説明

圧電トランス高圧電源装置

【課題】高圧電源装置を形成するプリント配線基板に対して、圧電トランスを直接実装できるように圧電セラミックを加工し、圧電トランスとプリント配線基板上の配線パターンとの接続及び圧電トランスの固定を簡略化し、圧電トランスの小型化・薄型化を実現し、低背・低コストである圧電トランス高圧電源装置を提供すること。
【解決手段】プリント配線基板14に圧電トランスを実装する前に、圧電セラミック1の電極2、3及び4にL字形状の接点板金6、7及び8を取り付けて圧電トランスを形成し、その圧電トランスを、プリント配線基板14に設けた開口部に基板面に垂直に収納し、接点板金6、7及び8と配線パターン21、22及び23を接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電トランス高圧電源装置に関し、特に、電子写真プロセスにより画像を形成する画像形成装置における、圧電トランスを用いる高圧電源装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真プロセスにより画像を形成する画像形成装置において、感光体に転写部材を当接させて転写を行う直接転写方式を採る場合、転写部材には導電体の軸を持つローラ状の導電性ゴムを用い、感光体のプロセススピードに合わせ回転駆動させている。そして、転写部材に印加する電圧として、直流バイアス電圧を用いている。このとき、直流バイアス電圧の極性は、通常のコロナ放電式の転写電圧と同じ極性である。しかし、こういったローラ状の転写部材、すなわち、転写ローラを用いて良好な転写を行うためには、通常3kV以上の電圧(所要電流は数μA)を転写ローラに印加する必要があった。上述したような画像形成処理に必要とされる高電圧を生成するために、従来は巻線式の電磁トランスを使用していた。しかし、電磁トランスは、銅線、ボビン、磁芯で構成されており、上記のような仕様に用いる場合は、出力電流値が数μAという微小な電流のために各部に於いて漏れ電流を最大限少なくしなければならなかった。そのため、トランスの巻線を絶縁物によりモールドする必要が有り、しかも供給電力に比較して大きなトランスを必要としたため、高圧電源装置の小型化・軽量化の妨げとなっていた。
【0003】
そこで、これらの問題を解消するために、薄型で軽量の高出力の圧電トランスを用いて高電圧を発生させることが検討されている。すなわち、セラミックを素材とした圧電トランスを用いることにより、電磁トランス以上の効率で高電圧を生成することが可能となる。しかも、一次側および二次側間の結合に関係なく一次側と二次側の電極間の距離を離すことが可能となるので特別に絶縁の為にモールド加工する必要がない。このため、高圧発生装置を小型・軽量にできるという優れた特性が得られている。従来、圧電トランス高圧電源におけるプリント配線基板への圧電トランスの実装方法として、矩形箱状のケース内に接着剤を介して圧電セラミックを収納し、それを基板上に実装している。圧電セラミックの矩形箱状ケースへの配置として、横姿勢で圧電セラミックを収納して基板上に面実装する構成(例えば、特許文献1参照)がある。また、矩形箱状のケース内に縦姿勢で圧電セラミックを収納し、基板上に実装する構成(例えば、特許文献2参照)などを用いていた。圧電セラミックの電極とプリント配線基板上のパターンを接続するためにケース及びケースに取り付けられたピンなどを介していたため、圧電トランス本来の小型、薄型という利点を活かしきれていなかった。また、圧電セラミックをプリント配線基板に設けた開口部に収納し、一対の支持部材で圧電セラミックの両面の電極を挟み込む構成(例えば、特許文献3参照)なども提案されている。この構成は、圧電トランスとして単一のユニットで構成する場合には有効であるが、1枚のプリント配線基板に複数個の圧電トランスを形成するレーザビームプリンタの高圧電源装置に対しては、実装作業性及び量産性がよくないため実現できなかった。
【特許文献1】特開平8−32135号公報
【特許文献2】特開2006−108332号公報
【特許文献3】特許第2923451号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の圧電トランス高圧電源装置では、以上のような矩形箱状のケースに収納し、ピン等の部材を介してプリント配線基板に実装されて圧電トランスを構成していた。このことから、圧電トランスのケースやピン等の部材コスト及び圧電トランスを形成する際の製造コストが余計に発生してしまい、圧電トランスとして高価なものになっていた。特に、カラーレーザプリンタでは多種多様な高圧出力が必要となる場合があり、その際多くの圧電トランスが必要となるため、圧電トランスのコストが全体に占める割合も大きなものとなる。また、ケースに収納したことにより、圧電トランス本来の小型、薄型という利点を活かしきれていなかった。
【0005】
そこで、本出願の目的は、圧電トランスの小型化・薄型化を実現し、低背・低コストである圧電トランス高圧電源装置を提供することにある。なお、このために、高圧電源装置を形成するプリント配線基板に対して、圧電トランスを直接実装できるように圧電セラミックを加工し、圧電トランスとプリント配線基板上の配線パターンとの接続及び圧電トランスの固定を簡略化する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的は本発明に係る圧電トランス高圧電源装置にて達成される。すなわち、本発明は、下記の構成を特徴とする圧電トランス高圧電源装置を提供する。
【0007】
(1)像担持体上に静電潜像を形成する潜像形成手段と、前記静電潜像にトナー像を形成する現像手段と、前記トナー像を被転写部材に転写する転写手段と、前記トナー像を転写された前記被転写部材にトナーを加熱定着させる定着手段と、前記被転写部材を搬送する搬送手段とを備える画像形成装置に用いられる圧電トランス高圧電源装置であって、前記潜像形成手段、前記現像手段、前記転写手段に高圧電圧を印加する高圧電源手段を備え、前記高圧電源手段は、矩形状の板状体からなる圧電セラミックに一次電極及び二次電極を形成した圧電トランスと、前記圧電トランスを駆動するための駆動周波数を発生する発生手段と、出力電圧設定手段と、出力検出手段と、前記出力検出手段からの信号ならびに前記出力電圧設定手段からの信号により出力電圧を制御する出力制御手段とを有し、前記圧電トランス、前記発生手段、前記出力電圧設定手段、前記出力検出手段、前記出力制御手段は、表面にパターンが形成されたプリント配線基板上に配置され、前記圧電トランスは、前記圧電セラミックの一次電極及び二次電極に接点部材を取り付けて形成され、前記圧電トランスを組み立てた後に前記プリント配線基板に実装することを特徴とする圧電トランス高圧電源装置。
【0008】
(2)前記(1)に記載の圧電トランス高圧電源装置において、前記圧電トランスは、前記プリント配線基板に設けられた前記圧電セラミックよりも大きな開口部に、前記プリント配線基板の基板面に対して垂直に収納して実装されることを特徴とする圧電トランス高圧電源装置。
【0009】
(3)前記(1)に記載の圧電トランス高圧電源装置において、前記圧電セラミックと前記接点部材との接続に導電性部材を用いることを特徴とする圧電トランス高圧電源装置。
【0010】
(4)前記(1)に記載の圧電トランス高圧電源装置において、前記接点部材の前記圧電セラミックと接続する部位に、導電性部材を注入する開口部を設けることを特徴とする圧電トランス高圧電源装置。
【0011】
(5)前記(1)に記載の圧電トランス高圧電源装置において、前記接点部材の前記圧電セラミックと接続する部位に、導電性部材の位置を規定する凹凸形状を設けることを特徴とする圧電トランス高圧電源装置。
【0012】
(6)前記(1)に記載の圧電トランス高圧電源装置において、前記接点部材は、前記プリント配線基板上の配線パターンに接続され、その接続に導電性部材を用いることを特徴とする圧電トランス高圧電源装置。
【0013】
(7)前記(1)に記載の圧電トランス高圧電源装置において、前記接点部材の前記プリント配線基板上の配線パターンと接続する部位に、導電性部材を注入する開口部を設けることを特徴とする圧電トランス高圧電源装置。
【0014】
(8)前記(1)に記載の圧電トランス高圧電源装置において、前記接点部材は、L字型板金とすることを特徴とする圧電トランス高圧電源装置。
【0015】
(9)前記(1)に記載の圧電トランス高圧電源装置において、前記接点部材は、前記プリント配線基板の基板面に対して垂直に折り曲げた形状を有し、前記プリント配線基板は、スリットと前記スリットに差し込まれた受け部材とを有し、前記接点部材の折り曲げた形状の部位と、前記受け部材とが嵌合することを特徴とする圧電トランス高圧電源装置。
【発明の効果】
【0016】
本出願に係る発明によれば、予め圧電セラミックの電極に接点部材を取り付けた簡単な構成で圧電トランスを形成することで、圧電トランスとしての取り扱いが容易になる。また、プリント配線基板への実装前に、圧電トランス単独での特性検査などが容易にできるため、信頼性の高い圧電トランス高圧電源を提供することができる。また、プリント配線基板に設けた開口部に圧電トランスを垂直に収納することにより、低背化が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0018】
図2は本実施例のカラーレーザプリンタの概略構成断面図である。
【0019】
レーザプリンタ401は記録紙32(被転写部材に相当)を収納するデッキ402を有し、デッキ402内の記録紙32の有無を検知するデッキ紙有無センサ403を有する。また、デッキ402から記録紙32を繰り出すピックアップローラ404、前記ピックアップローラ404によって繰り出された記録紙32を搬送するデッキ給紙ローラ405を有する。また、前記デッキ給紙ローラ405と対をなし、記録紙32の重送を防止するためのリタードローラ406が設けられている。そして、デッキ給紙ローラ405の下流には記録紙32を同期搬送するレジストローラ対407、前記レジストローラ対への記録紙32の搬送状態を検知するレジ前センサ408が配設されている。
【0020】
またレジストローラ対407の下流には静電吸着搬送転写ベルト(以下ETBと記す)409が配設されている。前記ETB上には、画像形成部によって形成された画像が転写ローラ430Y、430M、430C、430B(転写手段に相当)によって順次重ね合わされていくことによりカラー画像が形成され記録紙32上に転写搬送される。ここで、画像形成部は、後述する4色(イエローY、マゼンタM、シアンC、ブラックB)分のプロセスカートリッジ410Y、410M、410C、410Bとスキャナユニット420Y、420M、420C、420Bからなる。さらに下流には記録紙32上に転写されたトナー像を熱定着するために、次の部材が配設されている。すなわち、内部に加熱用のヒータ432を備えた定着ローラ433(定着手段に相当)と加圧ローラ434対、定着ローラからの記録紙32を搬送するための、定着排紙ローラ対435、定着部からの搬送状態を検知する定着排紙センサ436が配設されている。
【0021】
また、前記各スキャナユニット420(潜像形成手段に相当)は、レーザユニット421、ポリゴンミラー422、スキャナモータ423、結像レンズ群424より構成されている。ここで、レーザユニット421は、後述するビデオコントローラ440から送出される各画像信号に基づいて変調されたレーザ光を発光する。また、ポリゴンミラー422とスキャナモータ423は、各レーザユニット421からのレーザ光を各感光ドラム305上に走査する。そして、前記各プロセスカートリッジ410には公知の電子写真プロセスに必要な感光ドラム305(像担持体に相当)、帯電ローラ303と現像ローラ302(現像手段に相当)、トナー格納容器411を具備している。そして、レーザプリンタ401に対して着脱可能に構成されている。なお、各色の符号は省略している。
【0022】
さらに、前記ビデオコントローラ440はパーソナルコンピュータ等の外部装置(ホストコンピュータ)441から送出される画像データを受け取ると、前記画像データをビットマップデータに展開し、画像形成用の画像信号を生成する。また、201はレーザプリンタの制御部であるDCコントローラである。DCコントローラ201は、RAM207a、ROM207b、タイマ207c、デジタル入出力ポート207d、D/Aポート207eを具備したMPU(マイクロコンピュータ)207、及び各種入出力制御回路(不図示)等で構成されている。
【0023】
さらに、202は高圧電源部(高圧電源手段に相当)であり、各プロセスカートリッジに対応した帯電高圧電源(不図示)、現像高圧電源(不図示)と、各転写ローラ430に対応した高圧を出力可能な転写高圧電源とで構成されている。これらの各高圧電源を単一或いは複数のプリント配線基板上に含む高圧電源装置は、小型、薄型、軽量な圧電セラミックの特性を活かして低背化が可能な圧電トランスを用いる。なお、高圧電源部202は、後述する圧電トランスと、周波数発生回路(発生回路に相当)を有する。また、必要な電圧を設定するための出力電圧設定手段、出力電圧を検出するための出力検出手段、出力検出手段と出力電圧設定手段からの信号に基づき出力電圧を制御する出力制御手段とを有する。
【0024】
以下、この圧電トランス高圧電源装置における、圧電トランスの最適な構成及び実装方法について説明する。本実施例の圧電トランス高圧電源構成については、図1、図3、図4及び図5に基づいて説明する。
【0025】
図1は本実施例に係る圧電トランスの実装状態における斜視図である。図3は本実施例に係る圧電トランスを構成する前の状態における斜視図である。図4(a)は本実施例に係る圧電トランスの平面図、図4(b)は図4(a)のA−A’における断面図、図4(c)は図4(b)のB−B’における断面図である。図5(a)は本実施例に係る接点部材の斜視図、図5(b)は図5(a)の面Cにおける断面図である。なお、圧電トランス高圧電源装置には、プリント配線基板上には表裏問わず圧電トランスを含めて様々な部品が実装されている。本発明は、圧電トランスの構成及び実装方法に係るものであるため、説明図中及び以下の実施例文中では圧電トランス以外の部品に関する記述は省略する。
【0026】
図1、図3、図4及び図5で示される圧電トランス構成は、圧電セラミック1の外形寸法より大きな開口部をプリント配線基板14に有し、前記開口部に圧電セラミック1を基板面に対して垂直に収納して実装する構成である。
【0027】
次に、本構成に基づく圧電トランスの実装方法について説明する。
【0028】
まず、図3に示すようにプリント配線基板14には、圧電トランスを収納するために圧電セラミック1の外形よりも大きな開口部がある。また、圧電トランスの一次側に位置する部分に圧電トランスを接地する配線パターン21、圧電トランスに周波数を入力する配線パターン22、そして圧電トランスの一次側に位置する部分に圧電トランスから出力を得る配線パターン23がある。
【0029】
次に図4により示されるように、圧電トランスは平板タイプの圧電セラミック1と、接点部材としてのL字形状の接点板金6、7、及び8から構成される。圧電トランスの表面に形成された電極2、3及び4に対して接点板金6、7、及び8を取り付ける導電性部材として、ここでは導電性接着剤9(導電性部材に相当)を用いる。また、電極2、3及び4とプリント配線基板14表面の配線パターン21、22及び23との接続は半田付け10を用いる。
【0030】
圧電トランスはプリント配線基板14の開口部のパターン面側から、基板面に対して垂直に収納される。その後、接点板金6、7及び8がプリント配線基板14表面の配線パターン21、22、及び23に各々接触することにより、圧電トランスは支持される。続いて、接点板金6、7及び8とプリント配線基板14表面の配線パターン21、22、及び23を、各々半田付け10を用いて接続することによって、圧電トランスとプリント配線基板14の電気的接続並びに固定がなされる。
【0031】
以上により、プリント配線基板14への圧電トランスの実装が完了し、圧電トランスとして動作可能となる。
【0032】
ここで、接点部材として用いた接点板金6(接点板金7、8も同様であるが、ここでは省略する)は、図5に示すように、圧電セラミック1の電極中央部に接する部分に丸穴6’を設けている。この部分を通して導電性接着剤9が注入されて、電極2と接点板金6が接着される。
【0033】
次に、本構成に基づく圧電トランスの動作について説明する。
【0034】
周波数発生回路から配線パターン21、22を介して一次側の接点板金6、7並びに電極2、3に駆動周波数を入力すると、圧電セラミック1の一次側で機械的振動が発生し、逆圧電効果と圧電効果により、圧電セラミック1の二次側で高電圧が発生する。この高電圧は配線パターン23を介して整流回路へ伝送される。全長Lの圧電セラミックの機械的な振動は、例えば駆動周波数がλモードで駆動された場合は、λ・L/4、λ・3L/4の位置で変位ゼロとなる。この変位ゼロの位置にて支持することにより、圧電セラミックの振動特性に影響を与えることなく動作させることができる。本構成では、一次側の電極2、3及び接点板金6、7の位置がλ・L/4の位置であるので、振動に影響を与えることなく電気的接続及び支持・固定が可能である。また、二次側の電極4及び接点板金8の位置はλ・3L/4の位置であるものの、柔軟性のある導電性接着剤9により接続しているため、こちらも振動に影響を与えることなく電気的接続及び支持・固定が可能となる。
【0035】
本発明で用いる圧電トランスについては、プリント配線基板14に圧電トランスを実装する工程とは別に、圧電トランスを組み立てる工程が必要である。その工程について、図13、図14及び図15を用いて説明する。ここで、図13は、本発明の実施例に係る圧電トランスの組み立てに用いる工具を示す斜視断面図である。図14は、本発明の実施例に係る圧電トランスを組み立てる際の接点板金、圧電セラミック及び工具を示す斜視図である。図15は、本発明の実施例に係る圧電トランスを組み立てる際の導電性接着剤注入の様子を示す断面図である。
【0036】
圧電トランスを組み立てる工程では、圧電トランス実装工具(以下、単に工具とする)15と、丸穴16と、ディスペンサ17(定量噴出装置)を用いて組み立てが行われる。ここで、工具15は、圧電セラミック及び接点板金を収納し保持する。また、丸穴16は、圧電セラミック表面の電極と接点板金を接着するために工具15に開けてある。また、ディスペンサ17は、導電性接着剤を前記丸穴16に一定量注入する。工具15に形成された型に圧電セラミック1と接点板金6、7(ここでは一次側のみについて説明し、二次側については省略する)を各々収納する。圧電セラミック1の電極2、3の中央に接する接点板金6、7の部位に開けられた丸穴6’、7’と同じ位置に、工具15にも丸穴16が開いている。そして、ディスペンサ17によって注入された導電性接着剤9は、電極2、3と接点板金6、7の間に浸透し、硬化することによって電極2、3と接点板金6、7を各々接着させることができる。
【0037】
以上のようにして、圧電トランスの構成を飛躍的に簡略化し、安価で低背化可能な圧電トランス高圧電源装置を構成することが可能となる。
【0038】
なお、ここでは圧電トランスの接点板金6、7及び8と、プリント配線基板14表面の配線パターン21、22及び23の接続に半田付け10を用いて説明した。しかし、導電性接着剤などの柔軟性の高い導電性部材を用いることにより、圧電トランス高圧電源装置の搬送時の振動などには、プリント配線基板14と圧電トランス間のクッションの役割を果たすこともできる。また、本実施例で用いた導電性部材については、導電性接着剤に限らず、導電性粘着剤などの導電性樹脂により、電気的接続と固定が必要十分に実現できれば用いることができる。
【実施例2】
【0039】
以下、本発明の第2実施例を図6、図7及び図8に基づいて説明する。
【0040】
ただし、実施例1と重複する内容の説明は省略する。
【0041】
実施例1との主たる相違点は、接点板金の圧電セラミック表面電極の中央部に接する部位に設けた丸穴の周囲に凹凸形状を作り、導電性部材が不必要に電極の周囲に流れ出すのを防ぐ構造としたことである。また、電極と接点板金の接続が電極の中央部においてのみ行われるように、中央部以外はギャップを設ける構造としたことである。
【0042】
図6(a)は本実施例に係る圧電トランスの平面図、図6(b)は図6(a)のA−A’における断面図、図6(c)は図6(b)のB−B’における断面図である。図7(a)は本実施例に係る接点部材の斜視図、図7(b)は図7(a)の面Cにおける断面図である。図8(a)は本実施例の別の形態に係る接点部材の斜視図、図8(b)は図8(a)の面Cにおける断面図である。図9(a)は本実施例の別の形態に係る接点部材の斜視図、図9(b)は図9(a)のD−D’における断面を示す斜視図である。
【0043】
接点部材として用いた接点板金6(接点板金7、8も同様であるが、ここでは省略する)は、図6及び図7に示すように、圧電セラミック1の電極2中央部に接する部分に丸穴6’を設けている。そして、その周囲は接点板金6の凹凸加工により盛り上がった形状になっている。
【0044】
丸穴6’の周囲は凸状になっているので、圧電セラミック1の電極2中央部においてのみ、接点板金6は電極2に接することになる。また、圧電トランス組み立て工程において、前記接点板金6の凹状部分に丸穴6’を介してディスペンサ17から導電性接着剤9を注入して接着する。これにより、凸状部分より導電性接着剤9が流れださないため、電極2と接点板金6の接触面積を最小限に抑えることができ、圧電セラミック1の振動特性への影響を低減できる。
【0045】
続いて、接点板金6、7及び8とプリント配線基板14表面の配線パターン21、22及び23を、各々接点板金とプリント配線基板14の接する部分に設けた開口部6’’、7’’及び8’’に導電性接着剤9を注入することにより接着する。そして、圧電トランスとプリント配線基板14の電気的接続並びに固定がなされる。
【0046】
以上により、プリント配線基板14への圧電トランスの実装が完了し、圧電トランスとして動作可能となる。
【0047】
また、本実施例の別の形態として、図8に示すように接点部材に設けた丸穴6’を2個にする。圧電トランス組み立て工程においてディスペンサ17から導電性接着剤9を注入する際に、丸穴6’の一方から注入を行い、接点板金の凹凸部が導電性接着剤で満たされると、丸穴6’のもう一方から導電性接着剤9が出る。これにより、導電接着剤注入後に導電性接着剤が適量であるか検査することが可能である。
【0048】
また、本実施例のさらに別の形態として、図9に示すように接点部材に設けた丸穴6’を挟むように、2本の凸型スリットを設けた構成もできる。圧電トランス組み立て工程においてディスペンサ17から導電性接着剤9を注入する際に、丸穴6’に注入された導電性接着剤9は、接点板金の凸部から水平方向へは流れ出さない。電極2と接点板金6の接触部位の水平方向への広がりを抑制できるので、圧電セラミックの振動特性への影響を低減できる。
【0049】
なお、本実施例で用いた導電性部材については、導電性接着剤に限らず、導電性粘着剤などの導電性樹脂により、電気的接続と固定が必要十分に実現できれば用いることができる。
【実施例3】
【0050】
以下、本発明の第3実施例を図10、図11及び図12に基づいて説明する。
【0051】
ただし、実施例1及び実施例2と重複する内容の説明は省略する。
【0052】
実施例1及び実施例2との主たる相違点は、接点板金のL字形状の向きを変更し、プリント配線基板の基板面に対して垂直に折り曲げた形状としたことである。また、プリント配線基板には接点板金を接触させる部分にスリットを設け、さらに受け部材を取り付けたことである。この受け部材はプリント配線基板表面の配線パターンに、半田付け等で接続される。
【0053】
図10は本実施例に係る圧電トランスを構成する前の状態における斜視図である。図11(a)は本実施例に係る圧電トランスの平面図、図11(b)は図11(a)のA−A’における断面図、図11(c)は図11(a)のE−E’における断面図、図11(d)は図11(b)のB−B’における断面図である。図12(a)は本実施例に係る接点部材の斜視図、図12(b)は接点部材と受け部材との勘合を示す斜視図である。
【0054】
まず、接点部材として用いた接点板金6(接点板金7、8も同様であるが、ここでは省略する)は、図10及び図11に示すように、圧電セラミック1の電極2中央部に接する部分に丸穴6’を設けている。そして、その周囲は接点板金6の凹凸加工により盛り上がった形状となっている。この形状の効果については実施例2で説明したのでここでは省略する。また、この接点板金6はプリント配線基板14の基板面に対して垂直に折り曲げられた形状になっている。
【0055】
次に、プリント配線基板14には、接点板金6を接触させる部分にスリットを設けて受け部材24を差し込み、受け部材24と配線パターン21を半田付けで接続する。これによってプリント配線基板14に電極が形成される。圧電トランスをプリント配線基板14の開口部に基板面に対して垂直に収納して実装する際、同時にL字形状の接点板金の一方が、プリント配線基板14に予め実装された受け部材24で形成される電極に垂直に挿入され支持される。さらに、接点板金6と受け部材24が接触している各々の箇所に導電性接着剤9を塗布し、電気的接続と圧電トランスの固定がなされる。以上により、プリント配線基板14への圧電トランスの実装が完了し、圧電トランスとして動作可能となる。なお、接点板金7に対しては受け部材25、接点板金8に対しては受け部材26を図示している。
【0056】
この実装方法を用いることで、圧電トランスをプリント配線基板に実装する際の水平方向への位置を規制でき、水平方向へのずれにより圧電セラミックの両先端が基板に接触することで生じる振動特性のずれを抑えることができる。
【0057】
また、本実施例で用いた導電性部材については、導電性接着剤に限らず、導電性粘着剤などの導電性樹脂により、電気的接続と固定が必要十分に実現できれば用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の実施例1に係る圧電トランスの実装状態における斜視図
【図2】本発明の実施例1に係るカラーレーザプリンタの概略構成断面図
【図3】本発明の実施例1に係る圧電トランスを構成する前の状態における斜視図
【図4】(a)は本発明の実施例1に係る圧電トランスの平面図、(b)は(a)のA−A’における断面図、(c)は(b)のB−B’における断面図
【図5】(a)は本発明の実施例1に係る接点部材の斜視図、(b)は(a)の面Cにおける断面図
【図6】(a)は本発明の実施例2に係る圧電トランスの平面図、(b)は(a)のA−A’における断面図、(c)は(b)のB−B’における断面図
【図7】(a)は本発明の実施例2に係る接点部材の斜視図、(b)は(a)の面Cにおける断面図
【図8】(a)は本発明の実施例2の別の形態に係る接点部材の斜視図、(b)は(a)の面Cにおける断面図
【図9】(a)は本発明の実施例2の別の形態に係る接点部材の斜視図、(b)は(a)のD−D’における断面を示す斜視図
【図10】本発明の実施例3に係る圧電トランスを構成する前の状態における斜視図
【図11】(a)は本発明の実施例3に係る圧電トランスの平面図、(b)は(a)のA−A’における断面図、(c)は(a)のE−E’における断面図、(d)は(b)のB−B’における断面図
【図12】(a)は本発明の実施例3に係る接点部材の斜視図、(b)は接点部材と受け部材との勘合を示す斜視図
【図13】本発明の実施例に係る圧電トランスの組み立てに用いる工具を示す斜視断面図
【図14】本発明の実施例に係る圧電トランスを組み立てる際の接点板金、圧電セラミック及び工具を示す斜視図
【図15】本発明の実施例に係る圧電トランスを組み立てる際の導電性接着剤注入の様子を示す断面図
【符号の説明】
【0059】
1 圧電セラミック
2、3 一次側の電極
4 二次側の電極
6、7、8 接点板金(接点部材に相当)
9 導電性接着剤(導電性部材に相当)
10 半田付け
14 プリント配線基板
15 圧電トランス実装工具
16 工具の丸穴
17 ディスペンサ(定量噴出装置)
21、22、23 配線パターン
24、25、26 受け部材
201 DCコントローラ
202 高圧電源装置
401 カラーレーザプリンタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体上に静電潜像を形成する潜像形成手段と、前記静電潜像にトナー像を形成する現像手段と、前記トナー像を被転写部材に転写する転写手段と、前記トナー像を転写された前記被転写部材にトナーを加熱定着させる定着手段と、前記被転写部材を搬送する搬送手段とを備える画像形成装置に用いられる圧電トランス高圧電源装置であって、
前記潜像形成手段、前記現像手段、前記転写手段に高圧電圧を印加する高圧電源手段を備え、
前記高圧電源手段は、矩形状の板状体からなる圧電セラミックに一次電極及び二次電極を形成した圧電トランスと、前記圧電トランスを駆動するための駆動周波数を発生する発生手段と、出力電圧設定手段と、出力検出手段と、前記出力検出手段からの信号ならびに前記出力電圧設定手段からの信号により出力電圧を制御する出力制御手段とを有し、
前記圧電トランス、前記発生手段、前記出力電圧設定手段、前記出力検出手段、前記出力制御手段は、表面にパターンが形成されたプリント配線基板上に配置され、
前記圧電トランスは、前記圧電セラミックの一次電極及び二次電極に接点部材を取り付けて形成され、前記圧電トランスを組み立てた後に前記プリント配線基板に実装することを特徴とする圧電トランス高圧電源装置。
【請求項2】
請求項1に記載の圧電トランス高圧電源装置において、前記圧電トランスは、前記プリント配線基板に設けられた前記圧電セラミックよりも大きな開口部に、前記プリント配線基板の基板面に対して垂直に収納して実装されることを特徴とする圧電トランス高圧電源装置。
【請求項3】
請求項1に記載の圧電トランス高圧電源装置において、前記圧電セラミックと前記接点部材との接続に導電性部材を用いることを特徴とする圧電トランス高圧電源装置。
【請求項4】
請求項1に記載の圧電トランス高圧電源装置において、前記接点部材の前記圧電セラミックと接続する部位に、導電性部材を注入する開口部を設けることを特徴とする圧電トランス高圧電源装置。
【請求項5】
請求項1に記載の圧電トランス高圧電源装置において、前記接点部材の前記圧電セラミックと接続する部位に、導電性部材の位置を規定する凹凸形状を設けることを特徴とする圧電トランス高圧電源装置。
【請求項6】
請求項1に記載の圧電トランス高圧電源装置において、前記接点部材は、前記プリント配線基板上の配線パターンに接続され、その接続に導電性部材を用いることを特徴とする圧電トランス高圧電源装置。
【請求項7】
請求項1に記載の圧電トランス高圧電源装置において、前記接点部材の前記プリント配線基板上の配線パターンと接続する部位に、導電性部材を注入する開口部を設けることを特徴とする圧電トランス高圧電源装置。
【請求項8】
請求項1に記載の圧電トランス高圧電源装置において、前記接点部材は、L字型板金とすることを特徴とする圧電トランス高圧電源装置。
【請求項9】
請求項1に記載の圧電トランス高圧電源装置において、前記接点部材は、前記プリント配線基板の基板面に対して垂直に折り曲げた形状を有し、前記プリント配線基板は、スリットと前記スリットに差し込まれた受け部材とを有し、前記接点部材の折り曲げた形状の部位と、前記受け部材とが嵌合することを特徴とする圧電トランス高圧電源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2008−42982(P2008−42982A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−210748(P2006−210748)
【出願日】平成18年8月2日(2006.8.2)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】