説明

圧縮器−膨張器可逆式ユニットを備える圧縮空気エネルギー貯蔵システム

圧縮空気エネルギー貯蔵(CAES)システムにおいて空気を圧縮し、膨張させるためのシステムおよび方法が開示される。圧縮モードおよび膨張モードで交互に動作可能であり、その中に、モータ−発電機ユニットと、モータ−発電機ユニットに、およびモータ−発電機ユニットから回転パワーを伝送するように構成されている、モータ−発電機ユニットに接続された駆動軸とを含むCAESシステムが提供される。CAESシステムはまた、駆動軸に結合され、選択的に空気を圧縮し、膨張させるように構成されている少なくとも1つの圧縮器−膨張器可逆式ユニットと、圧縮器−膨張器可逆式ユニットに接続され、それから受けた圧縮空気を貯蔵するように構成されている空気貯蔵ユニットとを含み、少なくとも1つの圧縮器−膨張器可逆式ユニットは、圧縮モード中、空気を圧縮し、膨張モード中、空気を膨張させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は一般に、圧縮空気エネルギー貯蔵(Compressed Air Energy Storage(CAES))システムに関し、より詳細には、圧縮動作モード中および膨張動作モード中、空気を圧縮し、膨張させるための圧縮器−膨張器可逆式ユニットを含む空気圧縮/膨張システムを有するCAESシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
空気圧縮システムと空気膨張システムは、複数の産業で様々な用途に使用される。例えば、その1つの用途は、エネルギーを生成し、貯蔵する際に、ターボ機械として空気圧縮システムや空気膨張システムを使用することである。圧縮空気エネルギー貯蔵(CAES)システムは通常、吸気を圧縮する複数の圧縮器を有する圧縮トレインを含み、その圧縮吸気をキャバーン、地下貯蔵部、または他の圧縮空気貯蔵コンポーネントに供給する。その後に圧縮空気は、例えば、タービンを駆動して、電気エネルギーなどのエネルギーを生産するために使用される。CAESシステムの圧縮段階の動作中、通常、圧縮吸気は冷却される。膨張段階の動作中、空気は、タービンを通って地下貯蔵部から排出され、周囲圧力でタービンから抜けるように膨張する。
【0003】
通常、CAESシステムにおける圧縮器およびタービンはそれぞれ、各クラッチを通じて発電機/モータ装置に接続され、適切な選択時間期間中、圧縮器のみか、またはタービンのみかのいずれかの動作が可能になる。パワーグリッドにおける電気需要のオフピーク期間中(すなわち、夜間および週末)、圧縮器トレインは、そのクラッチを通じて発電機/モータによって駆動される。このスキームでは、発電機/モータは、モータとして機能し、パワーグリッドからパワーを引き出す。次いで、圧縮空気は冷却され、地下貯蔵部に送られる。ピーク需要期間中は、タービンクラッチが係合された状態で、空気は貯蔵部から引き出され、次いで、タービントレインを通って加熱され、膨張して、発電機/モータを駆動することによってパワーを供給する。このスキームでは、発電機/モータは、発電機として機能し、例えば、パワーグリッドにパワーを供給する。
【0004】
従来技術分野において知られているCAESシステム100における空気圧縮/膨張システムの一般的な構成を図1に示す。空気圧縮/膨張システム101は、圧縮モードおよび膨張モードで交互に動作するように構成され、複合型モータ−発電機ユニット102と、駆動軸104、106と、クラッチ108、110と、圧縮器システム112と、タービンシステム114とを含む。
【0005】
モータ−発電機ユニット102は、送電線を経由してベースロード電源に電気的に接続され、圧縮動作モード中、それからパワーを受ける。圧縮モードでの動作中、モータ−発電機ユニット102は、回転パワーを生成し、その回転パワーは駆動軸104によって圧縮器システム112に伝送される。クラッチ108は、駆動軸104とモータ−発電機ユニット102とに圧縮器システム112を結合するように係合され、それによって、次のパワーを生成するために貯蔵される空気を圧縮する圧縮器システム112を駆動する。
【0006】
空気圧縮/膨張システム101を膨張動作モードに切り替えると、モータ−発電機ユニット102へのパワーの供給は停止され、それにより、駆動軸104への回転パワーの移送が停止され、圧縮器システム112はそれ以上パワー供給されない。次いで、クラッチ110が、駆動軸106とモータ−発電機ユニット102とにタービンシステム114を結合するように係合され、パワーがタービンシステム114からモータ−発電機ユニット102に移送されることが可能になる。貯蔵された圧縮空気をタービンシステム114に送ると、回転パワーがタービンシステム114から供給され、駆動軸106によってモータ−発電機ユニット102に移送される。
【0007】
空気圧縮/膨張システム101の中に駆動軸104、106と、クラッチ108、110と、圧縮器システム112と、タービンシステム114とを含めると、パワーを生成するように機能する一方で、その欠点がないわけではない。例えば、複数の駆動軸104、106と、クラッチ108、110との構成は、多数の部品や多くのスペースを要する。さらには、個々の圧縮器とタービンのシステムを使用すると、それらはそれぞれ、CAESシステム100の単一の動作モード中(すなわち、圧縮動作モードか、または膨張動作モードのいずれか)のみ動作可能なので、このようなユニットのダウンタイムが増大する。したがって、CAESシステム100における圧縮器システム112と、タービンシステム114との構成により、資本経費、運営経費、およびシステム設置面積の増加が運転効率の低下とともに認識される。
【発明の概要】
【0008】
そのため、前述の欠点を克服するシステムおよび方法を設計することが望まれることになる。
【0009】
本発明の実施形態は、圧縮空気エネルギー貯蔵(CAES)システムにおいて空気を圧縮し、膨張させるためのシステムおよび方法を提供する。CAESシステムは、空気を圧縮し、膨張させるための圧縮器−膨張器可逆式ユニットを有する空気圧縮/膨張システムを含む。圧縮器−膨張器可逆式ユニットは、圧縮動作モード中、圧縮器として機能し、膨張動作モード中、膨張器として交互に機能する。
【0010】
本発明の一態様により、圧縮空気エネルギー貯蔵(CAES)システムが、圧縮モードおよび膨張モードで交互に動作可能であり、モータ−発電機ユニットと、モータ−発電機ユニットに、およびモータ−発電機ユニットから回転パワーを伝送するように構成されている、モータ−発電機ユニットに接続された駆動軸とを含む。CAESシステムはまた、駆動軸に結合され、選択的に空気を圧縮し、膨張させるように構成されている少なくとも1つの圧縮器−膨張器可逆式ユニットと、圧縮器−膨張器可逆式ユニットに接続され、それから受けた圧縮空気を貯蔵するように構成されている空気貯蔵ユニットとを含み、少なくとも1つの圧縮器−膨張器可逆式ユニットは、圧縮モード中、空気を圧縮し、膨張モード中、空気を膨張させる。
【0011】
本発明の別の態様により、圧縮空気エネルギー貯蔵(CAES)システムにおいて気体を圧縮し、膨張させるための方法が、圧縮動作段階中、圧縮器−タービン可逆式ユニットに回転パワーを供給するステップであって、回転パワーは、複合型モータ−発電機ユニットから、および駆動軸によって、圧縮器−タービン可逆式ユニットに供給される、ステップを含む。方法はまた、回転パワーに応答して、圧縮動作段階中、圧縮器−タービン可逆式ユニットにおいて空気を圧縮するステップと、所望の時間期間、圧縮空気を空気貯蔵ユニットに貯蔵するステップと、膨張動作段階中、圧縮空気を空気貯蔵ユニットから圧縮器−タービン可逆式ユニットに移送するステップと、膨張動作段階中、圧縮器−タービン可逆式ユニットにおいて圧縮空気を膨張させるステップであって、圧縮器−タービン可逆式ユニットは、移送された圧縮空気によって駆動される、ステップとを含む。方法は、膨張動作段階中、圧縮器−タービン可逆式ユニットによって生成された回転パワーを駆動軸によって複合型モータ−発電機ユニットに移送し、それによって、複合型モータ−発電機ユニットは電力を生成する、ステップをさらに含む。
【0012】
本発明のさらなる別の態様により、圧縮空気エネルギー貯蔵(CAES)システムが、圧縮モードおよび膨張モードで交互に動作可能であり、機械的パワーおよび電気的パワーの両方を生成するように構成されている複合型モータ−発電機ユニットと、モータ−発電機ユニットに接続され、モータ−発電機ユニットに、およびモータ−発電機ユニットから回転パワーを伝送するように構成されている駆動軸とを含む。CAESシステムはまた、駆動軸に固定して結合された圧縮器−膨張器可逆式ユニットと、圧縮器−膨張器可逆式ユニットに接続され、それから受けた圧縮空気を貯蔵するように構成されている空気貯蔵ユニットとを含む。圧縮器−膨張器可逆式ユニットは、クラッチを使用せずに駆動軸に結合され、それにより、圧縮器−膨張器可逆式ユニットは、圧縮モード中、空気を圧縮し、膨張モード中、空気を膨張させるように動作する。
【0013】
他の様々な特徴および利点を以下の詳細な説明および図面から明らかにする。
【0014】
図面は、本発明を実施するために現在企図される好ましい実施形態を示す。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】従来技術で知られている圧縮空気エネルギー貯蔵(CAES)システムのブロック概略図である。
【図2】本発明の実施形態によるCAESシステムのブロック概略図である。
【図3】本発明の実施形態による断熱CAESシステムのブロック概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態によれば、空気を圧縮し、膨張させるための圧縮器−膨張器可逆式ユニットを含む空気圧縮/膨張システムを備える圧縮空気エネルギー貯蔵(CAES)システムが提供される。圧縮器−膨張器可逆式ユニットは、圧縮動作モード中、圧縮器として機能し、膨張動作モード中、膨張器として交互に機能する。
【0017】
図2を参照して、CAESシステム10を本発明の実施形態により示す。CAESシステム10は、例えば、電気的エネルギーなどのエネルギーを選択的に生産するように、操作者によって決定される圧縮モードおよび膨張モードで交互に動作するように構成されている。CAESシステム10は、複合型モータ−発電機ユニット12と、駆動軸14と、1つまたは複数の圧縮器−膨張器可逆式ユニット18を含む空気圧縮/膨張システム16と、空気貯蔵ユニットすなわちキャバーン20とを含む。
【0018】
図2に示すように、空気圧縮/膨張システム16は、2つの圧縮器−膨張器ユニット18を含み、それにより、空気圧縮/膨張システム16は、2段階圧縮/膨張システムとして構成されている。しかし、空気圧縮/膨張システム16は、より多く数の、またはより少ない数の圧縮器−膨張器ユニット18を含み得ることが理解される。したがって、例えば、空気圧縮/膨張システム16は、1つだけの圧縮器−膨張器ユニット18を有する単一の段階システムの形態になり得、または代替として、空気圧縮/膨張システム16は、3つの圧縮器−膨張器ユニット18を有する3段階システムの形態にもなり得る。したがって、本発明の実施形態は、CAESシステム10の設計検討により所望されるように、任意の数の圧縮器−膨張器ユニット18を含むことが可能になる。
【0019】
圧縮器−膨張器可逆式ユニット18はそれぞれ、CAESシステム10の圧縮動作および膨張動作の各モード中、交互に、空気を圧縮し、空気を膨張させるように構成されている。すなわち、圧縮器−膨張器可逆式ユニット18は、圧縮動作モード中、モータ−発電機ユニット12および駆動軸14によって駆動される場合、圧縮器として動作するように構成され、膨張動作モード中、空気貯蔵ユニット20から圧縮空気を供給される場合、膨張器として動作するように構成されている。したがって、圧縮器−膨張器ユニット18は、圧縮動作および膨張動作のそれぞれのモード中、動作している。有益なことに、圧縮器−膨張器ユニット18を頻繁に動作させると、ユニットがほとんど常に「温かい」ので、ユニット始動に関する問題を抑えられる。
【0020】
圧縮器−膨張器可逆式ユニット18が、圧縮動作および膨張動作のそれぞれのモード中に動作しているとき、圧縮器−膨張器ユニットは、クラッチレスの構成で、駆動軸14に結合される。圧縮器−膨張器可逆式ユニット18は、圧縮動作モード中、モータ−発電機ユニット12および駆動軸14によって駆動される場合、圧縮器として動作するように構成され、膨張動作モード中、空気貯蔵ユニット20から圧縮空気を供給される場合、膨張器として動作するように構成されているので、ユニット18を駆動軸14に選択的に結合し、分断するクラッチは必要でない。したがって、圧縮器−膨張器可逆式ユニット18によってもたらされたクラッチレス構成は、CAESシステム10における空気圧縮/膨張システム16の動作を単純化し、ユニットの製造費用、メンテナンス費用など、空気圧縮/膨張システム16と関連する資本経費および運営経費の費用が低減する。空気圧縮/膨張システム16において圧縮器−膨張器可逆式ユニット18を使用することにより、個々の圧縮器とタービンのユニットを含むシステムと比較すると、システムの全体的な設置面積もまた抑えられる。
【0021】
本発明の実施形態によれば、圧縮器−膨張器可逆式ユニット18は、いくつかの形態のうちの1つを採用してよい。例えば、圧縮器−膨張器可逆式ユニット18は、放射型圧縮器−膨張器ユニットとして、または軸流型圧縮器−膨張器ユニットとして構成可能である。圧縮器−膨張器可逆式ユニット18はまた、スクリュー型圧縮器−膨張器ユニットとして、またはピストン型圧縮器−膨張器ユニットとしても構成可能である。CAESシステム10に含まれる圧縮器−膨張器可逆式ユニット18は、ほぼ200〜300MWの範囲のパワー生成に対応するような大きさである。
【0022】
さらに図2を参照して、CAESシステム10の圧縮動作モード中、モータ−発電機ユニット12は、それからパワーを受けるようにベースロードパワー源(図示せず)に電気的に接続されている。電気的パワーを入力することにより、モータ−発電機ユニット12はモータモードで動作し、それによって、電気的パワーに応答して、回転パワーの機械的出力を生成する。回転パワーは、駆動軸14に移送され、したがって、駆動軸が回転する。したがって、圧縮器−膨張器ユニット18は、それへ供給された空気を圧縮するように回転パワーによって駆動される。図2の実施形態によれば、空気は、第1の圧縮器−膨張器ユニット22によって低圧に圧縮され、続いて、流体的にユニット同士を接続する圧縮−膨張経路26によって第2の圧縮器−膨張器ユニット24に沿って送られる。さらに、空気は、第2の圧縮器−膨張器ユニット24によって高圧に圧縮され、次いで、後の使用に向けて空気貯蔵ユニット20に圧縮−膨張経路26を通って移送される。
【0023】
本実施形態によれば、圧縮空気は、空気貯蔵ユニット20に貯蔵される前に、いくつかの冷却用ユニット28を通って送られ、冷却用ユニットは、キャバーンの貯蔵の前に圧縮空気から熱を取り除く。冷却用ユニット28は、それぞれの圧縮段階の後に、空気を冷却するように、第1の圧縮器−膨張器ユニット22および第2の圧縮器−膨張器ユニット24のそれぞれから下流に位置付けられる。
【0024】
CAESシステム10が膨張動作モードで動作することが望ましい場合、モータ−発電機ユニット12への電気的パワーは停止され、空気は、空気貯蔵ユニット20から膨張に向けて回収される。貯蔵ユニット20から回収されたすでに圧縮済みの空気は、圧縮−膨張経路26に供給され、それを通って第2の圧縮器−膨張器ユニット24に移る。圧縮空気により、第2の圧縮器−膨張器ユニット24は膨張器/タービンとして働くことになり、したがって、空気は、第2の圧縮器−膨張器ユニット24によって高圧からより低圧に(すなわち、「低」圧)に膨張する。次いで、空気は、第1の圧縮器−膨張器ユニット22によって受けられるように、圧縮−膨張経路26の通過を継続する。第1の圧縮器/膨張器ユニット22は、低圧の圧縮空気によって駆動され、膨張器/タービンとして機能して、さらに空気を膨張させる。第1の圧縮器−膨張器ユニット22および第2の圧縮器−膨張器ユニット24のそれぞれにおける圧縮空気の膨張は、回転パワーを生成する。回転パワーは駆動軸14に移送され、駆動軸は回転パワーを受け、このパワーをモータ−発電機ユニット12に移送する。モータ−発電機ユニット12は、膨張動作モード中、発電機モードで動作し、したがって、タービンシステム22からの受信した回転パワー出力に応答して電気的パワーを生成する。
【0025】
本実施形態によれば、圧縮空気は、第1の圧縮器−膨張器ユニット22および第2の圧縮器−膨張器ユニット24によって膨張する前に、熱を圧縮空気に加えるいくつかの加熱用ユニットすなわち燃焼器30を通って送られる。加熱用ユニット30は、それぞれの膨張段階の前に、圧縮空気を加熱するように、第1の圧縮器−膨張器ユニット22および第2の圧縮器−膨張器ユニットのそれぞれから上流に位置付けられる。
【0026】
次に、図3を参照して、断熱圧縮空気エネルギー貯蔵(ACAES)システム32のブロック概略図を本発明の実施形態により示す。ACAESシステム32は、例えば、電気的エネルギーなどのエネルギーを選択的に生産するように、操作者によって決定される圧縮モードおよび膨張モードで交互に動作するように構成されている。ACAESシステム32は、複合型モータ−発電機ユニット12と、駆動軸14と、1つまたは複数の圧縮器−膨張器可逆式ユニット18を含む空気圧縮/膨張システム16と、空気貯蔵ユニットすなわちキャバーン20と、圧縮動作モード中および膨張動作モード中、空気を加熱し、冷却するための1つまたは複数の熱エネルギー貯蔵(TES)ユニット34とを含む。
【0027】
図3に示すように、空気圧縮/膨張システム16は、2つの圧縮器−膨張器ユニット18を含み、それにより、空気圧縮/膨張システム16は、2段階圧縮/膨張システムとして構成されている。しかし、空気圧縮/膨張システム16は、より多く数の、またはより少ない数の圧縮器−膨張器ユニット18を含み得ることが理解される。圧縮器−膨張器可逆式ユニット18はそれぞれ、ACAESシステム32の圧縮動作および膨張動作の各モード中、交互に、空気を圧縮し、空気を膨張させるように構成されている。すなわち、圧縮器−膨張器可逆式ユニット18は、圧縮動作モード中、モータ−発電機ユニット12および駆動軸14によって駆動される場合、圧縮器として動作するように構成され、膨張動作モード中、空気貯蔵ユニット20から圧縮空気を供給される場合、膨張器として動作するように構成されている。したがって、圧縮器−膨張器ユニット18は、圧縮動作および膨張動作のそれぞれのモード中、動作している。
【0028】
ACAESシステム32の圧縮動作モード中、モータ−発電機ユニット12は、それからパワーを受けるようにベースロードパワー源(図示せず)に電気的に接続されている。電気的パワーを入力することにより、モータ−発電機ユニット12はモータモードで動作し、それによって、電気的パワーに応答して、回転パワーの機械的出力を生成する。回転パワーは、駆動軸14に移送され、したがって、駆動軸が回転する。したがって、圧縮器−膨張器ユニット18は、それへ供給された空気を圧縮するように回転パワーによって駆動される。図3の実施形態によれば、空気は、第1の圧縮器−膨張器ユニット22によって低圧に圧縮され、続いて、流体的にユニット同士を接続する圧縮−膨張経路26によって第2の圧縮器−膨張器ユニット24に沿って送られる。さらに、空気は、第2の圧縮器−膨張器ユニット24によって高圧に圧縮され、次いで、後の使用に向けて空気貯蔵ユニット20に圧縮−膨張経路26を通って移送される。
【0029】
また、ACAESシステム32の圧縮動作モード中、空気は、それぞれの圧縮段階の後に、TESユニット34を通って送られる。TESユニット34は、圧縮動作モード中、圧縮−膨張経路を通過する空気を冷却する(すなわち、熱を取り除く)ように機能する。TESユニット34は、その中に、空気貯蔵ユニット20に貯蔵する前の圧縮段階中に生成された圧縮熱を貯蔵するのに十分な量の熱貯蔵材料から構成される熱フィル36を含み、貯蔵された熱は、後に、ACAESシステム32の膨張動作の段階/モード中、圧縮空気に搬送して戻される。
【0030】
膨張動作モード中、空気は、空気貯蔵ユニット20から膨張に向けて回収される。貯蔵ユニット20から回収されたすでに圧縮済みの空気は、圧縮−膨張経路26に供給され、それを通って第2の圧縮器−膨張器ユニット24に移る。圧縮空気により、第2の圧縮器−膨張器ユニット24は膨張器/タービンとして働くことになり、したがって、空気は、第2の圧縮器−膨張器ユニット24によって高圧からより低圧に(すなわち、「低」圧)に膨張する。次いで、空気は、第1の圧縮器−膨張器ユニット22によって受けられるように、圧縮−膨張経路26の通過を継続する。第1の圧縮器−膨張器ユニット22は、低圧の圧縮空気によって駆動され、膨張器−タービンとして機能して、さらに空気を膨張させる。第1の圧縮器−膨張器ユニット22および第2の圧縮器−膨張器ユニット24のそれぞれにおける圧縮空気の膨張は、回転パワーを生成する。回転パワーは駆動軸14に移送され、駆動軸は回転パワーを受け、このパワーをモータ−発電機ユニット12に移送する。モータ−発電機ユニット12は、膨張動作モード中、発電機モードで動作し、したがって、タービンシステム22からの受信した回転パワー出力に応答して電気的パワーを生成する。
【0031】
また、ACAESシステム32の膨張動作モード中、空気は、それぞれの膨張段階の前に、TESユニット34を通って送られる。TESユニット34は、膨張動作モード中、圧縮−膨張経路26を通過する空気を加熱するように機能する。圧縮動作モード中に生成されたTESユニット34に貯蔵された熱は、ACAESシステム32の膨張動作モード中、それを通過して戻るとき、圧縮空気に追加して戻される。
【0032】
そのため、本発明の一実施形態によれば、圧縮空気エネルギー貯蔵(CAES)システムは、圧縮モードおよび膨張モードで交互に動作可能であり、モータ−発電機ユニットと、モータ−発電機ユニットに、およびモータ−発電機ユニットから回転パワーを伝送するように構成されている、モータ−発電機ユニットに接続された駆動軸とを含む。CAESシステムはまた、駆動軸に結合され、選択的に空気を圧縮し、膨張させるように構成されている少なくとも1つの圧縮器−膨張器可逆式ユニットと、圧縮器−膨張器可逆式ユニットに接続され、それから受けた圧縮空気を貯蔵するように構成されている空気貯蔵ユニットとを含み、少なくとも1つの圧縮器−膨張器可逆式ユニットは、圧縮モード中、空気を圧縮し、膨張モード中、空気を膨張させる。
【0033】
本発明の別の実施形態によれば、圧縮空気エネルギー貯蔵(CAES)システムにおいて気体を圧縮し、膨張させるための方法が、圧縮動作段階中、圧縮器−タービン可逆式ユニットに回転パワーを供給するステップであって、回転パワーは、複合型モータ−発電機ユニットから、および駆動軸によって、圧縮器−タービン可逆式ユニットに供給される、ステップを含む。方法はまた、回転パワーに応答して、圧縮動作段階中、圧縮器−タービン可逆式ユニットにおいて空気を圧縮するステップと、所望の時間期間、圧縮空気を空気貯蔵ユニットに貯蔵するステップと、膨張動作段階中、圧縮空気を空気貯蔵ユニットから圧縮器−タービン可逆式ユニットに移送するステップと、膨張動作段階中、圧縮器−タービン可逆式ユニットにおいて圧縮空気を膨張させるステップであって、圧縮器−タービン可逆式ユニットは、移送された圧縮空気によって駆動される、ステップとを含む。方法は、膨張動作段階中、圧縮器−タービン可逆式ユニットによって生成された回転パワーを駆動軸によって複合型モータ−発電機ユニットに移送し、それによって、複合型モータ−発電機ユニットは電力を生成する、ステップをさらに含む。
【0034】
本発明のさらなる別の実施形態によれば、圧縮空気エネルギー貯蔵(CAES)システムが、圧縮モードおよび膨張モードで交互に動作可能であり、機械的パワーおよび電気的パワーの両方を生成するように構成されている複合型モータ−発電機ユニットと、モータ−発電機ユニットに接続され、モータ−発電機ユニットに、およびモータ−発電機ユニットから回転パワーを伝送するように構成されている駆動軸とを含む。CAESシステムはまた、駆動軸に固定して結合された圧縮器−膨張器可逆式ユニットと、圧縮器−膨張器可逆式ユニットに接続され、それから受けた圧縮空気を貯蔵するように構成されている空気貯蔵ユニットとを含む。圧縮器−膨張器可逆式ユニットは、クラッチを使用せずに駆動軸に結合され、それにより、圧縮器−膨張器可逆式ユニットは、圧縮モード中、空気を圧縮し、膨張モード中、空気を膨張させるように動作する。
【0035】
この記述した記載は、例を使用して、最良のモードを含めた本発明を開示し、ならびにまた任意の装置またはシステムを製造し、使用すること、および任意の組み込まれた方法を実行することを含めた本発明を当業者が実施することを可能にする。本発明の特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって定義され、当業者が思い付く他の例を含んでよい。他のこのような例は、それらが特許請求の範囲の文字言語と異ならない構造要素を有する場合、またはそれらが特許請求の範囲の文字言語との非実質的相違を有する等価な構造要素を含む場合、特許請求の範囲の範囲内にあると意図される。
【符号の説明】
【0036】
10 CAESシステム
12 複合型モータ−発電機ユニット
14 駆動軸
16 空気圧縮/膨張システム
18 圧縮器−膨張器可逆式ユニット
20 キャバーン
22 圧縮器−膨張器ユニット
24 圧縮器−膨張器ユニット
26 圧縮−膨張経路
28 冷却用ユニット
30 燃焼器
32 断熱圧縮空気エネルギー貯蔵(ACAES)システム
34 熱エネルギー貯蔵(TES)ユニット
100 圧縮空気エネルギー貯蔵(CAES)システム
101 空気圧縮/膨張システム101
102 複合型モータ−発電機ユニット
104 駆動軸
106 駆動軸
108 クラッチ
110 クラッチ
112 圧縮器システム
114 タービンシステム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮モードおよび膨張モードで交互に動作可能な圧縮空気エネルギー貯蔵(CAES)システムであって、
モータ−発電機ユニットと、
前記モータ−発電機ユニットに接続され、前記モータ−発電機ユニットに、および前記モータ−発電機ユニットから回転パワーを伝送するように構成されている駆動軸と、
前記駆動軸に結合され、選択的に空気を圧縮し、膨張させるように構成されている少なくとも1つの圧縮器−膨張器可逆式ユニットと、
前記圧縮器−膨張器可逆式ユニットに接続され、それから受けた圧縮空気を貯蔵するように構成されている空気貯蔵ユニットとを備え、
前記少なくとも1つの圧縮器−膨張器可逆式ユニットは、前記圧縮モード中、空気を圧縮し、前記膨張モード中、空気を膨張させる、
CAESシステム。
【請求項2】
前記圧縮器−膨張器可逆式ユニットは、前記駆動軸によって駆動される場合、圧縮器として動作するように構成されている、請求項1記載のCAESシステム。
【請求項3】
前記圧縮器−膨張器可逆式ユニットは、前記空気貯蔵ユニットから圧縮空気が供給される場合、膨張器として動作するように構成されている、請求項1記載のCAESシステム。
【請求項4】
前記圧縮器−膨張器可逆式ユニットは、放射型圧縮器−膨張器ユニットを備える、請求項1記載のCAESシステム。
【請求項5】
前記圧縮器−膨張器可逆式ユニットは、軸流型圧縮器−膨張器ユニットを備える、請求項1記載のCAESシステム。
【請求項6】
前記圧縮器−膨張器可逆式ユニットは、スクリュー型圧縮器−膨張器ユニットを備える、請求項1記載のCAESシステム。
【請求項7】
前記圧縮器−膨張器可逆式ユニットは、ピストン型圧縮器−膨張器ユニットを備える、請求項1記載のCAESシステム。
【請求項8】
前記少なくとも1つの圧縮器−膨張器可逆式ユニットは、
第1の圧縮器−膨張器可逆式ユニットと、
第2の圧縮器−膨張器可逆式ユニットとを備え、
前記第1および前記第2の圧縮器−膨張器可逆式ユニットは、2段階圧縮/膨張システムを形成するように、圧縮−膨張経路によって流体的に接続されている、
請求項1記載のCAESシステム。
【請求項9】
少なくとも1つの熱エネルギー貯蔵(TES)ユニットをさらに備え、それにより、前記CAESシステムは、断熱CAESシステムとして構成される、請求項1記載のCAESシステム。
【請求項10】
前記少なくとも1つの圧縮器−膨張器可逆式ユニットは、クラッチレス構成で、前記駆動軸に固定して結合されている、請求項1記載のCAESシステム。
【請求項11】
圧縮空気エネルギー貯蔵(CAES)システムにおいて気体を圧縮し、膨張させるための方法において、
圧縮動作段階中、圧縮器−タービン可逆式ユニットに回転パワーを供給するステップであって、前記回転パワーは、複合型モータ−発電機ユニットから、および駆動軸によって、前記圧縮器−タービン可逆式ユニットに供給される、ステップと、
前記回転パワーに応答して、圧縮動作段階中、前記圧縮器−タービン可逆式ユニットにおいて空気を圧縮するステップと、
所望の時間期間、前記圧縮空気を空気貯蔵ユニットに貯蔵するステップと、
膨張動作段階中、前記圧縮空気を前記空気貯蔵ユニットから前記圧縮器−タービン可逆式ユニットに移送するステップと、
前記膨張動作段階中、前記圧縮器−タービン可逆式ユニットにおいて前記圧縮空気を膨張させるステップであって、前記圧縮器−タービン可逆式ユニットは、前記移送された圧縮空気によって駆動される、ステップと、
前記膨張動作段階中、前記圧縮器−タービン可逆式ユニットによって生成された前記回転パワーを前記駆動軸によって前記複合型モータ−発電機ユニットに移送し、それによって、前記複合型モータ−発電機ユニットは電力を生成する、ステップと
を含む、方法。
【請求項12】
前記圧縮器−タービン可逆式ユニットにおいて空気を圧縮するステップは、放射型圧縮器−膨張器ユニットにおいて空気を圧縮するステップを含む、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記圧縮器−タービン可逆式ユニットにおいて空気を圧縮するステップは、軸流型圧縮器−膨張器ユニットにおいて空気を圧縮するステップを含む、請求項11記載の方法。
【請求項14】
前記圧縮器−タービン可逆式ユニットにおいて空気を圧縮するステップは、スクリュー型圧縮器−膨張器において空気を圧縮するステップを含む、請求項11記載の方法。
【請求項15】
前記圧縮器−タービン可逆式ユニットにおいて空気を圧縮するステップは、ピストン型圧縮器−膨張器ユニットにおいて空気を圧縮するステップを含む、請求項11記載の方法。
【請求項16】
前記圧縮器−タービン可逆式ユニットにおいて空気を圧縮し、膨張させるステップは、
前記圧縮動作段階中および前記膨張動作段階中にそれぞれ、第1の圧縮器−膨張器可逆式ユニットにおいて空気を圧縮し、膨張させるステップと、
前記圧縮動作段階中および前記膨張動作段階中にそれぞれ、第2の圧縮器−膨張器可逆式ユニットにおいて空気を圧縮し、膨張させるステップと
を含む、請求項11記載の方法。
【請求項17】
圧縮モードおよび膨張モードで交互に動作可能な圧縮空気エネルギー貯蔵(CAES)システムであって、
機械的パワーおよび電気的パワーの両方を生成するように構成されている複合型モータ−発電機ユニットと、
前記モータ−発電機ユニットに接続され、前記モータ−発電機ユニットに、および前記モータ−発電機ユニットから回転パワーを伝送するように構成されている駆動軸と、
前記駆動軸に固定して結合された圧縮器−膨張器可逆式ユニットと、
前記圧縮器−膨張器可逆式ユニットに接続され、それから受けた圧縮空気を貯蔵するように構成されている空気貯蔵ユニットとを備え、
前記圧縮器−膨張器可逆式ユニットは、クラッチを使用せずに前記駆動軸に結合され、それにより、前記圧縮器−膨張器可逆式ユニットは、前記圧縮モード中、空気を圧縮し、前記膨張モード中、空気を膨張させるように動作する、
CAESシステム。
【請求項18】
前記圧縮器−膨張器可逆式ユニットは、前記圧縮動作モード中、前記駆動軸によって駆動される場合、圧縮器として動作するように構成されている、請求項17記載のCAESシステム。
【請求項19】
前記圧縮器−膨張器可逆式ユニットは、前記空気貯蔵ユニットから圧縮空気を供給される場合、膨張器として動作するように構成されている、請求項17記載のCAESシステム。
【請求項20】
前記圧縮器−膨張器可逆式ユニットは、放射型圧縮器−膨張器ユニット、軸流型圧縮器−膨張器ユニット、スクリュー型圧縮器−膨張器、およびピストン型圧縮器−膨張器ユニットのうちの1つを備える、請求項17記載のCAESシステム。
【請求項21】
少なくとも1つの追加の圧縮器−膨張器可逆式ユニットを備え、それにより、前記圧縮器−膨張器可逆式ユニットと、前記少なくとも1つの追加の圧縮器−膨張器可逆式ユニットとは、複数段階の空気圧縮/膨張システムを形成する、請求項17記載のCAESシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2013−509529(P2013−509529A)
【公表日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−536810(P2012−536810)
【出願日】平成22年9月13日(2010.9.13)
【国際出願番号】PCT/US2010/048586
【国際公開番号】WO2011/056296
【国際公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)