説明

圧力測定モジュール

【課題】磁障害(EMC)に対する圧力測定モジュール10の耐性を向上させ、圧力測定モジュール10の構造を格段に簡素化し、フレキシブルにする。
【解決手段】少なくとも1つの導体路(50)または打抜きグリッド(30)の自由端部は、ボンディングワイヤ(24)を介して前記圧力測定チップ(20)の平坦面(22)と電気接続されており、コンデンサ(28,56)は、ケーシング(12)内の開口部(46)に取り付けられており、当該開口部には前記内室(14)とは反対側の前記ハウジング(12)の裏側(42)からアクセスすることができ、前記コンデンサ(28,56)は、前記少なくとも1つの導体路(50)または打抜きグリッド(30)の自由端部と、当該少なくとも1つの導体路(50)または打抜きグリッド(30)のボンディングワイヤ端子とは反対の側で電気接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絶対圧または相対圧を検出するための圧力測定モジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、圧力センサモジュールに関連するものである。この圧力センサモジュールは、パイプを備える少なくとも1つのモジュールハウジングを有し、このパイプには測定すべき媒体に対する開口部が配置されている。圧力センサモジュールはさらに圧力センサを有する。この圧力センサは、前記モジュールハウジングとは別個に形成され、センサハウジング開口部が設けられたセンサハウジング内に配置されている。そしてセンサハウジング内で圧力センサにもたらされる圧力媒体によって支持されている。センサハウジングはモジュールハウジングの凹部にあり、少なくとも部分的にモジュールハウジングに接しており、この凹部内でプラスチック成形または注型コンパウンドによって保持されている。センサハウジング開口部を包囲するセンサハウジングの一部がモジュールハウジングに当接しており、したがってセンサハウジングは移行部はパイプの開口部を完全に包囲している。プラスチック成形または注形コンパウンドは、センサハウジングを凹部内で、モータハウジングに当接するセンサハウジングの一部を除いて包囲し、かつセンサハウジング開口部を完全に包囲している。
【0003】
特許文献2は、センサモジュールに関連するものである。このセンサモジュールはとりわけ、センサハウジングを備える圧力センサモジュールであり、センサハウジングは、その中に部分的に電気導体が埋め込まれたハウジング部分を有する。センサハウジング内には、センサ装置が配置された第1の内室が形成されており、この第1の内室に対して密閉された第2の内室が設けられている。このセンサハウジング内には、少なくとも1つのコンデンサが配置されている。第1の内室には、周回する壁により形成された収容部を備える収容部材が配置されている。この収容部にはセンサ装置が装着されており、収容部に充填された保護カバーにより覆われている。センサ装置は、収容部材に配置された電気接続素子と接続している。接続素子は、電気導体の接続部分と直接接続されている。第2の内室に配置された少なくとも1つのセンサが導電材料を介して、少なくとも1つの電気導体と接続されている。
【0004】
耐ノイズ性(電磁的両立性)と静電放電に対する耐性(ESD)の理由から、評価回路を備えるマイクロメカニカルなシリコン圧力測定チップを保護するために、このセンサではコンデンサが必要である。シリコン圧力測定チップは通例、Siチップと称される。確かにコンデンサをSiチップに集積することができる。しかしこのことは、一方でより大きなチップ面積を必要とし、したがってチップの製造コストを上昇させる。他方で集積されたEMCコンデンサは、静電放電に関する要求(ESD要求)を満たさないか、または不十分にしか満たさない。
【0005】
したがって通常、コンデンサを外部に、すなわちSiチップとは別個に装着することしかできない。一般的にこのコンデンサは、Siチップと同じ圧力の印加される空間に、例えば回路支持体(ハイブリッド、配線基板)またはセンサの打抜きグリッド上で装着される。後者の手段は、例えば構造に融通性がないという欠点を伴う。なぜならコンデンサを任意の個所に配置することができないからである。そのためさらにSiチップとコンデンサとの間隔を任意に小さくすることができない。しかしこのことは、電磁的両立性を最適化するために必要なことである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】ドイツ連邦共和国特許第10054013号
【特許文献2】ドイツ連邦共和国特許出願公開第102004012593号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、コンデンサの集積されたセンサモジュール、とりわけ圧力センサモジュールが提案される。このモジュールでは、既存のSiチップを使用して電磁的障害に対する耐性が高められており、同時に、センサ全体、とりわけ圧力センサ全体の構造が、シンプルかつフレキシブルに維持されている。本発明により提案された圧力センサモジュールの構造では、すでに大量生産され、検査された既存の製造プロセスからできるだけ離れないことが重要視される。
【0008】
集積されたコンデンサを備える本発明の圧力センサモジュールの構造は、従来の変形実施形態に対して、例えばコンデンサがSiチップ上に集積された変形実施形態に対して、チップ面積が小さく、したがってチップコストが低いという利点を有する。チップに集積されたコンデンサは、妥協として、これに課せられたESD要求を満たさないか、または不十分にしか満たさない。しかし新規のSiチップを開発するよりは個々のコストが低い。
【0009】
本発明により提案された構造は、圧力の印加される室内(2チャンバ構造)でコンデンサが打抜きグリッド上に接着されるという変形実施形態に対して、Siチップに対する間隔が格段に小さいことによってEMCが改善されるという利点を有する。センサのフレキシブルな構造変形が可能である。なぜなら外部のコンデンサが使用されないからである。載置工程、接着工程、および硬化工程が、本発明で提案された圧力センサモジュールの製造の際に格段に簡素化される。なぜなら載置工程、接着工程、および硬化工程を省略することができるからである。圧力センサモジュールの2チャンバ構造で存在する2つのチャンバを、付加的にESD/EMC保護手段のために用いることができる。これらのチャンバは、これまではコンデンサの取り付けのために用いられていた。したがって既存の2つチャンバに、例えばバリスタまたは他の電子素子を取り付けることができる。
【0010】
前記のコンデンサは、圧力センサモジュールの打抜きグリッド上に適切な方法によって、例えばろう付け、エポキシ導電接着剤により、またはろう付けとボンディングにより取り付けられる。続いて、モジュールのハウジング材料による成形が行われる。このことは特別に設けるべき製造ステップではなく、モジュールハウジングの製造の枠内で行うことができる。
【0011】
択一的に、2つのEMCコンデンサを打抜きグリッドに、適切な方法によって後から取り付けることもできる。これは例えばろう付け、エポキシ導電接着剤、ろう付けとボンディングによって行われ、完成したモジュールハウジング内で、それに続く不動体化ステップ、例えば適切な材料によるゲル化または凝集が実行される。
【0012】
最後に述べた製造変形実施形態では、適切なEMCコンデンサをバックフィル領域に後から取り付けることもできる。「バックフィル領域」とは、ハウジングの裏面に向かって開放した開口部であると理解されたい。この開口部に、少なくとも1つのEMCコンデンサを、モジュールハウジングの裏側から装着することができる。
【0013】
現在使用されている圧力センサモジュールの構造は、このために最小に適合すれば良いだけである。
【0014】
本発明により提案された圧力センサモジュールの得られた構造は、格段に大きなEMCを有し、フレキシブルであり、外部のさらなる配線を必要としない。圧力センサモジュールの本発明により提案された構造によって、任意の圧力センサを種々の適用のために構成することができる。この適用は、上に述べたこれまでの解決手段に対するすべての利点を備えており、以下に説明する。
【0015】
図面に基づき、以下に本発明を詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】絶対圧を検出するための、本発明により提案された圧力測定モジュールの断面図である。
【図2】相対圧を検出するための、本発明により提案された圧力測定モジュールの実施形態の断面図である。
【図3】絶対圧を検出するための、本発明により提案された圧力測定モジュールの実施形態の断面図である。ここではEMCコンデンサが、ハウジングの裏側から取り付けられている。
【図4】2つのEMCコンデンサを備える、本発明により提案された圧力測定モジュールの平面図であり、2つのコンデンサが打抜きグリッドの2つの導体路と電気的に相互に接続されている。
【図5】下方部分によりカプセル化されたEMCコンデンサを備える圧力測定モジュールの縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1には本発明により提案された圧力測定モジュール10が示されている。この圧力測定モジュールは、絶対圧の検出のために使用することができる。
【0018】
図1から、圧力測定モジュール10がハウジング12を有し、そのハウジング壁16が内室14を制限していることが分かる。内室14の底部上にはソケット18があり、ソケットの上側に圧力測定チップ20、とりわけシリコン圧力測定チップが取り付けられている。圧力測定チップ20は、上方平坦面22と下面34を有する。圧力測定モジュール10のハウジング12内には、例えば打抜きグリッド30または複数の導体路50(図4の平面図を参照)がある。打抜きグリッド30または複数の導体路50の自由端部が、ハウジング12内部の内室14に合流している。ボンディングワイヤ24を介して圧力測定チップ20の平坦面22が、打抜きグリッド30または複数の導体路50と、変形実施形態に応じて電気的に接続している。
【0019】
図1から分かるように、打抜きグリッド30には、本変形実施形態では少なくとも1つのEMCコンデンサ28が配設されている。少なくとも1つのEMCコンデンサ28は不動体化媒体26により包囲されており、素材結合によって、または素材結合32の枠内でのエポキシ接着接続によって打抜きグリッド30と接続している。さらに図1から分かるように、圧力測定モジュール10の内室14はカバー60によって覆われている。しかしこのカバー60は、圧力測定チップ20の平坦面22に圧力が印加されるのを許容し、したがって絶対圧を測定することができる。
【0020】
図1の断面図に示された圧力測定モジュール10は、例えば、少なくとも1つのコンデンサ28を打抜きグリッド30上に事前に取り付けるか、または少なくとも1つのコンデンサ56(図4参照)を、2つの導体路50を橋絡するように事前に取り付けるようにして作製することができる。少なくとも1つのコンデンサ28または56の事前取り付けは、好ましくは素材結合を形成するように、例えばろう付けまたはエポキシ導電接着剤、またはろう付けとボンディングによって行われる。ボンディングの場合には、電気接触接続が細いボンディングワイヤによって行われる。
【0021】
少なくとも1つのコンデンサ28または56を、打抜きグリッド30または少なくとも1つの導体路50の上に事前に取り付けた後、打抜きグリッド30が、ハウジング12の作製材料により成形される。これは別個の工程ステップではなく、少なくとも1つのコンデンサ28または56の周りを、事前取り付けに続く成形法によってハウジング12に注型することができる。
【0022】
その代わりに、図1の実施形態で示された圧力測定モジュール10を、少なくとも1つの電子構成素子、例えばEMCコンデンサ28を打抜きグリッド30または少なくとも1つの導体路50に後から取り付けることにより作製することもできる。後からの取り付けは、完成されたハウジングで行われる。この場合、少なくとも1つの電子構成素子28は素材結合の形成により、例えばろう付け、またはエポキシ導電接着剤による接着、またはろう付けとボンディングによってハウジングと接合される。続いて、後から接合された電子構成素子28、例えば少なくとも1つのEMCコンデンサを不動体化することができる。不動体化は、不動体化媒体の装入によって行われる。例えば少なくとも1つの電子構成素子28が存在するハウジング12の開口部をゲル化または凝集させることにより行われる。
【0023】
図1の断面図に示された本発明の圧力測定モジュール10の実施形態は絶対圧を検出するために用いられるが、図2に示された本発明の圧力測定モジュール10の実施形態では、測定圧を検出することができる。
【0024】
図1の実施形態との相違は、ソケット18ならびにハウジング12のボンディング領域に、中空空間14の下方でそれぞれ貫通チャネル36、38が存在することである。ソケット18またはハウジング12の貫通チャネル36または38を介して、圧力測定チップ20の下側34に圧力が印加され、圧力測定チップの上方平坦面22には通気性のあるカバー60を介して圧力が印加される。図1の変形実施形態と同様に、ハウジング12には内室14が設けられており、この内室内にはソケット18が配置されている。このソケット18の上側には圧力測定チップ20が取り付けられている。圧力測定モジュール10の内室14へは、打抜きグリッド30または導体路50(図4参照)の自由端部が突入しており、この自由端部は電気接触接続を可能にする。この実施形態によれば、打抜きグリッド30は少なくとも1つの電子構成素子28、例えばEMCコンデンサを有し、この電子構成素子は不動化媒体26内で不動化されている。少なくとも1つのEMCコンデンサ28の形の電子構成素子は、例えばろう接合により行われる素材結合によって、またはエポキシ導電接着剤の使用によって、打抜きグリッド30または少なくとも1つの導体路50と接続されている。
【0025】
図2ではさらに、ハウジング12の底部が参照符合12により、ハウジング12の外壁が参照符合44により示されている。
【0026】
図2の圧力測定モジュール10は、例えば少なくとも1つの電子構成素子28を打抜きグリッドまたは少なくとも1つの導体路50に事前に取り付けることによって作製される。事前取り付けは、好ましくはEMCコンデンサである電子構成素子28と、打抜きグリッド30または少なくとも1つの導体路50との間を素材結合することによって、例えばろう接合、またはエポキシ導電接着剤による接着、またはろう付けとボンディングによって行われる。例えばEMCコンデンサの特性を有する電子構成素子を事前に取り付けた後、打抜きグリッド30または少なくとも1つの導体路50と電子構成素子28、好ましくはEMCコンデンサの周りが成形され、これから圧力測定モジュール10のハウジング12が作製される。これは特別に実施すべき処理ステップではなく、圧力測定モジュール10の本来の作製の枠内で行われる。
【0027】
代替として圧力測定モジュール10は、少なくとも1つの電子構成素子28(好ましくはEMCコンデンサ)を打抜きグリッド30上に、または少なくとも1つの導体路50を素材結合する接合法により後から取り付けることにより作製することができる。素材結合する接合法として、とりわけろう付け、またはエポキシ導電接着剤による接着、またはろう付けとボンディングが行われる。EMCコンデンサ28の形の少なくとも1つの電子構成素子は、圧力測定モジュール10の完成したハウジングに後から取り付けられる。後からの取り付けに続いて、不動体化ステップが行われる。この不動体化ステップでは、不動体化媒体26が少なくとも1つの電子構成素子28を取り囲む。少なくとも1つの電子構成素子28の不動体化は、好ましくはゲル化または凝集によって行われる。
【0028】
図3は、絶対圧を検出するための本発明の圧力測定モジュールの実施形態を示す。この圧力測定モジュールは、ハウジングの裏側から取り付けられた少なくとも1つの電子構成素子を備える。
【0029】
図3に示すように、圧力測定モジュール10のハウジング12は、図3の実施形態によれば中空室46を有する。この中空室46には、ハウジング12の裏側42からアクセスすることができ、傾斜壁48により制限されている。ハウジング12が完成した後、打抜きグリッド30ならびに少なくとも1つの導体路50(図4を参照)に、開口部46を通して少なくとも1つの電子構成素子、例えばEMCコンデンサ28を後から装着することができる。これはハウジング12の裏側から行われる。この実施形態でも、好ましくは少なくとも1つのEMCコンデンサである電子構成素子28は、この少なくとも1つの電子構成素子28と打抜きグリッド30または少なくとも1つの導体路50とを、ろう付け結合またはエポキシ導電接着剤による接着により、例えば素材結合により接合することによって取り付けられる。少なくとも1つの電子構成素子28と打抜きグリッド30または少なくとも1つ導体路50との素材結合による接合は、導電接着剤と組み合わせたろう付けによって、ろう付けだけによって、ろう付けとボンディングによって、または例えばエポキシ導電接着剤による導電接着剤の使用によって行うことができる。
【0030】
図3からさらに、打抜きグリッド30または少なくとも1つの導体路50の自由端部40が、本発明の圧力測定モジュール10のハウジング12の外壁を越えて突き出ていることが分かる。図3からさらに分かるように、圧力測定チップ20はボンディングワイヤ24を介して、打抜きグリッド30または少なくとも1つ導体路50(図4参照)と電気接続されている。圧力測定チップ20の下側34は、図3に示す本発明の圧力測定モジュール10の実施形態では、ソケット18の上側に載置されている。ソケット18と圧力測定チップ20がハウジング12内に存在する内室14は、カバー60によって密閉されており、この囲い板は検知すべき圧力を圧力測定チップ20により検出できるように実施されている。
【0031】
図4には本発明の圧力測定モジュールの平面図が示されている。
【0032】
図4からハウジング12が、参照符合54により規定された部分を有することが分かる。この部分54内には、電子構成素子56、とりわけそれぞれ2つ導体路50により橋絡されたEMCコンデンサ56が配置されている。図4で部分54内に配置された2つの電子構成素子56(好ましくはEMCコンデンサ)の代わりに、図示とは異なる数の電子構成素子56を取り付けることもできる。図4の平面図から、圧力測定チップ20の上方平坦側22が複数のボンディングワイヤ24によってコンタクトパッド52と接続されていることが分かる。コンタクトパッド52はさらに、図4の平面図に部分的に図示された導体路50と接続されており、これらの導体路50は本発明の圧力測定モジュール10のハウジング12を貫通している。図1〜3に示された圧力測定モジュール10の内室14のパッキン60は、図4の平面図では図示の理由から省略されている。平面図に示された圧力測定チップ20はソケット18に収容されている。しかしこのソケット18は図4の平面図には図示されていない。なぜならこれは、圧力測定チップ20の寸法面積により隠されているからである。
【0033】
図1から4の実施形態に関連して説明した本発明の圧力測定モジュール10は、その中に組み込まれており、とりわけ不動体化媒体26により包囲された電子構成素子、例えばEMCコンデンサ28、56を有する。これにより、すでに説明した圧力測定チップ20を使用するに際し、電磁障害(EMC)に対する圧力測定モジュール10の耐性を向上させることができる。同時に本発明の解決手段によって、圧力測定モジュール10の構造が格段に簡素化され、フレキシブルになる。
【0034】
図1から4に基づいて説明した圧力測定モジュールには電子構成素子、例えば少なくとも1つのEMCコンデンサ28、56が組み込まれている。この圧力測定モジュールは、圧力測定チップ20上にコンデンサを組み込む場合に比較して格別の利点を有する。すなわち、ハウジング12に電子構成素子28が組み込まれているので、とりわけハウジング12にEMCコンデンサが組み込まれているので、圧力測定チップ20の面積を小さくすることができ、これによりチップコストを低下させることができる。とりわけ、圧力測定チップに組み込まれたコンデンサは、一般的にESD要求、すなわち静電放電に課せられる要求を満たさないことが判明した。とりわけ本発明による電子構成素子28の組み込みのための解決手段、すなわち少なくとも1つのEMCコンデンサ28をハウジング12に組み込むという解決手段は、製造コストが小さく、圧力測定チップ20の新たな開発を必要としないという利点を有する。
【0035】
圧力測定モジュール10の本発明の解決手段は、少なくとも1つのEMCコンデンサが圧力の印加されないチャンバに収容されており、打抜きグリッドに接着されているという変形実施形態に対して次のような利点を有する。すなわち電磁的両立性が、少なくとも1つの電子構成素子、とりわけ少なくとも1つのEMCコンデンサ28、56と圧力測定チップ20との間隔を格段に小さくすることによって改善されるという利点を有する。フレキシブルな構造変形も可能である。なぜなら少なくとも1つの電子構成素子28がとりわけEMCコンデンサ28、56として実施されており、外部に配置されるのではなく、ハウジング12に組み込むことができるからである。このことによって、圧力測定モジュール10の製造が格段に簡素化される。なぜなら例えば載置工程、接着工程、および硬化工程を省略することができるからである。2チャンバモジュールの場合に存在する2つのチャンバを、有利にはEMCコンデンサである電子構成素子28、56を組み込む場合に、付加的なESD−EMC保護手段の収容に利用することができる。したがって2チャンバ構造の場合、通常はコンデンサの収容に使用される第2のチャンバにバリスタ等を収容することができる。
【0036】
上に図1と2の実施形態に基づいて示したように、本発明の圧力測定モジュール10は複数の製造方法によって製造することができる。
【0037】
例えば好ましくはEMCコンデンサとして存在する電子構成素子28、56を、打抜きグリッド30または少なくとも1つ導体路50上に事前に取り付けることができる。事前取り付けは、例えばろう付けまたはエポキシ導体接着剤を用いた素材結合による接着を形成することによって行うことができる。続いて、このようにして事前に取り付けられた打抜きグリッドまたは導体路50および少なくとも1つの電子構成素子28、56からなる構成群の周りが、ハウジング12のハウジング材料により成形される。事前に取り付けられた構成群の周りを成形することで、本来のハウジング12が得られる。この成形は、別個に実施すべき製造工程ではない。事前に取り付けられた構成群の周りを成形することによって、これらが外部媒体に対して封印される。
【0038】
代替的に可能な製造方法では、まず本発明の圧力測定モジュール10のハウジング12が完全に射出成形される。後から、少なくとも1つの電子構成素子28が打抜きグリッド30上に、素材結合法によって取り付けられる。このためには、ろう付けおよびエポキシ導体接着剤による接着があり、さらにろう付けと細いボンディングワイヤによるボンディングもある。この代替的製造方法では、少なくとも1つの電子構成素子をバックフィル領域46に、すなわちハウジング12の裏側からアクセスできる開口部に後から取り付けることができる。
【0039】
図5は、下方部分によりカプセル化されたEMCコンデンサを備える圧力測定モジュールの変形実施形態を示す。
【0040】
図5から、プレモールドとして作製されたハウジング12がその内室14内に、ソケット18上に配置された圧力測定チップ20を有することが分かり、ハウジング12はプラスチックフレーム78にはめ込まれている。プラスチックフレーム78は覆い62により閉鎖されている。覆い62は埋め込み部64に射出されており、これによりプレモールドとして作製されたハウジング12が環境に対してカプセル化されている。プレモールドとして作製されたハウジング12の内室14内に配置された圧力測定チップ20は、プレモールドとして作製されたハウジング12を貫通する貫通チャネル38、およびソケット18を貫通する貫通チャネル36、ならびにプラスチックフレーム78に形成された開口部を介して環境圧に曝されている。
【0041】
すでに図2の変形実施形態で示したように、打抜きグリッド30には少なくとも1つの電子構成素子、好ましくはEMCコンデンサ28が装着されている。少なくとも1つの電子構成素子28は不動化部26により包囲されており、ろう付け接続またはエポキシ接着剤接続32を介して、打抜きグリッド30または少なくとも1つ導体路50の始端部と接続されている。
【0042】
同様に相対圧を検出することのできる図2の変形実施形態との相違点は、図5に示された本発明の圧力測定モジュールの変形実施形態では、少なくとも1つの電子構成素子28の上方、および場合によりその不動体化部26の上方にスタンプ形の囲い板68が配置されていることである。囲い板68は、図5の実施形態では、覆い62の例えば中間壁66として構成された区画部の突起として実施されている。
【0043】
図5の断面図から分かるように、覆い62の内部は、中間壁として構成された区画部66によって2つの室に分割されている。覆い62の一方の室であって、その縁部がプラスチックフレーム78の埋め込み部64に収容されている方の室は、プレモールドとして作製されたハウジング12を覆い、一方、他方の室70には部材が取り付けられていない。覆い62の室70の下方では、プレモールドとして作製されたハウジング12を去る打抜きグリッド30または少なくとも1つの導体路50と、打抜きグリッド延長部または導体路延長部(図5の位置72参照)との接続個所74が存在している。
【0044】
打抜きグリッド延長部72の自由端部は、プラスチックフレーム78の接続領域76に突入している。
【0045】
図5からさらに、圧力測定チップ20が、プラスチックフレーム78にある開口部を介して環境圧に曝されていることが分かる。この開口部は、貫通チャネル38および貫通チャネル36と面一である。
【0046】
少なくとも1つの電子構成素子28は、ろう付け接続32またはエポキシ接着剤接続32により打抜きグリッド30または少なくとも1つの導体路50と接続されている。この電子構成素子28は好ましくはEMCコンデンサ等である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶対圧または相対圧を検出するための圧力測定モジュール(10)であって、ハウジング(12)を備え、
該ハウジングのハウジング壁(16)が内室(14)を制限し、当該内室内には圧力測定チップ(20)が収容されており、該圧力測定チップは少なくとも1つの導体路(50)または打抜きグリッド(30)と電気接続しており、
少なくとも1つのコンデンサ(28,56)が、前記ハウジング(12)から側方に突き出た前記打抜きグリッド(30)または前記少なくとも1つの導体路(50)の部分と、射出成形された前記ハウジング(12)内で素材結合により接合されており、
前記少なくとも1つの導体路(50)または打抜きグリッド(30)の自由端部が、前記ハウジング(12)内の内室(14)に合流している圧力測定モジュールにおいて、
前記少なくとも1つの導体路(50)または打抜きグリッド(30)の自由端部は、ボンディングワイヤ(24)を介して前記圧力測定チップ(20)の平坦面(22)と電気接続されており、
前記コンデンサ(28,56)は、前記ケーシング(12)内の開口部(46)に取り付けられており、当該開口部には前記内室(14)とは反対側の前記ハウジング(12)の裏側(42)からアクセスすることができ、
前記コンデンサ(28,56)は、前記少なくとも1つの導体路(50)または打抜きグリッド(30)の自由端部と、当該少なくとも1つの導体路(50)または打抜きグリッド(30)のボンディングワイヤ端子とは反対の側で電気接続されている、ことを特徴とする圧力測定モジュール。
【請求項2】
前記少なくとも1つのコンデンサ(28、56)は、前記打抜きグリッド(30)または前記少なくとも1つの導体路(50)と、ろう付けされもしくはエポキシ導電接着剤により接着され、またはろう付けおよびボンディングされていることを特徴とする請求項1記載の圧力測定モジュール。
【請求項3】
前記コンデンサ(28、56)は、不動化のための媒体(26)内に収容されている、請求項1記載の圧力測定モジュール。
【請求項4】
前記ハウジング(12)はプレモールドとして構成されている、請求項1記載の圧力測定モジュール。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか1項記載の圧力測定モジュール(10)の製造方法であって、
該圧力測定モジュール(10)は、ハウジング(12)と、圧力測定チップ(20)とを有するものにおいて、
a)ハウジング(12)が射出成形され、
b)完成したハウジング(12)内に後から、少なくとも1つのコンデンサ(28、56)が、前記ハウジング(12)の裏側(42)からアクセスできる領域(46,48)内で素材結合による接合法によって打抜きグリッド(30)または少なくとも1つ導体路(50)に取り付けられ、
c)前記少なくとも1つのコンデンサ(28、56)が、ゲル化または凝集によって不動体化(26)される製造方法。
【請求項6】
前記コンデンサ(28,56)がろう付け接合によりもしくはエポキシ導電接着剤により、またはろう付けとボンディングにより、前記打抜きグリッド(30)または少なくとも1つの導体路(50)と接合される、ことを特徴とする請求項5記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−61348(P2013−61348A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−262663(P2012−262663)
【出願日】平成24年11月30日(2012.11.30)
【分割の表示】特願2010−542548(P2010−542548)の分割
【原出願日】平成20年11月26日(2008.11.26)
【出願人】(390023711)ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング (2,908)
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
【Fターム(参考)】