説明

固形粉末化粧料

【課題】肌にみずみずしいツヤ感および若々しさを与え、使用性にも優れた固形粉末化粧料を提供する。
【解決手段】荷重2ポンドにおけるオルセン針入硬度が60〜95である固形粉末化粧料であって、着色されていても良い繊維状粉体を含有する固形粉末化粧料。前記着色されていても良い繊維状粉体の含有量が化粧料全体の0.1質量%〜30質量%であることが好ましい。また、固形粉末化粧料は着色されていても良い繊維状粉体を含有する粉体成分と油剤からなる化粧料基剤に揮発性油剤を加えてスラリーとなし、該スラリーを容器に充填した後、前記揮発性油剤を除去して調製する粉末固形化粧料が好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料に関し、更に詳細には、使用性及びメーク効果に優れた固形粉末化粧料に好適な化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
パウダーファンデーション等の固形粉末化粧料は携帯性に優れていることから、近年、粉末化粧料の主力となっている。ファンデーションの役割としては、主たるものとして、肌のしわ、くすみ等のトラブルを隠し、肌をいきいきと、若々しく見せる効果がある。くすみ等を隠す効果を担う成分としては、二酸化チタンが配合されている。しかしながら、二酸化チタンは屈折率が高く、含有する化粧膜の反射率を上げることにより、くすみ等のトラブルを隠す能力を高めるが、ともすると、ファンデーション塗布後の仕上がりは、素肌とは異なった、人工的な印象を与えることがあった。一方、化粧膜の光に対する特性を制御することにより、素肌の質感を維持しつつ、しわ、毛穴の目立ち安さ等のトラブルを隠す能力を高めるこころみもなされている。とりわけ各種の球状粉体を活用し、これら球状粉体を含有する化粧膜を通過する光の散乱を制御し、いわゆる“ソフトフォーカス効果”により、素肌の質感を維持した仕上がりで、しわ、毛穴の目立ちやすさ等の肌トラブルを隠す技術(例えば特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6)が存する。しかしながら、これらの技術に於いては、拡散透過を強め、しわの輪郭鏡面反射が極端に制御されるため、化粧膜の全体としての反射率も極端に制御され、しわ、毛穴の目立ちやすさ等の肌トラブルを隠す力はアップするものの、肌のみずみずしいツヤ感が低下し、肌がいきいきとして見えにくい、肌の若々しさが損なわれるという場合があった。これらの課題を解決するため、繊維状の粉体や特定の色彩に着色された繊維状の粉体を化粧料に含有させることにより、化粧料塗布によるみずみずしいツヤ感のある肌、若々しさのある肌を具現化する試みがなされている。(例えば特許文献7、特許文献8、特許文献9)しかしながら、繊維状の粉体はその性状故に互いに絡み合いやすく、化粧料中への均一分散が困難であり、固形粉末化粧料に配合した場合、表面硬度が高くなり、化粧料を使用中にその表面に凝集体が形成され、パフへのとれが極端に低下する、いわゆる“てかり”が生じやすいという課題を有していた。また、他の粉体成分に比して、長径が非常に大きいことから、一種の界面を作りやすく、該界面が加圧成形に反発・抵抗するため、加圧しても粉体組成物が締まりにくく、強度が出ない場合があったり、一度締まるとパフなどによる取れが著しく阻害される場合があるなど、製造面、使用性面で課題が存していた。かかる粉体組成物を、パフでの使用に適した、荷重2ポンドにおけるオルセン針入硬度が60〜95程度に調整した場合には形態維持性は損なわれ、とても固形粉末化粧料とは言えない状況になるのが常であった。
【0003】
したがって、みずみずしいツヤ感のある肌、若々しさのある肌を具現化し、てかりなどが長期使用においても発生しない等の、使用性に優れた固形粉末化粧料が求められていた。
【0004】
一方、互いに絡みやすい繊維状の粉体を含有する固形粉末化粧料に於いて、揮発溶剤を用いた湿式成型法により固形粉末化粧料のオルセン針入硬度を調節することにより、最終の成形製品の品質に大きな差異が現れることは全く知られていなかった。また、繊維状の粉体を配合し、いわゆる湿式成型法により成形した固形粉末化粧料がみずみずしいツヤ感および若々しさをはだに付与し、かつ使用性に優れていることも知られていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−146238号公報
【特許文献2】特開2002−104932号公報
【特許文献3】特開2002−80747号公報
【特許文献4】特開2002−241226号公報
【特許文献5】特開2002−187810号公報
【特許文献6】特開2001−294512号公報
【特許文献7】特開2003−192537号公報
【特許文献8】特開2003−92989号公報
【特許文献9】特開2005−132723号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような事情を背景になされたものであり、肌にみずみずしいツヤ感および若々しさを与え、使用性にも優れた固形粉末化粧料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる状況を鑑みて、本発明者らは繊維状の粉体含有する、化粧効果に注力した、固形粉末化粧料に於いて、使用性に優れた固形粉末化粧料を得るべく鋭意研究努力を重ねた結果、繊維状の粉体を配合した固形粉末化粧料を、揮発油剤を用いたいわゆる湿式成型法により調製することで、目的とする固形粉末料が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は以下に示す通りである。
1)荷重2ポンドにおけるオルセン針入硬度が60〜95である固形粉末化粧料であって、着色されていても良い繊維状粉体を含有することを特徴とする固形粉末化粧料。
2)前記着色されていても良い繊維状粉体の含有量が化粧料全体の0.1質量%〜30質量%であることを特徴とする1)に記載の固形粉末化粧料。
3)前記着色されていても良い繊維状粉体を含有する粉体成分と油剤からなる化粧料基剤に揮発性油剤を加えてスラリーとなし、該スラリーを容器に充填した後、前記揮発性油剤を除去して調製することを特徴とする、1)乃至2)記載の固形粉末化粧料。
4)荷重2ポンドにおけるオルセン針入硬度が60〜95である固形粉末化粧料の製造法であって、前記着色されていても良い繊維状粉体とその他の粉体からなる粉体成分及び油剤からなる化粧料基剤に揮発性油剤を加えてスラリーとなし、該スラリーを容器に充填した後、前記揮発性油剤を除去して製造することを特徴とする固形粉末化粧料の製造法。
5)前記着色されていても良い繊維状粉体の含有量が化粧料全体の0.1質量%〜30質量%であることを特徴とする、4)に記載の固形粉末化粧料の製造法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、肌にみずみずしいツヤ感および若々しさを与え、使用性にも優れた固形粉末化粧料を提供するができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
(1) 本発明の固形粉末化粧料の必須成分である繊維状の粉体
本発明の固形粉末化粧料は、必須成分として、繊維状の粉体を含有する。ここで言う繊維状の粉体とは棒状の形状をし、その長さがその断面を円と見なした場合の直径の1.5倍以上である粉体を言う。かかる繊維状の粉体の断面の形状としては、円形でもよいし、特開2005−132723号公報、特開2008−105990 号公報或いは特開2005−314389 号公報記載の繊維状の粉体のごとく異形であっても、表面処理されていてもよい。本発明の必須成分の繊維状の粉体の断面を円と見なした場合の直径および長さは特に限定されないが、断面の直径は1〜30μであることが好ましく、5〜25μあることがより好ましい。断面の直径が小さすぎても、大きすぎても、繊維状の粉体による光の反射が制御されず、固形粉末化粧料の塗布によってみずみずしいつや感および若々しさのある肌が得にくい場合があり好ましくない。また、繊維の粉体の長さは50〜600μであることが好ましく、100〜500μの範囲であることがより好ましい。繊維の粉体の長さが長すぎると、繊維状の粉体同士の絡み合いが起こりやすくなり、固形粉末化粧料中に繊維状の粉体を均一に分散できない場合があり好ましくない。また、短いと繊維状の粉体による光の反射が制御されず、固形粉末化粧料の塗布によってみずみずしいつや感および若々しさのある肌が得にくい場合があり好ましくない。本発明の必須成分である繊維状の粉体を構成する物質としては、シリカ、アルミナ、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム等の無機物、ナイロン等のポリアミド、アクリル樹脂、ポリエチレン、ポリエステル、ポリメチルシルセスキオキサン、架橋型ポリジメチルシロキサン等の有機物が挙げられる。また、これらの物質の混合物等が挙げられる。本発明の必須成分である繊維状の粉体は、例えば、常法により所定の太さに紡糸した繊維を所定の長さに切断することにより得ることができる。
【0010】
また、本発明の必須成分である繊維状の粉体は、赤色3号、赤色201号、赤色226号、黄色4号、青色1号等の有機色素や酸化鉄、酸化クロム等の無機色素により着色されていてもよい。
本発明の固形粉末化粧料の必須成分としての繊維状の含有量は固形粉末化粧料全体に対して0.1質量%〜30質量%であり、0.5質量%〜25質量%であることが好ましく、1質量%〜20質量%であることがさらに好ましい。
繊維状の含有量が少なすぎると固形粉末化粧料の塗布によってみずみずしいつや感および若々しさのある肌が得にくい場合があり好ましくない。また、含有量が多すぎると、固形粉粉末化粧料中への繊維状の粉体の均一分散が困難になり、使用性が低下する場合があり好ましくない。
【0011】
(2) 本発明の固形粉末化粧料
本発明の固形粉末化粧料は、上記の条件を充足し、オルセン硬度計での針入硬度が60〜95、より好ましくは、70〜85であること特徴とする。この様な硬度特性を有しながら、本発明の固形粉末化粧料は、成型された形態維持性と、パフなどの化粧小道具による取れ特性といった使用性に優れる特性を有する。この様な性状の化粧料を得るためには、粉体成分及び油剤成分を、揮発性油剤とともに混合、混練りし、これを中皿に充填し、しかる後に、練合媒である揮発油剤を揮散せしめ、成形することにより製造される。ここにおいて、本発明で用いることの出来る揮発性油剤は、軽質イソパラフィン、ジメチコン、シクロメチコンの何れかであって、沸点が150〜250℃のものが好ましい。ジメチコンであれば、粘度に換算して1mPa・s以下のものがこれに相当する。この様な揮発油剤には既に化粧料原料として市販しているものが存し、この様な化粧品原料を購入して利用することが出来る。この様な市販品の内、好ましいものとしては出光興産社製の「IPソルベント1620MU」、信越シリコーン社製の「シリコーンKF96−1」などが好適に例示できる。かかる練合媒としての揮発油剤は、唯一種を用いることも出来るし、二種以上を組み合わせて用いることも出来る。またその量は、重量換算で粉体成分と油剤成分からなる化粧料基剤の0.25〜1.00倍が好ましい。練合においては、粉体の二次凝集が出来る限り壊砕出来るような練合が好ましく、具体的には、土練機、ダブルプラネタリーミキサー等を用いて混合、混練りすることが好ましい。混練りしてスラリーを作成し、これを充填した後、揮発性油剤を揮散させて成形するが、揮発性油剤の揮散条件としては、50〜100℃で6〜48時間の送風条件が好ましく例示できる。
【0012】
(3)本発明の固形粉末化粧料に含有される任意成分
本発明の化粧料は、固形粉末化粧料であり、パウダーファンデーション、プレストパウダー等のベースメーク料、パウダーアイカラー、チークカラー等のポイントメーク料への適用が可能であるが、その使用性を際だたせる点で、使用面積の大きなベースメーク料としての使用が好ましい。この様な種々の固形粉末化粧料に適用するに際して、本発明の固形粉末化粧料では、通常化粧料で使用される任意成分より、適宜好適な成分を選択し、適用すべき固形粉末化粧料として好ましい性状のものに加工することが出来る。
【0013】
かかる任意成分としては、例えば、マカデミアナッツ油、アボガド油、トウモロコシ油、オリーブ油、ナタネ油、ゴマ油、ヒマシ油、サフラワー油、綿実油、ホホバ油、ヤシ油、パーム油、液状ラノリン、硬化ヤシ油、硬化油、モクロウ、硬化ヒマシ油、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、イボタロウ、ラノリン、還元ラノリン、硬質ラノリン、ホホバロウ等のオイル、ワックス類、流動パラフィン、スクワラン、プリスタン、オゾケライト、パラフィン、セレシン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素類、オレイン酸、イソステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸等の高級脂肪酸類、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノール、ミリスチルアルコール、セトステアリルアルコール等の高級アルコール等、イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸ヘキシルデシル、アジピン酸ジイソプロピル、セバチン酸ジ−2−エチルヘキシル、乳酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタンエリトリット等の合成エステル油類、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサンシロキサン等の環状ポリシロキサン、アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等の変性ポリシロキサン等のシリコーン油等の油剤類、脂肪酸セッケン(ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等)、ラウリル硫酸カリウム、アルキル硫酸トリエタノールアミンエーテル等のアニオン界面活性剤類、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイド等のカチオン界面活性剤類、イミダゾリン系両性界面活性剤(2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等)、ベタイン系界面活性剤(アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)、アシルメチルタウリン等の両性界面活性剤類、ソルビタン脂肪酸エステル類(ソルビタンモノステアレート、セスキオレイン酸ソルビタン等)、グリセリン脂肪酸類(モノステアリン酸グリセリン等)、プロピレングリコール脂肪酸エステル類(モノステアリン酸プロピレングリコール等)、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル、POEソルビタン脂肪酸エステル類(POEソルビタンモノオレエート、モノステアリン酸ポリオキエチレンソルビタン等)、POEソルビット脂肪酸エステル類(POE−ソルビットモノラウレート等)、POEグリセリン脂肪酸エステル類(POE−グリセリンモノイソステアレート等)、POE脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコールモノオレート、POEジステアレート等)、POEアルキルエーテル類(POE2−オクチルドデシルエーテル等)、POEアルキルフェニルエーテル類(POEノニルフェニルエーテル等)、プルロニック型類、POE・POPアルキルエーテル類(POE・POP2−デシルテトラデシルエーテル等)、テトロニック類、POEヒマシ油・硬化ヒマシ油誘導体(POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油等)、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシド等の非イオン界面活性剤類、ポリエチレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジグリセリン、イソプレングリコール、1,2−ペンタンジオール、2,4−−ヘキシレングリコール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール等の多価アルコール類、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム等の保湿成分類、グアガム、クインスシード、カラギーナン、ガラクタン、アラビアガム、ペクチン、マンナン、デンプン、キサンタンガム、カードラン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、グリコーゲン、ヘパラン硫酸、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、トラガントガム、ケラタン硫酸、コンドロイチン、ムコイチン硫酸、ヒドロキシエチルグアガム、カルボキシメチルグアガム、デキストラン、ケラト硫酸,ローカストビーンガム,サクシノグルカン,カロニン酸,キチン,キトサン、カルボキシメチルキチン、寒天、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、ベントナイト等の増粘剤、表面を処理されていても良い、マイカ、タルク、カオリン、合成雲母、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水ケイ酸(シリカ)、酸化アルミニウム、硫酸バリウム等の粉体類、表面を処理されていても良い、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化コバルト、群青、紺青、酸化チタン、酸化亜鉛の無機顔料類、表面を処理されていても良い、通常の雲母チタン、魚燐箔、オキシ塩化ビスマス等のパール剤類、レーキ化されていても良い赤色202号、赤色228号、赤色226号、黄色4号、青色404号、黄色5号、赤色505号、赤色230号、赤色223号、橙色201号、赤色213号、黄色204号、黄色203号、青色1号、緑色201号、紫色201号、赤色204号等の有機色素類、ポリエチレン末、ポリメタクリル酸メチル、ナイロン粉末、オルガノポリシロキサンエラストマー等の有機粉体類、パラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤、アントラニル酸系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、桂皮酸系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、糖系紫外線吸収剤、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、4−メトキシ−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン等の紫外線吸収剤類、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール類、ビタミンA又はその誘導体、ビタミンB6塩酸塩,ビタミンB6トリパルミテート,ビタミンB6ジオクタノエート,ビタミンB2又はその誘導体,ビタミンB12,ビタミンB15又はその誘導体等のビタミンB類、α−トコフェロール,β−トコフェロール,γ−トコフェロール,ビタミンEアセテート等のビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸、パンテチン、ピロロキノリンキノン等のビタミン類などが好ましく例示できる。
【0014】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明が実施例のみに限定されないことは言うまでもない。
【実施例】
【0015】
<実施例1〜4> <比較例1〜2>
以下に示す行程に従って固形化粧料であるパウダーファンデーションを作成した。すなわち、実施例1〜4及び対照例1に於いては、表1(イ)成分をヘンシェルミキサーで混合した後、パルベライザーで粉砕した。その後、再びヘンシェルミキサーでこの混合物を攪拌しながら(ロ)成分を添加し、混合を続け、化粧料基剤を得た。得られた化粧料基剤をヘンシェルミキサーから取り出した後、再びパルベライザーで粉砕し、ダブルプラネットミキサー(DPM)中で、質量換算で化粧料基剤1に対してイソパラフィン0.5の割合で混練しスラリーを作成した。このスラリーをアルミ中皿に充填し、真空条件下でイソパラフィンを除去してパウダーファンデーションを得た。また、比較例1、2に関しては(イ)成分及び(ロ)成分を混合しヘンシェルミキサーで粉砕した後、金型を用いて半自動プレス機により比較例2に関しては15kg/cm2のプレス圧、比較例3に関しては40kg/cm2のプレス圧でアルミ中皿に充填した。なお、表1中の数字は質量%を表す。
また、荷重2ポンドでのオルセン硬度を併せて表1に示す。
【0016】
【表1】


*1)ナイロン繊維1:断面画が形で直径10μ、長さ300μの繊維状の粉体
【0017】
<試験例1>パウダーファンデーションの連続使用テスト。
実施例1〜4、比較例1及び比較例2のパウダーファンデーションの表面をパフにて何度もこすり続け、連続使用におけるファンデーションのパフへの取れ性を評価した。実施例1〜4及び比較例1においてはアルミ中皿の底がみえるまで問題なく使用できたが、比較例2においては表面に凝集体(いわゆるてかり)ができ使用途中でパフへの取れ量が著しく低下し、使用不可能となった。
【0018】
<試験例2>パウダーファンデーションの落下強度テスト
アルミ中皿に充填した実施例1〜4及び比較例2〜3のファンデーションをスチレン性の緩衝材で包装し、一個箱に入れた後、25cmの高さから落下した。各サンプルについてこの試験をn=5で行い、割れたり、かけたりしたファンデーションの数をもって落下強度とした。結果を表1に併せて示す。数字が小さいほど落下強度が高いことを示す。
【0019】
<試験例3> パウダーファンデーションの官能評価
実施例1〜4及び比較例1〜2のパウダーファンデーションを肌に塗布した場合の仕上がりの見え方を評価した。すなわち熟練した評価者5名により実施例1〜4及び比較例1〜2のパウダーファンデーションを使用した場合の仕上がりを以下の観点で評価し5名の平均点を評点とした。結果を表2に示す。
A)肌の明るさ 対照例1を3点とした場合、比較例に比べて、かなりある;5、ある;4、比較例と同等;3、ややない;2、ほとんどない;1
B)自然なつや(ギラツキがなく、人工的ではない自然なつや) 対照例1を3とした場合、かなりある;5 ある;4 比較例と同等;3 ややない;2 ほとんどない;1
C)肌の若々しさ 対照例1に対して実施例1〜4及び比較例1〜2のパウダーファンデーションを肌に塗布したパネルの年齢がどう見えるか(何歳差があるように感じるか)を評価した。マイナスは若く、プラスは年取って見えることを表す。結果を表2に示す.
【0020】
【表2】


試験例1〜3より本発明の固形化粧料は肌に明るさと自然なつやを与え、若々しい外観を演出し,表面での凝集体が生じて使用性が低下する等の問題も生じず、落下強度も維持できるという、仕上がり及び使用性ともに優れることが証明された。
【0021】
<実施例5〜7>
実施例1〜4と同様方法で表3の処方に従って、本発明の固形粉末化粧料である実施例5〜7のパウダーファンデーションを作成した。また、比較例1及び2と同様の方法で表3の処方に従って比較例3〜4(比較例3でのプレス圧は15kg/cm2、比較例4でのプレス圧は40kg/cm2)のファンデーションを作成した。実施例5〜7及び比較例3〜4のパウダーファンデーションの荷重2ポンドでのオルセン硬度を併せて表3に示す。また、試験例1の方法で実施例5〜7及び比較例3〜4のパウダーファンデーションの連続使用テストを行ったところ、実施例5〜7の及び比較例3のパウダーファンデーションは全てアルミ中皿の底がみえるまで問題なく使用できが、比較例4のファンデーションおいては、表面に凝集体(いわゆるてかり)ができ使用途中でパフへの取れ量が著しく低下し、使用不可能となった。さらに、実施例5〜7及び比較例3〜4のパウダーファンデーションの落下強度を試験例2の手法で、対照例1を3点とした場合の官能評価を試験例3の手法で評価した。結果を表4に示す。なお、表3中の数字は質量%を表す。
【0022】
【表3】


*2)ナイロン繊維2:井型の異形断面を有し、断面を円と見なした場合の直径が20μ、長さが400μのナイロン繊維。
【0023】
【表4】


パウダーファンデーションの連続使用テスト及び表4の結果から、繊維状の粉体の種類が変わっても本発明の固形粉末化粧料は仕上がり及び使用性ともに優れることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0024】
化粧料 特にメークアップ化粧料に有効に活用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷重2ポンドにおけるオルセン針入硬度が60〜95である固形粉末化粧料であって、着色されていても良い繊維状粉体を含有することを特徴とする固形粉末化粧料。
【請求項2】
前記着色されていても良い繊維状粉体の含有量が化粧料全体の0.1質量%〜30質量%であることを特徴とする請求項1に記載の固形粉末化粧料。
【請求項3】
前記着色されていても良い繊維状粉体を含有する粉体成分と油剤からなる化粧料基剤に揮発性油剤を加えてスラリーとなし、該スラリーを容器に充填した後、前記揮発性油剤を除去して調製することを特徴とする、請求項1乃至2項記載の固形粉末化粧料。
【請求項4】
荷重2ポンドにおけるオルセン針入硬度が60〜95である固形粉末化粧料の製造法であって、前記着色されていても良い繊維状粉体とその他の粉体からなる粉体成分及び油剤からなる化粧料基剤に揮発性油剤を加えてスラリーとなし、該スラリーを容器に充填した後、前記揮発性油剤を除去して製造することを特徴とする固形粉末化粧料の製造法。
【請求項5】
前記着色されていても良い繊維状粉体の含有量が化粧料全体の0.1質量%〜30質量%であることを特徴とする、請求項4に記載の固形粉末化粧料の製造法。

【公開番号】特開2010−260820(P2010−260820A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−113111(P2009−113111)
【出願日】平成21年5月8日(2009.5.8)
【出願人】(000113470)ポーラ化成工業株式会社 (717)
【Fターム(参考)】