説明

圧縮空気の圧力を連続的に調整する空圧装置

【課題】空圧アクチュエータに供給する圧縮空気の圧力を連続的に調整する空圧装置であって、小さい圧力差を大きな差よりもより激しく一気に与えることができる、実質的に、調節した圧力に偏差や振動がない空圧装置を提供する。
【解決手段】入力に未調節の圧力ライン(7)を受け入れ、出力に調節された圧力を提供するのに適した圧力調節手段(2)と、前記圧力調節手段(2)の駆動に適した駆動手段(3)を動かすのに適した誤差増幅手段(4)と、前記圧力調節手段(2)の閉ループ制御のために、前記圧力調節手段(2)の下流の圧力値を検出して前記誤差増幅手段(4)にフィードバックするのに適した圧力変換手段(5)とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気の圧力を連続的に調整する空圧装置に関する。さらに詳しくは、本発明は、空圧装置から離れて配置された複数の空圧アクチュエータに供給するために、圧縮空気の連続的な調整を達成するための空圧装置に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、多くの場合、自動タイプの設備のアクチュエータを操作するために、圧縮空気を使用することが必要である。これらのアクチュエータの機械的動作の制御は、通常、圧力調節弁に頼って行われている。
【0003】
圧力調整の要求が、連続的であり、自動サイクルの一部であれば、電子制御比例動作電動弁の使用が一般的である。
【0004】
実質的に、操作の本質は、磁力の生成にある。磁力は、内部に配置された適当な変換器によって検出された圧力設定値と出力圧力との間の偏差に比例し、復原力によって補償され、選択された出力圧力によって生成されて自在に変化させられる。
【0005】
通常、市場で入手可能であり、多くのメーカにより提供されるこれらの構成要素は、迅速な応答時間と、僅かな制御システムのヒステリシスと、高い感度とを有している。
【0006】
しかしながら、もしも、異なる機能を果たす、圧力調節位置とアクチュエータとの間が無視できないほど、例えば、8m以上、距離を開けて、装置上で様々に分散された複数のアクチュエータに供給するために、圧縮空気の圧力の連続的な調整が要求されるならば、従来の解決策は満足できるものではない。
【0007】
結果的に、連続して全体量および伝播時間が変わる、圧縮空気の高い圧縮性と一般にプラスチックホースにより与えられるシステムの弾性とに起因して、迅速な応答時間を有する、出力圧力を制御するための圧力変換器が内部に、つまり、無視できないほど使用位置から離れて配置された電子制御比例電動弁の使用は、調節位置と使用位置の2つの位置の実際の圧力の間のずれによる欠点を有する。
【0008】
このずれがアクチュエータの正しい操作を妨げることを防止するために、各アクチュエータについて経験的に定めなければならない調圧命令とアクチュエータの命令との間の遅れ時間を導入することによるか、或いは、2つの圧力が常に等しくなることを確実にするために、比例電動弁の設定圧力を徐々に変化させることにより、システムを安定化させるための遅延が必要である。
【0009】
設備の操作周期の時間は、当然、上述の現象および結果としての減衰方法により悪影響を受ける。
【0010】
この現象を低減する他の解決策は、比例電動弁の中に配置された調圧器の比例利得を大幅に減少することであるが、これは、調圧システムの限定された感度のために実現不可能である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、複数の空圧アクチュエータを駆動する圧縮空気の圧力を連続的に調整するための、特に、2つの並列した調圧ループにより圧力調節を達成することができる空圧装置を提供することである。
【0012】
この目的の中で、本発明の課題は、圧縮空気の圧力の連続的な調整を達成する空圧装置であって、小さい圧力差を、大きな差よりもより激しく一気に与えることができるものを提供することである。
【0013】
本発明の他の課題は、実質的に、調節した圧力に偏差や振動がない空圧装置を提供することである。
【0014】
本発明の他の課題は、信頼性が高く、比較的簡単に提供でき、価格競争力のある空圧装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
以下においてより明らかにされる、この目的とこれらおよび他の課題は、入力に未調節の圧力ラインを受け入れ、出力に調節された圧力を提供するのに適した圧力調節手段と、前記圧力調節手段の駆動に適した駆動手段を動かすのに適した誤差増幅手段と、前記圧力調節手段の閉ループ制御のために、前記圧力調節手段の下流の圧力値を検出し、前記誤差増幅手段にフィードバックするのに適した圧力変換器とを含むことを特徴とする、空圧アクチュエータに供給する圧縮空気を連続的に調整するための空圧装置によって達成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明のさらなる特徴と利点は、本発明に係る装置の好ましいが限定的ではない、添付図面に非限定的例として示される実施形態の説明からより明らかになる。
【0017】
図を参照すると、全体を参照番号1で示された本発明に係る空圧装置は、自動の機械的で精密な圧力調節手段2を含む。この圧力調節手段2は、入力に調節されていない圧力ライン7を受け入れ、出力に調節された圧力を提供するのに適している。圧力調節手段2には、駆動手段3が接続されている。都合よくは、駆動手段3は、例えば、モータにより構成され、該モータは、圧力調節手段2の設定軸6に接続されている。モータ3は、都合よくは、誤差増幅手段4により電力が供給される、正逆両回転方向に可変速の直流式のモータである。さらに、電子圧力センサ(圧力変換手段)5もまた存在する。この圧力センサ5は、装置の接地場所から分離され、そのために、設備の空圧システムの中に位置し、圧力信号を誤差増幅手段4に送信する。
【0018】
圧力センサ5は、実際には、誤差増幅手段4、モータ3および調圧器2と共に外部フィードバック調節ループを構成する圧力変換器である。
【0019】
実質的に、本発明に係る空圧装置は、2つの異なる圧力調整ループを含む。1つ目は、調圧器2の中にある内部調節ループ(第1圧力調整ループ)であり、2つ目は、先に明示した外部調節ループ(第2圧力調整ループ)である。
【0020】
圧力設定値は誤差増幅手段4に送られ、増幅器4は、調圧器2を駆動(開放または閉鎖)するモータ3を、圧力変換器5が設定値の圧力と同じ圧力を検出するまで回転する。
【0021】
モータ3の回転速度は、2つの圧力の差に比例し、それ故、変換器5に検出された圧力は設定値の圧力に近づき、その後の圧力変動は次第に減衰する。その結果、空圧システムの弾性要素(空気の圧縮性およびホースの弾性)は一斉に適応する時間を有する。
【0022】
調圧器の補償システムは、新しい調節圧力に対応する調圧器2の調節軸6の継続的な新しい位置に適合し、このために、上に明示した2つの同心の調節ループからなる圧力調節システムが設けられている。
【0023】
外部調節ループは、設定値が更新されたとき、または、設定値と検出した圧力との間の圧力差が予め設定した値を超えたときだけ、調圧器2の補償動作を増進するために干渉する。
【0024】
調圧器2の中に備わっている内部調節ループは、調圧器の出力における圧力と、その設定軸6の位置によって定められる圧力との差が予め定めた値を超えたときに、干渉を開始する。このため、圧力差の振幅に従って直接的に調整できる高利得の機構は、細かく調整される。すなわち、小さい圧力差は大きな圧力差よりもより激しく一気に与えられ(調圧器2だけが作動する)、一方、大きな圧力差もまた、誤差補正手段4およびモータ3の比例動作によって補償される。こうして、本発明に係る装置は、主調節システム(設定値=変換器5によって測定した出力圧力)と、第2調節システム(設定値=調圧器2からの出力における圧力)とを提供し、システム全体の応答の迅速性と安定性とに関して有利である。第2調節システムは、主調節システムの変動を圧縮するのに適し、主調節システムにおける効果を適当に減少されている。
【0025】
実質的に、調節した圧力に偏差および振動のない、本発明に係る空圧装置は、例えば、例として与えられる以下の測定条件で、典型的な6kPaの感度と、外部の過渡的変動、使用される調圧器2にとって最大1.4kPa未満の出力圧力変動とを有する。
調圧範囲
出力圧力 50〜560kPa(=0.5〜5.6bars=7.80psi)
出力圧力における入力変化の作用
入力圧力 280〜700kPa(=2.8〜7.0bars=40.10psi)
出力圧力 69kPa(=0.7bars=10psi)
出力圧力における流量変化の作用
入力圧力 600kPa(=6.0bars=90psi)
流量 1〜17.0m/h
出力圧力 344.8kPa(=3.4bars=50psi)
【0026】
比例電動弁に代えて、本発明に係る空圧装置の使用は、以下の利点を有する。
【0027】
概略として、比例電動弁において、制御と動作の電子機器は、出力圧力により決定される力の均衡を保つ電磁気力を生成するソレノイドに電力を供給する。閉ループ調節は、出力における圧力を、制御設定値を基準にして両方向に調節する。それに代わり、本発明に係る空圧装置の場合、圧力調節は、2つの並列した調節ループで実行される。
機械的な内部調節ループまたは回路は、調圧器の中に備わっており、較正圧力に対して予め設定した値を超えた出力圧力に一定方向に作用する。
電気的な外部調節ループは、変換器により示された圧力を増幅手段に送られた設定値に一致させるために、機械的調圧器の両方向の動力機構を有する。
【0028】
これによって、本発明に係る空圧装置は、実行される調節の正確性について向上をもたらす。
【0029】
空圧装置の圧力変換器5の配置は、重要ではないが、このように、特に変動期に使用される圧力が絶え間なく制御されるので、好ましくは、このように調節された圧力の圧縮空気を使用するアクチュエータの近くに配置すべきである。
【0030】
実際に、本発明にかかる空圧装置は、複数の空圧アクチュエータに供給するために、圧縮空気の圧力の連続的な調整を達成することを可能にするので、意図された目的と課題とを完全に達成することが見出された。本発明にかかる空圧装置は、2つの異なる制御ループを使用し、制御ループの1つは機械的調圧器の中に備えられ、もう一つは電子式であって最初の1つの外にある。
【0031】
このように着想された装置は、多くの改良および変形を受け入れ、それらは全て添付した特許請求の範囲に含まれる。全てに詳細はさらに他の技術的にとうかな構成要素に置き換えることができる。
【0032】
実際に、使用される材質、具体的な形状および寸法もまた、要求および技術水準に応じて如何なるものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明に係る装置の概略図。
【符号の説明】
【0034】
1 空圧装置
2 圧力調節手段(機械的調圧器)
3 駆動手段(モータ)
4 誤差増幅手段
5 圧力変換手段(電子圧力センサ)
6 設定軸
7 未調節の圧力ライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空圧アクチュエータに供給する圧縮空気の圧力を連続的に調整する空圧装置であって、
入力に未調節の圧力ライン(7)を受け入れ、出力に調節された圧力を提供するのに適した圧力調節手段(2)と、
前記圧力調節手段(2)の駆動に適した駆動手段(3)を動かすのに適した誤差増幅手段(4)と、
前記圧力調節手段(2)の閉ループ制御のために、前記圧力調節手段(2)の下流の圧力値を検出し、前記誤差増幅手段(4)にフィードバックするのに適した圧力変換手段(5)とを含むことを特徴とする空圧装置。
【請求項2】
前記圧力調節手段(2)は、第1圧力調節ループを構成し、
前記誤差増幅手段(4)、前記駆動手段(3)、前記圧力調節手段(2)および前記圧力変換手段(5)は、前記第1圧力調節ループの外部にある第2圧力調節ループを構成することを特徴とする請求項1に記載の空圧装置。
【請求項3】
前記誤差増幅手段(4)は、前記圧力変換手段(5)によって検出された圧力値に加えて、圧力設定値の入力を受けることを特徴とする請求項1に記載の空圧装置。
【請求項4】
前記駆動手段(3)は、前記圧力調節手段(2)を制御する設定軸(6)に接続された正逆回転直流電気モータからなることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の空圧装置。
【請求項5】
前記圧力調節手段(2)は、内部補償回路を有する機械的調圧器からなることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の空圧装置。

【図1】
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【公開番号】特開2006−134316(P2006−134316A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−302772(P2005−302772)
【出願日】平成17年10月18日(2005.10.18)
【出願人】(304048838)ジ・バヴェロニ・ソシエタ・ペル・アチオニ (2)
【氏名又は名称原語表記】Z.BAVELLONI S.P.A.
【Fターム(参考)】