説明

固相抽出用カートリッジ充填カラムの製造方法

【課題】理論段数が高く、安定した性能を発揮できるよう、不要な空隙を減少させるとともに、被検液を漏れにくくする固相抽出用カートリッジ充填カラムの製造方法を提供する。
【解決手段】 熱可塑性合成樹脂製のカラム形成用円筒容器2の円柱状材料充填室10に下部フィルター9を挿着し、粉体充填材料11を充填し、上部フィルター8と熱可塑性合成樹脂製のカラム形成用円筒容器キャップ3とをカラム形成用円筒容器2に取り付けた後、超音波ウエルダー13で加圧下充填カラム1に振動を与えながらカラム形成用円筒容器2とカラム形成用円筒容器キャップ3とを一体化させる固相抽出用カートリッジ充填カラムの製造方法において、カラム形成用円筒容器2とカラム形成用円筒容器キャップ3のいずれか一方の溶着面に、溶着に十分な樹脂量を含む溶着凸部5を囲むように配すること、および、この凸部5を他方の溶着部と接触させた溶着前の溶着面間距離L20−L22が0.6mm〜5.0mmの範囲となるようにするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液体クロマトグラフィー用カラム及び同反応カラムの製造方法に関するものであり、残留農薬分析、環境分析等に好適な固相抽出用カートリッジ充填カラムの簡易製造方法と充填材料の均一充填と、充填部と充填部の一体化成形とを、超音波処理で同時に行う簡易製造法において、理論段数が高く、安定した性能を発揮できるよう、不要な空隙を減少させるとともに、被検液を漏れにくくする方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
クロマトグラフィー用充填カラム及びその製造方法に関しては、均等・緻密な充填密度を有し、且つ充填状態の経時的安定性優秀なクロマトグラフィー用充填カラムの作成が、高精度の分離、分解能に優れピークテーリングの少ない高精度の分析結果・分離操作を得るために必須の最重要要件であるため、かかる課題の解消・改善を目的とした技術開発が実施され、多くの特許出願がなされている。
その内、代表的な発明は次の通りである。
(1)均質な充填密度の吸着性充填剤を充填剤カラムに充填する装置に関しては、充填時に充填剤の充填密度状態を観測しながら充填用懸濁液の粘度、濃度などを変化、調整して均質な充填密度を維持して充填する充填装置、方法などを開示した、特開平5−157744号公報、特開平8−94604号公報等が挙げられ、
(2)カラム内に充填された充填剤に均質な且つ経時的に安定な充填密度を維持するために、充填後の充填圧解除時の充填層体積膨張及び、経時後の充填密度増大変化に基づく充填剤層体積収縮により充填カラム内充填層上層部に発生する空隙に起因するカラム内充填密度変動、撹乱によるクロマトグラフィー用カラムの分離・分解能の変動、分析精度の低下を防止するため、カラム上部のフィルター厚み等を調整して充填剤層の体積膨張・収縮による充填密度の不安定化、ボイド発生の防止を行うカラム構造とした、特表2006−538376号公報に開示される充填剤密度を制御する方法も開示されており、
【0003】
(3)カラム内に充填剤を均等・緻密に且つ、充填密度の変動なく充填する方策として、超音波振動を与えながら或いは又、超音波振動と加温を共に与えながら充填する方法及び装置が、特開平7−253424号公報、特開平11−44881号公報等多くの特許に開示されている。
(4)また、充填剤充填用カラム形成用円筒容器が熱可塑性樹脂で構成される場合、その構成部材の接合に超音波が適用出来ることを示唆する技術の開示が、特開2004−316901号公報、特開2007−8731号公報等多くの特許に開示されている。
(5)熱可塑性樹脂をカラム構成材に用いたクロマトグラフィー用充填カラム製造法として、超音波を用い充填剤の均等・緻密充填を図ると同時に、該カラム構成材の接合一体化を同時に一工程で実施する方法として、本件特許出願人自身の特許第3261447号がある。
【0004】
【特許文献1】特開平5−157744号公報
【特許文献2】特開平8−94604号公報
【特許文献3】特表2006−538376号公報
【特許文献4】特開平7−253424号公報
【特許文献5】特開平11−44881号公報
【特許文献6】特開2004−316901号公報
【特許文献7】特開2007−8731号公報
【特許文献8】特許第3261447号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許第3261447号に開示した方法においては、発明が解消すべき課題とした目的、すなわち、一段の超音波処理で均質、緻密な充填層を有する充填カラムを形成させると共に同時に、カラム構成部材の溶着一体化を実施し、一段の超音波処理で充填剤が均等、緻密に充填され、経時的に充填剤密度変化がない安定性に優れた高分解精度を持つクロマトグラフィー用充填カラムを、一体化接合し製作するという技術を確立し、目標を構想通りに達成することが出来た。
【0006】
即ち、該発明に基づき作成されるクロマトグラフィー用充填カラムは、均質、緻密で経時的な充填密度変化のない安定した充填層で充填カラムが構成されるため、該クロマトグラフィー用充填カラムを用いて行った分析(反応)結果は、分離、分解能が高くリテンションタイムが安定し、ピークテーリングの狭い極めて高精度で再現性・安定性の高い分析結果を得ることが出来る。
【0007】
しかしながら、多く量産作成した該クロマトグラフィー用充填カラムを用いているうち、初期試験使用段階で見出せなかった該クロマトグラフィー用充填カラムを構成するカラム形成用円筒容器キャップ3と該カラム形成用円筒容器2間から僅かの液漏れではあるが、少数の試料数において液漏れ発生試料の存在が又、少数ではあるが、カラム形成用円筒容器キャップ3と該カラム形成用円筒容器2間溶着に異常溶着状態が発生するものがあることも判明した。
【0008】
そこで該液漏れ発生試料や異常溶着試科を解体し原因調査を実施したところ、カラム形成用円筒容器キャップ3とカラム形成用円筒容器2の接合部の接合不足、部分的接合不良に基づく液漏れ及び、カラム形成用円筒容器キャップ3と該円筒状充填剤充填カラム形成用円筒容器2間の嵌め合い部での超音波振動の不均等伝播に基づく部分的、不均等溶着発生によるものであることが判った。
【0009】
この接合不良発生の原因は特許第3261447号における構成においては、カラム形成用円筒容器2のカラム形成用円筒容器キャップ3との嵌め合い部における外径Lと、カラム形成用円筒容器キャップ3の内径L間の円周上の間隔差(隙間)をL−L=0、即ち隙間零の完全嵌合状態としていたため、超音波溶着法での溶着一体化処理時に超音波振動が溶着部位に充分均等に伝播することに障害が生じ超音波接合不良が生じたことと、カラム形成用円筒容器2の溶着4に設けた溶着凸部5と、それに対峙するカラム形成用円筒容器キャップ3の天井部内面6に穿った逆三角形状溶着溝7間の超音波接合時に、弱圧着状態でも充分な溶着代と溶着溝間の圧着状態維持が確保でき、また、充分な溶着が実施出来るだけの溶着関与樹脂量が不足していたことが接合不良を引き起こしたものと考えられ、更にカラム形成用円筒容器キャップ3と該円筒状充填剤充填カラム形成用円筒容器2間の嵌め合い部での僅かな密着度の差異が超音波振動伝播の差となり局部的、部分的に不均等溶着を引き起こしたものと考えられた。この結果、粉体への超音波の伝達も不均等になり、十分な振動が粉体に加わらず、充填むらが発生することも判明した。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで、本発明においては特許請求の範囲の請求項に記載した如く、クロマトグラフィー用カラムを構成させ、製作し課題解消に成功したのである。
即ちその基本構成としては、カラム形成用円筒容器2とカラム形成用円筒容器キャップ3の溶着面4及び6のいずれか一方に、溶着凸部5を連続的に配し、且つ他方に溶着凸部5の断面積に対して0〜80%の断面積を有する溶着凸受部7を連続的に配すること、および溶着凸部5の高さL20と溶着凸受部7の深さL22の差L20−L22が0.6mm
〜5.0mmの範囲であり、更に要すれば前記カラム形成用円筒容器2と前記カラム形成用円筒容器キャップ3のいずれか一方に、溶着位置の横ズレを抑える横位置制御部15を備え、実質的に溶着は凸部5の接点で行われ、超音波処理による振動を阻害しないよう、横位置制御部15と横位置制御部15に相対する横位置制御受け部16との円周上の間隔差L9−L6およびL7−L10が0.1mm〜0.5mmの範囲を有するものである。その具体的な一例を以下に詳述する。
(イ)熱可塑性樹脂製のクロマトグラフィー用円筒形状充填カラムの構成(図1、図2)
カラム形成用円筒容器2とカラム形成用円筒容器キャップ3の溶着面4及び6のいずれか一方に、溶着凸部5を連続的に配し、幅0.6〜5.0mm、高さ0.6〜5.0mmの三角形、矩形、半円(半楕円)形状の溶着凸部5を同心円状に配したカラム形成用円筒容器2の充填室内10の下部に、充填剤のフィルター9を装着し、平均径5〜300μmの粉体吸着性充填剤11を該フィルター上に該カラム充填容量の85〜130容量%、好ましくは105〜130容量%に相当する量充填し、その上部にフィルター8を装着することになる。
【0011】
(ロ)カラム形成用円筒容器キャップ部の構造(図1、図2)
該カラム形成用円筒容器2を、該カラム形成用円筒容器2上面の溶着凸部5に対峙し嵌合するカラム形成用円筒容器キャップ3の溶着面6に、溶着凸部5に対峙するように、溶着凸部5の断面積(近似的には容積)に対して0〜80%、好ましくは0〜50%、より好ましくは0〜10%の断面積(近似的には容積)を有する溶着凸受部7を連続的に配すること、および溶着凸部5の高さL20と溶着凸受部7の深さL22の差L20−L22が0.6mm〜5.0mmの範囲であることである。該溶着凸部5と凹凸嵌合する該溶着凸受部7は溶着過程において常に溶着凸部5の先端を中心に溶着凸受部7との接点が広がり、それ以外の部位が接触しないような形状であることが望ましく、該溶着凸受部は7溶着凸部5の断面積(近似的には容積)に対し0〜80%の断面積(近似的には容積)を有する凹状又は平坦な溶着凸受部7を同心円状に穿ったものである。熱可塑性樹脂製カラム形成用円筒容器キャップ3に、カラム形成用円筒容器2と該キャップ部の嵌め合い、挿入部間に、微小な隙間を持たせた嵌め合い状態で両者を挿入合体させ、溶着を確実にするためには、溶着凸部5の断面積(近似的には容積)が小さい場合には、溶着凸受部7の溶着凸部5に対する断面積(近似的には容積)は0或いは限りなく0に近づけること、即ち、溶着凸部5の凹状断面積(近似的には容積)が非常に小さい若しくは平面であることが望ましく、逆に溶着凸部5の容積が大きい時は溶着凸受部7の溶着凸部5に対する断面積(近似的には容積比)を大きくすることが望ましい。溶着凸受部7が溶着凸部5の断面積(近似的には容積)に対し0に満たない、即ち凸状になると、横ズレしやすくなったり、溶着ムラが起こりやすくなって好ましくない。反対に、80%を超えると溶着凸部5の溶着樹脂が溶着凸受部7を埋設するのに消費されすぎて、溶着が不十分となるので、好ましくない。
なお、溶着凸部5と接する他方の溶着部(即ち、溶着凸受部7に相当)は平坦であっても良い。また、溶着凸部5をカラム形成用円筒容器キャップ3側に設け(図2C−3)、溶着凸受部7をカラム形成用円筒容器2側に設けても良い(図2C−4)。
溶着凸部5の高さL20と溶着凸受部7の深さL22の差L20−L22は0.6mm〜5.0mmの範囲であるが、これは、粉体の充填高さは好ましくは1/30〜1/3、より好ましくは1/27〜1/4の範囲、即ち、粉体の充填高さが10mmの場合、L20−L22は0.6mm〜3.3mmが好ましく、0.6mm〜2.5mmとなるのがより好ましい。また、粉体の充填高さが20mmの場合、L20−L22は0.7mm〜5.0mmが好ましい。言い換えれば、粉体の充填高さの範囲は好ましくは150mm以下、より好ましくは135mm以下である。粉体の充填高さが、これを超えると、超音波の振動が十分に伝わらず、細密充填が難しくなることを意味する。更にまた、溶着凸部5の高さL20と溶着凸受部7の深さL22の差L20−L22が0.6mm〜5.0mmの範囲である。また、溶着凸部5の高さL20と溶着凸受部7の深さL22の差L20−L22は、好ましくは、0.7mm〜4.0mm、更に好ましくは0.7mm〜2.0mm、の範囲である。溶着凸部5の高さL20と溶着凸受部7の深さL22の差L20−L22が0.6mm〜5.0mmの範囲であることは、溶着凸部5の断面積と溶着凸受部7の断面積の差が0.09mm〜12.50mmの範囲、好ましくは0.25mm〜5.0mmの範囲である。
溶着凸部5の高さL20と溶着凸受部7の深さL22の差が小さすぎると溶着しながら粉体に振動が与えられる前に溶着部以外の樹脂が変形を招く恐れがあり、溶着凸部5の高さL20と溶着凸受部7の深さL22の差が大きすぎると横ズレしやすくなり、横位置制御部との異常合着が起きやすくなる。
【0012】
(ハ)クロマトグラフィー用充填カラムの構成(図1、図3)
この合体物のカラム形成用円筒容器キャップ部3を超音波ウエルダー13の溶着用治具12側に、該充填剤が充填されたカラム形成用円筒容器2が該溶着治具14(ホーン)側に来る如く装着し、圧着圧を負荷しながら超音波溶着処理を施し、カラム形成用円筒容器2上面の溶着凸部5とカラム形成用円筒容器カップ3の溶着面6の溶着凸受部7を超音波振動により溶着させることにより、該充填剤が充填されたカラム形成用円筒容器2とカラム形成用円筒容器キャップ3を溶着させ一体化構造物となし、同時に該一体構造物化せしめたカラム形成用円筒容器内に充填された充填剤が超音波振動により均等、緻密に充填されたクロマトグラフィー用充填カラムとなる。即ち、充填カラム内充填剤の均等、緻密充填と充填カラムの密閉溶着一体化を、一段の超音波処理で行うクロマトグラフィー用充填カラムの製造方法となるのである。
ここで、カラム形成用円筒容器2とカラム形成用円筒容器カップ3のいずれか一方に、溶着位置の横ズレを抑える横位置制御部15を設け、横位置制御部15と横位置制御部15に相対する横位置制御受け部16とを設けることが望ましく、これらとの円周上の間隔L9−L6及びL7−L10が0.1mm〜0.5mmの範囲の隙間を有するようにすることが望ましい。横位置制御部の隙間は、小さすぎると異常合着が起こりやすくなり、大きすぎると横ズレが発生して溶着不良を招きやすい。
【0013】
更に説明を加えると、本発明の目的とする高性能を有するクロマトグラフィー用充填カラムを得るための基本構成の1例は下記のものである。即ち、
(a)溶着により容易に一体化可能のクロマトグラフィー用充填カラムの構成、手段として、
・カラム形成用円筒容器構成材料を超音波溶着により溶着一体化可能の熱可塑性樹脂により構成させること
・該充填カラム構成容器を、溶着凸部5を有する充填剤を充填する形成用円筒容器2と、それを受ける溶着凸受部7を有する形成用円筒容器キャップ3より構成させ、効果的な好適溶着凸部及び溶着凸受部のサイズも指定した、例えば、幅0.3〜5.0mm、高さ0.6〜5.0mm
・該溶着凸部5を有するカラム形成用円筒容器2の上端部を、それを受ける溶着凸受部7を有すカラム形成用円筒容器キャップ3に挿入し、加圧下で超音波をかけ溶着し一体化する方法
・更に超音波溶着を容易ならしめるため、カラム形成用円筒容器2とカラム形成用円筒容器キャップ3との嵌め合い部間に微小な隙間(0.1〜0.5mm)を持たせた嵌め合い状態で両者を挿入合体させる如くしたこと
を規定したクロマトグラフィー用充填カラムの構成及び手段を開示し、
【0014】
(b)充填剤カラム内に充填カラム一体溶着時と同時に、均等、緻密に安定な充填密度状態の充填剤を迅速に充填する手段として、
該カラム形成用円筒容器2に、該粉末状クロマトグラフィー用充填剤をカラム充填容量に対し85〜130容量%に相当する量充填させ、規定した充填剤層長を有する充填剤層を形成させる。この時、カラム充填容量に対する該粉末状クロマトグラフィー用充填剤の充填量が85容量%に満たないと、理論段数が減少し、逆に充填量が130容量%を超えると、充填剤が多すぎて溶着不良を招いたり、充填剤の破損や、使用時の検液の圧力損失の増大を招くので好ましくない。細密充填を保持する上では、均等緻密化処理後に空隙部が生じないよう、該粉末状クロマトグラフィー用充填剤をカラム充填容量に対し105〜130容量%に相当する量充填させるのが望ましい。但し、充填剤の均等緻密化処理後に、化学装飾や、親和性物質の吸着処理をする場合の保持充填カラムについては、充填密度が高すぎるとこれらの処理を阻害したり、これらの処理で充填剤が膨潤することもあるので、このような場合は85〜110容量%の充填を行うことが望ましい。
ここでカラム充填容量Vfとは、図2における構造、寸法のカラム形成用円筒容器2における実効充填剤充填容量を示し、次式で規定されるものである。
【0015】
Lf={L−L3−2αLf−(L14−L16)}×(L7/2)2×π
ここで、 α;フィルターの圧蜜係数 Lf;フィルター厚みである。
本件発明の方法によれば、該クロマトグラフィー用充填カラムに充填される充填剤の均等、緻密充填は、該カラム構成部材を超音波処理で溶着一体化する際に同時に実施される。
【0016】
(c)該クロマトグラフィー用充填カラムの超音波溶着、充填密度調整の実施手段として、
・溶着する充填剤を充填したカラム形成用円筒容器2とカラム形成用円筒容器キャップ部3の合体物の、超音波ウエルダーによる充填剤均等、緻密化実施の際、その効率の最適化を考慮し、通常はカラム形成用円筒容器キャップ部3を超音波ウエルダー13の下方の溶着用治具12側に、該カラム形成用円筒容器部2が該溶着治具14(ホーン、上方側)に来る如く装着し、圧着圧を負荷しながら超音波溶着処理を行う。
但し、充填剤添加量をカラム充填剤充填容量の85〜105容量%しか充填しない充填カラムの際は、この溶着法では充填剤がカラム上方に充填され下方に空隙部が生じるか、又は生じやすくなり、カラム内充填剤が使用時に下方に移行しボイドを発生するか、又は発生しやすくなるため、溶着時の装着法を逆転倒立させた状態のカラム形成用円筒容器2が下方に来る如く配置し、カラム形成用円筒容器キャップ3を超音波ウエルダー13の上方の溶着用治具14(ホーン側)に、該カラム形成用円筒容器2が該溶着治具12(下方)側に来る如く配置した溶着用治具に装着し溶着するのが好ましい。
【0017】
更に、好適な溶着条件を規定する技術の具体的開示が規定される。即ち、
好ましい機能を発揮するカラムの充填剤充填長は、カラム形成用円筒容器2上面に配した溶着凸部5の高さL20−L22の4〜30倍であること。
溶着凸部5の高さL20と溶着凸受部7の深さL22の差L20−L22が0.6mm〜5.0mmの範囲、例えば、幅0.3〜5.0mm、高さ0.6〜5.0mmの三角形、矩形、半円(半楕円)形状の溶着凸部であり、溶着凸部5の断面積(近似的には容積)に対して0〜80%、好ましくは0〜50%、より好ましくは0%の断面積(近似的には容積)を有する溶着凸受部7を連続的に配すること。
超音波溶着を容易ならしめるため、カラム形成用円筒容器2とカラム形成用円筒容器キャップ3との嵌め合い部におけるカラム形成用円筒容器側の嵌め合い部直径L及びLと、カラム形成用円筒容器キャップ側の嵌め合い部直径L及びL10との間に、L−L=L−L10=0.1〜0.5mmの隙間を設けること。
好ましい超音波溶着と好ましい充填状態獲得のための超音波処理条件は請求項5、6、7に規定する処理が望ましいことが規定されているのである。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、特許第3261447号発明における技術の問題点であった、超音波溶着不充分となる要素、即ち溶着不足による液漏れを解消する手段として、カラム形成用円筒容器2とカラム形成用円筒容器キャップ3に溶着に充分な溶着代、溶着溝を設けるようにし、要すれば、更にクロマトグラフィー用充填カラムを構成するカラム形成用円筒容器2とカラム形成用円筒容器キャップとの間に微小な隙間を持たせた嵌め合い状態で挿入合体させ超音波溶着を行う構造としたため、前開示技術での改善課題であった溶着部からの液漏れ及び異常溶着が完全に解消され、更に該隙間の設置により超音波伝播効率がより向上し、充填剤の均等緻密充填がより迅速、確実に行えることになり、一段の超音波処理でクロマトグラフィー用充填カラム構成部材の溶着一体化と、充填剤の理想的充填を実施する方法の完成に至ったのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下本発明のクロマトグラフィー用充填カラムの具体的製造法について詳細に述べる。
カラム構成容器の構成は図1(A)(B)、及び図2(A)(B)(C)に示す構造の熱可塑性樹脂よりなるものであり、そのカラム形成用円筒剤容器2は該円筒容器2内下部にフィルター9、その上部に粉末状吸着性充填剤11が充填され、更にその上部に上部フィルター8が装着され、カラム形成用円筒容器2の上端部をカラム形成用円筒容器キャップ3に挿入し、超音波処理により一体化溶着する構造を有し、更に超音波溶着を容易ならしめるため、カラム形成用円筒容器2とカラム形成用円筒容器キャップ3との嵌め合い部におけるカラム形成用円筒容器側の嵌め合い部直径L及びLと、カラム形成用円筒容器キャップ側の嵌め合い部直径L及びL10との間に、L−L=L−L10=0.1〜0.5mmの横位置制御部を持たせて作成してある。
【0020】
更に図2に示す如く、両カラム構成部材の超音波溶着を確実にするため、該カラム形成用円筒容器2の溶着面4には同心円状に三角形、矩形、半円形(半楕円形)形状の溶着凸部5が設けられ、また該カラム形成用円筒容器2と嵌め合う構造のカラム形成用円筒容器キャップ3の溶着面6には、該カラム形成用円筒容器2の溶着凸部5と対峙し嵌合する位置に、溶着凸部5の断面積(近似的には容積)に対して0〜80%の断面積(近似的には容積)を有する溶着凸受部7を連続的に穿たれた構造となっている。
なお、上記構造形状を有する熱可塑性樹脂よりなる該カラム形成用円筒容器2、カラム形成用円筒容器キャップ3自体は、射出成型法で作成される。
【0021】
本発明のクロマトグラフィー用充填カラムの作成法を更に詳しく記述すると、上記したカラム構成容器を用い、カラム形成用円筒容器2の下部にフィルター9を装着し、その上部に相対湿度50%以上の粉末状吸着性充填剤11をメスシリンダーを用い無振動状態で、該充填カラムの充填容積の85〜130容積%に相当する量計量し、該充填カラム形成用円筒容器2に投入し、(この添加量決定のために予め充填剤の緻密化処理後の体積減少係数を予備試験で確かめて置くが望ましい)、更にその上部に上部フィルター8を装着し、該カラム形成用円筒容器2の上端部をカラム形成用円筒容器キャップ3に挿入合体させ、この合体物のカラム形成用円筒容器キャップ部を超音波ウエルダー13の溶着用治具12側(下方)に、該カラム形成用円筒容器2が該溶着治具14(ホーン・上方)側に来る如く装着し、圧着圧を負荷しながら超音波振動を該合体物の溶着凸部5と溶着凸受部7に集中させ超音波溶着処理を施し、一体化溶着、密閉されたクロマトグラフィー用充填カラムを作成する。
【0022】
この際、超音波ウエルダーの溶着条件は、
周波数8〜25KHz、出力400W〜3KWの超音波で0.2〜11秒、最終負荷圧力0.1〜0.6MPaの溶着条件で溶着処理すること、或いは、周波数8〜25KHz、出力400W〜1.1KWの超音波で0.05〜8秒、最終負荷圧力0.1〜0.6MPaの溶着条件で超音波溶着処理した後、更に続けて周波数8〜25KHz、出力900W〜3KW、0.05〜8秒、最終負荷圧力0.1〜0.6MPaの溶着条件で超音波溶着する。
【0023】
本発明において使用する粉末状吸着性充填剤は、特に限定されるものでなく、液体クロマトグラフィー用に常用されるものであれば何れにても差支えないが、例えばシリカゲル、アルミナ、オクタデシルシリカ、硫酸ナトリューム、イオン交換樹脂などが挙げられる。
この際、粒子径が大きすぎると分解能(理論段数)が低下し、所望の分離、分解能が得られなくなり、又逆に粒子径が小さ過ぎると、移動相の流下圧損が増大する故、5〜300μmの物の使用が望ましい。
【0024】
又、本発明の充填剤充填カラムにおいて充填剤の充填状態、位置を保持し、又粉末状充填剤の流失を防ぐために該カラムの充填剤の充填部両端(カラム上下位置)に装着して使用するフィルターは、充填剤粉末粒子の流出を防止し且つクロマトグラフィーに使用される薬剤、移動相溶媒と反応性がなく膨潤、溶解しない材質性状の物である必要があり、又粉末状充填剤細粒を通さない微細径の物である必要があるため、高分子量・高密度ポリエチレン或いはポリプロピレンよりなる孔径1〜40μmのフィルター(不織布フィルターや発泡体フィルター等)であることが望ましい。
【0025】
又本発明において使用される、カラム形成用円筒容器2及びカラム形成用円筒容器キャップ3を構成する熱可塑性樹脂は、射出成型能がよく物性優秀で、クロマトグラフィー実施における薬剤、移動相溶媒と応性がなく溶解、膨潤しないこと、及び超音波溶着能に優れることが必要であり、かかる観点からポリスチレン、ポリカーボネート、ポリメタアクリル酸エステル(以上が透明性のあるカラム構成材料)、高分子量・高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアセタール等及びこれ等の共重合体の内から選定して使用される。
【実施例】
【0026】
上記に、本発明のクロマトグラフィー用充填カラムの構成並びに製造方法につき説明し、技術内容を開示したが、以下に本発明のクロマトグラフィー用充填カラムの性能を実証するために、具体的実施例にて作成したクロマトグラフィー用充填カラムの性状、クロマトグラフィー分析操作における性能等を示してその性能、効果を実証する。
なお、実施例のクロマトグラフィー用充填カラムの性能評価は次の如く行った。
[クロマトグラフィ−用充填カラムの分解能評価]
カラムの分解能即ち、有効理論段数nは次の有効理論段数算出式より評価した。
【0027】
n=5.54×{(t−t)/W }
ここで、 t; ピ−クのテーリングタイム、
; ピークのリテンションタイム
W ; ピークの半値幅 である。
[高速クロマトグラフィー操作条件に於ける液漏れ評価]
(a)高速クロマトグラフィー装置(ファルマシアLKBバイオテクノロジー社製)にクロマトグラフィー用充填カラムを装着するための装着管のみを取り付け、移動相を0.5〜9.0ml/min.まで流量を上げながら流し、流量を上昇させた際の圧損を0.5ml/min.ピッチで測定し、流量vs.圧力A曲線を作成する。
(b)次いで、該装着管に内径0.25mm.長さ35cmのステンレス製の抵抗管を取り付け、(a)と同様に移動相を0.5〜9.0ml/min.まで流量を上げながら流し、流量を上昇させた際の圧損を0.5ml/min.ピッチで測定し、流量vs.圧力B曲線を作成する。
(c)各流量における圧力Bと圧力Aの差から抵抗管の正味圧力を算出し、流量と正味圧力のグラフを作成する。
(d)装着管と抵抗管の間に固相抽出用カートリッジ充填カラム(クロマトグラフィー用充填カラム)試料を装着し、移動相を流量9ml/min.で流した時の圧力Cを測定し、流量9ml/min.で流した時の圧力Bとの差からカラム(出口)圧力を算出した。
(e)該カラム(出口)圧力Cが5.0Kg/cm2となる如く、先に測定した流量と正味圧力のグラフから流量を算出し、その流量で5min.移動相を流した時のカラム形成用円筒容器キャップとカラム形成用円筒容器間接合部位の液漏れ有無の確認を行う。
なお、上記測定、観測は、移動相として粉末充填剤がシリカゲルの時は、イソプロピールアルコールを、粉末充填剤がオクタデシルシリカゲルの際は水を用いて試験を行った。
【0028】
[実施例1]
図1(A)(B)、図2(A)(B)(C)に示した構成を有し次の寸法を有するクロマトグラフィー用充填カラム形成用円筒容器2、該カラム形成用円筒容器キャップ3を、高分子量高密度ポリエチレン(日本ポリエチレン(株)製、ノバテックHB439R)を用い射出成型法で作成し、請求項1に規定した方法に従い、該カラム形成用円筒容器下部に円盤状の厚さ2.4mmで平均孔径30μmの高分子量高密度ポリエチレン製フィルター9((有)プライフ製H-PE-66)を装着し、その上部に粉体充填剤11として粒径75〜150μmのシリカゲル(和光純薬工業(株)製ワコーゲル-C200)を、充填後超音波による充填剤均等・緻密化処理終了後の容積1.33mlになる如く、カラム容積の105容量%に当たる1.40ml投入し、下部フィルター9と同一材質の上部フィルター8を取り付け、該充填剤を充填したカラム形成用円筒容器2をカラム形成用円筒容器キャップ3に挿入合体させ、超音波ウエルダー13の下方溶着用治具12にカラム形成用円筒容器キャップ側を装着、上方治具(ホーン側)14に充填カラム側を装着し、超音波ウエルダー13(精電舎電子工業(株)製 SONOPET−Σ1200S)を用い、カラム形成用円筒容器キャップ3とカラム形成用円筒容器2の接触部の凹凸溶着代部5(4),7(6)に最終圧力が0.205MPaになるよう加圧しながら、19.15KHzの超音波にて出力1020Kwで0.2秒間処理し、続けて19.15KHzの超音波に出力1020Kwで溶着部に加えられた総エネルギーが93Wsとなるまで処理して超音波溶着処理を行った後、その圧力を保ったまま超音波発振開始時から2.001秒後となるまで静止し、その後0.1025MPaで0.0999秒間加圧しながら静置して溶着部位の冷却処理を施すことで充填剤の均質緻密化を行うと共に、該充填剤を充填したカラム形成用円筒容器2とカラム形成用円筒容器キャップ3を溶着一体化し、クロマトグラフィー用充填カラム試料No.3を作成した。
【0029】
なお、該クロマトグラフィー用充填カラム形成用円筒容器の具体的な構成内容構造寸法などは次の図2の通りである。
(図2(B))(円筒状カラム形成用充填剤容器2の寸法)
:35.0mm, L:7.7mm, L:7.9mm, L:6.2mm,
:4.0mm. L:15.5mm, L:10.2mm
(図2(A))(カラム形成用円筒容器キャップ3の寸法)
:19.2mm, L:15.8mm L10:9.9mm L11:6.0mm,
12:4.0mm, L13:2.0mm, L14:22.2mm,
15:21.0mm, L14:22.2mm, L15:21.omm,
16:15.0mm, L17:13.0mm L18:8.0mm,
(図2(C-1)(C-2))(溶着凸部5、溶着凸受部7寸法)
19:0.5mm, L20:1.0mm, L21:0.5mm, L22:0mm
【0030】
同様にして、L20が0mm,0.6mm,5.0mm,7.0mmの充填カラム形成用円筒容器を用いてクロマトグラフィー用充填カラムNo.1,No.2,No.4,No.5を得た。
また同様に、Lが15.8mmのカラム形成用円筒容器2とL10が10.2mmのカラム形成用円筒容器キャップ3、Lが15.7mmのカラム形成用円筒容器2とL10が10.1mmのカラム形成用円筒容器キャップ3、Lが15.3mmのカラム形成用円筒容器2とL10が9.7mmのカラム形成用円筒容器キャップ3、Lが14.8mmのカラム形成用円筒容器2とL10が9.2mmのカラム形成用円筒容器キャップ3を用いてクロマトグラフィー用充填カラムNo.6,No.7,No.8,No.9を得た。
【0031】
またNo.1試料と同じカラム形成用円筒容器2とカラム形成用円筒容器キャップ3を用いて、超音波ウエルダーを用いずカラム形成用円筒容器2の上面4に130℃で溶融させた高分子量、高密度ポリエチレンを一面に塗布し、カラム形成用円筒容器キャップ3を挿入し取り付け、カラム形成用円筒容器2の上面4とカラム形成用円筒容器キャップ溶着面6を接触させ、溶融させたポリエチレンが固化する前に4.5Kg/cmの圧力を0.8秒間加え、充分放冷してクロマトグラフィー用充填カラム試料No.10を得た。
得られたクロマトグラフィー用充填カラム試料No.1〜10に、移動相としてヘキサン:アセトニトリル=99:1を35℃にて流速2.0ml/min.で流しながら、ベンゼン:ジメチールフタレート:移動相=1:1:48の試料液を5μl注入した。
これを紫外線吸光光度計(日立製作所(株)製:HITACHI UV Detector L−7405)を用いて254nmの吸収についてクロマトグラフを得、ベンゼンのピークをtとして該クロマトッグラフィー用充填カラムの有効理論段数を算出し、又該カラムの圧力測定、カラムからの液漏れ試験を行った。 その結果を表1に示した。
【0032】
【表1】

【0033】
表から明白な如く、試料No.1の試料は溶着部が0のためカラム形成用円筒容2とカラム形成用円筒容器キャップ3の溶着面4、6で接合する他はなく、溶着が不充分で液漏れする上に、更に超音波振動の伝播状態が不良のためかカラムの分離、分解能を示す有効理論段数が低くなっている。
又逆に試料No.5の試料は溶着部が過大すぎ溶着時に横ずれが発生し異常接合となり液漏れが発生した。
【0034】
これに対し、本発明の規定範囲の試料No.2〜4,7,8の試料は異常接合や液漏れもなく、カラムの分離・分解能を示す有効理論段数についても良好な結果を示している。
又、超音波伝達の障害を除去するためにカラム形成用円筒容器2とカラム形成用円筒容器キャップ3の挿入・嵌め合い部L―L,L―L10に隙間を設けなかった試料No.6の試料は、異常接合が生じた上に、超音波振動の伝播状態が不良のためかカラムの分離・分解能を示す有効理論段数が低くなった。
【0035】
これとは逆に、カラム形成用円筒容器2とカラム形成用円筒容器キャップ3の挿入・嵌め合い部L―L,L―L10を大きく採った試料No.9の試料は、隙間が大き過ぎるため超音波溶着時に横ずれが発生し、横ずれによる異常溶着を招いていることが解った。
また更に、超音波溶着を行わず溶融ポリエチレンによる溶着を試みた試料No.10の試料は、熱圧着のみでクロマトクラフィー用充填カラムの溶着構成が行われるため、溶着が不充分で液漏れが発生する上に、カラム充填剤の均等、緻密化処理がないに等しいため、充填剤の均等、緻密充填状態が不充分で、充填カラムの分離・分解能を示す有効理論段数が低くなった。
なお、溶着凸部5をカラム形成用円筒容器キャップ3側に設け(図2C−3)、溶着凸受部7をカラム形成用円筒容器2側に設け、凹/凸容積比を変化させた実施例11〜15を追加した。本発明の規定範囲の試料No.12〜14の試料は異常接合や液漏れもなく、カラムの分離・分解能を示す有効理論段数についても良好な結果を示している。試料No.15は、凸部に対する凸受部の容積が大きいために変形し、液漏れが発生した。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】(A)は、本発明のクロマトグラフィー用充填カラムの概略断面図、(B)は同斜視図である。
【図2】(A)は、カラム形成用円筒容器キャップの概略断面図、(B)は、カラム形成用円筒容器の概略断面図、(C−1)は、カラム形成用円筒容器の溶着凸部の断面拡大図、(C−2)は、カラム形成用円筒容器キャップの溶着凸受部の断面拡大図である。(C−3)は、カラム形成用円筒容器キャップの溶着凸部の断面拡大図、(C−4)は、カラム形成用円筒容器の溶着凸受部の断面拡大図である。
【図3】クロマトグラフィー用充填カラム製造時の超音波溶着装置の概略図である。
【符号の説明】
【0037】
1 ; クロマトグラフィー用充填カラム
2 ; カラム形成用円筒容器
3 ; カラム形成用円筒容器キャップ
4 ; カラム形成用円筒容器2の溶着面
5 ; 溶着凸部
6 ; カラム形成用円筒容器キャップの溶着面
7 ; 溶着凸受部
8 ; 上部フィルター
9 ; 下部フィルター
10 ; 紛体吸着性充填剤充填室
11 ; 紛体吸着性充填剤
12 ; 超音波溶着用治具(キャップ部用
13 ; 超音波ウエルダー
14 ; 超音波溶着用治具
15; 横位置制御部
L 〜L22 ; 各部位の寸法



【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性合成樹脂製のカラム形成用円筒容器2の円柱状材料充填室10に下部フィルター9を挿着し、粉体充填材料11を充填し、上部フィルター8と熱可塑性合成樹脂製のカラム形成用円筒容器キャップ3とをカラム形成用円筒容器2に取り付けた後、超音波ウエルダー13で加圧下充填カラム1に振動を与えながらカラム形成用円筒容器2とカラム形成用円筒容器キャップ3とを一体化させる固相抽出用カートリッジ充填カラムの製造方法において、カラム形成用円筒容器2とカラム形成用円筒容器キャップ3の溶着面4及び6のいずれか一方に、溶着凸部5を連続的に配し、他方に溶着凸部5の断面積に対して0〜80%の断面積を有する溶着凸受部7を連続的に配すること、および溶着凸部5の高さL20と溶着凸受部7の深さL22の差L20−L22が0.6mm〜5.0mmの範囲であることを特徴とする固相抽出用カートリッジ充填カラムの製造方法。
【請求項2】
前記溶着凸部5の高さL20と溶着凸受部7の深さL22の差L20−L22が粉体の充填高さの1/30〜1/3の範囲である請求項1記載の固相抽出用カートリッジ充填カラムの製造方法。
【請求項3】
前記溶着凸部5の断面積と溶着凸受部7の断面積の差が0.09mm 〜12.50mmの範囲である請求項1記載の固相抽出用カートリッジ充填カラムの製造方法。
【請求項4】
前記カラム形成用円筒容器2と前記カラム形成用円筒容器キャップ3のいずれか一方に、溶着位置の横ズレを抑える横位置制御部15を備え、実質的に溶着は凸部5の接点で行われ、超音波処理による振動を阻害しないよう、横位置制御部15と横位置制御部15に相対する横位置制御受け部16との円周上の間隔差L9−L6およびL7−L10が0.1mm〜0.5mmの範囲を有することを特徴とする請求項1記載の固相抽出用カートリッジ充填カラムの製造方法。
【請求項5】
前記カラム形成用円筒容器キャップ3を超音波ウエルダー13の治具12にセットし、前記カラム形成用円筒容器2をホーン側として長音波融着処理することを特徴とする請求項1記載の固相抽出用カートリッジ充填カラムの製造方法。
【請求項6】
前記超音波ウエルダー13に溶着する条件が、周波数8〜25kHz、出力400W〜3kWの範囲の超音波を、0.2〜11秒、最終圧力0.1〜0.6MPaの範囲で処理することを特徴とする請求項1記載の固相抽出用カートリッジ充填カラムの製造方法。
【請求項7】
前記超音波ウエルダー13に溶着する条件が、周波数8〜25kHz、出力400W〜1.1kWの範囲の超音波を、0.05〜8秒、最終圧力0.1〜0.6MPaの範囲で処理した後、続けて周波数8〜25kHz、出力900W〜3kWの範囲の超音波を、0.05〜8秒、最終圧力0.1〜0.6MPaの範囲で処理することを特徴とする請求項1記載の固相抽出用カートリッジ充填カラムの製造方法。










【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−250862(P2009−250862A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−101258(P2008−101258)
【出願日】平成20年4月9日(2008.4.9)
【出願人】(000005359)富士紡ホールディングス株式会社 (180)
【出願人】(000252300)和光純薬工業株式会社 (105)
【Fターム(参考)】