説明

地下水の浄化方法

【課題】カルシウムやマグネシウムなどの硬度成分及び/又は、硬度成分と反応して不溶性塩を生成させるアニオンを含むフッ素汚染地下水を浄化する方法において、スケール成分による浄化材のフッ素の吸着除去性能の低下を防止して、フッ素浄化層のフッ素除去効率とその耐久性を高める。
【解決手段】スケール成分を含むフッ素汚染地下水を、スケール成分除去剤を含む透水性のスケール成分除去壁5に通過させた後、フッ素の吸着除去剤を含む透水性のフッ素浄化壁6に通過させる。フッ素の浄化材であるフッ素の吸着除去剤の阻害要因となるスケール成分を予め除去することにより、フッ素浄化壁6の浄化性能の低下を防止し、耐久性を高めることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カルシウムやマグネシウムなどの硬度成分及び/又は、硬度成分と反応して不溶性塩を生成させるアニオン、例えば炭酸イオン、ケイ酸イオン、リン酸イオン、硫酸イオン、亜硫酸イオン(硬度成分と、これらのアニオンとを「スケール成分」と総称す。)を含むフッ素汚染地下水を浄化する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造業、ガラス工業、メッキ工場等ではフッ素が使用されているため、これらの設備の周辺の土壌は、管理が適切でない場合や、事故等によりフッ素で汚染されることがある。フッ素は、通常の化学形態として陰イオンで存在するので、一旦漏洩すると比較的土壌に吸着され難いため、汚染が帯水層まで到達する場合が多く、この場合、地下水が汚染されることとなる。なお、フッ素については、平成11年に地下水環境基準は0.8mg/L以下と定められている。
【0003】
従来、フッ素汚染地下水の浄化方法としては、汚染地下水の下流側領域に配置した透過性浄化材の層に地下水を通過させて汚染地下水を浄化し、浄化地下水を敷地外へ流出させる方法がある(特開2005−815号公報)。
【0004】
また、水中のフッ素を吸着除去する浄化材としては、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、ハイドロタルサイト、酸化ランタン、酸化セリウムなどが知られている。
【特許文献1】特開2005−815号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
フッ素で汚染された地下水は、埋設されたフッ化カルシウムに由来する汚染である場合やフッ素汚染地下水に海水が混入する場合においては、カルシウムやマグネシウムなどの硬度成分を多く含む場合がある。このような硬度成分を多く含むフッ素汚染地下水を特開2005−815号公報に記載の方法に従って酸化マグネシウムなどのフッ素を吸着除去する浄化材の層に通過させると、地下水中の硬度成分が浄化材の表面に析出して浄化材のフッ素の吸着除去能力を低下させるために、長期に亘り効率的な浄化を行うことができないという問題がある。
【0006】
本発明は、カルシウムやマグネシウムなどの硬度成分及び/又は、硬度成分と反応して不溶性塩を生成させるアニオンを含むフッ素汚染地下水を浄化する方法において、スケール成分による浄化材のフッ素の吸着除去性能の低下を防止して、フッ素浄化層のフッ素除去効率とその耐久性を高める地下水の浄化方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明(請求項1)の地下水の浄化方法は、硬度成分及び/又は、硬度成分と反応して不溶性塩を生成させるアニオン(以下、硬度成分と、このアニオンとを「スケール成分」と総称す。)を含むフッ素汚染地下水を浄化する方法において、該地下水を、スケール成分除去剤を含む透水性の層(以下「スケール成分除去層」と称す。)に通過させた後、フッ素の吸着除去剤を含む透水性の層(以下「フッ素浄化層」と称す。)に通過させることを特徴とする。
【0008】
請求項2の地下水の浄化方法は、請求項1において、該スケール成分除去剤がカルシウム化合物及び/又はマグネシウム化合物を含む粒子であることを特徴とする。
【0009】
請求項3の地下水の浄化方法は、請求項2において、該スケール成分除去剤が、炭酸カルシウム、炭酸カルシウムを含む鉱物、炭酸マグネシウム、及び炭酸マグネシウムを含む鉱物よりなる群から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする。
【0010】
請求項4の地下水の浄化方法は、請求項1ないし3のいずれか1項において、該スケール成分除去層が、生石灰、消石灰、酸化マグネシウム、及び水酸化マグネシウムよりなる群から選ばれる1種又は2種以上のアルカリ成分を含むことを特徴とする。
【0011】
請求項5の地下水の浄化方法は、請求項1ないし4のいずれか1項において、該フッ素の吸着除去剤が、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、ハイドロタルサイト、酸化ランタン、及び酸化セリウムよりなる群から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする。
【0012】
請求項6の地下水の浄化方法は、請求項1ないし5のいずれか1項において、該スケール成分除去層及び/又はフッ素浄化層は、更に透水性材料を含むことを特徴とする。
【0013】
請求項7の地下水の浄化方法は、請求項1ないし6のいずれか1項において、前記スケール成分除去層及びフッ素浄化層を、該地下水の流れに対して下流側の地中に設けることを特徴とする。
【0014】
請求項8の地下水の浄化方法は、請求項1ないし7のいずれか1項において、該地下水が、汚染土壌の原位置封じ込め工法において発生したフッ素汚染地下水であることを特徴とする。
【0015】
請求項9の地下水の浄化方法は、請求項1ないし8のいずれか1項において、該地下水がホウフッ化物イオンを含むことを特徴とする。
【0016】
請求項9の地下水の浄化方法は、請求項1ないし8のいずれか1項において、該フッ素浄化層を通過した地下水を、更に酸性物質を含む透水性の層(以下「pH調整層」と称す。)に通過させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、スケール成分、即ち、カルシウムやマグネシウムなどの硬度成分及び/又は、硬度成分と反応して不溶性塩を生成させるアニオンを含むフッ素汚染地下水をフッ素浄化層に通水して浄化するに当たり、フッ素の浄化材であるフッ素の吸着除去剤の阻害要因となるスケール成分を予め除去することにより、フッ素浄化層の浄化性能の低下を防止し、耐久性を高めることができる。
【0018】
本発明において、スケール成分除去剤としては、カルシウム化合物及び/又はマグネシウム化合物を含む粒子を用いることができ(請求項2)、好ましくは、炭酸カルシウム、炭酸カルシウムを含む鉱物、炭酸マグネシウム、及び炭酸マグネシウムを含む鉱物よりなる群から選ばれる1種又は2種以上を用いることができる(請求項3)。即ち、このようなスケール成分除去剤を含むスケール成分除去層に地下水を通水させることにより、地下水中のスケール成分(カルシウムイオン、マグネシウムイオン、炭酸イオンなど)は、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムとしてスケール成分除去剤の粒子表面に析出し、効率的に地下水中から除去される。
【0019】
このスケール成分除去層は、生石灰、消石灰、酸化マグネシウム、及び水酸化マグネシウムよりなる群から選ばれる1種又は2種以上のアルカリ成分を含むことが好ましく、このようなアルカリ成分により、地下水をpH9〜11のアルカリ性とすることで、地下水中の炭酸水素イオン(HCO)を炭酸イオン(CO2−)に変換してスケール成分除去層での硬度成分の析出効率を高め、硬度成分を効率的に除去することができる(請求項4)。
【0020】
フッ素の吸着除去剤としては、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、ハイドロタルサイト、酸化ランタン、及び酸化セリウムよりなる群から選ばれる1種又は2種以上を用いることが好ましく、このようなフッ素の吸着除去剤により、地下水中のフッ素を効率的に吸着除去することができる(請求項5)。
【0021】
本発明において、スケール成分除去層は、スケール成分除去剤、好ましくはアルカリ成分を含むスケール成分除去剤のみから構成されるものであっても良く、スケール成分除去剤、好ましくはアルカリ成分を含むスケール成分除去剤と透水性材料との混合層であっても良い。同様に、フッ素浄化層についても、フッ素の吸着除去剤のみから構成させるものであっても良く、フッ素の吸着除去剤と透水性材料との混合層であっても良い(請求項6)
これらスケール成分除去層及びフッ素浄化層は、地下水の流れに対して下流側の地中に設けることが好ましく(請求項7)、これにより現位置にて地下水流をスケール成分除去層及びフッ素浄化層に通過させて効率的に浄化することができる。
【0022】
このような本発明の地下水の浄化方法は、汚染土壌の原位置封じ込め工法において発生したフッ素汚染地下水の浄化に有効であり(請求項8)、特に、ホウフッ化物イオンで汚染された地下水の浄化に有効である(請求項9)。
【0023】
この場合、例えば、遮水壁と、該遮水壁内側の地下水位が上昇したときに該遮水壁内側の地下水を該遮水壁の外部に流出させる下水道等の地下水流出部と、フッ素の吸着除去剤を含む地下水の浄化壁(フッ素浄化層)とを設け、該浄化壁の上流側に、スケール成分除去剤を含むスケール成分除去壁(スケール成分除去層)を設ければ良い。
【0024】
また、フッ素浄化層を通過した地下水は、更に酸性物質を含む透水性のpH調整層に通過させることが好ましく、これにより、地下水を中和して良好な水質の水として放流することができる(請求項10)。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下に図面を参照して本発明の地下水の浄化方法の実施の形態を詳細に説明する。
【0026】
図1は、本発明の地下水の浄化方法の実施の形態を示す模式図であって、(a)図は平面図、(b)図は(a)図のB−B線に沿う断面図である。
【0027】
図1の通り、地表1から所定深さに不透水層3あるいは難透水層が存在し、その上側に帯水層2が存在する。4は地下水位である。
【0028】
汚染領域10はこの不透水層3上の帯水層2中に存在するため、この汚染領域10の地下水流向Wの下流側に、スケール成分除去剤を含むスケール成分除去層(以下「スケール成分除去壁」と称す。)5とフッ素の吸着除去剤を含むフッ素浄化層(以下「フッ素浄化壁」と称す。)6とを設けると共に、このスケール成分除去壁5とフッ素浄化壁6の両端から羽根状に鋼板等よりなる矢板7,7を設け、上流側からの地下水が確実にこのスケール成分除去壁5とフッ素浄化壁6とを通過するようにする。
【0029】
フッ素で汚染された土壌が存在する汚染領域10を通過した地下水が、スケール成分除去壁5を通過する間に地下水中のスケール成分が除去され、その後フッ素浄化壁6を通過することによりフッ素が除去されて浄化される。
【0030】
スケール成分除去壁5は、地中に多数のボーリング穿孔を連続列状に施して凹部を形成し、この凹部に、或いは地中に形成した穴(トレンチ)に、スケール成分除去剤又はスケール成分除去剤と透水性材料との混合物を投入することにより、透水性の層を設けて形成することができる。なお、スケール成分除去壁はスケール成分除去剤と透水性材料とをそれぞれ層状に設けた積層構造であっても良い。
【0031】
スケール成分除去剤としては、カルシウム化合物及び/又はマグネシウム化合物を含む粒子を用いることができ、好ましくは、炭酸カルシウム、炭酸カルシウムを含む鉱物、炭酸マグネシウム、及び炭酸マグネシウムを含む鉱物よりなる群から選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。このようなスケール成分除去剤を含むスケール成分除去壁に地下水を通水させることにより、地下水中のスケール成分(カルシウムイオン、マグネシウムイオン、炭酸イオン)は、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムとしてスケール成分除去剤の粒子表面に析出し、効率的に地下水中から除去される。
【0032】
これらスケール成分除去剤は粒状であることが好ましい。粒度については、細かいと透水性に問題を生じ、粗いと比表面積が小さくなり性能上の問題を生じるので好ましくない。従って、粒状スケール成分除去剤の粒度は0.01〜4mm、特に0.1〜2mm程度であることが好ましい。なお、細かい粉体状物質を適当な粒子径に造粒して使用することもできる。
【0033】
これらのスケール成分除去剤と併用し得る透水性材料としては、比較的粒径の大きな砂、砕石等を用いることができる。透水性材料を用いる場合、スケール成分除去剤と透水性材料との使用割合又は混合比は、地下水の流速等を考慮して、適宜決定される。
【0034】
なお、スケール成分除去壁には、アルカリ成分、例えば、生石灰、消石灰、酸化マグネシウム、及び水酸化マグネシウムよりなる群から選ばれる1種又は2種以上のアルカリ成分を添加することが好ましく、このようなアルカリ成分により、地下水をpH9〜11のアルカリ性とすることで、地下水中の炭酸水素イオン(HCO)を炭酸イオン(CO2−)に変換してスケール成分除去層での硬度成分の析出効率を高め、硬度成分を効率的に除去することが可能となる。従って、これらアルカリ成分は、地下水のpHが9〜11となるようにスケール成分除去壁に添加することが好ましい。なお、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウムは、フッ素の吸着除去剤としても用いられるが、スケール成分除去壁においてはpH調整のためのアルカリ剤として使用される。
【0035】
一方、フッ素浄化壁6は、地中に多数のボーリング穿孔を連続列状に施して、凹部を形成し、この凹部に、或いは地中に形成した穴(トレンチ)に、地下水浄化のためのフッ素の吸着除去剤、又はこのフッ素の吸着除去剤と透水性材料との混合物を投入することにより透水性の層を設けて形成することができる。このフッ素浄化壁もまた、フッ素の吸着除去剤と透水性材料とをそれぞれ層状に設けた積層構造であっても良い。
【0036】
フッ素の吸着除去剤としては、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、ハイドロタルサイト、酸化ランタン、及び酸化セリウムよりなる群から選ばれる1種又は2種以上を用いることができ、このようなフッ素の吸着除去剤により、地下水中のフッ素は効率的に吸着除去される。
【0037】
これらのフッ素の吸着除去剤もまた粒状であることが好ましい。粒度については、細かいと透水性に問題を生じ、粗いと比表面積が小さくなり性能上の問題を生じるので好ましくない。従って、粒状フッ素の吸着除去剤の粒度は0.01〜4mm、特に0.1〜2mm程度であることが好ましい。なお、細かい粉体状物質を適当な粒子径に造粒して使用することもできる。
【0038】
これらのフッ素の吸着除去剤と併用し得る透水性材料としては、比較的粒径の大きな砂、砕石等を用いることができる。透水性材料を用いる場合、フッ素の吸着除去剤と透水性材料との使用割合又は混合比は、地下水の流速等を考慮して、適宜決定される。
【0039】
なお、スケール成分除去壁5及びフッ素浄化壁6を通過した地下水、特にスケール成分除去壁5にアルカリ成分を添加して地下水のpHを9〜11に調整した場合の地下水は、pHアルカリ性であるが、地下水を下水道に流す場合、そのpHは5〜9の範囲である必要がある。従って、スケール成分除去壁5及びフッ素浄化壁6を通過した後の地下水は、更に、酸性物質、例えば酸性鉱物及び/又は酸性化合物含有粒子を含む透水性のpH調整層(以下「pH調整壁」と称す。)に通過させてpH5〜9にpH調整することが好ましく、これにより、地下水を中和して良好な水質の水として放流することができる。
【0040】
このようにpH調整壁に用いられる酸性物質としては、酸性白土、活性白土、珪藻土、腐植土、火山灰土壌、及び弱酸性イオン交換樹脂よりなる群から選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。これらの酸性物質(以下「pH調整剤」と称す場合がある。)であれば、アルカリ性の地下水をpH調整剤に含まれる水素イオン交換部との反応により中和することができる。
【0041】
このようなpH調整壁は、地中に多数のボーリング穿孔を連続列状に施して、凹部を形成し、この凹部に、或いは地中に形成した穴(トレンチ)に、上述のpH調整剤、又はこのpH調整剤と透水性材料との混合物を投入することにより透水性の層を設けて形成することができる。このpH調整壁もまた、pH調整剤と透水性材料とをそれぞれ層状に設けた積層構造であっても良い。
【0042】
これらのpH調整剤もまた粒状であることが好ましい。粒度については、細かいと透水性に問題を生じ、粗いと比表面積が小さくなり性能上の問題を生じるので好ましくない。従って、粒状pH調整剤の粒度は0.01〜4mm、特に0.1〜2mm程度であることが好ましい。なお、細かい粉体状物質を適当な粒子径に造粒して使用することもできる。
【0043】
これらのpH調整剤と併用し得る透水性材料としては、比較的粒径の大きな砂、砕石等を用いることができる。透水性材料を用いる場合、pH調整剤と透水性材料との使用割合又は混合比は、地下水の流速等を考慮して、適宜決定される。
【0044】
このようなpH調整壁を設ける場合、例えば、図1において、フッ素浄化壁6に隣接して地下水流の下流側にpH調整壁を設ければ良い。
【0045】
図1では、スケール成分除去壁5の地下水流向下流側に、スケール成分除去壁5と隣接してフッ素浄化壁6が設けられているが、スケール成分除去壁5とフッ素浄化壁6とは離隔していても良い。また、pH調整壁を設ける場合にあっても、pH調整壁はフッ素浄化壁に隣接して設けても離隔して設けても良い。ただし、これらは、図示の如く、隣接して設けることにより、ボーリング穿孔作業を共通して行うことができ、好ましい。このように、スケール成分除去壁5とフッ素浄化壁6(更にはpH調整壁)とを隣接して設ける場合、スケール成分除去壁5とフッ素浄化壁6(更にはpH調整壁)との間には透水性の砂、砕石等を設けて、スケール成分除去剤とフッ素の吸着除去剤(更にはpH調整剤)との相互の流動を防止しても良いが、このようなもの設けずとも各々の作用を発揮させることができる。
【0046】
なお、スケール成分除去壁5、フッ素浄化壁6は、図1(b)に示す如く、その下端が不透水層3又は難透水層内に達し、その上端が、地下水位4よりも上方に位置するように設けられている。pH調整壁を設ける場合も同様である。
【0047】
また、矢板7も、スケール成分除去壁5、フッ素浄化壁6と同様に、その下端が不透水層3又は難透水層内に達し、その上端が、地下水位4よりも上方に位置するように設けられるが、矢板7は、その上端が地表1より上方に位置していても良い。なお、矢板の代りに、地中に多数のボーリング穿孔を連続列状に施してコンクリートを流し込むことにより構築した遮水壁を設けても良い。
【0048】
図1は本発明の実施の形態の一例であって、本発明は何ら図示の方法に限定されるものではない。例えば、図1では、矢板7により遮水壁を形成したファンネルアンドゲート法を採用しているが、このような遮水壁を省略してスケール成分除去壁5とフッ素浄化壁6(更にはpH調整壁)のみを設けても良い。また、これらの処理壁はトレンチ以外によって構成されても良く、地中に柱状の孔を複数列掘削し、この孔内にスケール成分除去剤やフッ素の吸着除去剤、pH調整剤を充填して各層を形成しても良い。
【0049】
本発明において、処理対象となる地下水は、フッ素により汚染され、かつスケール成分を含む地下水であり、フッ素としてフッ化物イオン、ホウフッ化物イオンを含む地下水が挙げられる。
【0050】
本発明は特に、汚染地区を囲むように遮水壁を設ける原位置封じ込め工法において、遮水壁と、該遮水壁内側の地下水位が上昇したときに該遮水壁内側の地下水を該遮水の外部に流出させる地下水流出部と、フッ素浄化壁とを設け、地下水流出部から外部へ流出する地下水をフッ素浄化壁で浄化してから外部へ流出させるようにした場合に好適であり、この場合において、フッ素浄化壁の上流側にスケール成分除去壁を設け、フッ素浄化壁での浄化に先立ち、地下水をスケール成分除去壁に通水させて地下水中の硬度成分を予め除去することにより、フッ素浄化壁のフッ素除去効率とその耐久性を高めることができ、好ましい。また、更にフッ素浄化壁の下流側にpH調整壁を設け、スケール成分除去壁を通過してアルカリ性化した地下水をpH5〜9の中性領域にpH調整して、この地下水を下水道に流出させることも可能となる。
【0051】
以下に、図2〜8を参照してこのような原位置封じ込め工法に本発明を適用する場合の実施の形態を説明する。
【0052】
図2は実施の形態に係る原位置封じ込め工法が適用された地域を示す断面斜視図、図3はこの地域の地下構築物を土を透視した状態で示す平面図、図4(a)は図2のIVa−IVa線断面図、図4(b)は図5のIVb−IVb線断面図、図5は、土中に設けられた遮水壁、浄化手段及び集水路を示す土中の透視斜視図である。
【0053】
図4(a)の通り、地表1から所定深さに不透水層3あるいは難透水層が存在し、その上側に帯水層2が存在する。
【0054】
この地域の全部又は一部に汚染土壌8が存在しているので、遮水壁9によって該汚染土壌8を周囲8Aから隔離して封じ込める。この遮水壁9は、下端が不透水層3あるいは難透水層内に達し、上端は地下水位4より上位の地表1近くに位置している。なお、遮水壁9の上端は地表1に達してもよい。
【0055】
この遮水壁9は、汚染土壌8の全周を取り囲んでいる。この実施の形態では、平面視形状が方形枠状であるが、これに限定されない。この遮水壁9は、地中に多数のボーリング穿孔を連続列状に施してコンクリートを流し込むことにより構築することができるが、遮水用鋼矢板を打ち込むことにより形成されてもよい。
【0056】
図5に示される通り、この遮水壁9には、上端から下方に凹む低所よりなる方形の地下水流出部11が1箇所又は複数箇所(この実施の形態では3箇所)に設けられている。この地下水流出部11の下縁は地下水位4よりも所定高さ(例えば0〜100cm程度)上位となっている。
【0057】
この地下水流出部11よりも内側(汚染土壌8側)に水処理部12が設けられている。水処理部12は、集水路14側のスケール成分除去剤の層12aと、地下水流出部11側のpH調整剤の層12cと、その中間のフッ素の吸着除去剤の層12bとで構成され、地下水はスケール成分除去剤の層12aでスケール成分が除去された後、フッ素の吸着除去剤の層12bでフッ素が除去され、その後、pH調整剤の層12cでpH調整された後遮水壁9の外側へ流出するように構成されている。
【0058】
この水処理部12の両側及び下部には鋼矢板などよりなる板材13が配置されている。板材13の代りに防水コンクリート壁を設けてもよい。
【0059】
この水処理部12の上面は、地下水流出部11の下縁よりも好ましくは0〜200cm程度上位に位置している。また、水処理部12の下面は、地下水流出部11の下縁よりも好ましくは50〜500cm下位に位置している。水処理部12の両側面は、地下水流出部11の側縁と面一となっているが、水処理部12はそれよりも幅大に設けられてもよい。
【0060】
水処理部12は遮水壁9の内側面に当接するように設けられている。また、この実施の形態では、水処理部12の一部は地下水流出部11内に入り込んでいる。
【0061】
板材13は、水処理部12の上面よりも好ましくは0〜500cm上方にまで延在し、また、水処理部12の下面よりも好ましくは0〜500cm下方にまで延在している。板材13は遮水壁9の内側面に当接している。この当接部には必要に応じシールが施されてもよい。
【0062】
板材13は、水処理部12の両側面及び下部の全体を覆っており、側面から水が水処理部12に流入して短絡的に地下水流出部11へ流出することが防止されている。
【0063】
遮水壁9の内側には、遮水壁9と平行方向に且つ地下水位4を含むレベルに集水路14が設けられている。この集水路14は砂、砕石などの透水性材料よりなる。なお、集水路14は孔あき管であってもよい。
【0064】
この集水路14は、水処理部12の地下水流出部11と反対側の端面に接するように配置されている。この集水路14は、遮水壁9の内側面に沿って連続して周回するように設けられているが、途中が部分的に途切れていてもよい。また、汚染地区全域にわたって櫛の歯状に集水路14を設けてもよい。
【0065】
図示はしないが、地表1をアスファルト、コンクリート、遮水シート等によって覆い、雨水の地下浸透を防止するようにしてもよい。
【0066】
このように構成された封じ込め構造において、通常は遮水壁9の内側の地下水位は地下水流出部11の下縁と同位か又はそれよりも下位となっているため、汚染区域から周囲8Aへ地下水が流出することはない。
【0067】
降雨など何らかの原因によって遮水壁9の内側の地下水位が上昇すると、この地下水が集水路14を介して又は直接に水処理部12に流れ込み、該水処理部12で、スケール成分除去、浄化及びpH調整された後、地下水流出部11から周囲8Aへ流出する。この流出水は、水処理部12で、スケール成分が除去された後、フッ素の吸着除去処理を受け、その後pH調整されたものであり、周囲8Aを汚染することはない。
【0068】
図6は別の実施の形態に係る原位置封じ込め工法が適用された地域の平面図、図7はこの地域の地下水流出部付近の拡大平面図、図8は図7のVIII−VIII線に沿う断面図である。
【0069】
この実施の形態では、遮水壁9に囲まれた内側領域と外側領域とを連通するように、該内側領域に地下水流入口が配置された排水管20が設けられている。
【0070】
図6に示すように、この実施の形態でも、汚染土壌(汚染地域)8の四方を取り囲むようにして方形枠状の遮水壁9が構築されている。前述の通り、この遮水壁9は、下端が不透水層3あるいは難透水層内に達し、上端は地下水位4よりも上位の地表1近くに位置しているが、この遮水壁9の上端は地表1に達してもよい。この実施の形態では、この遮水壁9の上端から下方に凹む低所よりなる流出部11は設けられていない。
【0071】
この実施の形態では、該遮水壁9の内側領域の一コーナー部付近に集水容器21が設置されている。この集水容器21は、この実施の形態では有底筒状の容器であり、底部が地下水位4よりも下位に位置しており、上部は地表1に表出している。この集水容器21の上端には蓋21aが装着されている。ただし、この集水容器21の上部は地表1に表出していなくてもよい。
【0072】
地下水位4よりも下位となる集水容器21の底部付近に、前記排水管20の一端(地下水流入口)が接続されている。この排水管20は、遮水壁9の内側領域から遮水壁9を貫通して遮水壁9の外側領域に延出している。この排水管20は、遮水壁9の内側領域から外側領域に向って下り勾配となるように配設されている。
【0073】
この実施の形態では、この排水管20の他端側(流出口)は、遮水壁9の外側領域を流れる下水道(図示略)に接続されている。なお、下水道がこの排水管20よりも上位となる高さに配設されている場合には、揚水設備(図示略)を介して排水管20と下水道とを接続してもよい。
【0074】
遮水壁9の内側領域において、集水容器21に隣接して水処理部12Aが設置されている。この水処理部12Aは、図7に示すように、砂や砕石などの透水性材料と、スケール成分除去剤、フッ素の吸着除去剤及びpH調整剤と、これらの透水性材料、スケール成分除去剤、フッ素の吸着除去剤及びpH調整剤を収容した収容体24とを備えている。
【0075】
図示の通り、該収容体24は、この実施の形態では、水処理部12Aの3方を取り囲むように略コ字形に配設された、鋼矢板等よりなる3枚の板材24a,24b,24cにより構築されている。各板材24a〜24c同士の接合部には、必要に応じシールが施されている。この収容体24のうち、これらの板材24a〜24cによって塞がれていない側が、該収容体24内への地下水の流入部24dとなっている。この流入部24dと反体側を塞いでいる板材24bには、処理された地下水の流出口24eが設けられている。この流出口24eは、配管25を介して集水容器21内に連通している。なお、上記板材24a〜24cの代りに、コンクリート壁により収容体24を構築してもよい。
【0076】
この収容体24の各板材24a〜24cは、地下水位4よりも好ましくは0〜500cm上方まで延在すると共に、該地下水位4よりも好ましくは0〜500cm下方まで延在している。前記流出口24e及び配管25は、地下水位4を含むレベルに略水平に配設されている。
【0077】
この実施の形態では、収容体24内に、前記流入部24dから流出口24eに向う方向に、第1の透水性材料の層22a、スケール成分除去剤の層23a、第2の透水性材料の層22b、フッ素の吸着除去剤の層23b、第3の透水性材料の層22c、pH調整剤の層23c及び第4の透水性材料の層22dがこの順に多層状に形成されている。
【0078】
各層22a〜22d,23a〜23cは、互いに対向する板材24a,24c同士の一方の内側面から他方の内側面まで、並びに流入部24dからこれと反対側の板材24bの内側面まで、それぞれフルに充填されている。各層22a〜22d,23a〜23cは、それぞれ、下面が地下水位4よりも好ましくは50〜500cm下方にまで達し、上面が該地下水位4よりも好ましくは0〜200cm上方にまで達している。
【0079】
なお、この実施の形態では、各層22a〜22d,23a〜23cの上面及び下面と各板材24a〜24cの上辺及び下辺とがそれぞれ略同一レベルに位置しているが、各板材24a〜24cは、各層22a〜22d,23a〜23cの下面よりも下方にまで延在していてもよく、また各層22a〜22d,23a〜23cの上面よりも上方にまで延在していてもよい。
【0080】
スケール成分除去剤の層23a、フッ素の吸着除去剤の層23b、pH調整剤の層23cはそれぞれ前述したスケール成分除去剤、フッ素の吸着除去剤、pH調整剤により形成される。
【0081】
第1〜第4の透水性材料の層22a〜22dは、いずれも同じ種類の透水性材料により構成されてもよく、それぞれ種類の異なる透水性材料により構成されてもよい。
【0082】
この実施の形態では、水処理部12Aの三方を板材24a〜24cで囲むことにより、水が水処理部12Aに流入して短絡的に集水容器21へ流出することが防止されている。なお、必要に応じ、水処理部12Aの底面や上面にも板材を設け、水処理部12Aの底面や上面から水が水処理部12Aに流入することを防止してもよい。
【0083】
この実施の形態では、地下水位4を含むレベルに、遮水壁9の内側の汚染地域全体にわたって櫛の歯状に集水路14Aが設けられている。なお、この実施の形態でも、集水路14Aは砂、砕石などの透水性材料よりなるが、孔あき管等により構成されてもよい。
【0084】
詳しくは、この実施の形態では、図6の通り、遮水壁9によって囲まれた方形の汚染地域8を、集水容器21が設置されたコーナー部付近から対角線状に横切るように、幹集水路14aが延設されている。この幹集水路14aの基端側は、水処理部12Aの流入部24dに臨む第1の透水性材料の層22aの端面に接するように配置されている。
【0085】
この幹集水路14aの延在方向の途中の複数箇所から、遮水壁9の直交2方向(図6の上下方向及び左右方向)の各辺と平行に、それぞれ枝集水路14bが延出している。なお、この実施の形態では、幹集水路14aから、図6の左右方向及び上下方向にそれぞれ間隔をおいて6本ずつ枝集水路14bが延出している。
【0086】
図示はしないが、この実施の形態でも、地表1をアスファルト、コンクリート、遮水シート等によって覆い、雨水の地下浸透を防止するようにしてもよい。
【0087】
このように構成された封じ込め構造においても、降雨など何らかの原因によって遮水壁9の内側の地下水位4が上昇すると、この地下水が集水路14Aを介して又は直接に水処理部12Aに流れ込む。この際、該集水路14Aから流入部24dを介して地下水が収容体24内に流入し、第1の透水性材料の層22a、スケール成分除去剤の層23a、第2の透水性材料の層22b、フッ素の吸着除去剤の層23b、第3の透水性材料の層22c、pH調整剤の層23c及び第4の透水性材料の層22dを順次に通過することにより、地下水の汚染物質が除去ないし無害化され、更にその後pH調整される。
【0088】
この地下水は、該水処理部12Aで浄化された後、流出口24eから配管25、集水容器21及び排水管20を介して、遮水壁9の外側領域を流れる下水道へ流出する。この流出水は、水処理部12Aでスケール成分除去後フッ素の吸着除去処理を受け、更にpH調整されたものであり、下水道を汚染したり、周囲環境に悪影響を及ぼすことはない。
【0089】
この実施の形態にあっては、汚染地域8の略全体にわたって集水路14Aが配設されているので、該汚染地域8の略全体にわたって満遍なく地下水を集水することができる。
【0090】
上記の実施の形態では、集水容器21(排水管20の流入口)は遮水壁9の内側領域のコーナー部付近に配置されているが、集水容器21(排水管20の流入口)の配置はこれに限定されない。また、この遮水壁9の内側領域内における集水路の配置も、上記の各実施の形態に限定されない。
【0091】
また、水処理部12,12Aは、スケール成分除去剤の層とフッ素の吸着除去剤の層、更にはpH調整剤の層との積層構造であっても良く、スケール成分除去剤と透水性材料の混合物の層と、フッ素の吸着除去剤と透水性材料の混合物の層、更にはpH調整剤と透水性材料の混合物の層との積層構造であっても良い。
【0092】
[実験例]
海浜地区の汚染サイトより採取した高濃度の硬度成分を含むフッ素汚染地下水について、酸化マグネシウムをフッ素除去剤として用いて、フッ素の除去試験を行った。
【0093】
採取した地下水を寒水石(炭酸カルシウム)を充填したカラムに通水して前処理を施し、カラムを通過した地下水をフッ素除去剤と混合した。
比較として、採取した地下水を前処理無しでフッ素除去剤と混合した。
【0094】
試験は、地下水に所定濃度のフッ素除去剤を混合して、一晩振とうした後に0.45mmのフィルターで濾過し、濾液中のフッ素濃度を測定することにより行った。
【0095】
採取した地下水のカルシウム濃度は200mg/L、マグネシウム濃度は320mg/L、M−アルカリ度は350mg/Lであった。
【0096】
寒水石カラム通水後(前処理後)の地下水は、カルシウム濃度90mg/L、マグネシウム濃度250mg/L、M−アルカリ度は70mg/Lであった。
【0097】
振とう処理時の地下水中のフッ素除去剤濃度と、処理水(フッ素除去剤で振とう後、濾過して得られた濾液)のフッ素濃度との関係を図9に示す。
【0098】
図9より、前処理の有無を比較すると、前処理を行った場合には、少ないフッ素除去剤量でフッ素を地下水基準に適合できるように効率的に吸着除去できることがわかる。即ち、同じフッ素除去剤量を用いる場合、前処理を行うことでより多くのフッ素を除去することができ、より長期にわたって浄化を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明の地下水の浄化方法の実施の形態を示す模式図であって、(a)図は平面図、(b)図は(a)図のB−B線に沿う断面図である。
【図2】実施の形態に係る原位置封じ込め工法における地下水のpH調整方法が適用された地域を示す斜視図である。
【図3】図2の地域の地下構築物を示す平面図である。
【図4】(a)図は図2のIVa−IVa線断面図、(b)図は図5のIVb−IVb線断面図である。
【図5】図2の遮水壁、浄化・pH調整部及び集水路を示す斜視図である。
【図6】別の実施の形態に係る原位置封じ込め工法における地下水のpH調整方法が適用された地域の平面図である。
【図7】図6の地域の地下水流出部付近の拡大平面図である。
【図8】図7のVIII−VIII線に沿う断面図である。
【図9】実験例の前処理の有無におけるフッ素除去剤濃度と処理水中のフッ素濃度との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
【0100】
1 地表
2 帯水層
3 不透水層(又は難透水層)
4 地下水位
5 スケール成分除去壁
6 フッ素浄化壁
7 矢板
8 汚染土壌
9 遮水壁
10 汚染領域
11 地下水流出部
12,12A 水処理部
12a,23a スケール成分除去剤の層
12b,23b フッ素の吸着除去剤の層
12c,23c pH調整剤の層
13 板材
14,14A,14B 集水路
20 排水管
21 集水容器
22a〜22d 透水性材料の層
24 収容体
24d 流入部
24e 流出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬度成分及び/又は、硬度成分と反応して不溶性塩を生成させるアニオン(以下、硬度成分と、このアニオンとを「スケール成分」と総称す。)を含むフッ素汚染地下水を浄化する方法において、該地下水を、スケール成分除去剤を含む透水性の層(以下「スケール成分除去層」と称す。)に通過させた後、フッ素の吸着除去剤を含む透水性の層(以下「フッ素浄化層」と称す。)に通過させることを特徴とする地下水の浄化方法。
【請求項2】
請求項1において、該スケール成分除去剤がカルシウム化合物及び/又はマグネシウム化合物を含む粒子であることを特徴とする地下水の浄化方法。
【請求項3】
請求項2において、該スケール成分除去剤が、炭酸カルシウム、炭酸カルシウムを含む鉱物、炭酸マグネシウム、及び炭酸マグネシウムを含む鉱物よりなる群から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする地下水の浄化方法。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項において、該スケール成分除去層が、生石灰、消石灰、酸化マグネシウム、及び水酸化マグネシウムよりなる群から選ばれる1種又は2種以上のアルカリ成分を含むことを特徴とする地下水の浄化方法。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項において、該フッ素の吸着除去剤が、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、ハイドロタルサイト、酸化ランタン、及び酸化セリウムよりなる群から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする地下水の浄化方法。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項において、該スケール成分除去層及び/又はフッ素浄化層は、更に透水性材料を含むことを特徴とする地下水の浄化方法。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項において、前記スケール成分除去層及びフッ素浄化層を、該地下水の流れに対して下流側の地中に設けることを特徴とする地下水の浄化方法。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか1項において、該地下水が、汚染土壌の原位置封じ込め工法において発生したフッ素汚染地下水であることを特徴とする地下水の浄化方法。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれか1項において、該地下水がホウフッ化物イオンを含むことを特徴とする地下水の浄化方法。
【請求項10】
請求項1ないし8のいずれか1項において、該フッ素浄化層を通過した地下水を、更に酸性物質を含む透水性の層(以下「pH調整層」と称す。)に通過させることを特徴とする地下水の浄化方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−203248(P2007−203248A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−27290(P2006−27290)
【出願日】平成18年2月3日(2006.2.3)
【出願人】(000001063)栗田工業株式会社 (1,536)
【Fターム(参考)】