説明

圧力下のCO2流の同時発生を伴う水素吸着による精製法

本発明は、供給材料であって、主として水素を含有し、並びにより少ない割合の不純物であって、本質的には、二酸化炭素、一酸化炭素、メタンおよびより重質の炭化水素からなるものを含有する供給材料から非常に高い純度の水素を製造する方法に関する。水素吸着精製法は、PSA法等の供給材料圧より低い圧力における脱着工程を含み、脱着流を製造するためおよび、主として、加圧された二酸化炭素および高純度の水素を高収率で回収するために用いられ得る。この性能は、本発明の方法の連続的な工程を、新しい族の吸着剤であって、高い脱着圧力におけるその動的容量が従来の吸着剤の動的容量より高いものの使用と結び付けることによって達成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、0.4MPa超の圧力での不純物、特にCOの流れの同時発生を伴う、合成ガスに由来する水素の吸着による精製法に関する。
【背景技術】
【0002】
水素製造は、エネルギー、精製および石油化学産業の分野において高い関心事である。水素は、例えば、燃料電池のための燃料およびガスタービン中の燃焼によるエネルギー産生のための燃料として用いられ得る。水素はまた、多くの精製および石油化学加工処理における試薬として、並びに、アンモニア製造のために用いられる。
【0003】
水素は、主として、種々の起源の炭化水素含有供給材料(天然ガス、石油留分、バイオマス等)から製造される。このような供給材料を用いる主たる水素製造方法は、水蒸気改質、ガス化、部分酸化および自己熱改質である。これら全ての方法により、合成ガスを製造することが可能にされ、合成ガスは、主として、水素、一酸化炭素(CO)および二酸化炭素(CO)、並びにメタン(CH)およびより重質の炭化水素、転化法において空気が用いられる場合には、窒素およびアルゴンまたは当初から空気中に存在する任意の他の分子を含む。水素は、したがって、最終的な使用の前に精製されなければならない。
【0004】
水素を精製するための複数の技術が従来技術から知られている:化学溶媒(例えばアミン族)または物理溶媒による吸着を通じた分離、圧力スイング吸着(pressure swing adsorption:PSA)による分離または膜分離。
【0005】
アミンを用いる吸着法により、不純物の全てを除去することができるわけではない、特に、窒素、アルゴン、一酸化炭素およびメタン等の分子である。
【0006】
膜を用いる水素精製法の性能は、用いられる膜の材料に大きく依存する。混合金属(例えばパラジウム合金)および酸化物のみが、PSAにより製造された水素のCO含有量に匹敵する最終水素中CO含有量を得ることを可能にする。ここで、これらの膜は、非常に高価であり、非常に高い温度(350℃超)においてのみ機能し得、これにより、全体的な水素製造費用が相当増加する。
【0007】
PSAは、したがって、高純度の水素を製造するために最も適した方法である。
【0008】
PSAの原理は当業者に周知である。精製されるべきガスは、「吸着圧力」と称されるサイクルの高圧力で、好ましくは不純物(または複数種の不純物)を保持する吸着材料層中を流れる。これらの化合物は、次いで、「脱着圧力」と称される圧力より下に圧力を低くすることによってこれらの吸着剤から抽出される。PSAの原理は、これらの高圧力吸着と低圧力脱着段階を周期的につなげることにある。
【0009】
精製された水素流は、こうして高圧力において製造されるのに対して、残留する不純物をリッチな流れは低圧力において生じさせられる。
【0010】
PSAの性能は、吸着剤の動的容量(dynamic capacity)の値を測定することによって評価される。吸着剤の動的容量は、吸着段階の条件下に吸着された量と脱着後に吸着されたままに残る量との間の差として定義される。動的容量は、種々の供給材料成分の吸着等温線に依存する。動力学的効果にかかわらず、所与の成分の動的容量は、この成分についての吸着圧力Padsでの吸着量と脱着圧力Pdesでの吸着量との間の差を計算することによって評価され得る(図1)。PSAの性能は、主として、製造された水素の純度、水素収率(すなわち、供給材料中に含有される水素の量に関連して製造された水素の量)および生産性(方法中に含有される吸着剤の質量に関連しておよび時間に関連して製造された水素の量)によって特徴付けられる。これらの3つの性能特徴は結び付けられる。所与の動的容量について、これらの性能の一つのみが向上させられ、別のまたは他の2つは損失になり得る。例えば、所与の生産性に対して所定の純度が得られる場合、より高い生産性に対して純度はより低い。他方、動的容量の増加は、これらの性能の一つを向上させつつ、他のものを一定に維持することを可能にし得る。所与の供給材料の流量に対して所定の純度が得られ得るか、またはより高い供給材料の流量に対してより低い純度が得られ得る。
【0011】
水素精製のための従来のPSAは、複数の吸着剤層を含む。一般的に、COを吸着するために活性炭層が最初に用いられ、次に、ゼオライト5AまたはNaX層がCH、COおよび供給材料中に場合によっては存在する他の不純物を吸着するために用いられる。供給材料中に水が存在する場合、PSA法は、予備的なシリカゲル層も含み得る。
【0012】
これらの吸着剤は、高圧力において、供給材料中に含まれる種々の不純物について良好な吸着容量を有する。他方、それらの再生(不純物の脱着)は、大気圧に近いより低い圧力を必要とする。それは、図1の曲線(a)上に見られ得、従来の吸着剤の動的容量は、脱着圧力があまりに高い時にかなり落ちている。その結果として、従来のPSAによる水素精製に由来するCOリッチな流れは、常に、低圧力において生じさせられる。
【0013】
高圧力における不純物の残留流れの産生は、エネルギー産生(例えば燃焼による)のため、化学産業において(メタノールおよびジメチルエーテル合成、超臨界溶媒等)、ドリル球(drilling sphere)(改良されたオイル回収)において、または、CO貯蔵(圧縮および/または液化の後)のため等に適用を有し得る。
【0014】
高圧力において不純物流を生じさせることを可能にする複数の解決策が、従来技術において提供された。
【0015】
特許文献1には、メタン水蒸気改質からガスタービン用に水素を製造する方法が記載されている。水性ガスシフト反応器を出る混合物は、PSAによって分離されて、10〜20%の不純物(CO、CHおよびCO)を含有する水素リッチな流れ、および主としてCOを含有し、並びにCO、HO、HおよびCHを含有する残留流れが生じさせられる。記載された方法は、その再加圧コストを低減させるために、高圧力において、かつ大気圧においてではなく、この残留流れを回収することを目標としている。しかしながら、水素精製の良好な性能を維持しながら高圧力においてCOを生じさせるための技術的解決策は提供されなかった。
【0016】
特許文献2には、同時に生じたCOを回収しながら、燃焼によるエネルギー産生のためまたは高純度燃料として水素を製造する方法が記載されている。PSA法は、好ましい分離態様として提案される。それは、非常に高い水素純度に達することを可能にするからである。PSAに由来するCOリッチな残留ガスは、凝縮によって回収される。COの再加圧コストを低減させるために、記載された方法は、PSA出口において高い残留ガス圧力を維持することを目標とする。この脱着圧力の高まりは動的容量損失につながり、水素収率が低くなる。したがって、水素回収比と残留ガス圧力との間で妥協に達することが必要である。
【0017】
特許文献3には、ガスタービン用に水素を製造する方法であって、同時に生じたCOの分離および隔離と組み合わされる方法が記載されている。水蒸気改質反応器および水性ガスシフト反応器の操作圧力は非常に高い。したがって、H/不純物分離装置も、非常に高い圧力で操作される。好ましい分離態様は、アミン溶液によるCO吸着である。アミン溶液は、0.5〜0.8MPaの圧力で再生される。提案される実施は、高純度の水素流れを生じさせることを可能にしない。アミン溶液は、一酸化炭素およびメタンを吸着しないからである。したがって、この計画は、ガスタービン用の水素の使用のためにのみ適合させられる。
【0018】
特許文献4には、高純度水素流れおよび炭化水素リッチな残留流れを生じさせることを可能にする、水素および炭化水素タイプの不純物を含有するガス状混合物を分離するPSA法が記載されている。残留流れの品質を向上させるために、0.4MPa超の高圧力においてそれを得ることは興味深い。用いられた吸着剤は、活性炭およびシリカゲルの組合せであり、これは、高圧力において炭化水素を脱着することを可能にするが、かなり大きな水素収率の損失を伴う。活性炭およびシリカゲルは、当業者に周知である吸着剤であるが、それらは、高圧力において脱着が行われた場合にCOに関して満足な動的容量を有しない。
【0019】
従来技術の状況の分析により、水素精製の間に高圧力においてCO流を同時製造することの利点が確認されたことが示される。今、提供された解決策は、水素収率および/または純度に関する妥協なしで、圧力下にCOを同時製造することを可能にしない。それらは、既存の方法の操作条件における変化に基づいており、純度または水素収率の減少を伴う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】国際公開第06/112724号パンフレット
【特許文献2】国際公開第06/097703号パンフレット
【特許文献3】国際公開第00/18680号パンフレット
【特許文献4】国際公開第03/070357号パンフレット
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0021】
(発明の要約)
本発明は、水素を主として含有し、二酸化炭素、一酸化炭素、メタンから主としてなるより少ない割合の不純物を含有する供給材料から非常に高い純度の水素を製造する方法であって、この供給材料は、少なくとも1つの吸着カラムに導入され、前記方法は、
a)部分的にまたは完全に、吸着段階(Pads)の圧力が達成されるまで、さらなる高純度の水素または供給材料流によって、前記供給材料の並流または向流加圧する段階、
b)段階a)において加圧された供給材料の不純物の高圧力Padsにおける吸着の段階であって、1以上の床中に含まれる吸着剤固体を用いて行われる、段階、
c)0.4MPa超の脱着圧力Pdesが達成されるまでの段階b)からの流れの並流または向流の脱圧力の段階、
d)高圧力Pdesにおける並流または向流の脱着段階であって、前記圧力Pdesは、吸着段階の圧力より低い、段階
を少なくとも包含する方法に関する。
【0022】
「主として」は、少なくとも50モル%、好ましくは少なくとも70モル%の水素含有量、主たる不純物の最大割合が、二酸化炭素について50モル%、一酸化炭素について20モル%およびメタンについて10モル%であることを意味する。好ましい供給材料について、不純物は、主として、二酸化炭素からなる。
【0023】
それ故に、本発明の目的は、供給材料の圧力より低い圧力における脱着段階例えば、PSA法を用いる吸着による水素精製法であって、特に圧力下に二酸化炭素を回収するための脱着流と、高収率の高純度水素とを生じさせることを可能にする、方法である。
【0024】
これらの性能は、本発明による方法の連続的な段階を、高い脱着圧力における動的容量が従来の吸着剤のものより高い新しい吸着剤族の使用と組み合わせることによって得られる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1は、2つの吸着剤タイプ:従来の吸着剤(曲線a))および本発明による吸着剤(曲線b)についての圧力に応じた吸着量の変動を示す。
【図2】図2は、少なくとも1つの抽出抜き出し点を有する3つの帯域を有する擬似移動床(SMB)における本発明による方法の実施形態に対応する方法のフロー図を示す。
【図3】図3は、少なくとも1つの抽出抜き出し点を有する2つの帯域を有する擬似移動床(SMB)における本発明による方法の実施形態に対応する方法のフロー図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(詳細な説明)
本発明は、供給材料から非常に高い純度の水素を製造する方法であって、該供給材料は、水素を主として含有し、かつ、二酸化炭素、一酸化炭素、メタンおよびより重質の炭化水素から主としてなるより少ない割合の不純物を含み、該供給材料は、少なくとも1つの吸着カラムに導入され、
a)吸着段階の圧力(Pads)が達成されるまで、さらなる高純度の水素または供給材料の流れによって、部分的または完全に、前記カラムを並流または向流加圧する段階、
b)高圧力Padsにおける、段階a)において加圧された供給材料の不純物の吸着段階であって、1つ以上の床中に含まれる吸着剤固体を用いて行われる、段階;
c)0.4MPa超の脱着圧力Pdesが達成されるまでの段階b)からの流れの並流または向流の脱圧の段階、および
d)高圧Pdesにおける並流または向流の脱着段階であって、前記圧力Pdesは、吸着段階の圧力より低い、段階
を少なくとも包含する方法に関する。
【0027】
本発明による吸着による分離の方法はまた、高純度の水素を高水素収率で製造しながら、0.4MPa超の圧力においてCOを本質的に含有する不純物流を回収することを可能にする特定の吸着剤の族の使用を含む。
【0028】
得られた水素流の純度は、99容積%超、好ましくは99.9容積%超、より好ましくは99.99容積%超である。
【0029】
本発明による方法の水素収率は、80%超、好ましくは90%超である。
【0030】
本発明による方法のCO収率は、50%超、好ましくは70%超である。
【0031】
本発明による吸着剤は、吸着圧力Padsと脱着圧力Pdesとの間のそれらの動的吸着容量(dynamic adsorption capacity)によって規定され、Pdesは、0.4MPa超である。
【0032】
本発明による方法において用いられる吸着剤は、Pads=5MPaとPdes=0.4MPaとの間で少なくとも2mmol/g、好ましくは少なくとも4mmol/gのCO動的容量を有する。
【0033】
本発明による方法の好ましい実施形態において、前記方法において用いられる吸着剤は、Pads=3MPaとPdes=0.4MPaとの間で少なくとも2mmol/g、好ましくは少なくとも4mmol/gのCO動的容量によって特徴付けられる。
【0034】
本発明による方法のより好ましい実施形態において、前記方法において用いられる吸着剤は、Pads=3MPaとPdes=0.5MPaとの間で少なくとも2mmol/g、好ましくは少なくとも4mmol/gのCO動的容量によって特徴付けられる。
【0035】
動的容量は、2〜40mmol/gの範囲にわたる。
【0036】
吸着圧力Padsは、1.5〜5MPa、好ましくは2〜4MPaの範囲にわたる。
【0037】
脱着圧力Pdesは、0.4〜2MPa、好ましくは0.4〜0.6MPaの範囲にわたる。
【0038】
これらの特性を示す吸着剤は、非常に種々の化学組成および細孔構造を有する。本発明において記載された吸着剤は、制限的ではなく、例としてのみ言及される。
【0039】
所望の特徴は、好ましくは、しかしながら、排他的でなく、5〜50Å、好ましくは7〜25Åの細孔サイズを有する構造により見出される。これらの化合物の細孔容積は、前述の細孔サイズに起因して、0.5〜5mL/g、好ましくは0.8〜3mL/gの範囲にわたる。
【0040】
要求される特性を有するいくつかの吸着剤は、MOF(Metal-Organic Framework:有機−金属構造体)族に属する。その例は、以下の化合物である:IRMOF−1、IRMOF−3、IRMOF−6、IRMOF−11、MOF−177、Cu(4,4’,4”−s−トリアジン−2,4,6−トリイル−トリベンゾアート)(Cu(tatb)としても知られている)、MIL−100、MIL−101等。
【0041】
外気抜き(breathing)MOF、すなわち、高圧力(吸着圧力)において細孔が5Å超のサイズを得るように開口する柔軟性のある構造物等の化合物、例えば、MIL−53も、本発明による吸着方法のために要求される特徴を有する。
【0042】
これらの材料の特性は、例えば、特許US-6,930,193において、Serre, Cらによる論文「J.Am.Chem.Soc.,124(2002)13519」においてまたはFerey,Gらによる論文「Angew.Chemie Int.Ed.43(2004) 6296」において記載されている。
【0043】
MOF族のいくつかの吸着剤は、水等の所定の極性不純物の存在下に向上した動的容量を有する。しかしながら、不純物が供給材料中に当初から存在しない場合には、それは、吸着剤の動的容量を最適化するために加えられ得る。
【0044】
前記特徴はまた、他の族の材料、例えば、2000m/g超、好ましくは2000〜4000m/gの比表面積を有するメソ孔シリカおよびメソ孔活性炭において見出される。
【0045】
一般論として、あらゆる理論によって結び付けられることなく、高い動的容量を有し本発明の基準に合致する大抵の吸着剤は特定の等温線形状を有することが観察される。
【0046】
図1において、曲線(a)は、タイプIの従来の吸着剤の等温線を図示する。曲線(b)は、高い動的容量を有する吸着剤(タイプII)の等温線を示す。図における動的容量の値は、曲線(a)についてはΔaおよび曲線(b)についてはΔbに対応する。
【0047】
吸着圧力Padsと0.4MPa超の再生圧力Pdesとの間のCOについての本発明による吸着剤の高い動的容量は、しばしば、それらのCO等温線の形状によって説明される。等温線の傾きは浅く、かつ/または、等温線の傾きは、高圧力において大きくなる。この等温線の形状は、PadsとPdesとの間で高い動的容量を得ることを可能にする(Padsは、吸着段階における分圧であり、Pdesは、脱着段階における分圧である)。Brunauer、Deming、DemingおよびTellerによる分類(J.Am.Chem.Soc.,62,1940,1723)によるタイプII、III、IVおよびVの等温線は、本発明による方法におけるこのような吸着剤の使用にとってある程度好ましい形状を有する。
【0048】
前述の吸着剤の最小の動的容量の値は、前記吸着剤上のCOの吸着にのみ関連する。他の不純物、特に、メタンおよび一酸化炭素の吸着により、以下に詳説される本発明の種々の実施が考慮され得る。種々の不純物の吸着を最適化するために吸着剤の混合物を使用することが有利であり得る。
【0049】
精製されるべき供給材料の組成は、合成ガスの起源に応じて変動し得る。一般的に、用語「不純物」は、供給材料の水素との混合状態にある全ての要素、すなわち、主として二酸化炭素、一酸化炭素、場合によっては極少量のメタン、水、窒素、アルゴン、より重質の炭化水素を指す。大部分(すなわち、50モル%以上)の水素およびより少ない割合の不純物であって、CO、COおよび場合によるメタン、水、窒素、アルゴンおよびより重質の炭化水素をベースとするものによって特徴付けられる組成を有するあらゆる供給材料は、あらゆる比率において、本発明による方法の供給材料を構成し得る。
【0050】
本方法の全てがより興味深いのは、主要な不純物が二酸化炭素である時である。
【0051】
本発明による方法の供給材料は、炭素含有供給材料を合成ガスに転化するあらゆる方法、例えば、接触水蒸気改質、部分酸化および自己熱改質に由来し得る。一般的に、本発明による方法の供給材料は、好ましくは、このタイプの方法に直接的には由来せず、好ましくは、CO含有量および水素収率を大きくするために、水性ガスシフトタイプの反応器中の後処理に付される。
【0052】
本発明による方法は、以降の本明細書において以下の約束事:供給末端として参照されるものは、吸着段階の間に供給材料が導入される床の末端であり、製造末端として参照されるものは、吸着段階の間に高純度の水素が排出される床の末端である:を用いる種々の段階を含む。
【0053】
本発明による方法は、少なくとも以下の段階を含む:
a)一部のまたは完全な、並流または向流の加圧の段階:吸着段階の圧力が達成されるまで供給末端または製造末端を介して、さらなる高純度の水素または供給材料の流れによって床は加圧される、
b)高圧Padsにおける吸着の段階:供給材料は、吸着剤床の供給末端を介して導入される;高圧において、不純物は少なくとも1つの床において吸着され、床出口(製造末端)において、高純度の水素が得られる;最後の床の出口において高純度の水素流を得るために、高圧吸着段階の間に複数の床が直列に配列され得る、
c)並流または向流の脱圧の段階:脱着圧力Pdesが達成されるまで、製造または供給末端を介して床は脱圧される、
d)高圧力Pdesにおける並流または向流の脱着段階であって、前記圧力は、吸着段階の圧力より低い、段階:得られたガス流は、本質的に脱着不純物、特に、圧力Pdesにおいて得られたCOからなる。
【0054】
本発明による吸着による分離方法は、少なくとも4つ、好ましくは少なくとも10の吸着床を用い、前記床は、少なくとも部分的に、上記の吸着剤族に属する吸着剤を含む。
【0055】
作業温度は10〜250℃、好ましくは10〜100℃、最も好ましくは10〜50℃の範囲にわたる。
【0056】
上記の本発明による方法は、少なくとも2以上の特定の実施形態を含み得る:PSA(Pressure Swing Adsorption)法およびSimulated Moving Bed(SMB:擬似移動床)法。
【0057】
第一の実施形態(PSA)は、少なくとも3つの異なる変形例を含み得る。PSA法は、複数の段階を含むサイクルに従う吸着剤で満たされた複数の床からなることが思い出され得る。以下に記載される変形例は、吸着剤上の供給材料の種々の不純物の挙動に従ってこれらの段階のいくつかを特定する。
【0058】
第一の変形例によると、CO以外の不純物(CH、CO等)は、本発明による方法の吸着剤の少なくとも1つ上でCOの親和性に近接した吸着剤への親和性を有し、この場合、水素の製造に適用される従来のPSAサイクルが用いられる。それは、例えば、種々の段階を以下の順で含む:
a)加圧段階(単数または複数)(部分的または完全な、並流または向流の場合による圧力同等化)、
b)高圧力の吸着段階、
c1)並流の部分的脱圧段階(単数または複数)(一般的な圧力同等化)、
c2)向流の脱圧段階(単数または複数)(場合による圧力同等化)、
d)吸着圧力より低い圧力における向流の脱着段階。
【0059】
CO以外の不純物(CH、CO等)が、COの親和性より顕著に低い、吸着剤への親和性を有する場合、少なくとも1つの吸着剤床は、2つの異なる吸着剤のタイプ:5MPaの吸着圧力(Pads)と0.4MPaの脱着圧力(Pdes)との間で少なくとも2mmol/gの動的容量を有する第一の吸着剤、CO以外の不純物の吸着のための第二の吸着剤を含む。
【0060】
第二の変形例によると、CO以外の不純物(CH、CO等)は、COの親和性より著しく低い吸着剤への親和性を有し、この場合、床の第一の層において上記に規定されるようなCOについて高い動的容量を有する吸着剤の一つを用い、前記層に続く第二の層は、他の不純物を吸着することを目的とした別の吸着剤からなる。2つの吸着剤は、それ故に、2つの連続的な床の層に分配される。
【0061】
次に、PSAサイクルは、異なる圧力の少なくとも2つの脱着段階を課すことによって適合させられる。サイクルは、例えば、次の通りである:
a)加圧段階(単数または複数)(部分的または完全な、並流または向流の場合による圧力同等化)、
b)高圧力の吸着段階、
c1)並流の脱圧の段階(単数または複数)(場合による圧力同等化)、
c2)向流の脱圧の段階(単数または複数)(場合による圧力同等化)、
d)脱着圧力Pdes(2〜0.4MPa)における向流の脱着の段階、
e)並流または向流の低圧力の脱着の段階)(他の不純物のための脱着圧力:0.4MPa〜大気圧)。
【0062】
第三の変形例によると、CO以外の不純物(CH、CO等)は、COの親和性より著しく低い吸着剤への親和性を有し、この場合、上記に規定されるようなCOについて高い動的容量を有する吸着剤の少なくとも一つを特定の床において用いる。他の不純物を吸着することを目的とする別の吸着剤を含有する第二の床は、上記に規定されたような高い動的容量を有する吸着剤の少なくとも一つを含有する第一の床と直列に配列される。
【0063】
2つの吸着剤は、それ故に、少なくとも2つの特定の床に分配される。
【0064】
COを吸着した床および他の不純物を吸着した床は、次いで、別々におよび異なる圧力で再生され得る。PSAサイクルは、その時、種々の床について異なる。
【0065】
第一の床が本発明による方法の吸着剤の一つを含有すると、PSAサイクルは、例えば、以下のように適合させられ、脱着圧力は、2〜0.4MPaの範囲にわたる:
a)加圧段階(単数または複数)(部分的または完全な、並流または向流の場合による圧力同等化)、
b)高圧力の吸着の段階(第二の床と直列)、
c)並流および/または向流の脱圧の段階(単数または複数)、
d)圧力Pdesにおける向流の脱着の段階。
【0066】
第二の床が、CO以外の不純物の吸着に適した吸着剤を含有すると、従来のPSAサイクルが、低圧力の脱着(第一の床の脱着圧力より低い圧力)で適用される:
a)加圧段階(単数または複数)(部分的または完全な、並流または向流の場合により圧力同等化)、
b)高圧力の吸着の段階(第一の床と直列)、
c1)並流の部分的な脱圧段階(単数または複数)(一般的な圧力同等化)、
c2)並流の脱圧力の段階(単数または複数)、
d)向流の低圧(0.1〜0.4MPa)の脱着段階。
【0067】
本発明による方法の第二の実施形態は、気相の擬似移動床(SMB)の原理を用いる操作であり、吸着剤の脱着は、脱着剤の注入を伴うまたは伴わない脱圧によって行われる。
【0068】
擬似移動床の原理は、当業者に周知であり、複数の研究は、吸着剤を再生するために脱圧段階を用いるこのタイプの方法を記載する(US-6,293,999;Rao et al.,2005,Journal of Chromatography A,n 1069,p.141)。
【0069】
圧力下での吸着剤の再生は、圧力下に抽出物中のCOを回収することを可能にする。
【0070】
この特定の実施形態は、本発明による方法の吸着剤を用い、その結果、CO以外の不純物(CH、CO等)は、COに近い吸着特性を有する。
【0071】
水素の精製に適用されるSMB法の詳細な説明は、本出願人によって出願された特許出願FR-06/08,804において提供される。
【0072】
擬似移動床条件下に操作するカラムは、複数の固定吸着剤床からなり、その長さにわたって分布した、複数の入口(供給材料および流出物用)および出口(抽出物およびラフィネート用)を含み、これらの入口および出口は、時間の過程にわたり同等にシフトされるが、可能な位置の全部をカバーし、それ故に、流体に対する吸着剤の向流の仮想的な置換を作るように、それらの相対的な位置を示すことが思い出され得る。
【0073】
本発明による方法は、特許出願FR-06/08,804において記載された前記方法の原理を利用するが、脱着剤を用いる脱着段階を脱圧/脱着/再加圧の段階と置き換えるまたは完結する。
【0074】
本発明による方法の第二の実施形態の第一の変形例は、少なくとも1つの抽出物抜き出し点を有する3帯域SMB法に対応する。
【0075】
本発明による方法のSMB態様の第二の変形例は、少なくとも1つの抽出物抜き出し点を有する2帯域SMB法に対応する。
【0076】
本発明による方法の第二の実施形態の第一の変形例は、制限的でない例の目的で与えられた図2によって例証される。それは、以下の段階を含む:
a)適切な吸着条件下に(特に、圧力Padsにおいて)水素および不純物を含有する供給材料(1)を、複数の床に含まれる吸着剤固体(吸着剤とも称する)と、好ましくは、不純物を吸着するように接触させる段階、
b)格子のおよびマクロ孔の容積に含有される水素の置換の段階、
c)吸着剤の脱着段階であって、
・圧力Padsより低い高圧力Pdesにおける1以上の並流または向流の脱圧の副段階;この段階は、場合によっては、脱着剤(例えば、3〜9個の炭素原子を有する炭化水素)の添加を含み得る;
・ガス流(脱着剤または水素)(5)によって床が一掃(sweeping)される圧力Pdesにおける脱着の副段階、および
高純度水素流(ラフィネート)の一部または脱着剤流(7)による1以上の並流または向流の再加圧の副段階
を含む段階;
−抽出物流(4および6)は、床の脱圧および脱着の副段階の間に得られ、それは、不純物および場合によっては脱着剤の一部を含有している;
−複数の不純物が吸着剤固体と異なる親和性を有する場合、複数回、一連の最初の2連続の上記副段階を適用することによって、異なる圧力において床を再生することが可能である;これは、異なる組成および圧力レベルを有する抽出物流を区別することを可能にする;
d)精製された水素および場合による脱着剤の一部を含有するラフィネート(2)の抜き出しの段階、
e)脱着剤の使用の場合の、抽出物を、脱着剤を含有する第一の流れおよび不純物を含有する第二の流れに分離する段階、
f)脱着剤の使用の場合の、ラフィネートを、脱着剤を含有する第一の流れおよび高純度の水素を含有する第二の流れに分離する段階。
【0077】
高純度として参照されるものは、本発明方法の流出物中の99.9モル%以上、好ましくは99.99モル%超の水素含有量であることが思い出される。
【0078】
擬似移動床技術に従う吸着による分離を目的とする装置は、第一の変形例によると、供給材料および場合による脱着剤の注入と以下のようなラフィネートの抜き出しによって境界を定められる3帯域を含む:
− 主として二酸化炭素からなり、一酸化炭素およびメタンを含む不純物の脱着相における床(単数または複数)に対応する帯域1;それは、少なくとも1つの床を含む;
− 帯域2;これは、脱着剤または不純物の混合物のいずれかおよび小比率の水素を含有する流れ(3)、例えば、吸着圧力に再加圧された抽出物流の一部による一掃を通じた、マクロ孔および格子の容積内の水素の置換によって水素収率を上げることを可能にする;この帯域は、帯域1と供給材料注入点(1)との間に位置する;それは、少なくとも1つの床を含む;
− 不純物の吸着が行われる帯域3;この帯域は、供給材料注入点(1)とラフィネート抜き出し点(2)との間に位置する;それは、少なくとも1つの床、好ましくは少なくとも3つの床を含む。
【0079】
本発明による方法のSMB態様の第二の変形例は、制限的でない例を目的として与えられた図3によって例証される。それは、以下の段階を含む;
a)適切な吸着条件下(特に、圧力Padsにおいて)水素および不純物を含有する供給材料(1)を、複数の床中に含まれる吸着剤固体(吸着剤とも呼ばれる)と、好ましくは、不純物を吸着するように接触させる段階、
b)吸着剤の脱着段階であって、
・圧力Padsより低い高圧Pdesにおける1以上の並流または向流の脱圧の副段階;この段階は、場合によっては、脱着剤(例えば、3〜9個の炭素原子を有する炭化水素)の添加を含み得る、
・ガス流(脱着剤または水素)(5)によって床が一掃される圧力Pdesにおける脱着の副段階、
・高純度水素流(ラフィーネート)の一部または脱着剤流(7)による1以上の並流または向流の再加圧の副段階;
− 抽出物流(4および6)は、床の脱圧および脱着の副段階の間に得られ、それは、不純物および場合によっては脱着剤の一部を含有している;
− 不純物が、吸着剤固体に異なる親和性を有する場合には、複数回、一連の最初の2連続の上記副段階を適用することによって、異なる圧力で床を再生することが可能である;これは、異なる組成および圧力レベルを有する抽出物流を区別することを可能にする、
を含む段階、
c)精製された水素および場合による脱着剤一部を含有するラフィネート(2)の抜き出し段階、
d)脱着剤の使用の場合の、抽出物を、脱着剤を含有する第一の流れと不純物を含有する第二の流れに分離する段階、
e)脱着剤の使用の場合の、ラフィネートを、脱着剤を含有する第一の流れと高純度の水素を含有する第二の流れに分離する段階。
【0080】
擬似移動床技術に従う吸着による分離を目的とする装置は、この第二の変形例によると、以下の供給材料の注入およびラフィネートの抜き出しによって境界を定められる2帯域を含む;
− 主として二酸化炭素、一酸化炭素およびメタンからなる不純物の脱着の相中の床(単数または複数)に対応する帯域1;それは、少なくとも1つの床を含む、
− 不純物の吸着が行われる帯域2;これは、供給材料の注入点(1)とラフィネートの抜き出し点(2)との間に位置する;それは、少なくとも1つの床、好ましくは少なくとも2つの床を含む。
【0081】
本発明による方法を別の分離法と結び付けることは興味深くあり得る。それ故に、有利には、圧力下にCOを維持しながら、この流れの中に含まれる水素の一部を選択的に分離することを可能にする分離方法の付与によってCOリッチな残留流れの中に含まれる水素の一部を回収することができる。
【0082】
それ故に、水素選択的膜による膜方法を用いることを考えることが可能である。この場合、COは、主として、未透過物(retentate)中に、したがって、高圧力において回収されるのに対して、水素は、透過物(permeate)に、より低い圧力において回収される。
【0083】
同様に、別の分離法と結び付けることはまた、本発明によるPSA法からの残留流れの中に含まれるCOの純度を上げることを可能にする。これは、例えば、CO貯蔵の場合に、補充圧縮のコストを下げることを可能にし得る。生じたCOが任意の補足的な適用のために用いられることになる場合には、CO純度の向上も興味深くあり得る。COリッチな流れを圧力下に維持しながらCOを除く残留流れの分子の一つを選択的に抽出することを可能にするあらゆる分離法が用いられ得る。膜方法および溶媒抽出法が特に挙げられ得る。
【0084】
本発明による方法によって生じた水素は、あらゆる方法において、特に、石油化学または精製において試薬として、および、燃料電池のための燃料として用いられ得る。本発明による方法の操作態様(吸着/脱着サイクルの配列、圧縮および減圧段階の数等)は、所望の水素純度に応じて最適化され得る。
【0085】
(実施例)
以降の実施例は、本発明の範囲を制限することなく、本発明を例証する。
【0086】
(実施例1:従来技術による)
67モル%のHおよび33モル%のCOの典型的な合成ガスの組成のために、他の不純物は重視されず、3MPaの吸着圧力Padsのために、吸着段階の間のCO分圧は1MPaである。
【0087】
従来技術において記載されたCO吸着容量のデータから、本発明者らは、0.4MPa超の脱圧圧力Pdseのために水素PSA法において従来から用いられている3つの吸着剤の動的容量を計算した。
【0088】
【表1】

【0089】
これらの吸着剤の動的容量は、0.1MPaの脱着圧力に対して高いが、それらは、脱着圧力が0.4MPa以上である場合に急速に落ちる。それ故に、0.4MPa超の脱着圧力のために、本方法の性能は、0.1MPa前後の脱着圧力(これらの吸着剤のための通常の脱着圧力)によるより著しく有用性に乏しい。生成物の3つの特徴的性能(水素純度、水素収率、または生産性)の一つは、したがって、低減させられなければならない。
【0090】
(実施例2:本発明による)
67モル%のHおよび33モル%のCOの典型的な合成ガスの組成のために、他の不純物は重視されず、3MPaの吸着圧力Padsのために、吸着段階の間のCO分圧は1MPaである。
【0091】
金属−有機構造体(MOF)タイプの吸着剤の動的容量は、従来技術において出版された等温線から計算された。
【0092】
【表2】

【0093】
本発明による吸着剤の動的吸着容量は、本発明による吸着分離法による操作条件に対して、従来技術による吸着剤の動的容量より非常に著しく大きいことが観察され得る。
【0094】
動的容量は分離法の性能と直接的に結び付けられ、このことは、0.4MPa超の脱着圧力のために、本発明による吸着剤により作用する方法が実施例1に挙げられたような従来の吸着剤により作用する方法より良好な性能(水素純度、水素収率または生産性に関して)を有することを意味する。
【0095】
結論として、本発明による方法は、0.1MPaの脱着圧力による従来の方法に少なくとも等しく、さらには潜在的にそれより高い性能を有することになる。
【0096】
(実施例3(比較))
本実施例は、金属−有機構造体族に属する2つの異なる吸着剤:MIL−53およびMOF−505の動的容量を比較する。2つの吸着剤は、1MPaにおいて同一の高純度のCO吸着容量を有する(8mmol/g)。今、PadsとPdes=0.4または0.5MPaとの間でMIL−53の動的容量は明らかにより高い。
【0097】
【表3】

【0098】
本実施例により、吸着圧力において非常に高いCO吸着容量を有する吸着剤が、脱着圧力Pdesが0.4MPa超である場合に、必ずしも高い吸着容量を有するとは限らないことが示される。したがって、吸着圧力におけるCO吸着容量は、本発明による方法のために吸着剤を選択するための重量な基準ではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給材料から非常に高い純度の水素を製造する方法であって、該供給材料は、主として水素を含有し、二酸化炭素、一酸化炭素、メタンおよびより重質の炭化水素から主としてなるより低い割合の不純物を含有し、前記供給材料は、複数の床から作製された少なくとも1つの吸着カラムに導入され、該方法は、
a)吸着段階の圧力(Pads)が達成されるまで、さらなる高純度水素または供給材料流により、前記供給材料を、部分的または完全に、並流または向流で加圧する段階、
b)高圧力Padsにおける、段階a)において加圧された供給材料の不純物を吸着する段階であって、1以上の床中に含まれる吸着剤固体を用いて行われる、段階、
c)0.4MPa超の脱着圧力Pdesが達成されるまでの段階b)からの流れの並流または向流の脱圧の段階、および
d)高圧力Pdesにおける並流または向流の脱着段階であって、該圧力Pdesは、吸着段階の圧力より低い、段階、
を少なくとも包含し、
床または床の一部を構成する少なくとも1つの吸着剤は、5MPaの吸着圧力(Pads)と、0.4MPaのCO脱着圧力(Pdes)との間で少なくとも2mmol/gの二酸化炭素の動的容量を有し、該動的容量は、吸着段階条件下に吸着されたCOの量と脱着後に吸着されて残る量との間の差として規定される、方法。
【請求項2】
吸着カラムは、少なくとも4の吸着床、好ましくは少なくとも10の吸着床から構成される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも1つの吸着剤は、5MPaの吸着圧力(Pads)と0.4MPaの脱着圧力(Pdes)との間で少なくとも4mmol/gの二酸化炭素動的容量を有する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
少なくとも1つの吸着剤は、3MPaの吸着圧力(Pads)と0.4MPaの脱着圧力(Pdes)との間で、少なくとも2mmol/g、好ましくは少なくとも4mmol/gの二酸化炭素動的容量を有する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも1つの吸着剤は、3MPaの吸着圧力(Pads)と0.5MPaの脱着圧力(Pdes)との間で、少なくとも2mmol/g、好ましくは少なくとも4mmol/gの二酸化炭素動的容量を有する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項6】
吸着圧力(Pads)は、1.5〜5MPaの範囲にわたり、脱着圧力(Pdes)は、0.4〜2MPaの範囲にわたる、請求項1〜5のいずれか1つに記載の方法。
【請求項7】
吸着圧力(Pads)は、2〜4MPaの範囲にわたり、脱着圧力(Pdes)は、0.4〜0.6MPaの範囲にわたる、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記吸着剤は、5〜50Åの細孔サイズおよび0.5〜5mL/gの細孔容積を有する、請求項1〜7のいずれか1つに記載の方法。
【請求項9】
前記吸着剤は、7〜25Åの細孔サイズおよび0.8〜3mL/gの細孔容積を有する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
吸着剤は、金属−有機構造体(MOF)、メソ孔シリカ、および2000m/g超の比表面積を有する活性炭からなる群から選択される、請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
吸着剤は、外気抜きMOF、すなわち、吸着圧力(Pads)において細孔が開になり、そのサイズは5Å超である柔軟性のある構造物の中から選択される、請求項8〜10のいずれか1つに記載の方法。
【請求項12】
吸着剤は、IRMOF−1、IRMOF−3、IRMOF−6、IRMOF−11、MOF−177、Cu(tatb)、MIL−100、MIL−101およびMIL−53の中から選択される、請求項8〜11のいずれか1つに記載の方法。
【請求項13】
作業温度は、10〜250℃、好ましくは10〜100℃、最も好ましくは10〜50℃の範囲にわたる、請求項1〜12のいずれか1つに記載の方法。
【請求項14】
PSA実施に従って操作され、CO以外の不純物はCOの親和性に近い吸着剤への親和性を有し、加圧段階a)は、複数回行われ、段階c)は、
c1)1以上の並流の部分的脱圧段階、
c2)1以上の向流の脱圧段階
によって規定される少なくとも2段階を含む、請求項1〜13のいずれか1つに記載の方法。
【請求項15】
PSA実施に従って操作され、CO以外の不純物は、COの親和性より著しく低い吸着剤への親和性を有し、少なくとも1つの吸着剤床は、2つの異なる吸着剤タイプ:5MPaの吸着圧力(Pads)と0.4MPaの脱着圧力(Pdes)との間で少なくとも2mmol/gの動的容量を有する第一の吸着剤とCO以外の不純物の吸着のための第二の吸着剤とを含む、請求項1〜13のいずれか1つに記載の方法。
【請求項16】
2つの異なる吸着剤は、少なくとも2つの連続する床の層に分配され、加圧段階a)は、複数回行われ、段階c)は、
c1)1以上の並流の部分的な脱圧段階、
c2)1以上の向流の脱圧段階
によって規定される2段階を含み、段階d)は、
d)CO脱着圧力(2〜0.4MPa)における向流脱着段階、
e)0.4MPaから大気圧の範囲にわたる低圧力における並流または向流の脱着段階
によって規定される2段階を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
2つの異なる吸着剤は、少なくとも2つの特定の床に分配される、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
第一の床の高圧力吸着段階b)は、第二の床と連続して行われ、第一の床の脱着段階d)は、高圧力において向流の流れにおいて行われる、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
第二の床の高圧力吸着段階b)は、第一の床と連続して行われ、段階c)は、
c1)1以上の並流の部分的脱圧段階、
c2)1以上の向流の脱圧段階
によって規定される2段階を含み、第一の床の脱着段階d’)は、低圧力において向流の流れにおいて行われる、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
SMB実施に従って操作され、
a)適切な吸着条件下に(特に、圧力Padsにおいて)、水素および不純物を含有する供給材料(1)を、好ましくは不純物を吸着するように複数の床に含まれる吸着剤固体と接触させる段階、
b)脱着剤または不純物の混合物のいずれかを含有する流れ(3)による一掃(sweeping)を経る格子のおよびマクロ孔の容積に含まれる水素の置換の段階、
c)吸着剤脱着段階であって、
・圧力Padsより低い高圧力Pdesにおける1以上の並流または向流の脱圧の副段階;この段階は、場合によっては、不純物および脱着剤の一部を含有する抽出物流(4)を得ることを可能にする脱着剤(例えば、3〜9個の炭素原子を有する炭化水素)の付与を含み得る、
・ガス流(脱着剤または水素)(5)によって床が一掃される圧力Pdesにおける脱着の副段階:この副段階は、不純物および脱着剤の一部を含有する抽出物流(6)を得ることを可能にする;
・高純度の水素流(ラフィネート)の一部または脱着剤流(7)による1以上の並流または向流の再加圧の副段階
を含む段階、
d)精製された水素および場合によっては脱着剤の一部を含有するラフィネート(2)の抜き出しの段階、
e)脱着剤の使用の場合に、抽出物を、脱着剤を含有する第一流および不純物を含有する第二流に分離する段階、および
f)脱着剤の使用の場合に、ラフィネートを、脱着剤を含有する第一流および高純度の水素を含有する第二流に分離する段階
を包含する請求項1〜13のいずれか1つに記載の方法。
【請求項21】
SMB実施に従って操作され、
a)適切な吸着条件下に(特に、圧力Padsにおいて)、水素および不純物を含有する供給材料(1)を、好ましくは不純物を吸着するように、複数の床に含まれる吸着剤固体と接触させる段階、
b)吸着剤の脱着段階であって、
・圧力Padsより低い高圧力Pdesにおける1以上の並流または向流の脱圧の副段階;この段階は、場合によっては、不純物および脱着剤の一部を含有する抽出物流(4)を得ることを可能にする脱着剤(3〜9個の炭素原子を有する炭化水素)の付与を含み得る、
・ガス流(脱着剤または水素)(5)によって床が一掃される圧力Pdesにおける脱着の副段階;これは、不純物および脱着剤の一部を含有する抽出物流(6)を得ることを可能にする、および
・高純度水素流(ラフィネート)の一部または脱着剤流(7)による1以上の並流または向流の再加圧の副段階、
を含む、段階、
c)精製された水素および場合による脱着剤の一部を含有するラフィネート(2)の抜き出しの段階、
d)脱着剤の使用の場合に、抽出物を、脱着剤を含有する第一流および不純物を含有する第二流に分離する段階、
e)脱着剤の使用の場合に、ラフィネートを、脱着剤を含有する第一流および高純度の水素を含有する第二流に分離する段階
を包含する、請求項1〜13のいずれか1つに記載の方法。
【請求項22】
膜分離または溶媒抽出法等の別の分離法と結び付けられる、請求項1〜21のいずれか1つに記載の方法。
【請求項23】
吸着剤の動的容量を増加させるために、極性の不純物が供給材料に加えられる、請求項1〜22のいずれか1つに記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−513201(P2010−513201A)
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−542123(P2009−542123)
【出願日】平成19年11月30日(2007.11.30)
【国際出願番号】PCT/FR2007/001978
【国際公開番号】WO2008/081102
【国際公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【出願人】(591007826)イエフペ (261)
【Fターム(参考)】