説明

固形籾殻炭およびその製造方法

【課題】籾殻炭の脱臭効果に着目し固形化することにより取り扱い易い固形籾殻炭とその製造方法を提供する。
【解決手段】籾殻炭を固形化するため米糠又は珪藻土をバインダーとして使用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は粉砕した籾殻炭と米糠または珪藻土粉末を混合し練り合せ圧縮、乾燥後炭化した固形籾殻炭およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、米生産者や加工業者は籾殻の処分に頭をいためている。即ち、籾殻 は種子の外被としての役目上、長期にわたり腐敗しにくく、かつ焼却に際しては籾殻 の形状に由来する空隙の多さから非常に燃焼しにくい性質をもっている。現在、日本国内の籾殻 の発生量は年間約200万トンにものぼり、そのうち30%(60万トン)が焼却及び廃棄処分されている。その有効活用について各方面で見当されている。本発明はその炭化物の持つ脱臭効果に着目したものである。
【0003】
籾殻炭化物は、主成分が多孔質の二酸化珪素(シリカ)で構成され、重量比率で70%以上である。多孔質で水分や湿分の吸収能力が大である。炭素質成分は、重量比で30%以下であるが、広大な内部表面積を有しており、脱臭効果を期待できる。
【0004】
米糠は米を精米する段階で約10%も発生する。米糠の用途は主として油用・飼料・食品加工用であるが、それらの用途に使用される量は限られている。
このバイオマスである籾殻と米糠を炭化・固形化し有効活用することにより椰子殻や木質系に替わる国産の安価な脱臭剤を作ることができる.
【0005】
籾殻炭に含まれる二酸化珪素(シリカ)を細孔骨格とし、安全性の高い澱粉や糖類を多く含む米糠をバインダーとして固形化し、炭化する。さらに脱臭効果を高めるため800℃程度の高温蒸気中で賦活し活性炭化することも可能である。
【0006】
米糠同様に珪藻土も国内においては多量に産出し優れた脱臭、吸着作用を有する鉱物である。珪藻土とは植物プランクトンの珪藻が、数百万年をかけて堆積し、化石化したもので世界各地に産出し、非常に細かな気孔を無数に持ち、活性炭の数千倍という多孔質になっていて吸着性、吸放湿性などの珪藻土独特の機能性を持っている。
【0007】
本発明はこの優れた特性を持つ珪藻土をバインダーとして主成分が同じ二酸化珪素の籾殻炭と組み合わせた固形籾殻炭であり脱臭剤や吸着剤として利用可能である。
【0008】
公知の技術として特許文献1が知られているがこれは生籾殻を粉砕してから炭化するものであり生籾殻では嵩張り柔らかくて粉砕しずらい。本発明では一度炭化してから使用することにより粉砕は極めて容易であり嵩が小さくなり密度が高くなる利点がある。特許文献2は籾殻炭と天然ゼオライトの混合物であり固形物ではない。特許文献3は籾殻と米糠を使用しているが米糠と混合し乾燥してペレットにしているもので炭化はしていないし用途は土壌改良剤であり脱臭用ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平2−196012
【特許文献2】特開2001−299885
【特許文献3】特開2005−002305
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来籾殻炭は農家において土壌改良材や肥料として古来より使われて、現在は優れた脱臭効果も確認されているがそのままでは比重が小さく嵩張り、形が崩れ易く粉塵が舞い易い点を改良し効果を高めるため籾殻炭を粉砕し固形化することにより密度が高く脱臭効果の高いものを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は上記の課題を解決する手段として籾殻を炭化してから粉砕しバインダーと混合し固形化することにより取り扱いを容易にするとともに使用範囲を脱臭剤のほか各種液体の吸着材として使用可能とするものである。
【0012】
生籾殻 に対してその炭化物、即ち籾殻 炭は、55重量%の減量を示しさらに粉砕することにより容積も1/3になる。
【0013】
粉砕した籾殻炭を固形化するためのバインダーとして米糠または珪藻土を使用する。
【発明の効果】
【0014】
籾殻炭には優れた脱臭効果があるがそのままでは嵩張り扱いにくかったが粉砕することにより減量し密度を高め米糠または珪藻土粉末をバインダーとして加え固形化したことにより取り扱いやすい脱臭剤や吸着剤ができる。
籾殻炭と珪藻土の組み合わせはどちらも優れた脱臭効果と吸着作用があるので相乗効果として脱臭のほか液体中の不純物の吸着効果も期待できる。
【0015】
脱臭効果を確認するため家庭用として広く使用されているヤシガラ活性炭と比較試験をおこなった。
試料は各20グラムを22リットルの密閉した容器にいれその中で40PPMのアンモニアガスを発生させ15分、30分、1時間、2時間経過後のアンモニアガス濃度を測定した。
表は脱臭効果確認試験結果でありヤシガラ活性炭に比べ即効性がある。
【0016】
米糠および珪藻土をバインダーとして使用した固形籾殻炭とヤシガラ活性炭との脱臭効果確認試験結果を表1、表2に示す。
【0017】
【表1】

【0018】
【表2】

【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】は本発明の米糠を使用した固形籾殻炭のフローチャートである。
【図2】は本発明の珪藻土粉末を使用した固形籾殻炭のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に本発明の籾殻炭を固形炭化する発明の製造工程を説明するが生籾殻は粉砕が困難であり炭化してから粉砕した。
【0021】
籾殻炭を使用する利点としては生籾殻を使用するより嵩が小さく粉砕が容易であり粉砕することにより嵩が1/3程度に減量しその分密度が高くなり未粉砕のものより同じ容積では効果は3倍になり本工法において有利である。
【0022】
粉砕後の大きさは250ミクロンの篩いを通る程度とし、粉砕した籾殻炭と米糠または珪藻土を混ぜ水を加え練り型に入れ圧縮し固めてから約100℃で4時間程度乾燥後型から取出し300℃〜350℃で3〜4時間空気を遮断した状態で薫燃炭化する。
【0023】
粉砕した籾殻炭と米糠または珪藻土と水の混合比は1:1:0.3が適当である。
【0024】
空気を遮断した状態でこの程度の温度、時間では米糠は炭化し珪藻土は固化し籾殻炭は炭化が進行せずそのままの状態で固化する。
【0025】
バインダーとして米糠だけでなく糖類や澱粉を加えることにより硬度を高めることができるし高温水蒸気を使用し活性炭化することもできる。
【実施例】
【0026】
籾殻炭を作るには籾殻を空気を遮断した状態で300℃〜350℃で炭化する。炭化に要する時間は炭化炉および投入量により異なるが木材、竹、ヤシガラ等よりは短時間で炭化するという優位性がある。
【0027】
籾殻炭は主成分が多孔質の酸化珪素でできているため柔らかい生籾殻よりははるかに粉砕しやすい。ミキサーを使用した実験では数秒で粉砕した。
【0028】
この粉砕した籾殻炭を固形物や不純物を取り除き粒度をそろえるため250ミクロンメッシュで篩い分けする。
【0029】
次に粉砕した籾殻炭と米糠または珪藻土粉末を1:1で混合攪拌し水を0.3の割合で加え練り型に入れ圧縮し100℃で約3時間加熱乾燥してから型より取り出す。
【0030】
型から取り出したものを炭化炉で空気を遮断し300℃〜350℃で約3時間薫燃し炭化する。籾殻炭もこの程度の温度では灰化せず炭として残り米糠も多量に含まれる繊維質が炭化し固形化する。珪藻土粉末を使用した場合もこの温度、時間では籾殻炭は灰化せず固化する。
【0031】
形状としては円柱状、方形等ができ用途に応じて型を作ればよい。
【産業上の利用可能性】
【0032】
家庭用脱臭材として台所用、冷蔵庫用、風呂水用や珪藻土を使用したものは水質浄化材として利用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉砕した籾殻炭に米糠をバインダーとして加え固形炭化したことを特徴とするものである。
【請求項2】
粉砕した籾殻炭に珪藻土粉末をバインダーとして加え固形炭化したことを特徴とするものである。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−264391(P2010−264391A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−118249(P2009−118249)
【出願日】平成21年5月15日(2009.5.15)
【出願人】(501465285)広洋産業 株式会社 (4)
【Fターム(参考)】