説明

圧縮機

【課題】圧縮機構が軸方向へ振動することを防ぐ。
【解決手段】密閉ケーシング3の内部には、駆動機構4及び圧縮機構5が軸方向に上下に並んで配置されている。駆動機構4と圧縮機構5との間には、支持部材9が設けられている。駆動機構4は、ステータ40a、ロータ40b及びシャフト41を有している。圧縮機構5は、シリンダ50と、シリンダ50の軸方向両端に配置されるフロントヘッド60及びリアヘッド70とを有している。シリンダ50は、その径方向外側において、胴部31に固定されている。支持部材9の上端はステータ40aのインシュレータ143に当接していると共に、支持部材9の下端はフロントヘッド60に当接している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷媒を圧縮するための圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
圧縮機は、特許文献1に示すように、ケーシングの内部に上下に並んで配置された駆動機構及び圧縮機構を有しているものが一般的である。そして、この圧縮機の圧縮機構は、圧縮室が形成されたシリンダと、その両端に配置されたフロントヘッド(主軸受部材)及びリアヘッド(副軸受部材)とを有しており、シリンダの径方向外側において、ケーシングにスポット溶接により固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−318170号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した圧縮機では、ケーシングの内部において、圧縮機構から吐出されたガスは圧力脈動を有しており、その圧力脈動によって、圧縮機構が軸方向(上下方向)に振動するという問題がある。特に、上記の圧力脈動の周波数と、圧縮機構を構成する部材(フロントヘッド、シリンダ及びリアヘッドなど)の固有周波数とが一致した場合、共振が発生して、圧縮機構が軸方向に大きく振動してしまう。
【0005】
そこで、本発明は、圧縮機構が軸方向に振動するのを抑制することができる圧縮機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明に係る圧縮機は、駆動機構と、前記駆動機構により駆動される圧縮機構とが、ケーシング内において軸方向に並んで配置されており、前記圧縮機構は、その径方向外側において前記ケーシングに固定されると共に、前記駆動機構側から支持される。
【0007】
この圧縮機では、圧縮機構が駆動機構側から支持されており、圧縮機構が駆動機構側へ移動しないように構成されている。したがって、圧縮機構が、軸方向に振動するのを抑制することができる。
【0008】
第2の発明に係る圧縮機は、第1の発明に係る圧縮機において、前記ケーシング内において前記圧縮機構と前記駆動機構との間に設けられた支持部材を備え、前記支持部材は、その一端が前記駆動機構に当接し且つ他端が前記圧縮機構に当接することによって、前記圧縮機構を支持する。
【0009】
この圧縮機では、圧縮機構を支持するための構成を容易に構成できる。
【0010】
第3の発明に係る圧縮機は、第2の発明に係る圧縮機において、前記支持部材は、環状の部材である。
【0011】
この圧縮機では、支持部材が環状の部材であるため、圧縮機構を安定した状態で支持することができる。
【0012】
第4の発明に係る圧縮機は、第2又は第3の発明において、前記支持部材は、前記圧縮機構において圧縮された冷媒が吐出されるマフラー空間を形成する。
【0013】
この圧縮機では、別のマフラー部材を用いることなく、支持部材によってマフラー部材を兼用できる。
【0014】
第5の発明に係る圧縮機は、第2〜第4のいずれかの発明において、前記支持部材は、弾性を有する部分を有している。
【0015】
この圧縮機では、支持部材によって圧縮機構に作用する力を吸収することができるので、圧縮機構が軸方向に振動することをより一層抑制することができる。
【0016】
第6の発明に係る圧縮機は、第1の発明に係る圧縮機において、前記駆動機構は、ロータと、前記ロータの周囲に配置されたステータと、前記ステータの前記圧縮機構側の端部に配置された環状の絶縁部材とを有しており、前記絶縁部材は、その先端が前記圧縮機構に当接することによって、前記圧縮機構を支持する。
【0017】
この圧縮機では、圧縮機構を支持するための構成を、支持部材などの部品を用いることなく構成できる。
【0018】
第7の発明に係る圧縮機は、第6の発明において、前記絶縁部材は、前記圧縮機構において圧縮された冷媒が吐出されるマフラー空間を形成する。
【0019】
この圧縮機では、別のマフラー部材を用いることなく、絶縁部材によってマフラー部材を兼用できる。
【0020】
第8の発明に係る圧縮機は、第6又は第7の発明において、前記絶縁部材は、弾性を有する部分を有している。
【0021】
この圧縮機では、絶縁部材によって圧縮機構に作用する力を吸収することができるので、圧縮機構が軸方向に振動することをより一層抑制することができる。
【0022】
第9の発明に係る圧縮機は、第1〜第8の発明において、前記圧縮機構は、前記ケーシングの前記駆動機構と反対側に向かって押圧された状態で前記ケーシング内の前記駆動機構側から支持される。
【0023】
この圧縮機では、圧縮機構が駆動機構と反対側に向かって押圧された状態で駆動機構側から支持されており、圧縮機構が駆動機構側へ移動しないと共に、駆動機構と反対側へ移動しないように構成されている。したがって、圧縮機構が、軸方向に振動するのを効果的に抑制することができる。
【発明の効果】
【0024】
以上の説明に述べたように、本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0025】
第1の発明では、圧縮機構が駆動機構側から支持されており、圧縮機構が駆動機構側へ移動しないように構成されている。したがって、圧縮機構が、軸方向に振動するのを抑制することができる。
【0026】
第2の発明では、圧縮機構を支持するための構成を容易に構成できる。
【0027】
第3の発明では、支持部材が環状の部材であるため、圧縮機構を安定した状態で支持することができる。
【0028】
第4の発明では、別のマフラー部材を用いることなく、支持部材によってマフラー部材を兼用できる。
【0029】
第5の発明では、支持部材によって圧縮機構に作用する力を吸収することができるので、圧縮機構が軸方向に振動することをより一層抑制することができる。
【0030】
第6の発明では、圧縮機構を支持するための構成を、支持部材などの部品を用いることなく構成できる。
【0031】
第7の発明では、別のマフラー部材を用いることなく、絶縁部材によってマフラー部材を兼用できる。
【0032】
第8の発明では、絶縁部材によって圧縮機構に作用する力を吸収することができるので、圧縮機構が軸方向に振動することをより一層抑制することができる。
【0033】
第9の発明では、圧縮機構が駆動機構と反対側に向かって押圧された状態で駆動機構側から支持されており、圧縮機構が駆動機構側へ移動しないと共に、駆動機構と反対側へ移動しないように構成されている。したがって、圧縮機構が、軸方向に振動するのを効果的に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の第1実施形態に係る圧縮機の概略断面図である。
【図2】図1に示した密閉ケーシングの内部の構成を示した図である。
【図3】(a)は、図1に示したインシュレータの平面模式図であり、(b)はインシュレータの斜視図である。
【図4】図1に示した圧縮機のシリンダの断面図であって、図1のIV−IV線に沿った断面図である。
【図5】図1に示した圧縮機のフロントヘッドの上面図である。
【図6】(a)は図1に示した支持部材の平面図であり、(b)は支持部材の斜視図である。
【図7】圧縮機構を支持するための構成を示した図である。
【図8】図1に示した圧縮機を組み立てる工程を示した模式図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係る圧縮機の概略断面図である。
【図10】図9に示した密閉ケーシングの内部の構成を示した図である。
【図11】(a)は、図9に示したインシュレータの平面模式図であり、(b)はインシュレータの斜視図である。
【図12】圧縮機構を支持するための構成を示す図である。
【図13】図9に示した圧縮機を組み立てる工程を示した模式図である。
【図14】本発明の第3実施形態に係る圧縮機の概略断面図である。
【図15】本発明の第4実施形態に係る圧縮機の概略断面図である。
【図16】図15に示した密閉ケーシングの内部の構成を示す図である。
【図17】(a)は図15に示した支持部材の平面図であり、(b)は支持部材の斜視図である。
【図18】本発明の第5実施形態に係る圧縮機の概略断面図である。
【図19】本発明の第6実施形態に係る圧縮機の概略断面図である。
【図20】図19に示した密閉ケーシングの内部の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態について説明する。
【0036】
本実施形態は、1シリンダ型のロータリ圧縮機に本発明を適用した一例である。図1に示すように、本実施形態の圧縮機1は、アキュムレータ2と、密閉ケーシング(ケーシング)3と、密閉ケーシング3内に配置された駆動機構4および圧縮機構5を備えている。なお、図1では、駆動機構4の断面を示すハッチングを省略して表示している。また、図1の上下方向を単に上下方向として、以下に、圧縮機1について説明する。
【0037】
この圧縮機1は、例えば、空調装置などの冷凍サイクルに組み込まれて使用される。圧縮機1では、アキュムレータ2の入口管2aから導入された冷媒(本実施形態では、R410A)は、吸入管6から密閉ケーシング3内に導入され、圧縮機構5で圧縮された後、排出管7から排出される。
【0038】
密閉ケーシング3は、略円筒形状の胴部31と、トップ32と、ボトム33とを有している。胴部31は、上下方向に延在するとともに上端及び下端が開口した部材である。トップ32は、胴部31の上端の開口を塞ぐ部材であって、ボトム33は、胴部31の下端の開口を塞ぐ部材である。トップ32は、胴部31の上端の内側面に固定され、ボトム33は、胴部31の下端の内周面に固定されている。よって密閉ケーシング3の内部に、胴部31、トップ32及びボトム33によって囲まれた密閉空間が形成されている。
【0039】
トップ32には、圧縮された冷媒を排出するための排出管7と、駆動機構4の後述するステータ40aのコイルに電流を供給するためのターミナル端子8が設けられている。また、胴部31には、アキュムレータ2から圧縮機1へ冷媒を導入するための吸入管6が設けられている。また、密閉ケーシング3の底部には、圧縮機構5の摺動部の動作を滑らかにするための潤滑油Lが貯留されている。
【0040】
密閉ケーシング3の内部には、駆動機構4と圧縮機構5とが、上下方向(軸方向)に並んで配置されている。駆動機構4は、密閉ケーシング3の内部の上端側に配置されており、圧縮機構5は、密閉ケーシング3の内部の下端側に配置されている。また、密閉ケーシング3の内部には、駆動機構4と圧縮機構5との間に配置された支持部材9が設けられている。したがって、密閉ケーシング3の内部には、上方から順に、駆動機構4、支持部材9、圧縮機構5が並んで配置されている。
【0041】
駆動機構4は、圧縮機構5を駆動するものであって、駆動源となるモータ40と、モータ40に取り付けられたシャフト41とから構成されている。モータ40は、密閉ケーシング3の内周面に固定された略円環状のステータ40aと、このステータ40aの径方向内側にエアギャップを介して配置されるロータ40bとを備えている。
【0042】
ここで、図2及び図3を参照しつつ、駆動機構4の構成について詳細に説明する。
【0043】
図2に示すように、ステータ40aは、集中巻き方式のものであって、コア140と、コイル141と、コア140の上端(圧縮機構5と反対側)に配置されたインシュレータ142と、コア140の下端(圧縮機構5側)に配置されたインシュレータ(絶縁部材)143とを有している(図1参照)。
【0044】
コア140は、積層された複数の鋼板からなり、密閉ケーシング3の胴部31に焼き嵌め等により嵌め込まれる。コア140は、その周方向に沿って設けられた環状部と、環状部からコア140の径方向内側に突出した6個のティース部(図示せず)とを有する。6個のティース部は、コア140の周方向に等間隔に配置されている。
【0045】
コイル141は、コア140のティース部に、インシュレータ142及びインシュレータ143によりティース部を上下方向から挟んだ状態で巻回されている。コイル141は、複数のティース部に渡って巻回されている。
【0046】
インシュレータ142,143は、コア140とコイル141とを絶縁する絶縁部材である。インシュレータ142と、インシュレータ143とは、略同一の構成である。そのため、以下においては、インシュレータ143について説明し、インシュレータ142の説明を省略する。
【0047】
図3(a)及び(b)に示すように、インシュレータ143は、コア140の6個のティース部にそれぞれ積層される6個の突出部145a〜145fと、6個の突出部145a〜145fの径方向外側に配置された略環状の外壁部146と、突出部145a〜145fの各々の径方向内側に配置された内壁部147a〜147fとを有している。外壁部146及び内壁部147a〜147fは、下方に向けて(コア140と反対側に)延在しており、コア140のティース部及び突出部145a〜145fに巻き回されたコイル141が崩れることを防ぐ。なお、図3(a)では、外壁部146及び内壁部147a〜147fにハッチングを付して表示している。
【0048】
突出部145a〜145fは、外壁部146の周方向に、等間隔に配置されている。
【0049】
外壁部146は、周方向に沿って等間隔に並んで配置された壁部146a〜146fを有している。壁部146a〜146fは、略環状に配置されており、外壁部146全体で略環状に形成されている。隣り合う壁部146a〜146fの間には、それぞれ、隙間が形成されている。
【0050】
内壁部147a〜147fは、それぞれ、略半円形状に形成されていると共に、隙間を空けて周方向に並んでいる。
【0051】
ロータ40bは、図示しない永久磁石を有しており、図2に示すように、略中央部に形成された貫通孔に、シャフト41の上端部が挿入されている。ステータ40aのコイル141に電流を流すことによって電磁力が発生し、ロータ40bが回転する。
【0052】
シャフト41は、モータ40の駆動力を圧縮機構5に伝達するものであって、ロータ40bの内周面に固定されており、ロータ40bと一体的に回転する。シャフト41は、図1に示すように、後述する圧縮室51内となる位置に設けられた偏心部41aを有している。偏心部41aには、圧縮機構5の後述するローラ81(図4参照)が装着されている。
【0053】
図1に示すように、圧縮機構5は、圧縮室51が形成されたシリンダ50と、圧縮室51の上端を閉塞したフロントヘッド60と、圧縮室51の下端を閉塞したリアヘッド70とを備えている。シリンダ50は、フロントヘッド60及びリアヘッド70とともにボルトにより固定されている。また、シリンダ50は、その径方向外側において、スポット溶接によって複数の位置で密閉ケーシング3の胴部31に固定されている。
【0054】
図4に示すように、シリンダ50は、略円環状の部材である。シリンダ50には、上述したように圧縮室51と、圧縮室51内に冷媒を導入するための吸入孔52と、圧縮室51と連通したブレード収容部53が形成されている。また、シリンダ50には、上下方向に貫通する複数の油戻し孔54が周方向に並んで形成されている。そして、シリンダ50の内部には、ローラ81と、ローラ81の外周面から突出したブレード82とを有するピストン80が配置されている。
【0055】
ブレード収容部53は、圧縮室51の径方向に延在しており、吸入孔52とフロントヘッド60に形成された吐出孔60aとの間に形成されている。ブレード収容部53内には、周方向に揺動可能な一対のブッシュ55が配置されており、ブレード82が一対のブッシュ55間に対して進退可能に設けられている。
【0056】
図1及び図5に示すように、フロントヘッド60は、略円環状の部材であって、シャフト41が回転可能に内挿される軸受け孔61aが形成された環状円盤状の本体部61と、軸受け孔61aを囲むように本体部61から下方に突出した円筒状のボス部62とから構成されている。本体部61には、圧縮室51で圧縮された冷媒を圧縮機構5外へ吐出するための吐出孔60aと、フロントヘッド60をシリンダ50及びリアヘッド70とともに固定するボルト孔60b,60cが形成されている。
【0057】
本体部61の上面には、凹部61bが形成されており、凹部61b内には、圧縮室51内の圧力に応じて吐出孔60aを開閉する弁機構63が取り付けられている。弁機構63は、吐出孔60aの出口を開閉する吐出弁63aと、吐出弁63aの上方に配置され、吐出弁63aの開放を規制する弁押さえ部材63bとを有している。吐出弁63a及び弁押さえ部材63bは、ボルト64により本体部61に固定されている。
【0058】
続いて、図2、図6及び図7を参照しつつ、支持部材9の構成を詳細に説明する。
【0059】
図2及び図6に示すように、支持部材9は、略円筒状の環状部材である。支持部材9の内径はフロントヘッド60のボス部62の外径より大きいと共に、支持部材9の外径はフロントヘッド60の本体部61の外径より小さい。
【0060】
支持部材9の上端部には、上面から下方向に凹んだ逆半円形状の6個の溝90a〜90fが形成されている。溝90a〜90fは、それぞれ、インシュレータ143の内壁部147a〜147fと略同一の形状に形成されている(図3(b)参照)。また、溝90a〜90fは、内壁部147a〜147fに対応する位置に周方向に並んで配置されている。溝90a〜90fの間には、それぞれ、上方に向けて突出した突出部91a〜91fが形成されている。突出部91a〜91fは、それぞれ、内壁部147a〜147fの間に形成された隙間に対応する位置に配置されているとともに、隙間と略同一の形状である。支持部材9は、弾性を有する部分を有しておらず、例えば、硬い樹脂等の絶縁材料により構成されている。
【0061】
図1に示すように、支持部材9の上端はインシュレータ143の内壁部147a〜147fの下端に当接していると共に、支持部材9の下端はフロントヘッド60の本体部61の上端に当接している。これにより、圧縮機構5は、支持部材9により上方(駆動機構4側)から支持されている。
【0062】
支持部材9の溝90a〜90fには、それぞれ、インシュレータ143の内壁部147a〜147fが嵌まるとともに、支持部材9の突出部91a〜91fは、それぞれ、内壁部147a〜147fの間に形成された隙間に嵌まる。これにより、支持部材9の溝90a〜90fと、内壁部147a〜147fの間に形成された隙間とが周方向に塞がれる。そして、図1に示すように、支持部材9及びフロントヘッド60によりマフラー空間Mが形成される。
【0063】
マフラー空間Mにより、圧縮室51で圧縮された冷媒がフロントヘッド60の吐出孔60a(図4及び図5参照)から密閉ケーシング3内へ吐出される際に生じる騒音を低減することができる。マフラー空間M内へ吐出された冷媒は、ステータ40aとロータ40bとの間のエアギャップなどを通過した後、最終的に、排出管7から密閉ケーシング3の外に排出される。
【0064】
また、図6(b)に示すように、支持部材9の高さ(溝90a〜90fの底部における高さ)は、高さhとなっている。
【0065】
ここで、圧縮機構5は、図7(a)に示すように、インシュレータ143の内壁部147aの頂点部からフロントヘッド60の本体部61の上面までの距離が距離Hとなるように、胴部31に固定される。そして、本実施形態では、支持部材9の高さhは、距離Hと同一である(h=H)。したがって、図7(b)に示すように、駆動機構4の下方に支持部材9を設けた上で、圧縮機構5が胴部31に固定された場合でも、インシュレータ143の内壁部147aの頂点部からフロントヘッド60の本体部61の上面までの距離が、距離H(h)となる。
【0066】
また、ボトム33は、図7(a)に示すように、シリンダ50の下面からボトム33の底面までの距離が距離Hとなるように、胴部31に固定される。そして、本実施形態では、支持部材9の高さhは、距離Hと同一である(h=H)ため、図7(b)に示すように、駆動機構4と圧縮機構5との間に支持部材9を設けた上で、ボトム33が胴部31に固定された場合でも、シリンダ50の下面からボトム33の底面までの距離が、距離Hとなる。
【0067】
なお、図7では、シリンダ50の外周面を胴部31に固定するための溶接部材Wを模式的に示している。本実施形態では、図7(a)及び図7(b)のいずれにおいても、シリンダ50が、上下方向のいずれにも押圧されることなく、支持部材9によって支持されていることから、溶接部材Wは、ほぼ水平方向に延在した状態で維持されている。
【0068】
続いて、図8を参照しつつ、圧縮機1を組み立てる方法を説明する。
【0069】
図8(a)に示すように、トップ32が上端に固定された胴部31の内部に、ステータ40aを取り付ける。次に、図8(b)に示すように、ステータ40aの下方に支持部材9を配置する。そして、図8(c)に示すように、ロータ40b及びシャフト41をステータ40aの径方向内側に配置するとともに、圧縮機構5を支持部材9の下方に配置して、シリンダ50の外周面を溶接により胴部31に固定する。その後、ボトム33を胴部31の下端部の所定の位置まで挿入し、ボトム33を胴部31の内周面に固定する。
【0070】
以上のように、本実施形態の圧縮機1では、圧縮機構5が上方から支持されており、圧縮機構5が上方へ移動しないように構成されている。したがって、圧縮機構5が、上下方向に振動するのを抑制することができる。
【0071】
また、本実施形態の圧縮機1では、駆動機構4と圧縮機構5との間に設けられた支持部材9によって圧縮機構5を支持しており、圧縮機構5を支持するための構成を容易に構成できる。
【0072】
さらに、本実施形態の圧縮機1では、支持部材9が環状の部材であるため、圧縮機構5を安定した状態で支持することができる。
【0073】
加えて、本実施形態の圧縮機1では、別のマフラー部材を用いることなく、支持部材9によってマフラー部材を兼用できる。
【0074】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態に係る圧縮機101は、第1実施形態の圧縮機構が下方に向かって押圧されていない状態で支持部材9により上方から支持されているのに対して、第2実施形態の圧縮機構が下方に向かって押圧された状態でステータ140aのインシュレータ243により上方から支持されている点において、第1実施形態に係る圧縮機1と異なっている。なお、その他の構成は、上記第1実施形態と同様であるため、同じ符号を用いて適宜その説明を省略する。
【0075】
図9に示すように、駆動機構104は、モータ240と、シャフト41とから構成されている。モータ240は、ステータ140aと、ステータ140aの径方向内側にエアギャップを介して配置されるロータ40bとを備えている。図10に示すように、ステータ140aは、コア140と、コイル141と、コア140の上端(圧縮機構5と反対側)に配置されたインシュレータ142と、コア140の下端(圧縮機構5側)に配置されたインシュレータ(絶縁部材)243とを有している(図9参照)。なお、駆動機構104のその他の構成は、第1実施形態の駆動機構4と同様であるため、説明を省略する。
【0076】
次に、図9〜図12を参照しつつ、インシュレータ243の構成を詳細に説明する。
【0077】
図9〜図11に示すように、インシュレータ243の外壁部246は、円筒状の環状部材である。また、外壁部246は、シリンダ50の上端まで下方(コア140と反対側)に向けて延在している。なお、インシュレータ243のその他の構成は、第1実施形態のインシュレータ143と同様であるため、説明を省略する。
【0078】
図9に示すように、インシュレータ243の外壁部246の下端は、シリンダ50の上端に当接している。そして、外壁部246、シリンダ50及びフロントヘッド60により、マフラー空間Mが形成されている。
【0079】
また、図11に示すように、インシュレータ243の外壁部246の高さは、高さhとなっている。
【0080】
ここで、圧縮機構5は、図12(a)に示すように、ステータ40aのコア140の下端からシリンダ50の上端までの距離が距離Hとなるように、胴部31に固定される。そして、本実施形態では、インシュレータ243の外壁部246の高さhは、距離Hより少し高くなっている(h>H)。したがって、図12(b)に示すように、ステータ140aを胴部31に固定した上で、圧縮機構5が胴部31に固定された場合は、ステータ140aのコア140の下端からシリンダ50の上端までの距離が、距離hとなる。
【0081】
なお、図12では、シリンダ50の外周面を胴部31に固定するための溶接部材Wを模式的に示している。本実施形態では、図12(a)においては、溶接部材Wが、ほぼ水平方向に延在した状態で維持されている。しかし、図12(b)においては、シリンダ50が、下方へ向かって押圧された状態で、インシュレータ243の外壁部246によって支持されていることから、溶接部材Wが変形する。これにより、圧縮機構5は、ステータ40aを胴部31に固定した場合(図12(a)に示す位置(図12(b)の2点鎖線で示す位置))より下方に移動した状態で胴部31に固定される。
【0082】
また、ボトム33は、図12(a)に示すように、シリンダ50の下面からボトム33の底面までの距離が距離Hとなるように、胴部31に固定される。本実施形態では、支持部材9の高さhは、距離Hより少し高くなっている(h>H)ため、図12(b)に示すように、ステータ140aを胴部31に固定し、圧縮機構5が胴部31に固定された上で、ボトム33が胴部31に固定された場合は、シリンダ50の下面からボトム33の底面までの距離が、距離Hより短い距離Hとなる(H>H)。
【0083】
続いて、図13を参照しつつ、圧縮機101を組み立てる方法を説明する。
【0084】
図13(a)に示すように、トップ32が上端に固定された胴部31の内部に、ステータ140aを取り付ける。次に、図13(b)に示すように、ロータ40b及びシャフト41をステータ140aの径方向内側に配置するとともに、ステータ140a及びロータ40bの下方に圧縮機構5を配置して、シリンダ50の外周面を溶接により胴部31に固定する。このとき、圧縮機構5が下方に押圧された状態を維持しながら、シリンダ50を胴部31に固定する。そして、図13(c)に示すように、ボトム33を胴部31の下端部の所定の位置まで挿入し、ボトム33を胴部31の内周面に固定する。
【0085】
以上のように、本実施形態の圧縮機101では、第1実施形態の圧縮機1と同様に、圧縮機構5が上方から支持されており、圧縮機構5が上方へ移動しないように構成されている。したがって、圧縮機構5が、上下方向に振動するのを抑制することができる。
【0086】
また、本実施形態の圧縮機101では、ステータ140aのインシュレータ243によって圧縮機構5を支持しており、圧縮機構5を支持するための構成を、支持部材などの部品を用いることなく構成できる。
【0087】
さらに、本実施形態の圧縮機101では、圧縮機構5が下方に向かって押圧された状態で上方から支持されており、圧縮機構5が上方へ移動しないと共に、下方へ移動しないように構成されている。したがって、圧縮機構5が、上下方向に振動するのを効果的に抑制することができる。
【0088】
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態について説明する。第3実施形態に係る圧縮機201は、第1実施形態では支持部材9によってマフラー部材を兼用しているのに対して、第3実施形態では別のマフラー部材85が用いられている点と、第1実施形態では支持部材9がインシュレータ143の内壁部147a〜147fとフロントヘッド60との間に設けられているのに対して、第3実施形態では支持部材29がインシュレータ143の内壁部147a〜147fとマフラー部材85との間に設けられている点において、第1実施形態に係る圧縮機1と異なっている。その他の構成は、上記第1実施形態と同様であるため、同じ符号を用いて適宜その説明を省略する。
【0089】
図14に示すように、フロントヘッド60の上方には、マフラー部材85が配置されており、マフラー部材85によりマフラー空間Mが形成されている。圧縮機構5からマフラー空間Mに吐出された冷媒は、マフラー部材85に形成された図示しないマフラー吐出孔から吐出される。
【0090】
支持部材29は、環状の部材であって、全周にわたって同じ高さである。支持部材29の上端はインシュレータ143の内壁部147a〜147fの頂点部(図3参照)に当接していると共に、支持部材29の下端はマフラー部材85の上端に当接している。支持部材29がインシュレータ143の内壁部147a〜147fとマフラー部材85との間に設けられたとき、インシュレータ143の内壁部147a〜147fの間には、それぞれ、隙間が形成され(図3(b)参照)、この隙間が周方向に塞がれない。
【0091】
支持部材29は、弾性を有する部分を有しており、弾性を有する部材である樹脂又はゴムなどから構成されている。
【0092】
以上のように、本実施形態の圧縮機201では、第1実施形態の圧縮機1と同様に、圧縮機構5が上方から支持されており、圧縮機構5が上方へ移動しないように構成されている。したがって、圧縮機構5が、上下方向に振動するのを抑制することができる。
【0093】
また、本実施形態の圧縮機201では、支持部材29が、弾性を有する部分を有しており、支持部材29によって圧縮機構5に作用する力を吸収することができるので、圧縮機構5が軸方向に振動することをより一層抑制することができる。
【0094】
<第4実施形態>
次に、本発明の第4実施形態について説明する。第4実施形態に係る圧縮機301は、第1実施形態では支持部材9によってマフラー部材を兼用しているのに対して、第4実施形態では別のマフラー部材85が用いられている点と、第1実施形態では支持部材9がインシュレータ143の内壁部147a〜147fとフロントヘッド60との間に設けられているのに対して、第4実施形態では支持部材39がインシュレータ143の外壁部146とシリンダ50との間に設けられている点において、第1実施形態に係る圧縮機1と異なっている。その他の構成は、上記第1実施形態と同様であるため、同じ符号を用いて適宜その説明を省略する。
【0095】
図15に示すように、フロントヘッド60の上方には、マフラー部材85が配置されており、マフラー部材85によりマフラー空間Mが形成されている。圧縮機構5からマフラー空間Mに吐出された冷媒は、マフラー部材85に形成された図示しないマフラー吐出孔から吐出される。
【0096】
図15及び図16に示すように、支持部材39の内径はフロントヘッド60の本体部61の外径より大きいと共に、支持部材39の外径はシリンダ50の外径より小さい。支持部材39の上端部には、図16及び図17に示すように、上面から下方向に凹んだ6個の溝390a〜390fが、周方向に、等間隔に並んで形成されている。溝390a〜390fの間には、それぞれ、上方に向けて突出した突出部391a〜391fが形成されている。溝390a〜390fは、インシュレータ143の外壁部146の壁部146a〜146fに対応する形状に形成されている(図3参照)。また、突出部391a〜391fは、それぞれ、壁部146a〜146fの間に形成された隙間(図3参照)に対応する位置に形成されているとともに、この隙間と略同一の形状に形成されている。
【0097】
支持部材39の上端はインシュレータ143の外壁部146の下端に当接していると共に、支持部材39の下端はシリンダ50の上端に当接している。
【0098】
支持部材39の溝390a〜390fには、それぞれ、インシュレータ143の外壁部146の壁部146a〜146fが嵌まるとともに、支持部材39の突出部391a〜391fは、それぞれ、壁部146a〜146fの間に形成された隙間に嵌まる。これにより、支持部材39の溝390a〜390fと、インシュレータ143の壁部146a〜146fの間に形成された隙間とが周方向に塞がれる。
【0099】
以上のように、本実施形態の圧縮機301では、第1実施形態の圧縮機1と同様に、圧縮機構5が上方から支持されており、圧縮機構5が上方へ移動しないように構成されている。したがって、圧縮機構5が、上下方向に振動するのを抑制することができる。
【0100】
<第5実施形態>
次に、本発明の第5実施形態について説明する。第5実施形態に係る圧縮機401は、第1実施形態では支持部材9によってマフラー部材を兼用しているのに対して、第5実施形態では別のマフラー部材85が用いられている点と、第1実施形態では支持部材9がインシュレータ143の内壁部147a〜147fとフロントヘッド60との間に設けられているのに対して、第5実施形態では支持部材49がインシュレータ143の外壁部146とマフラー部材85との間に設けられている点と、第1実施形態の支持部材9は略円筒状であるのに対して、第5実施形態の支持部材49はテーパ形状である点とにおいて、第1実施形態に係る圧縮機1と異なっている。その他の構成は、上記第1実施形態と同様であるため、同じ符号を用いて適宜その説明を省略する。
【0101】
図18に示すように、フロントヘッド60の上方には、マフラー部材85が配置されており、マフラー部材85によりマフラー空間Mが形成されている。圧縮機構5からマフラー空間Mに吐出された冷媒は、マフラー部材85に形成された図示しないマフラー吐出孔から吐出される。
【0102】
支持部材49は、その上端に近づくにつれて内径及び外径が漸増している。支持部材49の上端の外径は、インシュレータ143の外壁部146の外径と略同一である。支持部材49の下端の外径は、フロントヘッド60の本体部61の外径より小さい。また、支持部材49は、全周にわたって同じ高さとなっている。なお、支持部材49のその他の構成は、第1実施形態の支持部材9と同様な構成である。
【0103】
支持部材49の上端はインシュレータ143の外壁部146(壁部146a〜146f)の底部(図3参照)に当接していると共に、支持部材49の下端はマフラー部材85の上端に当接している。また、インシュレータ143の壁部146a〜146fの間に形成された隙間は、周方向に塞がれていない(図3参照)。
【0104】
以上のように、本実施形態の圧縮機401では、第1実施形態の圧縮機1と同様に、圧縮機構5が上方から支持されており、圧縮機構5が上方へ移動しないように構成されている。したがって、圧縮機構5が、上下方向に振動するのを抑制することができる。
【0105】
<第6実施形態>
次に、本発明の第6実施形態について説明する。第6実施形態に係る圧縮機501は、第1実施形態では集中巻き方式のステータ40aを用いているのに対して、第6実施形態では分布巻き方式のステータ540aを用いている点において、第1実施形態に係る圧縮機1と異なっている。その他の構成は、上記第1実施形態と同様であるため、同じ符号を用いて適宜その説明を省略する。なお、ここでは、第6実施形態の圧縮機の概略断面図を省略している。
【0106】
図19に示すように、駆動機構504は、モータ640と、シャフト41とから構成されている。モータ640は、ステータ540aと、ステータ540aの径方向内側にエアギャップを介して配置されるロータ40bとを備えている。ステータ540aは、分布巻き方式のものであって、図20に示すように、コア740と、コイル741とを有している。なお、駆動機構504のその他の構成は、第1実施形態の駆動機構4と同様であるため、説明を省略する。
【0107】
コア740は、積層された複数の鋼板からなり、密閉ケーシング3の胴部31に焼き嵌め等により嵌め込まれる。コア740は、図20に示すように、その周方向に沿って設けられた環状部740aと、環状部740aからその径方向内側に突出した複数のティース部740bとを有する。ティース部740bは、コア740の周方向に、等間隔に並んで配置されている。
【0108】
コイル741は、各ティース部740bに巻かれている。
【0109】
コイル741に電流を流すことによって電磁力が発生し、ロータ40bがシャフト41と一体的に回転する。
【0110】
支持部材59は、環状の部材であって、全周にわたって同じ高さである円筒状に形成されている。図19に示すように、支持部材59の上端はコア740の下端のうちティース部740bの先端部に当接している。また、支持部材59の下端はフロントヘッド60の上端に当接している。そして、支持部材59及びフロントヘッド60によりマフラー空間Mが形成されている。なお、支持部材59のその他の構成は、上述した第1実施形態の支持部材9と同様である。
【0111】
以上のように、本実施形態の圧縮機では、第1実施形態の圧縮機1と同様に、圧縮機構5が上方から支持されており、圧縮機構5が上方へ移動しないように構成されている。したがって、圧縮機構5が、上下方向に振動するのを防ぐことができる。
【0112】
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0113】
例えば、上述の第1〜第6実施形態では、圧縮機構5を密閉ケーシング3に固定する方法として、シリンダ50を胴部31に固定する場合について説明したが、これには限定されない。例えば、フロントヘッド60及びリアヘッド70の少なくとも1つが、胴部31に固定されていてもよい。
【0114】
また、上述の第1実施形態では、支持部材9の下端がフロントヘッド60に当接し、上述の第4実施形態では、支持部材39の下端がシリンダ50に当接している場合について説明したが、これには限定されない。例えば、支持部材の下端がフロントヘッド60,シリンダ50及びリアヘッド70のいずれかに当接してもよい。
【0115】
また、上述の第1実施形態及び第3〜5実施形態では、支持部材9,29,39,49と、ステータ40aのインシュレータ143とが、別の部材である場合について説明したが、支持部材9,29,39,49がステータ40aのインシュレータ143の一部である構成としてもよい。
【0116】
また、上述の第1実施形態及び第3〜6実施形態では、支持部材9,29,39,49,59が、環状に形成されている場合について説明したが、これには限定されない。例えば、支持部材は環状でない部材であってもよいし、複数の支持部材が、周方向に離れて配置されると共に環状に配置されていてもよい。また、支持部材は、環状に配置されている場合に限られず、圧縮機構の少なくとも一部を上方から支持するものでもよい。
【0117】
また、上述の第1実施形態及び第3〜6実施形態では、圧縮機構5が支持部材9,29,39,49,59により上方から支持されている場合について説明したが、これには限定されない。例えば、圧縮機構5の上方において、胴部31の内面から水平方向に突出した突起が形成されており、圧縮機構がこの突起により上方から支持される構成としてもよい。
【0118】
また、上述の第1実施形態及び第4〜6実施形態では、支持部材9,39,49,59が弾性を有する部分を有していない場合について説明したが、支持部材9,39,49,59が弾性を有する部分を有していてもよい。
【0119】
また、上述の第1実施形態では、圧縮機構5が下方に向けて押圧されていない状態で支持され、上述の第2実施形態では、圧縮機構5が下方に向けて押圧されている状態で支持されている場合について説明したが、上述の第3〜第6実施形態では、圧縮機構5が下方に向けて押圧されていない状態で支持されていてもよく、圧縮機構5が下方に向けて押圧された状態で支持されていてもよい。
【0120】
また、上述の第4実施形態では、マフラー部材85が設けられている場合について説明したが、支持部材39によってマフラー部材を兼用し、支持部材39、シリンダ50及びフロントヘッド60によりマフラー空間を形成する構成としてもよい。
【0121】
また、上述の第4実施形態では、支持部材39の上端部が、インシュレータ143の外壁部146と嵌合可能な形状に形成されている場合について説明したが、これには限定されない。例えば、第4実施形態において、支持部材として、全周にわたって高さが同一の環状の支持部材を使用すると共に、支持部材の上端がインシュレータ143の外壁部146の底部と当接する構成としてもよい。
【0122】
また、上述の第1〜6実施形態では、シリンダ50の外周面が密閉ケーシング3の胴部31に固定されていたが、シリンダ50が支持ブラケットを介して密閉ケーシング3に固定されてもよい。さらに、フロントヘッド60、シリンダ50及びリアヘッド70のいずれかが支持ブラケットを介して密閉ケーシング3に固定されてもよい。この支持ブラケットは、圧縮機構に含まれるため、支持ブラケットを用いた場合、支持ブラケットが支持部材又はインシュレータにより駆動機構側から支持される構成としてもよい。
【0123】
また、上述の第1〜6実施形態では、1シリンダ型のロータリ圧縮機に本発明を適用しており、この圧縮機の圧縮機構5は、フロントヘッド60、シリンダ50及びリアヘッド70を有しているが、2シリンダ型のロータリ圧縮機に本発明を適用してもよい。2シリンダ型のロータリ圧縮機の圧縮機構は、上から順に配置されたフロントヘッド、第1シリンダ、仕切り板、第2シリンダ及びリアヘッドを有している。したがって、2シリンダ型のロータリ圧縮機に本発明を適用した場合、フロントヘッド、第1シリンダ、仕切り板、第2シリンダ及びリアヘッドのいずれかを、支持部材又はインシュレータにより駆動機構側から支持してもよい。また、フロントヘッド、第1シリンダ、仕切り板、第2シリンダ及びリアヘッドのいずれかが支持ブラケットを介して密閉ケーシング3に固定されてもよい。この場合、支持ブラケットが支持部材又はインシュレータにより駆動機構側から支持される構成としてもよい。
【0124】
また、上述の第1〜6実施形態では、圧縮機構5が溶接により密閉ケーシング3に固定されている場合について説明したが、これには限定されない。例えば、圧縮機構5が、圧入又は焼き嵌めにより密閉ケーシング3に固定されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0125】
本発明を利用すれば、圧縮機構が軸方向へ振動することを防ぐことができる。
【符号の説明】
【0126】
1,101,201,301,401,501 圧縮機
3 密閉ケーシング(ケーシング)
4,104,504 駆動機構
5 圧縮機構
9,29,39,49,59 支持部材
31 胴部
32 トップ
33 ボトム
40a,140a,540a ステータ
40b ロータ
50 シリンダ
51 圧縮室
60 フロントヘッド
70 リアヘッド
80 ピストン
81 ローラ
82 ブレード
90a〜90f,390a〜390f 溝
91a〜91f,391a〜391f 突出部
140,740 コア
141,741 コイル
142 インシュレータ
143,243 インシュレータ(絶縁部材)
147a〜147f 内壁部
146,246 外壁部
146a〜146f 壁部
85 マフラー部材
,M,M,M マフラー空間
W 溶接部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動機構と、前記駆動機構により駆動される圧縮機構とが、ケーシング内において軸方向に並んで配置されており、
前記圧縮機構は、その径方向外側において前記ケーシングに固定されると共に、前記駆動機構側から支持されることを特徴とする圧縮機。
【請求項2】
前記ケーシング内において前記圧縮機構と前記駆動機構との間に設けられた支持部材を備え、
前記支持部材は、その一端が前記駆動機構に当接し且つ他端が前記圧縮機構に当接することによって、前記圧縮機構を支持することを特徴とする請求項1に記載の圧縮機。
【請求項3】
前記支持部材は、環状の部材であることを特徴とする請求項2に記載の圧縮機。
【請求項4】
前記支持部材は、前記圧縮機構において圧縮された冷媒が吐出されるマフラー空間を形成することを特徴とする請求項2又は3に記載の圧縮機。
【請求項5】
前記支持部材は、弾性を有する部分を有していることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の圧縮機。
【請求項6】
前記駆動機構は、ロータと、前記ロータの周囲に配置されたステータと、前記ステータの前記圧縮機構側の端部に配置された環状の絶縁部材とを有しており、
前記絶縁部材は、その先端が前記圧縮機構に当接することによって、前記圧縮機構を支持することを特徴とする請求項1に記載の圧縮機。
【請求項7】
前記絶縁部材は、前記圧縮機構において圧縮された冷媒が吐出されるマフラー空間を形成することを特徴とする請求項6に記載の圧縮機。
【請求項8】
前記絶縁部材は、弾性を有する部分を有していることを特徴とする請求項6又は7に記載の圧縮機。
【請求項9】
前記圧縮機構は、前記ケーシングの前記駆動機構と反対側に向かって押圧された状態で前記ケーシング内の前記駆動機構側から支持されることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の圧縮機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2012−102675(P2012−102675A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−251971(P2010−251971)
【出願日】平成22年11月10日(2010.11.10)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】