圧延ロール及び鋼帯の圧延方法
【課題】サーマルクラウンの成長が抑制され、且つサーマルクラウンプロフィル変化を大幅に緩和することが可能な圧延ロールを提供する。
【解決手段】外層1、中間層2及び軸材3で構成される圧延ロールであって、外層1を構成する材料と中間層2を構成する材料の熱伝導率が、軸材3を構成する材料の熱伝導率よりも大きいことを特徴とする。温度上昇の大きい外層1と中間層2において被圧延材からの入熱をロール軸方向に積極的かつ効率的に拡散させ、外層1と中間層2の熱膨張量の絶対値とロール軸方向での急峻なサーマルクラウンプロフィル変化を抑制することができる。
【解決手段】外層1、中間層2及び軸材3で構成される圧延ロールであって、外層1を構成する材料と中間層2を構成する材料の熱伝導率が、軸材3を構成する材料の熱伝導率よりも大きいことを特徴とする。温度上昇の大きい外層1と中間層2において被圧延材からの入熱をロール軸方向に積極的かつ効率的に拡散させ、外層1と中間層2の熱膨張量の絶対値とロール軸方向での急峻なサーマルクラウンプロフィル変化を抑制することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋼帯等の圧延を行うための圧延ロールとそれを用いた鋼帯の圧延方法に関するもので、より詳細には、圧延の進行に伴うサーマルクラウンの成長が小さく、スケジュールフリー圧延や高能率圧延に好適な圧延ロールとそれを用いた鋼帯の圧延方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
鋼帯の圧延、特に熱延鋼帯の圧延では、被圧延材の温度が800〜1050℃程度と高温であるため、圧延が進むにつれて、圧延ロールが被圧延材と接触する範囲にサーマルクラウンと呼ばれる台形状の熱膨張が生ずる。また、被圧延材との接触面が高温となることに加え、被圧延材と圧延ロール間、さらには圧延ロールとバックアップロール等の補強ロール間に作用する面圧が非常に高くなることから、圧延ロールの摩耗も順次進展する。
【0003】
熱延鋼帯の圧延では、生産性の観点から、被圧延材の材質や寸法(特に板幅)を順次任意に変更しながら圧延する、いわゆるスケジュールフリー圧延が志向されている。一般に、熱延鋼帯の圧延では、コイル毎に異なる所望の仕上寸法、特に板幅方向の板厚プロフィルである板クラウンと板形状を確保するため、サーマルクラウンやロール摩耗等の圧延ロール表面プロフィルの変化を予測し、それに基づいて、ワークロールベンダーやロールクロス、ロールシフトなどの板クラウン・板形状制御用アクチュエータの設定を実施している(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、スケジュールフリー圧延のためには、特にサーマルクラウンの発達による台形状のロール表面プロフィルを適切にコントロールすることが不可欠である。以下、その理由について、図8及び図9を用いて説明する。
【0004】
図8に示すように、狭幅コイルの圧延を連続して行った場合、被圧延材(鋼帯)の板幅位置に台形状のサーマルクラウンが発達する。この状態にて前コイル(iコイル目)より板幅の広い次のコイル(i+1コイル目)の圧延を実施すると、板幅内にて、台形状のサーマルクラウンより外側の位置では急峻に板厚が厚くなり、図9に示すように、逆クラウンプロフィルと呼ばれる板厚プロフィルとなる。通常、熱延鋼帯の板厚プロフィルは、板幅中央から板幅端にかけて漸次減少するプロフィルとなるが、逆クラウンプロフィルは板幅中央から板幅端方向にかけて漸次板厚が減少するものの、板幅端近傍にて再び板厚が増加する板厚プロフィルである。逆クラウンプロフィルが発生した場合、例えば、需要家からのクラウンの許容値を満足できなかったり、熱間圧延後の冷間圧延工程において板端部近傍にスクラッチ疵が発生したり、極端な耳波形状などが発生して通板性を阻害するなど、大きな問題となる。
【0005】
上述した問題を解決するために、逆クラウンプロフィルの発生を防止する手段として、ロール表面プロフィルの制御方法が提案されている(例えば、特許文献2、特許文献3参照)。
特許文献2に示されるサーマルクラウンプロフィルの制御方法は、圧延ロールの両端部近傍に誘導加熱装置を配設し、当該コイルと次コイルの板幅を比較して、次コイルの板幅が広い場合には、板クラウン、板形状を悪化させないよう、次コイルの板端部に相当する圧延ロール表面の位置を、必要な熱膨張が得られるように加熱するものである。
【0006】
また、特許文献3に示されるサーマルクラウンプロフィルの制御方法は、コイル板幅方向の中心部から板端部に向けて冷却水量分布が増加するようにし、且つ被圧延材と接触していない部分のロール冷却水を遮断、或いは極端に流量を減少させることにより、台形状に発達するサーマルクラウンプロフィルの急峻な勾配を解消しようとするものである。
さらに別の従来技術として、ハイス系圧延用複合ロールにおいて、その中間層に高熱伝導率の素材を用い、高温の被圧延材との接触によって圧延ロールに入熱した熱量をロール軸方向に積極的に分散させ、サーマルクラウンを低減させるようにした複合ロールが提案されている(例えば、特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平7−75812号公報
【特許文献2】特開2004−98068号公報
【特許文献3】特開平11−129010号公報
【特許文献4】特開平10−230307号公報
【特許文献5】特開平10−5823号公報
【特許文献6】国際公開第2006/088065号公報
【特許文献7】特開2005−330583号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】pref.shimane.jp/houdou/files/B842571E−CFAE−4808−8207−8D643DE13E55.pdf
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、上述した従来技術には、それぞれ以下のような問題がある。
まず、特許文献1に示される板クラウン、板形状用のアクチュエータの設定方法では、アクチュエータによるクラウンプロフィル制御量は板幅中心を極小点として板幅方向にほぼ放物線形状となる、すなわちロール表面を凸形状とする作用があり、このアクチュエータによるクラウンプロフィル制御だけでは、特に被圧延材の板幅端周辺の急峻なサーマルクラウン、ロール摩耗によるロール表面プロフィルの変化を補償できないという問題がある。
【0010】
特許文献2に示される方法では、ロール表面プロフィルを変化させる効果は認められるものの、複数スタンドからなる連続圧延機の1スタンドだけに導入した場合、急激に板形状が乱れる懸念があり、このため導入に際しては連続した複数スタンドへの適用が必要であると考えられる。また、ロール冷却水等の飛散により誘導加熱装置に水が付着した場合、電気的ショート事故により装置が破壊されてしまうことから完璧な防水対策が必須であり、非常に高価な設備となることが避けられない。また、誘導加熱による表層高密度発熱に起因するロール表面硬度の低下や、熱応力によるロールクラック、スポーリング事故の発生などの危険性もある。
【0011】
特許文献3に示される方法では、ロール表面プロフィルを変化させる効果は認められるものの、その効果は非常に軽微であり、スケジュールフリー圧延に際して、任意の圧延スケジュールに対応することは困難であると考えられる。
特許文献4に示される圧延用複合ロールについては、本発明者らの検討によれば、中間層のみに高熱伝導率材を用いるだけでは、外層を含めたロール表面プロフィルを変化させる効果は軽微であり、スケジュールフリー圧延の拡大は非常に限定的である。また、その実施例によれば、中間層のみに軸材より熱膨張の著しく大きな素材を用いており、圧延の進行により温度が上昇して熱膨張が生じた場合、中間層と軸材の界面で層間剥離が発生し、ロールが破損するなどの大トラブルが発生する危険性も懸念される。
【0012】
したがって本発明の目的は、以上のような従来技術の課題を解決し、サーマルクラウンの成長が抑制され、且つサーマルクラウンプロフィル変化を大幅に緩和することができる圧延ロールを提供することにある。
また、本発明の他の目的は、そのような圧延ロールを用い、サーマルクラウンプロフィル変化をより効果的に緩和することができる鋼帯の圧延方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するため、本発明者らは鋭意検討を重ね、圧延の進行に伴うサーマルクラウンの成長を顕著に抑制することが可能な圧延ロールとこれを用いた鋼帯の圧延方法を見出した。
本発明はこのような知見に基づきなされたもので、以下を要旨とするものである。
[1]外層、中間層及び軸材で構成される圧延ロールであって、外層を構成する材料と中間層を構成する材料の熱伝導率が、軸材を構成する材料の熱伝導率よりも大きいことを特徴とする圧延ロール。
[2]上記[1]の圧延ロールにおいて、外層、中間層及び軸材をそれぞれ構成する材料の熱膨張率の大きさが、外層<中間層<軸材であることを特徴とする圧延ロール。
[3]上記[1]又は[2]の圧延ロールにおいて、外層が超硬合金で構成されることを特徴とする圧延ロール。
【0014】
[4]上記[1]〜[3]のいずれかの圧延ロールにおいて、中間層が銅系合金で構成されることを特徴とする圧延ロール。
[5]上記[1]〜[4]のいずれかの圧延ロールを用いた鋼帯の圧延方法であって、下記(a)及び/又は(b)において圧延ロールの冷却を行うとともに、該圧延ロールの冷却では、圧延ロール軸方向のロール冷却範囲を鋼帯の板幅相当(但し、下記(b)の場合には先行鋼帯の板幅相当)とし、それよりも外側の範囲ではロール冷却を行わないことを特徴とする鋼帯の圧延方法。
(a)鋼帯の先端から尾端までの圧延中の少なくとも一部
(b)先行鋼帯と後行鋼帯のパス間の少なくとも一部
【発明の効果】
【0015】
本発明の圧延ロールは、圧延時のサーマルクラウンの成長が抑えられ、且つサーマルクラウンプロフィル変化が大幅に緩和される。これにより、スケジュールフリー圧延の飛躍的な拡大と、圧延能率の大幅な向上を実現することができる。
また、本発明の鋼帯の圧延方法によれば、サーマルクラウンプロフィル変化をより効果的に緩和することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の圧延ロールの一実施形態を示す縦断面図
【図2】本発明の圧延ロール及び圧延方法を用いた熱間仕上圧延における、圧延ロール表面のサーマルクラウンプロフィル例を示す図面
【図3】図2の結果を被圧延材の板幅相当のサーマルクラウン量として示した図面
【図4】本発明による圧延方法の効果を示すもので、本発明の圧延ロールを用いて行われる熱間仕上圧延において、本発明の圧延方法を適用した場合と適用しない場合について、圧延ロール表面のサーマルクラウンプロフィル例を示す図面
【図5】図4の結果を被圧延材の板幅相当のサーマルクラウン量として示した図面
【図6】従来技術の圧延ロールを用いた熱間仕上圧延における、圧延ロール表面のサーマルクラウンプロフィル例を示す図面
【図7】図6の結果を被圧延材の板幅相当のサーマルクラウン量として示した図面
【図8】逆クラウンプロフィルの発生メカニズムを示す説明図
【図9】通常クラウンプロフィルと逆クラウンプロフィルの例を示す説明図
【図10】本発明の圧延方法における圧延ロールの冷却状況の一例を示す説明図
【図11】従来方式の圧延における圧延ロールの冷却状況の一例を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、本発明の圧延ロールの一実施形態を示す縦断面図である。
この圧延ロールは、外層1と中間層2と軸材3から構成されるもので、外層1と軸材3間に中間層2が介在する構造であり、外層1の外周面がロールバレル面を構成し、軸材3がロール軸を構成する。
従来、鋼帯の圧延にはハイスロール、ハイクロムロール、アダマイトロール、Niグレーンロール等が広く用いられており、特にサーマルクラウンが膨大となる鋼帯の熱間圧延プロセスでは、ハイスロールを用いるのが一般的である。ハイスロールは、鍛鋼軸材にハイス材を連続して肉盛する連続肉盛鋳造法や遠心鋳造法等によって製造され、一般的には軸材とロールバレルを構成する外層とからなる2層構造である。これに対して、超硬ロールの代表的な構造は、例えば、特許文献5に示されるように、複合材リングと軸材を嵌合結合したものである。複合材リングは、鋳鋼、鍛鋼、黒鉛鋳鋼、炭素鋼、合金炭素鋼などの溶製の内層リングの外周に、タングステンカーバイドにコバルト等を混合した金属粉末をHIP等で焼結すると同時に拡散接合させる、或いは超硬合金からなる外層リングを内層リングとは別にCIP等で成形し、外層リングと内層リングをHIPによって拡散接合させる、などの手法で製造される。なお、この際、内層リングと外層リングの組成に応じ、適切なバインダーを用いて接合層を形成することが好ましい。そして、この複合材リングを、鋳鋼、鍛鋼、鋳鉄等の金属製軸材に焼嵌処理にて嵌合固定し、圧延ロールとして完成させるものである。本発明の圧延ロールを製造する手法は特に限定しないが、例えば、上記のような従来の超硬ロールの製造手法と同様の手法によって得ることができ、その場合には、複合材リングが軸材3に嵌合固定されることにより圧延ロールが構成され、この圧延ロールは、複合材リングの外層材が外層1を構成し、内層材が中間層2を構成する。
【0018】
本発明の圧延ロールでは、外層1を構成する材料と中間層2を構成する材料の熱伝導率を、軸材3を構成する材料の熱伝導率よりも大きくする。
従来のハイスロール等の2層構造の圧延ロールでは、外層の熱伝導率は軸材に較べて低く、熱膨張率は軸材とほぼ同等であった。それが故に、被圧延材からの入熱範囲での温度が上昇しやすく、台形型のサーマルクラウンを形成していた。これに対して本発明の圧延ロールは、外層1と中間層2をそれぞれ構成する材料の熱伝導率が、軸材3の熱伝導率より大きいことにより、温度上昇の大きい外層1と中間層2にて被圧延材からの入熱をロール軸方向に積極的且つ効率的に拡散させ、外層1と中間層2の熱膨張量の絶対値とロール軸方向でのサーマルクラウンプロフィルの急峻な変化を抑制することが可能である。さらに、外層1と中間層2に較べて熱伝導率が低い軸材3についても、ロール軸方向での温度分布が緩和され、結果としてロール軸方向の熱膨張量分布の緩和作用が得られる。これらの結果、圧延の進行に伴って成長するサーマルクラウン成長が抑制されるとともに、鋼帯の接触部と非接触部との境界に生成されるサーマルクラウンプロフィルの急峻な変化を防止することが可能となる。
【0019】
また、本発明の圧延ロールでは、外層1、中間層2及び軸材3をそれぞれ構成する材料の熱膨張率の大きさを、外層1<中間層2<軸材3とすることが好ましい。
さきに述べたように、特許文献4のように中間層だけに軸材よりも熱膨張率の高い材料を用いた場合、中間層と軸材の熱膨張量の違いによって両者の界面で層間剥離が発生する。これは、熱膨張量の大きい中間層(1.7×10−5/K)と熱膨張量の小さい軸材(1.3×10−5/K)との間の半径方向変位量が30%も異なるため、その界面に半径方向での大きな引張応力が発生するためである。また、圧延ロールでは外周側から入熱することにより、外周側で高く中心側ほど低い温度分布になるため、中間層と軸材間でより一層、熱膨張量差が拡大しやすいという問題がある。これに対して本発明では、ロール半径方向の温度分布(外層1>中間層2>軸材3)と逆になるように、材料の熱膨張率を外層1、中間層2、軸材3の順に大きくすることにより、各層間での熱膨張量の差を緩和することができ、層間剥離などのトラブル発生の危険性を低減することができる。
【0020】
圧延ロールの外層1は、超硬合金で構成することが好ましい。超硬合金は、ハイスに較べて耐摩耗性が格段に優れるとともに、熱伝導率が80W/(m・K)以上で、熱膨張率が小さい(鋼の1/2〜1/3)という特性を有している。完全なスケジュールフリー圧延の実現のためには、板幅方向の板厚プロフィルと板形状を良好に保つ必要があり、圧延ロールのサーマルクラウン成長を抑制し、且つ局所的なロール摩耗を抑制することが必須である。このような性能を発揮するロール外層材として、上記の特性を有する超硬合金は最適な材料の1つであると言える。すなわち、ロール軸方向に熱を拡散するとともに、膨張量が小さいことから、サーマルクラウンの大きな低減が可能である。また、耐摩耗性に優れることから、スケジュールフリー圧延の阻害要因の1つである鋼帯エッジ近辺に生成される局所摩耗が大きく低減される。従来より、超硬合金は圧延ロールに用いられており、例えば、WC−Co系、Ti−Cr−Mo系などの超硬合金が好適である。
【0021】
圧延ロールの中間層2は、銅系合金で構成することが好ましい。純銅は熱伝導率が400W/(m・K)と鋼の10倍程度もある良熱伝導性材料であるが、熱膨張量が1.7×10−5/Kと鋼の30〜40%も大きく、さきに述べた理由により本発明の圧延ロールへの適用は難しい。これに対して、銅を基材とした銅系合金のなかには、例えば、銅Cr合金、銅炭素合金などのような良熱伝導性と低熱膨張性を兼ね備えた材料があり、このような銅系合金は中間層2の材料として好適である。
【0022】
中間層2に用いる銅系合金としては、例えば、特許文献6,7に示されるような銅系合金を用いることができる。特許文献6に示される銅系合金は、実質的に一方向に揃えられた炭素繊維と銅(金属組織が再結晶化した銅)との複合材であって、銅メッキが施された炭素繊維を積層させ、所定の温度と圧力下で加圧焼結(放電プラズマ焼結)するとともに、銅の金属組織を再結晶化することにより得られるものである。特許文献6の発明者らが別の非特許文献1にて開示しているデータでは、その特性は炭素繊維の配合率によって変化するものの、熱伝導率は460〜630W/(m・K)と非常に優れた良熱伝導性を有しており、熱膨張率は0.6〜1.4×10−5/Kであることが示されている。このことから、上記銅系合金を本発明の圧延ロールの中間層2に適用するに際しては、炭素繊維の配合率を調整することにより、軸材3に対して高熱伝導、低熱膨張の特性を満たすようにすればよい。
【0023】
また、特許文献7に示される熱伝導率が大きく且つ熱膨張率の小さい銅系合金は、Crと残部がCu及び不可避的不純物からなるCu−Cr合金であって、Cr単独またはCrとCuの粉末を焼結し、その焼結体を銅に溶浸した後、時効熱処理することにより製造され、或いは溶解・鋳造・圧延法などにより製造されるものである。特許文献7に示されるCu−Cr合金は、Cr含有量と時効温度によってその特性が変化するものの、熱伝導率は134〜350W/(m・K)、熱膨張率が0.9〜1.67×10−5/Kであることが示されている。このことから、上記銅系合金を本発明の圧延ロールの中間層2に適用するに際しては、Cr含有量と時効温度を調整することにより、軸材3に対して高熱伝導、低熱膨張の特性を満たすようにすればよい。
【0024】
圧延ロールの軸材3を構成する材料に特別な制限はなく、圧延ロールの軸材に一般的に使用されている鋳鋼、鍛鋼、鋳鉄等の金属材料を用いればよい。なお、軸材3の物性値は、例えば、特許文献1に示されているデータを参照すると、熱伝導率は42W/(m・K)、熱膨張率は1.3×10−5/K程度であり、例えば、その程度の物性値を有するものでよいが、本発明の条件を満足するのであれば、特別な制限はない。
なお、圧延ロールの外層1、中間層2の厚さは特に制限はなく、適用される圧延ラインでの圧延ピッチ、圧延材温度、クラウン制御アクチュエータ能力等を勘案して決定すればよい。
【0025】
次に、本発明の鋼帯の圧延方法について説明する。
この圧延方法では、本発明の圧延ロールを用いて鋼帯の圧延を行うに際し、下記(a)及び/又は(b)において圧延ロールの冷却を行うとともに、この圧延ロールの冷却では、圧延ロール軸方向のロール冷却範囲を鋼帯の板幅相当(但し、下記(b)の場合には先行鋼帯の板幅相当)とし、それよりも外側の範囲ではロール冷却を行わないようにする。
(a)鋼帯の先端から尾端までの圧延中の少なくとも一部
(b)先行鋼帯と後行鋼帯のパス間(先行鋼帯の尾端通過後、後行鋼帯の先端進入までの間)の少なくとも一部
このような本発明法によるロール冷却範囲の制御は、通常、上記(a)において行い、先行鋼帯と後行鋼帯のパス間の時間の長短に応じ、サーマルクラウンの発生状況を考慮して、必要に応じて上記(b)で行えばよいが、使用する圧延ロールや圧延形態、サーマルクラウンの発生状況などによっては、上記(b)でのみ行ってもよい。
また、上記(a)、(b)におけるロール冷却範囲の制御は、(a)、(b)それぞれの全期間中行ってもよいし、一部期間で行ってもよく、サーマルクラウンの発生状況などを勘案して適宜選択すればよい。
【0026】
通常、圧延ロールの冷却は、ロールバレル全長に対して冷却水が噴射され、ロールバレル全長がロール冷却範囲となる。このため、図11に示すように複数の冷却ヘッダー5をロール軸方向に配置した冷却手段を用いる場合には、鋼帯4の板幅に関わりなく、全ての冷却ヘッダー5から冷却水6を噴射し、圧延ロールの冷却を行っている。これに対して、ロール冷却範囲の制御を行う本発明の圧延方法では、図10に示すように、鋼帯4の板幅に相当する位置(鋼帯板幅の内側)においてのみ、冷却ヘッダー5から冷却水6を噴射し、圧延ロールの冷却を行う。このようなロール冷却範囲の制御を行うため、例えば、各冷却ヘッダー5に電磁弁を設け、この電磁弁の開閉により各冷却ヘッダー5からの冷却水噴射のON/OFF制御を行えばよい。
【0027】
本発明では、圧延ロールのサーマルクラウンの絶対値を低減するとともに、ロール軸方向のサーマルクラウンプロフィルの急峻な変化を緩和することを目的とするものであり、そのためには、被圧延材との接触により入熱した熱を積極的にロール軸方向に拡散させ、被圧延材との非接触範囲の温度を上昇させることが効果的である。したがって、鋼帯の圧延を行うに際し、上述したような作用効果を有する本発明の圧延ロールを用い、且つ圧延ロール軸方向の冷却範囲を鋼帯の板幅相当とし、それよりも外側の範囲では圧延ロールの冷却を行わないこと、すなわち鋼帯との非接触範囲でのロール冷却を行わないことにより、圧延ロール面の鋼帯の接触部に入熱した熱を圧延ロール軸方向に効率的に拡散させ、鋼帯接触部と非接触部との境界に生成されるサーマルクラウンプロフィルの急峻な変化をより効果的に防止し、サーマルクラウンプロフィルのより顕著な緩和効果が得られる。
【0028】
なお、本発明の圧延ロールと圧延方法は、サーマルクラウンが成長しやすい熱間仕上圧延に特に好適であるが、他の圧延工程、例えば、冷間圧延や調質圧延等の鋼帯の圧延にも適用することが可能である。
また、ロールベンダーやロールクロスといったクラウン制御アクチュエータによるサーマルクラウン制御では、ロール軸方向に沿った上下ロール間の隙間を放物線状にしか変化させることができないことから、従来の台形型サーマルクラウンの成長への対応には限界があったが、本発明の圧延ロールおよび圧延方法は、これらのクラウン制御アクチュエータによるサーマルクラウン制御においても、その作用効果を得ることができる。
【実施例】
【0029】
本発明の圧延ロールおよび圧延方法の効果を、外層1が超硬合金、中間層2が特許文献6に示される銅系合金、軸材3が鍛鋼材でそれぞれ構成された圧延ロールを例に、熱弾性FEMによる解析結果に基づき検証・評価した。また、比較のため従来のハイスロールの効果を同様に評価した。
図2は、本発明の圧延ロール及び圧延方法を用いた熱間仕上圧延における、圧延ロール表面のサーマルクラウンプロフィル例を示し、図3は、図2の結果を被圧延材の板幅相当のサーマルクラウン量として示したものである。解析条件は、板幅1200mmの同一幅連続圧延におけるF7スタンド相当での結果である。また、ロール寸法は、ロール径φ650mm、バレル長2057mm、外層1の厚さ55mm、中間層2の厚さ75mmである。解析結果は、非定常解析として圧延時間60sec+コイル間時間30secを反復し、10、20、30コイル圧延後の各状態と、定常解析として熱的平衡に達した状態(連続圧延、すなわち無限に長いコイルを圧延した状態)での結果を示している。また、図6は、従来技術のハイスロールを用いた熱間仕上圧延における、圧延ロール表面のサーマルクラウンプロフィル例を示し、図7は、図6の結果を被圧延材の板幅相当のサーマルクラウン量として示したものである。
以上の解析に使用した圧延ロールの熱伝導率、熱膨張率を表1に示す。
【0030】
【表1】
【0031】
本発明を対象とした解析結果では、圧延の進行に伴ってロール表面のプロフィルがほぼ並行に成長しており、図3によれば、10〜30コイルでのサーマルクラウンプロフィルがほとんど変化しておらず、且つそのプロフィルは略放物線状になっていることが判る。さらには、連続圧延ではサーマルクラウンの絶対値は増加するものの、板幅相当のサーマルクラウン量は30コイル圧延後に較べて低減している。これは、被圧延材との接触による入熱がロール軸方向に拡散し、ロール軸方向の温度分布が緩和したためである。これに対して、図6に示す従来のハイスロールでは、10コイル圧延した時点で既にサーマルクラウンプロフィルが台形状となっており、その後も圧延進行に伴ってその絶対値が増加している。これは、被圧延材との接触による入熱範囲での温度上昇が大きいためであり、図7に示すように連続圧延における板幅相当のサーマルクラウン量も膨大に成長している。図3と図7を比較すると、本発明による板幅相当のサーマルクラウン量は従来技術の約1/4程度に低減しており、且つそのプロフィルも放物線状と大きく異なっていることが判る。
【0032】
また、図4及び図5は、本発明による圧延方法の効果を示すものであり、図4は、本発明の圧延ロールを用いた熱間仕上圧延であって、本発明の圧延方法を適用した場合(圧延ロールの冷却範囲:板幅相当)と、本発明の圧延方法を適用しない場合(圧延ロールの冷却範囲:全ロールバレル長)について、圧延ロール表面のサーマルクラウンプロフィル例を示し、図5は、図4の結果を被圧延材の板幅相当のサーマルクラウン量として示したものである。これによれば、本発明による圧延方法、すなわち、圧延ロール軸方向の冷却範囲を鋼帯の板幅相当とし、それよりも外側の範囲では圧延ロールの冷却を行わないことにより、鋼帯の板幅よりも外側の熱膨張が大きくなり、結果として板幅相当のサーマルクラウン量が大きく低減していることが判る。
以上の解析は、同一幅の圧延を想定したものであるが、本発明によれば、従来のような台形状のサーマルクラウンプロフィルではなく、放物線状のサーマルクラウンプロフィルとなることから、図9に示すような逆クラウンプロフィルの問題を生じることなく、サイクル内にて板幅を自由に変更することが容易であり、スケジュールフリー圧延に対して非常に大きな効果が得られるものである。
【符号の説明】
【0033】
1 外層
2 中間層
3 軸材
4 鋼帯
5 冷却ヘッダー
6 冷却水
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋼帯等の圧延を行うための圧延ロールとそれを用いた鋼帯の圧延方法に関するもので、より詳細には、圧延の進行に伴うサーマルクラウンの成長が小さく、スケジュールフリー圧延や高能率圧延に好適な圧延ロールとそれを用いた鋼帯の圧延方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
鋼帯の圧延、特に熱延鋼帯の圧延では、被圧延材の温度が800〜1050℃程度と高温であるため、圧延が進むにつれて、圧延ロールが被圧延材と接触する範囲にサーマルクラウンと呼ばれる台形状の熱膨張が生ずる。また、被圧延材との接触面が高温となることに加え、被圧延材と圧延ロール間、さらには圧延ロールとバックアップロール等の補強ロール間に作用する面圧が非常に高くなることから、圧延ロールの摩耗も順次進展する。
【0003】
熱延鋼帯の圧延では、生産性の観点から、被圧延材の材質や寸法(特に板幅)を順次任意に変更しながら圧延する、いわゆるスケジュールフリー圧延が志向されている。一般に、熱延鋼帯の圧延では、コイル毎に異なる所望の仕上寸法、特に板幅方向の板厚プロフィルである板クラウンと板形状を確保するため、サーマルクラウンやロール摩耗等の圧延ロール表面プロフィルの変化を予測し、それに基づいて、ワークロールベンダーやロールクロス、ロールシフトなどの板クラウン・板形状制御用アクチュエータの設定を実施している(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、スケジュールフリー圧延のためには、特にサーマルクラウンの発達による台形状のロール表面プロフィルを適切にコントロールすることが不可欠である。以下、その理由について、図8及び図9を用いて説明する。
【0004】
図8に示すように、狭幅コイルの圧延を連続して行った場合、被圧延材(鋼帯)の板幅位置に台形状のサーマルクラウンが発達する。この状態にて前コイル(iコイル目)より板幅の広い次のコイル(i+1コイル目)の圧延を実施すると、板幅内にて、台形状のサーマルクラウンより外側の位置では急峻に板厚が厚くなり、図9に示すように、逆クラウンプロフィルと呼ばれる板厚プロフィルとなる。通常、熱延鋼帯の板厚プロフィルは、板幅中央から板幅端にかけて漸次減少するプロフィルとなるが、逆クラウンプロフィルは板幅中央から板幅端方向にかけて漸次板厚が減少するものの、板幅端近傍にて再び板厚が増加する板厚プロフィルである。逆クラウンプロフィルが発生した場合、例えば、需要家からのクラウンの許容値を満足できなかったり、熱間圧延後の冷間圧延工程において板端部近傍にスクラッチ疵が発生したり、極端な耳波形状などが発生して通板性を阻害するなど、大きな問題となる。
【0005】
上述した問題を解決するために、逆クラウンプロフィルの発生を防止する手段として、ロール表面プロフィルの制御方法が提案されている(例えば、特許文献2、特許文献3参照)。
特許文献2に示されるサーマルクラウンプロフィルの制御方法は、圧延ロールの両端部近傍に誘導加熱装置を配設し、当該コイルと次コイルの板幅を比較して、次コイルの板幅が広い場合には、板クラウン、板形状を悪化させないよう、次コイルの板端部に相当する圧延ロール表面の位置を、必要な熱膨張が得られるように加熱するものである。
【0006】
また、特許文献3に示されるサーマルクラウンプロフィルの制御方法は、コイル板幅方向の中心部から板端部に向けて冷却水量分布が増加するようにし、且つ被圧延材と接触していない部分のロール冷却水を遮断、或いは極端に流量を減少させることにより、台形状に発達するサーマルクラウンプロフィルの急峻な勾配を解消しようとするものである。
さらに別の従来技術として、ハイス系圧延用複合ロールにおいて、その中間層に高熱伝導率の素材を用い、高温の被圧延材との接触によって圧延ロールに入熱した熱量をロール軸方向に積極的に分散させ、サーマルクラウンを低減させるようにした複合ロールが提案されている(例えば、特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平7−75812号公報
【特許文献2】特開2004−98068号公報
【特許文献3】特開平11−129010号公報
【特許文献4】特開平10−230307号公報
【特許文献5】特開平10−5823号公報
【特許文献6】国際公開第2006/088065号公報
【特許文献7】特開2005−330583号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】pref.shimane.jp/houdou/files/B842571E−CFAE−4808−8207−8D643DE13E55.pdf
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、上述した従来技術には、それぞれ以下のような問題がある。
まず、特許文献1に示される板クラウン、板形状用のアクチュエータの設定方法では、アクチュエータによるクラウンプロフィル制御量は板幅中心を極小点として板幅方向にほぼ放物線形状となる、すなわちロール表面を凸形状とする作用があり、このアクチュエータによるクラウンプロフィル制御だけでは、特に被圧延材の板幅端周辺の急峻なサーマルクラウン、ロール摩耗によるロール表面プロフィルの変化を補償できないという問題がある。
【0010】
特許文献2に示される方法では、ロール表面プロフィルを変化させる効果は認められるものの、複数スタンドからなる連続圧延機の1スタンドだけに導入した場合、急激に板形状が乱れる懸念があり、このため導入に際しては連続した複数スタンドへの適用が必要であると考えられる。また、ロール冷却水等の飛散により誘導加熱装置に水が付着した場合、電気的ショート事故により装置が破壊されてしまうことから完璧な防水対策が必須であり、非常に高価な設備となることが避けられない。また、誘導加熱による表層高密度発熱に起因するロール表面硬度の低下や、熱応力によるロールクラック、スポーリング事故の発生などの危険性もある。
【0011】
特許文献3に示される方法では、ロール表面プロフィルを変化させる効果は認められるものの、その効果は非常に軽微であり、スケジュールフリー圧延に際して、任意の圧延スケジュールに対応することは困難であると考えられる。
特許文献4に示される圧延用複合ロールについては、本発明者らの検討によれば、中間層のみに高熱伝導率材を用いるだけでは、外層を含めたロール表面プロフィルを変化させる効果は軽微であり、スケジュールフリー圧延の拡大は非常に限定的である。また、その実施例によれば、中間層のみに軸材より熱膨張の著しく大きな素材を用いており、圧延の進行により温度が上昇して熱膨張が生じた場合、中間層と軸材の界面で層間剥離が発生し、ロールが破損するなどの大トラブルが発生する危険性も懸念される。
【0012】
したがって本発明の目的は、以上のような従来技術の課題を解決し、サーマルクラウンの成長が抑制され、且つサーマルクラウンプロフィル変化を大幅に緩和することができる圧延ロールを提供することにある。
また、本発明の他の目的は、そのような圧延ロールを用い、サーマルクラウンプロフィル変化をより効果的に緩和することができる鋼帯の圧延方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するため、本発明者らは鋭意検討を重ね、圧延の進行に伴うサーマルクラウンの成長を顕著に抑制することが可能な圧延ロールとこれを用いた鋼帯の圧延方法を見出した。
本発明はこのような知見に基づきなされたもので、以下を要旨とするものである。
[1]外層、中間層及び軸材で構成される圧延ロールであって、外層を構成する材料と中間層を構成する材料の熱伝導率が、軸材を構成する材料の熱伝導率よりも大きいことを特徴とする圧延ロール。
[2]上記[1]の圧延ロールにおいて、外層、中間層及び軸材をそれぞれ構成する材料の熱膨張率の大きさが、外層<中間層<軸材であることを特徴とする圧延ロール。
[3]上記[1]又は[2]の圧延ロールにおいて、外層が超硬合金で構成されることを特徴とする圧延ロール。
【0014】
[4]上記[1]〜[3]のいずれかの圧延ロールにおいて、中間層が銅系合金で構成されることを特徴とする圧延ロール。
[5]上記[1]〜[4]のいずれかの圧延ロールを用いた鋼帯の圧延方法であって、下記(a)及び/又は(b)において圧延ロールの冷却を行うとともに、該圧延ロールの冷却では、圧延ロール軸方向のロール冷却範囲を鋼帯の板幅相当(但し、下記(b)の場合には先行鋼帯の板幅相当)とし、それよりも外側の範囲ではロール冷却を行わないことを特徴とする鋼帯の圧延方法。
(a)鋼帯の先端から尾端までの圧延中の少なくとも一部
(b)先行鋼帯と後行鋼帯のパス間の少なくとも一部
【発明の効果】
【0015】
本発明の圧延ロールは、圧延時のサーマルクラウンの成長が抑えられ、且つサーマルクラウンプロフィル変化が大幅に緩和される。これにより、スケジュールフリー圧延の飛躍的な拡大と、圧延能率の大幅な向上を実現することができる。
また、本発明の鋼帯の圧延方法によれば、サーマルクラウンプロフィル変化をより効果的に緩和することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の圧延ロールの一実施形態を示す縦断面図
【図2】本発明の圧延ロール及び圧延方法を用いた熱間仕上圧延における、圧延ロール表面のサーマルクラウンプロフィル例を示す図面
【図3】図2の結果を被圧延材の板幅相当のサーマルクラウン量として示した図面
【図4】本発明による圧延方法の効果を示すもので、本発明の圧延ロールを用いて行われる熱間仕上圧延において、本発明の圧延方法を適用した場合と適用しない場合について、圧延ロール表面のサーマルクラウンプロフィル例を示す図面
【図5】図4の結果を被圧延材の板幅相当のサーマルクラウン量として示した図面
【図6】従来技術の圧延ロールを用いた熱間仕上圧延における、圧延ロール表面のサーマルクラウンプロフィル例を示す図面
【図7】図6の結果を被圧延材の板幅相当のサーマルクラウン量として示した図面
【図8】逆クラウンプロフィルの発生メカニズムを示す説明図
【図9】通常クラウンプロフィルと逆クラウンプロフィルの例を示す説明図
【図10】本発明の圧延方法における圧延ロールの冷却状況の一例を示す説明図
【図11】従来方式の圧延における圧延ロールの冷却状況の一例を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、本発明の圧延ロールの一実施形態を示す縦断面図である。
この圧延ロールは、外層1と中間層2と軸材3から構成されるもので、外層1と軸材3間に中間層2が介在する構造であり、外層1の外周面がロールバレル面を構成し、軸材3がロール軸を構成する。
従来、鋼帯の圧延にはハイスロール、ハイクロムロール、アダマイトロール、Niグレーンロール等が広く用いられており、特にサーマルクラウンが膨大となる鋼帯の熱間圧延プロセスでは、ハイスロールを用いるのが一般的である。ハイスロールは、鍛鋼軸材にハイス材を連続して肉盛する連続肉盛鋳造法や遠心鋳造法等によって製造され、一般的には軸材とロールバレルを構成する外層とからなる2層構造である。これに対して、超硬ロールの代表的な構造は、例えば、特許文献5に示されるように、複合材リングと軸材を嵌合結合したものである。複合材リングは、鋳鋼、鍛鋼、黒鉛鋳鋼、炭素鋼、合金炭素鋼などの溶製の内層リングの外周に、タングステンカーバイドにコバルト等を混合した金属粉末をHIP等で焼結すると同時に拡散接合させる、或いは超硬合金からなる外層リングを内層リングとは別にCIP等で成形し、外層リングと内層リングをHIPによって拡散接合させる、などの手法で製造される。なお、この際、内層リングと外層リングの組成に応じ、適切なバインダーを用いて接合層を形成することが好ましい。そして、この複合材リングを、鋳鋼、鍛鋼、鋳鉄等の金属製軸材に焼嵌処理にて嵌合固定し、圧延ロールとして完成させるものである。本発明の圧延ロールを製造する手法は特に限定しないが、例えば、上記のような従来の超硬ロールの製造手法と同様の手法によって得ることができ、その場合には、複合材リングが軸材3に嵌合固定されることにより圧延ロールが構成され、この圧延ロールは、複合材リングの外層材が外層1を構成し、内層材が中間層2を構成する。
【0018】
本発明の圧延ロールでは、外層1を構成する材料と中間層2を構成する材料の熱伝導率を、軸材3を構成する材料の熱伝導率よりも大きくする。
従来のハイスロール等の2層構造の圧延ロールでは、外層の熱伝導率は軸材に較べて低く、熱膨張率は軸材とほぼ同等であった。それが故に、被圧延材からの入熱範囲での温度が上昇しやすく、台形型のサーマルクラウンを形成していた。これに対して本発明の圧延ロールは、外層1と中間層2をそれぞれ構成する材料の熱伝導率が、軸材3の熱伝導率より大きいことにより、温度上昇の大きい外層1と中間層2にて被圧延材からの入熱をロール軸方向に積極的且つ効率的に拡散させ、外層1と中間層2の熱膨張量の絶対値とロール軸方向でのサーマルクラウンプロフィルの急峻な変化を抑制することが可能である。さらに、外層1と中間層2に較べて熱伝導率が低い軸材3についても、ロール軸方向での温度分布が緩和され、結果としてロール軸方向の熱膨張量分布の緩和作用が得られる。これらの結果、圧延の進行に伴って成長するサーマルクラウン成長が抑制されるとともに、鋼帯の接触部と非接触部との境界に生成されるサーマルクラウンプロフィルの急峻な変化を防止することが可能となる。
【0019】
また、本発明の圧延ロールでは、外層1、中間層2及び軸材3をそれぞれ構成する材料の熱膨張率の大きさを、外層1<中間層2<軸材3とすることが好ましい。
さきに述べたように、特許文献4のように中間層だけに軸材よりも熱膨張率の高い材料を用いた場合、中間層と軸材の熱膨張量の違いによって両者の界面で層間剥離が発生する。これは、熱膨張量の大きい中間層(1.7×10−5/K)と熱膨張量の小さい軸材(1.3×10−5/K)との間の半径方向変位量が30%も異なるため、その界面に半径方向での大きな引張応力が発生するためである。また、圧延ロールでは外周側から入熱することにより、外周側で高く中心側ほど低い温度分布になるため、中間層と軸材間でより一層、熱膨張量差が拡大しやすいという問題がある。これに対して本発明では、ロール半径方向の温度分布(外層1>中間層2>軸材3)と逆になるように、材料の熱膨張率を外層1、中間層2、軸材3の順に大きくすることにより、各層間での熱膨張量の差を緩和することができ、層間剥離などのトラブル発生の危険性を低減することができる。
【0020】
圧延ロールの外層1は、超硬合金で構成することが好ましい。超硬合金は、ハイスに較べて耐摩耗性が格段に優れるとともに、熱伝導率が80W/(m・K)以上で、熱膨張率が小さい(鋼の1/2〜1/3)という特性を有している。完全なスケジュールフリー圧延の実現のためには、板幅方向の板厚プロフィルと板形状を良好に保つ必要があり、圧延ロールのサーマルクラウン成長を抑制し、且つ局所的なロール摩耗を抑制することが必須である。このような性能を発揮するロール外層材として、上記の特性を有する超硬合金は最適な材料の1つであると言える。すなわち、ロール軸方向に熱を拡散するとともに、膨張量が小さいことから、サーマルクラウンの大きな低減が可能である。また、耐摩耗性に優れることから、スケジュールフリー圧延の阻害要因の1つである鋼帯エッジ近辺に生成される局所摩耗が大きく低減される。従来より、超硬合金は圧延ロールに用いられており、例えば、WC−Co系、Ti−Cr−Mo系などの超硬合金が好適である。
【0021】
圧延ロールの中間層2は、銅系合金で構成することが好ましい。純銅は熱伝導率が400W/(m・K)と鋼の10倍程度もある良熱伝導性材料であるが、熱膨張量が1.7×10−5/Kと鋼の30〜40%も大きく、さきに述べた理由により本発明の圧延ロールへの適用は難しい。これに対して、銅を基材とした銅系合金のなかには、例えば、銅Cr合金、銅炭素合金などのような良熱伝導性と低熱膨張性を兼ね備えた材料があり、このような銅系合金は中間層2の材料として好適である。
【0022】
中間層2に用いる銅系合金としては、例えば、特許文献6,7に示されるような銅系合金を用いることができる。特許文献6に示される銅系合金は、実質的に一方向に揃えられた炭素繊維と銅(金属組織が再結晶化した銅)との複合材であって、銅メッキが施された炭素繊維を積層させ、所定の温度と圧力下で加圧焼結(放電プラズマ焼結)するとともに、銅の金属組織を再結晶化することにより得られるものである。特許文献6の発明者らが別の非特許文献1にて開示しているデータでは、その特性は炭素繊維の配合率によって変化するものの、熱伝導率は460〜630W/(m・K)と非常に優れた良熱伝導性を有しており、熱膨張率は0.6〜1.4×10−5/Kであることが示されている。このことから、上記銅系合金を本発明の圧延ロールの中間層2に適用するに際しては、炭素繊維の配合率を調整することにより、軸材3に対して高熱伝導、低熱膨張の特性を満たすようにすればよい。
【0023】
また、特許文献7に示される熱伝導率が大きく且つ熱膨張率の小さい銅系合金は、Crと残部がCu及び不可避的不純物からなるCu−Cr合金であって、Cr単独またはCrとCuの粉末を焼結し、その焼結体を銅に溶浸した後、時効熱処理することにより製造され、或いは溶解・鋳造・圧延法などにより製造されるものである。特許文献7に示されるCu−Cr合金は、Cr含有量と時効温度によってその特性が変化するものの、熱伝導率は134〜350W/(m・K)、熱膨張率が0.9〜1.67×10−5/Kであることが示されている。このことから、上記銅系合金を本発明の圧延ロールの中間層2に適用するに際しては、Cr含有量と時効温度を調整することにより、軸材3に対して高熱伝導、低熱膨張の特性を満たすようにすればよい。
【0024】
圧延ロールの軸材3を構成する材料に特別な制限はなく、圧延ロールの軸材に一般的に使用されている鋳鋼、鍛鋼、鋳鉄等の金属材料を用いればよい。なお、軸材3の物性値は、例えば、特許文献1に示されているデータを参照すると、熱伝導率は42W/(m・K)、熱膨張率は1.3×10−5/K程度であり、例えば、その程度の物性値を有するものでよいが、本発明の条件を満足するのであれば、特別な制限はない。
なお、圧延ロールの外層1、中間層2の厚さは特に制限はなく、適用される圧延ラインでの圧延ピッチ、圧延材温度、クラウン制御アクチュエータ能力等を勘案して決定すればよい。
【0025】
次に、本発明の鋼帯の圧延方法について説明する。
この圧延方法では、本発明の圧延ロールを用いて鋼帯の圧延を行うに際し、下記(a)及び/又は(b)において圧延ロールの冷却を行うとともに、この圧延ロールの冷却では、圧延ロール軸方向のロール冷却範囲を鋼帯の板幅相当(但し、下記(b)の場合には先行鋼帯の板幅相当)とし、それよりも外側の範囲ではロール冷却を行わないようにする。
(a)鋼帯の先端から尾端までの圧延中の少なくとも一部
(b)先行鋼帯と後行鋼帯のパス間(先行鋼帯の尾端通過後、後行鋼帯の先端進入までの間)の少なくとも一部
このような本発明法によるロール冷却範囲の制御は、通常、上記(a)において行い、先行鋼帯と後行鋼帯のパス間の時間の長短に応じ、サーマルクラウンの発生状況を考慮して、必要に応じて上記(b)で行えばよいが、使用する圧延ロールや圧延形態、サーマルクラウンの発生状況などによっては、上記(b)でのみ行ってもよい。
また、上記(a)、(b)におけるロール冷却範囲の制御は、(a)、(b)それぞれの全期間中行ってもよいし、一部期間で行ってもよく、サーマルクラウンの発生状況などを勘案して適宜選択すればよい。
【0026】
通常、圧延ロールの冷却は、ロールバレル全長に対して冷却水が噴射され、ロールバレル全長がロール冷却範囲となる。このため、図11に示すように複数の冷却ヘッダー5をロール軸方向に配置した冷却手段を用いる場合には、鋼帯4の板幅に関わりなく、全ての冷却ヘッダー5から冷却水6を噴射し、圧延ロールの冷却を行っている。これに対して、ロール冷却範囲の制御を行う本発明の圧延方法では、図10に示すように、鋼帯4の板幅に相当する位置(鋼帯板幅の内側)においてのみ、冷却ヘッダー5から冷却水6を噴射し、圧延ロールの冷却を行う。このようなロール冷却範囲の制御を行うため、例えば、各冷却ヘッダー5に電磁弁を設け、この電磁弁の開閉により各冷却ヘッダー5からの冷却水噴射のON/OFF制御を行えばよい。
【0027】
本発明では、圧延ロールのサーマルクラウンの絶対値を低減するとともに、ロール軸方向のサーマルクラウンプロフィルの急峻な変化を緩和することを目的とするものであり、そのためには、被圧延材との接触により入熱した熱を積極的にロール軸方向に拡散させ、被圧延材との非接触範囲の温度を上昇させることが効果的である。したがって、鋼帯の圧延を行うに際し、上述したような作用効果を有する本発明の圧延ロールを用い、且つ圧延ロール軸方向の冷却範囲を鋼帯の板幅相当とし、それよりも外側の範囲では圧延ロールの冷却を行わないこと、すなわち鋼帯との非接触範囲でのロール冷却を行わないことにより、圧延ロール面の鋼帯の接触部に入熱した熱を圧延ロール軸方向に効率的に拡散させ、鋼帯接触部と非接触部との境界に生成されるサーマルクラウンプロフィルの急峻な変化をより効果的に防止し、サーマルクラウンプロフィルのより顕著な緩和効果が得られる。
【0028】
なお、本発明の圧延ロールと圧延方法は、サーマルクラウンが成長しやすい熱間仕上圧延に特に好適であるが、他の圧延工程、例えば、冷間圧延や調質圧延等の鋼帯の圧延にも適用することが可能である。
また、ロールベンダーやロールクロスといったクラウン制御アクチュエータによるサーマルクラウン制御では、ロール軸方向に沿った上下ロール間の隙間を放物線状にしか変化させることができないことから、従来の台形型サーマルクラウンの成長への対応には限界があったが、本発明の圧延ロールおよび圧延方法は、これらのクラウン制御アクチュエータによるサーマルクラウン制御においても、その作用効果を得ることができる。
【実施例】
【0029】
本発明の圧延ロールおよび圧延方法の効果を、外層1が超硬合金、中間層2が特許文献6に示される銅系合金、軸材3が鍛鋼材でそれぞれ構成された圧延ロールを例に、熱弾性FEMによる解析結果に基づき検証・評価した。また、比較のため従来のハイスロールの効果を同様に評価した。
図2は、本発明の圧延ロール及び圧延方法を用いた熱間仕上圧延における、圧延ロール表面のサーマルクラウンプロフィル例を示し、図3は、図2の結果を被圧延材の板幅相当のサーマルクラウン量として示したものである。解析条件は、板幅1200mmの同一幅連続圧延におけるF7スタンド相当での結果である。また、ロール寸法は、ロール径φ650mm、バレル長2057mm、外層1の厚さ55mm、中間層2の厚さ75mmである。解析結果は、非定常解析として圧延時間60sec+コイル間時間30secを反復し、10、20、30コイル圧延後の各状態と、定常解析として熱的平衡に達した状態(連続圧延、すなわち無限に長いコイルを圧延した状態)での結果を示している。また、図6は、従来技術のハイスロールを用いた熱間仕上圧延における、圧延ロール表面のサーマルクラウンプロフィル例を示し、図7は、図6の結果を被圧延材の板幅相当のサーマルクラウン量として示したものである。
以上の解析に使用した圧延ロールの熱伝導率、熱膨張率を表1に示す。
【0030】
【表1】
【0031】
本発明を対象とした解析結果では、圧延の進行に伴ってロール表面のプロフィルがほぼ並行に成長しており、図3によれば、10〜30コイルでのサーマルクラウンプロフィルがほとんど変化しておらず、且つそのプロフィルは略放物線状になっていることが判る。さらには、連続圧延ではサーマルクラウンの絶対値は増加するものの、板幅相当のサーマルクラウン量は30コイル圧延後に較べて低減している。これは、被圧延材との接触による入熱がロール軸方向に拡散し、ロール軸方向の温度分布が緩和したためである。これに対して、図6に示す従来のハイスロールでは、10コイル圧延した時点で既にサーマルクラウンプロフィルが台形状となっており、その後も圧延進行に伴ってその絶対値が増加している。これは、被圧延材との接触による入熱範囲での温度上昇が大きいためであり、図7に示すように連続圧延における板幅相当のサーマルクラウン量も膨大に成長している。図3と図7を比較すると、本発明による板幅相当のサーマルクラウン量は従来技術の約1/4程度に低減しており、且つそのプロフィルも放物線状と大きく異なっていることが判る。
【0032】
また、図4及び図5は、本発明による圧延方法の効果を示すものであり、図4は、本発明の圧延ロールを用いた熱間仕上圧延であって、本発明の圧延方法を適用した場合(圧延ロールの冷却範囲:板幅相当)と、本発明の圧延方法を適用しない場合(圧延ロールの冷却範囲:全ロールバレル長)について、圧延ロール表面のサーマルクラウンプロフィル例を示し、図5は、図4の結果を被圧延材の板幅相当のサーマルクラウン量として示したものである。これによれば、本発明による圧延方法、すなわち、圧延ロール軸方向の冷却範囲を鋼帯の板幅相当とし、それよりも外側の範囲では圧延ロールの冷却を行わないことにより、鋼帯の板幅よりも外側の熱膨張が大きくなり、結果として板幅相当のサーマルクラウン量が大きく低減していることが判る。
以上の解析は、同一幅の圧延を想定したものであるが、本発明によれば、従来のような台形状のサーマルクラウンプロフィルではなく、放物線状のサーマルクラウンプロフィルとなることから、図9に示すような逆クラウンプロフィルの問題を生じることなく、サイクル内にて板幅を自由に変更することが容易であり、スケジュールフリー圧延に対して非常に大きな効果が得られるものである。
【符号の説明】
【0033】
1 外層
2 中間層
3 軸材
4 鋼帯
5 冷却ヘッダー
6 冷却水
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外層、中間層及び軸材で構成される圧延ロールであって、外層を構成する材料と中間層を構成する材料の熱伝導率が、軸材を構成する材料の熱伝導率よりも大きいことを特徴とする圧延ロール。
【請求項2】
外層、中間層及び軸材をそれぞれ構成する材料の熱膨張率の大きさが、外層<中間層<軸材であることを特徴とする請求項1に記載の圧延ロール。
【請求項3】
外層が超硬合金で構成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の圧延ロール。
【請求項4】
中間層が銅系合金で構成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の圧延ロール。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の圧延ロールを用いた鋼帯の圧延方法であって、下記(a)及び/又は(b)において圧延ロールの冷却を行うとともに、該圧延ロールの冷却では、圧延ロール軸方向のロール冷却範囲を鋼帯の板幅相当(但し、下記(b)の場合には先行鋼帯の板幅相当)とし、それよりも外側の範囲ではロール冷却を行わないことを特徴とする鋼帯の圧延方法。
(a)鋼帯の先端から尾端までの圧延中の少なくとも一部
(b)先行鋼帯と後行鋼帯のパス間の少なくとも一部
【請求項1】
外層、中間層及び軸材で構成される圧延ロールであって、外層を構成する材料と中間層を構成する材料の熱伝導率が、軸材を構成する材料の熱伝導率よりも大きいことを特徴とする圧延ロール。
【請求項2】
外層、中間層及び軸材をそれぞれ構成する材料の熱膨張率の大きさが、外層<中間層<軸材であることを特徴とする請求項1に記載の圧延ロール。
【請求項3】
外層が超硬合金で構成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の圧延ロール。
【請求項4】
中間層が銅系合金で構成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の圧延ロール。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の圧延ロールを用いた鋼帯の圧延方法であって、下記(a)及び/又は(b)において圧延ロールの冷却を行うとともに、該圧延ロールの冷却では、圧延ロール軸方向のロール冷却範囲を鋼帯の板幅相当(但し、下記(b)の場合には先行鋼帯の板幅相当)とし、それよりも外側の範囲ではロール冷却を行わないことを特徴とする鋼帯の圧延方法。
(a)鋼帯の先端から尾端までの圧延中の少なくとも一部
(b)先行鋼帯と後行鋼帯のパス間の少なくとも一部
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−152577(P2011−152577A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−16731(P2010−16731)
【出願日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【出願人】(000001258)JFEスチール株式会社 (8,589)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【出願人】(000001258)JFEスチール株式会社 (8,589)
【Fターム(参考)】
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