説明

固定化酵素複合体とそれを用いて作った糖液

【課題】酵素が安定的に長期間使用可能であって、特に糖化反応において生産効率が向上する固定化酵素複合体、およびそれを利用し生産した糖液を製造する。
【解決手段】活性基として水酸基とアミノ基を両方有する多孔質両性イオン交換樹脂の中から選ばれる担体であり、その樹脂の細孔系が2〜1000nmであり、各種酵素、好ましくは糖質分解酵素とを水溶液中で接触させて固定化酵素複合体を作製し、液化や糖化反応の触媒として用いることを特徴とする固定化酵素複合体、および利用し生産した糖液。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定化酵素複合体に関し、詳しくは、活性基として水酸基とアミノ基を両方有する多孔質両性イオン交換樹脂の担体に、酵素を接触させて固定化した固定化酵素複合体、及び、それを利用して製造した糖液に関する。
【背景技術】
【0002】
酵素はタンパク質からなる生体触媒で、20種類のアミノ酸が連結してできた高分子化合物である。特有の立体構造(2nm〜50nm)をしているが、この立体構造が高温などのために破壊されると酵素活性はなくなる(失活)。この酵素は水溶液の状態で用いられ、目的とする反応が終了すると、さらに反応が進行するのを止めるため、加熱や酸、アルカリ処理などで酵素を失活させているが、この場合高価な酵素も使い捨てとなってしまう。
【0003】
固定化酵素複合体は、不溶性の担体に酵素を保持するため、反応終了後の反応液から酵素失活させることなく分離回収が容易であり、連続操作が可能となる。そこで酵素活性が高くて安定化した固定化酵素複合体の実現が望まれている(例えば、非特許文献1参照。)
【0004】
酵素を固定化する方法には、担体結合法、架橋法、包括法があり、担体結合法は、さらに共有結合法、イオン結合法、物理吸着法に区分される。これらは単独だけでなく併用して用いられることが多い。例えば、多孔性粒状珪藻土を担体に用いる方法では(例えば、特許文献1参照。)、ポリエチレンイミンを作用させた多孔性粒状珪藻土を調製して、別に、酵素にグルタルアルデヒドを作用させた処理酵素を調製してから該担体と該処理酵素とを反応させて固定化糖化酵素複合体を作製している。更に詳しくは、澱粉の糖化技術に関する固定化には多様な方法があり、グルコースの製造法において多孔質キトサンビーズと膜モジュールを担体とする方法(例えば、特許文献2参照。)、グルコースの製造方法においてグルタルアルデヒド処理した限外濾過膜を担体とする方法(例えば、特許文献3参照。)、オリゴ糖の製造方法においてアルギン酸カルシウムゲルによる包括法(例えば、特許文献4参照。)、澱粉の糖化方法においてグルタルアルデヒド処理した豚骨粉砕物を担体とする方法(例えば、特許文献5参照。)、粒状固定化リパーゼ調製品においてマクロポーラスシリカもしくはケイ酸塩を担体とする方法(例えば、特許文献6参照。)、固定化酵素においてグルタルアルデヒド処理したゼラチンと活性炭を担体とする方法(例えば、特許文献7参照。)、固定化酵素及びトレハロースの製造方法においてフェノール系陰イオン交換樹脂を担体とする方法(例えば、特許文献8参照。)、固定化酵素においてアルミニウムとマグネシウムとの複合酸化物を担体とする方法(例えば、特許文献9参照。)、オリゴ糖シロップの製造方法において酵素反応の再循環にナノ濾過膜装置を用いる方法(例えば、特許文献10参照。)、固定化酵素の製造方法において塩水溶液中で固定化担体に酵素を吸着させる方法(例えば、特許文献11参照。)、酒類及び甘味食品の製造方法においる固定化酵素の利用例(例えば、特許文献12参照。)など、様々な創意工夫が試みられているが、詳述した如く、酵素や担体を活性化試薬や架橋剤のような薬剤処理する方法が多く、これらを使用することなく、酵素を担体に安定に吸着させる方法が強く要望されていた。
【特許文献1】特開平7−147981号公報
【特許文献2】特開昭63−192397号公報
【特許文献3】特開平1−144990号公報
【特許文献4】特開平4−66094号公報
【特許文献5】特開平4−173095号公報
【特許文献6】特開平4−501664号公報
【特許文献7】特開平6−22761号公報
【特許文献8】特開平10−248560号公報
【特許文献9】特開平11−69974号公報
【特許文献10】特表2001−525177号公報
【特許文献11】特開2004−65153号公報
【特許文献12】特開2000−184878号公報
【非特許文献1】豊田中央研究所 R&Dレビュー P57〜62 Vol.36 No.2 (2001)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、酵素の担体結合法においても特定の細孔分布を有し、かつ特定の合成樹脂材料から構築された活性基をもつ吸着剤の担体を選定することにより、物理吸着に基づく処理操作のみで酵素の固定化が堅固に維持されており、例えば、担体ならびに酵素に対して固定化のための複雑な処理を施さなくとも担体からの酵素の脱離がなく、酵素活性の安定性に優れた固定化酵素複合体を提供すること、および、それを利用して効率的に糖液を製造することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決すべく鋭意研究の結果、担体として多孔質両性イオン交換樹脂と酵素とを接触させて固定化酵素複合体を作製し、該固定化酵素複合体を反応の触媒として効果的に使用できることを見出し、本発明をなした。
【0007】
すなわち本発明は、活性基として水酸基とアミノ基を両方有する多孔質両性イオン交換樹脂からなる担体に酵素を接触させて固定化した固定化酵素複合体や、活性基として水酸基とアミノ基を両方有する多孔質両性イオン交換樹脂がレゾルシン・メタフェニレンジアミン・ホルムアルデヒド共付加縮合体、あるいはフェノール・ホルムアルデヒド付加縮合体である固定化酵素複合体や、活性基として水酸基とアミノ基を両方有する多孔質両性イオン交換樹脂のポアサイズが2nm〜1000nmである固定化酵素複合体からなる。
【0008】
また本発明は、酵素の固定化率が7〜40%である固定化酵素複合体や、糖質分解酵素である固定化酵素複合体であり、さらにそれを利用して製造して糖液を得る事である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、従来の活性炭、珪藻土を担体に用いた担体結合法による固定化酵素に比べて、活性基として水酸基とアミノ基両方を有する多孔質両性イオン交換樹脂を担体に用いることにより酵素固定化率の高い固定化酵素複合体を製造でき、反応をより効率的に実施することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
多孔質両性イオン交換樹脂は、モノマーは溶かすがポリマーは溶かさない溶媒の存在下で合成を行い、析出したポリマー中からこの溶媒を除去することによって樹脂母体中にミクロポア(0.1nm〜2nm)、メソポア(2nm〜50nm)、マクロポア(50nm〜1000nm)の細孔を多数形成させて作られ、数十から数百m/gの比表面積を有するため吸着作用に優れる。
【0011】
多孔質両性イオン交換樹脂は水酸基とアミノ基が共存した構造を持つので、酸性、中性域においては物理吸着だけでなく化学吸着も起こる。アルカリ域では吸着した物質の脱着(溶離)作用が起きる。この作用を利用した再生法により多孔質両性イオン交換樹脂の反復使用が可能となるので廃棄物を減少させ環境にも良い。市販品には、代表として、ホクエツKS、ホクエツHS、ホクエツDSがあり、その他Apollite
37、Ionac B−100、Asmite 173、Duolite ES−33などがある。
【0012】
物理吸着における酵素の固定化には、酵素分子の大きさに対して多孔質両性イオン交換樹脂の細孔の大きさが影響する。本発明には、ミクロポアが発達した形状よりも、メソポアやマクロポアが発達した形状である多孔質両性イオン交換樹脂の方が適している。酵素の大きさは2nm〜50nmであり、ミクロポア(0.1nm〜2nm)では細孔が小さすぎて固定化には適していない。メソポア(2nm〜50nm)の細孔の大きさは、酵素の大きさと合致し固定化に適しているが、酵素の大きさが上限側で細孔の大きさが下限側の場合は吸着が一部制約される。マクロポア(50nm〜1000nm)の細孔の大きさは、酵素より大きいので制約は少なく、吸着にはより適している。
【0013】
本発明で使用する糖質分解酵素は、α−アミラーゼ、耐熱α−アミラーゼ、バクテリアα−アミラーゼ、カビα−アミラーゼ、β−アミラーゼ、グルコアミラーゼ、プルラナーゼ、イソアミラーゼ、アミログルコシダーゼ、α−グルコシダーゼ、マルトトリオヒドロラーゼ、シクロデキストリングルカノトランスフェラーゼ、シクロデキストリントランスフェラ−ゼ、イヌリナーゼ、トランスグルコシダーゼ、インベルターゼ、α−ガラクトシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、デキストラナーゼ、グルコースオキシダーゼ、グルコースイソメラーゼおよびその混合物やそのGMM酵素(遺伝子組換え添加物)を包含する。これらの酵素の内で特に好ましいのは、グルコアミラーゼおよびそのGMM酵素である。
【0014】
本発明に係る酵素の固定化の条件は、以下に代表例を記すが、特にこれに限定されるものではない。
まず、酢酸塩緩衝溶液を調整して、この溶液中に酵素を加えて酵素緩衝溶液とする。これに多孔質両性イオン交換樹脂を加えて、溶液温度:25〜35℃、溶液pH:4.0〜5.0、溶液攪拌又は振とう速度:30〜100rpm、吸着時間:2〜5時間かけて、酵素たんぱく質を多孔性両性イオン交換へ固定化させる。酵素1質量部に対して、多孔性両性イオン交換樹脂を1容量部、酢酸緩衝溶液を10質量部部程度の比率で使用することが望ましい。酵素を固定化した多孔質両性イオン交換樹脂は酵素緩衝溶液から取出してから、約10倍量の水の中で洗浄を行って、本発明の固定化酵素複合体とする。
【0015】
本発明の固定化酵素複合体は、バッチ(回分)方式でも反応は可能であるが、カラム等の容器に該固定化酵素複合体を充填して、所定の反応条件で原液を連続的に接触させる事により、反応時間は従来の酵素の1/10〜1/100程度に大幅に短縮できる。カラム方式の反応条件としては、バッチ方式の反応条件と比較すると、液化液DEは粘性を下げるため、やや高目のDE20〜35とする。液化液濃度はバッチと同等の25〜35質量%とする。作用温度は反応中の雑菌汚染防止の維持と、酵素(グルコアミラーゼ)の熱安定を図るため、やや低目の50〜58℃とする。空間速度(SV)は反応時間30分〜2時間内での反応完了を目標にSV0.5〜2.0で行う。
【実施例】
【0016】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
【0017】
[実施例1](固定化酵素複合体の調製)
多孔質両性イオン交換樹脂であるホクエツHS(味の素ファインテクノ社製細孔径:2nm〜50nm)を担体として用いた。250ml容共栓三角フラスコに多孔質両性イオン交換樹脂(水に浸漬してある多孔質両性イオン交換樹脂をブフナーロートの濾紙上で濾別して、水滴がなくなるまで吸引した湿重量状態のもの)各10gを量り取り、0.05M酢酸塩緩衝液(pH5.0)100gに、グルコアミラーゼ(ノボ社:AMG300)10gを加えた酵素緩衝溶液に担体を加え、温度30℃、振とう(60回/分)しながら5時間固定化した。上澄酵素(非吸着酵素)液の力価の測定により、固定化率を求めた後、固定化酵素複合担体を、純水1リットルで洗浄(デカンテーション)して固定化酵素複合体Aを得た。
【0018】
[実施例2]
多孔質両性イオン交換樹脂ホクエツHS(味の素ファインテクノ社製 細孔径:2nm〜50nm)の替わりに、多孔質両性イオン交換樹脂ホクエツDS(味の素ファインテクノ社製 細孔径:50nm〜1000nm)を使用した以外は、実施例1と同様の作業をおこない、固定化酵素複合体Bを得た。
【0019】
[実施例3]
グルコアミラーゼ(ノボ社:AMG300)の替わりに、デキストロザイムDX(ノボ社製)を使用した以外は、実施例1と同様の作業をおこない、固定化酵素複合体Cを得た。
【0020】
[比較例1]
多孔質両性イオン交換樹脂ホクエツHS(味の素ファインテクノ社製 細孔径:2nm〜50nm)の替わりに、多孔質両性イオン交換樹脂ホクエツKS(味の素ファインテクノ社製 細孔径:0.1nm〜2nm)を使用した以外は、実施例1と同様の作業をおこない、固定化酵素複合体Dを得た。
【0021】
[比較例2]
多孔質両性イオン交換樹脂ホクエツHS(味の素ファインテクノ社製 細孔径:2nm〜50nm)の替わりに、粒状活性炭ホクエツGS(味の素ファインテクノ社製 細孔径:2nm〜50nm)を使用した以外は、実施例1と同様の作業をおこない、固定化酵素複合体Eを得た。
【0022】
[比較例3]
多孔質両性イオン交換樹脂ホクエツHS(味の素ファインテクノ社製 細孔径:2nm〜50nm)の替わりに、粒状珪藻土ラヂオライト3000(昭和化学工業社製 細孔径:2nm〜50nm)を使用した以外は、実施例1と同様の作業をおこない、固定化酵素複合体Fを得た。
【0023】
[比較例4]
多孔質両性イオン交換樹脂ホクエツHS(味の素ファインテクノ社製 細孔径:2nm〜50nm)の替わりに粒状活性炭ホクエツGS(味の素ファインテクノ社製 細孔径:2nm〜50nm)を使用し、グルコアミラーゼ(ノボ社:AMG300)の替わりにデキストロザイムDX(ノボ社製)を使用した以外は、実施例1と同様の作業をおこない、固定化酵素複合体を得た後、さらに、1%グルタルアルデヒド溶液(pH4.5)100gに浸漬させ、温度20℃で、振とう(100回/分)しながら2時間架橋反応した。架橋後、純水1リットルで洗浄して、固定化酵素復合体Gを得た。
【0024】
[比較例5]
酵素グルコアミラーゼ(ノボ社:AMG300)を担体に固定化せず、そのまま使用した。
【0025】
上記実施例1〜3、及び比較例1〜4にて調製した固定化酵素複合体A〜Gの固定化率は、酢酸塩緩衝溶液に酵素を加えた酵素緩衝溶液の初期酵素活性(A)を測定し、これに多孔質両性イオン交換樹脂を加えて酵素固定化処理を行い、多孔質両性イオン交換樹脂を取出した後の酵素緩衝溶液の残存酵素活性(B)を測定して、(A−B/A)×100で求めた。同時に固定化酵素(多孔質両性イオン交換樹脂担体)gあたりの酵素活性を、(A−B)/担体gで求めた。結果を表1に示す。
【0026】
実施例及び比較例に係る試験法は、澱粉糖関連工業分析法(食品化学新聞社1991)に準じた。すなわち、酵素活性は、酵素剤(グルコアミラーゼ、β−アミラーゼ)の活性測定における還元糖の定量法として、JIS−K−7001−1990で指定されているフェーリング・レーマン・ショール法で測定した。
【0027】
【表1】

【0028】
(固定化酵素複合体を用いたバッチ方式による糖化反応)
上記実施例1〜3、及び比較例1〜4にて調製した固定化酵素複合体A〜Gをそれぞれ1g(湿重量)、比較例5の場合は0.005gを量り取り、20%澱粉液化液(DE12と25)5g、0.1M酢酸塩緩衝液5gを加え、温度40℃、pH4.5、基質濃度10%、振とう(60回/分)の糖化条件で60分間反応後、糖組成あたりのグルコース量をHPLCで分析し比較した。結果を表2に示す。
【0029】
(固定化酵素複合体を用いたバッチ方式による糖化反応の反復使用)
上記実施例1〜3、及び比較例1〜4にて調製した固定化酵素複合体A〜Gをそれぞれ1g(湿重量)を量り取り、1バッチあたりの糖化条件として、20%澱粉液化液(DE25)5g、0.1M酢酸塩緩衝液5gを加え、温度40℃、pH4.5、基質濃度10%、振とう(60回/分)で60分間反応後、固定化酵素結合体は反応系から取り出して、純水100ミリリットルで洗浄(デカンテーション)した。各5バッチ反復使用を行い、糖組成あたりのグルコース量をHPLCで分析し、5バッチの平均で比較した。結果を表2に示す。
【0030】
(固定化酵素複合体のカラム方式による糖化反応)
温水ジャケット付のガラスカラム(内径3.5cm×長さ50cm)に、上記上記実施例1〜3、及び比較例1〜4にて調製した固定化酵素複合体A〜Gをそれぞれ300g(湿重量)を充填し、水飴(群栄化学工業社製:DE25)を濃度30%、pH4.5±0.2に調整し、温度55℃、SV(空間速度)0.5の条件で連続糖化反応した。各反応液のグルコース量を、2時間後、100時間後、300時間後、700時間後に測定した。結果を表2に示す。
【0031】
(固定化しない酵素を用いたバッチ方式による糖化反応)
比較例5にて調整した酵素を基質(濃度)あたり0.1質量%加え、水飴(群栄化学工業製:DE25)を濃度30%、pH4.5±0.2に調整して、温度55℃、振とう(30回/分)の条件で、糖化反応した。反応液のグルコース量を、2時間、100時間、300時間、700時間後に測定した。結果を表2に示す。
【0032】
実施例及び比較例に係る液化液のDEは、氷点降下度による方法(米フィスケ社:オズモメーターOS型)で測定した。糖化液のグルコース定量は、HPLC(カラム:島津製作所SCR−101、カラム温度:85℃、移動相:純水、検出器:RI、データ処理:修正面積百分率法)で測定し、糖液のpHは、ガラス電極pHメーター(堀場製作所:F−52型)で測定した。
【0033】
【表2】

【0034】
表1、表2から、多孔質両性イオン交換樹脂のうち、ホクエツKSはミクロポアを主体とするもので、本発明の固定化酵素複合体の担体としては不適であることが分かる。また、メソポア、ミクロポアを主体とするホクエツHS及びホクエツDSを固定化酵素複合体の担体とした場合は、多孔質粒状活性炭及び多孔質粒状珪藻土を担体とした固定化酵素複合体と比較して、さらに該固定化酵素複合体をグルタルアルデヒド処理したものと比較しても、安定した固定化酵素複合体を作製できることが分かる。
また、700時間後のグルコース生成量は初発(2時間後)に比べて6%減少に抑えられ、糖液製造のための長時間安定な固定化糖化酵素複合体であった。
【0035】
また、本発明による固定化酵素複合体を澱粉糖化工程における液化液の加水分解反応の触媒に用いると、通常の方法よりも数段効率的に、グルコース含有糖液の生産を行うことができることがわかった。グルコース組成においても何ら問題の無いものが得られ、バイオエタノールなどのアルコール原料の前駆体となるグルコース含有糖液を効率的に得ることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性基として水酸基とアミノ基を両方有する多孔質両性イオン交換樹脂からなる担体に、酵素を固定化した固定化酵素複合体。
【請求項2】
上記記載の多孔質両性イオン交換樹脂が、レゾルシン・メタフェニレンジアミン・ホルムアルデヒド共付加縮合体、あるいはフェノール・ホルムアルデヒド付加縮合体であることを特徴とする請求項1記載の固定化酵素複合体。
【請求項3】
上記記載の多孔性両性イオン交換樹脂の細孔径が2nm〜1000nmであることを特徴とする請求項1乃至2記載の固定化酵素複合体。
【請求項4】
担持する酵素が糖質分解酵素であり、その固定化率が7〜40%であることを特徴とする請求項1乃至3記載の固定化酵素複合体。
【請求項5】
請求項1乃至4記載の固定化酵素複合体を反応に用いて得られる糖液

【公開番号】特開2009−125038(P2009−125038A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−306200(P2007−306200)
【出願日】平成19年11月27日(2007.11.27)
【出願人】(000165000)群栄化学工業株式会社 (108)
【Fターム(参考)】