土壌及び地下水浄化システム
【課題】 経験豊富で専門知識のあるオペレータがいなくても的確な浄化処理を自動的に行えるシステムを提供する。
【解決手段】 複数の注入井1及び複数の揚水井2の検出情報に基づいて現在の状態が予め記憶された特定パターンのどのパターンに該当するかを制御部が判別し、各特定パターンに対応する駆動情報に基づいて注入側駆動部38と揚水側駆動部39を駆動して、浄化処理において好ましい状態へ変化させる制御部25と備えている。
【解決手段】 複数の注入井1及び複数の揚水井2の検出情報に基づいて現在の状態が予め記憶された特定パターンのどのパターンに該当するかを制御部が判別し、各特定パターンに対応する駆動情報に基づいて注入側駆動部38と揚水側駆動部39を駆動して、浄化処理において好ましい状態へ変化させる制御部25と備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は原位置での汚染土壌、汚染地下水の少なくとも一方を浄化するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
各種の汚染物質により汚染された土壌を原位置で浄化する方法として、汚染領域を挟んで注水井と揚水井とを設置し、汚染領域に水を通水させて土壌を洗浄する通水洗浄法が知られている。
また、汚染領域に存在する好気性微生物を利用して汚染物質を分解するバイオレメディエーション法を用いた汚染土壌浄化方法が知られている。例えば、下記特許文献1には汚染領域に通水させる水に予め酸素や微生物の繁殖に好ましい栄養素を含めて土壌の好気性微生物を活性化させるとともに、通水させることによる洗浄効果も併せ持たせる方法がある。
近年、注入する水に微細気泡を含ませ、土壌中の好気性微生物を活性化する方法も提案されている。
【0003】
【特許文献1】特開平10−216696
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術を用いても下記のような課題がある。
(A)土壌汚染された土地は、汚染物質の種類、濃度、地下水の状態、土壌の種類など千差万別であり、個々の汚染土壌に対応した微生物液を含んだ注入水を供給することが必要になる。また、揚水井から揚水される揚水の量や汚染物質の種類、濃度を検出することで注入水の圧力、注水量や特性を変えていくこと効果的な浄化処理には不可欠である。しかしながら、汚染領域に応じて時には数百本に達する注入井、揚水井の状態を現場作業員が的確に把握することは難しく、長期間にわたって画一的かつ定型的な注入水の注入にならざるを得ない課題があった。
【0005】
(B)特に汚染物質が石、砂利、岩、砂、シルトなどの土壌構成物に強固にこびり付いて塊になった箇所には全く注入水が浸透せず、前記塊になった高濃度汚染領域を避けて注入井と揚水井の間にバイパス路ができて、そのバイパス路を注入水が素通りしてしまう課題があった。
(C)一般に汚染土壌に水を注入して洗浄する場合は、その注入による浄化効果が具体的に分からないために現場作業員の経験による試行錯誤的な注入が行われて、浄化期間が長くなる課題があった。例えば、注入井と揚水井において圧力が高まって充分な水の注入ができない、揚水井からの揚水量が予想された水量に比べて著しく少ない、長期間注入処理を行っても揚水井から汚染物質が浮上していない等の特定状態を把握できない場合が多かった。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、上記課題を解決できる、土壌及び地下水浄化システムを提供することにある。
具体的な目的の一例を示すと、以下の通りである。
(a)経験豊富で専門知識のあるオペレータがいなくても的確な浄化処理を自動的に行えるシステムを提供する。
(b)多数の管において注水と揚水を管理して、各種の異常事態の発生に際しても迅速に対処できるシステムを提供する。
(c)多種多様な原位置での浄化処理において、浄化処理の状態を的確に知らせることができて、オペレータの判断が的確に行える情報を提供できるようにする。
なお、上記に記載した以外の発明の課題、その解決手段及びその効果は、後述する明細書内の記載において詳しく説明する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は多面的に表現できるが、例えば、代表的なものを挙げると、次のように構成したものである。なお、下記各発明において、各符号は後述する実施形態との対応関係を分かりやすくするために一例として示したものであり、本発明の各構成要素は、実施形態に記載した符号に係る構成に限定されないことは言うまでもない。
本発明の第1発明に係る土壌及び地下水浄化システムは、汚染物質の汚染分布に基づいて原位置に形成された複数の注入井1及び複数の揚水井2と、前記注入井1側の注入量,特性などの注入状態を検出する注入側検出手段36と、前記揚水井2側の揚水量,汚染物質量などの揚水状態を検出する揚水側検出手段37と、前記注入井1の注入状態を変化させる装置を駆動する注入側駆動手段38と、前記揚水井2の揚水状態を変化させる装置を駆動する揚水側駆動手段39と、
前記注入側検出手段36からの検出情報と前記揚水側検出手段37からの検出情報に基づいて前記注入側駆動手段38と前記揚水側駆動手段39の少なくとも一方を駆動情報によって駆動して浄化処理において好ましい状態へ変化させる制御手段25とを有し、
前記制御手段25は、前記検出情報の特定パターンを記憶した特定パターン記憶手段61と、前記検出情報に基づいて現在の状態が前記特定パターンのどのパターンに該当するかを判別する判別手段60と、前記各特定パターンに対応する前記駆動情報を記憶した駆動情報記憶手段62とを備えることを特徴とする。
なお、本発明に係る「土壌及び地下水浄化システム」とは原位置において土壌と地下水の少なくとも一方を浄化するシステムとして記載している。
上記本発明であれば、注入状態と揚水状態の検出情報に基づいて、制御手段が浄化処理において好ましい状態へ変化させるので、自動的に浄化処理を的確に行うことが可能になる。また、特定パターンとそのパターンに対応した駆動情報を記憶しているので、それぞれの特定パターンに対応して的確な処理を各駆動手段に動作させて、浄化処理を最適化及び効率化することができる。
また、揚水井から検出される検出情報などに基づいて経験豊富なオペレータが常時、判断しなくてもある一定レベルの浄化処理を効率的に行うことができる。
【0008】
本発明の第2発明は、上記構成において、前記注入井1に注入状態を調整するための注入側バッファ槽12を設け、前記注入側検出手段36を前記注入側バッファ槽12に設けたことを特徴とする。
なお、注入側バッファ槽は各注入井に設けることが好ましいが、複数個の注入井に連通した構成とすることもできる。
第2発明であれば、注入側バッファ槽を設けることで、注入井における注入状態を制御しやすくなる。
本発明の第3発明は、上記構成において、前記揚水井2からの揚水状態を検出するための揚水側バッファ槽13を設け、前記揚水側検出手段37を前記揚水側バッファ槽13に設けたことを特徴とする。
なお、揚水側バッファ槽は各揚水井に設けることが好ましいが、複数個の揚水井に連通した構成とすることもできる。
第3発明であれば、揚水側バッファ槽を設けることで揚水状態を検出しやすくなる。
【0009】
本発明の第4発明は、上記構成において、前記注入側バッファ槽12に微生物供給装置27と超微細気泡発生装置26を設けたことを特徴とする。
第4発明であれば、汚染物質を分解する能力の高い微生物を注入液に含ませることにより、浄化速度を高めることができる。また、超微細気泡を注入液に含ませることで汚染物質を土壌構成物から剥離する微生物の働きを高めることができる。
本発明の第5発明は、上記構成において、表示装置48を有し、前記制御手段25が、前記注入井1と前記揚水井2の配置と、前記注入井1と前記揚水井2から検出される検出情報と、前記特定パターンに係る注入井1又は揚水井2を特定する位置情報と、判別された前記特定パターンに係るオペレータへの案内情報とを前記表示装置48に出力することを特徴とする。
案内情報の一例としては、特定パターンを説明する文章、対応する処理を説明する文章、記号、注意情報などがある。
第5発明であれば、表示装置を見た者は現在の汚染浄化の進捗状況や、異常発生管の位置を即座に把握することができる。特に、異常状態が発生した場合に迅速に対応することができる。
【0010】
本発明の第6発明は、上記構成において、前記制御手段25が、各汚染物質の汚染度合いを容易に把握できる2次元又は3次元の表示形態で前記注入井1と前記揚水井2の配置とともに表示する表示情報を前記表示装置48に出力することを特徴とする。
表示情報は各汚染物質についてそれぞれ生成されることが好ましい。
第6発明であれば、表示装置を見た者は汚染物質の分布状況を常に表示できるので、注入情報、揚水情報及び特定パターン状態を検討、判断する場合に状況を把握しやすくなる。
本発明の第7発明は、上記構成において、前記注入側駆動手段38が注入用ポンプ30であり、前記揚水側駆動手段39が揚水用ポンプ32であることを特徴とする。
第7発明であれば、注入用ポンプの駆動度合いを変えることで注入量及び注入圧力を変更することができる。また、揚水用ポンプの駆動状態を高めることで土壌中の滞在水の流れを促進して浄化速度を高めることができる。
【0011】
本発明の第8発明は、上記構成において、前記揚水側検出手段39が揚水側バッファ槽13に設けられた汚染物質検出装置24であることを特徴とする。
汚染物質の検出に際しては、ガス検出装置、液中の汚染物質を光学的な手法で検出する装置などの比較的短時間で検出できるセンサ手段を採用することが好ましい。
第8発明であれば、各揚水井から揚水される汚染物質を検出することによって浄化度合いを検出することが可能になる。
本発明の第9発明は、上記構成において、前記制御手段25の判別手段60が前記特定パターンであると判別したときに、その特定パターンに関係する前記注入側バッファ槽12に設けられた前記微生物供給装置27の微生物量を増減することを特徴とする。
上記第9発明であれば、特定パターンに対応して微生物量を調整すれば浄化処理を的確に行える場合がある。
【0012】
次に、上記本発明に適用可能な構成について説明する。
前記注入側検出手段36が当該注入井1における水の注入しやすさの程度を示すパラメータを検出するセンサ手段を備えることもできる。このパラメータとしては注入井の圧力、前記注入側バッファ槽の水位の高さが例示できる。
また、前記注入側バッファ槽12に溶存酸素検出装置68を設けることもできる。
また、前記揚水側検出手段37が揚水量に比例するパラメータを検出するセンサ手段を備えることもできる。このセンサ手段としては、流量計、揚水圧力が例示できる。
また、前記制御手段25がオペレータの許可入力を検出したときのみ前記駆動情報を前記各駆動手段38・39に出力するように構成できる。この構成であれば、専門オペレータが許可した駆動情報のみが駆動手段に出力されるので専門オペレータの判断を考慮した浄化処理を実現することができる。
前記位置情報に基づいて注入井又は揚水井を特定する表示としては、その特定パターンに係る注入井又は揚水井を点滅又は強調表示する方法がある。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように、本発明であれば従来技術の各課題を解決して、経験豊富で専門知識のあるオペレータがいなくても的確な浄化処理を自動的に行える。また、多数の各井において注水と揚水を管理して、自動的に浄化処理を行えるとともに、各種の異常事態の発生に際しても迅速に対処できる。さらに、多種多様な現場においても浄化処理の状態を的確に知らせることができてオペレータの判断が的確に行えるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1は本実施形態に係る土壌・地下水汚染物質の分解浄化システムを示す概略構成図、図2は注入井と揚水井の平面配置の一例を示す図、図3は注入井と揚水井の断面図、図4は各井の作用部における注入,吸入の様子を示す図である。
この土壌浄化システムは、土壌汚染物質(油類・農薬・揮発性有機化合物・重金属・その他)に汚染された土壌に複数本の注入井及び揚水井を打ちこむとともに通常は汚染土壌の周囲を遮水壁で囲んだ状態で使用されるものである。
【0015】
図2に示すように、まず、汚染領域6を通過するように注入井1と揚水井2を例えば平面視において格子状に打ち込む。注入井1と揚水井2の配設間隔は汚染濃度が高いところは密度を高く設定し、汚染濃度が低いところは密度を低くするが図2においては等密度に設定した例が示してある。また、図4に示すように通常、各井1,2は管で構成され、各井1,2の作用部(主に先端部域)の周壁には孔3が多数設けられている。注入井1の孔3から放射状に放出された注入水4は土壌中を流れ、揚水井2の周壁の孔3から吸引される。
【0016】
図1及び図3に示すように、地中の構造は主に地下水が流れている地下水層7と、その上層の汚染土壌層8と地下水層7の下にある不透水層9とからなっている。汚染物質の多くは汚染土壌層8に存在し、特に各層の境界部分に多く存在している。例えば、油などの汚染物質は、粘土質や土壌中の有機物に吸着されやすく、汚染物質が徐々に地下水中に離脱していくので地下水層7にも汚染物質が含まれることになる。よって、注入井1と揚水井2は、地下の地下水層7にも十分達する深さに掘削される。また、浄化処理領域は遮水壁10によって周囲に拡散しないように区画する。
【0017】
図1に示すように、本実施形態に係る浄化システムは、注入井1及び揚水井2と、注入井1に連通される注入側バッファ槽12と、揚水井2に連通される揚水側バッファ槽13と、揚水側バッファ槽13からの揚水を一時的に溜める汚水槽14と、汚染物質を分解するバイオリアクター15と、水処理装置16と、水処理装置16で処理された水を溜める貯水槽17とを含んで構成してある。
この構成では揚水井2からの揚水の大部分は、揚水側バッファ槽13、汚水槽14、バイオリアクター15、水処理装置16、貯水槽17、注入側バッファ槽12を経て注入井1に再注入されるので循環管路18が形成されることになる。
【0018】
注入井1と注入側バッファ槽12の間には弁装置29と注水用ポンプ30を設けてある。揚水井2と揚水側バッファ槽13の間にも弁装置31と揚水用ポンプ32を設けてある。
注入側バッファ槽12は各注入井1に注入される水の性質、状態を変えるために設けられたものであり、超微細気泡発生装置26と微生物供給装置27を備えている。これらの装置26,27は後述する駆動情報によって駆動される。また、微生物供給装置27は複数個設けられる場合が多い。
揚水側バッファ槽13は各揚水井2の揚水量や汚染物質の汚染濃度を検出するために設けられたものであり、汚染物質の特定などを行う汚染物質検出装置24が設けてある。必要により、水位計又は流量計が設けられる。
【0019】
図1に示す構成では1本の注入井1に対して1個の注入側バッファ槽12が設けられている例が示してあるが、複数本の注入井1に対して1個の注入側バッファ槽12を連通させてもよい。この場合は複数本の注入井1の注入状態が単一の注入側バッファ槽12の状態で同じように変更されることになる。また、同様に複数本の揚水井2に対して1個の揚水側バッファ槽13を連通させてもよい。この場合は複数本の平均の揚水量や平均の汚染濃度が検出されることになる。前記複数本は2〜3本であることが好ましい。
水処理装置16は調整槽、浮上分離槽、沈殿槽、沈殿物滞在槽、フィルタープレス(全て図示せず)などで構成される。
【0020】
バイオリアクター15は少なくともその原位置の土中微生物を含む微生物を増殖させる装置であり、短時間で油などの汚染物質を微生物の作用でほぼ完全に分解する能力のあるものが構成してある。本実施形態のバイオリアクター15は微生物培養装置20と微生物発酵分解槽21と微生物供給装置22を含んで構成してある。なお、バイオリアクター15にも汚染物質検出装置34が取り付けてある。汚染物質検出装置34は汚染物質の種類や濃度などを検出する。
【0021】
このバイオリアクター15は、揚水井2から揚水された地下水に含まれる土中微生物を微生物培養装置20によって増殖させ、微生物発酵分解槽21において微生物によって発酵などによって分解するものである。このバイオリアクター15は汚染物質の種類に応じて適切なタイプを選択使用することができ、汚染物質分解菌の生育に必要な栄養源を添加したり、バイオリアクター15内の微生物培養装置20において温度、酸素濃度を分解細菌の生育に適する条件に維持してその細菌を増殖させる。
バイオリアクター15は嫌気性バイオリアクターと好気性バイオリアクターの両方機能を備えている。例えば、好気性細菌と嫌気性細菌を用いる場合は超微細気泡を用いた分解槽を採用するとともに当該分解槽内又は別の分解槽において食物連鎖的な好気性細菌と嫌気性細菌の共同分解機能によって汚染物質を分解する。
ガソリン、軽油等の油汚染であれば、特定パターンの判別と注入側バッファ槽12による制御とバイオリアクター15の働きを組み合わせることで従来、2年ほど要した浄化期間を1〜3ヶ月程度で実施できるようになる。
【0022】
本実施形態において採用される汚染物質の分解能を有する微生物は、分解すべき汚染物質に応じて選択されるもので特に限定されない。
例えば、主な微生物を例示すると以下の通りである。
シュードモナス(Pseudomonas)属、バチルス(Bacillus)属、ニトロソモナス(Nitrosomonas)属、エシェリチア(Esherichia)属、バルクホルデリア(Burkholderia)属、アルカリゲネス(Alcaligenes)属、アシネトバクター(Acinetobacter)属、モラセラ(Moraxella)属、ビブリオ(Vibrio)属、ノカルジア(Nocardia)属、アルスロバクター(Arthrobacter)属、ミクロコッカス(Micrococcus)属、ラクトバチルス(Lactobacillus)属、アクロモバクター(Achromobacter)属、マイコバクテリウム(Mycobacterium)属、メチロシナス(Methylosinus)属、メチロモナス(Methylomonas)属、ベルキア(Welchia)属、メチロシスチス(Methylocystis)属などである。なお、投与する微生物は3〜15種類の混合で用いることが多い。原位置の細菌を増殖する場合は100種類を超える細菌を増殖する場合もある。
【0023】
図5は本システムの制御部と各検出部と各駆動部の構成例を示すブロック図である。
本システムの制御系は、大別すると、全体的な制御を行う制御部25と、注入側検出部36と、揚水側検出部37と、注入側駆動部38と、揚水側駆動部39とを備えている。必要に応じて、バイオリアクター駆動部65を設けてもよい。
注入側検出部36は注入用ポンプ30の圧力検出部41、流量計42、注入側バッファ槽12の水位計45などと、インターフェイス部46を備えている。圧力検出部41と流量計42は注入用ポンプ30の圧力等を検出することで代用される場合が多い。水位計45はその注入井の注入しやすさを示す指標として検出される。微生物検出装置67と溶存酸素検出装置68を必要により設けて、実際の注入側バッファ槽12の状態を検出できるようにしてもよい。
揚水側検出部37は、汚染物質の種類、汚染濃度等を検出する汚染物質検出装置24、揚水用ポンプ32の圧力検出部51、インターフェイス部54とを備えている。必要により流量計52と、揚水側バッファ槽13の水位計53を設けてもよい。
注入側駆動部38は、注入用ポンプ30、弁装置31、微生物供給装置27、超微細気泡発生装置26、インターフェイス部56とを備えている。必要により添加供給装置44を設けてもよい。
揚水側駆動部39は、揚水用ポンプ32と弁装置31とインターフェイス部58とを備えている。
【0024】
図6は制御部の機能的なブロック図の一例を示す図である。
制御部25は、判別部60と、特定パターン記憶部61と、駆動情報記憶部62と、表示情報・案内情報記憶部63とを備えている。また、制御部25には表示装置48が接続されている。
制御部25の判別部60には各検出部36・37からの検出情報と、必要によりバイオリアクター15からの汚染物質情報を含む検出情報が入力される。判別部60は、所定時間間隔で得られるパターンを予め特定パターン記憶部61に格納された特定パターンと比較、判別する。
【0025】
上記特定パターンは図5に示す各センサ手段からの検出情報の集合(検出値の状態表とも言える)で定まるものである。例えば、パターンとして取り得るものの例としては、一つの揚水井を特定した場合にその揚水量と周囲の注入井の注入量との比や、その時間的な推移特性、揚水から検出される汚染物質の時間的な推移特性、所定値を超える汚染物質の変化などが例示できる。
判別部60で判別されるパターンは所定期間毎に各バッファ槽12,13で検出される検出情報に基づいている。なお、特定パターンは定常浄化処理又は異常対処処理に対応して予め記憶されている。
なお、特定パターンは単一の揚水井から得られるものや、揚水井を囲む周囲の注入井又は揚水井の検出情報との関係において得られるものもある。
【0026】
次に、上記制御部を備えた処理について説明する。
まず、図2に示すように注入井1と揚水井2が格子状の形成された原位置を考える。
地下水の流れ影響、土質の状態がボーリング調査等からほぼ均一であると考えられる場合に所定領域の注入井1に等しい流量で同じ微生物条件で注入した場合、その所定領域内にある揚水井2からはほぼ同じ流量の揚水が流出され、例えば各揚水井の1日間の汚染物質の浮上量はボーリング調査で予想した範囲内に収まるはずである。しかし、何らかの理由で一つの揚水井2の流量が著しく少ない、他の揚水井2の汚染物質の量が著しく多い、又は汚染物質の量が著しく少ない等の異常現象が見られた場合には、個々に対応することが必要になる。
これらの異常現象に対する対処は試行錯誤的であり、定型的な手法が確立されている訳でない。つまり、微生物の性質及び原位置での土壌浄化の経験を積んだ専門作業員の経験と勘による職人芸的な対処で行われているのが現状である。このような方法では、浄化処理の方法論及びノウハウが、誰でも利用できる技術として蓄積されない。したがって、従来の方法では汚染物質がほとんどない注入井と揚水井のバイパス路でのみ延々と水注入をし続けて浄化処理期間を長くしたり、上記異常現象を見逃して、汚染物質を拡散させたりするという不都合が現実に生じているのである。
このような課題に対して本実施形態では、制御部が各注入井、各揚水井の状態、バイオリアクター15の状態を検出して、その状況がどのような状態であり、どのように浄化処理を行えばよいかを表示するとともに簡単な異常事態を自動的に対処できるようにする。また、各注入井、各揚水井の状態を検出情報に基づいて変えることができるように、注入側バッファ槽12、揚水側バッフア槽13を所定数の井毎に設けるのである。
【0027】
図7は制御部が行う基本制御を示すフローチャートである。
まず、揚水側バッフア槽13が設けられた揚水井1の単位において揚水情報を検出し(S1)、注入側バッフア槽12が設けられた注入井1の単位において注入情報を検出し(S2)、制御部25の所定の記憶部に既に記憶されている井の位置情報に対応させて揚水情報、注入情報を検出情報として格納する(S3)。次に格納された各検出情報の関係において、予め記憶部に記憶されている特定パターンと一致するパターンがあるか否かを判別部60が判別し(S4)、特定パターンと一致するパターンがある場合は、その特定パターンに対応する駆動情報を駆動情報記憶部62から読み出して注入側駆動部38又は/及び揚水側駆動部39へ出力する(S5)。また、S5の駆動情報の出力は必要に応じてバイオリアクター15の各種の駆動装置にも出力される。
【0028】
図8は制御部に接続された表示装置との関係を付加した制御フローチャートである。
本処理においてもS11〜S14までの処理は図7に示したS1〜S4の処理と同様である。
特定パターンに合致すると判別された場合は、制御部25は、表示情報・案内情報記憶部63に基づいて、前記特定パターンに合致する注入井1、揚水井2と経路を特徴的に示す位置を示した表示情報を表示装置48に出力し(S15)、制御部25は、対応する特定パターンの案内情報を表示情報・案内情報記憶部63から読み出して表示装置48に出力し(S16)、その対応処理を行うことを許可するオペレータの許可入力を待って(S17)、許可入力があった場合にその対応処理の駆動情報を各駆動部に出力する(S18)。
必要により、ステップ17を設けることで、特定パターンに合致する各井1,2と経路を表示することで重要な判断についてはオペレータによる判断を仰ぐことができる。
【0029】
以下、上記図7及び図8に示す処理についてさらに説明する。
注入井と揚水井において、その経路に把握されていない汚染固着ポイント(例えばタールの塊のようなもの)があり、一の揚水井の流出量が少ない場合がある。
このような場合、その汚染固着ポイントに影響を及ぼすと予想できる注入井の圧力と流量を増加させれば、土壌構成物からの汚染物質を促進できる。さらに前記注入井の注入圧力と流量を増加させるとともに地下水の過度の上昇を招かない程度に周囲の揚水井の流出量を少なくするように制御すれば、行き場を失った注入水は前記汚染固着ポイントの領域に充満して汚染物質の剥離機能を向上できる。
【0030】
このように揚水井の流量検出のパラメータだけでも影響を及ぼす注入井の注入条件を好ましい方向に変えることによって浄化速度を向上できるともに、汚染固着ポイントの崩壊を促進できる。このような制御は、特定の揚水井から排出される汚染物質が著しく多い場合にも同様に適用できる。
また、ボリーリング調査した汚染物質の濃度を遙かに上回る汚染物質が流失した揚水井近くには、ボリーリング調査では把握されていない高濃度汚染領域(ホットポイント)が存在する可能性が高く、一度、注入処理を中断して再度、ボリーリング調査するなどの対処が必要になる。本構成であれば素早くこの異常状態を検出して、制御部の自動判断で注入処理を中断することも可能になる。
また、圧力と流量による変化だけでなく、微生物量の増加、超微細気泡の増減においても同様に適用が可能で、各要素を組み合わせて制御することが可能である。前記バイオリアクター15を含む微生物を利用した組み合わせは汚染土壌からの汚染物質の除去をノウハウとして蓄積している専門家の経験データ、ノウハウを利用する。この微生物選択及び注入量の制御は、汚染物質の種類、土質、地下水の状況などによって条件が変わる経験則の蓄積として特定パターンが設定される。
【0031】
図9は表示装置の画面を示し、特定パターンと判別された注入井と揚水井及び経路を表示した一例の図である。図10も表示装置の画面を示し、案内情報の一例を示す図である。
図9において特定パターンの位置情報で示される注入井は黒丸、揚水井は黒四角で表示し、特定パターンに係る経路は破線で示してある。判別部によって判別された特定パターンは、その特定パターンの種類に従って、a−1,b−2,c−2,d−1のように特定パターン記号が付けられる。
図10に示すように表示装置の画面には、各井ナンバーと、特定パターン記号と、特定パターンの説明と、対処処理の説明と、自動処理を制御部で実行しているか否かの情報と、許可入力の有無の表示が、判別された特定パターン毎に行われる。
この表示は図9に示す各井の表示とともに行われる。
なお、図10において各井ナンバーは省略して記載してある。
上記表示事項において、「特定パターンの説明」と「対処処理の説明」は案内情報の代表的なものである。
【0032】
図11は所定期間間隔で各検出部に係る記憶部の蓄積データにおいて、各井の一つを選んで、走査する方法の一例を示したフローチャートである。
この例では走査の基準を揚水井に取っている。
制御部が操作プログラムに従って汚染浄化領域の一の揚水井を選択して、記憶部に記憶されている所定期間毎の揚水情報を取得し(S21)、選択された揚水井に影響を及ぼす注入井を特定し(S22)、その特定された注入井の注入情報を記憶部から取得し(S23)、記憶部に記憶されている特定パターンと比較し(S24)、一致した特定パターンに対応する井と経路等の位置情報を表示等のために記憶し(S25)、一致した特定パターンに係る表示情報及び案内情報を記憶し(S26)、次の揚水井に走査を移動してS21に戻る(S27)
上記フローチャートにおいて走査基準を注入井にすることも可能である。また、S22において選択された揚水井に影響を及ぼす井として周囲の揚水井が加わる場合もある。
なお、制御部に構成される本システムは、インターネットなどのネットワークのサーバに設置することも可能で、生体認証などのアクセス条件を満たすことによって世界中からアクセス可能に構成することもできる。
また、本システムは、肥料などによって汚染された農業用土壌にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】図1は実施形態に係る土壌・地下水浄化システムを示す概略構成図。
【図2】図2は注入井と揚水井の平面配置の一例を示す図。
【図3】図3は注入井と揚水井の断面配置の一例を示す図。
【図4】図4は井の作用部における注入、吸入の様子を示す図。
【図5】図5は本システムに係るブロック図。
【図6】図6は制御部の機能的なブロック図の一例を示す図。
【図7】図7は制御部が行う基本制御を示すフローチャート。
【図8】図8は表示装置との関係を付加したフローチャート。
【図9】図9は実施形態に係る表示装置の画面を示す図。
【図10】図10は図9の画面とともに表示される情報を示す図。
【図11】図11は制御部が行うフローチャートの一例。
【符号の説明】
【0034】
1…注入井、2…揚水井、12…注入側バッファ槽、13…揚水側バッファ槽、24…汚染物質検出装置、25…制御部、26…超微細気泡発生装置、27…微生物供給装置、30…注入用ポンプ、32…揚水用ポンプ、36…注入側検出部、37…揚水側検出部、38…注入側駆動部、39…揚水側駆動部、48…表示装置、60…判別部、61…特定パターン記憶部、62…駆動情報記憶部、63…表示情報・案内情報記憶部。
【技術分野】
【0001】
本発明は原位置での汚染土壌、汚染地下水の少なくとも一方を浄化するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
各種の汚染物質により汚染された土壌を原位置で浄化する方法として、汚染領域を挟んで注水井と揚水井とを設置し、汚染領域に水を通水させて土壌を洗浄する通水洗浄法が知られている。
また、汚染領域に存在する好気性微生物を利用して汚染物質を分解するバイオレメディエーション法を用いた汚染土壌浄化方法が知られている。例えば、下記特許文献1には汚染領域に通水させる水に予め酸素や微生物の繁殖に好ましい栄養素を含めて土壌の好気性微生物を活性化させるとともに、通水させることによる洗浄効果も併せ持たせる方法がある。
近年、注入する水に微細気泡を含ませ、土壌中の好気性微生物を活性化する方法も提案されている。
【0003】
【特許文献1】特開平10−216696
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術を用いても下記のような課題がある。
(A)土壌汚染された土地は、汚染物質の種類、濃度、地下水の状態、土壌の種類など千差万別であり、個々の汚染土壌に対応した微生物液を含んだ注入水を供給することが必要になる。また、揚水井から揚水される揚水の量や汚染物質の種類、濃度を検出することで注入水の圧力、注水量や特性を変えていくこと効果的な浄化処理には不可欠である。しかしながら、汚染領域に応じて時には数百本に達する注入井、揚水井の状態を現場作業員が的確に把握することは難しく、長期間にわたって画一的かつ定型的な注入水の注入にならざるを得ない課題があった。
【0005】
(B)特に汚染物質が石、砂利、岩、砂、シルトなどの土壌構成物に強固にこびり付いて塊になった箇所には全く注入水が浸透せず、前記塊になった高濃度汚染領域を避けて注入井と揚水井の間にバイパス路ができて、そのバイパス路を注入水が素通りしてしまう課題があった。
(C)一般に汚染土壌に水を注入して洗浄する場合は、その注入による浄化効果が具体的に分からないために現場作業員の経験による試行錯誤的な注入が行われて、浄化期間が長くなる課題があった。例えば、注入井と揚水井において圧力が高まって充分な水の注入ができない、揚水井からの揚水量が予想された水量に比べて著しく少ない、長期間注入処理を行っても揚水井から汚染物質が浮上していない等の特定状態を把握できない場合が多かった。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、上記課題を解決できる、土壌及び地下水浄化システムを提供することにある。
具体的な目的の一例を示すと、以下の通りである。
(a)経験豊富で専門知識のあるオペレータがいなくても的確な浄化処理を自動的に行えるシステムを提供する。
(b)多数の管において注水と揚水を管理して、各種の異常事態の発生に際しても迅速に対処できるシステムを提供する。
(c)多種多様な原位置での浄化処理において、浄化処理の状態を的確に知らせることができて、オペレータの判断が的確に行える情報を提供できるようにする。
なお、上記に記載した以外の発明の課題、その解決手段及びその効果は、後述する明細書内の記載において詳しく説明する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は多面的に表現できるが、例えば、代表的なものを挙げると、次のように構成したものである。なお、下記各発明において、各符号は後述する実施形態との対応関係を分かりやすくするために一例として示したものであり、本発明の各構成要素は、実施形態に記載した符号に係る構成に限定されないことは言うまでもない。
本発明の第1発明に係る土壌及び地下水浄化システムは、汚染物質の汚染分布に基づいて原位置に形成された複数の注入井1及び複数の揚水井2と、前記注入井1側の注入量,特性などの注入状態を検出する注入側検出手段36と、前記揚水井2側の揚水量,汚染物質量などの揚水状態を検出する揚水側検出手段37と、前記注入井1の注入状態を変化させる装置を駆動する注入側駆動手段38と、前記揚水井2の揚水状態を変化させる装置を駆動する揚水側駆動手段39と、
前記注入側検出手段36からの検出情報と前記揚水側検出手段37からの検出情報に基づいて前記注入側駆動手段38と前記揚水側駆動手段39の少なくとも一方を駆動情報によって駆動して浄化処理において好ましい状態へ変化させる制御手段25とを有し、
前記制御手段25は、前記検出情報の特定パターンを記憶した特定パターン記憶手段61と、前記検出情報に基づいて現在の状態が前記特定パターンのどのパターンに該当するかを判別する判別手段60と、前記各特定パターンに対応する前記駆動情報を記憶した駆動情報記憶手段62とを備えることを特徴とする。
なお、本発明に係る「土壌及び地下水浄化システム」とは原位置において土壌と地下水の少なくとも一方を浄化するシステムとして記載している。
上記本発明であれば、注入状態と揚水状態の検出情報に基づいて、制御手段が浄化処理において好ましい状態へ変化させるので、自動的に浄化処理を的確に行うことが可能になる。また、特定パターンとそのパターンに対応した駆動情報を記憶しているので、それぞれの特定パターンに対応して的確な処理を各駆動手段に動作させて、浄化処理を最適化及び効率化することができる。
また、揚水井から検出される検出情報などに基づいて経験豊富なオペレータが常時、判断しなくてもある一定レベルの浄化処理を効率的に行うことができる。
【0008】
本発明の第2発明は、上記構成において、前記注入井1に注入状態を調整するための注入側バッファ槽12を設け、前記注入側検出手段36を前記注入側バッファ槽12に設けたことを特徴とする。
なお、注入側バッファ槽は各注入井に設けることが好ましいが、複数個の注入井に連通した構成とすることもできる。
第2発明であれば、注入側バッファ槽を設けることで、注入井における注入状態を制御しやすくなる。
本発明の第3発明は、上記構成において、前記揚水井2からの揚水状態を検出するための揚水側バッファ槽13を設け、前記揚水側検出手段37を前記揚水側バッファ槽13に設けたことを特徴とする。
なお、揚水側バッファ槽は各揚水井に設けることが好ましいが、複数個の揚水井に連通した構成とすることもできる。
第3発明であれば、揚水側バッファ槽を設けることで揚水状態を検出しやすくなる。
【0009】
本発明の第4発明は、上記構成において、前記注入側バッファ槽12に微生物供給装置27と超微細気泡発生装置26を設けたことを特徴とする。
第4発明であれば、汚染物質を分解する能力の高い微生物を注入液に含ませることにより、浄化速度を高めることができる。また、超微細気泡を注入液に含ませることで汚染物質を土壌構成物から剥離する微生物の働きを高めることができる。
本発明の第5発明は、上記構成において、表示装置48を有し、前記制御手段25が、前記注入井1と前記揚水井2の配置と、前記注入井1と前記揚水井2から検出される検出情報と、前記特定パターンに係る注入井1又は揚水井2を特定する位置情報と、判別された前記特定パターンに係るオペレータへの案内情報とを前記表示装置48に出力することを特徴とする。
案内情報の一例としては、特定パターンを説明する文章、対応する処理を説明する文章、記号、注意情報などがある。
第5発明であれば、表示装置を見た者は現在の汚染浄化の進捗状況や、異常発生管の位置を即座に把握することができる。特に、異常状態が発生した場合に迅速に対応することができる。
【0010】
本発明の第6発明は、上記構成において、前記制御手段25が、各汚染物質の汚染度合いを容易に把握できる2次元又は3次元の表示形態で前記注入井1と前記揚水井2の配置とともに表示する表示情報を前記表示装置48に出力することを特徴とする。
表示情報は各汚染物質についてそれぞれ生成されることが好ましい。
第6発明であれば、表示装置を見た者は汚染物質の分布状況を常に表示できるので、注入情報、揚水情報及び特定パターン状態を検討、判断する場合に状況を把握しやすくなる。
本発明の第7発明は、上記構成において、前記注入側駆動手段38が注入用ポンプ30であり、前記揚水側駆動手段39が揚水用ポンプ32であることを特徴とする。
第7発明であれば、注入用ポンプの駆動度合いを変えることで注入量及び注入圧力を変更することができる。また、揚水用ポンプの駆動状態を高めることで土壌中の滞在水の流れを促進して浄化速度を高めることができる。
【0011】
本発明の第8発明は、上記構成において、前記揚水側検出手段39が揚水側バッファ槽13に設けられた汚染物質検出装置24であることを特徴とする。
汚染物質の検出に際しては、ガス検出装置、液中の汚染物質を光学的な手法で検出する装置などの比較的短時間で検出できるセンサ手段を採用することが好ましい。
第8発明であれば、各揚水井から揚水される汚染物質を検出することによって浄化度合いを検出することが可能になる。
本発明の第9発明は、上記構成において、前記制御手段25の判別手段60が前記特定パターンであると判別したときに、その特定パターンに関係する前記注入側バッファ槽12に設けられた前記微生物供給装置27の微生物量を増減することを特徴とする。
上記第9発明であれば、特定パターンに対応して微生物量を調整すれば浄化処理を的確に行える場合がある。
【0012】
次に、上記本発明に適用可能な構成について説明する。
前記注入側検出手段36が当該注入井1における水の注入しやすさの程度を示すパラメータを検出するセンサ手段を備えることもできる。このパラメータとしては注入井の圧力、前記注入側バッファ槽の水位の高さが例示できる。
また、前記注入側バッファ槽12に溶存酸素検出装置68を設けることもできる。
また、前記揚水側検出手段37が揚水量に比例するパラメータを検出するセンサ手段を備えることもできる。このセンサ手段としては、流量計、揚水圧力が例示できる。
また、前記制御手段25がオペレータの許可入力を検出したときのみ前記駆動情報を前記各駆動手段38・39に出力するように構成できる。この構成であれば、専門オペレータが許可した駆動情報のみが駆動手段に出力されるので専門オペレータの判断を考慮した浄化処理を実現することができる。
前記位置情報に基づいて注入井又は揚水井を特定する表示としては、その特定パターンに係る注入井又は揚水井を点滅又は強調表示する方法がある。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように、本発明であれば従来技術の各課題を解決して、経験豊富で専門知識のあるオペレータがいなくても的確な浄化処理を自動的に行える。また、多数の各井において注水と揚水を管理して、自動的に浄化処理を行えるとともに、各種の異常事態の発生に際しても迅速に対処できる。さらに、多種多様な現場においても浄化処理の状態を的確に知らせることができてオペレータの判断が的確に行えるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1は本実施形態に係る土壌・地下水汚染物質の分解浄化システムを示す概略構成図、図2は注入井と揚水井の平面配置の一例を示す図、図3は注入井と揚水井の断面図、図4は各井の作用部における注入,吸入の様子を示す図である。
この土壌浄化システムは、土壌汚染物質(油類・農薬・揮発性有機化合物・重金属・その他)に汚染された土壌に複数本の注入井及び揚水井を打ちこむとともに通常は汚染土壌の周囲を遮水壁で囲んだ状態で使用されるものである。
【0015】
図2に示すように、まず、汚染領域6を通過するように注入井1と揚水井2を例えば平面視において格子状に打ち込む。注入井1と揚水井2の配設間隔は汚染濃度が高いところは密度を高く設定し、汚染濃度が低いところは密度を低くするが図2においては等密度に設定した例が示してある。また、図4に示すように通常、各井1,2は管で構成され、各井1,2の作用部(主に先端部域)の周壁には孔3が多数設けられている。注入井1の孔3から放射状に放出された注入水4は土壌中を流れ、揚水井2の周壁の孔3から吸引される。
【0016】
図1及び図3に示すように、地中の構造は主に地下水が流れている地下水層7と、その上層の汚染土壌層8と地下水層7の下にある不透水層9とからなっている。汚染物質の多くは汚染土壌層8に存在し、特に各層の境界部分に多く存在している。例えば、油などの汚染物質は、粘土質や土壌中の有機物に吸着されやすく、汚染物質が徐々に地下水中に離脱していくので地下水層7にも汚染物質が含まれることになる。よって、注入井1と揚水井2は、地下の地下水層7にも十分達する深さに掘削される。また、浄化処理領域は遮水壁10によって周囲に拡散しないように区画する。
【0017】
図1に示すように、本実施形態に係る浄化システムは、注入井1及び揚水井2と、注入井1に連通される注入側バッファ槽12と、揚水井2に連通される揚水側バッファ槽13と、揚水側バッファ槽13からの揚水を一時的に溜める汚水槽14と、汚染物質を分解するバイオリアクター15と、水処理装置16と、水処理装置16で処理された水を溜める貯水槽17とを含んで構成してある。
この構成では揚水井2からの揚水の大部分は、揚水側バッファ槽13、汚水槽14、バイオリアクター15、水処理装置16、貯水槽17、注入側バッファ槽12を経て注入井1に再注入されるので循環管路18が形成されることになる。
【0018】
注入井1と注入側バッファ槽12の間には弁装置29と注水用ポンプ30を設けてある。揚水井2と揚水側バッファ槽13の間にも弁装置31と揚水用ポンプ32を設けてある。
注入側バッファ槽12は各注入井1に注入される水の性質、状態を変えるために設けられたものであり、超微細気泡発生装置26と微生物供給装置27を備えている。これらの装置26,27は後述する駆動情報によって駆動される。また、微生物供給装置27は複数個設けられる場合が多い。
揚水側バッファ槽13は各揚水井2の揚水量や汚染物質の汚染濃度を検出するために設けられたものであり、汚染物質の特定などを行う汚染物質検出装置24が設けてある。必要により、水位計又は流量計が設けられる。
【0019】
図1に示す構成では1本の注入井1に対して1個の注入側バッファ槽12が設けられている例が示してあるが、複数本の注入井1に対して1個の注入側バッファ槽12を連通させてもよい。この場合は複数本の注入井1の注入状態が単一の注入側バッファ槽12の状態で同じように変更されることになる。また、同様に複数本の揚水井2に対して1個の揚水側バッファ槽13を連通させてもよい。この場合は複数本の平均の揚水量や平均の汚染濃度が検出されることになる。前記複数本は2〜3本であることが好ましい。
水処理装置16は調整槽、浮上分離槽、沈殿槽、沈殿物滞在槽、フィルタープレス(全て図示せず)などで構成される。
【0020】
バイオリアクター15は少なくともその原位置の土中微生物を含む微生物を増殖させる装置であり、短時間で油などの汚染物質を微生物の作用でほぼ完全に分解する能力のあるものが構成してある。本実施形態のバイオリアクター15は微生物培養装置20と微生物発酵分解槽21と微生物供給装置22を含んで構成してある。なお、バイオリアクター15にも汚染物質検出装置34が取り付けてある。汚染物質検出装置34は汚染物質の種類や濃度などを検出する。
【0021】
このバイオリアクター15は、揚水井2から揚水された地下水に含まれる土中微生物を微生物培養装置20によって増殖させ、微生物発酵分解槽21において微生物によって発酵などによって分解するものである。このバイオリアクター15は汚染物質の種類に応じて適切なタイプを選択使用することができ、汚染物質分解菌の生育に必要な栄養源を添加したり、バイオリアクター15内の微生物培養装置20において温度、酸素濃度を分解細菌の生育に適する条件に維持してその細菌を増殖させる。
バイオリアクター15は嫌気性バイオリアクターと好気性バイオリアクターの両方機能を備えている。例えば、好気性細菌と嫌気性細菌を用いる場合は超微細気泡を用いた分解槽を採用するとともに当該分解槽内又は別の分解槽において食物連鎖的な好気性細菌と嫌気性細菌の共同分解機能によって汚染物質を分解する。
ガソリン、軽油等の油汚染であれば、特定パターンの判別と注入側バッファ槽12による制御とバイオリアクター15の働きを組み合わせることで従来、2年ほど要した浄化期間を1〜3ヶ月程度で実施できるようになる。
【0022】
本実施形態において採用される汚染物質の分解能を有する微生物は、分解すべき汚染物質に応じて選択されるもので特に限定されない。
例えば、主な微生物を例示すると以下の通りである。
シュードモナス(Pseudomonas)属、バチルス(Bacillus)属、ニトロソモナス(Nitrosomonas)属、エシェリチア(Esherichia)属、バルクホルデリア(Burkholderia)属、アルカリゲネス(Alcaligenes)属、アシネトバクター(Acinetobacter)属、モラセラ(Moraxella)属、ビブリオ(Vibrio)属、ノカルジア(Nocardia)属、アルスロバクター(Arthrobacter)属、ミクロコッカス(Micrococcus)属、ラクトバチルス(Lactobacillus)属、アクロモバクター(Achromobacter)属、マイコバクテリウム(Mycobacterium)属、メチロシナス(Methylosinus)属、メチロモナス(Methylomonas)属、ベルキア(Welchia)属、メチロシスチス(Methylocystis)属などである。なお、投与する微生物は3〜15種類の混合で用いることが多い。原位置の細菌を増殖する場合は100種類を超える細菌を増殖する場合もある。
【0023】
図5は本システムの制御部と各検出部と各駆動部の構成例を示すブロック図である。
本システムの制御系は、大別すると、全体的な制御を行う制御部25と、注入側検出部36と、揚水側検出部37と、注入側駆動部38と、揚水側駆動部39とを備えている。必要に応じて、バイオリアクター駆動部65を設けてもよい。
注入側検出部36は注入用ポンプ30の圧力検出部41、流量計42、注入側バッファ槽12の水位計45などと、インターフェイス部46を備えている。圧力検出部41と流量計42は注入用ポンプ30の圧力等を検出することで代用される場合が多い。水位計45はその注入井の注入しやすさを示す指標として検出される。微生物検出装置67と溶存酸素検出装置68を必要により設けて、実際の注入側バッファ槽12の状態を検出できるようにしてもよい。
揚水側検出部37は、汚染物質の種類、汚染濃度等を検出する汚染物質検出装置24、揚水用ポンプ32の圧力検出部51、インターフェイス部54とを備えている。必要により流量計52と、揚水側バッファ槽13の水位計53を設けてもよい。
注入側駆動部38は、注入用ポンプ30、弁装置31、微生物供給装置27、超微細気泡発生装置26、インターフェイス部56とを備えている。必要により添加供給装置44を設けてもよい。
揚水側駆動部39は、揚水用ポンプ32と弁装置31とインターフェイス部58とを備えている。
【0024】
図6は制御部の機能的なブロック図の一例を示す図である。
制御部25は、判別部60と、特定パターン記憶部61と、駆動情報記憶部62と、表示情報・案内情報記憶部63とを備えている。また、制御部25には表示装置48が接続されている。
制御部25の判別部60には各検出部36・37からの検出情報と、必要によりバイオリアクター15からの汚染物質情報を含む検出情報が入力される。判別部60は、所定時間間隔で得られるパターンを予め特定パターン記憶部61に格納された特定パターンと比較、判別する。
【0025】
上記特定パターンは図5に示す各センサ手段からの検出情報の集合(検出値の状態表とも言える)で定まるものである。例えば、パターンとして取り得るものの例としては、一つの揚水井を特定した場合にその揚水量と周囲の注入井の注入量との比や、その時間的な推移特性、揚水から検出される汚染物質の時間的な推移特性、所定値を超える汚染物質の変化などが例示できる。
判別部60で判別されるパターンは所定期間毎に各バッファ槽12,13で検出される検出情報に基づいている。なお、特定パターンは定常浄化処理又は異常対処処理に対応して予め記憶されている。
なお、特定パターンは単一の揚水井から得られるものや、揚水井を囲む周囲の注入井又は揚水井の検出情報との関係において得られるものもある。
【0026】
次に、上記制御部を備えた処理について説明する。
まず、図2に示すように注入井1と揚水井2が格子状の形成された原位置を考える。
地下水の流れ影響、土質の状態がボーリング調査等からほぼ均一であると考えられる場合に所定領域の注入井1に等しい流量で同じ微生物条件で注入した場合、その所定領域内にある揚水井2からはほぼ同じ流量の揚水が流出され、例えば各揚水井の1日間の汚染物質の浮上量はボーリング調査で予想した範囲内に収まるはずである。しかし、何らかの理由で一つの揚水井2の流量が著しく少ない、他の揚水井2の汚染物質の量が著しく多い、又は汚染物質の量が著しく少ない等の異常現象が見られた場合には、個々に対応することが必要になる。
これらの異常現象に対する対処は試行錯誤的であり、定型的な手法が確立されている訳でない。つまり、微生物の性質及び原位置での土壌浄化の経験を積んだ専門作業員の経験と勘による職人芸的な対処で行われているのが現状である。このような方法では、浄化処理の方法論及びノウハウが、誰でも利用できる技術として蓄積されない。したがって、従来の方法では汚染物質がほとんどない注入井と揚水井のバイパス路でのみ延々と水注入をし続けて浄化処理期間を長くしたり、上記異常現象を見逃して、汚染物質を拡散させたりするという不都合が現実に生じているのである。
このような課題に対して本実施形態では、制御部が各注入井、各揚水井の状態、バイオリアクター15の状態を検出して、その状況がどのような状態であり、どのように浄化処理を行えばよいかを表示するとともに簡単な異常事態を自動的に対処できるようにする。また、各注入井、各揚水井の状態を検出情報に基づいて変えることができるように、注入側バッファ槽12、揚水側バッフア槽13を所定数の井毎に設けるのである。
【0027】
図7は制御部が行う基本制御を示すフローチャートである。
まず、揚水側バッフア槽13が設けられた揚水井1の単位において揚水情報を検出し(S1)、注入側バッフア槽12が設けられた注入井1の単位において注入情報を検出し(S2)、制御部25の所定の記憶部に既に記憶されている井の位置情報に対応させて揚水情報、注入情報を検出情報として格納する(S3)。次に格納された各検出情報の関係において、予め記憶部に記憶されている特定パターンと一致するパターンがあるか否かを判別部60が判別し(S4)、特定パターンと一致するパターンがある場合は、その特定パターンに対応する駆動情報を駆動情報記憶部62から読み出して注入側駆動部38又は/及び揚水側駆動部39へ出力する(S5)。また、S5の駆動情報の出力は必要に応じてバイオリアクター15の各種の駆動装置にも出力される。
【0028】
図8は制御部に接続された表示装置との関係を付加した制御フローチャートである。
本処理においてもS11〜S14までの処理は図7に示したS1〜S4の処理と同様である。
特定パターンに合致すると判別された場合は、制御部25は、表示情報・案内情報記憶部63に基づいて、前記特定パターンに合致する注入井1、揚水井2と経路を特徴的に示す位置を示した表示情報を表示装置48に出力し(S15)、制御部25は、対応する特定パターンの案内情報を表示情報・案内情報記憶部63から読み出して表示装置48に出力し(S16)、その対応処理を行うことを許可するオペレータの許可入力を待って(S17)、許可入力があった場合にその対応処理の駆動情報を各駆動部に出力する(S18)。
必要により、ステップ17を設けることで、特定パターンに合致する各井1,2と経路を表示することで重要な判断についてはオペレータによる判断を仰ぐことができる。
【0029】
以下、上記図7及び図8に示す処理についてさらに説明する。
注入井と揚水井において、その経路に把握されていない汚染固着ポイント(例えばタールの塊のようなもの)があり、一の揚水井の流出量が少ない場合がある。
このような場合、その汚染固着ポイントに影響を及ぼすと予想できる注入井の圧力と流量を増加させれば、土壌構成物からの汚染物質を促進できる。さらに前記注入井の注入圧力と流量を増加させるとともに地下水の過度の上昇を招かない程度に周囲の揚水井の流出量を少なくするように制御すれば、行き場を失った注入水は前記汚染固着ポイントの領域に充満して汚染物質の剥離機能を向上できる。
【0030】
このように揚水井の流量検出のパラメータだけでも影響を及ぼす注入井の注入条件を好ましい方向に変えることによって浄化速度を向上できるともに、汚染固着ポイントの崩壊を促進できる。このような制御は、特定の揚水井から排出される汚染物質が著しく多い場合にも同様に適用できる。
また、ボリーリング調査した汚染物質の濃度を遙かに上回る汚染物質が流失した揚水井近くには、ボリーリング調査では把握されていない高濃度汚染領域(ホットポイント)が存在する可能性が高く、一度、注入処理を中断して再度、ボリーリング調査するなどの対処が必要になる。本構成であれば素早くこの異常状態を検出して、制御部の自動判断で注入処理を中断することも可能になる。
また、圧力と流量による変化だけでなく、微生物量の増加、超微細気泡の増減においても同様に適用が可能で、各要素を組み合わせて制御することが可能である。前記バイオリアクター15を含む微生物を利用した組み合わせは汚染土壌からの汚染物質の除去をノウハウとして蓄積している専門家の経験データ、ノウハウを利用する。この微生物選択及び注入量の制御は、汚染物質の種類、土質、地下水の状況などによって条件が変わる経験則の蓄積として特定パターンが設定される。
【0031】
図9は表示装置の画面を示し、特定パターンと判別された注入井と揚水井及び経路を表示した一例の図である。図10も表示装置の画面を示し、案内情報の一例を示す図である。
図9において特定パターンの位置情報で示される注入井は黒丸、揚水井は黒四角で表示し、特定パターンに係る経路は破線で示してある。判別部によって判別された特定パターンは、その特定パターンの種類に従って、a−1,b−2,c−2,d−1のように特定パターン記号が付けられる。
図10に示すように表示装置の画面には、各井ナンバーと、特定パターン記号と、特定パターンの説明と、対処処理の説明と、自動処理を制御部で実行しているか否かの情報と、許可入力の有無の表示が、判別された特定パターン毎に行われる。
この表示は図9に示す各井の表示とともに行われる。
なお、図10において各井ナンバーは省略して記載してある。
上記表示事項において、「特定パターンの説明」と「対処処理の説明」は案内情報の代表的なものである。
【0032】
図11は所定期間間隔で各検出部に係る記憶部の蓄積データにおいて、各井の一つを選んで、走査する方法の一例を示したフローチャートである。
この例では走査の基準を揚水井に取っている。
制御部が操作プログラムに従って汚染浄化領域の一の揚水井を選択して、記憶部に記憶されている所定期間毎の揚水情報を取得し(S21)、選択された揚水井に影響を及ぼす注入井を特定し(S22)、その特定された注入井の注入情報を記憶部から取得し(S23)、記憶部に記憶されている特定パターンと比較し(S24)、一致した特定パターンに対応する井と経路等の位置情報を表示等のために記憶し(S25)、一致した特定パターンに係る表示情報及び案内情報を記憶し(S26)、次の揚水井に走査を移動してS21に戻る(S27)
上記フローチャートにおいて走査基準を注入井にすることも可能である。また、S22において選択された揚水井に影響を及ぼす井として周囲の揚水井が加わる場合もある。
なお、制御部に構成される本システムは、インターネットなどのネットワークのサーバに設置することも可能で、生体認証などのアクセス条件を満たすことによって世界中からアクセス可能に構成することもできる。
また、本システムは、肥料などによって汚染された農業用土壌にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】図1は実施形態に係る土壌・地下水浄化システムを示す概略構成図。
【図2】図2は注入井と揚水井の平面配置の一例を示す図。
【図3】図3は注入井と揚水井の断面配置の一例を示す図。
【図4】図4は井の作用部における注入、吸入の様子を示す図。
【図5】図5は本システムに係るブロック図。
【図6】図6は制御部の機能的なブロック図の一例を示す図。
【図7】図7は制御部が行う基本制御を示すフローチャート。
【図8】図8は表示装置との関係を付加したフローチャート。
【図9】図9は実施形態に係る表示装置の画面を示す図。
【図10】図10は図9の画面とともに表示される情報を示す図。
【図11】図11は制御部が行うフローチャートの一例。
【符号の説明】
【0034】
1…注入井、2…揚水井、12…注入側バッファ槽、13…揚水側バッファ槽、24…汚染物質検出装置、25…制御部、26…超微細気泡発生装置、27…微生物供給装置、30…注入用ポンプ、32…揚水用ポンプ、36…注入側検出部、37…揚水側検出部、38…注入側駆動部、39…揚水側駆動部、48…表示装置、60…判別部、61…特定パターン記憶部、62…駆動情報記憶部、63…表示情報・案内情報記憶部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
汚染物質の汚染分布に基づいて原位置に形成された複数の注入井(1)及び複数の揚水井(2)と、前記注入井(1)側の注入量,特性などの注入状態を検出する注入側検出手段(36)と、前記揚水井(2)側の揚水量,汚染物質量などの揚水状態を検出する揚水側検出手段(37)と、前記注入井(1)の注入状態を変化させる装置を駆動する注入側駆動手段(38)と、前記揚水井(2)の揚水状態を変化させる装置を駆動する揚水側駆動手段(39)と、
前記注入側検出手段(36)からの検出情報と前記揚水側検出手段(37)からの検出情報に基づいて前記注入側駆動手段(38)と前記揚水側駆動手段(39)の少なくとも一方を駆動情報によって駆動して浄化処理において好ましい状態へ変化させる制御手段(25)とを有し、
前記制御手段(25)は、前記検出情報の特定パターンを記憶した特定パターン記憶手段(61)と、前記検出情報に基づいて現在の状態が前記特定パターンのどのパターンに該当するかを判別する判別手段(60)と、前記各特定パターンに対応する前記駆動情報を記憶した駆動情報記憶手段(62)とを備えることを特徴とする、土壌及び地下水浄化システム。
【請求項2】
請求項1に記載の土壌及び地下水浄化システムにおいて、前記注入井(1)に注入状態を調整するための注入側バッファ槽(12)を設け、前記注入側検出手段(36)を前記注入側バッファ槽(12)に設けた、土壌及び地下水浄化システム。
【請求項3】
請求項1に記載の土壌及び地下水浄化システムにおいて、前記揚水井(2)からの揚水状態を検出するための揚水側バッファ槽(13)を設け、前記揚水側検出手段(37)を前記揚水側バッファ槽(13)に設けた、土壌及び地下水浄化システム。
【請求項4】
請求項2に記載の土壌及び地下水浄化システムにおいて、前記注入側バッファ槽(12)に微生物供給装置(27)と超微細気泡発生装置(26)を設けた、土壌及び地下水浄化システム。
【請求項5】
請求項1に記載の土壌及び地下水浄化システムにおいて、表示装置(48)を有し、前記制御手段(25)が、前記注入井(1)と前記揚水井(2)の配置と、前記注入井(1)と前記揚水井(2)から検出される検出情報と、前記特定パターンに係る注入井(1)又は揚水井(2)を特定する位置情報と、判別された前記特定パターンに係るオペレータへの案内情報とを前記表示装置(48)に出力する、土壌及び地下水浄化システム。
【請求項6】
請求項5に記載の土壌及び地下水浄化システムにおいて、前記制御手段(25)が、各汚染物質の汚染度合いを容易に把握できる2次元又は3次元の表示形態で前記注入井(1)と前記揚水井(2)の配置とともに表示する表示情報を前記表示装置(48)に出力する、土壌及び地下水浄化システム。
【請求項7】
請求項1に記載の土壌及び地下水浄化システムにおいて、前記注入側駆動手段(38)が注入用ポンプ(30)であり、前記揚水側駆動手段(39)が揚水用ポンプ(32)である、土壌及び地下水浄化システム。
【請求項8】
請求項3に記載の土壌及び地下水浄化システムにおいて、前記揚水側検出手段(39)が揚水側バッファ槽(13)に設けられた汚染物質検出装置(24)である、土壌及び地下水浄化システム。
【請求項9】
請求項4に記載の土壌及び地下水浄化システムにおいて、前記制御手段(25)の判別手段(60)が前記特定パターンであると判別したときに、その特定パターンに関係する前記注入側バッファ槽(12)に設けられた前記微生物供給装置(27)の微生物量を増減する、土壌及び地下水浄化システム。
【請求項1】
汚染物質の汚染分布に基づいて原位置に形成された複数の注入井(1)及び複数の揚水井(2)と、前記注入井(1)側の注入量,特性などの注入状態を検出する注入側検出手段(36)と、前記揚水井(2)側の揚水量,汚染物質量などの揚水状態を検出する揚水側検出手段(37)と、前記注入井(1)の注入状態を変化させる装置を駆動する注入側駆動手段(38)と、前記揚水井(2)の揚水状態を変化させる装置を駆動する揚水側駆動手段(39)と、
前記注入側検出手段(36)からの検出情報と前記揚水側検出手段(37)からの検出情報に基づいて前記注入側駆動手段(38)と前記揚水側駆動手段(39)の少なくとも一方を駆動情報によって駆動して浄化処理において好ましい状態へ変化させる制御手段(25)とを有し、
前記制御手段(25)は、前記検出情報の特定パターンを記憶した特定パターン記憶手段(61)と、前記検出情報に基づいて現在の状態が前記特定パターンのどのパターンに該当するかを判別する判別手段(60)と、前記各特定パターンに対応する前記駆動情報を記憶した駆動情報記憶手段(62)とを備えることを特徴とする、土壌及び地下水浄化システム。
【請求項2】
請求項1に記載の土壌及び地下水浄化システムにおいて、前記注入井(1)に注入状態を調整するための注入側バッファ槽(12)を設け、前記注入側検出手段(36)を前記注入側バッファ槽(12)に設けた、土壌及び地下水浄化システム。
【請求項3】
請求項1に記載の土壌及び地下水浄化システムにおいて、前記揚水井(2)からの揚水状態を検出するための揚水側バッファ槽(13)を設け、前記揚水側検出手段(37)を前記揚水側バッファ槽(13)に設けた、土壌及び地下水浄化システム。
【請求項4】
請求項2に記載の土壌及び地下水浄化システムにおいて、前記注入側バッファ槽(12)に微生物供給装置(27)と超微細気泡発生装置(26)を設けた、土壌及び地下水浄化システム。
【請求項5】
請求項1に記載の土壌及び地下水浄化システムにおいて、表示装置(48)を有し、前記制御手段(25)が、前記注入井(1)と前記揚水井(2)の配置と、前記注入井(1)と前記揚水井(2)から検出される検出情報と、前記特定パターンに係る注入井(1)又は揚水井(2)を特定する位置情報と、判別された前記特定パターンに係るオペレータへの案内情報とを前記表示装置(48)に出力する、土壌及び地下水浄化システム。
【請求項6】
請求項5に記載の土壌及び地下水浄化システムにおいて、前記制御手段(25)が、各汚染物質の汚染度合いを容易に把握できる2次元又は3次元の表示形態で前記注入井(1)と前記揚水井(2)の配置とともに表示する表示情報を前記表示装置(48)に出力する、土壌及び地下水浄化システム。
【請求項7】
請求項1に記載の土壌及び地下水浄化システムにおいて、前記注入側駆動手段(38)が注入用ポンプ(30)であり、前記揚水側駆動手段(39)が揚水用ポンプ(32)である、土壌及び地下水浄化システム。
【請求項8】
請求項3に記載の土壌及び地下水浄化システムにおいて、前記揚水側検出手段(39)が揚水側バッファ槽(13)に設けられた汚染物質検出装置(24)である、土壌及び地下水浄化システム。
【請求項9】
請求項4に記載の土壌及び地下水浄化システムにおいて、前記制御手段(25)の判別手段(60)が前記特定パターンであると判別したときに、その特定パターンに関係する前記注入側バッファ槽(12)に設けられた前記微生物供給装置(27)の微生物量を増減する、土壌及び地下水浄化システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−5371(P2011−5371A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−149226(P2009−149226)
【出願日】平成21年6月23日(2009.6.23)
【出願人】(599004070)株式会社アーサー (4)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月23日(2009.6.23)
【出願人】(599004070)株式会社アーサー (4)
【Fターム(参考)】
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