説明

圧迫装置

四肢廻りへ配置するように構成されたスリーブ(12)を含む圧迫装置(10)を提供する。スリーブは、第1拡張チャンバ(16)を画成する第1部分(14)、ならびに第2拡張チャンバ(20)および第3拡張チャンバ(22)を画成する第2部分(18)が含まれる。第2部分は、加圧流体源と各チャンバとを流体連通するコネクタ(64)を含み、それにより、加圧流体源と各チャンバとの間の流体連通が容易になる。第1部分は第2部分から取り外すことができる。第1部分は、穿孔付アタッチメントを介して第2部分と接続できる。スリーブには、少なくとも一つの排気開口部(46、50)を画成できる。コネクタは、チューブ通路を介してチャンバと連通できる。スリーブは、膝下から膝上まで延びる長さから、膝下だけに延びる長さへ切り換えることができる。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
背景
1.技術分野
本開示は、一般に、身体の四肢に適用するための血管治療の分野に関し、より詳細には取外し可能な部分を有する圧迫装置に関する。
【0002】
2.関連技術の説明
深部静脈血栓症(DVT)および末梢浮腫等の血塊を形成する病状は、不動状態の患者および同様の人々にとって重大な問題である。このような患者および人々には、手術中の患者、知覚麻痺患者、長期ベッド療養患者他が含まれる。これらの血塊症状は、概して下肢および/または骨盤の深部静脈に発生する。こうした腸骨、大腿、膝窩および脛骨等の静脈は、酸素が減少した血液を心臓へ環流する。これら静脈の血液循環が疾患、負傷または無活動が原因で抑制されると、血液は蓄積つまり鬱血する性向がある。静的な鬱血は、危険な血塊形成にとって格好である。この症状にともなう主要な危険性は心臓血管の循環障害である。最も深刻なのは、血塊断片が剥離して移動することである。肺塞栓は主肺動脈閉塞を形成して生命を脅かす。
【0003】
患者の不動状態にともなう症状およびその結果生じる危険性は、患者の四肢に間歇圧力を加えて血液循環を助けることにより抑制または緩和できる。血液循環を助けるために、ワンピース型パッドおよび圧迫ブーツ等、周知の装置が用いられてきた。例えば、米国特許第6,290,662号および第6,494,852号を参照。
【0004】
例えば、空気チューブ等の一連の流体導管による使い捨て巻き付けパッドに接続した空気ポンプからなる順次圧迫装置がこれまで用いられてきた。この巻き付けパッドは、患者の脚の廻りに配置される。次に、巻き付けパッドの異なる各部に順次、強制的に空気を送って、ふくらはぎ廻りに圧力を生みだし、静脈環流を改善する。
【0005】
これら周知の装置は、嵩張って使用が面倒であることに起因する様々な欠点を持っている。これらの欠点は、快適性、順応性を減じ、術後回復時の患者の移動性を妨げるという点で不利である。
【0006】
従って、極めて望ましいのは、嵩張らず、かつ使用法が簡便で、患者にとっての快適性および順応性を改善した予防的順次圧迫装置により、従来技術の不利な点や欠点を克服することである。予防的順次圧迫装置に取外し可能部分を含んで、本開示の利点を達成するのが望ましい。予防的順次圧迫装置が、加圧流体源からの迅速(クイック)抜去を容易にする弁コネクタを有するなら、更に望ましい。予防的順次圧迫装置は、簡単かつ効率的に製造できるよう意図されている。
【0007】
概要
従って、従来技術の不利な点および欠点を克服するために、嵩張らず、かつ使用を簡便にして、患者にとっての快適性および順応性を改善した圧迫装置が提供される。望ましくは、本圧迫装置に取外し可能部分を含めて本開示の利点を達成する。最も望ましくは、本圧迫装置が、加圧流体源からの迅速抜去を容易にする弁コネクタを有する。本圧迫装置は簡単かつ効率的に製造できる。
【0008】
本開示の原理による圧迫装置には、大腿部のブラッダを引き裂くか、さもなければ取り外し、大腿部ブラッダの接続を空気供給ラインから外すことにより膝の長さのスリーブに切り換えることができる、大腿部の長さの圧迫スリーブが含まれる。一実施の形態では、大腿部のブラッダ空気供給ラインは、大腿部のブラッダと併せて容易に取り外すことができ、大腿部のブラッダがスリーブから取り外される部位またはその近傍に取り付けられる。これにより、大腿部のブラッダおよび大腿部のブラッダ供給ラインをともに取り外すことが一つの動きで達成できる。互換性スリーブにより、DVTの危険性が術後に減少するので、より快適なスリーブ(膝部対大腿部)を患者は用いることができる。これにより、単一装置を使いながら、治療士に様々な選択肢を提供する。
【0009】
別の実施の形態では、長期に亘って装置を着用している間の患者への順応性および快適性を改善するために、圧迫装置は穿孔されている。装置は、移動式および/または固定式圧迫システムの両方で用いることができるよう意図されている。加圧流体源は、弁の取外し後も加圧流体を配送し続ける。加圧流体源はチューブのもつれがある場合は大きな警告音で、チューブに洩れがある場合は小さな警告音で報知する。圧迫装置は、スリーブの3部分に対応したチューブを通じて圧力を増加することによって順次作動される。遠位端部は足首部ブラッダ(高圧)、近位端部は大腿部ブラッダ(低圧)である。加圧流体源は、11秒間加圧して残り時間は減圧するという60秒サイクルで、スリーブへ空気を圧送する。
【0010】
一実施の形態では、本開示の原理による圧迫装置が、四肢廻りへ配置可能に構成されるスリーブを含む。スリーブは、第1拡張チャンバを画成する第1部分と、第2拡張チャンバおよび第3拡張チャンバを画成する第2部分とを含む。第2部分は、加圧流体源、第1拡張チャンバ、第2拡張チャンバおよび第3拡張チャンバに流体連通するコネクタを含み、それにより加圧流体源と各チャンバとの間の流体連通が容易になる。第1部分は第2部分から取り外すことができる。
【0011】
第1部分は、穿孔付アタッチメントを介して第2部分に接続される。第1部分は、四肢の第1部廻りへ配置可能に構成され、第2部分は、四肢の第2部廻りへ配置可能に構成される。第2拡張チャンバを、四肢の第2部廻りへ配置するように第2部分へ配置してもよく、第3拡張チャンバを、四肢の第3部廻りへ配置するように第2部分へ配置してもよい。
【0012】
代替として、圧迫装置は、キルティング効果を形成する多様な溶着部およびブラッダを含むことができる。例えば、第1、第2、および第3の拡張チャンバはそれぞれ、少なくとも一つのサブチャンバを画成できる。
【0013】
スリーブが少なくとも一つの排気開口部を画成してもよい。少なくとも一つの開口部は、拡張チャンバの表面に形成した開口部を含むことができる。少なくとも一つの開口部は、第2拡張チャンバと第3拡張チャンバとの間に配置したスリットを含んでもよい。
【0014】
コネクタはチューブ通路を介してチャンバと連通できる。第1拡張チャンバのチューブ通路はコネクタから取り外せる。加圧流体は、順次に時間間隔をずらしてチャンバを拡張させるようにチャンバへ配送できるので、例えば、第1拡張チャンバが拡張し、続いて(2.5秒後に)第2拡張チャンバ、(3秒後に)第3拡張チャンバが、第1拡張チャンバの開始から合計11秒までに拡張する。次いで、チャンバ全てが同時に大気圧へ排気される。
【0015】
代替の実施の形態では、圧迫装置には、脚廻りを包むよう構成され、複数の排気開口部を画成するスリーブが含まれる。スリーブは、サブチャンバを有する第1の膨張チャンバを画成する大腿部分を含む。スリーブは、サブチャンバを有する第2の膨張チャンバを画成するふくらはぎ部分と、サブチャンバを有する第3の膨張チャンバを画成する足首部分とを更に含む。足首部分は、チューブ通路を介して加圧流体源とチャンバとの両者を流体連通して、チャンバの膨張を容易にする弁コネクタを含む。大腿部分は、穿孔付アタッチメントを介してふくらはぎ部分へ取外し可能に接続され、第1膨張チャンバのチューブ通路は弁コネクタから取外し可能である。
【0016】
代替の実施の形態において、圧迫装置は、脚廻りに配置するように構成される拡張可能なスリーブを含む。スリーブは、脚の膝下から膝上までの長さに延びている。スリーブは、膝下から膝上まで延びる長さから、膝下だけに延びる長さに切り換えることができる。膝下から膝上まで延びるスリーブの長さには、脚の大腿部廻りに配置可能な第1部分を含めることができ、第1部分はスリーブから取り外すことができる。第1部分は穿孔部を介してスリーブに接続される。
【0017】
一方法では、足首部ブラッダは2.5秒間圧迫され、中央部ブラッダは2.5秒間圧迫され、近位部ブラッダも2.5秒間圧迫される。11秒が経過した後、全てのブラッダは同時に排気される。大腿部分を引き離すことにより、脚全体から膝の長さに切り換えることができる。排気スリットをふくらはぎ部分の背面に配置する。これにより放熱がなされて、痒みを抑え、動きを適合させる。圧迫スリーブの下にニットまたはメリヤス類を用いてもよい。
【0018】
代替の実施の形態では、身体の四肢に圧迫を実行する方法は、四肢廻りへ配置可能に構成されるスリーブを提供するステップであって、スリーブは、第1膨張チャンバを画成する第1部分、ならびに第2膨張チャンバおよび第3膨張部分を画成する第2部分を含み、第2部分は、加圧流体源および各チャンバに流体連通するコネクタを含み、それにより加圧流体源と各チャンバとの間の流体連通が容易になり、第1部分は第2部分から取り外すことができる、ステップ;四肢廻りにスリーブを配置するステップ;加圧流体を第1膨張チャンバへ配送するステップ;加圧流体を第2膨張チャンバへ配送するステップ;加圧流体を第3膨張チャンバへ配送するステップ;チャンバを収縮させるステップ;および、第1部分を第2部分から取り外すステップ;を含む。
【0019】
配送するステップはそれぞれ、2.5秒間実行されるものでもよい。取り外すステップは、コネクタから第1膨張チャンバの接続を外すステップを含む。取り外すステップには、穿孔付アタッチメントを介して、第1部分を第2部分から引き裂くステップを含むことができる。
【0020】
代替の実施の形態において、身体の四肢へ圧迫を実行する方法は、脚の廻りへ配置可能に構成される拡張可能なスリーブを提供するステップ;スリーブが脚の膝下から膝上までの長さに拡張するように、四肢廻りへスリーブを配置するステップ;加圧流体をスリーブへ配送するステップ;スリーブを収縮させるステップ;および膝下から膝上まで延びる長さから、膝下だけへ延びる長さに、スリーブを切り換えるステップ;を含む。スリーブが脚の膝下から膝上までの長さに拡張するように、四肢廻りへスリーブを配置するステップは、脚の大腿部廻りへ配置されるスリーブの第1部分を含むことができる。切り換えるステップは、スリーブから第1部分を引き裂くステップを含むことができる。
【0021】
例示の実施の形態の詳細な説明
開示する圧迫装置および操作方法の例示の実施の形態を、身体の四肢に適用するための予防的圧迫装置を含む血管治療の点から説明し、取外し可能な部分を有する圧迫処置装置の点から更に詳細に説明する。本圧迫装置は、患者の不動状態に関係する危険性を予防し、克服するために利用できるよう意図している。更に、患者の不動状態に起因する病状を圧迫装置が緩和して、例えば、DVT、末梢浮腫等を予防することも意図されている。本開示による圧迫装置は、限定はしないが、予防的順次圧迫装置を含む、あらゆる種類の静脈圧迫システムに帰属させることができるよう意図している。用語「予防的順次」が、本明細書で説明する一般的な静脈圧迫処置システムを限定していると解釈してはならない。しかしながら、想定では、本開示は、例えば手術中の患者、知覚麻痺患者、長期ベッド療養患者、肥満症患者、高齢患者、悪性腫瘍患者、前記血栓塞栓症患者等および同様な患者の広範に亘る不動状態の病状への適用を考えている。
【0022】
以下の説明において、用語「近位」は対象者の胴体部に近い方の構造の一部を指し、用語「遠位」は胴体部から遠い方の構造の一部を指す。本明細書で用いるときには、用語「対象者」は、圧迫装置を用いて血管治療を受ける患者を指す。本開示によれば、用語「治療士」は、予防的順次式圧迫装置を扱う個人を指し、支援要員を含めてもよい。
【0023】
以下の説明には、圧迫装置の説明、続いて、本開示の原理による圧迫装置を操作する例示の方法の説明が含まれる。付帯の図で説明する例示の実施の形態および開示への参照を詳細に行う。
【0024】
図では、幾つかの図の全体に亘って、同じ要素は同じ符号で指定する。最初に、本開示の原理により構築した予防的順次圧迫装置10を示す図1および図2を参照する。圧迫装置10は、例えば、対象者の身体の脚L(図4〜図6)等の、四肢廻りへ配置可能に構成されたスリーブ12を含む。スリーブ12、および圧迫装置10の他の部分は、対象者の身体の、例えば脚、腕のような様々な四肢、手足等に配置され、巻き付けられ、取り付けられるものでもよい、ということが意図される。
【0025】
スリーブ12は、例えば大腿部分14のような第1部分を含む。第1部分は、例えば第1膨張チャンバ16のような第1拡張チャンバを画成する。スリーブ12の第2部分18は、例えば、第2膨張チャンバ20のような第2拡張チャンバ、および、例えば第3膨張チャンバ22のような第3拡張チャンバを画成する。第1部分14および第2部分18は、一つまたは複数の拡張チャンバを含むことができる。更に、スリーブ12またはその部分は使い捨てでもよいことが想定される。
【0026】
第2部分18は、第2膨張チャンバ20を含むふくらはぎ部分24、および第3膨張チャンバ22を含む足首部分26を有する。第1部分および第2部分18は、対象者の四肢の様々な部分へ、特定の血管治療適用の要件に従って配置してもよいことが意図される。後述するように、足首部分26には、弁コネクタ28およびチューブ62(図4Cおよび図4D)を介して加圧流体源30と流体連通するとともに、チューブを含む流体通路を介してチャンバ16、20、22にも流体連通する弁コネクタ64が含まれる(例えば、全内容を引用して本明細書に組み込んだ、2004年2月23日出願の米国特許出願第10/784,639号、発明の名称「流体導管コネクタ装置」に記載の弁コネクタを参照。)。チューブ62は3本の分離したチューブまたは管腔65A、65B、65Cからできている。この構成により、加圧流体30と、チャンバ16、20、22との間の流体連通が容易になる。
【0027】
大腿部分14は第2部分18から取外し可能である。例えば、ふくらはぎ部分24は、穿孔付アタッチメント32を介して大腿部分14へ取外し可能に接続する。この取外し可能な構成は、簡易な操作により圧迫装置10が嵩張るのを軽減し、対象者への快適性および順応性を高める利点をもつ。圧迫装置10は、対象者に十分な移動性も提供する。スリーブ12には、使用中の四肢の移動を容易にする弾性材料またはスパンデックス材料等のフレキシブルな区域を、部分間に配置して含めてもよいことが意図される。
【0028】
図1および図2で最もよくわかるように、スリーブ12には、重ね合わせてスリーブを形成する上部シート34および下部シート36が含まれる。上部シート34および下部シート36は、膨張チャンバ16、20、22を画成するシーム部で接合して固定する。シーム部38はチャンバ16を画成し、シーム部40はチャンバ20を画成し、そしてシーム部42はチャンバ22を画成する。エッジ部44は、シーム部38、40、42を越えてスリーブ12の廻りに延びる。意図する点は、スリーブ12には、その周囲に様々に配置される、上部シート34および下部シート36を接合する複数のシーム部が含まれる。シーム部は、溶着や、縫合や、接着による形成や、熱シール等で処理されてもよい、ということも意図される。
【0029】
上部シート34および下部シート36は特定の血管治療適用に応じて、および/または好みに応じて、PVC(ポリ塩化ビニル)およびPE(ポリエチレン)のような、例えば、フィルム、織物等の、チャンバ16、20、22の膨張に適した材料で製作される。ウレタンおよびシリコン等の、半フレキシブルおよびフレキシブル織物を用いてもよい。スリーブ12は、チャンバ16、20、22を含み、シート34、36とともに配置されるか、またはシート34、36に取り付けられる分離構造を含むことができる。しかしながら、従来技術に精通する者には言うまでもなく、本開示に基づく組立ておよび製造に適する他の材料および製造方法であってもよい。
【0030】
スリーブ12は対象者の四肢に隣接する部分に、冷却作用を提供する、例えばスリーブ孔46等の排気開口部を画成する。スリーブ孔46は、上部シート34および下部シート36を完全に貫通する。これにより、対象者の使用中の快適さが改善される。スリーブ12には、スリーブ孔46を囲んで、それぞれのチャンバを孔からシールして絶ち、その間の流体連通を防ぐ溶着部分48が含まれる。スリーブ12は、冷却作用を提供する排気孔47も含む。スリーブ12は、その周辺に様々に配置される複数の排気開口部を含んでもよいことが想定される。
【0031】
例えば、排気スリット50のような排気開口部を、膨張チャンバ20と膨張チャンバ22との間に配置する。排気スリット50は、上部シート34および下部シート36を完全に貫通する。排気スリットは対象者に冷却効果を提供し、使用中のふくらはぎおよび足首の移動性を増大する利点をもつ。排気スリット50は様々な長さであってもよいことが意図される。
【0032】
大腿部分14は、膨張チャンバ16のサブチャンバ54を画成するスポット溶着部52の軸方向ラインを含む。同様に、ふくらはぎ部分24は、膨張チャンバ20のサブチャンバ56を画成するスポット溶着部54の軸方向ラインを含み、足首部分26は、膨張チャンバ22のサブチャンバ60を画成するスポット溶着部58を含む。想定では、サブチャンバは、代替として、連続した溶着、接着、ホットシール等により形成してもよい。想定では更に、溶着部58を多様な配向で配置してサブチャンバの代替構成を創出してもよい。
【0033】
弁コネクタ28は、流体通路を介してチャンバ16、20、22に連通する。流体通路には、ポンプを含むこともある加圧流体源30へ弁コネクタ28を接続するチューブ62が含まれる(例えば、全内容を引用して本明細書に組み込まれた、2004年2月23日出願の米国特許出願第10/784,323号、発明の名称「圧迫処置システム」、に記載のコントローラーポンプを参照)。加圧流体源30は、固定式でも可搬式でもよい。加圧流体源30は、本開示の原理にしたがった血液治療を実行するために、必要な電子回路、コンピューターソフトウエア他を含むものとしてもよい。
【0034】
チューブ62は、図3に示すように、カプラー64を介して弁コネクタ28に取り付けられる。チューブ66は弁コネクタ28から延びて膨張チャンバ20に流体接続する。チューブ67は弁コネクタ28から延びて膨張チャンバ22に流体接続する。チューブ68は弁コネクタ28から延びて膨張チャンバ16に流体接続する。チューブ68は迅速抜去ポート70を含む。ポート70は、弁コネクタ28に取り付けられており、簡単に取り外してふくらはぎ部分24からの大腿部分14の取外しを容易にする。チューブ62および管腔65A、65B、65Cは、チューブ67、66、68にそれぞれ対応する。想定では、弁コネクタ28を、脱着可能なつなぎ止め等でスリーブ12に固定できる。更に、ポート70を弁コネクタ28に固定でき、チューブ68は大腿部分14から取外し可能であることも想定される。
【0035】
スリーブ12は、例えば、対応するフックループパッド(マジックテープ(登録商標))74と係合させる方向に取り付けたフックループパッド72等の、締め付け部品を含む。フックループパッド72、74は、スリーブ12の対象者の脚Lへの取り付けを確実にできる。一つまたは複数の締め付け部品をスリーブ12廻りに様々に配置できることが意図される。更に、締め付け部品は、例えば、クリップ、接着剤、ピン等を含めてもよいことが意図される。
【0036】
図4〜図7を参照する。上記説明と類似した圧迫装置10が、使用するために組立て、消毒、および梱包されている。使用に際しては、圧迫装置10を、対象者の脚L廻りに配置するように準備し、操作する。チューブ66をふくらはぎ部分24に接続し、チューブ67を足首部分26と接続する。チューブ68は大腿部分14に接続する。チューブ66、67、68は、弁コネクタ28に接続される。弁コネクタ28はチューブ62および加圧流体源30に接続される(図4Cおよび図4D)。従って、圧迫装置10の流体通路は、加圧流体源30と、チャンバ16、20、22との間の流体連通を達成する。
【0037】
図4Aおよび図4Bに示すように、スリーブ12で脚L廻りを包み込み、フックループパッド72、74を介してそこに固定される。スリーブ12は、第2部分18を介して脚Lの膝下から、大腿部分14を介して膝の上までの長さに延びる。圧迫装置10は、流体通路を介してチャンバ16、20、22へ加圧流体を配送することにより順次に作動する。一実施の形態では、図7に示すように、加圧流体源30は、加圧11秒、減圧49秒を含む60秒サイクルで、スリーブ12へ空気を配送する。膨張チャンバ22に加圧空気を2.5秒間配送する。次いで、膨張チャンバ20に加圧空気を2.5秒間配送する。次いで、膨張チャンバ16に加圧空気を2.5秒間配送する。圧迫装置10を11秒までの間膨張を維持し、次いで、チャンバ16、20、22を同時に収縮させる。この順次加圧は、特定の血管治療適用の要件に従って、複数サイクルの間継続できることが意図される。他の順次加圧サイクルも意図される。例えば、液体、気体等の様々な形の流体をスリーブ12へ配送できることが想定される。
【0038】
順次加圧の所望の時間、例えば特定の血管治療適用の要件に従う回復時間等、が経過した後、大腿部分14は、第2部分18から取り外してもよい。従って、スリーブ12は、膝下から膝上まで延びる長さから、膝下だけに延びる長さに切り換えることができる。スリーブ12は、図6Aおよび図6Bに示すように、穿孔部32を介して、大腿部分14をふくらはぎ部分24から引き裂いて取り外すように操作される。チューブ68に接続するポート70は、図5Bに示すように、容易な操作で弁コネクタ28から迅速に抜去できる。ふくらはぎ部分24および足首部分26を含むスリーブ12の残りの部分は、単独で上記した動作を継続する。これにより、スリーブ12は、脚の長さ全体の装置から膝の長さの装置に切り換えられる。圧迫装置10は、所望の血管治療適用を完了させるために利用することができる。他の使用方法、例えば大腿部分14を取り外さず、スリーブ12に残すことも意図されている。
【0039】
上記のように、大腿部分14を任意に取り外すにあたり、ユーザーまたは治療士は、チューブ材68の接続を外し、コネクタ28からポート70の接続を外す。コネクタ28(および任意で接続を外されるポート70)は、チューブ68をコネクタ28から分離した時でも、流体源30から所望の流量の流体がコネクタ28を通って達成されたままになるように構成される。このような継続した流れは、加圧流体源30による連続性を維持するのに好ましい。つまり、ユーザーまたは治療士が、圧迫装置10から大腿部分14を取り外すことを決めた場合に、流体源30に流量調整を行わなくてもよい。大腿部分14を取り外した後でも、加圧流体源30は、コネクタ28にチューブ65Cを通じて同一の流量および圧力を配送し、大気に放出し続ける。
【0040】
図8を参照して、圧迫装置10の代替の実施の形態を示す。上記の場合と同様に、スリーブ12は、大腿部分14および第2部分118を含む。第2部分118は、膨張チャンバ122を含むふくらはぎ部分124および足首部分126を有する。加圧流体源30(図1)は、弁コネクタ28およびチューブ62(図1)を介して、スリーブ12と流体連通する。上記の場合と同様に、穿孔部分32を介した大腿部分14のオプションの取り外しを含めて使用するために、弁コネクタ28は、別々のチューブ68および166を介して、チャンバ16および122とそれぞれ流体連通する。
【0041】
言うまでもなく、本明細書で開示した実施の形態に多様な改変を行うことができる。例えば、インスタント圧迫装置10の引き裂きおよび取り外しの特徴は、他の圧迫装置とともに用いてもよい(全内容を引用して本明細書に組み込んだ、2004年2月23日出願の米国特許出願第10/784,604号、発明の名称「圧迫装置」に記載の圧迫装置を参照)。従って、上記説明は制限のため、と解釈すべきではなく、単に多様な実施の形態の例示にすぎない。当該技術に精通する者は、本明細書に付帯の特許請求の範囲および精神の範囲内で他の改変を想定できよう。
【図面の簡単な説明】
【0042】
新規性があると確信する本開示の目的および特徴を、付帯の請求項で詳細に説明する。更なる目的および利点と併せた操作の体系および手法の両方に関する本開示は、以下に説明する付帯の図面と関連させた以下の説明を参照することにより最良の理解を得ることができる。
【図1】図1は、本開示の原理による圧迫装置の特定の一実施の形態の透視図である。
【図2】図2は、図1に示す装置のチャンバの側面断面図である。
【図3】図3は、図1に示す装置のコネクタの上面図である。
【図4A】図4Aは、四肢廻りに配置された図1に示す装置および加圧流体源の透視図である。
【図4B】図4Bは、四肢廻りに配置された図1に示す装置および加圧流体源の透視図である。
【図4C】図4Cは、図示の装置の透視図である。
【図4D】図4Dは、図示の装置の透視図である。
【図5A】図5Aは、図4A〜図4Dに示す装置の透視図であり、装置の一部のチューブ通路をコネクタから取り外すところである。
【図5B】図5Bは、図4A〜図4Dに示す装置の透視図であり、装置の一部のチューブ通路をコネクタから取り外すところである。
【図6A】図6Aは、図5に示す装置の透視図であり、装置の一部を取り外すところである。
【図6B】図6Bは、図5に示す装置の透視図であり、装置の一部を取り外すところである。
【図7】図7は、図1に示す装置の順次圧迫を説明する圧力対時間のプロット図である。
【図8】図8は、図1に示す圧迫装置の代替の実施の形態である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧迫装置であって:
四肢廻りへ配置可能に構成されるスリーブを備え、
前記スリーブは、第1拡張チャンバを画成する第1部分、ならびに第2拡張チャンバおよび第3拡張チャンバを画成する第2部分を含み、
前記第2部分は、加圧流体源、前記第1拡張チャンバ、前記第2拡張チャンバ、および前記第3拡張チャンバに流体連通するコネクタを含み、それにより前記加圧流体源と前記チャンバとの間の流体連通を容易にし、
前記第1部分は前記第2部分から取り外すことができる、圧迫装置。
【請求項2】
前記第1部分が、穿孔付アタッチメントを介して前記第2部分に接続される、
請求項1の圧迫装置。
【請求項3】
前記第1部分が、前記四肢の第1部分廻りへ配置可能に構成され、前記第2部分が、前記四肢の第2部分廻りへ配置可能に構成される、
請求項1の圧迫装置。
【請求項4】
前記第2拡張チャンバは、前記四肢の第2部廻りへ配置するように前記第2部分へ配置され、前記第3拡張チャンバは、前記四肢の第3部廻りへ配置するように前記第2部分へ配置される、
請求項1の圧迫装置。
【請求項5】
前記第1拡張チャンバが、少なくとも一つのサブチャンバを画成する、
請求項1の圧迫装置。
【請求項6】
前記第2拡張チャンバが、少なくとも一つのサブチャンバを画成する、
請求項5の圧迫装置。
【請求項7】
前記第3拡張チャンバが、少なくとも一つのサブチャンバを画成する、
請求項6の圧迫装置。
【請求項8】
前記スリーブが、少なくとも一つの排気開口部を画成する、
請求項1の圧迫装置。
【請求項9】
前記少なくとも一つの開口部が、前記拡張チャンバの表面に形成される開口部を含む、
請求項8の圧迫装置。
【請求項10】
前記少なくとも一つの開口部が、前記第2拡張チャンバと前記第3拡張チャンバとの間に配置されるスリットを含む、
請求項8の圧迫装置。
【請求項11】
前記コネクタが、チューブ通路を介して前記チャンバと連通する、
請求項1の圧迫装置。
【請求項12】
前記第1拡張チャンバの前記チューブ通路が、前記コネクタから取外し可能である、
請求項11の圧迫装置。
【請求項13】
前記第1拡張チャンバが2.5秒間拡張し、続いて前記第2拡張チャンバが3秒間拡張し、そして前記第3拡張チャンバが5.5秒間拡張するように、順次に時間間隔をずらしてチャンバを拡張させるよう加圧流体が前記チャンバへ配送される、
請求項1の圧迫装置。
【請求項14】
前記チャンバが同時に収縮される、
請求項1の圧迫装置。
【請求項15】
圧迫装置であって:
脚廻りを包むよう構成され、複数の排気開口部を画成するスリーブを備え、
前記スリーブは、サブチャンバを有する第1膨張チャンバを画成する大腿部分を含むとともに、前記スリーブは、サブチャンバを有する第2膨張チャンバを画成するふくらはぎ部分、およびサブチャンバを有する第3膨張チャンバを画成する足首部分を更に含み、
前記ふくらはぎ部分は、加圧流体源および前記チャンバの両者を、チューブ通路を介して流体連通して前記チャンバの膨張を容易にする弁コネクタを含み、
前記大腿部分は、穿孔付アタッチメントを介して、前記ふくらはぎ部分へ取外し可能に接続され、第1膨張チャンバの前記チューブ通路は前記弁コネクタから取外し可能である、
圧迫装置。
【請求項16】
前記スリーブは、前記第2膨張チャンバと前記第3膨張チャンバとの間に配置される排気スリットを更に含む、
請求項15の圧迫装置。
【請求項17】
前記第1膨張チャンバが2.5秒間膨張し、続いて前記第2膨張チャンバが3秒間膨張し、次いで前記第3膨張チャンバが5.5秒間拡張するよう加圧流体が前記チャンバに配送され、次いで前記チャンバが同時に収縮される、
請求項15の圧迫装置。
【請求項18】
身体の四肢に圧迫を実行する方法であって:
前記四肢廻りへ配置可能に構成されるスリーブを提供するステップであって、前記スリーブは、第1膨張チャンバを画成する第1部分、ならびに第2膨張チャンバおよび第3膨張チャンバを画成する第2部分を含み、前記第2部分は、加圧流体源および前記チャンバに流体連通するコネクタを含み、それにより前記加圧流体源と前記チャンバとの間の流体連通が容易になり、前記第1部分は前記第2部分から取り外すことができる、ステップ;
前記四肢廻りへ前記スリーブを配置するステップ;
加圧流体を前記第1膨張チャンバへ配送するステップ;
加圧流体を前記第2膨張チャンバへ配送するステップ;
加圧流体を前記第3膨張チャンバへ配送するステップ;
前記チャンバを収縮させるステップ;および、
前記第1部分を前記第2部分から取り外すステップ;を含む、圧迫を実行する方法
【請求項19】
前記配送するステップが、それぞれ、2.5秒と5.5秒との間の期間実行される、
請求項18の圧迫を実行する方法。
【請求項20】
前記取り外すステップは、前記コネクタから前記第1膨張チャンバの接続を外す、
請求項18の圧迫を実行する方法。
【請求項21】
前記取り外すステップは、穿孔付アタッチメントを介して、前記第1部分を前記第2部分から引き裂くステップを含む、
請求項18の圧迫を実行する方法。
【請求項22】
圧迫装置であって:
脚廻りへ配置可能に構成される拡張可能なスリーブを備え、前記スリーブは、前記脚の膝下から前記膝上までの長さに延び、前記スリーブは、前記膝下から前記膝上まで延びる長さから、前記膝下だけに延びる長さへ切り換えることができる、圧迫装置。
【請求項23】
前記膝下から前記膝上まで延びる前記スリーブの長さは、前記脚の大腿部廻りへ配置される第1部分を含み、前記第1部分は、前記スリーブから取り外すことができる、
請求項22の圧迫装置。
【請求項24】
前記第1部分は、穿孔部を介して前記スリーブに接続される、
請求項23の圧迫装置。
【請求項25】
身体の四肢へ圧迫を実行する方法であって:
脚の廻りへ配置可能に構成される拡張可能なスリーブを提供するステップ;
前記スリーブが前記脚の膝下から前記膝上までの長さへ拡張するように前記四肢廻りへ前記スリーブを配置するステップ;
加圧流体を前記スリーブへ配送するステップ;
前記スリーブを収縮させるステップ;および、
前記膝下から前記膝上まで延びる前記長さから、前記膝下だけに延びる長さへ、前記スリーブを切り換えるステップ;を含む、圧迫を実行する方法。
【請求項26】
前記スリーブが前記脚の膝下から前記膝上までの長さに拡張するように前記四肢廻りへ前記スリーブを配置するステップが、前記スリーブの第1部分を前記脚の大腿部廻りへ配置するステップを含む、
請求項25の圧迫を実行する方法。
【請求項27】
前記切り換えるステップが、前記スリーブから前記第1部分を引き裂くステップを含む、
請求項26の圧迫を実行する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2007−522891(P2007−522891A)
【公表日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−554298(P2006−554298)
【出願日】平成17年2月23日(2005.2.23)
【国際出願番号】PCT/US2005/005600
【国際公開番号】WO2005/082315
【国際公開日】平成17年9月9日(2005.9.9)
【出願人】(506284887)タイコ ヘイルスケア グループ エルピー (3)
【Fターム(参考)】