説明

固相合成のための反応器

容器(2)と、容器(2)の中に設けられた複数のフィルター(3)と、フィルター(3)からろ液を排出するための複数のろ液出口(4)とを含む、固相合成のための反応器1)に関する。各フィルター(3)は一つのろ液出口(4)に接続されている。反応器(1)は、容器(2)の底(24)の近くで、かつフィルター(3)の傍らの容器(2)の領域において、容器(2)にガスを送るための手段(3)を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固相合成のための反応器に関する。
【0002】
たとえばペプチド又は他の有機化合物の固相合成には、容器をフィルターとともに含むような反応器が使用される。固相合成は、多くの場合、フィルターエレメント、特にフィルター底部を含む反応器で実施される。これらの装置は、固相を反応物質の溶液中に懸濁させるために、攪拌機を含むことができる。通常、大規模装置はそのような攪拌機を備えている。これらすべての装置に共通の特徴は、合成後及び/又は洗浄処理後に液相をろ過するための平坦なフィルター底部である。一般的には実験室用途で使用される、攪拌機を有しない装置は、多くの場合、ガスをフィルター底部に通して供給することによって反応物質と固相とを混合する。
【0003】
このような装置における固相合成は、例えば次のように進行する。固相を装置中に配置した後、反応物質の溶液を加える。すると、溶液と固相との化学反応が起こる。この反応の間、溶液を固相と十分に混合することが重要である。一定時間の後、フィルター底部に通してろ過することによって液相を装置から除去する。残った固相を、通常は数回連続して適用される次の洗浄処理によって洗浄する。洗浄媒体を装置中に残った固相に加える。ここでもまた、洗浄媒体が固相に作用する間、固相と液相(洗浄媒体)とを十分に混合することが重要である。一定時間の後、フィルター底部に通してろ過することによって洗浄媒体を装置から除去する。それ自体に付着した生成物、たとえば中間体生成物を有する固相が装置中に残り、次の反応物質の溶液を加え、全手順を繰り返すことによって次の合成サイクル工程を実施する準備ができる。目的生成物が固相に付着するまで、同じ又は異なる反応物質の溶液を用いて手順を繰り返す。最後に、生成物を固相から切り離すだけでよい。
【0004】
上記手順のいくつかの工程で上記装置を用いて適用されるろ過の間に、フィルターにろ過ケーキが付着する。ろ過時間はろ過ケーキの厚さ及び固相材料に依存する。特に、実質的な合成サイクル数、たとえば135回のろ過工程を生じさせる、たとえば15の合成サイクルを伴う大規模処理、たとえばkg規模ないし100kg規模の処理においては、全体のろ過時間が合成全体の効率を制限する。ろ過ケーキの厚さは合成の規模及びろ過時間に依存する。厚さは、所与の装置における合成の規模及びろ過時間の経過とともに増大する。
【0005】
固相材料がろ過時間のもう一つの大きな要因である。ろ過ケーキ中で大きなろ過抵抗を生じさせる材料、たとえば微粒状及び/又は圧縮性の材料は、ろ過時間に関して合成手順にマイナスの影響を及ぼす。したがって、いかなる固相を使用しても固相合成を経済的に実施することはできない。また、固相のろ過性が考慮されなければならない。圧縮性の固相又は大きなろ過抵抗を生じさせる固相は、非経済的な全体の処理時間を費やさせるおそれがある。
【0006】
攪拌機を備えた装置では、攪拌力によって生じる機械的応力が固相を部分的に破壊することがある。この固相の破壊が小さな破片を生じさせ、それらがろ過抵抗に影響を及ぼす。固相の破壊の増加とともに、ろ過抵抗が増し、ろ過時間が延びる。状況によっては、固相がフィルターを目詰まりさせるため、ろ過が完全に停止することもある。したがって、この場合もまた、いかなる固相を使用しても固相合成を経済的に実施することはできない。また、固相の攪拌機によって生じる力に対する機械的抵抗が考慮されなければならない。
【0007】
大規模固相合成の上記問題を解消するため、遠心分離機又はカラムを使用する種々の連続流装置及び処理が開発されている。しかし、これらは一般に、技術的及び/又は手順的に複雑であり、高額である。
【0008】
公知の、固相合成のための上記反応器のこれまでの欠点を鑑みて、本発明の目的は、経済的な大規模固相合成のための簡単かつ廉価な装置を提供することである。
【0009】
この目的は、独立請求項1に定義するような、本発明の固相合成のための反応器によって達成される。好ましい実施態様は、従属請求項から推測することができる。
【0010】
本発明の本質は以下のとおりである。固相合成のための反応器は、容器、容器の中に設けられたフィルターと、フィルターからろ液を排出するためのろ液出口とを含む。フィルターはろ液出口に接続されている。反応器は、ガスを、容器のうち、容器の底の近く、かつフィルターの傍らの領域に送るための手段を含む。
【0011】
容器を下から上に通過することができるガスが、容器に充填された反応物質の溶液中に乱流を生じさせ、溶液を固相と混合させる。この理由のため、効率的な合成が可能になるよう容器中で十分な混合を起こすための攪拌機は不要である。本発明の反応器においては、固相は、ろ過性又は機械的抵抗の要件を満たさなくてもよい。フィルターが使用されるにつれろ過ケーキがフィルターの横に付着するとしても、ガスがフィルターのろ過ケーキをバラバラにさせ、ろ過ケーキの固相を溶液と再び混合させる。このようなフィルターを使用することにより、反応器のろ過性及びろ過時間を一貫して良好に保持することができる。容器に送るのに適したガスは、固相及び/又は他の反応物質と反応する、又は反応しないガス、たとえばN2、O2、O3、空気、SO2、塩素又は塩化水素である。
【0012】
本発明の反応器のフィルターは、フィルターカートリッジ、好ましくはフィルターキャンドルを含むことができる。このようなフィルターが、上記のように、それ自体の横にろ過ケーキを付着させるフィルターの好ましい実施態様である。
【0013】
本発明の好ましい実施態様では、反応器のフィルターカートリッジは、フィルターカートリッジを下室と上室とに分ける中間底を含む。下室はろ液出口に接続されている。フィルターカートリッジはさらに、中間底が、上室から下室の方向には透過性であるが、下室から上室の方向には透過性ではないように上室と下室とを接続する逆止弁を含む。この種のフィルターを用いる場合、ガスは、フィルターカートリッジの下室を介して容器に送り込むことができる。ガスは、フィルターカートリッジの中間底を通過することができないため、その側壁を通って下室を離れ、容器の底の近く、かつフィルターの傍らで自動的に容器に入る。
【0014】
ろ液出口は、ガスをフィルターカートリッジの下室を介して容器に送り込むためのガス入口を含むことができる。ガスを容器に送り込むこの好ましい実施態様は、ろ液出口をガス入口として使用することを可能にする。ろ液出口の機能は、出口から入口へと交互に切り換えることができる。
【0015】
本発明の反応器の容器は、好ましくは、複数のフィルターを含む。複数の小さめのフィルターは一つの大きめのフィルターよりも大きなろ面を有することができ、その結果、ろ面と容器底面との比率を最適化することができる。さらには、複数のフィルターを使用することにより、フィルターに付くろ過ケーキの厚さを隣接フィルター間の距離の半分に抑えることができる。
【0016】
本発明の反応器の容器は、有利には、温度調整のための二重ケーシングを含む。二重ケーシングは、容器中の温度を合成に最適な一定温度に維持するための手段を含むことができる。
【0017】
本発明の好ましい実施態様では、フィルターは、スロット付きスクリーンろ材を含む。このようなろ材は、固相合成、たとえばペプチド合成で良好に使用される好ましい強固なろ材である。
【0018】
容器は、ろ液出口に接続されたろ液入口を含み、ろ液がろ液出口からろ液入口を介して容器に戻ることができるようになっている。このような容器を用いると、溶液は反応器中を絶えず循環することができる。溶液は、合成処理の間に再循環させることができる。これは、処理全体にとって経済的かつ生態的に有利である。
【0019】
本発明の好ましい実施態様では、容器は、排気ガスが容器に戻ることができるようにガスを送るための手段に接続された排気口を含む。このようにして、ガスをほぼ完全に再循環させることができ、それが、処理全体にとって経済的かつ生態的に有利である。
【0020】
反応器は、それぞれが排気口を含む一連の容器を含むことができ、これらの容器は、一つの容器の排気口が次の容器のガスを送るための手段に接続されるように互いに接続されている。ガスは、複数の容器の中で再循環させることができ、ガスの効率が高まり、それが、処理全体にとって経済的かつ生態的に有利である。
【0021】
本発明の固相合成のための反応器を、典型的な実施態様として、添付図面を参照しながら以下さらに詳細に説明する。
【0022】
図1は、容器2の第一の実施態様とフィルターカートリッジ3の形態のフィルターの第一の実施態様とを備えた本発明の反応器1の第一の実施態様の断面図を示す。容器2は、脱着可能なカバー23、いずれもカバー23に設けられ、別々にそれらを通して媒体を容器2に送り込み、容器2から取り出すことができる管状の入口21及び管状の出口22を含む。容器2はその側面に二重ケーシング20を含む。容器2の底24には、垂直に設けられたフィルターキャンドル3をフィルターカートリッジとしてそれぞれが含む複数のフィルターが設けられている。この例では、フィルターキャンドル3はバヨネット継手によって底24に固定され、封止のためにOリング25が継手領域に設けられている。各フィルターキャンドル3は、ろ壁を備えた円柱形の中空ボディを含む。フィルターキャンドル3の内部は、中間底32によって上室30と下室31とに分けられている。中間底32は、上室30と下室31とを接続する、中央に設けられた開口321を有している。この開口321の下方には、ディスク形バルブヘッド331を備えたばね仕掛けの背圧ポペット弁33が逆止弁としてフィルターキャンドル3の底に設けられて、バルブヘッド331が標準状態で開口321を塞ぐ。あるいはまた、ばね仕掛けの背圧ポペット弁33は、そのものが中間底32に取り付けられる、弁取り付け用の手段に設けることもできる。フィルターキャンドル3からろ液を取り出す間、バルブヘッド331が開口321から離れて、中間底32が上室30から下室31の方向に透過性になる。この状況が図1に示されている。各フィルターキャンドル3の底では、管状のろ液出口4が下室31に接続されている。ろ液出口4は、垂直に設けられた主管41及び水平に設けられたガス入口40を有している。
【0023】
合成の際には、乾燥した固相又は液体中に懸濁させた固相を入口21から容器2に送り込むことができる。固相に続き、反応物質の溶液を入口21から、あるいはガス入口40及び/又は主管41から容器2に送り込み、溶液と固相との間で化学反応が起こるようにする。容器2の中の温度は、容器2の二重ケーシング20の中で実施される熱交換のための媒体により、合成に対して最適化することができる。一定時間の後、液相(溶液)を容器2から除去することができる。これを実施するためには、たとえば出口22を閉じ、N2を入口21を介して容器2に送り込んで昇圧させることによって反応器1の中の圧力条件を変化させて、バルブヘッド331が開口321から離れ、液相がフィルターキャンドル3の壁、フィルターキャンドル3の中空の内部及び開口321を通ってろ液出口4に誘導されるようにする。フィルターキャンドル3の壁は、ろ材、好ましくは流線型ろ材、特にスロット付きスクリーンろ材でできている。このようにして、固相の粒子は壁によって捕らえられ、容器2の中に残る。溶液を容器2から除去したのち、洗浄媒体を入口21から、あるいはガス入口40及び/又は主管41から容器2に送り込むことができる。一定時間ののち、液相(洗浄媒体)を、同じくフィルターキャンドル3に通して容器2から除去する。この洗浄工程を数回繰り返すことができる。次の工程で、再び溶液を入口21から、あるいはガス入口40及び/又は主管41から容器2に送り込み、次の合成サイクルを開始することができる。
【0024】
合成のろ過工程の間、合成物の固相からなるろ過ケーキがフィルターキャンドル3の壁に付着する。ばね仕掛けの背圧ポペット弁33のバルブヘッド331が中間底32の開口321を塞いでいるとき、ガスがろ液出口4のガス入口40及び主管41からフィルターキャンドル3の下室に吹き込まれる。ガスは、下室31の全側壁から容器2に流れ込み、容器2の中で泡立ち、フィルターキャンドル3の壁から固相を懸濁させ、フィルターキャンドル3に集まった、又は重力によって容器2の底24に沈降した固相を分散させる。このようにして、容器2の中で固相を液相と混合することができる。容器2へのガスの吹き込みは、有利には、ガスを節約するために断続的に実施される。ガスそのものは、反応物質として合成に関与することもできるし(たとえばO2、O3、空気、SO2、塩素又は塩化水素)、不活性であることもできる(たとえばN2)。残ったガスは、この場合には排気口として働く出口22を介して容器2から出ることができる。
【0025】
以下は、本明細書の残り部分に当てはまる。図を明確に示すため、ある図面が、明細書の直接関連する部分では説明されていない参照符号を含む場合、それは、それよりも前の明細書部分で言及されている。
【0026】
図2は、図1の反応器1の断面図を示す。容器2は、円形の輪郭を有し、容器2の底24に規則的に設けられた7個のフィルターキャンドル3を含む。各フィルターキャンドル3はろ液出口4に接続されている。容器2の底24におけるフィルターエレメントの規則的な配設により、フィルターキャンドル3に集まった、又は重力によって容器2の底に沈降した固相にガス流が十分に到達することができないすきま容積を防ぐことができる。
【0027】
図3は、図1の反応器の斜視図を示す。容器2及びフィルターキャンドル3は、円形の輪郭及び垂直方向の軸を有する円柱形である。各フィルターキャンドル3は、円柱形の下室31の上に設けられ、中間底32によって分けられた円柱形の上室30を含む。中間底32は、中央に設けられた開口321を含み、その開口の下にばね仕掛けの背圧ポペット弁33が設けられている。
【0028】
図4は、図1の実施態様のフィルターカートリッジ3を備えた容器2Aの第二の実施態様の断面図を示す。容器2Aは、正方形の輪郭を有し、上記のように9個の円柱形フィルターキャンドル3を含む。
【0029】
図5、6及び7は、フィルターカートリッジ3A、3B、3Cの他の実施態様をそれぞれが備えた図4の実施態様の容器2Aの断面図を示す。フィルターカートリッジ3A、3B、3Cのすべての実施態様は、基本的には、上記のフィルターキャンドル3と同様な構造である。これらはすべて中空であり、中間底32によって分けられた上室30及び下室31を含む。各中間底32は開口321を含み、その開口の下に逆止弁33が設けられ、その開口はろ液出口4に接続している。これらの基本構造は、図5、6及び7には示されていない。
【0030】
図5は、正方形の輪郭を有するフィルターキャンドル3Aを示す。フィルターキャンドル3Aの正方形の輪郭は、フィルターキャンドル3Aどうしの間及びフィルターキャンドル3Aと容器2Aの壁との間に一定の距離を可能にする。これは、特に正方形の輪郭を有する容器2Aの中で均一な合成を可能にする。
【0031】
図6は、フィルターカートリッジとしてのプレートフィルターエレメント3Bを示す。プレートフィルターエレメント3Bは、容器2Aの一つの壁から容器2Aの対向壁まで全長にわたり平行に設けられている。
【0032】
図7は、図6に代わるものとして、インデントされたプレートフィルターエレメント3Cを示す。いくつかのインデントされたプレートフィルターエレメント3Cが、容器2Aの第一の壁に対して直角に延びて第一の壁の対向壁である第二に壁の方向に平行に設けられている。インデントされたプレートフィルターエレメント3Cは、第二壁に達する前に終端している。第一の壁から延びるインデントされたプレートフィルターエレメント3Cに隣接するインデントされたプレートフィルターエレメント3Cは、第二の壁から延び、第一の壁に達する前に終端している。
【0033】
図4、5、6及び7に示すフィルターカートリッジ3、3A、3B及び3Cの異なる実施態様に使用されるろ材は、合成の要件及び反応器1の構造の要件にしたがって選択することができる。ろ材は、一方で合成処理のろ過工程で固相を保持しなければならず、他方で合成反応に影響を及ぼしてはならない。
【0034】
図8は、本発明の反応器のさらなる実施態様の断面図を示す。反応器1Aは、図1、2及び3に示す容器2に類似している2個の容器2を含む。第一の容器2のガス出口又は排気口22Aが第二の容器2のフィルターキャンドル3のガス入口40Aに接続されている。第一の容器2から取り出されたガスは、第二の容器2に送られ、固相を分散させるため及び、場合によっては、合成における反応のために再利用される。
【0035】
図9は、フィルターカートリッジの第五の実施態様として交換ボディ34Dを備えたフィルターキャンドル3Dの断面図を示す。フィルターカートリッジ3Dは、基本的には、図1に記載したフィルターキャンドルに準じる構造である。これは、中間底32Dによって分けられた上室30D及び下室31Dを含む。中間底32Dは、上室30Dと下室31Dとを接続する、中央に設けられた開口321Dを有している。開口321Dの下方には、ディスク形バルブヘッド331Dを備えたばね仕掛けの背圧ポペット弁33Dがフィルターキャンドル3Dの底に設けられている。
【0036】
円柱形の交換ボディ34Dは、上室30Dの中央に設けられている。これは、液相に対して不浸透性であり、上部分34D及び下部分35Dを含む。下部分35Dは中空であり、複数の壁開口36Dを含む。
【0037】
フィルターキャンドル3Dの使用中、フィルターキャンドル3Dのろ過壁に通してろ過された液相は、ろ過壁と交換ボディ34Dとの間を通って壁開口36Dを通過して下部分35Dの内部に流れ込む。ばね仕掛けの背圧ポペット弁33Dが開くならば、液相は、フィルターキャンドル3Dの下室31D及びろ液出口4に流れ込む。
【0038】
交換ボディ34Dは、フィルターキャンドル3Dのろ過壁に通してろ過された液相にとってアクセス可能なフィルターキャンドル3Dの内容積を減らす。たとえば図1に示すような、交換ボディ34Dを有しないフィルターキャンドルの内容積は混合されないため、フィルターキャンドル3Dを有する反応器の非混合合計容積は有意に減る。
【0039】
本発明の反応器の他の代替態様が実現可能である。これに関して明示的に挙げられることは以下である。
【0040】
容器の排気口を同じ容器のフィルターキャンドルのガス入口に接続してガスを再循環させることができる。
【0041】
反応器を連続流反応器として使用することができるよう、反応器のろ液出口が入口に接続される。液相は反応器中を循環する。
【0042】
フィルターカートリッジのボディは、基本的に、いかなる形状であることもでき、たとえば、楕円形の輪郭を有するフィルターキャンドル又はリング形の輪郭を有するフィルターキャンドルがある。
【0043】
ガス入口を容器の底に接続することにより、ガスを、ろ液出口及びフィルターカートリッジに通して送ることなく、直接容器に送ることができる。この実施態様では、フィルターカートリッジ中の逆止弁及び中間底は不要である。フィルターカートリッジの全周囲でろ過ケーキに対する規則的な効果を保証するため、ガスをフィルターカートリッジの周囲に分散させるための手段、たとえば、フィルターカートリッジの周囲に設けられ、ガス入口及び多数のガス出口又はリングスロットの形態のガス出口を含む中空リングを設けることができる。
【0044】
反応器は、複数のフィルターのために一つのろ液出口を含むことができる。このためには、フィルターどうしを接続することができる。たとえば、下室どうしを、複数のフィルターのろ液が一つのろ液出口に集まるような方法で接続することができる。
【0045】
フィルターは、バヨネット継手及びOリングを用いる底への取り付け方法とは違う他の方法で容器に取り付けることができ、たとえば容器の底、側壁又はカバーにはパチンとロックで取り付けることができ、たとえば底にはねじで取り付けることができる。
【0046】
スロット付きスクリーンろ材の代わりに、基本的な単層又は多層ろ材を使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】容器の第一の実施態様及びフィルターカートリッジの第一の実施態様を備えた本発明の反応器の第一の実施態様の断面図である。
【図2】図1の反応器のII−II線断面図である。
【図3】図1の反応器の斜視図である。
【図4】第一の実施態様のフィルターカートリッジを備えた容器の第二の実施態様の断面図である。
【図5】フィルターカートリッジの第二の実施態様を備えた図4の容器の断面図である。
【図6】フィルターカートリッジの第三の実施態様を備えた図4の容器の断面図である。
【図7】フィルターカートリッジの第四の実施態様を備えた図4の容器の断面図である。
【図8】2個の容器を含む本発明の反応器の第二の実施態様の断面図である。
【図9】交換ボディを備えたフィルターカートリッジの第五の実施態様の断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器(2)、容器(2)の中に設けられたフィルター(3;3A;3B;3C;3D)及びフィルターからろ液を排出するためのろ液出口(4)を含み、フィルターがろ液出口(4)に接続されている、固相合成のための反応器(1;1A)であって、容器(2)の底(24)の近くで、かつフィルター(3;3A;3B;3C;3D)の傍らの容器(2)の領域において、容器(2)にガスを送るための手段(3;4;3A;3B;3C;3D)を含むことを特徴とする反応器(1;1A)。
【請求項2】
フィルターが、フィルターカートリッジ(3;3A;3B;3C;3D)、好ましくはフィルターキャンドルを含む、請求項1記載の反応器(1;1A)。
【請求項3】
フィルターカートリッジ(3;3A;3B;3C;3D)が、フィルターカートリッジ(3;3A;3B;3C;3D)を、ろ液出口(4)に接続されている下室(31;31D)と上室(30;30D)とに分ける中間底(32;32D)と、中間底(32;32D)が、上室(30;30D)から下室(31;31D)の方向には透過性であるが、下室(31;31D)から上室(30;30D)の方向には透過性ではないように上室(30;30D)と下室(31;31D)とを接続する逆止弁(33;33D)とを含む、請求項2記載の反応器(1;1A)。
【請求項4】
ろ液出口(4)が、ガスをフィルターカートリッジ(3;3A;3B;3C;3D)の下室(31;31D)を介して容器(2)に送り込むためのガス入口(40;40A)を含む、請求項3記載の反応器(1;1A)。
【請求項5】
容器(2)が複数のフィルター(3;3A;3B;3C;3D)を含む、請求項1〜4のいずれか1項記載の反応器(1;1A)。
【請求項6】
容器(2)が温度調整のための二重ケーシング(20)を含む、請求項1〜5のいずれか1項記載の反応器(1;1A)。
【請求項7】
フィルター(3;3A;3B;3C;3D)又は複数のフィルターが、スロット付きスクリーンろ材を含む、請求項1〜6のいずれか1項記載の反応器(1;1A)。
【請求項8】
容器(2)が、ろ液出口(4)に接続されたろ液入口(21)を含み、ろ液がろ液出口(4)からろ液入口(21)を介して容器(2)に戻ることができるようになっている、請求項1〜7のいずれか1項記載の反応器(1;1A)。
【請求項9】
容器(2)が、排気ガスが容器(2)に戻ることができるようにガスを送るための手段(3;4;3A;3B;3C;3D)に接続された排気口(22;22A)を含む、請求項1〜8のいずれか1項記載の反応器(1;1A)。
【請求項10】
それぞれが排気口(22;22A)を含む一連の容器(2)を含み、これらの容器(2)が、一つの容器(2)の排気口(22;22A)が次の容器(2)のガスを送るための手段(3;4;3A;3B;3C;3D)に接続されるような方法で互いに接続されている、請求項1〜9のいずれか1項記載の反応器(1;1A)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2007−512125(P2007−512125A)
【公表日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−540298(P2006−540298)
【出願日】平成16年11月17日(2004.11.17)
【国際出願番号】PCT/EP2004/013007
【国際公開番号】WO2005/051515
【国際公開日】平成17年6月9日(2005.6.9)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】