説明

固形粉末化粧料

【課題】使用性を損なわずに化粧持ちを向上させた固形粉末化粧料を提供する。
【解決手段】1)化粧料に全量に対して1〜60質量%の撥水撥油処理粉体及び2)化粧料全量に対して1〜20質量%固形及び/又は半固形油剤を含有する固形粉末化粧料によって使用性を損なわずに化粧持ちを向上させることができる。さらに、表面処理をされていても良い板状粉体を60質量%以上含み、荷重2ポンドにおけるオルセン針入硬度が60〜95であるとさらに好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用感触及び化粧持ちに優れた固形粉末化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
パウダーファンデーション等の固形粉末化粧料は携帯性に優れていることから、近年、粉末化粧料の主力となっている。ファンデーションには肌のしみ、くすみ等のトラブルを隠す効果が求められるが、その効果が長時間維持できることも重要な機能であり、特に夏に使用されるファンデーションに於いてはさらに要求は高くなる。
【0003】
このような要求に応えるため、パーフルオロアルキルシリル化剤、パーフルオロアルキルリン酸ジエタノールアミン塩などのフッ素化合物などでその表面を処理した撥水撥油処理粉体をファンデーションに配合することにより、肌上のファンデーション膜の汗や皮脂に対する親和性を低下させることにより、ファンデーション膜が肌上に存在する時間を長くすることにより、前述の効果を高めようとする試みがなされている(例えば、特許文献1、特許文献2を参照)。この様な試みにより、メークアップの維持機能は格段に向上したが、その一方において、撥水撥油処理粉体と水や油との親和性が低いことに由来して、ファンデーションを肌に塗布した場合に、乾燥感を感じる等の使用感の課題の存在や、肌密着性が低く、粉浮き等の視覚的に違和感を呈する等の場合があった。更に、この様なフッ素化合物処理粉体を使用した場合に於いては、フッ素原子間の反発による、摩擦係数の著しい低下が存し、加圧成形で締まりにくく、固形粉体化粧料の強度の維持には大きな課題が存している。特に、板状粉体にフッ素化合物による処理を行った粉体を使用する場合に於いては、この様な課題はより顕著に表れる。この様な成形性の難点は、固体脂や半固体脂を用いた場合にも、撥油性により固体脂構造が構築しにくいので、成形性の向上には繋がらない場合が少なくなかった。
【0004】
また、粉体成分を半固形、固形の含有量の高い油剤成分で被覆し、熱により溶融し容器に充填してファンデーションとなす試みもなされている(例えば、特許文献3を参照)。しかしながら、これらの試みにおいては、ファンデーションは油性固形化粧料という形を取らざるえないため、使用時の乾燥感が低減され、肌への密着感は向上するものの、含有する油剤量が多いため、さっぱりとした使用感に乏しく、特に夏の使用に於いては全く好まれないという特性を有していた。化粧持ちについては、この様な剤形では、固形粉末化粧料よりは良好であるが、フッ素化合物処理粉体を用いた化粧料には及ばないと言う性格を有していた。
【0005】
固形、半固形油剤を多く含有する油相を用いてパウダーファンデーション、いわゆる固形粉末固形化粧料を調製しようとすると、粉体成分、特に撥水撥油処理粉体を含む粉体成分と油相とを良好な状態で混合することが困難であり、粉体成分が凝集体を形成し、成形性の低下、使用感の悪化等の問題点を生ずる場合が少なくなく、特殊な製造機械や製造ノウハウが存し、汎用化するには障害が少なくなかった。
【0006】
一方、揮発溶剤を用いた湿式成型法により撥水撥油処理粉体を含有する粉体成分と固形、半固形油剤を含む油相とを良好な状態で混合でき、化粧持ちが良好で、乾燥感を感じず、肌密着性の高い使用感にすぐれた固形粉末化粧料が得られることは全く知られていなかった。また、オルセン硬度を一定値に保つことりより、前述の特性に特にすぐれることも知られていなかった。
【0007】
【特許文献1】特開平10−316528号公報
【特許文献2】特開2002−68937号公報
【特許文献3】特開2005−213249号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、このような事情を背景になされたものであり、固形粉末化粧料において、使用性を損なわずに化粧持ちを向上せしめる手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる状況を鑑みて、本発明者らは固形粉末化粧料において、使用性を損なわずに化粧持ちを向上せしめる手段を求めて、鋭意研究努力を重ねた結果、特定量の撥水撥油処理粉体及び特定量の固形及び又は半固形油剤を含有する固形粉末化粧料を、揮発油剤を用いたいわゆる湿式成型法により調製することで、目的とする固形粉末料が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は以下に示す通りである。
【0010】
(1)A)撥水撥油処理粉体を化粧料に全量に対して1〜60質量%、B)固形及び/又は半固形油剤を化粧料全体に対して1〜20質量%含有してなる固形粉末化粧料。
(2)表面処理をされていても良い板状粉体を10質量%以上含む態様であって、荷重2ポンドにおけるオルセン針入硬度が60〜95であることを特徴とする(1)に記載の固形粉末化粧料。
(3)A)撥水撥油処理粉体を化粧料に全量に対して1〜60質量%含有する粉体成分とB)固形及び/又は半固形油剤を化粧料に全量に対して1〜20質量%を含有する油剤成分とを揮発性油剤の存在下混合しスラリーとなし、該スラリーを容器に充填後、揮発性油剤を除去して製造することを特徴とする(1)または(2)記載の固形粉末化粧料。
(4)撥水撥油処理粉体がフッ素化合物による処理粉体であることを特徴とする(1)〜(3)いずれか1項記載の固形粉末化粧料。
(5)A)撥水撥油処理粉体を化粧料に全量に対して1〜60質量%含有する粉体成分とB)固形及び/又は半固形油剤を化粧料に全量に対して1〜20質量%を含有する油剤成分とを揮発性油剤の存在下混合しスラリーとなし、該スラリーを容器に充填後、揮発性油剤を除去してすることを特徴とする固形粉末化粧料の製造方法。
(6)荷重2ポンドにおけるオルセン針入硬度が60〜95であることを特徴とする(5)記載の固形粉末化粧料の製造方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、固形粉末化粧料において、使用性を損なわずに化粧持ちを向上せしめる手段提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
(1) 本発明の固形粉末化粧料の必須成分である撥水撥油処理粉体
本発明の固形粉末化粧料は必須成分として、撥水撥油処理粉体を含有する。ここでいう撥水撥油処理粉体とは撥水撥油を有する化合物により粉体表面を処理した処理粉体をいう。撥水撥油性を有する化合物としては、フッ素化合物が好適に例示され、前記フッ素化合物とは、フッ素原子を分子内に含有する有機化合物を意味するが、具体的には、パーフルオロアルキル変性ジメチルポリシロキサン等のフッ素置換基を有するシリコーン、パーフルオロアルキルアルキルカルボン酸等のフッ素置換基を有する脂肪酸塩、パーフルオロアルキルリン酸ジエタノールアミンなどのフッ素置換基を有するアルキルリン酸塩、パーフルオロアルキルメタクリル酸エステル等のフッ素置換基を有するモノマーのポリマー、パーフルオロアルキルトリメトキシシランなどのフッ素置換基を有するアルコキシシランなどが例示され、中でもパーフルオロアルキルトリアルコキシシラン(パーフルオロアルキルシリル化剤とも総称することがある)が特に好ましい。これら撥水撥油性化合物により処理される粉体としては、酸化鉄、黄色酸化鉄、群青、酸化クロム、紺青等の無機顔料、二酸化チタン、酸化亜鉛等の白色顔料、タルク、雲母、セリサイト、カオリン等の体質顔料、シリカ、アルミナ、硫酸バリウム、ケイ酸カルシウム等の無機粉体、窒化硼素、ホウケイ酸ガラスフレーク、アクリルポリマー粉末、ナイロン粉末シリコーン樹脂粉末等の有機粉体等が好適に例示される。これら板状への撥水撥油性化合物の処理量としては該粉体に撥水撥油性が付与できる量であれば特に限定されないが、好ましい処理量は処理粉体全体の1〜10質量%であり、より好ましくは、3〜7である。
【0013】
本発明の固形粉末化粧料の必須成分である撥水撥油処理粉体は前記撥水撥油性化合物と粉体を常法により処理することにより得られる。製造方法としては粉体と撥水撥油化合物を混合した後、加熱処理を行って、粉体表面に撥水撥油化合物を焼き付ける等の方法が例示できる。
【0014】
また、市販品も存在し、かかる市販品を利用することも可能である。これらの市販品としては「FHS」シリーズ(大東化成工業社製)、「PFI」シリーズ(三好化成社製)等が挙げられる。
【0015】
本発明の固形粉末化粧料の必須成分としての撥水撥油処理粉体の含有量は固形粉末化粧料全体に対して1質量%〜60質量%であり、10質量%〜50質量%であることが好ましい。該撥水撥油処理粉体の含有量が少なすぎると化粧持ちが充分に向上しない場合があり好ましくない。また、含有量が多すぎると肌への粉の付着性が落ちるため好ましくない。
【0016】
(2) 本発明の固形粉末化粧料の必須成分である固形及び/又は半固形油剤
本発明の固形粉末化粧料必須成分として固形及び/又は半固形油剤を含有する。ここでいう固形油剤とは融点を有し、1気圧の条件下、100℃で恒量にすれば流動性を有するが、5℃、20℃、40℃で恒量にしても流動性を有しない、水とは実質的に相溶しない成分の総称であり、いわゆるワックスと呼ばれるものを指す。具体的にはマイクロクリスタリンワックス、セレシン等の炭化水素ワックス、鯨ロウ、蜜ロウ、モクロウ、イボタロウ、ライスワックス、カルナバワックス、キャンデリラワックス、ポリエチレンワックス、シュガーワックス等が好的に例示できる。また、半固形油剤とは、1気圧の条件下で、100℃で恒量にすれば流動性を有するが、5℃、20℃、で流動性を有さないが、40℃では若干の流動性を呈する、水とは実質的に相溶しない成分の総称であり、言わば、グリース状の油剤を指し、具体的には、ワセリン、水添牛脂、ラノリン、ミンクワックス、シリコーンワックス等が好的に例示できる。
【0017】
本発明の固形粉末化粧料に於ける該固形及び/又は半固形油剤の含有量は、粉末固形化粧料全体に対して1〜20質量%、好ましくは3〜8質量%である。この量は、液体油剤の総量に対して、15〜55質量%であることが好ましい。更には、成形性の観点からは、前記必須成分の撥水撥油性処理粉体の総量に対して、5〜15質量%であることが好ましい。含有量が少なすぎると粉末固形化粧料を使用する際に乾燥感を感じる場合があり好ましくない。また、多すぎると固形粉末化粧料のパフへの取れ量が充分でない場合があり好ましくない。
【0018】
(3) 本発明の固形粉末化粧料
本発明の固形粉末化粧料は、オルセン硬度計での針入硬度が60〜95、より好ましくは、70〜85であること特徴とする。この硬度範囲は、固形粉末化粧料がその使用態様において、成形性を維持するのに必要な固形性を表す値であり、この様な性状の化粧料を得るためには、粉体成分及び油剤成分を、揮発性油剤とともに混合、混練りし、これを中皿に充填し、しかる後に、練合媒である揮発油剤を揮散せしめ、成形することにより製造される。ここにおいて、本発明で用いることの出来る揮発性油剤は、軽質イソパラフィン、ジメチコン、シクロメチコンの何れかであって、沸点が150〜250℃のものが好ましい。この様な揮発油剤には既に化粧料原料として市販しているものが存し、この様な化粧品原料を購入して利用することが出来る。この様な市販品の内、好ましいものとしては出光興産社製の「IPソルベント1620MU」、信越シリコーン社製の「シリコーンKF96−1」などが好適に例示できる。かかる練合媒としての揮発油剤は、唯一種を用いることも出来るし、二種以上を組み合わせて用いることも出来る。またその量は、重量換算で粉体成分と油剤成分からなる化粧料基剤の0.25〜1.00倍が好ましい。練合においては、粉体の二次凝集が出来る限り壊砕出来るような練合が好ましく、具体的には、土練機、ダブルプラネタリーミキサー等を用いて混合、混練りすることが好ましい。混練りしてスラリーを作成し、これを充填した後、揮発性油剤を揮散させて成形するが、揮発性油剤の揮散条件としては、50〜100℃で6〜48時間の送風条件が好ましく例示できる。
【0019】
(3)本発明の固形粉末化粧料に含有される任意成分
本発明の化粧料は、固形粉末化粧料であり、パウダーファンデーション、プレストパウダー等のベースメーク料、パウダーアイカラー、チークカラー等のポイントメーク料への適用が可能であるが、その使用性を際だたせる点で、使用面積の大きなベースメーク料としての使用が好ましい。この様な種々の固形粉末化粧料に適用するに際して、本発明の固形粉末化粧料では、通常化粧料で使用される任意成分より、適宜好適な成分を選択し、適用すべき固形粉末化粧料として好ましい性状のものに加工することが出来る。
かかる任意成分としては、例えば、マカデミアナッツ油、アボガド油、トウモロコシ油、オリーブ油、ナタネ油、ゴマ油、ヒマシ油、サフラワー油、綿実油、ホホバ油、ヤシ油、パーム油、液状ラノリン、硬化ヤシ油、硬化油、流動パラフィン、スクワラン、プリスタン等の炭化水素類、オレイン酸、イソステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸等の高級脂肪酸類、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノール、ミリスチルアルコール、セトステアリルアルコール等の高級アルコール等、イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸ヘキシルデシル、アジピン酸ジイソプロピル、セバチン酸ジ−2−エチルヘキシル、乳酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタンエリトリット等の合成エステル油類、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサンシロキサン等の環状ポリシロキサン、アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等の変性ポリシロキサン等のシリコーン油等の油剤類、脂肪酸セッケン(ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等)、ラウリル硫酸カリウム、アルキル硫酸トリエタノールアミンエーテル等のアニオン界面活性剤類、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイド等のカチオン界面活性剤類、イミダゾリン系両性界面活性剤(2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等)、ベタイン系界面活性剤(アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)、アシルメチルタウリン等の両性界面活性剤類、ソルビタン脂肪酸エステル類(ソルビタンモノステアレート、セスキオレイン酸ソルビタン等)、グリセリン脂肪酸類(モノステアリン酸グリセリン等)、プロピレングリコール脂肪酸エステル類(モノステアリン酸プロピレングリコール等)、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル、POEソルビタン脂肪酸エステル類(POEソルビタンモノオレエート、モノステアリン酸ポリオキエチレンソルビタン等)、POEソルビット脂肪酸エステル類(POE−ソルビットモノラウレート等)、POEグリセリン脂肪酸エステル類(POE−グリセリンモノイソステアレート等)、POE脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコールモノオレート、POEジステアレート等)、POEアルキルエーテル類(POE2−オクチルドデシルエーテル等)、POEアルキルフェニルエーテル類(POEノニルフェニルエーテル等)、プルロニック型類、POE・POPアルキルエーテル類(POE・POP2−デシルテトラデシルエーテル等)、テトロニック類、POEヒマシ油・硬化ヒマシ油誘導体(POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油等)、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシド等の非イオン界面活性剤類、ポリエチレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジグリセリン、イソプレングリコール、1,2−ペンタンジオール、2,4−−ヘキシレングリコール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール等の多価アルコール類、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム等の保湿成分類、グアガム、クインスシード、カラギーナン、ガラクタン、アラビアガム、ペクチン、マンナン、デンプン、キサンタンガム、カードラン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、グリコーゲン、ヘパラン硫酸、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、トラガントガム、ケラタン硫酸、コンドロイチン、ムコイチン硫酸、ヒドロキシエチルグアガム、カルボキシメチルグアガム、デキストラン、ケラト硫酸,ローカストビーンガム,サクシノグルカン,カロニン酸,キチン,キトサン、カルボキシメチルキチン、寒天、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、ベントナイト等の増粘剤、表面を処理されていても良い、マイカ、タルク、カオリン、合成雲母、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水ケイ酸(シリカ)、酸化アルミニウム、硫酸バリウム等の粉体類、表面を処理されていても良い、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化コバルト、群青、紺青、酸化チタン、酸化亜鉛の無機顔料類、表面を処理されていても良い、通常の雲母チタン、魚燐箔、オキシ塩化ビスマス等のパール剤類、レーキ化されていても良い赤色202号、赤色228号、赤色226号、黄色4号、青色404号、黄色5号、赤色505号、赤色230号、赤色223号、橙色201号、赤色213号、黄色204号、黄色203号、青色1号、緑色201号、紫色201号、赤色204号等の有機色素類、ポリエチレン末、ポリメタクリル酸メチル、ナイロン粉末、オルガノポリシロキサンエラストマー等の有機粉体類、パラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤、アントラニル酸系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、桂皮酸系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、糖系紫外線吸収剤、2−(2'−ヒドロキシ−5'−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、4−メトキシ−4'−t−ブチルジベンゾイルメタン等の紫外線吸収剤類、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール類、ビタミンA又はその誘導体、ビタミンB6塩酸塩,ビタミンB6トリパルミテート,ビタミンB6ジオクタノエート,ビタミンB2又はその誘導体,ビタミンB12,ビタミンB15又はその誘導体等のビタミンB類、α−トコフェロール,β−トコフェロール,γ−トコフェロール,ビタミンEアセテート等のビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸、パンテチン、ピロロキノリンキノン等のビタミン類などが好ましく例示できる。この様な任意成分、必須成分の構成において、好ましい態様は、前記撥水撥油処理された粉体も含めて、板状粉体、具体的には、表面を処理されていても良い、セリサイト、マイカ、タルク、カオリン、板状シリカ板状アルミナ、板状硫酸バリウム、板状窒化ホウ素、ホウケイ酸ガラスフレークなどを60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは75質量%以上含有する態様である。通常、この様な態様では、固形粉末化粧料を製造することは困難であるが、本発明で採用した湿式成型法を用いることにより、締まりも向上し、且つ、連続使用による、てかりの発生も防げるので好ましい。かかる板状粉体として、平均粒径0.02〜0.06μの微粒子酸化チタンで被覆した板状粉体(以下複合板状粉体とも言う)を固形粉末化粧料全体(粉末成分全体)に対して2質量%〜30質量%、より好ましくは、5質量%〜20質量%含有させることも、自然なカバー力が具現化できるので好ましい。かかる複合板状粉体としては、「ホワイトカットリーフBV」、「カットリーフAV」(いずれも三好化成社製)等が挙げられる。
【0020】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明が実施例のみに限定されないことは言うまでもない。
【実施例】
【0021】
<実施例1〜6> <比較例1〜4>
以下に示す行程に従って固形化粧料であるパウダーファンデーションを作成した。すなわち、表1(イ)成分をヘンシェルミキサーで混合した後、パルベライザーで粉砕した。その後、再びヘンシェルミキサーでこの混合物を攪拌しながら(ロ)成分を添加し、混合を続け、化粧料基剤を得た。得られた化粧料基剤をヘンシェルミキサーから取り出した後、再びパルベライザーで粉砕し、ダブルプラネットミキサー(DPM)中で、質量換算で化粧料基剤1に対してイソパラフィン0.5の割合で混練しスラリーを作成した。このスラリーをアルミ中皿に充填し、真空条件下でイソパラフィンを除去してパウダーファンデーションを得た。ただし、比較例1及び2に関しては(イ)成分及び(ロ)成分を混合しヘンシェルミキサーで粉砕した後、金型を用いて半自動プレス機によりアルミ中皿に充填した。なお、表1中の数字は質量%を表す。
また、荷重2ポンドでのオルセン硬度を併せて表1に示す。
【0022】
【表1】


* 1)大東化成工業社製 FHS タルクP−3M
* 2)大東化成工業社製 FHS セリサイト
* 3)三好化成社製 PFIマイカ

【0023】
注)比較例1に於いては、(イ)成分と(ロ)成分を混合中に凝集体が生じ、中皿に充填したファンデーションは使用することができなかった。
【0024】
<試験例1>落下試験
実施例1〜6のパウダーファンデーション及び比較例2〜4のパウダーファンデーションを、容器に設置し、容器ごと1.5mの高さから自然落下させて、金型の中の固形粉末化粧料のケーキの性状の観察を行い、割れやヒビ、内容物の偏りの有無を肉眼で観察した。例数は各化粧料とも5個とし、変化の出現例数として、観察結果を表2に示す。この表より、本願発明の化粧料は落下試験でも安定な程に締まって成形されていることが判る。オルセン硬度計での針入硬度が60〜95、より好ましくは、70〜85であれば十分な強度が得られることも判る。又、撥水撥油性処理粉体の含有量が増加すると、針入硬度値が高くなり、成形性が損なわれていることも判る。
【0025】
【表2】

【0026】
<試験例2>パウダーファンデーションの化粧持ちテスト。
実施例1〜6のパウダーファンデーション及び比較例2〜4のパウダーファンデーションを人工皮革に塗布し、塗布膜のL,a,b値を測定した。次に、ファンデーションを塗布した人工皮革を人工汗、人工皮脂を満たしたバット中に15分間浸漬した後、バットから取り出して表面をティッシュペイパーで軽く押さえた。このような処理を行った塗布膜のL,a,b値を測定し、処理前後でのΔE値を求めて、化粧持ちの指標とした。ΔEの値が小さいほど化粧持ちが良好であることを示す。結果を表3に示す。
【0027】
【表3】

【0028】
<試験例3>パウダーファンデーション連用テスト
実施例1〜6、比較例2〜4のパウダーファンデーションの表面をパフにて何度もこすり続け、連続使用におけるファンデーションのパフへの取れ性を評価した。実施例1〜4及び比較例3及び4においてはアルミ中皿の底がみえるまで問題なく使用できたが、比較例2においては表面に凝集体(いわゆるてかり)が生じ、使用途中でパフへの取れ量が著しく低下し、以後の使用が不可能となった。
【0029】
<試験例4>パウダーファンデーションの官能評価
実施例1〜6及び比較例3〜4のパウダーファンデーションを肌に塗布した場合の使用感を評価した。すなわち熟練した評価者5名により実施例1〜4及び比較例1〜2のパウダーファンデーションを使用した場合の感触・機能を以下の観点で評価し5名の平均点を評点とした。結果を表4に示す。
(1) 使用時の乾燥感 全くない;5 無い;4 どちらとも言えない;3 ややある;2 非常にある。;1
(2) 肌への密着性(粉浮きの程度で判定) 良い;5 やや良い;4 普通;3 やや悪い;2 悪い1
【0030】
【表4】

【0031】
試験例1〜3より本発明の固形化粧料は化粧持ちに優れ、かつ、使用時の肌密着性に優れ、乾燥感もほとんど無く、使用性、機能ともに優れることが証明された。
【産業上の利用可能性】
【0032】
化粧料 特にメークアップ化粧料に有効に活用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
A)撥水撥油処理粉体を化粧料に全量に対して1〜60質量%、B)固形及び/又は半固形油剤を化粧料全体に対して1〜20質量%含有してなる固形粉末化粧料。
【請求項2】
表面処理をされていても良い板状粉体を60質量%以上含む態様であって、荷重2ポンドにおけるオルセン針入硬度が60〜95であることを特徴とする請求項1記載の固形粉末化粧料。
【請求項3】
A)撥水撥油処理粉体を化粧料に全量に対して1〜60質量%含有する粉体成分とB)固形及び/又は半固形油剤を化粧料に全量に対して1〜20質量%を含有する油剤成分とを揮発性油剤の存在下混合しスラリーとなし、該スラリーを容器に充填後、揮発性油剤を除去して製造することを特徴とする請求項1または2記載の固形粉末化粧料。
【請求項4】
撥水撥油処理粉体がフッ素化合物による処理粉体であることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項記載の固形粉末化粧料。
【請求項5】
A)撥水撥油処理粉体を化粧料に全量に対して1〜60質量%含有する粉体成分とB)固形及び/又は半固形油剤を化粧料に全量に対して1〜20質量%を含有する油剤成分とを揮発性油剤の存在下混合しスラリーとなし、該スラリーを容器に充填後、揮発性油剤を除去してすることを特徴とする固形粉末化粧料の製造方法。
【請求項6】
荷重2ポンドにおけるオルセン針入硬度が60〜95であることを特徴とする請求項5記載の固形粉末化粧料の製造方法。

【公開番号】特開2010−37213(P2010−37213A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−198405(P2008−198405)
【出願日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(000113470)ポーラ化成工業株式会社 (717)
【Fターム(参考)】