.5〜22.0°、24.2°、25.0°、28.0°、30.6°の回折角(2θ)付近に特徴的ピークを有する。
(5)請求項5の発明の固体電解質は、組成式Li3+5x1-x4で示される硫化物系固体電解質を含み、0.06≦x≦0.08であり、硫化物系固体電解質が、X線波長1.5418オングストロームのCu−Kα線による粉末X線回折測定において、少なくとも、13.3°、14.75°、15.3°、18.0°、21.0〜21.7°、24.2°、25.4°、28.4°、30.6°の回折角(2θ)付近に特徴的ピークを有する。
(6)請求項6の発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の固体電解質であって、Li2Sおよびγ−Li3PS4を含まない。
(7)請求項7の発明のリチウム電池は、請求項1〜6のいずれか1項に記載の固体電解質を含む。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、Li−P−S系およびLi−P−S−O系の硫化物系固体電解質を含む導電率の高い固体電解質を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明の硫化物系固体電解質の組成の範囲を示すLi2S−P25−P25系の三元組成図である。
【図2】図2は、本発明の一実施形態におけるリチウム電池の断面を示す概略図である。
【図3】図3は、実施例、比較例および参考例の組成の範囲を示すLi2S−P25−P25系の三元組成図である。
【図4】図4は、Line1に沿った組成の700℃で合成した組成式Li3+5x1-x4-zzの硫化物系固体電解質のX線回折図形である。
【図5】図5は、Line2に沿った組成の700℃で合成した組成式Li3+5x1-x4-zzの硫化物系固体電解質のX線回折図形である。
【図6】図6は、Line3に沿った組成の700℃で合成した組成式Li3+5x1-x4-zzの硫化物系固体電解質の硫化物系固体電解質のX線回折図形である。
【図7】図7は、Line4に沿った組成の700℃で合成した組成式Li3+5x1-x4-zzの硫化物系固体電解質の硫化物系固体電解質のX線回折図形である。
【図8】図8は、Line1に沿った組成の900℃で合成した組成式Li3+5x1-x4-zzの硫化物系固体電解質の硫化物系固体電解質のX線回折図形である。
【図9】図9は、xの値は0.07であり、zの値は0.40である場合の組成の900℃で合成し、530℃または700℃でアニールした組成式Li3+5x1-x4-zzの硫化物系固体電解質のX線回折図形である。
【図10】図10は、xの値は0.07である場合の組成の615℃または700℃で合成した組成式Li3+5x1-x4の硫化物系固体電解質のX線回折図形である。
【図11】図11は、Line1に沿った組成の700℃で合成した組成式Li3+5x1-x4-zzの硫化物系固体電解質の導電率を示すグラフである。
【図12】図12は、Line2に沿った組成の700℃で合成した組成式Li3+5x1-x4-zzの硫化物系固体電解質の導電率を示すグラフである。
【図13】図13は、Line3に沿った組成の700℃で合成した組成式Li3+5x1-x4-zzの硫化物系固体電解質の導電率を示すグラフである。
【図14】図14は、Line4に沿った組成の700℃で合成した組成式Li3+5x1-x4-zzの硫化物系固体電解質の導電率を示すグラフである。
【図15】図15は、Line1に沿った組成の900℃で合成した組成式Li3+5x1-x4-zzの硫化物系固体電解質の導電率を示すグラフである。
【図16】図16は、xの値が0.07であり、zの値が0.40である、900℃で合成した組成式Li3+5x1-x4-zzの硫化物系固体電解質のDTA曲線を示す図である。
【図17】図17は、xの値が0.07であり、zの値が0.50である、700℃で合成した組成式Li3+5x1-x4-zzの硫化物系固体電解質のCV曲線を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明者は、鋭意検討した結果、組成式Li3+5x1-x4-zzで示される硫化物系固体電解質を含み、0.01≦x≦1.42であり、かつ0.01≦z≦1.55である固体電解質の導電率、および組成式Li3+5x1-x4で示される硫化物系固体電解質を含み、0.06≦x≦0.08であり、その硫化物系固体電解質が、X線波長1.5418オングストロームのCu−Kα線による粉末X線回折測定において、少なくとも、13.3°、14.75°、15.3°、18.0°、21.0〜21.7°、24.2°、25.4°、28.4°、30.6°の回折角(2θ)付近に特徴的ピークを有する固体電解質の導電率が高いことを見出し、本発明に想到した。以下、本発明の詳細について説明するが、本発明は下記の実施形態に限定されるものではない。
【0013】
(硫化物系固体電解質)
図1のLi2S−P25−P25系の三元組成図を参照して本発明の硫化物系固体電解質を説明する。図1の「●」の点は、後述の実施例の組成を示し、「■」の点は、後述の比較例の組成を示し、「▲」の点は、上述の非特許文献3に記載のLi−P−S−O系の硫化物系固体電解質の組成を示す。
【0014】
本発明の硫化物系固体電解質は、Li3+5x1-x4-zzで示され、0.01≦x≦1.42であり、かつ0.01≦z≦1.55であることが好ましい。xの値が0.01よりも小さいと、硫化物系固体電解質中に含まれるLi7PS6およびγ−Li3PS4の割合が高くなり、固体電解質の導電率が小さくなる場合があり、xの値が、1.55よりも大きいと、硫化物系固体電解質中に含まれるLi2Sの割合が高くなり、固体電解質の導電率が小さくなる場合がある。また、zの値が0.01よりも小さくなると、硫化物系固体電解質中に含まれるLi7PS6、β−Li3PS4およびγ−Li3PS4の割合が高くなり、固体電解質の導電率が小さくなる場合があり、zの値が1.55よりも大きくなると、硫化物系固体電解質中に含まれるLi7PS6の割合が高くなり、固体電解質の導電率が小さくなる場合がある。xおよびzの値が、0.01≦x≦1.42、かつ0.01≦z≦1.55の範囲内であると、硫化物系固体電解質中に含まれる後述の新規相(PN:New Phase)の割合が高くなり、固体電解質の導電率が高くなる。
【0015】
図1のLi2S−P25−P25系の三元組成図において、0.01≦x≦1.42、かつ0.01≦z≦1.55の範囲は、符号A,B,C,Dで示す線分で囲まれる範囲である。
【0016】
本発明の硫化物系固体電解質は、Li3+5x1-x4-zzで示した場合、0.02≦x≦1.11であり、かつ0.20≦z≦1.20であることがさらに好ましい。xおよびzの値が、0.02≦x≦1.11、かつ0.20≦z≦1.20であると、Li2Sおよびγ−Li3PS4の割合が低くなるとともに硫化物系固体電解質中に含まれる後述の新規相(PN)の割合がさらに高くなり、固体電解質の導電率が高くなる。図1のLi2S−P25−P25系の三元組成図において、0.02≦x≦1.11、かつ0.20≦z≦1.20の範囲は、符号E,F,G,Hで示す線分で囲まれる範囲である。
【0017】
本発明の硫化物系固体電解質は、Li3+5x1-x4-zzで示した場合、0.03≦x≦0.09であり、かつ0.25≦z≦1.00であることがさらに好ましい。xおよびzの値が、0.03≦x≦0.09、かつ0.25≦z≦1.00であると、Li2Sおよびγ−Li3PS4の割合が低くなるとともに硫化物系固体電解質中に含まれる後述の新規相(PN)の割合がさらに高くなり、固体電解質の導電率が高くなる。図1のLi2S−P25−P25系の三元組成図において、0.03≦x≦0.09、かつ0.25≦z≦1.00の範囲は、符号I,J,K,Lで示す線分で囲まれる範囲である。
【0018】
導電率がおよそ1×10-4S/cm以上と上述の非特許文献3に記載のLi−P−S−O系の硫化物系固体電解質(導電率の最大値は7.3×10-5S/cm)よりも導電率が高いことから、本発明の硫化物系固体電解質は、Li3+5x1-x4-zzで示し、x=0.07である場合、0.20≦z≦1.00であることが好ましく、z=50である場合、0.03≦x≦0.07であることが好ましい。
【0019】
Li2Sおよびγ−Li3PS4の割合が低く、硫化物系固体電解質の導電率を高くすることができるので、本発明の硫化物系固体電解質は、Li3+5x1-x4-zzで示し、x=0.07である場合、0.40≦z≦0.60であることがさらに好ましい。
【0020】
新規相(PN)は、X線波長1.5418オングストロームのCu−Kα線による粉末X線回折測定において、少なくとも、12.9°、14.4°、15.2°、18.0°、20.5〜22.0°、24.2°、25.0°、28.0°、30.6°の回折角(2θ)付近に特徴的ピークを有する。したがって、本発明の硫化物系固体電解質は、X線波長1.5418オングストロームのCu−Kα線による粉末X線回折測定において、上記の特徴的ピークを有する。新規層(PN)は、その特徴的ピークの回折角(2θ)から、Li3.33Ge0.330.664と同様な結晶構造を有していると推測される。
【0021】
また、本発明の他の硫化物系固体電解質は、P25を含まず、Li3+5x1-x4で示され、0.06≦x≦0.08であり、X線波長1.5418オングストロームのCu−Kα線による粉末X線回折測定において、少なくとも、13.3°、14.75°、15.3°、18.0°、21.0〜21.7°、24.2°、25.4°、28.4°、30.6°の回折角(2θ)付近に特徴的ピークを有することが好ましい。すなわち、本発明の硫化物系固体電解質は、Li3+5x1-x4で示され、0.06≦x≦0.08であり、上記新規層(PN)を含むことが好ましい。xの値が、0.06≦x≦0.08であると、硫化物系固体電解質中に含まれる新規相(PN)の割合がさらに高くなり、固体電解質の導電率が高くなる。なお、図1のLi2S−P25−P25系の三元組成図において、0.06≦x≦0.08の範囲は、符号M,Nで示す線分の間の範囲である。
【0022】
本発明の硫化物系固体電解質は、Li2Sおよびγ−Li3PS4を含まないことが好ましい。すなわち、本発明の硫化物系固体電解質は、X線波長1.5418オングストロームのCu−Kα線による粉末X線回折測定において、Li2Sおよびγ−Li3PS4が検出されないことが好ましい。硫化物系固体電解質にLi2Sおよびγ−Li3PS4が含まれると固体電解質の導電率が低下する場合があるからである。
【0023】
上述の硫化物系固体電解質に起因する高い導電率が阻害されなければ、本発明の固体電解質は、上述の硫化物系固体電解質以外に他の固体電解質を含んでもよい。
【0024】
本明細書において導電率は、Liイオンのイオン導電率である。硫化物系固体電解質のイオン導電率は、たとえば、周知の交流インピーダンス法により測定される。
【0025】
本発明の固体電解質は、たとえば、Li2S、P25、P25、LiPO4などの原料を混合した後、好ましくは650〜1000℃で焼成することによって得られる。650〜1000℃で焼成した後、水などを使用して焼成した試料を急冷してもよい。また、650〜1000℃で焼成した後、焼成した試料を室温までゆっくりと冷却してもよい。650〜1000℃で焼成した試料を500〜800℃でさらにアニールしてもよい。
【0026】
(リチウム電池)
図2を参照して本発明のリチウム電池を説明する。図2は、本発明の一実施形態におけるリチウム電池の断面を示す概略図である。本発明の一実施形態のリチウム電池1は、本発明の固体電解質2、負極3、正極4、集電体5および絶縁部6を含む。負極3に使用する材料は、従来からリチウム電池の負極として使用されていた材料であればとくに限定されない。たとえば、負極3に使用する材料として、Li、In、Cなどを使用することができる。正極4に使用する材料は、従来からリチウム電池の正極として使用されていた材料であればとくに限定されない。たとえば、正極4に使用する材料として、LiCoO2、TiS、LiMn24などを使用することができる。集電体5および絶縁部6に使用する材料は、従来からリチウム電池の集電体および絶縁部として使用されていた材料であればとくに限定されない。たとえば、集電体5に使用する材料として、ステンレス鋼などを使用することができ、絶縁部6に使用する材料として、たとえば、ポリカーボネートなどを使用することができる。なお、上述の本発明の一実施形態におけるリチウム電池1はバルク型のリチウム電池であるが、本発明のリチウム電池は、薄膜で構成されるリチウム電池であってもよい。
【実施例】
【0027】
以下、実施例を参照して、本発明をさらに詳細に説明する。なお、下記の実施例は本発明を限定するものではない。
【0028】
(試料の作製)
アルゴン雰囲気のグローブボックス内で、出発原料のLi2S、P25およびP25を秤量し、メノウ乳鉢を用いて10分間混合して混合試料を作製した。ただし、後述の実施例20および実施例21については、振動ミルを使用して出発原料を混合した。その試料をペレッターに入れ、一軸プレス機を用いてそのペレッターに20MPaの圧力を印加して、φ13mmのペレットを成形した。カーボンコートした石英管にこのペレットを入れ、10Paの内圧にしてその石英管を封止した。そして、ペレットを入れた石英管を5℃/分で615℃、700℃または900℃まで昇温させた後、1時間保持した。そして、上記温度に1時間保持した石英管を水中に投入することによって、焼成したペレットを急冷して試料を作製した。また、一部の試料については、急冷した後、530℃または700℃で1時間のアニール処理を行った。組成式Li3+5x1-x4-zzにおけるxおよびzの値を変えた複数の試料を作製した。
【0029】
(粉末X線回折測定)
作製した試料に含まれる結晶を同定するために、粉末X線回折装置Ulima-IV(株式会社リガク製)およびSmart Lab(株式会社リガク製)を使用して、粉末X線回折測定を行った。粉末X線回折測定には、X線波長1.5418オングストロームのCu−Kα線を使用した。10〜100°の範囲の回折角(2θ)で粉末X線回折測定を行った。
【0030】
(導電率の測定)
粉砕した試料を常温用セルに入れた後、5MPaの圧力を常温用セルに適用してペレットを作製した。そのペレットの両面に金粉末を分散させた後、15MPaの圧力をペレットに適用してペレットの両面に電極を形成して測定用試料を作製した。測定用試料の導電率の測定には、インピーダンス・ゲインフェーズアナライザーSolatron1260(ソーラトロン社製)を使用した。1Hz〜10MHzの測定範囲、25℃の測定温度、50〜100mVの交流電圧および2秒の積算時間の条件で交流インピーダンス測定を行い、試料の導電率を測定した。
【0031】
(熱安定性の測定)
試料の熱安定性を調べるために、差動型示差熱天秤Thermo Plus EVO II TG8120(株式会社リガク製)を使用して、示差熱測定を行った。測定用の試料調整は、アルゴン雰囲気のグローブボックス内で行った。10mgの粉砕した試料をSUSパンに詰め、10MPaで密封して測定用試料を作製した。また、Al23をSUSパンに詰め、10MPaで密封して参照試料を作製した。10℃/分で700℃または900℃まで測定用の試料を昇温した後、10℃/分で室温まで降温させることによって示差熱測定を行った。
【0032】
(サイクリックボルタンメトリー)
試料の電気化学的安定性を調べるために、試料のサイクリックボルタンメトリー(CV)を測定した。CVの測定には、Au電極およびLi電極を使用した。
【0033】
結果
(試料の作製)
図3のLi2S−P25−P25系の三元組成図におけるLine1〜4に沿って実施例および比較例の試料を作製した。Line1は、組成式Li3+5x1-x4-zzにおいて、xの値を0.07として、zの値を変えたときの線分である。Line2は、組成式Li3+5x1-x4-zzにおいて、zの値を0.40として、xの値を変えたときの線分である。Line3は、組成式Li3+5x1-x4-zzにおいて、zの値を0.50として、xの値を変えたときの線分である。Line4は、組成式Li3+5x1-x4-zzにおいて、zの値を0.80として、xの値を変えたときの線分である。参考例として、上記の非特許文献3に記載の試料を「▲」の点で示す。上記の非特許文献3に記載の作製した試料の組成は、Line5に沿っている。Line5は、組成式Li3+5x1-x4-zzにおいて、xの値を0として、zの値を変えたときの線分である。図1と同様に、図3の「●」の点は、実施例の組成を示し、「■」の点は、比較例の組成を示す。また、作製した試料および参考例の所属する三元組成図上のライン、合成温度、組成式Li3+5x1-x4-zzにおけるxおよびzの値およびアニール温度を表1に示す。
【0034】
【表1】

【0035】
(粉末X線回折測定)
Line1に沿った組成の700℃で合成した組成式Li3+5x1-x4-zzの硫化物系固体電解質の粉末X線回折測定の結果を図4に示す。実施例におけるxの値は0.07であり、zの値は、それぞれ、0.00、0.20、0.30、0.40、0.50、0.60、0.80および1.00であった。また、図4には、粉末X線回折測定によって同定された結晶を認識できるようにするために、新規相の特徴的ピークの回折角を示す菱形のマーク、Li7PS6の特徴的ピークの回折角を示す棒線、γ−Li3PS4のX線回折図形、β−Li3PS4のX線回折図形およびβ−Li3PO4のX線回折図形を示す。
【0036】
実施例1〜8(z=0.00〜1.00)で、Li7PS6が検出された。実施例1(z=0.00)の場合、β−Li3PS4およびγ−Li3PS4のほかに、12.9°、14.4°、15.2°、18.0°、20.5〜22.0°、24.2°、25.0°、28.0°および30.6°の回折角(2θ)に特徴的ピークを有する新規相が検出された。実施例2(z=0.20)では、β−Li3PS4が検出されなくなり、γ−Li3PS4が主相になった。実施例3および4(z=0.30および0.40)では、γ−Li3PS4はまだ存在していた。実施例5および6(z=0.50および0.60)では、γ−Li3PS4は検出されなくなり、検出された結晶は、新規相およびLi7PS6だけになった。実施例5(z=0.50)では、新規相を単一層とする化合物に最も近い固体電解質が得られた。新規相の特徴的ピークの回折角(2θ)は、zの値が0.40から増加するにしたがって、低角側または高角側にシフトした。新規相の特徴的ピークの回折角(2θ)がもっとも低角側にシフトしたのは、実施例6(z=0.60)であり、もっとも高角側にシフトしたのは、実施例7(z=0.80)であった。実施例5(z=0.50)で、新規相の割合がもっとも高くなった。実施例7および8(z=0.80および1.00)では、新規相の他に、β−Li3PO4が検出された。また、実施例7および8(z=0.80および1.00)では、Li7PS6およびβ−Li3PO4の割合が高くなった。
【0037】
Line2に沿った組成の700℃で合成した組成式Li3+5x1-x4-zzの硫化物系固体電解質の粉末X線回折測定の結果を図5に示す。実施例におけるxの値は、それぞれ、0.07および0.105であり、zの値は0.40であった。また、図5には、粉末X線回折測定によって同定された結晶を認識できるようにするために、新規相の特徴的ピークの回折角を示す菱形のマークおよびLi7PS6の特徴的ピークの回折角を示す棒線を示す。また、Li2Sのもっとも強い特徴的ピークの回折角も示した。
【0038】
実施例4および9(x=0.07および0.105)の主相は新規相であった。xの値が増加すると、Li7PS6の割合が増加した。また、実施例9(x=0.105)では、出発原料のLi2Sの特徴的ピークが検出された。これより、酸素量に関わらずxの値がおよそ0.1まで増えると、Li2Sの固溶限界になる可能性がある。
【0039】
Line3に沿った組成の700℃で合成した組成式Li3+5x1-x4-zzの硫化物系固体電解質の粉末X線回折測定の結果を図6に示す。実施例におけるxの値は、それぞれ、0.03、0.05、0.07および0.08であり、zの値は0.50であった。また、図6には、粉末X線回折測定によって同定された結晶を認識できるようにするために、新規相の特徴的ピークの回折角を示す菱形のマーク、Li7PS6の特徴的ピークの回折角を示す棒線およびγ−Li3PS4のX線回折図形を示す。
【0040】
全ての実施例10、11および5(x=0.03、0.05および0.07)で、主相は新規相であった。また、全ての実施例10、11および5(x=0.03、0.05、および0.07)で、Li7PS6は検出された。実施例10(x=0.03)では、γ−Li3PS4の割合は高かったが、xの値が0.03から増加するにしたがって、γ−Li3PS4の割合は減少した。xの値が0.03から0.05へ増えると、新規相の特徴的ピークの回折角(2θ)は高角側にシフトした。これより、xの値が0.03から0.05へ増えると、新規相の格子は縮小したことがわかる。しかし、xの値が0.05から0.07へ増えても、新規相の特徴的ピークの回折角(2θ)は変わらなかった。また、xの値が0.05から0.07へ増えると、Li7PS6およびγ−Li3PS4の割合は減少した。
【0041】
Line4に沿った組成の700℃で合成した組成式Li3+5x1-x4-zzの硫化物系固体電解質の粉末X線回折測定の結果を図7に示す。実施例および比較例のxの値は、それぞれ、0.03、0.05、0.07、0.09および0.333であり、zの値は0.80であった。また、図7には、粉末X線回折測定によって同定された結晶を認識できるようにするために、新規相の特徴的ピークの回折角を示す菱形のマーク、Li7PS6の特徴的ピークの回折角を示す棒線、γ−Li3PS4のX線回折図形およびβ−Li3PO4のX線回折図形を示す。
【0042】
全ての実施例12、13、7および14(x=0.03、0.05、0.07および0.09)および比較例1(x=0.333)でLi7PS6およびβ−Li3PO4が検出された。実施例12、13、7および14(x=0.03、0.05、0.07および0.09)で、主相は新規相であった。実施例12、13、14(x=0.03、0.05および0.09)では、γ−Li3PS4が検出された。実施例14(x=0.09)および比較例1(x=0.333)では、出発原料であるLi2Sが検出された。これより、Line4上では、xの値が0.07よりも大きく0.09以下である範囲内にLi2Sの固溶限界が存在すると推測される。
【0043】
Line1に沿った組成の900℃で合成した組成式Li3+5x1-x4-zzの硫化物系固体電解質の粉末X線回折測定の結果を図8に示す。実施例におけるxの値は0.07であり、zの値は、それぞれ、0.20、0.40および0.80であった。また、図8には、粉末X線回折測定によって同定された結晶を認識できるようにするために、新規相の特徴的ピークの回折角を示す菱形のマーク、Li7PS6の特徴的ピークの回折角を示す棒線およびβ−Li3PS4のX線回折図形を示す。
【0044】
全ての実施例15〜17(z=0.20、0.40および0.80)の主相は新規相であった。実施例16(z=0.40)では、β−Li3PS4の割合が高かった、実施例15および17(z=0.20および0.80)では、β−Li3PS4の割合が非常に小さかった。zの値が増加するにしたがって、Li7PS6の割合は小さくなり、zの値が0.80になると(実施例17)、Li7PS6は検出されなくなった。zの値が0.40から0.80に増えると、新規相の特徴的ピークの回折角(2θ)は高角側にシフトした。
【0045】
xの値は0.07であり、zの値は0.40である場合の組成の900℃で合成し、530℃または700℃でアニールした組成式Li3+5x1-x4-zzの硫化物系固体電解質の粉末X線回折測定の結果を図9に示す。また、図9には、粉末X線回折測定によって同定された結晶を認識できるようにするために、新規相の特徴的ピークの回折角を示す菱形のマーク、Li7PS6の特徴的ピークの回折角を示す棒線およびβ−Li3PS4のX線回折図形を示す。さらに、アニール処理の前の同じ組成の硫化物系固体電解質の粉末X線回折測定の結果と比較できるようにするため、同組成の900℃で合成した組成式Li3+5x1-x4の硫化物系固体電解質の粉末X線回折測定の結果も示した。
【0046】
アニール処理を行うことにより、実施例18および19(アニール温度=530℃および700℃)の主相はβ−Li3PS4になり、新規相の割合は著しく減少した。
【0047】
xの値は0.07であり、zの値は0.00である場合の組成の615℃または700℃で合成した組成式Li3+5x1-x4-zz、すなわち、xの値は0.07である場合の組成の615℃または700℃で合成した組成式Li3+5x1-x4の硫化物系固体電解質の粉末X線回折測定の結果を図10に示す。また、図10には、粉末X線回折測定によって同定された結晶を認識できるようにするために、新規相の特徴的ピークの回折角を示す菱形のマーク、Li7PS6の特徴的ピークの回折角を示す棒線およびγ−Li3PS4のX線回折図形を示す。
【0048】
実施例20および21(合成温度615℃および700℃)では、Li7PS6およびγ−Li3PS4のほかに、13.3°、14.75°、15.3°、18.0°、21.0〜21.7°、24.2°、25.4°、28.4°および30.6°の回折角(2θ)に特徴的ピークを有する新規相が検出された。
【0049】
以上の結果をまとめた、作製した試料および参考例の所属する三元組成図上のライン、合成温度、組成式Li3+5x1-x4-zzにおけるxおよびzの値および検出された結晶を表2に示す。
【0050】
【表2】

【0051】
(導電率の測定)
Line1に沿った組成の700℃で合成した組成式Li3+5x1-x4-zzの硫化物系固体電解質の導電率の測定結果を図11に示す。導電率は、導電率の低いγ−Li3PS4相が存在する、0.00以上、0.30以下のzの値の範囲(実施例1〜3)では、6.0×10-5S/cm以下と低かった。しかし、zの値が0.40以上になり、主相が新規相に変化すると、導電率は9.1×10-5S/cm以上になった(実施例4〜8)。Line1に沿った組成の700℃で合成した硫化物系固体電解質の導電率の中でもっとも最も高い導電率は、zの値が0.80である場合の2.1×10-4S/cmであった(実施例7)。実施例7(z=0.80)は、実施例4および6(z=0.40および0.60)に比べてLi7PS6とγ−Li3PS4とが多く存在した。それでも実施例7(z=0.80)の導電率が高いのは、実施例7(z=0.80)の新規相の格子サイズが、実施例4および6(z=0.40および0.60)の格子サイズに比べても小さく、実施例7(z=0.80)の新規相の格子サイズがイオン導電に適しているためであると考えられる。
【0052】
Line2に沿った組成の700℃で合成した組成式Li3+5x1-x4-zzの硫化物系固体電解質の導電率の測定結果を図12に示す。導電率は、実施例4(x=0.07)では、2.1×10-4S/cmであり、実施例9(x=0.105)では、4.92×10-5S/cmであった。実施例9(x=0.105)の導電率が低いのは、Li7PS6の割合が増加したためと出発原料のLi2Sが残っていたためであると推測される。
【0053】
Line3に沿った組成の700℃で合成した組成式Li3+5x1-x4-zzの硫化物系固体電解質の導電率の測定結果を図13に示す。導電率は、実施例10(x=0.03)では、1.06×10-4S/cmであり、実施例11(x=0.05)では、1.35×10-4S/cmであり、実施例5(x=0.07)では、9.11×10-5S/cmであった。このように、zの値が0.50である場合に、ほぼ10-4S/cmオーダーの導電率が得られたのは、主相が新規相であることと関連すると考えられる。
【0054】
Line4に沿った組成の700℃で合成した組成式Li3+5x1-x4-zzの硫化物系固体電解質の導電率の測定結果を図14に示す。導電率は、実施例7(x=0.07)の2.1×10-4S/cmが、もっとも高かった。しかし、導電率は、実施例12〜14(x=0.03、0.05および0.09)および比較例1(x=0.333)では、10-5S/cmオーダーであり、低かった。これは、実施例7(x=0.07)では、新規相の割合が高く、実施例12〜14(x=0.03、0.05および0.09)および比較例1(x=0.333)では、Li7PS6、γ−Li3PS4、Li2Sなどの導電率が低い結晶の割合が高かったためであると考えられる。
【0055】
700℃で合成した組成式Li3+5x1-x4-zzの硫化物系固体電解質の導電率と粉末X線回折測定によって同定された結晶との関係をまとめる。Li7PS6はほぼ全ての組成で検出された。xの値が0.90以上になると、Li2Sは固溶限界を超えて、硫化物系固体電解質中にLi2S検出され、導電率が大きく減少した。zの値が0.80以上になると、β−Li3PO4が検出されたが、この結晶は、0.80≦z≦1.00では導電率に影響をあまり与えなかった。また、導電率は、γ−Li3PS4の増加にしがたい減少した。
【0056】
Line1に沿った組成の900℃で合成した組成式Li3+5x1-x4-zzの硫化物系固体電解質の導電率の測定結果を図15に示す。導電率は、実施例15(z=0.20)では、1.24×10-4S/cmであり、実施例16(z=0.40)では、2.64×10-4S/cmであり、実施例17(z=0.80)では、4.14×10-5S/cmであった。zの値が0.20から0.40へ増加すると、導電率が増加したのは、Li7PS6の割合が低いためと、導電率の高いβ−Li3PS4の割合が高いためであると考えられる。実施例17(z=0.80)では、ほぼ新規相の単一相に近い硫化物系固体電解質が得られたにも関わらず導電率が低いのは、新規相の格子が著しく小さいためであると考えられる。
【0057】
xの値は0.07であり、zの値は0.40である場合の900℃で合成し、530℃でアニールした実施例18の導電率は、2.30×10-4S/cmであり、700℃でアニールした実施例19の導電率は、1.14×10-4S/cmであった。これらの値は、アニール前の実施例16の導電率である2.64×10-4S/cmよりも小さかった。したがって、硫化物系固体電解質の導電率は、アニール処理により低下した。この結果から、これより新規相の導電率は、β−Li3PS4の導電率よりも高いことがわかった。
【0058】
参考例の導電率の最高値は、参考例4の7.3×10-5S/cmである。
【0059】
以上の結果をまとめた、作製した試料および参考例の所属する三元組成図上のライン、合成温度、組成式Li3+5x1-x4-zzにおけるxおよびzの値および導電率を表3に示す。
【0060】
【表3】

【0061】
また、導電率と検出した結晶とをまとめて表4に示す。
【0062】
【表4】

【0063】
(熱安定性の測定)
xの値が0.07であり、zの値が0.40である、900℃で合成した実施例16の示差熱測定の結果(DTA曲線)を図16に示す。昇温過程で500℃付近および600℃付近に吸熱ピークが、降温過程で560℃付近に発熱ピークが観測された。
【0064】
(サイクリックボルタンメトリー)
xの値が0.07であり、zの値が0.50である、700℃で合成した実施例5のCV測定結果を図17に示す。測定した電位範囲でリチウムの溶解・析出(Li→Li++e-、Li++e-→Li)以外の酸化・還元ピークは観測されなかった。このことからこの新規相は、高い電気化学的安定性を有し、電位窓が広い物質であることがわかった。
【符号の説明】
【0065】
1 リチウム電池
2 固体電解質
3 負極
4 正極
5 集電体
6 絶縁部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成式Li3+5x1-x4-zzで示される硫化物系固体電解質を含み、
0.01≦x≦1.42であり、かつ0.01≦z≦1.55である固体電解質。
【請求項2】
さらに、0.02≦x≦1.11であり、かつ0.20≦z≦1.20である請求項1に記載の固体電解質。
【請求項3】
さらに、0.03≦x≦0.09であり、かつ0.25≦z≦1.00である請求項2に記載の固体電解質。
【請求項4】
前記硫化物系固体電解質が、X線波長1.5418オングストロームのCu−Kα線による粉末X線回折測定において、少なくとも、12.9°、14.4°、15.2°、18.0°、20.5〜22.0°、24.2°、25.0°、28.0°、30.6°の回折角(2θ)付近に特徴的ピークを有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の固体電解質。
【請求項5】
組成式Li3+5x1-x4で示される硫化物系固体電解質を含み、
0.06≦x≦0.08であり、
前記硫化物系固体電解質が、X線波長1.5418オングストロームのCu−Kα線による粉末X線回折測定において、少なくとも、13.3°、14.75°、15.3°、18.0°、21.0〜21.7°、24.2°、25.4°、28.4°、30.6°の回折角(2θ)付近に特徴的ピークを有する固体電解質。
【請求項6】
Li2Sおよびγ−Li3PS4を含まない請求項1〜5のいずれか1項に記載の固体電解質。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の固体電解質を含むリチウム電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−30440(P2013−30440A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−167573(P2011−167573)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成19年度、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、次世代自動車用高性能蓄電システム技術開発/次世代技術開発「全固体電池のための固体電解質及び三次元メソ構造体電極の研究」産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(304021417)国立大学法人東京工業大学 (1,821)
【Fターム(参考)】