説明

固形粉末化粧料

【課題】
顔をリフトアップして若々しく見せるメイクアップ効果を有しながら、さらにその効果が持続する化粧もちに優れる、すなわち、つや感を損なわず、汗や皮脂にも強く、さらには乾燥によるくずれにも強い固形粉末化粧料を提供すること。
【解決手段】
構成成分として(A)薄片状基質表面上に酸化チタンを含有する金属酸化物被覆層が形成されて成るパール顔料の表面を、粒子径200〜400nmの球状有機粉体で全量の2.0〜10.0重量%被覆した複合粉体、(B)表面を特定の含フッ素共重合体の高分子表面処理剤で処理した粉体、並びに(C)25℃でペースト状の油性成分を含有する固形粉末化粧料、さらには、この固形粉末化粧料に添加物として硫酸アルミニウムカリウム12水和物及び/又は塩化ナトリウムを含有する固形粉末化粧料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構成成分として(A)薄片状基質表面上に酸化チタンを含有する金属酸化物被覆層が形成されて成るパール顔料の表面を、粒子径200〜400nmの球状有機粉体で全量の2.0〜10.0重量%で被覆した複合粉体と、(B)含フッ素単量体及びアルキレングリコール(メタ)アクリレート単量体を重合した含フッ素共重合体、及び/又は、含フッ素単量体とアルキレングリコール(メタ)アクリレート単量体と架橋性単量体であるジ(メタ)アクリレートとを重合した含フッ素共重合体を、粉体の重量に対して1〜15重量%で被覆処理して得られる化粧料用粉体と、(C)25℃においてペースト状である油性成分を含有する、顔のリフトアップ効果、化粧もち、保湿効果の高い固形粉末化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、メイクアップ化粧料には、肌のシミ、ソバカス、色ムラ、くすみ、毛穴の目立ち、シワ等を隠し、肌を綺麗に見せたり、質感を変えたりする機能がある。しかし、高齢化社会を迎え、これらの機能に加えて、加齢に伴う顔や肌のたるみ、シワ等を隠して若々しい印象の顔に見せる機能もこれからの時代は重要になってくると考えられる。
【0003】
このうち、たるみを隠して若々しい印象を与えるためには、顔に立体感を与えることが重要である。そのために、顔を上下に分け、上部と下部で色調の異なるファンデーションを用いて、上部のメイクアップ化粧料の明度が下部のものよりも高くなるように塗布して陰影をつけ、フェイスラインをすっきり見せる方法(特許文献1)、低次酸化チタンで着色された干渉色を有さない雲母チタン系顔料を配合した下地化粧料を塗布してからファンデーションを重ねることで、フェイスラインや鼻筋をすっきり見せ立体感を上げる方法(特許文献2)、微細なパール顔料と球状樹脂粉末を最適な量と最適な混合比でファンデーションや化粧下地へ配合する方法(特許文献3)等が示されている。
【0004】
しかし、特許文献1のような顔の場所によって塗り分ける方法では、化粧塗膜の微妙な境目が気になり、自然な仕上がりとは言い難く、また、特許文献2の方法では、メイクアップ化粧品を組み合わせて使用しているためメイクのテクニックが必要となり、簡便にリフトアップした印象に仕上げるのは難しい。さらに、特許文献3のような方法では、パール顔料の光の正反射と球状樹脂粉末の光の拡散反射が、互いの光の特性を相殺して、十分に若々しい印象を与えるものではなかった。
【0005】
さらに、小鼻から口元あたりの頬の下部において、顔のたるみによって影が発現し、この影がたるみを認識させているとして、この影を消して若返ったように見せるレフ板のような効果を持った複合粉末も特許文献4に紹介されている。
【0006】
しかしながら、この複合粉末の利用では、複合化によって母体の雲母チタンの明るさが大きく低下し、また、実際に顔の影が少なくなっているものの、逆に、顔が膨張しているように見え太った印象を与えてしまっていた。
【0007】
また、肌のシワや毛穴の目立ち等については、特許文献5のようにアクリル樹脂の球状微細粒子を薄片状パール顔料に40〜60重量%の濃度で被覆した複合粉体により、パール顔料のつやを抑えて、均一な乱反射の強度をコントロールすることが行われているが、肌の自然さや透明感はあるものの、やはり、顔から反射してくる光が広がるために顔がぼやけた印象で太ったように見える傾向があり、肌のたるみを逆に強調してしまっていた。
【0008】
一方で、上述のように、折角、肌のたるみやシワ等を隠す工夫を施しても、特に春夏に気温の上昇に伴い、汗や皮脂によりメイクがくずれてしまうと、肌を美しく見せる効果が著しく低下してしまうのが現実である。
【0009】
そのため、化粧料に配合される粉体の耐水性、耐油性を向上させ、汗・皮脂等による化粧くずれを防止する試みがこれまでなされてきた。
【0010】
汗による化粧くずれを防ぐ方法として、従来より粉体に耐水性を付与するシリコーン処理が知られている。具体的には、メチルハイドロジェンポリシロキサンを粉体と混合し、焼き付ける方法(特許文献6)、メチルハイドロジェンポリシロキサンあるいはジメチルポリシロキサンを有機溶媒に溶解した後、架橋用触媒としてオクチル酸亜鉛等を添加して焼き付ける方法(特許文献7)、粉体に金属水酸化物を被覆した後、さらにメチルハイドロジェンポリシロキサンでメカノケミカル反応により処理する方法(特許文献8)等が知られている。しかし、これらの処理粉体を配合した化粧料は、特に耐油性が十分ではなく、肌上に生じた皮脂により化粧くずれを起こしてしまっていた。
【0011】
そのため、粉体の耐水性・耐油性を共に向上させるため、近年では粉体をフッ素化合物で処理する方法が用いられている。具体的には、テフロン(登録商標)で処理する方法(特許文献9)、フッ素化アクリレートで処理する方法(特許文献10)、パーフルオロアルキルリン酸エステルジエタノールアミン塩で処理する方法(特許文献11)、パーフルオロアルキルシランで処理する方法(特許文献12、特許文献13)等が提案されている。
【0012】
これらの粉体はいずれも、極めて表面自由エネルギーの小さいフッ素化合物で被覆されているため、強い撥水撥油性を持つ。しかし、前述のテフロン(登録商標)で処理する方法では、肌への付着性が低いため時間経過とともに化粧塗膜のはがれが生じ化粧もちが悪かった。フッ素化アクリレートで処理する方法では、化粧料を塗布する時のきしみ感が発生しやすく、また、皮脂によるくずれは改善されていなかった。パーフルオロアルキルリン酸エステルジエタノールアミン塩は、最も多く使われるフッ素処理であるが、意外にも汗によるくずれが認められ、また、塗布してから暫く時間が経過してからの、乾燥による化粧膜の滑落や粉ふきなどの化粧くずれも生じやすかった。特にその乾燥によるくずれは、夏場でもエアコンなどのよく効いた室内で多く発生していた。さらに、パーフルオロアルキルシラン処理では、耐水性と耐油性がともに良好であったが、これも、肌への付着性が低く、また、乾燥による化粧くずれも生じやすいものであった。
【0013】
一方で、パーフルオロアルキル基を有する含フッ素化合物には、非特許文献1にも示されているように、その屈折率の高さから一般には低反射特性があり、含フッ素化合物により表面処理された粉体を化粧料に配合した場合、光の反射を様々に利用して肌の質感を演出するようになってきたメイクアップ化粧料には不利な面があった。特に、パール顔料などの正反射の強い粉体と併用した場合には、その反射光を弱めてしまう傾向が強く、肌のつやを損ねてしまうことがあった。
【0014】
以上の状況を踏まえ、特に、加齢に伴う顔や肌のたるみ等が気になる年代の女性をターゲットとしたメイクアップ化粧料では、つやのある若々しい印象の顔に見せる機能を有しながらも、そのつや感を損なうことなく化粧もちに優れ、夏場のエアコンのよく効いた室内においても乾燥によるくずれを生じないような、優れたメイクアップ化粧料の開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開平9−208428号公報
【特許文献2】特開平5−43417号公報
【特許文献3】特開平2005−97218号公報
【特許文献4】特開2003−342127号公報
【特許文献5】特開平9−48707号公報
【特許文献6】特公昭45−2915号公報
【特許文献7】特公昭45−18999号公報
【特許文献8】特公昭56−43264号公報
【特許文献9】特公昭61−55481号公報
【特許文献10】特公昭61−48803号公報
【特許文献11】特公平5−86984号公報
【特許文献12】特開平2−218603号公報
【特許文献13】特開平4−193816号公報
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】山辺正顕 松尾仁編 「フッ素系材料の開発」(株)シーエムシー p135、1994年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
従って、本発明の目的は、顔をリフトアップして若々しく見せるメイクアップ効果を有しながら、さらにその効果が持続する化粧もちに優れる、すなわち、つや感を損なわず、汗や皮脂にも強く、さらには乾燥によるくずれにも強い固形粉末化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明者等は、このような事情に鑑み、鋭意研究を重ねた結果、構成成分として(A)薄片状基質表面上に酸化チタンを含有する金属酸化物被覆層が形成されて成るパール顔料の表面を、粒子径200〜400nmの球状有機粉体で全量の2.0〜10.0重量%被覆した複合粉体と、(B)表面を特定の含フッ素共重合体の高分子表面処理剤で処理した粉体と、(C)25℃でペースト状の油性成分を含有する固形粉末化粧料、さらには、この固形粉末化粧料に添加物として硫酸アルミニウムカリウム12水和物及び/又は、塩化ナトリウムを含有する固形粉末化粧料であれば、それを塗布することによって、今まで以上に顔がリフトアップしたように見えて若々しい印象を与えながらも、汗や皮脂による化粧くずれがなく、さらには乾燥による化粧膜の滑落や粉ふきなどの化粧くずれもなく、メイクアップ効果の持続に優れることを見出し、本発明を完成した。
【0019】
すなわち、一般にパーフルオロアルキル基を有する化合物は低反射性であると言われており、顔の立体感を生み出す反射光を抑制すると予想したにもかかわらず、上記のように、パール顔料を球状有機粉体で被覆した複合粉体と特定の含フッ素共重合体の高分子表面処理剤で処理した粉体と25℃でペースト状の油性成分を含む固形粉末化粧料では、パール顔料を球状有機粉体で被覆した複合粉体が発揮する立体感を生み出す反射光の明るさや角度依存性の高い反射特性を、含フッ素共重合体の高分子表面処理剤で処理した粉体が弱めることなく逆により一層高めながら、さらに汗、皮脂による化粧くずれ、ならびに乾燥による化粧膜の滑落や粉ふきなどの化粧くずれを防ぎ、立体感・リフトアップ感の持続にも優れることを見出し、さらには、これに添加物として硫酸アルミニウムカリウム12水和物及び/又は、塩化ナトリウムを含有する固形粉末化粧料であれば、なお一層、肌のつや感を損なわず立体感の演出と持続に優れることを見出した。
【0020】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0021】
本発明の複合粉体において、薄片状基質表面上に酸化チタンを主成分とする金属酸化物被覆層が形成されて成るパール顔料とは、粒子径が1〜150μm、厚みが5μm以下、好ましくは1μm以下のマイカ、合成マイカ、ガラスフレーク等の薄片状基質表面に、ルチル型やアナターゼ型等の結晶形を有する酸化チタンが均一に被覆された、真珠光沢を有する顔料である。また、被覆する酸化チタン層の厚みを変えて干渉色を与えるものや、酸化チタンの一部を酸化鉄に換えて被覆したもの、無水ケイ酸等をさらに重ねて被覆したものも、本発明でのパール顔料である。
【0022】
このパール顔料は強い光沢を発する粉体であり、顔を明るく見せる効果を有するが、粒子径の大きなパール顔料では、肌の上で疎らに光り、肌が不均一で粗く見えてしまう。それ故、均一な塗膜で肌のキメが整っているように明るく見せるには、粒子の細かなパール顔料が、本発明の被覆される母粉体として好ましく、パール顔料の粒子径が60μm以下のものが中でも良く、例えば市販品として、アルティミカSB−100、アルティミカSD−100、TIMIRON STARLUSTER MP−115、TIMIRON SUPERSHEEN MP−1001、TIMIRON SUPERSILK MP−1005、TIMIRON SUPER GOLD、TIMIRON SPLENDID GOLD、XIRONA VOLCANIC FIRE、TIMIRON FINE GOLD MP−20、COLORONA RED GOLD、COLORONA BRIGHT GOLD、TIMICA EXTRA BRIGHT、FLAMENCO SATIN PEARL、FLAMENCO ULTRA SILK、FLAMENCO SATINA、FLAMENCO VELVET、FLAMENCO ULTRA FINE、FLAMENCO PEARL、FLAMENCO SUPER PEARL、FLAMENCO GOLD、FLAMENCO ORANGE、FLAMENCO SATIN GOLD、FLAMENCO SATIN ORANGE、FLAMENCO SUMMIT GOLD、CLOISONNE GOLD、CLOISONNE COPPER、CLOISONNE SATIN COPPER、CLOISONNE SATIN GOLD、CLOISONNE NU−ANTIQUE GOLD、DUOCROME YG、DUOCROME YR、GEMTONE TAN OPAL等があり、明るさを損なわないよう色調を合わせ、これらパール顔料のシリーズを、1種又は2種以上を用いることができる。
【0023】
本発明のパール顔料表面に複合化する球状有機粉体とは、例えば、セルロース等の有機天然物からなる球状粒子と、ポリエチレン、ナイロン、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリスチレン、メチルシロキサン網状重合体等の有機合成物を素材とする球状のポリマー粒子である。また、後者の有機合成による球状粉体は、これら有機合成物の単一重合物又は2種以上の共重合物、さらには、異なる有機合成物が2層以上に重なり合ったコアシェル構造の粉体である。本発明では、これら球状有機粉体を、1種又は2種以上用いることができる。
【0024】
本発明では、顔全体を明るくしながら顔の凸の部分をより輝かせ肌のつや感を上げるために、粉体の複合化において、被覆によるパール顔料の明るさの低下を抑えながら、光を拡散させることなく逆に正反射を相対的に強めることを目的としたので、球状有機粉体の粒子径としては、用いるパール顔料の平均長径も考慮しながら、光が散乱や遮光されにくい可視光の波長よりも若干短い波長に相当する200〜400nm(動的光散乱法による平均粒子径)のものを用いる。
【0025】
本発明でのパール顔料表面への球状有機粉体の被覆量は、反射特性を変化させることができ、パールの明るさを損なわないことを考慮して、2.0〜10.0重量%である。
【0026】
本発明では、球状有機粉体として市販のものを使用できるが、所望の粒子径を得ることを考慮すれば、乳化重合等で粒子径を制御しやすい、ポリスチレン系の樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸エステル系の樹脂、或いはこれら2種以上の共重合体又はコアシェル構造の粉体を用いた方が良い。特に、ポリメタクリル酸メチル、メタクリル酸メチルクロスポリマー、アクリレーツクロスポリマー、アクリレーツコポリマー、(スチレン/DVB)コポリマー(DVB:ジビニルベンゼン)が、様々な粒子径に制御しやすく、粉体やエマルション様に水等に分散した分散物としても市販されているものが多い。
【0027】
本発明でのパール顔料を球状有機粉体で被覆した複合粉体の製造方法は、(1)パール顔料と球状有機粉体を一定の構成比率で混合し、アルコール水溶液中でスラリー化したあと、約100℃でスプレードライする方法、(2)所望の球状有機粉体をアルコール水溶液に均一に分散した後、パール顔料を加えてスラリー化し、同様にスプレードライする方法、(3)エマルション様の球状有機粉体の分散体を水中へ均一に分散させた後、パール顔料を加えてさらに分散し、同様にスプレードライする方法、(4)球状有機粉体を少量の界面活性剤とともに水中へ均一に分散させた後、パール顔料を加えてさらに分散し、硫酸アルミニウムやポリ塩化アルミニウム等の凝集剤を少量加えて、ろ過、洗浄を行い乾燥する方法、(5)エマルション様の球状有機粉体の分散体を水中へ均一に分散させた後、パール顔料を加えてさらに分散し、硫酸アルミニウムやポリ塩化アルミニウム等の凝集剤を少量加えて、ろ過、洗浄を行い乾燥する方法、等であるが、球状有機粉体がパール顔料に固定化されれば特には限定されない。
【0028】
得られた、パール顔料を球状有機粉体で被覆した複合粉体は、撥水性や撥油性を付与するために、金属石鹸処理、シリコーン処理、含フッ素化合物処理、アミノ酸処理等、各種表面処理を行って化粧料に配合しても良い。なお、これら処理は1種又は2種以上組み合わせて用いても構わない。
【0029】
また、メイクアップ化粧料に配合するパール顔料を球状有機粉体で被覆した複合粉体の量としては、特に限定しないが、顔全体を明るくしながら、顔の凸の部分はより輝かせ、顔の周りの部分は相対的に暗く見えて顔が膨張して見えることなく、リフトアップした、若々しい印象を得られるようにするためには0.5〜15.0重量%が好ましい。特に、より意識的に明るくしながら、頬が上がったように見せるならば1.0重量%以上が良い。15.0重量%を超えて配合した場合は、光沢が強すぎる傾向があり金属的な肌に見える場合がある。
【0030】
なお、このパール顔料を球状有機粉体で被覆した複合粉体の粉体自身の特性やメイクアップ化粧料全般に配合する際の知見は特願2009−116742に準じ、本願発明では、特定の含フッ素共重合体の高分子表面処理剤で処理した粉体とペースト状油性成分を組み合わせて、さらにパール顔料を球状有機粉体で被覆した複合粉体自身の特性を固形粉末化粧料で引き出したものである。
【0031】
本発明の、表面を特定の含フッ素共重合体の高分子表面処理剤で処理した粉体において、粉体の表面を表面処理する化合物は、一般式(1)で表わされる含フッ素単量体及び一般式(2)で表わされるアルキレングリコール(メタ)アクリレートである単量体を重合した含フッ素共重合体、及び/又は、該一般式(1)、一般式(2)の単量体成分と一般式(3)で示される架橋性単量体であるジ(メタ)アクリレートの単量体とを重合した含フッ素共重合体であり、これらを1種もしくは2種以上用いて表面処理する。
【0032】
CH=CRCO−X−(CH−R (1)
(式中、Rは水素原子又はメチル基、Xは−O−又は−NH−、mは1〜10の整数、Rは炭素数3〜21のパーフルオロアルキル基又はパーフルオロアルケニル基である。)
【0033】
CH=CRCOO−(RO)−R (2)
(式中、Rは水素原子又はメチル基、Rは炭素数2〜6のアルキレン基、nは1〜20の整数、Rは水素原子又は炭素数1〜22の不飽和又は飽和の炭化水素基である。)
【0034】
CH=CRCOO−(RO)−COCR=CH (3)
(式中、Rは水素原子又はメチル基、Rは炭素数2〜6のアルキレン基、pは1〜20の整数である。)
【0035】
上記一般式(1)において、特に良好な撥水撥油特性を得るためには、Rは水素原子、Xは−O−、mは2〜4が、それぞれ好ましい。また、Rは炭素数4〜10のパーフルオロアルキル基が好ましく、特に自然環境下での分解特性を考慮すると炭素数4〜6のパーフルオロアルキル基が良い。
【0036】
上記一般式(2)において、適切な撥水撥油特性と化粧料としての保湿性を考慮すると、Rは水素原子、Rは炭素数2又は3のアルキレン基、nは1〜6の整数、Rは水素原子がそれぞれ好ましい。なお、Rについては異なる炭素数のアルキレン基を組み合わせて使用してもかまわない。
【0037】
上記一般式(3)において、強固な被覆特性を得るために、Rは水素原子、Rは炭素数2又は3のアルキレン基、pは1〜10がそれぞれ好ましく、Rについては炭素数の異なるアルキレン基を組み合わせて使用してもよい。
【0038】
本発明での含フッ素共重合体の重量平均分子量は、5000〜50000の範囲にあり、表面処理時の分散性と撥水撥油特性を考慮すると8000〜15000であることが好ましい。
【0039】
本発明での含フッ素共重合体は、含フッ素単量体の100重量部を重合反応で仕込むとすると、撥水撥油特性の観点から、アルキレングリコール(メタ)アクリレートの単量体は40〜100重量部が良い。また、表面処理の被覆特性を向上させるために架橋性単量体を用いる場合は、架橋性単量体であるジ(メタ)アクリレートの単量体を、含フッ素単量体100重量部に対して、1〜10重量部を反応させる。
【0040】
本発明において含フッ素共重合体の製造方法は、例えば、特許第4006761号公報や特開2000−290640号公報に開示される合成方法にて製造することが可能であるが、この方法に限定されるものではない。また、この含フッ素共重合体の剤形は、液状であることが好ましく、例えば、含フッ素共重合体が水やアルコールからなる溶媒で1〜50重量%の範囲内で溶解や分散された表面処理剤という剤形の方が扱いやすい。
【0041】
上記の含フッ素共重合体による粉体への処理量は、処理される粉体の重量に対して1〜15重量%であることが好ましい。1重量%未満では、撥水撥油特性や化粧もち、保湿効果ともに十分ではなく、15重量%を超えるとポリマーによる粉体間の凝集が生じてしまう。
【0042】
本発明において、含フッ素共重合体を用いて粉体を表面処理する方法としては特に制限はなく、公知の方法で行うことができる。大別すると湿式法と乾式法があげられる。湿式法とは、粉体を適当な溶媒に分散させ、含フッ素共重合体又はこれを含有する表面処理剤と、必要に応じて他の表面処理剤やpH調整剤等の添加物を添加し、撹拌混合後、ろ過や洗浄、乾燥によって溶媒を除去し、場合によっては粉砕して得られる手法を指す。溶媒の例としては、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトンなどが挙げられる。また、乾式法とは、ヘンシェルミキサー、ジェットミル、ボールミル、スーパーミキサーなどの撹拌混合装置で粉体を混合しながら、含フッ素共重合体や含フッ素共重合体を含む表面処理剤をそのまま、又は適当な溶媒に希釈して添加し、撹拌混合後乾燥、場合によっては粉砕して得られる手法を指す。その他、スプレードライ法、流動造粒法などが挙げられるが、いかなる方法であれ、含フッ素共重合体が基材粉体表面に被覆されていれば構わない。
【0043】
本発明において含フッ素共重合体で処理される粉体には、通常化粧料として用いられるものであれば全て適用できる。例えば、タルク、マイカ、カオリン、セリサイト、ベントナイト、スメクタイト、雲母チタン、オキシ塩化ビスマス、ケイ酸、無水ケイ酸、アルミナ、酸化チタン、微粒子酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ハイドロキシアパタイト、窒化ホウ素、金属石鹸、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化クロム、水酸化クロム、カーボンブラック、グンジョウ、コンジョウ等の無機粉体、ナイロン末、ポリアクリル酸アルキル、ポリエチレン末、ポリスチレン、セルロース末、酢酸セルロース、ポリウレタン、ジビニルベンゼン、スチレン共重合体、シリコ−ン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ビニル樹脂、シルク末等の高分子、赤色104号、赤色106号、赤色227号、赤色228号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、黄色205号、黄色401号、青色1号、緑色3号等の有機系色素の粉体が挙げられる。また、2種以上の粉体及びこれらの複合体を用いても構わない。同様に、粉体の形状、粒径に関しても、特に限定はされない。
【0044】
これらの粉体は、公知の表面処理剤により事前に、又は本願での含フッ素共重合体と一緒に処理されても構わない。この表面処理剤としては例えば、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロポリエーテルシラン、パーフルオロアルキルシラン、パーフルオロポリエーテル変性ポリウレタン、パーフルオロアルキル変性シリコーン、パーフルオロポリエーテル変性シリコーン等の含フッ素化合物、オルガノポリシロキサンであるシリコーンやその変性物、アルキルシラン、有機チタネート、ポリオレフィン、水添レシチン、アシル化アミノ酸、エステル油、脂肪酸、金属石鹸等が挙げられる。また、これらの粉体は、含フッ素共重合体との親和性を上げて、より最適な表面処理を行うために、アルミニウム、マグネシウム、チタン等の少なくとも1種の酸化物又は水酸化物で予め被覆されていてもよい。さらには、これらの粉体はプラズマ処理されていてもよい。
【0045】
上記処理粉体は、固形粉末化粧料中に1種以上配合することができ、組成中に5〜40重量%含有すれば、これまでの表面処理粉体では得られなかった、顔全体を明るくしながらリフトアップした若々しい印象をより一層高めることができ、さらにその効果が持続して化粧もちに優れる、すなわち、つや感を損なわず、汗や皮脂にも強く、さらには保湿効果に優れ乾燥によるくずれにも強い特徴を引き出すことができて好ましい。
【0046】
本発明で用いられる25℃でペースト状である油性成分とは、25℃で高い粘性を示す半固形の油性成分であり、医薬部外品原料規格2006(薬事日報社刊)記載の、一般試験法、融点測定法(第2法)によって、融点が25℃よりも高いと測定された油性成分をさす。
【0047】
本発明では、上記ペースト状である油性成分として、通常化粧料に使用されるものであれば、いずれのものも使用することができるが、ワセリン、マカデミアナッツ脂肪酸フィトステリル、(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルビス(ベヘニル/イソステアリル/フィトステリル)が好ましい。市販品としては、例えば、コスモール168ARV(日清オイリオ社製)、YOFCOMAS(日本精化社製)、Plandool−H(日本精化社製)、Plandool−S(日本精化社製)、Plandool−G(日本精化社製)、ノムコートW(日清オイリオ社製)、クロラータムV(クローダジャパン社製)等が例示できる。また、これらは必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。
【0048】
上記油性成分は、固形粉末化粧料の組成中に0.1〜2.0重量%含有することが好ましい。この範囲で上記、パール顔料を球状有機粉体で被覆した複合粉体と含フッ素共重合体の処理粉体とともに含有すると、リフトアップした若々しい印象を高めながら、化粧もち、保湿効果ともに良好な固形粉末化粧料を得ることができる。
【0049】
なお、この含フッ素共重合体の処理粉体とペースト状油性成分の固形粉末化粧料への配合に関する基本的な知見は特願2009−296460に示したものである。本願発明では、この知見を、パール顔料を球状有機粉体で被覆した複合粉体に応用したことで、一般的にはパーフルオロアルキル基を有する含フッ素化合物は低反射性であるにもかかわらず、立体感を生み出す当該複合粉体の特性がさらに引き出され、汗や皮脂、さらには乾燥による化粧くずれを防ぎながら、経時的にも明るく立体感があり、顔をリフトアップして若々しく見せるメイクアップ効果をさらに一層高めている。
【0050】
本発明の固形粉末化粧料は、硫酸アルミニウムカリウム12水和物(硫酸(AL/K))及び/又は、塩化ナトリウムを含有することが可能である。硫酸(AL/K)と塩化ナトリウムを、本発明の固形粉末化粧料に配合すると、さらに発汗による化粧くずれを抑制する効果があった。また、これらは必要に応じて1種又は2種を用いることができる。
【0051】
上記、硫酸(AL/K)と塩化ナトリウム成分は、固形粉末化粧料の組成中に合計0.05〜0.5重量%含有することが好ましい。この範囲でパール顔料を球状有機粉体で被覆した複合粉体と、含フッ素共重合体の処理粉体と、ペースト状油性成分とともに含有すると、さらに一層、つやがありリフトアップした若々しい印象の顔に見せる機能を有しながらも、そのつや感を損なうことなく化粧くずれを防ぎ、夏場のエアコンなどのよく効いた環境下でも乾燥によるくずれを生じない、優れた固形粉末化粧料を得ることができる。
【0052】
本発明は、上述の構成成分を含有する固形粉末化粧料であるが、具体的には、パウダーファンデーション、チークカラー、アイシャドウ等の化粧料である。
【0053】
本発明の固形粉末化粧料は、通常の方法に従って調製することができる。また、本発明の固形粉末化粧料には、前述の構成成分の他に、必要に応じて本発明の効果を損なわない範囲で、通常の化粧料に配合される成分である水、油脂、ロウ類、炭化水素、脂肪酸、アルコール、アルキルグリセリルエーテル、エステル、シリコーン油、フッ素油、多価アルコール、糖類、高分子、界面活性剤、保湿剤、紫外線吸収剤、キレート剤、pH調整剤、酸化防止剤、殺菌・防腐剤、染料、香料、色素、可塑剤、有機溶媒、薬剤、動植物抽出物、パール顔料、表面処理粉体、複合顔料、アミノ酸及びペプチド、ビタミン等を適宜配合することができるが、特にこれらに限定されるものではない。
【発明の効果】
【0054】
本発明の固形粉末化粧料により、一般的に低反射特性があると言われていたパーフルオロアルキル基を有する含フッ素化合物を用いた場合でも、顔全体を明るくしながら、顔の凸の部分はより輝かせ、リフトアップした若々しい印象を得られ、さらには、従来の表面処理粉体を組み合わせた場合よりも反射光の角度依存性が高くなることが明らかとなった。また、配合したパール顔料を球状有機粉体で被覆した複合粉体は、拡散光を抑え、正反射を強めた粉体であるので、この複合の考え方は、光反射の方向を限定する手法として他分野にも用いることができる。さらに、この固形粉末化粧料は、特に本願発明で用いた含フッ素共重合体に起因して、化粧もち、保湿効果ともに優れたものであり、化粧料を塗布したときに、汗や皮脂による化粧くずれを防ぐと同時に、外気による肌の乾燥を防ぎ、肌のしっとり感を高める効果や、肌からの化粧膜の滑落や粉ふきなどの化粧くずれを防ぐ効果が向上したものである。
【発明を実施するための形態】
【0055】
次に、本発明の一層の理解のために、製造例、実施例を挙げ、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0056】
本発明に使用したパール顔料を球状有機粉体で被覆した複合粉体の例を示す。
【0057】
複合粉体1(2.5重量%300nmメタクリル酸メチルクロスポリマー/粒子径5.0〜25.0μmパール顔料)
イオン交換水450gに0.01gのラウリル硫酸ナトリウムを溶解し、平均粒子径300nmの球状有機粉体であるメタクリル酸メチルクロスポリマー1.25gを約5分間超音波分散させた。その後、48.75gのパール顔料(メルク社製TIMIRON SUPERSHEEN MP−1001、厚み0.15〜0.30μm電子顕微鏡実測値)を加えて約5分間超音波分散した後、マグネティックスターラーにて撹拌しながら市販のポリ塩化アルミニウム水溶液を適量加えてさらに撹拌を約10分間続け、引き続きろ過と水洗浄を行い、乾燥後、複合粉体を得た。(なお、ここで用いた平均粒子径300nmの球状有機粉体であるメタクリル酸メチルクロスポリマーは、カタログ上0.3μmと表示されているものであり、実測定の一例として、大塚電子社製濃厚系粒子アナライザーFPAR−1000にて、粒子固形分濃度約0.4重量%、測定温度26.3℃、溶媒をイオン交換水、溶媒の屈折率1.3312、溶媒の粘度0.8584cpの測定条件で、キュムラント解析結果として平均粒子径が272.8nmと求められたものを用いた。)
【0058】
複合粉体2(2.5重量%300nmメタクリル酸メチルクロスポリマー/粒子径10.0〜60.0μmパール顔料)
イオン交換水450gに0.01gのラウリル硫酸ナトリウムを溶解し、平均粒子径300nmの球状有機粉体であるメタクリル酸メチルクロスポリマー(複合粉体1で用いたものと同じ)1.25gを約5分間超音波分散させた。その後、48.75gのパール顔料(メルク社製TIMIRON STARLUSTER MP−115、厚み0.35〜0.45μm電子顕微鏡実測値)を加えて約5分間超音波分散した後、マグネティックスターラーにて撹拌しながら市販のポリ塩化アルミニウム水溶液を適量加えてさらに撹拌を約10分間続け、引き続きろ過と水洗浄を行い、乾燥後、複合粉体を得た。
【0059】
複合粉体3(15.0重量%300nmメタクリル酸メチルクロスポリマー/粒子径10.0〜60.0μmパール顔料)
平均粒子径300nmの球状有機粉体であるメタクリル酸メチルクロスポリマー(複合粉体1で用いたものと同じ)7.5gを10重量%濃度のアルコール水溶液450gへ均一に分散した後、42.5gのパール顔料(メルク社製TIMIRON STARLUSTER MP−115、厚み0.35〜0.45μm電子顕微鏡実測値)を加えてスラリー化し、約100℃でスプレードライして複合粉体を得た。
【0060】
次に、本発明で粉体の表面処理に使用した含フッ素共重合体(以下FAと略す)の例を示す。
FA1:
単量体 仕込み重量比
CH=CHCO−O−CHCH−C13 100
CH=CHCOO−(CHCHO)4.5−H 60
CH=CHCOO−(CHCHO)−COCH=CH
重量平均分子量約8000
FA2:
単量体 仕込み重量比
CH=CHCO−O−CHCH−C13 100
CH=CHCOO−(CHCHO)4.5−H 60
重量平均分子量約8000
FA3:
単量体 仕込み重量比
CH=CHCO−O−CHCH−C13 100
CH=CHCOO−CHCHO−H 17
CH=CHCOO−(CHCHO)4.5−H 42
CH=CHCOO−(CHCHO)−COCH=CH
重量平均分子量約8000
【0061】
以上、FA1〜FA3の含フッ素共重合体を合成し、水:イソプロピルアルコール=1:1(重量比)のイソプロピルアルコール水溶液で希釈して、含フッ素共重合体の固形分を25重量%含む表面処理剤を用意した。この表面処理剤を用いてセリサイト(セリサイトFSE、三信鉱工製)の表面処理を行った。
【0062】
(表面処理)
セリサイトを95g、各表面処理剤を20g、水:イソプロピルアルコール=1:1のイソプロピルアルコール水溶液30gを混合し、還流下、撹拌しながら80℃まで昇温して30分間混練した。その後、還流を止め、系をオープンにして溶媒を蒸発させ乾燥操作を行い、さらに120℃で一昼夜乾燥して粉砕し各含フッ素共重合体の5重量%処理セリサイト(FAx処理セリサイト(5%)、xは前記各処理剤の番号)を得た。
【実施例1】
【0063】
次に、本発明の固形粉末化粧料の実施例について説明する。下記表1に示す処方及び下記製法により、パウダーファンデーションを調製し、以下に示す評価方法及び判定基準により評価した。(なお、表中PF−5処理とは、パーフルオロアルキルリン酸エステルジエタノールアミン塩処理の5重量%処理を示し、以下も同様に略して示す。)
(固形粉末化粧料処方)

(調製方法)
成分(1)〜(23)をヘンシェル型ミキサーにて均一に混合し、アトマイザーにて粉砕を行った。さらに、成分(1)〜(23)の混合粉砕物と、予め加熱混合しておいた成分(24)〜(27)をヘンシェル型ミキサーに加えて均一に混合し、アトマイザー粉砕後、ふるいを通し、中皿にプレスしてパウダーファンデーションを得た。
【0064】
(ドールを用いた立体感・リフトアップ感の評価)
先ず、複合粉体を配合したパウダーファンデーションの、顔をリフトアップし、若々しい印象を与える効果を確認するため、処方例1、2及び比較例1について、モニターによる評価を行った。パウダーファンデーションを化粧実習用のドールに塗布して、外部からの光が入らないよう遮光の無彩色の布地で囲まれた観察用箱の中で、左右約45度の角度から色比較・検査用D65蛍光ランプで一定の距離にて照らして観察し、評価した。モニター5人のうち3人以上が「立体感があり、リフトアップして見える」と判定した場合には良好(○)、2人以下であれば不良(×)として評価した。その結果をまとめると次のようになる。
立体感評価
処方例1 ○
処方例2 ○
比較例1 ×
【0065】
以上のように、処方例1、2のパウダーファンデーションの顔をリフトアップし、若々しい印象を与える効果が確認できた。本発明の固形粉末化粧料であるパウダーファンデーションを塗布すると、顔の凸部分は光沢感に溢れ、顔の周りの部分は相対的に暗く見えるため、立体感があり、リフトアップした印象の顔を演出することができた。なお、処方例1、2ともに立体感評価の結果は良好であったが、より効果が高く認められた処方例1に配合した複合粉体1を今後の検討に用いることとした。
【実施例2】
【0066】
次に、本発明における、パール顔料を球状有機粉体で被覆した複合粉体と、FA処理粉体を組み合わせてパウダーファンデーションに配合した際の立体感効果を見極めるため、下記表2に示す処方及び下記製法により、パウダーファンデーションを調製し、以下に示す評価方法及び判定基準により評価した。
(固形粉末化粧料処方)

(調製方法)
成分(1)〜(23)をヘンシェル型ミキサーにて均一に混合し、アトマイザーにて粉砕を行った。さらに、成分(1)〜(23)の混合粉砕物と、予め加熱混合しておいた成分(24)〜(27)をヘンシェル型ミキサーに加えて均一に混合し、アトマイザー粉砕後、ふるいを通し、中皿にプレスしてパウダーファンデーションを得た。
【0067】
(光沢測定)
顔全体を明るくしながら、顔の凸の部分はより輝かせ、顔の周りの部分は相対的に暗く見えて顔が膨張して見えることなく、リフトアップした、若々しい印象を得られる化粧料であるかを見極めるため、調製した処方例1および比較例2〜4のパウダーファンデーションに対して、光沢測定による光の反射特性の評価を行った。評価の際にはチャート紙を用いてサンプルを作成し測定を行う方法と、疑似皮膚シートに固形粉末化粧料を塗布して測定を行う方法の2つの方法で行った。チャート紙を用いる方法として、先ず、LENETA社製OPACITY CHARTSの黒い部分にニチバン社製両面テープ40mm幅を貼付し、化粧用チークブラシにて均一に各パウダーファンデーションを塗布し、測定サンプルを作成した。測定サンプルを、スガ試験機社製デジタル変角光沢計にて入射角45度に固定し、各受光角における光沢強度を測定した。疑似皮膚シートを用いる方法として、BEAULAX社製BIO SKIN PLATEに各パウダーファンデーションを化粧用パフにて均一に塗布し、チャート紙を用いる光沢測定と同様の手順で各受光角における光沢強度を測定した。
【0068】
本発明では、パール顔料を球状有機粉体で被覆した複合粉体とFA処理粉体とペースト状油性成分を組み合わせて配合することにより、反射光の角度依存性を高めて立体感を演出する。すなわち、45度の入射角に対して正反射する45度の角度から外れた角度から反射してくる光の強度が相対的に低下する、さらに言い換えると、山状の反射曲線の形状から裾野が抉れた形状の反射曲線になるような固形粉末化粧料であれば、光の正反射する領域と正反射から外れた領域の光のコントラストが大きくなり、立体感を強調できてリフトアップしたように演出できると考えた。そこで、反射光の角度依存性が高まったことを判断するために、上述の方法で測定した光沢強度の最大値(Imax)と受光角5度の反射強度(I05)の比(Imax/I05)を算出し、比較検討した。
【0069】
(ドールを用いた立体感・リフトアップ感の評価)
また、これらのパウダーファンデーションを化粧実習用のドールに塗布して、実施例1でのドールを用いた立体感・リフトアップ感の評価と同様の手順で評価を行った。
【0070】
これらの検討の結果、特徴的なものまとめると、以下のようになる。
光沢強度の最大値 Imax/I05 モニターによる
光沢判定
処方例1 2.11 1.21 ○
比較例2 2.09 1.14 ×
比較例3 1.90 1.08 ×
比較例4 1.87 1.10 ×
なお、ここでの結果のうち、左側の「光沢強度の最大値」はチャート紙を用いた光沢測定にて得られた光沢強度の最大値であり、次の「Imax/I05」は疑似皮膚シートを用いた光沢測定にて、それぞれ求めた値である。
【0071】
以上のように、FA処理粉体を含有する処方例1が光沢強度の最大値、Imax/I05ともに最も高い数値を示し、正反射光が明るく、角度依存性の高い光沢を有していることが分かった。また、PF−5処理粉体を含有する比較例2は光沢強度の最大値は処方例1とほぼ同様の値であったが、Imax/I05は処方例1よりも低い値であり、反射光の角度依存性は低かった。未処理、シリコーン処理の粉体をそれぞれ含有している比較例3、4は光沢強度の最大値、Imax/I05、どちらの値も処方例1よりも低く、正反射光の明るさ、反射光の角度依存性の両方が低かった。これらの結果より、パール顔料を球状有機粉体で被覆した複合粉体とペースト状油性成分を含有するパウダーファンデーションへ、FA処理粉体を配合することにより、正反射の光沢強度および反射光の角度依存性がさらに高まることが明らかとなった。今回、FA処理粉体と比較するためにPF−5処理、シリコーン処理、未処理の粉体にそれぞれ同量置き換えたものを調製し、評価を行ったが、FA処理粉体を配合したものが最も効果的に角度依存性の高め、光沢感を高めていることが分かった。
【実施例3】
【0072】
次に、本発明のパウダーファンデーションを実際に人の顔に塗布した際のリフトアップ効果、化粧もちについて検討するため、下記表3に示す処方及び下記製法により、パウダーファンデーションを調製し、以下に示す評価方法及び判定基準により評価し、結果を併せて表3に示した。
【0073】
(固形粉末化粧料処方)

(調製方法)
成分(1)〜(26)をヘンシェル型ミキサーにて均一に混合し、アトマイザーにて粉砕を行った。さらに、成分(1)〜(26)の混合粉砕物と、予め加熱混合しておいた成分(27)〜(31)をヘンシェル型ミキサーに加えて均一に混合し、アトマイザー粉砕後、ふるいを通し、中皿にプレスしてパウダーファンデーションを得た。
【0074】
(塗布直後の立体感・リフトアップ感の評価)
20〜40代の化粧品専門パネル10名が、上記処方例および比較例のパウダーファンデーションを使用し、上述のドールを用いた立体感・リフトアップ感の評価と同様の観察条件でドールの換わりに人の顔を使って評価した。立体感がありリフトアップしたように見えると8人以上が判断したものを非常に良好として◎、7人又は6人が見えると判断したものは良好として○、5人が見えると判断したものはほぼ良好として△、4人以下であれば不良として×とした。
【0075】
(皮脂、汗に対する化粧もち試験)
平均気温が28度、平均湿度が65%である日中に、20〜40代の化粧品専門パネル10名が、上記実施例および比較例のパウダーファンデーションを使用し、3時間経過した時点で、以下の評価基準により評点を付し、ファンデーションごとに評点の平均点を算出し、以下に示す判定基準に従って判定した。
<評価基準>
〔化粧もち〕 〔評点〕
非常に良好 :5
良好 :4
普通 :3
やや不良 :2
不良 :1
<判定基準>
〔評点の平均点〕 〔判定〕
4.0以上 ◎
3.5以上4.0未満 ○
2.5以上3.5未満 △
2.5以下 ×
【0076】
(乾燥に対する化粧もち試験)
気温、湿度を一定に制御できる室内にて、気温を18℃、湿度を35%に固定し、当室内にて20〜40代の化粧品専門パネル10名が、上記実施例および比較例のパウダーファンデーションを使用し、3時間経過した時点で、以下の評価基準により評点を付し、ファンデーションごとに評点の平均点を算出し、以下に示す判定基準に従って判定した。
<評価基準>
〔化粧もち〕 〔評点〕
非常に良好 :5
良好 :4
普通 :3
やや不良 :2
不良 :1
<判定基準>
〔評点の平均点〕 〔判定〕
4.0以上 ◎
3.5以上4.0未満 ○
2.5以上3.5未満 △
2.5以下 ×
【0077】
(立体感・リフトアップ感の持続評価)
さらに、上述の皮脂、汗に対する化粧もち試験ならびに乾燥に対する化粧もち試験において、汗や皮脂により顔のテカリが発生するとテカリによる光の反射が顔全体に広がり、顔の立体感が失われたり、乾燥による化粧塗膜のはがれ等からつや感そのものが失われたり、塗膜の粗さが現われて肌から反射してくる光が拡散してしまうことなどが十分予想された。そのため各々3時間経過した時点で、顔の立体感・リフトアップ感の持続についても念のため評価した。皮脂、汗に対する化粧もち試験および乾燥に対する化粧もち試験の両方の試験条件下において、パネル10人中8人以上が「立体感・リフトアップ感が持続している」と判定した場合にのみ良好(○)であるとした。
【0078】
表3の結果より明らかなように、本発明品の処方例1および処方例3〜14のパウダーファンデーションは、比較例5、6に比べ、塗布直後の立体感・リフトアップ感が高く、さらに皮脂、汗に対する化粧もち、ならびに乾燥に対する化粧もちに優れていた。また、処方例1および処方例3〜14では、3時間経過後の立体感・リフトアップ感の持続にも優れていることが確認できた。
【0079】
先ず、化粧直後の仕上がりを検討すると、本発明品の処方例1,3,4,6は、いずれも立体感がありリフトアップしたように見える効果が高かった。処方例1,3,4,6と比較して、FA1処理セリサイト(5%)を5重量%含有する処方例5は立体感効果がわずかに低くなる傾向がみられ、このことから、高いリフトアップ効果を示すにはFA処理粉体を5重量%以上配合するのが好適であると判断した。また、FA処理粉体を5〜40重量%含有する処方例1と処方例3〜6は、いずれも汗・皮脂に対する化粧もちが十分であり、塗布してから3時間経過した後の立体感やリフトアップした見え方も損なわれず持続していた。一方で、FA処理粉体を含有しない比較例6は汗・皮脂に対する化粧もちが不十分であった。したがって、高いリフトアップ効果を示しつつ、汗・皮脂による化粧くずれを防ぎ、立体感が持続するには、処方中にFA処理粉体を5〜40重量%配合することが好ましいと考えられる。
【0080】
処方例1と処方例7,8に示されるように、ペースト状の油性成分を0.1〜2.0重量%含有するファンデーションは、立体感のある若々しい仕上がりで、しかも汗・皮脂による化粧くずれを防ぎながら、乾燥に対する化粧もちも良好であり、3時間経過後の立体感やリフトアップした見え方も損なわれず持続していた。一方、ペースト状の油性成分を3.0重量%含有する処方例9は汗・皮脂に対する化粧もちがやや低下する傾向が見られたが、化粧直後や3時間経過後の立体感やリフトアップした見え方には問題なかった。ペースト状の油性成分を含有しない比較例5および比較例6は、保湿効果が十分でなく、乾燥による化粧くずれが見られ、特にFA処理セリサイトを含有しない比較例6は、立体感やリフトアップする見え方も低くなる傾向が強かった。
【0081】
処方例1と処方例10〜14をみると、塩化ナトリウムや硫酸(AL/K)を含有しない処方例9よりも塩化ナトリウムを0.1重量%含有している処方例1の方が、汗・皮脂に対する化粧もちが向上しているので、塩化ナトリウムや硫酸(AL/K)を化粧料中に含有することの有用性は明らかである(3時間経過後の立体感やリフトアップした見え方の違いは明瞭でなかった。)。また、塩化ナトリウム、及び/又は硫酸(AL/K)を0.05〜0.5重量%含有する処方例11〜14は、汗・皮脂に対する化粧もち、及び乾燥に対する化粧もちが良好であり、化粧直後や3時間経過後の立体感やリフトアップした見え方は極めて良好であった。したがって、塩化ナトリウムや硫酸(AL/K)は、化粧料中に0.05〜0.5重量%配合することがより好ましい。
【実施例4】
【0082】
(固形粉末チークカラー(ほほ紅))
複合粉体1とFA1処理セリサイト(5%)と25℃でペースト状の油性成分であるマカデミアナッツ脂肪酸フィトステリル、及び塩化ナトリウムを用いて、下記処方の固形粉末チークカラーを調製した。
成分 配合量(重量%)
(1) 複合粉体1 2.00
(2) FA1処理セリサイト(5%) 15.00
(3) タルク 50.00
(4) 雲母チタン 10.00
(5) 合成金雲母 5.00
(6) 無水ケイ酸 1.50
(7) ベンガラ 2.00
(8) 黄酸化鉄 0.50
(9) 酸化チタン 0.20
(10)塩化ナトリウム 0.10
(11)メチルパラベン 0.20
(12)メチルポリシロキサン 5.50
(13)コハク酸ジ2−エチルヘキシル 5.00
(14)マカデミアナッツ脂肪酸フィトステリル 2.00
(15)セスキオレイン酸ソルビタン 1.00
合計 100.00
【0083】
(調製方法)
成分(1)〜(11)をヘンシェル型ミキサーにて均一に混合し、アトマイザーにて粉砕を行った。さらに、成分(1)〜(11)の混合粉砕物と、予め加熱混合しておいた成分(12)〜(15)をヘンシェル型ミキサーに加えて均一に混合し、アトマイザー粉砕後、ふるいを通し、中皿にプレスしてチークカラーを得た。
【0084】
得られた実施例4のチークカラーは顔に塗布した際に、FA1処理セリサイト(5%)の代わりに未処理セリサイトやシリコーン処理セリサイトを使った場合に比べ、頬部に一段と高い立体感を感じ、汗や皮脂に対する化粧もち、ならびに頬周りの乾燥を防ぐ効果にも優れた化粧料であった。
【実施例5】
【0085】
(固形粉末アイシャドウ)
複合粉体1とFA5処理セリサイト(5%)と25℃でペースト状の油性成分である(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル、及び硫酸(AL/K)を用いて、下記処方の固形粉末アイシャドウを調製した。

成分 配合量(重量%)
(1) 複合粉体1 2.00
(2) FA5処理セリサイト(5%) 10.00
(3) シリコーン処理マイカ 25.00
(4) シリコーン処理タルク 15.00
(5) 雲母チタン 13.00
(6) カルミン被覆雲母チタン 5.00
(7) 合成金雲母 5.00
(8) 窒化ホウ素 5.00
(9) 球状シリコーン粉体 2.00
(10)無水ケイ酸 1.00
(11)ベンガラ 0.65
(12)黄酸化鉄 0.20
(13)酸化チタン 0.20
(14)赤色226号 0.30
(15)硫酸(AL/K) 0.10
(16)メチルパラベン 0.50
(17)メチルポリシロキサン 5.00
(18)コハク酸ジ2−エチルヘキシル 8.00
(19)(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)
ジペンタエリスリチル 2.00
(20)トコフェロール 0.05
合計 100.00
【0086】
(調製方法)
成分(1)〜(16)をヘンシェル型ミキサーにて均一に混合し、アトマイザーにて粉砕を行った。さらに、成分(1)〜(16)の混合粉砕物と、予め加熱混合しておいた成分(17)〜(20)をヘンシェル型ミキサーに加えて均一に混合し、アトマイザー粉砕後、ふるいを通し、中皿にプレスしてアイシャドウを得た。
【0087】
得られた実施例5のアイシャドウは、FA5処理セリサイト(5%)の代わりに未処理セリサイトやシリコーン処理セリサイトを使った場合に比べて、まぶたを明るく輝かせながら凹凸が一段とはっきりした仕上がりになり、汗や皮脂に対する化粧もち、ならびに目もとの乾燥を防ぐ効果にも優れた化粧料であった。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明で用いた、パール顔料を球状有機粉体で被覆した複合粉体、FA処理粉体、及びペースト状の油性成分を混合した粉体や製剤は、FA処理粉体の代わりに他の処理粉体や未処理の粉体を用いた場合と比べて、反射光の角度依存性を一段と高め、容易に輝度が高く立体感のある見え方を作り出すことができるため、メイクアップ化粧料ばかりでなく、装飾用塗料、道路標識用の塗料等、物を目立ちやすくする場合にも適用ができる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
構成成分として(A)薄片状基質表面上に酸化チタンを含有する金属酸化物被覆層が形成されて成るパール顔料の表面を、粒子径200〜400nmの球状有機粉体で全量の2.0〜10.0重量%被覆した複合粉体、(B)一般式(1)で表わされる含フッ素単量体と一般式(2)で表わされるアルキレングリコール(メタ)アクリレート単量体を重合した含フッ素共重合体、及び/又は、該一般式(1)及び一般式(2)の単量体成分と一般式(3)で示される架橋性単量体であるジ(メタ)アクリレート単量体を重合した含フッ素共重合体を、粉体の重量に対して1〜15重量%で被覆処理して得られる化粧料用粉体、並びに(C)25℃においてペースト状である油性成分を含有する固形粉末化粧料。
CH=CRCO−X−(CH−R (1)
(式中、Rは水素原子又はメチル基、Xは−O−又は−NH−、mは1〜10の整数、Rは炭素数3〜21のパーフルオロアルキル基又はパーフルオロアルケニル基である。)
CH=CRCOO−(RO)−R (2)
(式中、Rは水素原子又はメチル基、Rは炭素数2〜6のアルキレン基、nは1〜20の整数、Rは水素原子又は炭素数1〜22の不飽和又は飽和の炭化水素基である。)
CH=CRCOO−(RO)−COCR=CH (3)
(式中、Rは水素原子又はメチル基、Rは炭素数2〜6のアルキレン基、pは1〜20の整数である。)
【請求項2】
構成成分(A)の複合粉体において、被覆されるパール顔料の粒子径が60μm以下である請求項1記載の固形粉末化粧料。
【請求項3】
構成成分(A)の複合粉体において、当該球状有機粉体がポリメタクリル酸メチル、メタクリル酸メチルクロスポリマー、アクリレーツクロスポリマー、アクリレーツコポリマー、(スチレン/DVB)コポリマーである請求項1又は2いずれか記載の固形粉末化粧料。
【請求項4】
構成成分(B)の含フッ素共重合体を被覆処理した化粧料用粉体を5〜40重量%含有する請求項1〜3いずれか記載の固形粉末化粧料。
【請求項5】
構成成分(C)の25℃においてペースト状である油性成分を0.1〜2.0重量%含有する請求項1〜4いずれか記載の固形粉体化粧料。
【請求項6】
硫酸アルミニウムカリウム12水和物及び/又は塩化ナトリウムを、合計0.05〜0.5重量%含有する請求項1〜5いずれか記載の固形粉末化粧料。


【公開番号】特開2011−195485(P2011−195485A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−62828(P2010−62828)
【出願日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(592262543)日本メナード化粧品株式会社 (223)
【Fターム(参考)】