説明

固体電解質型燃料電池

【課題】燃料電池モジュールによる発電運転中、所定の条件に基づいて燃料電池セルに付着している硫黄を除去するクリーニングモード運転を実行することにより、燃料電池セルの不活性化を防ぐことができる固体電解質型燃料電池を提供する。
【解決手段】燃料ガスに含まれる硫黄を除去する脱硫器36と、燃料ガスを改質器20に供給する燃料流量調整ユニット38と、燃料電池セル集合体12に発電用空気を供給する発電用空気流量調整ユニット45と、所定の条件に達したとき、発電用空気流量調整ユニット45から燃料電池セル集合体12に供給される発電用空気の量を減少させ、及び/又は、燃料流量調整ユニット38から燃料電池セル集合体12に供給される燃料ガスの量を増加させ、発電室10の温度を強制的に上昇させることにより、燃料電池セル集合体12に付着している硫黄を除去するクリーニングモード運転を実行する制御部と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体電解質型燃料電池に係わり、特に、燃料ガスと空気を反応させて発電する固体電解質型燃料電池に関する。
【背景技術】
【0002】
固体電解質型燃料電池(Solid Oxide Fuel Cell:以下「SOFC」とも言う)は、電解質として酸化物イオン導電性固体電解質を用い、その両側に電極を取り付け、一方の側に燃料ガスを供給し、他方の側に酸化剤(空気、酸素等)を供給して、比較的高温で動作する燃料電池である。
【0003】
このSOFCにおいては、酸化物イオン導電性固体電解質を通過した酸素イオンと燃料との反応によって水蒸気及び/又は二酸化炭素を生成し、電気エネルギー及び熱エネルギーが発生する。電気エネルギーは、SOFC外部に取り出されて、各種電気的用途に使用される。一方、熱エネルギーは、燃料、SOFC及び酸化剤等に伝達され、これらの温度上昇に使用される。
【0004】
従来のSOFCにおいては、発電出力が一定に保たれた状態で運転されるのが一般的であったが、夜間に電気需要が殆どない施設や昼夜の電気需要が大きく変化する施設などへ、SOFCを設置する場合には、要求発電量に応じて、発電出力値を変化させる必要がある。
例えば、特許文献1に記載されている従来のSOFCにおいては、電力使用量の大小に応じて発電部の動作温度を高低二種類設定し、電力使用量が少ない時間帯においては、発電部の動作温度を低く設定することにより、発電部の動作温度を維持するための燃料ガス使用量を少なくし、コストを低下させると共にCO2排出量を少なくしている。
【0005】
また、このような従来のSOFCにおいては、燃料ガスとして用いられる都市ガスや灯油が硫黄を含むものであるため、この燃料ガスに含まれる硫黄が燃料電池セルに付着することによって、燃料電池セルの活性(発電能力)が低下してしまうという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−216618号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
また、従来のSOFCにおいては、燃料ガスを改質して燃料電池セルに供給する改質器の上流側に燃料ガスに含まれる硫黄を除去する脱硫器を設けることにより、改質前の燃料ガスから硫黄を除去するものも周知技術として知られている。
しかしながら、このような脱硫器では、燃料ガスの微量なレベルの硫黄まで脱硫することが難しいため、発電運転が長期的に行われる程、これらの脱硫しきれない微量な硫黄が徐々に燃料電池セルに付着して蓄積し、燃料電池セルの活性(発電能力)が発電運転当初に比べて著しく低下してしまうという問題がある。
【0008】
そこで、本発明は、上述した従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、燃料電池モジュールによる発電運転中、所定の条件に基づいて燃料電池セルに付着している硫黄を除去する運転(以下「クリーニングモード運転」)を実行することにより、燃料電池セルの不活性化を防ぐことができる固体電解質型燃料電池を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明は、燃料ガスと空気を反応させて発電する固体電解質型燃料電池であって、燃料電池モジュール内の発電室に配置され、複数の固体電解質型の燃料電池セルを備えた燃料電池セル集合体と、燃料ガスに含まれる硫黄を除去する脱硫器と、燃料ガスを改質して上記燃料電池セル集合体に供給する改質器と、この改質器に燃料ガスを供給する燃料ガス供給手段と、上記燃料電池セル集合体に発電用空気を供給する発電用空気供給手段と、所定の条件に達したとき、上記発電用空気供給手段から上記燃料電池セル集合体に供給される発電用空気の量を減少させるように上記発電用空気供給手段を制御し、及び/又は、上記燃料ガス供給手段から上記燃料電池セル集合体に供給される燃料ガスの量を増加させるように上記燃料ガス供給手段を制御して、上記発電室の温度を強制的に上昇させることにより、上記燃料電池セル集合体に付着している硫黄を除去するクリーニングモード運転を実行する制御部と、を有することを特徴としている。
このように構成された本発明においては、所定の条件に達したとき、制御部が、発電用空気供給手段から燃料電池セル集合体に供給される発電用空気の量を減少させるように発電用空気供給手段を制御し、及び/又は、燃料ガス供給手段から燃料電池セル集合体に供給される燃料ガスの量を増加させるように燃料ガス供給手段を制御して、発電室の温度を強制的に上昇させてクリーニングモード運転を実行するので、脱硫器で脱硫しきれずに燃料電池セル集合体に付着している硫黄を除去することができ、硫黄の付着による燃料電池セルの不活性化を防ぐことができる。
【0010】
本発明において、好ましくは、上記制御部が上記クリーニングモード運転を実行するための所定の条件は、所定の発電運転時間が経過したときである。
このように構成された本発明においては、制御部が、所定の発電運転時間が経過したとき、クリーニングモード運転を行うので、脱硫器で脱硫しきれずに燃料電池セル集合体に付着している硫黄を除去することができ、硫黄の付着による燃料電池セルの不活性化を防ぐことができる。クリーニングモード運転を実行するための所定の条件を所定の発電運転時間が経過することを条件としたので、むやみにクリーニングモード運転を実施する必要がなく、スムーズな定常の発電を維持することができると共に硫黄の付着による燃料電池セルの不具合にも対応することができる。
【0011】
本発明において、好ましくは、上記制御部が上記クリーニングモード運転を実行するための所定の条件は、上記燃料電池セルの電圧が所定電圧に達したときであってもよい。
このように構成された本発明においては、制御部が、燃料電池セルの電圧が所定電圧に達したとき、クリーニングモード運転を行うので、脱硫器で脱硫しきれずに燃料電池セル集合体に付着している硫黄を除去することができ、硫黄の付着による燃料電池セルの不活性化を防ぐことができる。燃料電池セル自身の電圧を確認しながらクリーニング運転を行うため、何らかの不具合によって燃料電池セルに想定以上の硫黄が付着した場合にも適切なタイミングでクリーニングを行うことができる。
【0012】
本発明において、好ましくは、上記制御部は、上記発電室の温度を上記燃料電池モジュールによる定常的な発電運転が可能な温度領域よりも高い温度まで上昇させて上記クリーニングモード運転を実行する。
このように構成された本発明においては、制御部によりクリーニングモード運転が実行されると、発電室の温度が、燃料電池モジュールによる定常的な発電運転が可能な温度領域よりも高い温度まで上昇するため、燃料電池セル集合体に付着している硫黄の除去量がより多くなり、硫黄の付着による燃料電池セルの不活性化を効果的に防ぐことができる。
【0013】
本発明において、好ましくは、上記制御部は、上記発電室の温度が上記燃料電池モジュールによる定常的な発電運転が可能な温度領域内の所定温度未満の温度で低負荷発電運転が行われている場合には、上記発電室の温度を上記定常的な発電運転が可能な温度領域内の上記所定温度以上の温度まで上昇させて上記クリーニングモード運転を実行する。
このように構成された本発明においては、発電室の温度が燃料電池モジュールによる定常的な発電運転が可能な温度領域内の所定温度未満の温度で低負荷発電運転が行われている場合には、発電室の温度を定常的な発電運転が可能な温度領域内の所定温度以上の温度まで上昇させてクリーニングモード運転を実行するため、クリーニングモード運転を実行中においても、定常的な発電運転を可能にすると共に、燃料電池セルに付着している硫黄を除去することができる。また、定常的な発電運転が可能な温度領域内で発電室の温度を上昇させてクリーニングモード運転を実行しているため、発電室の温度上昇に伴う加熱よる燃料電池セルへの負担も最小限に抑えることができる。
【0014】
本発明において、好ましくは、上記制御部は、クリーニングモード運転を実行するための上記所定の発電運転時間を、上記燃料電池モジュールによる運転の履歴に基づいて変更する。
このように構成された本発明においては、実際に燃料電池セルに付着する硫黄の付着量は燃料電池モジュールによる運転の履歴によって異なるが、クリーニングモード運転を実行するための条件である所定の発電運転時間を燃料電池モジュールによる運転の履歴に基づいて変更するようにしているため、実際の硫黄付着量に応じたクリーニングモード運転同士の時間間隔を適切に設定することができる。また、発電室の温度上昇に伴う加熱よる燃料電池セルへの負担も最小限に抑えることができる。
【0015】
本発明において、好ましくは、上記制御部は、クリーニングモード運転を実行するための上記所定の発電運転時間を、発電室の温度が上記燃料電池モジュールによる定常的な発電運転が可能な温度領域内の所定温度未満の温度であるときに行われる低負荷発電運転の上記燃料電池モジュールによる運転の履歴中に占める割合が高い程、より短い時間に変更する。
このように構成された本発明においては、燃料電池モジュールによる運転の履歴中に占める低負荷発電運転の割合が高い程、燃料電池セル集合体が高温に曝される時間が短くなるため、燃料電池セルの硫黄の付着量も多くなるが、クリーニングモード運転の実行を終了した後に次のクリーニングモード運転を実行するまでの所定時間を短い時間に変更し、次のクリーニングモード運転の実行を早めることにより、実際の燃料電池セルの硫黄の付着量に応じた適切な運転を行うことができる。
【0016】
本発明において、好ましくは、上記制御部は、上記クリーニングモード運転を所定の継続時間実行すると共に、このクリーニングモード運転実行中に上記燃料電池セルの電圧が所定電圧に達した場合には上記所定の継続時間内であっても上記クリーニングモード運転を強制的に終了する。
このように構成された本発明においては、クリーニングモード運転が継続中であっても燃料電池モジュールの電圧が所定電圧に達すると、所定の継続時間内であっても、クリーニングモード運転を強制的に終了するようにしているので、燃料電池セルを無駄に高温に曝すのを防ぐことができ、燃料電池セルの劣化を防ぐことができる。
【0017】
本発明において、好ましくは、上記制御部は、クリーニングモード運転を実行するための条件である上記所定の発電運転時間を、上記燃料電池モジュールによる発電運転が行われる経年時間が長い程、より短い時間に設定する。
このように構成された本発明においては、燃料電池モジュールの燃料電池セルの経年時間が経つにつれて燃料電池セルに硫黄が付着しやすくなることを考慮し、所定の発電運転時間を燃料電池モジュールによる発電運転が行われる経年時間が長い程、より短い時間に設定することにより、クリーニングモード運転の実行を早めることにより、実際の燃料電池セルの硫黄の付着量に応じた適切な運転を行うことができる。
【0018】
本発明において、好ましくは、上記制御部が上記クリーニングモード運転を実行するための所定の条件は、手動操作であり、上記制御部は、この手動操作により上記クリーニングモード運転を強制的に実行する。
このように構成された本発明においては、脱硫器が故障する等、燃料ガスの脱硫工程に不具合が生じた場合であっても、手動操作によりクリーニングモード運転を強制的に実行して対応することができるため、燃料電池セルに付着している硫黄を確実に除去することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の燃料電池によれば、燃料電池モジュールによる発電運転中、所定の条件に基づいて燃料電池セルに付着している硫黄を除去するクリーニングモード運転を実行することにより、燃料電池セルの不活性化を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態による固体電解質型燃料電池(SOFC)を示す全体構成図である。
【図2】本発明の一実施形態による固体電解質型燃料電池(SOFC)を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態による固体電解質型燃料電池(SOFC)の起動時の動作を示すタイムチャートである。
【図4】本発明の一実施形態による固体電解質型燃料電池(SOFC)の運転停止時の動作を示すタイムチャートである。
【図5】本発明の一実施形態による固体電解質型燃料電池(SOFC)の第1例のクリーニングモード運転時の動作を示すタイムチャートである。
【図6】図5の比較例を示すタイムチャートである。
【図7】本発明の一実施形態による固体電解質型燃料電池(SOFC)の第2例のクリーニングモード運転時の動作を示すタイムチャートである。
【図8】本発明の一実施形態による固体電解質型燃料電池(SOFC)の第3例のクリーニングモード運転時の動作を示すタイムチャートである。
【図9】本発明の一実施形態による固体電解質型燃料電池(SOFC)の第4例のクリーニングモード運転時の動作を示すタイムチャートである。
【図10】本発明の一実施形態による固体電解質型燃料電池(SOFC)の第5例のクリーニングモード運転時の動作を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、添付図面を参照して、本発明の実施形態による固体電解質型燃料電池(SOFC)を説明する。
図1は、本発明の一実施形態による固体電解質型燃料電池(SOFC)を示す全体構成図である。この図1に示すように、本発明の一実施形態による固体電解質型燃料電池(SOFC)1は、燃料電池モジュール2と、補機ユニット4を備えている。
【0022】
燃料電池モジュール2は、ハウジング6を備え、このハウジング6内部には、断熱材(図示せず但し断熱材は必須の構成ではなく、なくても良いものである。)を介して密封空間8が形成されている。なお、断熱材は設けないようにしても良い。この密閉空間8の下方部分である発電室10には、燃料ガスと酸化剤(空気)とにより発電反応を行う燃料電池セル集合体12が配置されている。この燃料電池セル集合体12は、複数個の燃料電池セルスタック14を備え、この燃料電池セルスタック14は、複数本の燃料電池セルユニット16から構成されている。このように、燃料電池セル集合体12は、複数本の燃料電池セルユニット16を有し、これらの燃料電池セルユニット16の全てが直列接続されている。
また、各燃料電池セルユニット16は、セラミックス材料で形成された有底筒状の部材であり、その内側から外側に向かって空気極、固体酸化物電解質、燃料極の多層構造を形成している。
さらに、燃料電池セルユニット16の内壁(空気極)に空気が接触すると共に、燃料電池セルユニット16の外壁(燃料極)に燃料ガスが接触すると、燃料電池セルユニット16内でO2-イオンが移動して電気化学反応が起こり、空気極と燃料極との間に電位差が生じることにより、発電が行われるようになっている。
【0023】
燃料電池モジュール2の密封空間8の上述した発電室10の上方には、燃焼室18が形成され、この燃焼室18で、発電反応に使用されなかった残余の燃料ガスと残余の酸化剤(空気)とが燃焼し、排気ガスを生成するようになっている。
また、燃焼室18内には、燃料電池セル集合体12の各燃料電池セルユニット16の空気極に発電用の空気を供給する発電用空気ヘッダ19が配置されている。
【0024】
つぎに、この燃焼室18の上方には、燃料ガスを改質する改質器20が配置され、前記残余ガスの燃焼熱によって改質器20を改質反応が可能な温度となるように加熱している。
また、この改質器20の上方には、改質器20に供給する前の燃料ガス及び改質用空気を予熱する予熱器21が配置されている。
さらに、予熱器21の上方には、蒸発器22が配置され、この蒸発器22によって、改質器20における改質に必要な水が気化されて改質器20に供給されるようになっている。
【0025】
また、発電室10の下方には、燃料ガス分散室23が配置され、改質器20で改質された燃料ガスは燃料ガス分散室23内で均一に分散され、燃料電池セル集合体12に供給されるようになっている。
【0026】
次に、補機ユニット4は、水道等の水供給源24からの水を貯水してフィルターにより純水とする純水タンク26と、この貯水タンクから供給される水の流量を調整して蒸発器23に所定の流量の水を供給する水流量調整ユニット28(モータで駆動される「水ポンプ」等)を備えている。
また、補機ユニット4は、都市ガス等の燃料供給源30から供給された燃料ガスを遮断するガス遮断弁32と、燃料ガスから硫黄を除去するための脱硫器36と、燃料ガスの流量を調整する燃料流量調整ユニット38(モータで駆動される「燃料ポンプ」等)を備えている。
さらに、補機ユニット4は、空気供給源40から供給される酸化剤である空気を遮断する電磁弁42と、空気の流量を調整する改質用空気流量調整ユニット44及び発電用空気流量調整ユニット45(モータで駆動される「空気ブロア」等)とを備えている。また、発電用空気流量調整ユニット45によって所定の流量に調整された空気は、燃料電池モジュール2内の発電用空気ヘッダ19に供給されるようになっている。
【0027】
次に、燃料電池モジュール2には、排気ガスが供給される温水製造装置50が接続されている。この温水製造装置50には、水供給源24から水道水が供給され、この水道水が排気ガスの熱により温水となり、図示しない外部の給湯器の貯湯タンクへ供給されるようになっている。
また、燃料電池モジュール2には、燃料ガスの供給量等を制御するための制御ボックス52が取り付けられている。
さらに、燃料電池モジュール2には、燃料電池モジュールにより発電された電力を外部に供給するための電力取出部(電力変換部)であるインバータ54が接続されている。
【0028】
次に図2により本実施形態による固体電解質型燃料電池(SOFC)に取り付けられたセンサ類等について説明する。図2は、本発明の一実施形態による固体電解質型燃料電池(SOFC)を示すブロック図である。
図2に示すように、固体電解質型燃料電池1は、制御部60を備え、この制御部60には、使用者が操作するための「ON」や「OFF」等の操作ボタンを備えた操作装置62、発電出力値(ワット数)等の種々のデータを表示するための表示装置64、及び、異常状態のとき等に警報(ワーニング)を発する報知装置66が接続されている。なお、この報知装置66は、遠隔地にある管理センタに接続され、この管理センタに異常状態を通知するようなものであっても良い。
【0029】
次に、制御部60には、以下に説明する種々のセンサからの信号が入力されるようになっている。
先ず、可燃ガス検出センサ70は、ガス漏れを検知するためのもので、燃料電池モジュール2及び補機ユニット4に取り付けられている。
CO検出センサ72は、本来排気ガス通路(図示せず)等を経て外部に排出される排気ガス中のCOが、燃料電池モジュール2及び補機ユニット4を覆う外部ハウジング(図示せず)へ漏れたかどうかを検知するためのものである。
貯湯状態検出センサ74は、図示しない給湯器におけるお湯の温度や水量を検知するためのものである。
【0030】
電力状態検出センサ76は、インバータ54及び分電盤(図示せず)の電流及び電圧等を検知するためのものである。また、この電力状態検出センサ76は、特に、インバータ54内において燃料電池セル集合体12で発生した電力(或いは電流及び電圧)を検知することができるようになっている。
発電用空気流量検出センサ78は、発電室10に供給される発電用空気の流量を検出するためのものである。
改質用空気流量センサ80は、改質器20に供給される改質用空気の流量を検出するためのものである。
燃料流量センサ82は、改質器20に供給される燃料ガスの流量を検出するためのものである。
【0031】
水流量センサ84は、改質器20に供給される純水(水蒸気)の流量を検出するためのものである。
水位センサ86は、純水タンク26の水位を検出するためのものである。
圧力センサ88は、改質器20の外部の上流側の圧力を検出するためのものである。
排気温度センサ90は、温水製造装置50に流入する排気ガスの温度を検出するためのものである。
【0032】
発電室温度センサ92は、図3に示すように、燃料電池セル集合体12の近傍の前面側と背面側に設けられ、発電室10内の燃料電池セルスタック14の近傍の温度(以下「発電室温度」)を検出して、燃料電池セルスタック14(即ち燃料電池セルユニット16自体)の温度を推定するためのものである。
燃焼室温度センサ94は、燃焼室18の温度を検出するためのものである。
排気ガス室温度センサ96は、排気ガス室78の排気ガスの温度を検出するためのものである。
改質器温度センサ98は、改質器20の温度を検出するためのものであり、改質器20の入口温度と出口温度から改質器20の温度を算出する。
外気温度センサ100は、固体電解質型燃料電池(SOFC)が屋外に配置された場合、外気の温度を検出するためのものである。また、外気の湿度等を測定するセンサを設けるようにしても良い。
【0033】
これらのセンサ類からの信号は、制御部60に送られ、制御部60は、これらの信号によるデータに基づき、水流量調整ユニット28、燃料流量調整ユニット38、改質用空気流量調整ユニット44、発電用空気流量調整ユニット45に、制御信号を送り、これらのユニットにおける各流量を制御するようになっている。
また、制御部60は、インバータ54に、制御信号を送り、電力供給量を制御するようになっている。
【0034】
次に図3により本実施形態による固体電解質型燃料電池(SOFC)による起動時の動作を説明する。図3は、本発明の一実施形態による固体電解質型燃料電池(SOFC)の起動時の動作を示すタイムチャートである。
最初は、燃料電池モジュール2を温めるために、無負荷状態で、即ち、燃料電池モジュール2を含む回路を開いた状態で、運転を開始する。このとき、回路に電流が流れないので、燃料電池モジュール2は発電を行わない。
【0035】
先ず、改質用空気流量調整ユニット44から改質用空気を燃料電池モジュール2の予熱器21を経由して改質器20へ供給する。また、同時に、発電用空気流量調整ユニット45から発電用空気を燃料電池モジュール2の発電用空気ヘッダ19へ供給する。
この直ぐ後、燃料流量調整ユニット38からも燃料ガスが供給され、予熱器21を経由して改質用空気が混合された燃料ガスが、改質器20及び燃料ガス分散室23を通過して発電室10内に供給され、燃料電池セルスタック14、燃料電池セルユニット16を通過して、燃焼室18に到達する。また、発電室10内においては、燃料ガス分散室23から導入された燃料ガスが各燃料電池セルユニット16の燃料極に接触することにより、発電用空気ヘッダ19から各燃料電池セルユニット16の空気極に供給された発電用空気と電気化学反応し、発電が行われる。
【0036】
次に、点火装置(図示せず)により着火して、燃焼室18にある燃料ガスと空気(改質用空気及び発電用空気)とを燃焼させる。この燃料ガスと空気との燃焼により排気ガスが生じ、この排気ガスが、改質器20内の改質用空気を含む燃料ガスを暖めると共に、温水製造装置50に供給される。
このとき、燃料流量調整ユニット38及び改質用空気流量調整ユニット44により、改質用空気が混合された燃料ガスが改質器20に供給されているので、改質器20において、式(1)に示す部分酸化改質反応POXが進行する。この部分酸化改質反応POXは、発熱反応であるので、起動性が良好となる。また、この昇温した燃料ガスが燃料ガス分散室23から燃料電池セルスタック14の下方に供給され、これにより、燃料電池セルスタック14が下方から加熱され、また、燃焼室18も燃料ガスと空気が燃焼して昇温されているので、燃料電池セルスタック14は、上方からも加熱され、この結果、燃料電池セルスタック14は、上下方向において、ほぼ均等に昇温可能となっている。この部分酸化改質反応POXが進行しても、燃焼室18では継続して燃料ガスと空気との燃焼反応が持続される。
【0037】
mn+xO2 → aCO2+bCO+cH2 (1)
【0038】
部分酸化改質反応POXの開始後、改質器温度センサ98により改質器20が所定温度(例えば、600℃)になったことを検知したとき、水流量調整ユニット28、燃料流量調整ユニット38及び改質用空気流量調整ユニット44により、燃料ガスと改質用空気と水蒸気とを予め混合したガスを改質器20に供給する。このとき、改質器20においては、上述した部分酸化改質反応POXと後述する水蒸気改質反応SRとが併用されたオートサーマル改質反応ATRが進行する。このオートサーマル改質反応ATRは、熱的に内部バランスが取れるので、改質器20内では熱的に自立した状態で反応が進行する。即ち、酸素(空気)が多い場合には部分酸化改質反応POXによる発熱が支配的となり、水蒸気が多い場合には水蒸気改質反応SRによる吸熱反応が支配的となる。この段階では、既に起動の初期段階は過ぎており、発電室10内がある程度の温度まで昇温されているので、吸熱反応が支配的であっても大幅な温度低下を引き起こすことはない。また、オートサーマル改質反応ATRが進行中も、燃焼室18では燃焼反応が継続して行われている。
【0039】
式(2)に示すオートサーマル改質反応ATRの開始後、改質器温度センサ146により改質器20が所定温度(例えば、700℃)になったことを検知したとき、改質用空気流量調整ユニット44による改質用空気の供給を停止すると共に、水流量調整ユニット28による水蒸気の供給を増加させる。これにより、改質器20には、空気を含まず燃料ガスと水蒸気のみを含むガスが供給され、改質器20において、式(3)の水蒸気改質反応SRが進行する。
【0040】
mn+xO2+yH2O → aCO2+bCO+cH2 (2)
mn+xH2O → aCO2+bCO+cH2 (3)
【0041】
この水蒸気改質反応SRは吸熱反応であるので、燃焼室18からの燃焼熱と熱バランスをとりながら反応が進行する。この段階では、燃料電池モジュール2の起動の最終段階であるため、発電室10内が十分高温に昇温されているので、吸熱反応が進行しても、発電室10が大幅な温度低下を招くこともない。また、水蒸気改質反応SRが進行しても、燃焼室18では継続して燃焼反応が進行する。
【0042】
このようにして、燃料電池モジュール2は、点火装置(図示せず)により点火した後、部分酸化改質反応POX、オートサーマル改質反応ATR、水蒸気改質反応SRが、順次進行することにより、発電室10内の温度が徐々に上昇する。次に、発電室10内及び燃料電池セルユニット16の温度が燃料電池モジュール2を安定的に作動させる定格温度よりも低い所定の発電温度に達したら、燃料電池モジュール2を含む回路を閉じ、燃料電池モジュール2による発電を開始し、それにより、回路に電流が流れる。燃料電池モジュール2の発電により、燃料電池セルユニット16自体も発熱し、燃料電池セルユニット16の温度も上昇する。この結果、燃料電池モジュール2を作動させる定格温度、例えば、600℃〜800℃になる。
【0043】
この後、定格温度を維持するために、燃料電池セルユニット16で消費される燃料ガス及び空気の量よりも多い燃料ガス及び空気を供給し、燃焼室18での燃焼を継続させる。なお、発電中は、改質効率の高い水蒸気改質反応SRで発電が進行する。
【0044】
次に、図4により本実施形態による固体電解質型燃料電池(SOFC)の運転停止時の動作を説明する。図4は、本実施形態により固体電解質型燃料電池(SOFC)の運転停止時の動作を示すタイムチャートである。
図4に示すように、燃料電池モジュール2の運転停止を行う場合には、先ず、燃料流量調整ユニット38及び水流量調整ユニット28を操作して、燃料ガス及び水蒸気の改質器20への供給量を減少させる。
【0045】
また、燃料電池モジュール2の運転停止を行う場合には、燃料ガス及び水蒸気の改質器20への供給量を減少させると同時に、改質用空気流量調整ユニット44による発電用空気の燃料電池モジュール2内への供給量を増大させて、燃料電池セル集合体12及び改質器20を空気により冷却し、これらの温度を低下させる。その後、発電室の温度が所定温度、例えば、400℃まで低下したとき、燃料ガス及び水蒸気の改質器20への供給を停止し、改質器20の水蒸気改質反応SRを終了する。この発電用空気の供給は、改質器20の温度が所定温度、例えば、200℃まで低下するまで、継続し、この所定温度となったとき、発電用空気流量調整ユニット45からの発電用空気の供給を停止する。
このように、本実施形態においては、燃料電池モジュール2の運転停止を行うとき、改質器20による水蒸気改質反応SRと発電用空気による冷却とを併用しているので、比較的短時間に、燃料電池モジュールの運転を停止させることができる。
【0046】
つぎに、図5及び図6により、本実施形態による固体電解質型燃料電池(SOFC)の第1例のクリーニングモード運転時の動作を説明する。
図5は本実施形態による固体電解質型燃料電池(SOFC)の第1例のクリーニングモード運転時の動作を示すタイムチャートであり、図6は図5の比較例を示すタイムチャートである。
【0047】
まず、図5において、縦軸は、発電室温度(T)、セル電圧(V)(燃料電池セル集合体12の電圧)を示し、横軸は、時間(t)を示している。
本実施形態の固体電解質型燃料電池(SOFC)1による第1例のクリーニングモード運転は、発電室温度(T)が850℃以上950℃以下となる温度領域(以下「定常発電運転温度領域」)内にあり、且つ、セル電圧(V)が下限電圧値V0(=0.76V)よりも大きな値で定常的な発電運転が行われているときに所定の条件下で実行されるようになっている。
【0048】
より具体的に説明すると、まず、図3により説明した燃料電池モジュール2の起動運転後、時刻t0で発電運転が開始される。
つぎに、時刻t0で発電運転を開始してから時刻t1でクリーニングモード運転を開始するまでの発電運転時間τ1(=5000時間)とセル電圧(V)の下限電圧値V0(=0.76V)については、クリーニングモード運転を開始するか否かを判断するための基準値として予め定められている。
例えば、図5に示すように、時刻t0から発電運転時間τ1が経過した時刻t1までに、セル電圧(V)が下限電圧値V0にならない場合には、時刻t1において、制御部60が燃料ガス供給手段である燃料流量調整ユニット38及び発電用空気供給手段である発電用空気流量調整ユニット45のそれぞれに信号を送り、それまでの発電運転による発電量に関わらず、初回のクリーニングモード運転が開始される。
一方、時刻t0から発電運転時間τ1が経過した時刻t1までに電力状態検出センサ76で検知したセル電圧(V)が下限電圧値V0に達した場合には、その時点で時刻t0から発電運転時間τ1の経過を待たずに、それまでの発電運転による発電量に関わらず、強制的に初回のクリーニングモード運転が開始される。
【0049】
また、時刻t1で初回のクリーニングモード運転を開始するとき、制御部60が燃料ガス供給手段である燃料流量調整ユニット38及び発電用空気供給手段である発電用空気流量調整ユニット45のそれぞれに信号を送る。制御部60からのこれらの信号に基づき、それまでの発電運転による発電量に関わらず、発電室温度(T)が定常発電運転温度領域よりも高い所定温度(950℃〜1000℃)まで強制的に昇温されるように、燃料流量調整ユニット38から改質器20に供給される燃料ガスが、時刻t0〜t1までに行われている定常発電運転のときよりも増量されると共に、発電用空気流量調整ユニット45から発電用空気ヘッダ19に供給される発電用空気が、定常発電運転のときよりも減量される。
【0050】
すなわち、クリーニングモード運転においては、燃料流量調整ユニット38から改質器20に供給される燃料ガスを増量することにより、燃焼室18に供給される燃料ガスが増量して燃焼量を増加させると共に、燃焼室18の温度が上昇し、燃焼室18の上方に配置された改質器20の温度も上昇する。この結果、燃料ガス分散室23から発電室10へも高温の燃料ガスが導入され、発電室10の温度を上昇させると共に、燃料電池セル集合体12の温度を上昇させて高温化させることができる。同時に、発電用空気流量調整ユニット45から発電用空気ヘッダ19に供給される発電用空気を減量することにより、発電用空気ヘッダ19から各燃料電池セルユニット16の空気極に供給される発電用空気の量が減少し、発電用空気による各燃料電池セルユニット16への冷却効果が低減するため、燃料電池セル集合体12の温度を高温に保つことができる。
クリーニングモード運転において燃料電池セル集合体12を高温化させた結果、各燃料電池セルユニット16に付着している硫黄が除去される。
【0051】
つぎに、時刻t1で初回のクリーニングモード運転が開始され、時刻t2で初回のクリーニングモード運転が終了するまでのクリーニングモード運転が継続される時間(t2−t1)については、2時間以上3時間以下の所定時間に予め設定されている。
また、図5に示すように、時刻t2で初回のクリーニングモードが終了した時点のセル電圧は、各燃料電池セルユニット16に付着している硫黄が除去されたため、時刻t1のセル電圧よりも上昇し、電圧が回復している。
さらに、時刻t2から時刻t3までは、発電室温度が定常発電運転温度領域内にある定常発電運転が再び実行される。
【0052】
ここで、n回目(n≧2)のクリーニングモード運転においては、前回のクリーニングモード運転が終了した時刻から次のクリーニングモード運転が開始される時刻までの発電運転時間τnが5000時間に到達するか、又は、この発電運転時間τnが5000時間に到達する前にセル電圧が下限電圧値V0に達するかのいずれか一方の条件に達した場合には、それまでの発電運転による発電量に関わらず、直ちにクリーニングモード運転が実行されるように予め設定されている。
【0053】
例えば、図5に示す時刻t3では、セル電圧が下限電圧値V0に達していないが、時刻t2で初回のクリーニングモード運転が終了してからの発電運転時間τ2が5000時間に達したため、それまでの発電運転による発電量に関わらず、2回目のクリーニングモード運転を実行し、初回のクリーニングモード運転と同様に、発電室温度(T)が定常発電運転温度領域よりも高い所定温度(950℃〜1000℃)まで強制的に昇温され、時刻t4で2回目のクリーニングモード運転を終了し、発電室温度が定常発電運転温度領域内にある定常発電運転が再び実行される。
なお、2回目のクリーニングモード運転を開始してから終了するまでの運転継続時間(t4−t3)についても、初回のクリーニングモード運転と同様に、2時間以上3時間以下の所定時間に予め設定されている。
【0054】
さらに、図5に示す時刻t5では、時刻t4で2回目のクリーニングモード運転が終了してからの発電運転時間τ3が5000時間に達する前にセル電圧の方が下限電圧値V0に達したため、それまでの発電運転による発電量に関わらず、3回目のクリーニングモード運転を実行し、初回及び2回目のクリーニングモード運転と同様に、発電室温度(T)が定常発電運転温度領域よりも高い所定温度(950℃〜1000℃)まで強制的に昇温され、時刻t6で3回目のクリーニングモード運転を終了し、発電室温度が定常発電運転温度領域内にある定常発電運転が再び実行される。
なお、3回目のクリーニングモード運転を開始してから終了するまでの運転継続時間(t6−t5)についても、初回及び2回目のクリーニングモード運転と同様に、2時間以上3時間以下の所定時間に予め設定されている。
【0055】
同様に、図5に示す時刻t7では、時刻t6で3回目のクリーニングモード運転が終了してからの発電運転時間τ4が5000時間に達する前にセル電圧の方が下限電圧値V0に達したため、それまでの発電運転による発電量に関わらず、4回目のクリーニングモード運転を実行し、3回目までのクリーニングモード運転と同様に、発電室温度(T)が定常発電運転温度領域よりも高い所定温度(950℃〜1000℃)まで強制的に昇温され、時刻t8で4回目のクリーニングモード運転を終了し、発電室温度が定常発電運転温度領域内にある定常発電運転が再び実行される。
なお、3回目のクリーニングモード運転を開始してから終了するまでの運転継続時間(t8−t7)についても、初回及び2回目のクリーニングモード運転と同様に、2時間以上3時間以下の所定時間に予め設定されている。
【0056】
一方、図6は、図5の比較例として、クリーニングモード運転が全く実行されなかった場合についてのタイムチャートである。
図6に示すように、時刻t0から発電運転時間τ1が経過した時刻t1でクリーニングモード運転が実行されなかった場合には、時刻t1後もセル電圧(V)が低下し続ける。 さらに、時刻t9でセル電圧(V)が下限電圧値V0に達してもクリーニングモード運転が実行されなかった場合には、時刻t9後もセル電圧(V)が比較的大きな傾きで低下し続ける。
【0057】
以上説明した本実施形態による第1例のクリーニングモード運転によれば、燃料電池モジュール2による発電量に関わらず、起動運転を終了して発電運転を開始してからの発電運転時間、及び、前回のクリーニングモード運転を終了して発電運転を再開してからの発電運転時間が所定時間(例えば、5000時間)に達するか、或いは、発電運転中のセル電圧が所定下限電圧値に達すると、制御部60により、クリーニングモード運転が実行され、発電室10の温度を定常発電運転温度領域内よりも高い所定温度(950℃〜1000℃)まで強制的に上昇させて燃料電池セル集合体12に付着している硫黄を効果的に除去することができるため、硫黄の付着による燃料電池セルの不活性化を防ぐことができる。
【0058】
つぎに、図7により、本実施形態による固体電解質型燃料電池(SOFC)の第2例のクリーニングモード運転時の動作を説明する。
図7は本実施形態による固体電解質型燃料電池(SOFC)の第2例のクリーニングモード運転時の動作を示すタイムチャートである。
【0059】
図7に示すように、本実施形態の固体電解質型燃料電池(SOFC)1による第2例のクリーニングモード運転は、発電室温度(T)が850℃以上950℃以下となる定常発電運転温度領域内の所定温度未満(900℃未満)にあり、且つ、セル電圧(V)が下限電圧値V0(=0.74V)よりも大きな値で低負荷発電運転が行われているときに所定の条件下で実行されるようになっている。
【0060】
より具体的に説明すると、まず、図3により説明した燃料電池モジュール2の起動運転後、時刻t100で低負荷発電運転を開始してから時刻t101でクリーニングモード運転を開始するまでの発電運転時間τ1(=5000時間)とセル電圧(V)の下限電圧値V0(=0.74V)については、クリーニングモード運転を開始するか否かを判断するための基準値として予め定められている。
例えば、図7に示すように、時刻t100から発電運転時間τ1が経過した時刻t101までに、セル電圧(V)が下限電圧値V0にならない場合には、時刻t101において、制御部60が燃料ガス供給手段である燃料流量調整ユニット38及び発電用空気供給手段である発電用空気流量調整ユニット45のそれぞれに信号を送り、それまでの発電運転による発電量に関わらず、初回のクリーニングモード運転が開始される。
一方、時刻t100から発電運転時間τ1が経過した時刻t101までに電力状態検出センサ76で検知したセル電圧(V)が下限電圧値V0に達した場合には、その時点で時刻t100から発電運転時間τ1の経過を待たずに強制的に初回のクリーニングモード運転が開始され、所定時間(2〜3時間)運転後、時刻t102で初回のクリーニングモード運転を終了し、低負荷発電運転が再び実行される。
【0061】
また、時刻t101で初回のクリーニングモード運転を開始するとき、制御部60が燃料ガス供給手段である燃料流量調整ユニット38及び発電用空気供給手段である発電用空気流量調整ユニット45のそれぞれに信号を送る。制御部60からのこれらの信号に基づき、それまでの発電運転による発電量に関わらず、発電室温度(T)が定常発電運転温度領域内(850℃〜950℃)の低負荷発電運転が行われる発電室温度よりも高い所定温度(例えば、950℃)まで強制的に昇温されるように、燃料流量調整ユニット38から改質器20に供給される燃料ガスが、時刻t100〜t101までに行われている低負荷発電運転のときよりも増量されると共に、発電用空気流量調整ユニット45から発電用空気ヘッダ19に供給される発電用空気が、低負荷発電運転のときよりも減量される。
【0062】
すなわち、このクリーニングモード運転により、発電室10の温度が上昇することにより、燃料電池セル集合体12の温度が上昇すると共に、発電用空気ヘッダ19から各燃料電池セルユニット16の空気極に供給される発電用空気の量が減少するため、発電用空気による各燃料電池セルユニット16への冷却効果が低減し、燃料電池セル集合体12の温度を高温に保つことができる。この結果、各燃料電池セルユニット16に付着している硫黄を除去することができる。
また、n回目(n≧2)のクリーニングモード運転においても、前回のクリーニングモード運転が終了した時刻から次のクリーニングモード運転が開始される時刻までの発電運転時間τnが5000時間に到達するか、又は、この発電運転時間τnが5000時間に到達する前にセル電圧が下限電圧値V0に達した時点で、それまでの発電運転による発電量に関わらず、クリーニングモード運転が行われる。
【0063】
上述した本実施形態による第2例のクリーニングモード運転によれば、発電室の温度が燃料電池モジュールによる定常的な発電運転が可能な温度領域内の所定温度未満の温度で低負荷発電運転が行われている場合であっても、燃料電池モジュール2による発電量に関わらず、起動運転を終了して低負荷発電運転を開始してからの低負荷発電運転時間、及び、前回のクリーニングモード運転を終了して低負荷発電運転を再開してからの発電運転時間が所定時間(例えば、5000時間)に達するか、或いは、発電運転中のセル電圧が所定下限電圧値に達すると、制御部60により、発電室温度(T)が定常発電運転温度領域内の低負荷発電運転が行われる発電室温度よりも高い所定温度(例えば、950℃)まで強制的に昇温されてクリーニングモード運転が実行される。このため、クリーニングモード運転を実行中においても、定常的な発電運転を可能にすると共に、燃料電池セル集合体12に付着している硫黄を効果的に除去することができ、硫黄の付着による燃料電池セルの不活性化を防ぐことができる。また、定常的な発電運転が可能な温度領域内(850℃〜950℃)で発電室の温度を上昇させてクリーニングモード運転を実行しているため、発電室10の温度上昇に伴う加熱よる燃料電池セルユニット16への負担も最小限に抑えることができる。
【0064】
つぎに、図8により、本実施形態による固体電解質型燃料電池(SOFC)の第3例のクリーニングモード運転時の動作を説明する。
図8は本実施形態による固体電解質型燃料電池(SOFC)の第3例のクリーニングモード運転時の動作を示すタイムチャートである。
【0065】
図8に示すように、本実施形態の固体電解質型燃料電池(SOFC)1による第3例のクリーニングモード運転は、発電室温度(T)が850℃以上950℃以下となる定常発電運転温度領域内にあり、且つ、セル電圧(V)が下限電圧値V0(=0.74V)よりも大きな値で定常的な発電運転が行われているときに所定の条件下で実行されるようになっている。
【0066】
より具体的に説明すると、まず、図3により説明した燃料電池モジュール2の起動運転後、時刻t200で発電運転を開始してから時刻t201でクリーニングモード運転を開始するまでの発電運転時間τ1(=5000時間)とセル電圧(V)の下限電圧値V0(=0.74V)については、クリーニングモード運転を開始するか否かを判断するための基準値として予め定められている。
また、時刻t200で発電運転を開始してから時刻t201で初回のクリーニングモード運転が開始されるまでの発電運転時間τ1と、n回目(n≧2)のクリーニングモード運転が実行される場合に前回のクリーニングモード運転が終了した時刻から発電運転が再開し、次のクリーニングモード運転が開始される時刻までの発電運転時間τnについては、発電運転の状態に応じて変更されるようになっている。
【0067】
より具体的には、発電運転状態を把握するために、発電運転中に発電室温度センサ92が検出した発電室温度とその運転時間による積分値や、発電室温度(T)が850℃以上950℃以下となる定常発電運転温度領域内の所定温度未満(900℃未満)となる低負荷温度条件下で発電運転が行われた積算時間等、代表的に実際の燃料電池モジュール2の運転履歴を示した定量的な値により、発電運転状態をある特定の量で定量化する。そして、これらの定量化した値に基づいて、発電運転を開始してから初回のクリーニングモード運転が開始されるまでの発電運転時間τ1や、n回目(n≧2)のクリーニングモード運転が実行される場合に前回のクリーニングモード運転が終了してから次のクリーニングモード運転が開始されるまでの発電運転時間τnについて、変更するか否かを決定する。
【0068】
図8は、一例として、時刻t201で初回のクリーニングモード運転が開始されて所定時間後に時刻t202で初回のクリーニングモード運転が終了し、発電運転時間τ2(=5000時間)が経過した時刻t202で再び実行された定常発電運転が、時刻t200〜t201までの定常発電運転よりも発電室温度が高温の状態で実行されている。この結果、時刻t202で初回のクリーニングモード運転が終了した時点よりも、時刻t204で2回目のクリーニングモード運転が終了した時点の方が、燃料電池セル集合体12に付着している硫黄を効果的に除去することができたため、時刻t204で2回目のクリーニングモード運転が終了して時刻t205で3回目のクリーニングモード運転を開始するまでの発電運転時間τ3を予め定められた5000時間から7000時間に変更している。
【0069】
上述した本実施形態による第3例のクリーニングモード運転によれば、実際に燃料電池セル集合体12に付着する硫黄の付着量は燃料電池モジュール2の発電運転の履歴によって異なるが、n回目のクリーニングモード運転を行う前の発電運転時間τnを燃料電池モジュール2による発電運転が行われる運転履歴(発電運転時間及び又は発電室10の温度)に基づいて変更することができるため、実際の硫黄付着量に応じたクリーニングモード運転同士の時間間隔を適切に設定することができる。また、発電室10の温度上昇に伴う加熱よる燃料電池セルユニット16への負担も最小限に抑えることができる。
【0070】
つぎに、図9により、本実施形態による固体電解質型燃料電池(SOFC)の第4例のクリーニングモード運転時の動作を説明する。
図8は本実施形態による固体電解質型燃料電池(SOFC)の第4例のクリーニングモード運転時の動作を示すタイムチャートである。
【0071】
図9に示すように、本実施形態の固体電解質型燃料電池(SOFC)1による第4例のクリーニングモード運転においては、まず、図3により説明した燃料電池モジュール2の起動運転後、時刻t300で低負荷発電運転を開始してから時刻t301まで発電室温度(T)が850℃以上950℃以下となる定常発電運転温度領域内の所定温度(T1)以下の温度領域内で、且つ、セル電圧(V)が下限電圧値V0(=0.74V)よりも大きな値で低負荷発電運転が実行される。
つぎに、時刻t301から時刻t302までについては、時刻t300〜t301までの低負荷発電運転よりも発電室温度(T)が高い所定温度領域(T1<T≦T2)で、定常発電運転が実行され、時刻t302で初回のクリーニングモード運転が実行される。
ここで、時刻t300で低負荷発電運転を開始してから初回のクリーニングモード運転を実行するまでの発電運転時間τ1については、運転前に5000時間として予め定められているが、時刻t300〜t301まで低負荷発電運転が実行されるため、初回のクリーニングモード運転を早めるために、予め定められた所定時間(5000時間)をより短い時間(4000時間)に変更している。
【0072】
また、時刻t302で初回のクリーニングモード運転を所定時間(2〜3時間)実行されてから時刻t303でクリーニングモード運転を終了し、再び、定常発電運転温度領域内の所定温度(T1)以下の温度領域内で低負荷発電運転が実行される。
時刻t304で2回目のクリーニングモード運転が実行されるが、時刻t303〜304では低負荷発電運転のみが実行されるため、2回目のクリーニングモード運転の開始を早めるために、初回のクリーニングモード運転が終了してから2回目のクリーニングモード運転を開始するまでの発電運転時間τ2を予め定められた所定時間(5000時間)をより短い時間(3000時間)に変更している。
【0073】
さらに、時刻t304で2回目のクリーニングモード運転を所定時間(2〜3時間)実行されてから時刻t305でクリーニングモード運転を終了し、時刻t305〜t306までの発電室温度(T)が定常発電運転温度領域内の所定温度T3(≧T2)で、定常発電運転が実行され、時刻t306で3回目のクリーニングモード運転が実行される。
ここで、時刻t305〜306では、時刻t300〜t302及び時刻t303〜t304よりも発電室温度(T)が高い温度で定常発電運転が実行されるため、2回目のクリーニングモード運転が終了してから3回目のクリーニングモード運転を開始するまでの発電運転時間τ3が初回及び2回目のクリーニングモード運転を実行するまでの時間τ1,τ2よりも長くなっている。
【0074】
すなわち、本実施形態による第4例のクリーニングモード運転においては、クリーニングモード運転以外の発電室温度(T)が定常発電運転温度領域内で実行される発電運転において、発電室温度(T)が定常発電運転温度領域内の比較的低い温度領域で実行される低負荷発電運転が燃料電池モジュール2による運転の履歴中に占める割合が高い程、発電運転が開始してから初回のクリーニングモード運転が開始するまでの発電運転時間τ1や前回のクリーニングモード運転が終了してからn回目(n≧2)のクリーニングモード運転が開始するまでの時間τnが予め定められた時間(5000時間)よりも短い時間に変更できるようになっている。
【0075】
上述した本実施形態による第4例のクリーニングモード運転によれば、燃料電池モジュール2による運転の履歴に占める低負荷発電運転の割合が高い程、燃料電池セル集合体12が高温に曝される時間が短くなるため、燃料電池セルユニット16の硫黄の付着量も多くなるが、発電運転が開始してから初回のクリーニングモード運転が開始するまでの発電運転時間τ1や前回のクリーニングモード運転が終了してからn回目(n≧2)のクリーニングモード運転が開始するまでの時間τnを予め定められた時間(5000時間)よりも、より短い時間に変更し、クリーニングモード運転の実行を早めたりすることができるため、実際の燃料電池セルユニット16の硫黄の付着量に応じた適切な運転を行うことができる。
【0076】
つぎに、図10により、本実施形態による固体電解質型燃料電池(SOFC)の第5例のクリーニングモード運転時の動作を説明する。
図8は本実施形態による固体電解質型燃料電池(SOFC)の第5例のクリーニングモード運転時の動作を示すタイムチャートである。
【0077】
図10に示すように、本実施形態の固体電解質型燃料電池(SOFC)1による第5例のクリーニングモード運転においては、まず、図3により説明した燃料電池モジュール2の起動運転後、時刻t400で発電運転を開始し、時刻tnでn回目(n≧1)のクリーニングモード運転を開始する前の発電運転時間τn(=5000時間)とセル電圧(V)の下限電圧値V0(=0.76V)については、クリーニングモード運転を開始するか否かを判断するための基準値として予め定められている。
【0078】
さらに、時刻tnでn回目(n≧1)のクリーニングモード運転が開始されてから、時刻t(n+1)でこのn回目のクリーニングモード運転を終了するまでn回目のクリーニングモード運転を継続する継続時間は予め所定時間(2〜3時間)に定められている。
一方、このn回目のクリーニングモード運転が継続時間中の時刻t(n+1)でセル電圧が所定電圧(V1)まで上昇している場合には、制御部60が電力状態検出センサ76からその信号を受信し、燃料電池セル集合体12に付着する硫黄が除去されてセル電圧が回復しているものと判断し、予め定められたクリーニングモードの運転の所定継続時間(2〜3時間)にかかわらず、n回目のクリーニングモード運転を強制的に終了するようになっている。
【0079】
上述した本実施形態による第5例のクリーニングモード運転によれば、クリーニングモード運転が継続中であっても燃料電池モジュールの電圧が所定電圧に達すると、予め定められたクリーニングモード運転の所定の継続時間にかかわらず、クリーニングモード運転を強制的に終了するため、燃料電池セル集合体12を無駄に高温に曝すのを防ぐことができ、燃料電池セルユニット16の劣化を防ぐことができる。
【0080】
なお、以上説明した本実施形態による第1例〜第5例のクリーニングモード運転においては、n回目(n≧1)のクリーニングモード運転を実行する前の発電時間τnが所定時間に達するか、又は、セル電圧が所定電圧に達した場合に、発電室温度(T)を強制的に上昇させる手段として、制御部60から燃料ガス供給手段(燃料流量調整ユニット38)及び発電用空気供給手段(発電用空気流量調整ユニット45)に送られる信号により、燃料流量調整ユニット38から改質器20に供給される燃料ガスを増量させると共に、発電用空気流量調整ユニット45から発電用空気ヘッダ19に供給される発電用空気を減量させることについて説明したが、このようなことに限られず、燃料流量調整ユニット38から改質器20に供給される燃料ガスを増量させるか、或いは、発電用空気流量調整ユニット45から発電用空気ヘッダ19に供給される発電用空気を減量させるかのいずれか一方を行うことによって、クリーニングモード運転を実行してもよい。
【0081】
さらに、本実施形態において、改質器20に供給される燃料ガスや発電用空気ヘッダ19に供給される発電用空気を加熱するためのヒーターやバーナー等の加熱手段を別途設けることにより、クリーニングモード運転を行う際に発電室温度をさらに効果的に上昇させるように工夫してもよい。
【0082】
また、本実施形態による第1例〜第5例のクリーニングモード運転に加えて、燃料電池モジュール2の発電が長期的に行われ、燃料電池セルユニット16の所定の経年時間(例えば、40000時間)が経つにつれて燃料電池セルユニット16に硫黄が付着しやすくなることを考慮し、燃料電池モジュール2による発電運転が行われる経年時間の長さが長くなる程、前回のクリーニングモード運転を終了してから次回のクリーニングモード運転を開始するまでの発電時間の間隔を短くするように設定し、クリーニングモード運転を実行してもよい。これより、経年時間が経った燃料電池セル集合体12については、クリーニングモード運転の実行を早めることにより、実際の燃料電池セルユニット16の硫黄の付着量に応じた適切な運転を行うことができる。
【0083】
さらに、本実施形態による第1例〜第5例のクリーニングモード運転に加えて、制御部60を適宜手動操作することにより、クリーニングモード運転を強制的に実行することができるようにしてもよい。これにより、脱硫器36が故障する等、燃料ガスの脱硫工程に不具合が生じた場合であっても、適宜燃料電池セル集合体12に付着している硫黄を確実に除去することができる。
【0084】
なお、上述した本実施形態では、一例として、脱硫器36が燃料流量調整ユニット38の上流側に設けられた形態について説明したが、このような形態に限定されず、脱硫器36が燃料流量調整ユニット38の下流側に設けられてもよい。
【符号の説明】
【0085】
1 固体電解質型燃料電池
2 燃料電池モジュール
4 補機ユニット
8 密封空間
10 発電室
12 燃料電池セル集合体
14 燃料電池セルスタック
16 燃料電池セルユニット(固体電解質型燃料電池セル)
18 燃焼室
19 発電用空気ヘッダ
20 改質器
21 予熱器
22 蒸発器
23 燃料ガス分散室
24 水供給源
26 純水タンク
28 水流量調整ユニット
30 燃料供給源
36 脱硫器
38 燃料流量調整ユニット(燃料ガス供給手段)
40 空気供給源
44 改質用空気流量調整ユニット(改質用空気供給手段)
45 発電用空気流量調整ユニット(発電用空気供給手段)
46 第1ヒータ
48 第2ヒータ
50 温水製造装置
52 制御ボックス
54 インバータ
60 制御部
62 操作装置
64 表示装置
66 警報装置
76 電力状態検出センサ
92 発電室温度センサ
100 外気温度センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料ガスと空気を反応させて発電する固体電解質型燃料電池であって、
燃料電池モジュール内の発電室に配置され、複数の固体電解質型の燃料電池セルを備えた燃料電池セル集合体と、
燃料ガスに含まれる硫黄を除去する脱硫器と、
燃料ガスを改質して上記燃料電池セル集合体に供給する改質器と、
この改質器に燃料ガスを供給する燃料ガス供給手段と、
上記燃料電池セル集合体に発電用空気を供給する発電用空気供給手段と、
所定の条件に達したとき、上記発電用空気供給手段から上記燃料電池セル集合体に供給される発電用空気の量を減少させるように上記発電用空気供給手段を制御し、及び/又は、上記燃料ガス供給手段から上記燃料電池セル集合体に供給される燃料ガスの量を増加させるように上記燃料ガス供給手段を制御して、上記発電室の温度を強制的に上昇させることにより、上記燃料電池セル集合体に付着している硫黄を除去するクリーニングモード運転を実行する制御部と、
を有することを特徴とする固体電解質型燃料電池。
【請求項2】
上記制御部が上記クリーニングモード運転を実行するための所定の条件は、所定の発電運転時間が経過したときである請求項1記載の固体電解質型燃料電池。
【請求項3】
上記制御部が上記クリーニングモード運転を実行するための所定の条件は、上記燃料電池セルの電圧が所定電圧に達したときである請求項1記載の固体電解質型燃料電池。
【請求項4】
上記制御部は、上記発電室の温度を上記燃料電池モジュールによる定常的な発電運転が可能な温度領域よりも高い温度まで上昇させて上記クリーニングモード運転を実行する請求項1乃至3の何れか1項に記載の固体電解質型燃料電池。
【請求項5】
上記制御部は、上記発電室の温度が上記燃料電池モジュールによる定常的な発電運転が可能な温度領域内の所定温度未満の温度で低負荷発電運転が行われている場合には、上記発電室の温度を上記定常的な発電運転が可能な温度領域内の上記所定温度以上の温度まで上昇させて上記クリーニングモード運転を実行する請求項1乃至3の何れか1項に記載の固体電解質型燃料電池。
【請求項6】
上記制御部は、クリーニングモード運転を実行するための上記所定の発電運転時間を、上記燃料電池モジュールによる運転の履歴に基づいて変更する請求項2に記載の固体電解質型燃料電池。
【請求項7】
上記制御部は、クリーニングモード運転を実行するための上記所定の発電運転時間を、発電室の温度が上記燃料電池モジュールによる定常的な発電運転が可能な温度領域内の所定温度未満の温度であるときに行われる低負荷発電運転の上記燃料電池モジュールによる運転の履歴中に占める割合が高い程、より短い時間に変更する請求項6記載の固体電解質型燃料電池。
【請求項8】
上記制御部は、上記クリーニングモード運転を所定の継続時間実行すると共に、このクリーニングモード運転実行中に上記燃料電池セルの電圧が所定電圧に達した場合には上記所定の継続時間内であっても上記クリーニングモード運転を強制的に終了する請求項1乃至7の何れか1項に記載の固体電解質型燃料電池。
【請求項9】
上記制御部は、クリーニングモード運転を実行するための条件である上記所定の発電運転時間を、上記燃料電池モジュールによる発電運転が行われる経年時間が長い程、より短い時間に設定する請求項2乃至8の何れか1項に記載の固体電解質型燃料電池。
【請求項10】
上記制御部が上記クリーニングモード運転を実行するための所定の条件は、手動操作であり、上記制御部は、この手動操作により上記クリーニングモード運転を強制的に実行する請求項1に記載の固体電解質型燃料電池。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2010−287482(P2010−287482A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−141268(P2009−141268)
【出願日】平成21年6月12日(2009.6.12)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】