説明

圧縮可能で平坦な物品のための包装

本発明は、請求項1のプリアンブルにしたがった、圧縮可能で平坦な物品のための包装に関する。さらに、本発明は、そのような包装を充填するための方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルにしたがった、圧縮可能で平坦な物品のための包装に関する。さらに、本発明は、そのような包装を充填するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
上述した種類の包装は、例えば、最近の現況技術と見なされるEP0585653A1によって、また同種の包装を示しているEP0406928B1によって既知である。これらの文献に記載されている包装は、例えば、使い捨ておむつ、失禁用ブリーフなどの、比較的柔軟で可撓性のある圧縮可能な物品を受入れるためのものである。単一の包装内に受入れられる物品の数を増加させるために、前記物品は、包装の壁面パネルに設けられる開口部を介して取り出すことができるように、圧縮された積み重ね体にされる。最近は、ポリマーシート材料で作成されたサイドガセット袋(side gusset pack)のような可撓性の包装又は袋が、これらの包装が多くの貯蔵量及び低重量という利益を兼ね備えることから、この目的に使用されている。さらに、シート材料から作成された包装は、使用後に容易に廃棄することができ、これは環境保護の観点において有利である。
【0003】
物品が消費者によって個々に使用されるとき、壁面パネルの開口部はユーザが容易に物品を1つずつ取り出せるようなものにするべきであり、一方、包装の内部に残っている物品が圧縮された積み重ね体の圧力によって開口部から排出されないようにするべきである。このことから、EP0585653A1は、容易な取り出しを可能にするが積み重ね体の残りが開口部の穴から押し出されないような、残りの壁面パネルに対する寸法を有する開口部を提案している。
【0004】
運搬中に包装の一体性を維持することが重要であるため、開口部は、この段階では例えば穿孔などの脆弱線のみによって画定され、第1の物品を取り出せるようにする前に、ユーザは、脆弱線を破断して壁面パネルに開口を形成することによって、壁面の内側部分を取り除いて包装を開けなければならない。この構成により、包装の運搬中における意図しない開放を防ぐという利益が提供されるが、一方でこの種の開口部は、穿孔を破るのが困難なことがあるため、ユーザが開け難い場合がある。さらに、開口が広すぎる場合には、最初の使用で開口部が一旦開放された後、圧縮可能な物品の残りの積み重ね体が包装を変形させ、いくつかの物品が開口部から排出されやすいという恐れが依然としてある。したがって、壁面パネルの一部分を破り取って開口部を形成することによって、包装自体の一体性がいくらか損なわれることを考慮しなければならないことから、開口部の寸法及び形状に関する一定の制限がある。特にユーザが開放した包装をある場所から別の場所に運搬しようとする場合、格納された物品が押し出されないようにするために開口部を閉じることができない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の目的は、容易に開けることができ、一方で、特に一旦開けた包装を運搬する際に、包装内に格納された物品の圧力によって意図しない開放を防ぐ、上述の種類の包装を提供することである。
【0006】
これらの目的にしたがって、上述の種類の包装は請求項1の特徴をもつ。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による包装の開口部は、開口部を閉じるための被覆要素を備える。この被覆要素は、下層及び上層を含む。下層は、壁面パネルの一部分から形成され、壁面パネルに開口を形成できるように、壁面パネル自体から少なくとも部分的に取り除くことができる。上層は前記下層上に接着しており、前記取り外し可能な壁面部分周辺部上に突出し、かつ取り外し可能な壁面部分の周囲に配置される壁面パネルの周囲部分に脱着可能に接着している、フレーム様の周辺部分を含む。すなわち、閉じた状態において、上層の突出した周辺部分は、壁面パネルの残りの取り外し不可能な部分の一部であるフレーム様の周囲部分上に接着している。
【0008】
前記取り外し可能な壁面部分は、第1及び第2の部分を含み、被覆要素が開けられたときに第2部分が取り外される前に、その第1部分が取り外されるようになっている。この第1部分は、力を要しない取り外し領域に相当し、周囲壁面部分から容易に取り外すことができる。一方、それに続く取り外し可能な壁面部分の第2部分は、少なくとも1つの脆弱線によって周囲壁面部分から分離されており、取り外し可能な壁面部分は被覆要素が最初に開けられるときに、少ない力で取り外すことによって、その脆弱線に沿って周囲壁面部分から少なくとも部分的に分離することができる。
【0009】
この構成によって被覆要素が設けられることにより、包装の開口部は、一旦開放した後で閉じることができ、残りの物品が包装から排出されることを防ぐので、本発明による包装を、閉じた状態で運搬することができる。最初に開ける前には、取り外し可能な壁面部分は、脆弱線に沿って周囲壁面部分と少なくとも部分的に接合しているので(すなわち、取り外し可能な壁面部分はこの状態では周囲部分と完全に分離していないので)、開口部を含む壁面パネルの一体性が維持される。しかしながら、取り外し可能な壁面部分の第1部分は容易に取り外せるため、ユーザが開口を容易に達成できる一方で、それに続く第2部分は、比較的少ない力を付与することによって脆弱線に沿って取り外すことができる。力を要しない取り外し領域に相当する第1部分と少ない力による取り外し領域である第2部分とのこの組み合わせによって、ユーザが開口部を形成することが容易になる。壁面パネルの残りの周囲部分に部分的に接着している上層を設けることによって、開口部は、例えば運搬のために、容易に閉じることができる。本発明による包装は、低コストで製造できることに留意されたい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の好ましい実施形態が、請求項2〜9によって開示される。さらに、請求項10は、本発明による包装を充填するための有利な方法に関する。
【0011】
本発明の上述の及び他の特徴及び目的は、後述の添付図面を参照して、本発明の好ましい実施形態の以下の説明により、より明らかになる。
【0012】
図1に示すような包装10は、可撓性のポリマーシート材料から作成され、対向する側壁パネル12(そのうち1つの側壁パネルは図1では隠れている)と、包装10の端部壁を形成するより幅の狭い対向する側壁パネル14とを含む。これら4つの側壁12及び14は、後述するように、おむつ18の積み重ね体16を受入れるための平行六面体の空間を取り囲む。包装10の頂部は、対向するサイドパネル部分12にそれぞれ隣接する2つの対称なパネル部分20及び22によって閉じられており、その上端部分の対向する表面が結合して包装10の垂直方向に延在する部分26を形成し、それによって包装10がその上側で閉じられている。図1では隠れている底部において、包装10は同様の結合部分によって閉じられている。
【0013】
側壁パネル14の上端部は内側に折り畳まれてサイドガセット(side gussets)28を形成しており、すなわち包装10の内部空間に向かって延在するサイドパネル14の上側部分があり、その上端部は、上向きに延在する部分26を形成している2つのパネル部分24の間で平坦になっている。サイドガセット28のこの部分は、図1では隠れている。サイドガセット袋の構成の観点において、包装10の本実施形態は、EP0406928に示されるサイドガセット袋に非常に類似している。
【0014】
上向きに延在する部分26はスリット30を含み、包装10を手で持つためのハンドグリップを提供するくぼみ又は開口を形成する。
【0015】
壁面パネル14は、積み重ね体16の左側にある第1のおむつ18を取り出すために開けることができる。おむつ18は、包装10の側壁12、14とほぼ平行な方向に通常は1回又は複数回折り畳まれた、圧縮可能で平坦な物品である。おむつ18は、その表面が開口部60を含む壁面パネル14とほぼ平行に整列するように、包装10内で積み重ねられている。1つの包装10内に多数のおむつ18を受入れるために、積み重ね体16は圧縮される。おむつ18は包装10内に目に見えないように格納されているため、図1及び図2における積み重ね体16を形成するおむつ18の位置は点線で示されている。
【0016】
垂直に上向きに延在する舌の形状を有する壁面パネル14の取り外し可能な壁面部分32によって、前記開口部が提供される。より詳細には、円弧又は半円の形状を有する連続的に穴開けされた分離線34があり、2つの平行な穿孔線34、36が、3つの分離線34、36、38が反転したU字形の形状で互いに接合するように、この半円34の末端部と結合している。分離線34、36、38のこの配置によって、舌状の取り外し可能な壁面部分32が残りの壁面パネル14の周囲部分40から分離される。
【0017】
円弧状に穴開けされた分離線34が舌部32の末端部42を取り囲む一方で、舌部32の残りの部分44は、2つの対向する穿孔線36、38によってその左右が限定されている。分離線34は連続的に穴開けされているため、力を要しない取り外しによって周囲壁面部分40から手で分離できるが、舌部32の第2の残りの部分44を穿孔線36、38に沿って周囲部分40から破断するためには、少ない力が必要となる。換言すれば、舌部32の末端部42は力を要しない取り外しの第1部分を形成し、これは、開放手続きの際、それに続く少ない力による取り外しの第2部分である舌部32の残りの部分44を取り除く前に、最初に開けられる。
【0018】
舌の形状を有する取り外し可能な壁面部分32は、包装10の開口部を閉じるための被覆要素50の下層に相当する。この被覆要素50の第2部分は、感圧性接着剤層を備えるフラップ54の形状を有するシートで形成されるため、フラップ54は舌部32に接着されてこれを完全に被覆する。このフラップ54の水平及び垂直方向の寸法は、フラップ54のフレーム様の周辺部分56が舌部32の周辺上に突出し、壁面パネル14の周囲部分40の表面に接着されるような寸法である。したがって、フラップ54は、フラップ54をその内側表面に上向きに貼り付いている舌部32と共に折り返すことによって、開口部を閉じるために使用することができ、それによってフラップ54のフレーム様の周辺部分56を、周囲部分40の表面に脱着可能に接着することができる。この構成により、積み重ね体16の1番目のおむつ18が圧縮された積み重ね体16の圧力によって包装10から排出される恐れなしに、包装10を運搬するために開口部を閉じることができる。
【0019】
フラップ54の末端部は、フラップを手で把持するための接着剤のない末端部分72を含み、このことによって、ユーザはより容易にフラップ54の末端部分を掴むことができる。
【0020】
図2は、図1に関連して説明された包装の開放された状態を示す。舌状の取り外し可能な壁面部分32は、舌部32の表面に接着されたフラップ54と共に裂き開かれており、それによってU字形の輪郭を有する開口部60が壁面パネル14に形成されている。この開口部60によって、エンドユーザは、包装10内にある積み重ね体16の1番目のおむつ18を取り出すことができる。
【0021】
積み重ね体16が圧縮されているため、1番目のおむつ18は、積み重ね体16の圧力によって開口部60から排出される傾向がある。第1のおむつ18を取り出す方向は、図2の矢印Aで示されている。第1のおむつ18を開口部60から垂直前進方向に引き出した後、それに続くおむつ18が開口部を塞ぐか、あるいは開口部60の上側部分から部分的に引き出されてもよいので、後に続く取り出し作業が簡便になる。これは図2に示されており、図示された第1のおむつ18の上側部分が開口部60から突出している。
【0022】
図3は、図1及び図2に説明されたような包装10を充填する方法を示しており、おむつ18の積み重ね体16が包装10の底部にある開口部70を通る。最初に、おむつ18の積み重ね体16が配列されて圧縮され、包装10は、その側壁12及び14と共にポリマーシート材料から完全に形成されている。包装10の底部を閉じる前に、おむつ18の積み重ね体16全体が充填される。積み重ね体16が、包装10内部の収容空間に受入れられる前に圧縮されるため、底部が包装機等によって広げられて(tented)、方形の開口部70が形成される。次に、圧縮されたおむつ18の積み重ね体16は、矢印Bで示した方向に押されて底部開口部70を通して包装10内に入れられるので、包装10は積み重ね体16で満たされる。広げられた底部70を最初に開口して、その後で圧縮された積み重ね体16を形成することも可能なことが理解されるが、包装10を圧縮された積み重ね体16全体で満たすことが不可欠である。
【0023】
積み重ね体16が入れられると、対向するサイドパネル12を接合し、壁面パネル14の下側末端部を折り畳むことによって包装10が閉じられて、図1のサイドガセット28のようなサイドガセットが形成される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明による包装の好ましい実施形態の斜視図。
【図2】被覆要素が開いた状態にある図1の包装の図。
【図3】本発明による包装の充填方法を図示する別の視点から見た図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮可能で平坦な物品(18)のための包装(10)であって、前記物品(18)が圧縮された形態で積み重ね体(16)にされて前記包装(10)内に受入れられ、前記包装(10)が、前記包装の壁面パネル(14)に物品(18)を取り出すための開口部(60)を含み、前記開口部(60)が、前記壁面パネル(14)の一部分で形成されて少なくとも部分的に前記壁面パネル(14)から取り外し可能な下層(32)と、前記下層に接着している上層(54)との、2つの層(32、54)を含む被覆要素(50)を備え、前記上層(54)が、前記取り外し可能な壁面部分(32)の周辺部上に突出して前記取り外し可能な壁面部分(32)の周囲に配置される前記壁面パネル(14)の周囲部分(40)に脱着可能に接着しているフレーム様の周辺部分(56)を含み、最初に開放される前記取り外し可能な壁面部分(32)の第1部分(42)が、力を要しない取り外し領域であり、一方それに続く第2部分(44)が、少なくとも1つの脆弱線(36、38)によって前記周囲壁面部分(40)から分離されており、前記取り外し可能な壁面部分(32)は、前記被覆要素(50)を最初に開けるときに、少ない力で取り外すことによって前記脆弱線に沿って前記周囲壁面部分(40)から少なくとも部分的に分離可能であることを特徴とする、包装(10)。
【請求項2】
前記取り外し可能な壁面部分(32)の前記第1部分(42)が、連続的に切断又は穴開けされた分離線(34)によって前記周囲壁面部分(40)から分離され、残りの前記部分(44)を分離するための1つ又は複数の前記脆弱線(36、38)が、前記分離線(34)に隣接する穿孔の線として提供されることを特徴とする、請求項1に記載の包装。
【請求項3】
前記取り外し可能な壁面部分(32)が舌部として形成され、前記上層が前記舌部(32)に接着するフラップ(54)として形成され、前記取り外し可能な壁面部分(32)の前記第1部分(42)が前記舌部(32)の末端部分であり、前記舌部(32)の前記第2部分(44)が、前記舌部(32)を前記周囲壁面部分(40)から部分的に分離するための2つの対向する脆弱線(36、38)によってその左右を限定されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の包装。
【請求項4】
前記フラップ(54)が接着剤層を備えることを特徴とする、請求項3に記載の包装。
【請求項5】
前記接着剤が感圧性接着剤であることを特徴とする、請求項4に記載の包装。
【請求項6】
前記フラップ(54)が、前記フラップ(54)を手で把持するために設けられた接着剤を有さない末端部分(72)を含むことを特徴とする、請求項4又は5に記載の包装。
【請求項7】
前記包装(10)がポリマーシート材料で作成されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の包装。
【請求項8】
前記包装(10)がサイドガセット袋であることを特徴とする、請求項7に記載の包装。
【請求項9】
前記包装(10)内に積み重ねられた前記物品(18)が、その表面が前記開口部(60)を含む前記壁面パネル(14)に実質的に平行に整列するように配向されることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の包装。
【請求項10】
請求項8又は9のいずれかに記載の包装を充填するための方法であって、以下の工程、
− 物品の積み重ね体(16)が前記包装(10)内に受入れられるように配置し、
− 前記積み重ね体(16)を圧縮し、
− 前記包装(10)の底部(70)を開いて内部空間を広げ、
− 前記包装(10)の前記開いた底部(70)から前記積み重ね体(16)を押すことによって、前記包装(10)を前記積み重ね体(16)で満たす、
を有することを特徴とする方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公表番号】特表2007−525379(P2007−525379A)
【公表日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−514877(P2006−514877)
【出願日】平成16年5月13日(2004.5.13)
【国際出願番号】PCT/US2004/015322
【国際公開番号】WO2004/101388
【国際公開日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】