圧電素子駆動式ダイヤフラム型制御弁
【目的】 製品ごとに応答性能のバラツキを少なくし、個別の調整を不要にし得る圧電素子駆動式ダイヤフラム型制御弁を提供する。
【構成】 流路が形成された弁本体3と、流路を開状態にして弁本体3に保持されたダイヤフラム4と、ダイヤフラム4の開閉方向へ移動可能に支持され、ダイヤフラム4を閉鎖可能な弁棒5と、ダイヤフラム4の閉方向への移動を阻止されるとともにダイヤフラム4の開方向への変形による変位を許容された状態で支持された圧電素子6と、圧電素子6の変位を許容された側の端部に当接することによって支持された作動部材7と、弁棒5の軸線Xを中心として放射状に配置され、圧電素子6の変位に伴う作動部材7の変位を拡大して弁棒5に伝えるように揺動自在に支持された複数の梃子体8と、を有することとした。
【構成】 流路が形成された弁本体3と、流路を開状態にして弁本体3に保持されたダイヤフラム4と、ダイヤフラム4の開閉方向へ移動可能に支持され、ダイヤフラム4を閉鎖可能な弁棒5と、ダイヤフラム4の閉方向への移動を阻止されるとともにダイヤフラム4の開方向への変形による変位を許容された状態で支持された圧電素子6と、圧電素子6の変位を許容された側の端部に当接することによって支持された作動部材7と、弁棒5の軸線Xを中心として放射状に配置され、圧電素子6の変位に伴う作動部材7の変位を拡大して弁棒5に伝えるように揺動自在に支持された複数の梃子体8と、を有することとした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば半導体製造設備や化学品製造設備等の圧力式流量制御装置等に適用される圧電素子駆動式ダイヤフラム型制御弁に係り、特に、圧電素子の変位を拡大して弁棒に伝える圧電素子駆動式ダイヤフラム型制御弁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の制御弁として、上下方向に複数段配置した梃子体により、圧電素子の変位を拡大して弁棒に伝える変位拡大機構を備えた圧電素子駆動式ダイヤフラム制御弁が知られている(特許文献1)。
【特許文献1】特開2004−197754号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来の制御弁は、上下方向に複数段配置した梃子体により、圧電素子から弁棒へ伝わる力は減少するが、変位量の小さい圧電素子の変位を拡大して弁棒に伝えるという点で優れた技術である。しかしながら、組み込まれている皿バネやコイルバネのバネ特性のバラツキ、変位拡大機構の構成等に起因して、製品ごとに応答性能のバラツキがあり、個別に調整が必要となるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記問題を解消するため、本発明に係る圧電素子駆動式ダイヤフラム制御弁は、流路が形成された弁本体と、前記流路を開状態にして前記弁本体に保持されたダイヤフラムと、前記ダイヤフラムの開閉方向へ移動可能に支持され、該ダイヤフラムを閉鎖可能な弁棒と、前記ダイヤフラムの閉方向への移動を阻止されるとともに該ダイヤフラムの開方向への変形による変位を許容された状態で支持された圧電素子と、前記圧電素子の変位を許容された側の端部に当接することによって支持された作動部材と、前記弁棒の軸線を中心として放射状に配置され、前記圧電素子の変位に伴う作動部材の変位を拡大して前記弁棒に伝えるように揺動自在に支持された複数の梃子体と、を有することを特徴とする。
【0005】
前記弁本体に固定され、前記梃子体を揺動自在に支持するベースを更に有し、 前記ベースが、前記圧電素子の一端を該ベースに当接させることによって前記ダイヤフラムの閉方向への該圧電素子の移動を阻止するとともに、前記作動部材を前記弁棒の軸線方向に摺動自在に案内することが好ましい。
【0006】
さらに、前記作動部材は、前記圧電素子を収容し且つ該圧電素子の他端に当接するキャップ体と、該キャップ体に連結されて前記ベースに摺動自在に案内された複数の連結ロッドと、該複数の連結ロッドに連結されて前記複数の梃子体に係合する係合部材と、を備えていることが好ましい。
【0007】
また、前記梃子体と前記弁棒との間に可動体が配置され、前記可動体と前記弁棒とは、各々の対向する側の端面に錐状凹部が形成され、前記対向する錐状凹部に球体が介在されており、前記係合部材は、前記複数の連結ロッドに連結された連結プレートと、該連結プレートに突設されて前記梃子体に係合する凸部と、を備えており、前記可動体は、前記連結プレートを貫通して該連結プレートに摺動自在に案内されていることが好ましい。
【0008】
前記複数の梃子体は、少なくとも3本の梃子体が、等角度間隔で配置されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る圧電素子駆動式ダイヤフラム型制御弁によれば、梃子体を作動させる作動部材は、圧電素子の変位側端部に当接して支持されているため、作動部材や梃子体を作動後に原位置へ復帰させるため等の皿バネやコイルバネを省くことができる。その結果、個体間のバラツキを減少させることができる。また、放射状に配置された複数の梃子体が弁棒を作動させるので、複数の梃子体の各々から弁棒に伝えられる力は、弁棒の軸線方向に向く分力を合成され、弁棒の軸線方向に対して傾斜する方向へ向く分力を打ち消しあうことができる。これらの結果、制御弁としての応答安定性が向上する。弁棒の軸線方向に対して傾斜する方向へ向く分力を打ち消し合わせるためには、3本以上の梃子体を等角度間隔で配置することが、より好ましい。
【0010】
作動部材が弁棒の軸線方向に摺動自在に案内される構成は、作動部材の傾きやガタつきを防止して、制御弁としての応答安定性の向上に寄与し得る。作動部材が複数の連結ロッドを備え、該連結ロッドが摺動自在に案内される構成とすれば、作動部材をガイドする個所が増すことにより、応答安定性はいっそう向上し得る。
【0011】
梃子体と弁棒との間に配置する可動体は、弁棒の軸ぶれを減少させる効果があるが、可動体を作動部材の連結プレートに摺動自在に案内させることで、可動体の軸ぶれを抑制して、弁棒の軸ぶれ防止効果を高め、制御弁としての応答安定性を高め得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明に係る圧電素子駆動式ダイヤフラム型制御弁の一実施形態について、以下に図1〜図14を参照して説明する。
【0013】
本発明に係る圧電素子駆動式ダイヤフラム制御弁1は、図1に示すように、流路2a、2bが形成された弁本体3と、流路2aを開状態にして弁本体3に保持されたダイヤフラム4と、ダイヤフラム4の開閉方向へ移動可能に支持されダイヤフラム4を閉鎖可能な弁棒5と、ダイヤフラム4の閉方向への移動を阻止されるとともにダイヤフラム4の開方向への変形による変位を許容された状態で支持された圧電素子6と、圧電素子6の変位を許容された側の端部に当接することによって支持された作動部材7と、弁棒5の軸線Xを中心として放射状に配置され圧電素子6の変形に伴う作動部材7の変位を拡大して弁棒5を変位させるように揺動自在に支持された複数の梃子体8と、を有する。
【0014】
弁本体3には、流入路2aおよび流出路2bを含む流路が形成されており、流入路2aに環状の弁座3aが形成されている。
【0015】
ダイヤフラム4は、板バネ弾性を有する金属製ダイヤフラムを使用することができる。ダイヤフラム4は、ダイヤフラム4の周縁部が、弁本体3に載置されるとともに、インサート部材9を介して、弁棒5を軸線X方向に摺動自在に案内しているガイド部材10、及び、押えナット11によって、弁本体3に押圧固定されている。ダイヤフラム4は、いわゆるノーマルオープンタイプであり、非作動状態、すなわち、圧電素子6への非通電時には、図1に示すように、上側に凸に湾曲することによって流入ロ2aを開き、流入口2aと流出口2bとを連通させている。
【0016】
弁棒5は、球面状の下端面を有し、該下端面がダイヤフラム4の上面に載っており、ダイヤフラム4の保有弾性によって支持されている。
【0017】
弁棒5に形成されている鍔部5aがガイド部材10に形成されている段部10aに当接することによって、弁棒5の移動範囲が画定されている(図1及び図14参照)。弁棒5をダイヤフラム4の側へ押せば、ダイヤフラム4が弾性変形して弁座3aに押し付けられ、流入ロ2aが閉じられる(図14参照)。
【0018】
ガイド部材10にベース12が、ボルト14によって固定されている。ベース12は、上部ベース12a及び下部ベース12bからなり、これら上部ベース12a及び下部ベース12bがボルト13(図2参照)によって互いに連結固定されている。
【0019】
下部ベース12bは、図3、図4に示すように、4隅に支柱部材12b−1が立設されている。この支柱部材12b−1は、上部ベース12aを固定するボルト13を螺入するための雌螺子孔12b−2が形成されている。また、下部ベース12bは、ガイド部材10の上部及び弁棒5の通る孔12b−3(図3)が中央に形成されている。さらに、下部ベース12bには、下部ベース12bをガイド部材10に固定するためのボルト14(図1)を通す孔12b−4(図3,4参照)が形成されている。
【0020】
上部ベース12aは、図5〜図7を参照すると、矩形のプレート12a−1と、プレート12a−1に突設され、梃子体8(図13参照)を揺動自在に支持するブラケット12a−2とを備えている。また、上部ベース12aは、後述する連結ロッド7b(図1)を摺動自在に貫通させる孔12a−3が形成されている。ブラケット12a−2には、軸孔12a−4が形成されている。軸孔12a−4に軸受け12a−5(図13参照)が挿入され、この軸受け12a−5に梃子体8の支点となる揺動軸8a(図1、図13参照)が挿入されている。
【0021】
図1、図6、図7を参照すれば、上部ベース12aの上面に、圧電素子6の一端(図1の下端)が当接している。上部ベース12aの上面には、圧電素子6の一端に設けられた突起6aを受け入れる円錐状凹部12a−5が形成されている。圧電素子6に被せられているキャップ体7cが、圧電素子6の他端(図1の上端)に当接している。キャップ体7cは、キャップ体7cの下端部に可動ベース7d(図1,2,8,9参照)が固定されている。可動ベース7dは、連結ロッド7bを介して連結プレート7aに連結されている。
【0022】
キャップ体7cは、圧電素子6の周囲を包む筒状部7c−1と、筒状部7c−1の上端に螺合したカバーナット7c−2と、カバーナット7c−2内に収容されたベアリング7c−3及びベアリング受け7c−4と、カバーナット7c−2を固定するための止めナット7c−5とを備えている。カバーナット7c−2は、止めナット7c−5により、筒状部7c−1の軸線方向に位置調整可能である。筒状部7c−1は、可動ベース7dに螺入され、ナット20によって固定さている。
【0023】
上記のように、圧電素子6は、キャップ体7cに収容され、キャップ体7cを含む作動部材7によってベース12上に立設されている。一方、キャップ体7cが圧電素子6の上端部に支持されることによって、作動部材7は、弁本体3及びベース12上に、圧電素子6を介して支持されている。なお、図示例では、圧電素子6はキャップ体に7cによって圧電素子6の側面を支持されているが、これに代えて、例えば、可動ベース7dに圧電素子6の嵌る筒体(図示せず)を形成し、該筒体によって圧電素子6の側面を支持することもできる。
【0024】
圧電素子6は、積層タイプを使用でき、上部にリード端子6b、6cを備えている。リード端子6b、6cは、カバーナット7c−2の開口から引き出される。
【0025】
連結プレート7aは、図1,10〜12に示すように、複数の凸部7a−1が突設されている。連結プレート7aと凸部7a−1とによって、梃子体8に係合する係合部材が構成されている。
【0026】
凸部7a−1は、力点としての梃子体8の後端部に、ピン15(図1)を介して、係合している。作用点としての梃子体8の先端部は、可動体16の上端面に当接している。
【0027】
可動体16は、円柱状をしており、連結プレート7aの中央に形成された通孔7a−2(図10〜12参照)に摺動自在に案内されている。可動体16は、所定の厚みを有する連結プレート7aの通孔7a−2を形成している内周面によって摺動自在に案内されることにより、軸ぶれの少ない状態で弁棒5上に支持されている。
【0028】
可動体16の下端面には、錘状凹部16aが形成されており、この錘状凹部16aに球体17の上部が嵌っている。球体17の下部は、弁棒5の上端面に形成された錘状凹部5bに嵌っている。球体17を介して可動体16と弁棒5とが連接することにより、可動体16と弁棒5との軸ぶれを吸収し得る。
【0029】
なお、図示しないが、可動体16および球体17を省いて、弁棒5を上方へ延設し、弁棒5と梃子体8の先端部とが直接係合するように構成しても良い。また、可動体16または弁棒5と、梃子体8との係合は、図示例のように互いに当接し合う構成に限らず、たとえば、図示しないが、ピン結合、リンク結合等による連結によって係合させても良い。
【0030】
上記構成を有する圧電素子駆動式ダイヤフラム型制御弁は、圧電素子6に電圧が印加されると、圧電素子6が変形する(伸びる)ことによりキャップ体7cを押し上げる。キャップ体7cが押し上げられることによって、作動部材7はダイヤフラム4から離れる方向(図1の上方)へ摺動する。作動部材7の図1の上方への摺動により、図14に示すように、凸部7a−1が梃子体8…の力点である後端部を、支点である揺動軸8aに対して図の上方へ押し上げ、その反作用として複数の梃子体8…が同時に揺動して、これら梃子体8…の先端部が梃子の作用点として可動体16を押し下げる。その結果、可動体16から球体17を介して弁棒5が押し下げられ、ダイヤフラム4が便座3aに当接し、流入ロ2aが閉じられる。電圧をオフにすると、圧電素子が縮むことによって作動部材7は自重で下方へ移動し、一方、弁棒5はダイヤフラム4の弾性復元によって持ち上げられ、原位置(図1の配置)に戻る。
【0031】
上記構成を有する圧電素子駆動式ダイヤフラム型制御弁は、梃子体8の原位置復帰等のために、ダイヤフラム以外の弾性部材を使用しないことにより、バネの特性バラツキによる影響を受けず、制御弁の個体間のバラツキを減少させ得る。
【0032】
また、圧電素子6の変位は、作動部材7から、弁棒5の軸線X周りに放射状に配置された複数の梃子体8…を通じ、可動体16及び球体17を介して、弁棒5に伝達される。一本の梃子体8が弁棒に加える力の方向は、梃子体8の揺動中、弁棒5の軸線Xに対して傾斜するが、放射状に配置された複数本の梃子体8…により弁棒5を押す構成とすることにより、各梃子体8…から弁棒5に加わる力のうち、弁棒5の軸線Xに対して傾斜する力の成分が互いに打ち消しあい、弁棒5の軸線X方向に向く力の成分が合成されて弁棒5を押す力となる。その結果、制御弁としての応答性能を向上させ得る。放射状に配置された梃子体8…は、弁棒5の軸線Xを中心として等角度間隔で配置されていることが好ましい。梃子体8は、2本とすることもできるが、3本以上を配置することがより望ましい。
【0033】
さらに、作動部材7は、ベース12に摺動自在に案内されているので、直線移動安定性に優れる。作動部材7の直線移動安定性は、梃子体8…の作動安定性に貢献し、その結果、本発明制御弁の応答性能を向上させる。
【0034】
作動部材7の直線移動安定性は、作動部材7の複数本の連結ロッド7bがベース12に摺動自在に案内されることによって、いっそう向上する。
【0035】
なお、図示しないが、連結プレート7aを、ベース12、たとえば、支柱部材12b−1にガイドさせるように構成しても良い。
【0036】
上記構成を有する本発明制御弁の応答性能について、従来品との比較試験を行った。従来品は、特開2004−197754号公報の第1例に開示された制御弁と同じ構造のものを用いた。
【0037】
応答性能は、図15にブロック図で示すような流体制御回路を用いてテストした。図15において、30は圧力指令信号発生器、31はPIDコントローラ、32は信号反転回路、33が不活性ガス源、34はレギュレータ、35は真空計、36はテスト対象の制御弁、37は圧力センサー、38は絞り弁、39は真空ポンプ、を示す。
【0038】
ここで、圧力指令信号発生器30は、横河電機株式会社製7651を使用し、PIDコントローラ31は、株式会社エム・システム技研製M2FCを使用した。制御容量は100ccであり、絞り弁38を5000sccmで50Torrとなるように調整し、真空計35の指示値が100Torrになるようにレギュレータ34を調整した。圧力指令信号発生器30からの設定信号SVをPIDコントローラ31に送り、圧力センサー37の圧力出力信号PVをPIDコントローラ32にフィードバックし、PIDコントローラ32からのバルブ指令信号MVによって、制御弁36の開度をPID制御し、制御容量の圧力制御を行った。なお、信号反転回路は、PIDコントローラ31の出力値0〜10Vを10〜0Vに変換して制御弁36に出力している。
【0039】
試験結果のグラフを図16〜図19に示す。図16及び図17のグラフは、本発明制御弁の応答性能を示し、図18及び図19のグラフは従来品の応答性能を示している。図16及び図18のグラフは、圧力指令信号発生器30の設定値を1Torrに設定した場合であり、図17及び図19は圧力指令信号発生器30の設定値を5Torrに設定した場合である。図16〜図19のいずれの場合も、PID値を共通(P:30、I:0.2、D:0)とした。
【0040】
図16〜図19のグラフから、本発明制御弁は、従来品に比較して、圧力設定値が異なる場合に共通のPID値を使用しても圧力出力の安定性が優れていることが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明に係る圧電素子駆動式ダイヤフラム型制御弁の一実施形態を示す縦断面図であり、図13のI−I線に対応する。
【図2】図1の制御弁の外観図である。
【図3】図1の制御弁に組み込まれている下部ベースを示す平面図である。
【図4】図3の下部ベースの正面図である。
【図5】図1の制御弁に組み込まれている上部ベースを示す平面図である。
【図6】図5の上部ベースの左側面図である。
【図7】図5の上部ベースの正面図である。
【図8】図1の制御弁に組み込まれている可動ベースを示す平面図である。
【図9】図8のIX−IX線に沿う縦断面図である。
【図10】図1の制御弁に組み込まれている連結プレートを示す平面図である。
【図11】図10のXI1−XI2線に沿う縦断端面図である。
【図12】図10のXI1−XII線に沿う縦断端面図である。
【図13】図14のXIII−XIII線に沿う水平断面図である。
【図14】図1の制御弁の閉弁状態を示す縦断面図である。
【図15】応答性能の比較試験を行うための制御回路を示すブロック図である。
【図16】応答性能を示すグラフである。
【図17】応答性能を示すグラフである。
【図18】応答性能を示すグラフである。
【図19】応答性能を示すグラフである。
【符号の説明】
【0042】
1 圧電素子駆動式ダイヤフラム型制御弁
2a、2b 流路
3 弁本体
4 ダイヤフラム
5 弁棒
5b 錐状凹部
6 圧電素子
7 作動部材
7c キャップ体
7b 連結ロッド
7a 連結プレート
7a−1 凸部
8 梃子体
12 ベース
16 可動体
16a 錐状凹部
17 球体
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば半導体製造設備や化学品製造設備等の圧力式流量制御装置等に適用される圧電素子駆動式ダイヤフラム型制御弁に係り、特に、圧電素子の変位を拡大して弁棒に伝える圧電素子駆動式ダイヤフラム型制御弁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の制御弁として、上下方向に複数段配置した梃子体により、圧電素子の変位を拡大して弁棒に伝える変位拡大機構を備えた圧電素子駆動式ダイヤフラム制御弁が知られている(特許文献1)。
【特許文献1】特開2004−197754号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来の制御弁は、上下方向に複数段配置した梃子体により、圧電素子から弁棒へ伝わる力は減少するが、変位量の小さい圧電素子の変位を拡大して弁棒に伝えるという点で優れた技術である。しかしながら、組み込まれている皿バネやコイルバネのバネ特性のバラツキ、変位拡大機構の構成等に起因して、製品ごとに応答性能のバラツキがあり、個別に調整が必要となるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記問題を解消するため、本発明に係る圧電素子駆動式ダイヤフラム制御弁は、流路が形成された弁本体と、前記流路を開状態にして前記弁本体に保持されたダイヤフラムと、前記ダイヤフラムの開閉方向へ移動可能に支持され、該ダイヤフラムを閉鎖可能な弁棒と、前記ダイヤフラムの閉方向への移動を阻止されるとともに該ダイヤフラムの開方向への変形による変位を許容された状態で支持された圧電素子と、前記圧電素子の変位を許容された側の端部に当接することによって支持された作動部材と、前記弁棒の軸線を中心として放射状に配置され、前記圧電素子の変位に伴う作動部材の変位を拡大して前記弁棒に伝えるように揺動自在に支持された複数の梃子体と、を有することを特徴とする。
【0005】
前記弁本体に固定され、前記梃子体を揺動自在に支持するベースを更に有し、 前記ベースが、前記圧電素子の一端を該ベースに当接させることによって前記ダイヤフラムの閉方向への該圧電素子の移動を阻止するとともに、前記作動部材を前記弁棒の軸線方向に摺動自在に案内することが好ましい。
【0006】
さらに、前記作動部材は、前記圧電素子を収容し且つ該圧電素子の他端に当接するキャップ体と、該キャップ体に連結されて前記ベースに摺動自在に案内された複数の連結ロッドと、該複数の連結ロッドに連結されて前記複数の梃子体に係合する係合部材と、を備えていることが好ましい。
【0007】
また、前記梃子体と前記弁棒との間に可動体が配置され、前記可動体と前記弁棒とは、各々の対向する側の端面に錐状凹部が形成され、前記対向する錐状凹部に球体が介在されており、前記係合部材は、前記複数の連結ロッドに連結された連結プレートと、該連結プレートに突設されて前記梃子体に係合する凸部と、を備えており、前記可動体は、前記連結プレートを貫通して該連結プレートに摺動自在に案内されていることが好ましい。
【0008】
前記複数の梃子体は、少なくとも3本の梃子体が、等角度間隔で配置されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る圧電素子駆動式ダイヤフラム型制御弁によれば、梃子体を作動させる作動部材は、圧電素子の変位側端部に当接して支持されているため、作動部材や梃子体を作動後に原位置へ復帰させるため等の皿バネやコイルバネを省くことができる。その結果、個体間のバラツキを減少させることができる。また、放射状に配置された複数の梃子体が弁棒を作動させるので、複数の梃子体の各々から弁棒に伝えられる力は、弁棒の軸線方向に向く分力を合成され、弁棒の軸線方向に対して傾斜する方向へ向く分力を打ち消しあうことができる。これらの結果、制御弁としての応答安定性が向上する。弁棒の軸線方向に対して傾斜する方向へ向く分力を打ち消し合わせるためには、3本以上の梃子体を等角度間隔で配置することが、より好ましい。
【0010】
作動部材が弁棒の軸線方向に摺動自在に案内される構成は、作動部材の傾きやガタつきを防止して、制御弁としての応答安定性の向上に寄与し得る。作動部材が複数の連結ロッドを備え、該連結ロッドが摺動自在に案内される構成とすれば、作動部材をガイドする個所が増すことにより、応答安定性はいっそう向上し得る。
【0011】
梃子体と弁棒との間に配置する可動体は、弁棒の軸ぶれを減少させる効果があるが、可動体を作動部材の連結プレートに摺動自在に案内させることで、可動体の軸ぶれを抑制して、弁棒の軸ぶれ防止効果を高め、制御弁としての応答安定性を高め得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明に係る圧電素子駆動式ダイヤフラム型制御弁の一実施形態について、以下に図1〜図14を参照して説明する。
【0013】
本発明に係る圧電素子駆動式ダイヤフラム制御弁1は、図1に示すように、流路2a、2bが形成された弁本体3と、流路2aを開状態にして弁本体3に保持されたダイヤフラム4と、ダイヤフラム4の開閉方向へ移動可能に支持されダイヤフラム4を閉鎖可能な弁棒5と、ダイヤフラム4の閉方向への移動を阻止されるとともにダイヤフラム4の開方向への変形による変位を許容された状態で支持された圧電素子6と、圧電素子6の変位を許容された側の端部に当接することによって支持された作動部材7と、弁棒5の軸線Xを中心として放射状に配置され圧電素子6の変形に伴う作動部材7の変位を拡大して弁棒5を変位させるように揺動自在に支持された複数の梃子体8と、を有する。
【0014】
弁本体3には、流入路2aおよび流出路2bを含む流路が形成されており、流入路2aに環状の弁座3aが形成されている。
【0015】
ダイヤフラム4は、板バネ弾性を有する金属製ダイヤフラムを使用することができる。ダイヤフラム4は、ダイヤフラム4の周縁部が、弁本体3に載置されるとともに、インサート部材9を介して、弁棒5を軸線X方向に摺動自在に案内しているガイド部材10、及び、押えナット11によって、弁本体3に押圧固定されている。ダイヤフラム4は、いわゆるノーマルオープンタイプであり、非作動状態、すなわち、圧電素子6への非通電時には、図1に示すように、上側に凸に湾曲することによって流入ロ2aを開き、流入口2aと流出口2bとを連通させている。
【0016】
弁棒5は、球面状の下端面を有し、該下端面がダイヤフラム4の上面に載っており、ダイヤフラム4の保有弾性によって支持されている。
【0017】
弁棒5に形成されている鍔部5aがガイド部材10に形成されている段部10aに当接することによって、弁棒5の移動範囲が画定されている(図1及び図14参照)。弁棒5をダイヤフラム4の側へ押せば、ダイヤフラム4が弾性変形して弁座3aに押し付けられ、流入ロ2aが閉じられる(図14参照)。
【0018】
ガイド部材10にベース12が、ボルト14によって固定されている。ベース12は、上部ベース12a及び下部ベース12bからなり、これら上部ベース12a及び下部ベース12bがボルト13(図2参照)によって互いに連結固定されている。
【0019】
下部ベース12bは、図3、図4に示すように、4隅に支柱部材12b−1が立設されている。この支柱部材12b−1は、上部ベース12aを固定するボルト13を螺入するための雌螺子孔12b−2が形成されている。また、下部ベース12bは、ガイド部材10の上部及び弁棒5の通る孔12b−3(図3)が中央に形成されている。さらに、下部ベース12bには、下部ベース12bをガイド部材10に固定するためのボルト14(図1)を通す孔12b−4(図3,4参照)が形成されている。
【0020】
上部ベース12aは、図5〜図7を参照すると、矩形のプレート12a−1と、プレート12a−1に突設され、梃子体8(図13参照)を揺動自在に支持するブラケット12a−2とを備えている。また、上部ベース12aは、後述する連結ロッド7b(図1)を摺動自在に貫通させる孔12a−3が形成されている。ブラケット12a−2には、軸孔12a−4が形成されている。軸孔12a−4に軸受け12a−5(図13参照)が挿入され、この軸受け12a−5に梃子体8の支点となる揺動軸8a(図1、図13参照)が挿入されている。
【0021】
図1、図6、図7を参照すれば、上部ベース12aの上面に、圧電素子6の一端(図1の下端)が当接している。上部ベース12aの上面には、圧電素子6の一端に設けられた突起6aを受け入れる円錐状凹部12a−5が形成されている。圧電素子6に被せられているキャップ体7cが、圧電素子6の他端(図1の上端)に当接している。キャップ体7cは、キャップ体7cの下端部に可動ベース7d(図1,2,8,9参照)が固定されている。可動ベース7dは、連結ロッド7bを介して連結プレート7aに連結されている。
【0022】
キャップ体7cは、圧電素子6の周囲を包む筒状部7c−1と、筒状部7c−1の上端に螺合したカバーナット7c−2と、カバーナット7c−2内に収容されたベアリング7c−3及びベアリング受け7c−4と、カバーナット7c−2を固定するための止めナット7c−5とを備えている。カバーナット7c−2は、止めナット7c−5により、筒状部7c−1の軸線方向に位置調整可能である。筒状部7c−1は、可動ベース7dに螺入され、ナット20によって固定さている。
【0023】
上記のように、圧電素子6は、キャップ体7cに収容され、キャップ体7cを含む作動部材7によってベース12上に立設されている。一方、キャップ体7cが圧電素子6の上端部に支持されることによって、作動部材7は、弁本体3及びベース12上に、圧電素子6を介して支持されている。なお、図示例では、圧電素子6はキャップ体に7cによって圧電素子6の側面を支持されているが、これに代えて、例えば、可動ベース7dに圧電素子6の嵌る筒体(図示せず)を形成し、該筒体によって圧電素子6の側面を支持することもできる。
【0024】
圧電素子6は、積層タイプを使用でき、上部にリード端子6b、6cを備えている。リード端子6b、6cは、カバーナット7c−2の開口から引き出される。
【0025】
連結プレート7aは、図1,10〜12に示すように、複数の凸部7a−1が突設されている。連結プレート7aと凸部7a−1とによって、梃子体8に係合する係合部材が構成されている。
【0026】
凸部7a−1は、力点としての梃子体8の後端部に、ピン15(図1)を介して、係合している。作用点としての梃子体8の先端部は、可動体16の上端面に当接している。
【0027】
可動体16は、円柱状をしており、連結プレート7aの中央に形成された通孔7a−2(図10〜12参照)に摺動自在に案内されている。可動体16は、所定の厚みを有する連結プレート7aの通孔7a−2を形成している内周面によって摺動自在に案内されることにより、軸ぶれの少ない状態で弁棒5上に支持されている。
【0028】
可動体16の下端面には、錘状凹部16aが形成されており、この錘状凹部16aに球体17の上部が嵌っている。球体17の下部は、弁棒5の上端面に形成された錘状凹部5bに嵌っている。球体17を介して可動体16と弁棒5とが連接することにより、可動体16と弁棒5との軸ぶれを吸収し得る。
【0029】
なお、図示しないが、可動体16および球体17を省いて、弁棒5を上方へ延設し、弁棒5と梃子体8の先端部とが直接係合するように構成しても良い。また、可動体16または弁棒5と、梃子体8との係合は、図示例のように互いに当接し合う構成に限らず、たとえば、図示しないが、ピン結合、リンク結合等による連結によって係合させても良い。
【0030】
上記構成を有する圧電素子駆動式ダイヤフラム型制御弁は、圧電素子6に電圧が印加されると、圧電素子6が変形する(伸びる)ことによりキャップ体7cを押し上げる。キャップ体7cが押し上げられることによって、作動部材7はダイヤフラム4から離れる方向(図1の上方)へ摺動する。作動部材7の図1の上方への摺動により、図14に示すように、凸部7a−1が梃子体8…の力点である後端部を、支点である揺動軸8aに対して図の上方へ押し上げ、その反作用として複数の梃子体8…が同時に揺動して、これら梃子体8…の先端部が梃子の作用点として可動体16を押し下げる。その結果、可動体16から球体17を介して弁棒5が押し下げられ、ダイヤフラム4が便座3aに当接し、流入ロ2aが閉じられる。電圧をオフにすると、圧電素子が縮むことによって作動部材7は自重で下方へ移動し、一方、弁棒5はダイヤフラム4の弾性復元によって持ち上げられ、原位置(図1の配置)に戻る。
【0031】
上記構成を有する圧電素子駆動式ダイヤフラム型制御弁は、梃子体8の原位置復帰等のために、ダイヤフラム以外の弾性部材を使用しないことにより、バネの特性バラツキによる影響を受けず、制御弁の個体間のバラツキを減少させ得る。
【0032】
また、圧電素子6の変位は、作動部材7から、弁棒5の軸線X周りに放射状に配置された複数の梃子体8…を通じ、可動体16及び球体17を介して、弁棒5に伝達される。一本の梃子体8が弁棒に加える力の方向は、梃子体8の揺動中、弁棒5の軸線Xに対して傾斜するが、放射状に配置された複数本の梃子体8…により弁棒5を押す構成とすることにより、各梃子体8…から弁棒5に加わる力のうち、弁棒5の軸線Xに対して傾斜する力の成分が互いに打ち消しあい、弁棒5の軸線X方向に向く力の成分が合成されて弁棒5を押す力となる。その結果、制御弁としての応答性能を向上させ得る。放射状に配置された梃子体8…は、弁棒5の軸線Xを中心として等角度間隔で配置されていることが好ましい。梃子体8は、2本とすることもできるが、3本以上を配置することがより望ましい。
【0033】
さらに、作動部材7は、ベース12に摺動自在に案内されているので、直線移動安定性に優れる。作動部材7の直線移動安定性は、梃子体8…の作動安定性に貢献し、その結果、本発明制御弁の応答性能を向上させる。
【0034】
作動部材7の直線移動安定性は、作動部材7の複数本の連結ロッド7bがベース12に摺動自在に案内されることによって、いっそう向上する。
【0035】
なお、図示しないが、連結プレート7aを、ベース12、たとえば、支柱部材12b−1にガイドさせるように構成しても良い。
【0036】
上記構成を有する本発明制御弁の応答性能について、従来品との比較試験を行った。従来品は、特開2004−197754号公報の第1例に開示された制御弁と同じ構造のものを用いた。
【0037】
応答性能は、図15にブロック図で示すような流体制御回路を用いてテストした。図15において、30は圧力指令信号発生器、31はPIDコントローラ、32は信号反転回路、33が不活性ガス源、34はレギュレータ、35は真空計、36はテスト対象の制御弁、37は圧力センサー、38は絞り弁、39は真空ポンプ、を示す。
【0038】
ここで、圧力指令信号発生器30は、横河電機株式会社製7651を使用し、PIDコントローラ31は、株式会社エム・システム技研製M2FCを使用した。制御容量は100ccであり、絞り弁38を5000sccmで50Torrとなるように調整し、真空計35の指示値が100Torrになるようにレギュレータ34を調整した。圧力指令信号発生器30からの設定信号SVをPIDコントローラ31に送り、圧力センサー37の圧力出力信号PVをPIDコントローラ32にフィードバックし、PIDコントローラ32からのバルブ指令信号MVによって、制御弁36の開度をPID制御し、制御容量の圧力制御を行った。なお、信号反転回路は、PIDコントローラ31の出力値0〜10Vを10〜0Vに変換して制御弁36に出力している。
【0039】
試験結果のグラフを図16〜図19に示す。図16及び図17のグラフは、本発明制御弁の応答性能を示し、図18及び図19のグラフは従来品の応答性能を示している。図16及び図18のグラフは、圧力指令信号発生器30の設定値を1Torrに設定した場合であり、図17及び図19は圧力指令信号発生器30の設定値を5Torrに設定した場合である。図16〜図19のいずれの場合も、PID値を共通(P:30、I:0.2、D:0)とした。
【0040】
図16〜図19のグラフから、本発明制御弁は、従来品に比較して、圧力設定値が異なる場合に共通のPID値を使用しても圧力出力の安定性が優れていることが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明に係る圧電素子駆動式ダイヤフラム型制御弁の一実施形態を示す縦断面図であり、図13のI−I線に対応する。
【図2】図1の制御弁の外観図である。
【図3】図1の制御弁に組み込まれている下部ベースを示す平面図である。
【図4】図3の下部ベースの正面図である。
【図5】図1の制御弁に組み込まれている上部ベースを示す平面図である。
【図6】図5の上部ベースの左側面図である。
【図7】図5の上部ベースの正面図である。
【図8】図1の制御弁に組み込まれている可動ベースを示す平面図である。
【図9】図8のIX−IX線に沿う縦断面図である。
【図10】図1の制御弁に組み込まれている連結プレートを示す平面図である。
【図11】図10のXI1−XI2線に沿う縦断端面図である。
【図12】図10のXI1−XII線に沿う縦断端面図である。
【図13】図14のXIII−XIII線に沿う水平断面図である。
【図14】図1の制御弁の閉弁状態を示す縦断面図である。
【図15】応答性能の比較試験を行うための制御回路を示すブロック図である。
【図16】応答性能を示すグラフである。
【図17】応答性能を示すグラフである。
【図18】応答性能を示すグラフである。
【図19】応答性能を示すグラフである。
【符号の説明】
【0042】
1 圧電素子駆動式ダイヤフラム型制御弁
2a、2b 流路
3 弁本体
4 ダイヤフラム
5 弁棒
5b 錐状凹部
6 圧電素子
7 作動部材
7c キャップ体
7b 連結ロッド
7a 連結プレート
7a−1 凸部
8 梃子体
12 ベース
16 可動体
16a 錐状凹部
17 球体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流路が形成された弁本体と、
前記流路を開状態にして前記弁本体に保持されたダイヤフラムと、
前記ダイヤフラムの開閉方向へ移動可能に支持され、該ダイヤフラムを閉鎖可能な弁棒と、
前記ダイヤフラムの閉方向への移動を阻止されるとともに該ダイヤフラムの開方向への変形による変位を許容された状態で支持された圧電素子と、
前記圧電素子の変位を許容された側の端部に当接することによって支持された作動部材と、
前記弁棒の軸線を中心として放射状に配置され、前記圧電素子の変位に伴う作動部材の変位を拡大して前記弁棒に伝えるように揺動自在に支持された複数の梃子体と、
を有することを特徴とする圧電素子駆動式ダイヤフラム型制御弁。
【請求項2】
前記弁本体に固定され、前記梃子体を揺動自在に支持するベースを更に有し、
前記ベースは、前記圧電素子の一端を該ベースに当接させることによって前記ダイヤフラムの閉方向への該圧電素子の移動を阻止するとともに、前記作動部材を前記弁棒の軸線方向に摺動自在に案内することを特徴とする請求項1に記載の圧電素子駆動式ダイヤフラム型制御弁。
【請求項3】
前記作動部材は、前記圧電素子を収容し且つ該圧電素子の他端に当接するキャップ体と、該キャップ体に連結されて前記ベースに摺動自在に案内された複数の連結ロッドと、該複数の連結ロッドに連結されて前記複数の梃子体に係合する係合部材と、を備えていることを特徴とする請求項2に記載の圧電素子駆動式ダイヤフラム型制御弁。
【請求項4】
前記梃子体と前記弁棒との間に、可動体が配置され、
前記可動体と前記弁棒とは、各々の対向する側の端面に錐状凹部が形成され、
前記対向する錐状凹部に球体が介在されており、
前記係合部材は、前記複数の連結ロッドに連結された連結プレートと、該連結プレートに突設されて前記梃子体に係合する凸部と、を備えており、
前記可動体は、前記連結プレートを貫通して該連結プレートに摺動自在に案内されていることを特徴とする請求項3に記載の圧電素子駆動式ダイヤフラム型制御弁。
【請求項5】
前記複数の梃子体は、少なくとも3本の梃子体が、等角度間隔で配置されていることを特徴とする請求項1に記載の圧電素子駆動式ダイヤフラム型制御弁。
【請求項1】
流路が形成された弁本体と、
前記流路を開状態にして前記弁本体に保持されたダイヤフラムと、
前記ダイヤフラムの開閉方向へ移動可能に支持され、該ダイヤフラムを閉鎖可能な弁棒と、
前記ダイヤフラムの閉方向への移動を阻止されるとともに該ダイヤフラムの開方向への変形による変位を許容された状態で支持された圧電素子と、
前記圧電素子の変位を許容された側の端部に当接することによって支持された作動部材と、
前記弁棒の軸線を中心として放射状に配置され、前記圧電素子の変位に伴う作動部材の変位を拡大して前記弁棒に伝えるように揺動自在に支持された複数の梃子体と、
を有することを特徴とする圧電素子駆動式ダイヤフラム型制御弁。
【請求項2】
前記弁本体に固定され、前記梃子体を揺動自在に支持するベースを更に有し、
前記ベースは、前記圧電素子の一端を該ベースに当接させることによって前記ダイヤフラムの閉方向への該圧電素子の移動を阻止するとともに、前記作動部材を前記弁棒の軸線方向に摺動自在に案内することを特徴とする請求項1に記載の圧電素子駆動式ダイヤフラム型制御弁。
【請求項3】
前記作動部材は、前記圧電素子を収容し且つ該圧電素子の他端に当接するキャップ体と、該キャップ体に連結されて前記ベースに摺動自在に案内された複数の連結ロッドと、該複数の連結ロッドに連結されて前記複数の梃子体に係合する係合部材と、を備えていることを特徴とする請求項2に記載の圧電素子駆動式ダイヤフラム型制御弁。
【請求項4】
前記梃子体と前記弁棒との間に、可動体が配置され、
前記可動体と前記弁棒とは、各々の対向する側の端面に錐状凹部が形成され、
前記対向する錐状凹部に球体が介在されており、
前記係合部材は、前記複数の連結ロッドに連結された連結プレートと、該連結プレートに突設されて前記梃子体に係合する凸部と、を備えており、
前記可動体は、前記連結プレートを貫通して該連結プレートに摺動自在に案内されていることを特徴とする請求項3に記載の圧電素子駆動式ダイヤフラム型制御弁。
【請求項5】
前記複数の梃子体は、少なくとも3本の梃子体が、等角度間隔で配置されていることを特徴とする請求項1に記載の圧電素子駆動式ダイヤフラム型制御弁。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2009−204045(P2009−204045A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−45511(P2008−45511)
【出願日】平成20年2月27日(2008.2.27)
【出願人】(390033857)株式会社フジキン (148)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年2月27日(2008.2.27)
【出願人】(390033857)株式会社フジキン (148)
【Fターム(参考)】
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