説明

圧力逃がし装置のための包囲システム

電気機器筐体6に設置された圧力逃がし装置12のための包囲体10は、圧力逃がし装置12と共に予め組み立てられている。包囲体10は、圧力逃がし装置12から排出された流体を一時的に閉じ込め、誘導する。包囲体10は、クリアランスHを隔てて予め組み立てられており、それによって、包囲システムを取付けた状態で、圧力逃がし装置12を筐体6に設置することができる。包囲体10を排出管等の配管に取り付けるための開口部80が設けられた周辺遮蔽体70は、意図的に固定されない限り、回動可能な状態に保たれている。包囲体10と圧力逃がし装置12とで構成材の共有が可能であり、より効率的で、費用効果の高い構成が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は圧力逃がし装置のための包囲体(誘導遮蔽体ともいう)に関する。包囲体は、圧力逃がし装置を通って排出される流体を一時的に閉じ込め、排出された流体を逃がしダクトや他の通路(conduit)へと導く。本発明は特に、高温の油・気体の排出を制御し、周囲の環境を守るために電気機器筐体に設置される包囲体に関する。
【背景技術】
【0002】
中型から大型の電力用変圧器(窒素密封方式、コンサベータ方式とも)、ロードタップ切換器等の電気機器に設置される大型圧力逃がし装置は、機器を圧力過剰状態から保護する。圧力逃がし装置は一般にPRDと呼ばれており、極めて高温になり得る大量の流体(油及び気体)を短時間で筐体から逃すことによって、上記のような電気機器を収容する筐体内に蓄積し得る上昇した圧力を迅速に除去しなければならない。圧力逃がし装置は、電気機器を収容する筐体が破裂する前に反応する必要があり、この反応においては、破損を防ぐために、十分な量の流体を十分短い時間内に排出しなければならない。その際、周辺の人々や機器に傷害や破損を与えることのない方法で、流体を排出するのが望ましい。
【0003】
圧力逃がし装置から排出される大量の高温の油及び気体は、閉じ込めずにおけば、広範囲にわたって飛び散りやすい。このような飛散物は危険であり、環境にとって安全ではない。そのため、圧力逃がし装置を包囲して、流体を一時的に閉じ込め、流体をより安全に回収ないし処理出来る場所に導くようにするのが、ますます一般的になっている。一般的に包囲体は圧力逃がし装置の上端を覆うようにはめられ、排出された流体を包囲体と電気機器筐体との間に一時的に閉じ込める。包囲体に配管が接続され、一時的に閉じ込められた流体を圧力逃がし装置の外に導くようになっている。
【0004】
周知の包囲体は、圧力逃がし装置の上端を覆うように位置決めされて組み付けられている。最近の適用例においてさえ、まず圧力逃がし装置を電気機器筐体に設置し、設置された圧力逃がし装置の周りに従来の包囲体を組み付けている。設置された圧力逃がし装置に包囲体を取り付けるため、圧力逃がし装置の一部分解が必要となる場合もある。また、指示器や警報装置等の改造が必要な場合には、包囲体の組み付け条件をさらに複雑にしている。圧力逃がし弁のための従来の包囲システムの例については、本出願と同一の譲渡人に譲渡された、本発明者による米国特許番号5,937,893(名称:圧力逃がし装置の遮蔽体)で多数開示されており、同特許はこの参照により、本願に組み込まれる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
周知の圧力逃がし装置の包囲体の構造は、圧力逃がし装置を通して排出された流体の閉じ込め、誘導には有効であるが、そのような包囲体を圧力逃がし装置を被うように位置決めして組み付けるためには、非常に時間がかかりかねず、また、他の状況や、電気機器筐体の個々の要件によってより複雑化した多くの工程が必要となりかねない。個々の適用例について、大量の流体の突然の排出に安全に対応できるように組み付けが正しく行なわれているか、注意を払わなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、従来の圧力逃がし装置のための包囲システムの問題、特に、電気機器筐体に現場で組み付けようとした場合に生じる問題を解決しようとするものである。本発明の改良点のひとつは、包囲体を圧力逃がし装置と一体化して、電気機器筐体に圧力逃がし装置を取り付ける前に、包囲体を圧力逃がし装置に予め組み付けるようにしたことである。組み立てられた包囲体はクリアランス空間を保ち、包囲体が圧力逃がし装置の排出端を取り囲んで取付けられた状態で、圧力逃がし装置を機器筐体に設置することが出来るようになっている。加えて、圧力逃がし装置とこの圧力逃がし装置に予め組み付けられた包囲体は、構成材を共有することが出来る。例えば、圧力逃がし装置の1つ以上の構成材は包囲体の一部としてその完成に寄与することが出来、包囲体の1つ以上の構成材は、圧力逃がし装置の動作に寄与することが出来る。
【0007】
本発明の一つの態様は、電気機器筐体の圧力逃がし装置のための包囲システムであり、圧力逃がし装置を電気機器筐体に取り付けるフランジの上方で、圧力逃がし装置の弁アッセンブリを支持するテーブルを含んでいる。テーブルは、フランジの上方に張り出す拡張部を有している。テーブルの拡張部に取付けられた周辺遮蔽体は、テーブルとシール係合し、圧力逃がし装置を通って排出される流体を少なくとも一時的に閉じ込めることが出来るようになっている。遮蔽体を高くなったテーブル上に配置することで、テーブルの拡張部の下方にクリアランス空間が維持され、フランジにアクセスして圧力逃がし装置を機器筐体に取付けることが出来るようになっている。
【0008】
望ましくは、周辺遮蔽体とシール係合した蓋がさらに配置され、圧力逃がし装置を通って排出される流体を少なくとも一時的に閉じ込めることが出来るようになっている。周辺遮蔽体は上縁部と下縁部とを含んでいるのが望ましい。上縁部は蓋とシール係合し、下縁部はテーブルの拡張部とシール係合する。周辺遮蔽体をテーブル上に位置決めし、下縁部とラビリンスシールを形成するために、テーブルに形成された案内部によって、所望のシール係合をさらに強化することが出来る。案内部と周辺遮蔽体の下縁部が共に円形であり、周辺遮蔽体をテーブルの拡張部に対して回動可能にしているのが望ましい。
【0009】
本発明のもう一つの態様は、電気機器筐体から圧力逃がし装置を通して放出された流体を集め、導くための包囲体であり、圧力逃がし装置の弁アッセンブリを支持するテーブルを含んでいる。テーブルの上方には、圧縮蓋が支持されている。テーブルと蓋との間で圧縮されたばねが、弁アッセンブリを付勢している。テーブルと蓋との間に把持された周辺遮蔽体は圧力逃がし装置を包囲し、圧力逃がし装置から排出された流体を導くための開口部を有している。蓋は周辺遮蔽体に依存することなくテーブルによって支持され、周辺遮蔽体が蓋とテーブルとに対して角度調整出来るようになっている。
【0010】
テーブルは、フランジ等の取付部の上方に突出する台座に支持されているのが望ましい。取付部は圧力逃がし装置を機器筐体に取り付けるために設けられている。テーブルは取付部から離れて配置され、クリアランス空間を提供するのが望ましい。このクリアランス空間は、圧力逃がし装置が周辺遮蔽体に動作可能な状態で包囲されたまま、筐体に取り付けられるようにするものである。
【0011】
本発明のもう一つの態様は、加圧された流体を圧力源から排出する圧力逃がし装置の予め組み付けられた包囲体であり、入口端と排出端とを有する圧力逃がし装置の弁本体を含む。弁本体の入口端には、弁本体を圧力源に取り付けるための取付部が形成されている。弁本体の排出端にはテーブルが配置されている。テーブルには、弁本体の排出端を取り囲んで周辺遮蔽体が取り付けられ、弁本体の排出端を通って排出される流体を少なくとも一時的に閉じ込めることが出来るようになっている。周辺遮蔽体は、弁本体を圧力源に設置する前にテーブルに取り付けられ、周辺遮蔽体を弁本体の排出端を取り囲んで取付けた状態で、弁本体を圧力源に設置出来るようになっている。
【0012】
テーブルは、弁本体の入口にある取付部の上方に張り出す拡張部を有しているのが望ましい。周辺遮蔽体はテーブルの拡張部に取り付けられている。拡張部は、取付部にアクセスして弁本体を圧力源に取付けるのに十分なクリアランス空間を介して、取付部の上方に離れて配置されている。
【0013】
したがって、圧力逃がし装置は、好ましい包囲システムを取付けた状態であっても、電気機器筐体等の圧力源に着脱可能である。このため、機器筐体その他の圧力源への取付け前に、包囲システムを圧力逃がし装置の周りに予め組み付けておくことが出来る。また、包囲体を予め組み付けるようにすれば、包囲体を圧力逃がし装置の完成に参加させることが出来、また、圧力逃がし装置を包囲体の完成に参加させることが出来る。たとえば、包囲体の蓋に圧縮要素としての機能も持たせることが出来、この蓋とテーブルとの間でばねを圧縮し、圧力逃がし装置を付勢する。このように、圧力逃がし装置はその構造に必要な要素を完成させるために包囲体に依存している。同様に、テーブル、特にテーブルの拡張部は、圧力逃がし装置の弁アッセンブリを支持するが、周辺遮蔽体と協働して包囲体を完成させることも出来る。
【0014】
本発明のもう一つの態様は、圧力逃がし装置と共に組み立てられた圧力逃がし装置のための包囲システムであり、圧力逃がし装置を通して排出された流体を閉じ込めるために配置された包囲体と、包囲体の第一構成材とシール係合した拡張部を有する弁本体とを備えている。包囲体の第二構成材は弁本体と協働して、圧力逃がし装置を動作可能な状態に組立てる。
【0015】
包囲体の第二構成材は弁本体と協働して、圧力逃がし装置を閉位置に付勢するのが望ましい。たとえば、第二構成材は、弁本体との間で圧縮ばねを圧縮する圧縮要素として配置された蓋であってもよい。包囲体の第一構成材は、弁本体の拡張部に取付けられた周辺遮蔽体であるのが望ましい。蓋はまた、周辺遮蔽体には依存することなく弁本体の拡張部上に支持されるのが望ましい。これにより、周辺遮蔽体が蓋に対して回動可能となり、包囲体からの流体の流れを方向付けすることが出来る。
【0016】
弁本体は、加圧された流体を弁本体を通って送り出すための入口端と排出端とを有し、入口端には、弁本体を圧力源に取り付けるための取付部を含んでいるのが望ましい。弁本体の拡張部は弁本体の排出端に位置し、弁本体の入口にある取付部の上方に張り出している。しかも、弁本体の拡張部は、弁本体の入口にある取付部からクリアランス空間を隔てて離れて配置されており、周辺遮蔽体を弁本体の拡張部上に取付けた状態で、弁本体を圧力源に設置することが出来るようになっている。
【0017】
構造上の上記改良及びその他の改良、それらに関連する費用削減は、包囲体を用いて圧力逃がし装置の構成要素を補いまたは代替させ、また、圧力逃がし装置を用いて包囲体の構成要素を補いまたは代替させることによって可能になる。しかも、包囲体を圧力逃がし装置と一緒に予め組み立てておけば、実用に向けて流通させる前の製造・組立の段階で、包囲体を検査することが出来る。統制された状況で包囲体の検査が出来れば、異なった場所で異なった状況で現場組立てを行なうことに伴う不確実性が排除され、それによって、均質性と信頼性の向上が保証される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明による新型包囲システムは、電気機器筐体に取り付ける圧力逃がし装置に特に適している。その好ましい実施例を図1から図4に示す。図示の包囲システム10は圧力逃がし装置12と構成要素を共有しており、圧力逃がし装置から排出される流体は包囲システム10によって一時的に閉じ込められ、導かれる。圧力逃がし装置12の弁本体14が、電気機器筐体16上方で包囲システム10を支持する。電気機器筐体16の圧力は圧力逃がし装置12によって適度に抑えられている。弁本体14は、筐体16の排出口20に隣接した入口端18を有し、二段式弁アッセンブリ24によって調節される排出端22を有している。弁本体14の入口端18に形成された一体型フランジ26によって、弁本体14を筐体16に取付られるようになっている。
【0019】
フランジ26は多数の溝付開口部28を有し、従来のパターン(ボルト円と呼ぶ)に配置されたボルト30を受け入れるようになっている。ボルト30は溝付開口部28を貫通し、筐体16と螺合して、弁本体14を筐体16に固定する。
【0020】
弁本体14はまた、フランジ26の上方に突出する台座32と、台座32の最上部に配置されフランジ26の上方に張り出すテーブル34とを含んでいる。台座32は概ね管状をなし、共通のスロート36を共有している。スロート36はフランジ26の内側にある弁本体14の入口端18とテーブル34の内側にある弁本体14の排出端22との間に延びている。スロート36の直径は、フランジ26からテーブル34に至る全長にわたってほぼ一定であり、その寸法は、排出口20の直径と同じ大きさであることが望ましい。スロート36は、筐体16内の過剰な圧力を逃がすために、圧力逃がし装置12を貫く通路を提供する。
【0021】
テーブル34は、圧力逃がし装置12の排出を制御する二段式弁アッセンブリ24を支持する。図4に示す拡大図に最もよく示されているように、環状の取付カラー38が二段式弁アッセンブリ24の第一段シール42および第二段シール44をテーブル34に固定している。2つのシール42,44は、図のように共通のシール体40の両側に形成してもよく、同一または別の材料で別体に形成してもよい。2つのシール42,44は、様々な種類の油と適合する、二トリルまたはフルオロカーボンのエラストマで形成するのが望ましい。このようなシール及びこれらを用いた他の二段式弁アッセンブリの詳細については、本出願と同一の譲渡人に譲渡された、米国特許番号6,497,248(名称:一体型ガスケットを備えた圧力逃がし装置)で開示されており、同特許はこの参照により、本願に組み込まれる。
【0022】
第一段シール42は第一段内側弁開口部を画成し、第二段シール44は第二段外側弁開口部を画成する。いずれの開口部も、ばねで付勢されたきのこ弁50によって閉じられている。きのこ弁50の円盤面52が第一段シール42と係合して第一段内側弁開口部を閉じ、きのこ弁50の周辺部をなす垂下スカート54が第二段シール44と係合して、第二段外側弁開口部を閉じる。きのこ弁50の円盤面52は、第一段シール42を圧縮しながら当接してしっかりと着座し、スロート36からの流体の流入を阻止する。きのこ弁50の垂下スカート54は第二段シール44とスライド可能に当接する。第二段シール44はワイパーブレード型の形状を有し、シール係合を維持しながらも、垂下スカート54が軸方向に若干動けるようになっている。圧力逃がし装置12の動作に関するその他の詳細については、本出願と同一の出願人によって同日に出願され、同一の譲渡人に譲渡された米国特許出願(名称:流量を増大させた圧力逃がし装置)で開示されており、同出願はこの参照により、本願に組み込まれる。
【0023】
包囲システム10はテーブル34によって支持され、テーブルによって完成される。二段式弁アッセンブリ24を取り囲むテーブル34の拡張部46には、包囲システム10の構成材を支持するための構造が設けられている。たとえば、取付支柱62がテーブル34の上方で蓋60を支持している。取付支柱62は、テーブル34の拡張部46の周辺に等間隔に配置されたボス64から突出している。ボス64はテーブル34のかなり上方に突起しているように図示されているが、ボスは様々な寸法および形状が可能であり、例えば、テーブル34の頂面とほぼ同一平面をなす、ねじ付き開口部を提供するボスであってもよい。あるいは、取付支柱62は、テーブル34の表面にねじ付き穴を形成する等して、テーブル34に直接取り付けてもよい。
【0024】
蓋60は包囲システム10の一部を形成するとともに、圧力逃がし装置12の動作にも関与している。きのこ弁50は、きのこ弁50と蓋60との間に収容された一対の圧縮ばね56,58に付勢されて、両シール42,44と係合する。ボルト66を用いて蓋60を支柱62に固定し、圧縮ばね56,58を、テーブル34と蓋60との間の所定の距離内で圧縮するようにする。ばねの圧縮量が、きのこ弁50を持ち上げ、二段式弁アッセンブリ24を開くのに必要な閾値圧を設定する。図示の実施例では2つの圧縮ばね56,58が示されているが、所望の力の態様に応じて、きのこ弁50を持ち上げるのに必要な閾値圧を設定するために、圧縮ばね1つを用いてもよく、また他の付勢装置を用いてもよい。
【0025】
ボス64よりもさらに遠い位置で、テーブル34の拡張部46は周辺遮蔽体70を支持している。周辺遮蔽体70は、テーブル34と蓋60との間の空間を囲っている。テーブル34に形成された環状溝72の形態をなす案内部が、周辺遮蔽体70をテーブル34上で定位置に位置づける。周辺遮蔽体70の上縁部74は、蓋60のカラー76の内側でラビリンス式シールを成すシール係合状態で把持される。周辺遮蔽体70の下縁部78は環状溝72に収容され、テーブル34と同様のシール係合を成す。包囲体10からの流体の一切の漏出を防ぐために、より密着性の高いシールを用いることも出来るが、図示のラビリンス式シールは、圧力逃がし装置12からの排出が予測される大量の流体を適切に閉じ込められるようになっている。
【0026】
さらに、環状溝72内での径方向のクリアランスと、取付支柱62によって設定された蓋60、テーブル34間の軸方向のクリアランスとの組合せにより、周辺遮蔽体70は環状溝72に沿って回動可能となっている。したがって、蓋60とテーブル34は周辺遮蔽体70を軸方向にも径方向にも拘束するように配置して、周辺遮蔽体70とシール係合させることが出来るが、周辺遮蔽体70は、取付ねじ等の固定機構によって意図的に固定されない限り、環状溝72に沿って回動するのを妨げるような張力や圧縮を受けない。下縁部78も環状溝72も円形を成しており、周辺遮蔽体が溝72に沿って摺動出来るようになっている。
【0027】
周辺遮蔽体70の一側部には管取付部82に囲まれた開口部80が設けられ、周辺遮蔽体70を、管あるいは付加的な配管の形態をなす排出通路(図示せず)に接続出来るようになっている。周辺遮蔽体70は取付部82とともに回動可能であり、上記排出通路の様々な角度方向に対応出来るようになっている。図1および図3では取付部82はフランジとして描かれているが、所望の接続形態に合わせて、他の様々な形を取ってもよい。例えば、周辺遮蔽体と排出管をただ単にスライド可能に当接すれば十分な場合もあるであろう。
【0028】
周辺遮蔽体70はテーブル34および蓋60と協働して、圧力逃がし装置12から排出された加圧された流体を集め、集まった流体を排出通路に導き、流体を圧力逃がし装置12から送り出せるようにする。テーブル34の張出部の開口部84は、排出管より低位置にある流体を排出出来るようになっている。従来の周辺遮蔽体アッセンブリの動作に関する詳細は、本出願と同一の譲渡人に譲渡された米国特許番号5,937,893(名称:圧力逃がし装置用遮蔽体)で開示されており、同特許はこの参照により、本願に組み込まれる。
【0029】
テーブル34は二段式弁アッセンブリ24を支持するだけではなく、包囲システム10の残りの構成材も支持している。これら構成材は、周辺遮蔽体70および蓋60を別々に支持する支持手段を含む。テーブル34の拡張部46は、フランジ26から高さ”H”だけ上方に配置されて、この高さ”H”が、包囲アッセンブリ10を圧力逃がし装置12とともに筐体16に取り付けるためのクリアランス空間を画定する。換言すれば、このクリアランス空間は、ボルト30をフランジ26に挿通して固定するためのアクセスを提供する。このクリアランス空間をテーブル34の下方に提供することで、包囲システム10を圧力逃がし装置12と共に予め組み立てることが可能になり、同じフランジ26による接続を介して包囲システム10と圧力逃がし装置12を共に筐体16に取り付けることが可能になっている。
【0030】
さらに、包囲体10を予め組み込み可能にすることで、包囲体10の構成材を圧力逃がし装置12の構成材と機能的に結び付けることが出来る。たとえば、蓋60は包囲システム10の一部を成しているが、圧力逃がし装置12の動作における閾値圧を設定するための予圧にも寄与している。支柱62はテーブル34の上方に一定距離だけ離れた地点で蓋60を支持し、圧縮ばね56、58の所望の圧縮を設定する。また、蓋60を別途支持することで、周辺遮蔽体70をテーブル34および蓋60に対して回動可能にし、周辺遮蔽体70の排出開口部80を排出通路と位置合わせするように向きを調節することが出来る。
【0031】
本発明の記述にあたっては、図面中における垂直方向を基準に構成材の上下関係に言及してきたが、他の方向を向けても、構成材間の関係は同様に維持される。例えば、より一般的な方向付けをすることは、包囲システムを取り付ける筐体としては通例のことであり、その一般的な方向付けに対して同じ用語を適用する。
【0032】
上述してきた実施形態の他にも、特に包囲体の構造、その支持構造および関連した弁システムについては、本発明の教示内容全体を逸脱しない範囲において、従来技術の限界を克服するために様々な変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明による圧力逃がし装置のための包囲システムの側面図である。
【図2】周辺遮蔽体とフランジアッセンブリを取り除いて、蓋のための支持部を示した斜視図である。
【図3】包囲システムの側断面図であり、電気機器筐体の排出口を被うように設置された圧力逃がし装置と包囲体との間の構成材の協働を示す。
【図4】圧力逃がし装置の二段式シールシステムを示す、部分拡大断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機器筐体からの流体の排出を調節する圧力逃がし装置のための包囲システムであって、次の構成を備えた包囲システム。
テーブル。このテーブルは、上記圧力逃がし装置の弁アッセンブリを、上記圧力逃がし装置を上記電気機器筐体に取付けるフランジの上方で支持する。
上記テーブルは、上記フランジの上方に張り出す拡張部を有する。
周辺遮蔽体。この周辺遮蔽体は、上記テーブルの上記拡張部に取り付けられ、上記テーブルとシール係合し、それによって上記圧力逃がし装置を通って排出される流体を少なくとも一時的に閉じ込めることが出来るようにしている。しかも、上記テーブルの上記拡張部の下方には、上記フランジにアクセスして上記圧力逃がし装置を上記機器筐体に取付けるためのクリアランス空間が、確保される。
【請求項2】
上記周辺遮蔽体とシール係合した蓋をさらに備え、上記圧力逃がし装置を通って排出される流体を少なくとも一時的に閉じ込められるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の包囲システム。
【請求項3】
上記周辺遮蔽体が上縁部と下縁部とを含み、上記上縁部は上記蓋とシール係合し、上記下縁部は上記テーブルの上記拡張部とシール係合することを特徴とする請求項2に記載の包囲システム。
【請求項4】
上記テーブルの上記拡張部が、上記周辺遮蔽体の上記下縁部を位置決めするための案内部を含むことを特徴とする請求項3に記載の包囲システム。
【請求項5】
上記周辺遮蔽体の上記下縁部と上記案内部が共に円形であり、上記周辺遮蔽体を上記テーブルの上記拡張部に対して回動可能にしていることを特徴とする請求項4に記載の包囲システム。
【請求項6】
上記案内部が環状溝として形成され、上記周辺遮蔽体の上記下縁部を収容するようにし、上記下縁部とラビリンスシールを形成出来るようにしたことを特徴とする請求項5に記載の包囲システム。
【請求項7】
上記テーブルと上記蓋との間で圧縮されたばねをさらに備え、上記弁アッセンブリを付勢出来るようにしたことを特徴とする請求項2に記載の包囲システム。
【請求項8】
上記蓋が上記周辺遮蔽体に依存することなく上記テーブル上に支持され、上記周辺遮蔽体が上記蓋と上記テーブルとの両方に対して角度調整出来るようにしたことを特徴とする請求項7に記載の包囲システム。
【請求項9】
上記周辺遮蔽体が上記圧力逃がし装置から排出される流体を導くための開口部を有していることを特徴とする請求項8に記載の包囲システム。
【請求項10】
上記遮蔽体を貫通して開口部が形成され、上記包囲システムから排出される流体を導くことが出来るようにしたことを特徴とする請求項1に記載の包囲システム。
【請求項11】
上記周辺遮蔽体が上記テーブルに対して角度調整可能であり、上記開口部と上記フランジの一定箇所にある排出通路とを位置合わせ出来るようにしたことを特徴とする請求項10に記載の包囲システム。
【請求項12】
上記テーブルの上記拡張部が上記周辺遮蔽体を位置決めするための案内部を含むことを特徴とする請求項11に記載の包囲システム。
【請求項13】
上記周辺遮蔽体と上記案内部が共に円形であり、上記周辺遮蔽体を上記テーブルの上記拡張部に対して回動可能にしていることを特徴とする、請求項12に記載の包囲システム。
【請求項14】
上記テーブルの上記拡張部を貫通して形成された少なくとも1つのドレン穴をさらに備え、一時的に閉じ込められた流体を上記周辺遮蔽体の上記開口部より低い位置から排出出来るようにしたことを特徴とする、請求項10に記載の包囲システム。
【請求項15】
上記少なくとも1つのドレン穴の有効径が上記周辺遮蔽体の上記開口部の有効径よりも相当小さく、上記ドレン穴を通る流量を規制することを特徴とする請求項14に記載の包囲システム。
【請求項16】
電気機器筐体から圧力逃がし装置を通して放出された流体を集め、導くための包囲体であって、以下の構成を備えた包囲体。
圧力逃がし装置の弁アッセンブリを支持するテーブル。
上記テーブルの上方に支持された圧縮蓋。
上記弁アッセンブリを付勢するように、上記テーブルと上記蓋との間で圧縮されたばね。
上記圧力逃がし装置を包囲するために、上記テーブルと上記蓋との間に把持された周辺遮蔽体。この周辺遮蔽体は、上記圧力逃がし装置から排出された流体を導くための開口部を有する。
上記蓋は、上記周辺遮蔽体に依存することなく上記テーブルによって支持され、上記周辺遮蔽体が上記蓋と上記テーブルとに対して角度調整出来るようになっている。
【請求項17】
上記テーブルが台座に支持されており、この台座は上記圧力逃がし装置を上記筐体に取り付けるためのフランジの上方に突出していることを特徴とする、請求項16に記載の包囲体。
【請求項18】
上記テーブルが上記フランジの上方に張り出す拡張部を含むことを特徴とする、請求項17に記載の包囲体。
【請求項19】
上記テーブルの上記拡張部がクリアランス空間を隔てて上記フランジと離間し、このクリアランス空間が、上記圧力逃がし装置を、上記周辺遮蔽体内に包囲された状態で上記筐体に取り付けられるようにしていることを特徴とする請求項18に記載の包囲体。
【請求項20】
上記周辺遮蔽体が上縁部と下縁部とを含み、上記上縁部は上記蓋とシール係合し、上記下縁部は上記テーブルとシール係合していることを特徴とする請求項16に記載の包囲体。
【請求項21】
上記テーブルが上記周辺遮蔽体の上記下縁部を位置決めするための案内部を含むことを特徴とする請求項20に記載の包囲体。
【請求項22】
上記周辺遮蔽体の上記下縁部と上記案内部が共に円形であり、上記周辺遮蔽体を上記テーブルに対して回動可能にしていることを特徴とする請求項21に記載の包囲体。
【請求項23】
上記案内部が環状溝として形成され、上記周辺遮蔽体の上記下縁部を収容し、上記下縁部とラビリンスシールを形成出来るようにしたことを特徴とする請求項22に記載の包囲体。
【請求項24】
加圧された流体を圧力源から排出する圧力逃がし装置の、予め組み付けられた包囲体であって、次の構成を備えた包囲体。
入口端と排出端とを有する圧力逃がし装置の弁本体。
上記弁本体を上記圧力源に取り付けるための取付部。この取付部は上記弁本体の上記入口端に配置されている。
テーブル。このテーブルは上記弁本体の上記排出端に配置されている。
周辺遮蔽体。この周辺遮蔽体は、上記テーブルに上記弁本体の上記排出端を取り囲んで取り付られ、上記弁本体の上記排出端を通って排出される流体を少なくとも一時的に閉じ込めることが出来るようになっている。
上記周辺遮蔽体は、上記弁本体を上記圧力源に設置する前に上記テーブルに取り付けることが出来る。それによって、上記周辺遮蔽体が上記弁本体の上記排出端を取り囲んで取付けられた状態で、上記弁本体を上記圧力源に設置することができる。
【請求項25】
上記テーブルが、上記弁本体の上記入口端にある上記取付部の上方に張り出す拡張部を有し、上記周辺遮蔽体が上記テーブルの上記拡張部に取り付けられていることを特徴とする、請求項24に記載の包囲体。
【請求項26】
上記拡張部が、上記取付部にアクセスして上記弁本体を上記圧力源に取付けるためのクリアランス空間を介して、上記取付部から離れて配置されていることを特徴とする請求項25に記載の包囲体。
【請求項27】
上記テーブルが案内部を含み、この案内部が上記周辺遮蔽体を位置決めし、上記周辺遮蔽体とラビリンスシールを形成することを特徴とする請求項24に記載の包囲体。
【請求項28】
上記周辺遮蔽体が上記弁本体の上記排出端を通って排出される流体を導くための開口部を有し、上記案内部と上記周辺遮蔽体とが共に円形であり、そのため上記周辺遮蔽体が上記テーブルに対して回動可能となり、上記周辺遮蔽体の上記開口部の角度方向を調整出来るようになっていることを特徴とする請求項27に記載の包囲体。
【請求項29】
上記案内部が、上記周辺遮蔽体を収容する環状溝として形成されていることを特徴とする請求項28に記載の包囲体。
【請求項30】
上記テーブルを貫通して形成された少なくとも1つのドレン穴をさらに備え、上記周辺遮蔽体内に閉じ込められた流体を排出出来るようにしたことを特徴とする請求項29に記載の包囲体。
【請求項31】
上記周辺遮蔽体とシール係合する蓋をさらに備え、上記弁本体の上記排出端を通って排出される流体を一時的に閉じ込めることが出来るようにしたことを特徴とする請求項24に記載の包囲体。
【請求項32】
上記蓋が上記周辺遮蔽体に依存することなく上記テーブルの上方に支持されたことを特徴とする請求項31に記載の包囲体。
【請求項33】
上記周辺遮蔽体が開口部を含み、上記周辺遮蔽体が上記蓋に対して回動可能であり、それによって、上記周辺遮蔽体の上記開口部の角度方向を調整出来るようにしたことを特徴とする請求項32に記載の包囲体。
【請求項34】
上記周辺遮蔽体と関連した蓋をさらに備え、上記弁本体の上記排出端を通って排出される流体を一時的に閉じ込めることが出来るようにし、上記テーブルと上記蓋との間で圧縮されたばねをさらに備え、上記圧力逃がし装置を付勢出来るようにしたことを特徴とする請求項24に記載の包囲体。
【請求項35】
上記テーブルと上記蓋との間に延びる支柱をさらに備え、上記蓋を上記周辺遮蔽体に依存することなく上記テーブルの上方に支持出来るようにしたことを特徴とする請求項34に記載の包囲体。
【請求項36】
圧力逃がし装置と共に組み立てられた上記圧力逃がし装置のための包囲システムであって、以下の構成を備えた包囲システム。
上記圧力逃がし装置を通して排出された流体を閉じ込めるために配置された包囲体。
上記包囲体の第一構成材とシール係合した拡張部を含む弁本体。
上記包囲体は第二構成材を含み、この第二構成材は、上記圧力逃がし装置を動作可能な状態で組み立てるために、上記弁本体と協働する。
【請求項37】
上記包囲体の上記第二構成材が、上記弁本体と協働して上記圧力逃がし装置を閉位置に付勢することを特徴とする請求項36に記載の包囲システム。
【請求項38】
上記第二構成材が、上記弁本体との間で圧縮ばねを圧縮する蓋であることを特徴とする請求項37に記載の包囲システム。
【請求項39】
上記包囲体の上記第一構成材が、上記弁本体の上記拡張部に取付けられた周辺遮蔽体であることを特徴とする請求項38に記載の包囲システム。
【請求項40】
上記蓋が上記周辺遮蔽体に依存することなく上記弁本体の上記拡張部に支持され、これにより上記周辺遮蔽体が上記蓋に対して回動可能となり、上記包囲体からの流体の流れを方向付けることが出来るようにしたことを特徴とする請求項39に記載の包囲システム。
【請求項41】
上記弁本体が、加圧された流体を弁本体を通って送り出すための入口端と排出端とを有し、上記弁本体の上記入口端に上記弁本体を圧力源に取り付けるための取付部を含むことを特徴とする、請求項36に記載の包囲システム。
【請求項42】
上記弁本体の上記拡張部が上記弁本体の上記排出端に位置し、上記弁本体の上記入口にある上記取付部の上方に張り出すことを特徴とする請求項41に記載の包囲システム。
【請求項43】
上記第一構成材が上記弁本体の上記拡張部に取り付けられた周辺遮蔽体であることを特徴とする請求項42に記載の包囲システム。
【請求項44】
上記弁本体の上記拡張部が上記弁本体の上記入口にある上記取付部からクリアランス空間を介して離れ、それによって、上記周辺遮蔽体を上記弁本体の上記拡張部に取付けた状態で、上記弁本体を上記圧力源に取り付けることが出来るようにしたことを特徴とする請求項43に記載の包囲システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−515793(P2007−515793A)
【公表日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−545457(P2006−545457)
【出願日】平成16年12月16日(2004.12.16)
【国際出願番号】PCT/US2004/042346
【国際公開番号】WO2005/062774
【国際公開日】平成17年7月14日(2005.7.14)
【出願人】(506205125)クオリトロル コーポレーション (3)
【Fターム(参考)】