説明

圧力制御デバイス

本発明は、流体小出し容器(50,60)内に配置された一定の所定の過剰圧力を維持するための圧力制御デバイス(1)を有する圧力制御装置に関する。圧力制御デバイスは、第1シリンダ(15)と、前記所定の過剰圧力を加えるガスで満たされた前記第1シリンダ内で移動可能なピストン(13)と、第2チャンバ(7)と、第2チャンバ(7)から容器(50,60)に至るデバイスの外側までの通路と、前記通路を開放し、又は閉鎖するための弁(18)と、を有する。第2チャンバは、実質的に、閉鎖端(34)と、リム部分(4)を設けた開放端とを有する第2シリンダ(2)であり、クロージャー(5)が第2チャンバを閉鎖するために取り付けられ、第2チャンバは第1チャンバを取り囲み、第1チャンバはクロージャーの一部である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前段部分による、流体小出し容器内で、一定の所定の過剰圧力を維持するための圧力制御デバイスに関する。本発明は、請求項18の前段による、圧力制御デバイスを製造するための方法に更に関する。
【背景技術】
【0002】
かかる圧力制御デバイス付き容器は、例えば、PCT特許出願WO−A−99/62791号により、既知である。それに記載された装置は、流体を小出しにするように構成された容器内の一定の所定の圧力を維持するために設けられる。圧力制御デバイスは、第1チャンバ及び第2チャンバ、並びに、閉鎖部材を有し、閉鎖部材は、第2チャンバに対する閉鎖部材の位置に依存して、第1チャンバと容器との間の流体連通の開放及び閉鎖のために、第2チャンバに対して移動可能である。第1チャンバはガスで満たされ、使用中、そのガスは、容器内の圧力より高い圧力を有する。第2チャンバは、所定圧力又は基準圧力のガスを有して閉鎖され、且つ、第1チャンバの外側に設置される。図2による第1実施形態では、第1チャンバは、容器内で逆さまに配置され、かつ、容器の底と一緒に接合された長手方向のエッジと、垂直な側壁とを有するカップ形状ホルダとして設けられる。図3では、第2実施液体が示され、カップ状の第1チャンバの直径は、容器の内径よりもかなり小さい。チャンバは、容器内の中心に配置され、長手方向の端が容器の底と接続される。図4に、第3実施形態が示され、図4と同様の第1チャンバが、容器に対し偏心して配置される。図5では、ディスクが容器の高さの中央よりわずかに下に設けられ、気密連結された密封リングにより、容器の内壁と気密に連結される。このディスクは、容器を(固定配列された)二つの部分に分割する。同様の構成が、図6a及び図6bに示される。さらに、図7では、圧力制御デバイスの第1チャンバは、容器の内壁に対して密封され、且つ、容器内で軸線方向に移動することができるプランジャーとして設計される。かくして、プランジャーは、容器を二つの部分に分割し、上部分は、小出しされるべき液体で満たされる。第1チャンバからの流体の連通は、下部分で終わる。流体が容器の頂部の押しボタンによって小出しされたために、容器内の圧力が落ちると、プランジャーは、下部分と上部分の圧力差のために、下部分と上部分と間の圧力平衡が再び得られるまで移動する。したがって、下部分の圧力が減少し、その結果、第2チャンバ内の圧力が高くなり、閉鎖部材が第1チャンバと下部分との間の流体連通を開き、その結果、下部分の圧力が上昇する。次いで、プランジャーは、第2チャンバ内の所定圧力又は基準圧力と一致して、圧力平衡が達成されるまで、再び上方へ移動する。最後に、図8による実施形態では、第1チャンバは、円筒状のデザインのものであり、容器の内径に一致する外径を有し、かくして、容器内にきつく嵌められる。
【0003】
図7の圧力デバイスだけが、軸線方向に移動可能である。他のあらゆる例では、圧力デバイスは、容器の内部に固定されて配置される。図7の完全な圧力制御デバイスは、小出しする液体を放出する可動ピストンとして機能するプランジャーとして設計される。しかしながら、圧力制御デバイスの設計は、その大きな寸法形状のために不利であり、その結果、より少ない容器しか、小出しする液体のために使用することができない。
【0004】
セパレートモジュールとしての上述の圧力制御デバイスのより重要な問題は、第1チャンバと第2チャンバを、容器内に取り付ける前に、加圧しなければならいことである。これは、実際には、例えば、構造がワンピースであり、且つ、生産ラインが大変速く流れるアルミニウムエアゾール缶では、達成するのが大変困難であり、高くつくであろう。更に主要な欠点は、容器に後で取り付けられるセパレート圧力制御デバイス内の圧力が、商業上の供給連鎖の貯蔵及び分配のために必要な数ヶ月の期間中に、大いに落ちることが示されたことである。加えて、圧力制御デバイスの加圧を、規定量の圧力を得るために、流体の連通を閉鎖して実行しなければならない。かくして、既知の圧力制御デバイスは、大きな工業規模での適用に適当でない。
【発明の開示】
【0005】
したがって、本発明の目的は、構造が簡単であり、製造工程に関して容易であり、容器の容積をより広く使用することができる圧力制御デバイスを有する容器を提供することにある。本発明のもう一つの目的は、容器に取り付けられた後で、容易に加圧することができる、容器のための圧力制御デバイスを提供することにある。本発明のこの目的及び他の目的は、請求項1に記載された圧力制御装置によって、及び、請求項18に記載された製造方法によって達成される。
【0006】
本発明の主要な利点は、圧力制御デバイスを、完成後、及び液体小出しボトルの充填後に加圧することができることである。第2チャンバが第1チャンバを取り囲んでいるから、大変小型の圧力制御デバイスが得られ、その結果、ボトル内の全体の使用可能な空間が、既知の具体例のものより遙かに大きい。圧力制御デバイスを、前もって製造することができ、且つ、既存のプラスチック容器に容易に実装することができるので、例えば、化粧品用の既存の製造及び充填処理を、生産ラインのわずかな追加設備だけで維持することができる。
【0007】
本発明の更なる利点は、独立請求項に、及び、本発明の例示された実施形態が添付の図面に関して説明される以下の説明に説明される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
特定の図に関して定義された要素に付された特定の番号は、他に言及されなければ、全ての図で一致して使用される。
【0009】
図1及び図2も、容器内に一定の所定の過剰圧力を維持するための圧力制御デバイス1が、断面斜視図で示される。圧力制御デバイス1は、テーバー付き首部分3及びフランジ4を有する実質的に円筒形の容器2からなり、段付き漏斗6を有するリング形インサート、又はクロージャー5がフランジ4に取り付けられる。シリンダ2は、請求項では「第2シリンダ」と指示される圧力制御デバイス1の第2チャンバ7を形成する。インサート5の外側リム8は、下向きの外側リング部分9A及び下向きの内側リング部分9Bを有し、そのリング部分は、溝10を有する。インサート5は、超音波溶接によって、シリンダ2のフランジ4に取り付けられる。その理由のため、インサート5の溝10の内面は、大変強い密封接合のために、溶接工程中、エネルギー誘導子として使用される鋸歯又は溝付き構造を有する。漏斗6の下端11は、小さい中央開口12で狭められる。外側シーリング又はO−リング14付きのカップ状ピストン13がカップ状シリンダ15に挿入される。ピストン13とカップ状シリンダ15(請求項では、「第1シリンダ」と表された)との間の空間が、第1チャンバ16を構成する。ピストン13は、より広い円柱端部分18をもった突出ステム17を下向きに有する。中央開口12の直径は、円柱端部分18の直径よりわずかに大きく、その結果、この部分18は、開口12の中をスライドすることができる。漏斗6は、リング−シリンダ21を締め付けるリング形あご20付きの円筒形の締付け部分19を下方に有する。リング−シリンダ21の上端22は、シーリング又はO−リング23を挟む。図1では、円柱端部分18の上側リム24は、弁24の閉位置である、O−リング23に当たって位置し、弁24は、ステム17及び円柱端部分18付きのピストン13と、挟まれたシーリング又はO−リング23によって形成される。
【0010】
カップ状シリンダ15は、円筒形締め付け手段26によって包囲され、円筒形締め付け手段26は、カップ状シリンダ15を完全に取り囲み、窪み30の間に開口29を有する上側クラウン28を有する円筒形カップ27からなる。円筒形カップ27は、その上側閉鎖部に、三つの通気孔31を有し、そのうちの一つだけが図1及び図2で見える。さらに、多数のL字形状の小さい突起又はリブ(図示せず)が、漏斗6の内側に設けられ、それらは、互いに等間隔をなしている。その突起又はリブは、漏斗6の側面又は底面に設けられる。したがって、円筒形カップ27と漏斗6との間に空間があり、その空間は、開口12から、インサート5の上側までの通路を構成する。
【0011】
シリンダ2は、その端へ向かって徐々に拡げられ、内方に突出したリム33を有する広い端部分を有し、リム33の上には、容器の端部分が載る(図5及び図6参照)。シリンダの底部34は、シリンダ2の内側で補強され、かつ、中央開口36を有するリング形窪み35を有し、この開口に、ゴム製のいわゆるニコルソンプラグ37が押し込まれている。底部34は、高温の貯蔵条件の間、高い圧力によって引き起こされる変形に耐えるために、放射状の支持リブによって補強してもよい。ニコルソンプラグの代わりに、例えば、別の種類のゴム栓、又は、マッシュルーム形グロメット、又は、いわゆるラバーロープシール(rubber rope seals)、ヒートステーキング(heat staking)、又は、シガレットライター内のようなボールベアリングの使用のような、他の種類のシーリング要素を使用することができる。
【0012】
図2は、開位置での圧力制御デバイス1の弁25を示す。図3は、図2に示すような、圧力制御デバイス1の断面である。
【0013】
図4には、圧力制御デバイス1の要素の分解図が示されている。特に、クラウン28付きカップ27の構造をより正確に見ることができる。ステム17が、該ステム17の両側に設けられた二つの溝40及び41を有することが更に分かる。溝40及び41に続いて、ピストン13の下側に、二つの溝42及び43が反対方向に設けられている。かくして、ピストン13が、漏斗6の底面に位置する弁25の開位置では、開弁25から、漏斗6の内底面、及び側面に沿って、クラウン28の開口29を越えて、インサート5の頂まで通路がある。
【0014】
図5では、圧力制御デバイス1は、容器50内に取り付けられ、容器50は、それ自体が既知の圧力弁51と、容器50内で移動できる、高密度ポリエチレンのような、適当な熱可塑性材料で作られた可撓性ピストン52とを有する。可撓性ピストン52は、インサート5の上側の輪郭に多少従うカップ状シリンダ又はドームのとして形成される。ピストン52は、更に、上側シーリングリップ53及び下側シーリングリップ54で、容器50の内壁と接触している広いリングシリンダ形状のシーリング53を有する。上側シーリングリップ53は、容器50内に満たされた液体が容器50の内壁から掻き取られるように、鋭いリムを有するスクレーパー(scraper)として設けられ、その結果、内壁には、材料が残らないか、せいぜい大変薄い液体膜だけが残る。気密シールを必要とする場合には、ピストン52の周囲に配置された別個のゴムO−リングも考えられる。シーリングリップ54は、くさび形状をなし、上側シーリングリップ53よりも、幾分広い接触面積を有する。分かるように、容器50は、円筒形のボトルとして形成される。ボトル50の内側と、シリンダ2の外側との間に、締まり圧力嵌めの連結があるように、圧力制御デバイス1のシリンダ2は、その端に至るまで拡げられる。さらに、端部分55の近くで、ボトル50は、シリンダ2にレーザー溶接されて、大変強い密封を作る。リング円筒ボトル50が、ここでは示されているが、楕円又は四分円のような他のベースを円筒形ボトルに使用することができる。ボトルはまた、卵形でもよい。そして、圧力制御デバイス1のシリンダ2の形状は、それに応じて適合されるべきである。
【0015】
(作用)
上述の圧力制御デバイスの機能は、以下の通りであり、要求されたように過圧で、しかし、好ましくは、約8バールの過剰で、不活性ガス、特に、通常の空気が、第2チャンバ7内に充填されている。弁24は、その閉位置にある(図1)。1.5乃至2.0バール、好ましくは、2.0バールの一定の所定の過剰圧力で、ガス、特に、通常の空気が第1チャンバ16内に充填されている。容器50内の液体が弁51によって小出しされるならば起こることであるが、容器50内の圧力が所定の過剰圧力以下に下がると、通路内の圧力も低下する。かくして、第1チャンバ16と通路との間に圧力平衡は最早なく、ピストン13は、弁25の閉位置(図1)から開位置(図2)まで、下方に移動する。シリンダ2の第2チャンバ7内には過圧があるため、容器50、すなわち、可撓性ピストン52の下まで通路に亘って空気流があり、可撓性ピストン52は、第1チャンバ16と通路(又は、容器50)との間に再び圧力平衡になるまで上方に移動される。平衡状態では、弁25は再び閉じられ、可撓性ピストン52の下側圧力と上側圧力とは同じになる。ピストン13は、平衡状態に達するまで、往復する仕方で又は振動する仕方で移動されて、弁25を開閉する。ピストン13及びステム17は軽量であるため、弁25の開位置と閉位置との間の往復運動は大変速く、平衡状態に、ほとんど即座に到達する。
【0016】
全ての液体を一定圧力で又は連続的な流速で容器から完全に小出しするために、過剰圧力は、最後まで容器内で維持されなければならない。液体の最後の一滴を小出しすべきであるような終わりに、第2チャンバ7内の過圧が、第1チャンバ16内の所定の過剰圧力と少なくとも等しい場合にのみこれを提供することができる。これは、次の式が満たされるべきであることを意味する。
2≧P1*(1+V1/V2
ここで、P1=所定の過剰圧力
2=第2チャンバ内の初期圧力
1=容器の容積
2=第2チャンバの容積
【0017】
これは、容積V1に関して容積V2が小さければ小さいほど、過剰圧力P2が高いことを意味する。かくして、シリンダ2の設計は、より高い圧力でより重要であるから、材料特性、製造方法等に依存するシリンダの最小寸法について事実上の制限がある。
【0018】
実際の例では、容器V1の容積は、150mlであり、小出しされるべき液体の体積は、容器の容積の90%の最大量、すなわち、135mlまでである。第2チャンバ7の過圧P2は、最初は8.0バールであり、作用圧力又は所定の過剰圧力P1は、2.0バールである。第2チャンバ7の容積V2は、50mlである。
【0019】
必要な作用圧力P1は、小出しされるべき液体の粘度及び又は他の物理的性質に依存する。低粘度又は中粘度ゲル又はクリーム(例えば、化粧品)に必要とされる典型的な作用圧力は、1.5乃至2.0バールであり、加圧配合物の後発泡については、3.0バールであり、高粘度中点在(例えば、アクリル樹脂)については、2.1乃至2.5バールであり、ウエット液体スプレーについては、3.0バールであり、微細液体スプレーについては、4.0乃至5.0バールであり、そして、乾性乃至非常に乾性の液体スプレーについては、6.0バールである。
【0020】
最後の場合では、容器の容積V1が140mlであり、且つ、第2チャンバ7の容積V2が50mlであれば、過剰圧力P2は、24.0バールである。したがって、圧力制御デバイス1のシリンダ2の構造は、かかる高い過剰圧力に耐えるために、大変安定でなければならない。また、シリンダ2に使用される材料の安定性及び選択に関する、加圧容器についての政府の規制を満たされなければならない。したがって、以下に説明される、上述の圧力制御デバイス1を生産するための工程も、大変重要である。
【0021】
図7に、流体小出し容器60が断面で示され、圧力制御デバイス1は、図5及び図6の容器50におけると同様の仕方で、流体小出し容器60内に取り付けられる。スプレーノズル64を有する押しボタンアクチュエータ63付きの在来の小出し弁62が、上端61にクリンプされた円周のリング形状のリム65によって、容器60の上端に取り付けられる。弁62の下端67は、ポリプロピレン又はポリエチレンのような、プラスチック材料の中空のディップチューブ(dip-tube)68を備える。ディップチューブ68の長さは、下端69が、圧力制御デバイス1の円筒形カップ27に単に接触する程の長さである(図1参照)。ディップチューブはまた、シリンダの外側と容器の壁の内側との間に位置決めされる。円筒形カップ27の表面とのあまりにも厳密な接触によるチューブの下端69の閉塞を回避するために、チューブの下端69は、斜めに切断されるのがよい。容器60の作用は、図5及び図6の容器50のものと同様である。
【0022】
容器50又は60内の圧力が、充填速度に関係なく一定のままであり、すなわち、全ての流体が小出しされるまで、流体製品を小出ししている間、所定の過剰圧力が一定のままであることが、一連の実際の試験で証明されている。
【0023】
明らかに、可撓性ピストン52を有する容器50は、クリーム又はゲルのような高い粘度の流体により適合し、これに対して、スプレーノズル64を有する容器60は、エアフレッシュナー、脱臭剤、スプレー塗料のような低い粘度の流体により適合する。
【0024】
(製造工程)
圧力制御デバイス1のシリンダ2は、好ましくは、ポリエチレンテレフタレート(PET)で射出吹込成形される。シリンダ2を生産するための射出吹込成形工程の主な利点は、異なる寸法を同じ成形型で、若しくは、最小限の変更で生産することができ、且つ、吹き込み工程中、延伸されたPET材料の配向が、高い強度及び良好なガス遮断特性を与えるより高い結晶構造をもたらすことである。典型的には、1.5乃至2.0mmの肉厚を有する、首部分3、フランジ4及び拡げられた又はより広い端部分32を有するシリンダ2の構造が大変強く、高圧ガスを収容するのに最も適していることが、証明された。
【0025】
首部分3はシリンダ2の全サイズについて同じままであり、構成部品、及び製造工程、及び組み立て機器の効率的な標準化を可能にする。中央開口又は孔35は、シリンダ2の底に作られる。これは、穴あけによって、又は、成形型の外形が底に、中央開口又は孔35を形成するためのピンを有する点で、射出吹込成形工程中、より有利である。上述したレーザー溶接工程の間に、シリンダの外径のテーバー付きの領域が、容器又はボトル50との最適な干渉プレス嵌めを得るために設けられる。
【0026】
インサート5の他の部分、即ち、漏斗6、カップ状ピストン13、リングシリンダ21、及び円筒形締め付け手段26は、PET等のような好適な任意の合成材料の射出成形によって作られる。アルミニウムで作られたカップ状シリンダ15は、取り囲むO−リング14付きのピストン13を覆う正しい位置に、空気圧の下で位置決めされ、シリンダ15の開口端には、ピストンの離脱を防ぐために、三つ四つの内向きのくぼみが作られる。このようにして、第1チャンバ16は、所定の過剰圧力に維持される。以下に、円筒形締め付け手段26は、シリンダ15の上に置かれ、これに対して、シリンダ15と円筒カップ27との間の空気は、ベント31を通って逃げ、円筒形締め付け手段26は、漏斗6内の適所にスナップ嵌めされる。図1及び図2で分かるように、この理由のため、クラウンの窪み30の外リング部分61がスナップ嵌めされる小さいリング溝60が設けられている。 変形例として、カップ状シリンダ15をも、PETで、又は、他の任意の硬質の合成材料で作ることができる。
【0027】
容器又はボトル50は、PET等の任意の適当な合成材料で作られた好適なプリフォームから射出延伸吹込成形(injection stretch blow-moulded)(ISBM)される。PETプリフォームは、より小さい大きさで、ボトルの形状を既に有する。プリフォームは、初めに、大変高い生産規模で別々に作られ、したがって、大変経済的である。ISBM工程は、シリンダ2を生産するのに使用された上述の射出吹込成形工程と同じ利点を有するが、PET材料が、容器のデザインに依存して、典型的には、0.3乃至0.6mmの薄い肉厚でも、均一なよい延伸とガス遮断特性を生じさせる、二軸に、即ち、半径方向と縦の両方に延伸されると点で、更なる重要な利益を有する。延伸吹込成形後、容器ボトル50の端部分を切断して、ピストン52及びシリンダを受け入れるための開口端を作るのがよい。
【0028】
可撓性ピストン52を、ボトル50に組み込み、開口端部分50を有するボトル50を、圧力制御デバイス1のシリンダ2の上に置く。ボトル50とシリンダ2との間の密封を得るために、ボトル50をシリンダ2にレーザー溶接する。この理由のため、ボトル50は、PETのような透明なプラスチック材料で作られ、シリンダ2には、リング円筒円周で、ボトルの端部分53から短い距離に、「カーボンブラック」として知られる赤外又はレーザーエネルギー吸収物質が少なくとも注入される。シリンダ2を有するボトル50を、レーザービームが、ボトル50の外面に対して垂直に向けられる間、ボトル50の長手軸線の周りに回わす。使用した半導体レーザー装置は、820nmの波長を有する、スイス国ザーネン(Sarnen)のレーザープロセステクノロジー社(Leiser Process Technologies)のNOVALAS−C装置である。使用したレーザービームのパワーは、25ワット(連続)であり、回転速度は、3.5回転/秒であり、レーザービームは、約10回転の間、当てられる。
【0029】
レーザー溶接は、圧力制御デバイスをボトル50に接合するのにもっとも良い結果を与えるものとして証明されたけれども、超音波溶接、又は適当なプラスチック接着剤による接着のような、他の適当な接合方法をも使用することができる。
【0030】
説明した製造方法の主要な利点は、圧力制御デバイスを生産することができ、その第1チャンバを加圧して、容器の製造業者に引き渡すことができ、製造業者は、標準の既知の工程である射出延伸吹込成形によって、容器又はボトルを生産することができ、容器又はボトルの底を切断し、圧力制御デバイスとボトルとを、例えば、レーザー溶接によって接合し、圧力弁51を挿入し、圧力弁51に亘って液体を充填し、最後に、在来の方法で、ゴムプラグ37を通して、第2シリンダを加圧する。追加の生産段階を、化粧品等に用いられるエアゾール容器のために、例えば、液体製品が容器の開口首を通して、或いは小出し弁51を通して充填される、既知の生産及び充填工程に容易に導入することができる。
【0031】
本発明の更なる利点は、普通の空気だけ、又は、他の適当な挿入ガスが、圧力充填に使用されるから、工程施設、設備、及び製造環境、及び作業手順は、危険な引火性噴射剤に普通に必要とされる特別の安全要件を考慮する必要がないことである。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】容器が閉じられている圧力制御デバイスの断面斜視図である。
【図2】弁が開いている同じ圧力制御デバイスである。
【図3】断面だけでの図1と同じ圧力制御デバイスである。
【図4】図1の圧力制御デバイスの分解図である。
【図5】弁が閉じられている、圧力制御デバイス及び可動ピストンを有する流体小出し容器である。
【図6】弁が開いいている、図5と同じ容器である。
【図7】圧力制御デバイス及びディップチューブ(dip-tube)装置付きスプレー弁を有する流体小出し容器である。
【符号の説明】
【0033】
1 圧力制御デバイス
2 円筒容器
3 テーパー付き首部分
4 フランジ
5 リング形状インサート
6 段付き漏斗
7 第2チャンバ
8 外リム
9A 外リング部分
9B 内リング部分
10 溝
11 漏斗の下端
12 中央開口
13 カップ状ピストン
14 シーリング又はO−リング
15 カップ状シリンダ
16 第1チャンバ
17 突出ステム
18 円筒端部分
19 円筒形締め付け部分
20 リング形あご
21 リングシリンダ
22 上端
23 シーリング又はO−リング
24 弁
26 円筒形締め付け部分
27 円筒形カップ
28 上クラウン
29 開口
30 窪み
31 通気孔
32 広い端部分
33 内方に突出したリム
34 底部分
35 リング形窪み
36 中央開口
37 ニコルソンプラグ
40 溝
41 溝
42 溝
43 溝
50 容器、ボトル
51 既知の圧力弁
52 可撓性ピストン
53 上側シーリングリップ
54 下側シーリングリップ
55 端部分
60 小出し容器、ボトル
61 上端
62 圧力弁
63 押しボタン
64 スプレーノズル
65 リング形リム
67 弁下端
68 ディップチューブ
69 チューブ下端

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体小出し容器(50,60)に配置された圧力制御装置の圧力制御デバイス(1)であって、
前記圧力制御デバイスは、
開口端と閉鎖端とを有するシリンダ(15)と、
前記シリンダ内部で移動でき、前記所定の過剰圧力を働かせるガスで満たされる第1チャンバ(16)を構成するピストン(13)と、
第2チャンバ(7)と、
流体小出し容器(50,60)に至る、第2チャンバ(7)からデバイスの外側までの通路と、
前記通路を開放し、又は閉鎖する弁(18、23)と、
を有し、
前記第2チャンバ(7)は、閉鎖端(34)とリム部分(4)に設けた開口端を有する高圧容器(2)によって形成され、
前記容器(2)は、前記所定の過剰圧力より高い圧力のガスで満たされ、
前記ピストン(13)は、第1チャンバ(16)と流体小出し容器(50、60)との間の圧力差に応じて、前記弁を作動するための手段を有し、
容器内の流体圧力が、所定の過剰圧力以下に下がれば、容器圧力が前記所定の圧力とほぼ等しくなるまで、第2チャンバ(7)から容器に流れる、圧力制御デバイスにおいて、
クロージャー(5)が、第2チャンバ(7)を閉鎖するために、高圧容器(2)のリム部分(4)に取り付けられ、高圧容器(2)が第1チャンバ(16)のシリンダ(15)を取り囲んでいるように、第1チャンバ(16)はクロージャーの一部である、
ことを特徴とする圧力制御デバイス。
【請求項2】
前記第1チャンバ(16)の容積は、前記第2チャンバ(7)の容積よりも実質的に小さい、請求項1記載の圧力制御デバイス。
【請求項3】
前記高圧容器(2)は、第2シリンダである、請求項1又は2記載の圧力制御デバイス。
【請求項4】
第2チャンバ(7)内のガスの初期圧力は、下記の式によって定義される、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の圧力制御デバイス。
2≧P1*(1+V1/V2
ここで、 P1=所定の過剰圧力
2=第2チャンバ内の初期圧力
1=流体小出し容器の容積
2=第2チャンバの容積
【請求項5】
前記クロージャー(5)は、
高圧容器(2)のリム部分(4)と相応する閉鎖要素(9A、9B)と、
第1チャンバの第1シリンダ(15)をクロージャー(5)内に取り付けるための手段(26)と、
を有する、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の圧力制御デバイス。
【請求項6】
前記高圧容器(2)の上端は、テーパー付き首部分(3)を有する、請求項5記載の圧力制御デバイス。
【請求項7】
前記クロージャー(5)は、前記首部分(3)に対して内方に向けられた段付き漏斗(6)を有する、請求項6記載の圧力制御デバイス。
【請求項8】
前記閉鎖要素は、振動又は超音波溶接の手段によって、前記高圧容器の前記リム部分(4)に取り付けられる、前記クロージャー(5)の内円形溝(10)である、請求項5又は6記載の圧力制御デバイス。
【請求項9】
前記高圧容器(2)は、前記第2チャンバ(7)をガスで加圧するために、プラグ(37)によって閉じられた中央底開口(36)を有する、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の圧力制御デバイス。
【請求項10】
前記高圧容器(2)は、射出吹込成形によってプラスチック材料で作られる、請求項1記載の圧力制御デバイス。
【請求項11】
前記高圧容器(2)は、PETで作られる、請求項10記載の圧力制御デバイス。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか一項に記載の圧力制御デバイス(1)と、流体小出し容器(50,60)と、を有する圧力制御装置であって、
前記流体小出し容器は、ボトルとしてプラスチック材料で形成され、前記高圧容器(2)は、前記容器の内壁に溶接され、前記ボトルの内側と前記高圧容器(2)の外側とは、干渉圧力嵌め連結を形成するようになっている、圧力制御装置。
【請求項13】
前記高圧容器(2)は、前記流体小出し容器(50,60)の内壁にレーザー溶接される、請求項12記載の圧力制御装置。
【請求項14】
前記流体小出し容器(50、60)は、小出し弁(51)付きの小出し開口を有し、
可動ピストン(52)が、前記圧力制御デバイスと前記小出し開口の間で前記容器内に設けられ、ピストンは、流体とガスとを分離し、且つ、前記容器内の過剰圧力によって、前記小出し開口に向かって移動可能である、請求項12又は13記載の圧力制御装置。
【請求項15】
前記可動ピストン(52)は、環状密封リブ付きのドームとして設計される、請求項14記載の圧力制御装置。
【請求項16】
前記可動ピストン(52)は、弾力的なプラスチック材料で作られる、請求項15記載の圧力制御装置。
【請求項17】
前記容器(60)は、小出し弁(62)付きの小出し開口(61)を有し、
ディップチューブ(68)が、前記容器内の過剰圧力によって前記ディップチューブの中を通して液体を小出しするために、前記小出し弁(62)の入口から前記圧力制御デバイス(1)の上端まで設けられる、請求項12又は13記載の圧力制御装置。
【請求項18】
前記小出し弁(62)は、スプレーノズル(64)を有する、請求項17記載の圧力制御装置。
【請求項19】
請求項1乃至11のいずれか一項に記載の圧力制御デバイス(1)を製造するための方法であって、
第1シリンダ(15)が形成され、
ピストン(13)、弁要素(18、23)、及び、閉鎖端と開口端にリム部分(4)を有する高圧容器(2)が、安定性の高い合成材料で形成され、
中央開口(36)が、容器(2)の底に形成され、
ピストン(13)が、第1シリンダ(15)内に、密封リング(14)と共に組み立てられ、ガスが、所定の圧力で第1チャンバ(16)内に充填され、
ピストン(13)の作動手段が、弁に対して正しく位置決めされるように、第1シリンダ(15)は、弁(18,23)に対して取り付けられ、
クロージャー(5)は、高圧容器(2)に取り付けられる、
製造方法。
【請求項20】
前記クロージャー(5)は、振動又は超音波溶接によって、前記高圧容器(2)に取り付けられる、請求項19記載の製造方法。
【請求項21】
前記高圧容器(2)は、射出吹込成形によって、合成材料から形成される、請求項20又は21記載の製造方法。
【請求項22】
前記合成材料はPETである、請求項21記載の製造方法。
【請求項23】
請求項12乃至18のいずれか一項に記載の圧力制御装の製造方法、及び、請求項19乃至22のいずれか一項に記載の方法による製造方法であって、
流体小出し容器(50、60)が形成され、
流体小出し容器の底が切断され、
高圧容器(2)と流体小出し容器(50,60)が、それぞれの底領域で接合される、製造方法。
【請求項24】
前記流体小出し容器(50,60)は、射出延伸吹込成形によって、合成材料から形成される、請求項23記載の製造方法。
【請求項25】
前記高圧容器(2)と前記流体小出し容器(50、60)は、レーザー溶接によって接合される、請求項23又は24記載の圧力制御装置。
【請求項26】
前記流体小出し容器(50,60)は、透明なプラスチック材料で作られ、前記高圧容器(2)は、レーザーエネルギー吸収プラスチック材料で作られる、請求項25記載の製造方法。
【請求項27】
前記高圧容器(2)は、流体小出し容器(50,60)に流体を充填した直後に、不活性ガスで加圧される、請求項23乃至26のいずれか一項に記載の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2007−519578(P2007−519578A)
【公表日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−550318(P2006−550318)
【出願日】平成16年8月5日(2004.8.5)
【国際出願番号】PCT/IB2004/002522
【国際公開番号】WO2005/082744
【国際公開日】平成17年9月9日(2005.9.9)
【出願人】(506259531)インテリジェント パッケイジング システムズ グループ ソシエテ アノニム (2)
【Fターム(参考)】