説明

地中埋設管路の調査方法

【課題】地中レーダを用いて埋設管の位置を調査するときに、従来よりも深い位置まで調査できるようにする。
【解決手段】地中に埋設された管11に沿ってボーリング孔14を形成する。ボーリング孔14と地表2との間で電磁波16の送受信を行うことによって、管11の埋設位置を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地中に埋設された管路の位置を調査するための、地中埋設管路の調査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
地中に埋設されている鋳鉄管などの埋設物の位置を非開削で検出するために、地中レーダや金属探知機を用いた調査が行われている。たとえば特許文献1には、送・受信機を移動させながら地中に電磁波を発射し、地中埋設物からの反射波を受信機で受信して、同埋設物の位置を検出するようにしたものが記載されている。
【0003】
図3は、特許文献1に記載されたものと同様の地中レーダ機器を示す。ここで1は埋設管で、地表面2から所定の深さの位置において水平方向に埋設されている。3は地中レーダ機器で、地表面2に沿って移動可能に構成されるとともに、電磁波の送信機4と受信機5とを備えている。
【0004】
このような構成によれば、管1が埋設されていると、送信機4からの電磁波6が管1の表面で反射され、その反射波7を受信機5で受信する。これによって、管1の埋設位置を検出することができる。
【特許文献1】特開昭64−25078号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、送信機4からの電磁波6は地中で徐々に減衰していくため、管1への土被りが大きくなると、すなわち管1の埋設位置が深くなると、反射波7を検出することが困難になる。このため、管1の位置を検出できる土被りhは、土質や地下水位によって変化するが、一般に0〜2.5m程度である。それ以上深い位置に埋設されている管の調査には対応できない。
【0006】
そこで本発明は、このような課題を解決して、地中レーダを用いて埋設管の位置を調査するときに、従来よりも深い位置まで調査できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するため本発明は、地中に埋設された管に沿ってボーリング孔を形成し、このボーリング孔と地表との間で電磁波の送受信を行うことによって、前記管の埋設位置を検出するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、送・受信機と埋設管との間で電磁波を往復させるのではなく、ボーリング孔と地表との間で電磁波の送受信を行うため、往復させる場合の2倍程度の土被りに対応した深さの埋設管の位置を検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1および図2において、11は鋳鉄製の埋設管で、地表面12から所定の深さの位置において水平方向に埋設されている。図2において、13は、隣り合う管11、11どうしの継手部であり、図示のように継手部13を用いて多数の管11、・・・が互いに接合されることで、埋設管路が構築されている。
【0010】
本発明においては、図示のように、管11よりもやや下側の位置において、この管11に沿って、水平方向のボーリング孔14を形成する。このボーリング孔14は、管11すなわち埋設管路に沿った相当長さにわたって形成する。なお、図示は省略するが、ボーリング孔14の一端部および他端部においては、それぞれ地表面12からピットが開削され、このピットを利用してボーリング孔14の掘削を行う。
【0011】
ボーリング孔14と地表面12とのいずれか一方、たとえばボーリング孔14には、電磁波の送信機15が設置される。この送信機15は、ボーリング孔14の内部を、このボーリング孔14の長さ方向に移動可能である。そして地表面12には、送信機15からの電磁波16を受信可能な受信機17が設けられている。受信機17は、地表面12に沿って二次元方向に移動可能である。
【0012】
管路を調査するときには、上述のピットを利用してボーリング孔14の内部に送信機15を挿入し、送信機15から電磁波16を送信しながら、図1に示すように受信機17を管11の敷設方向と異なる方向、たとえば管11の径方向と平行な方向に移動させる。すると、受信機17は、管11の影とならない位置では電磁波16を受信可能であるが、管11の影となる部分では、電磁波16をまったく受信できないか、あるいはわずかしか受信することができない。これによって、ボーリング孔14の内部における送信機の位置と、地表面12における受信機17の位置と、管11の口径とから、地中に埋設されている管11の位置を検出することができる。
【0013】
このとき、図3に示すように管1からの反射波を受信するのではなく、受信機17において送信機15から直進してくる電磁波16を受信するため、図3に示す場合に比べて2倍の土被りHすなわち埋設深さであっても管11を検出することができる。具体的には、たとえば土被りHすなわち埋設深さが0〜5m程度であっても、管11を検出することができる。
【0014】
図3に示すように、ボーリング孔14に沿って送信機15を移動させると、複数の管11にて構成された管路の長さ方向に沿って、その管路の埋設深さと水平方向に沿った位置とを検出することができる。このため、たとえば、一つの管11の長さ方向に沿った複数の位置で埋設深さと水平方向の位置とを検出することで、地中におけるその管の姿勢を検出することができる。また、隣り合って配置され互いに接合されている一対の管11、11の姿勢をそれぞれ検出することで、継手部13における両者の屈曲角度を求めることもできる。
【0015】
なお、上記においてはボーリング孔14の内部に送信機15を配置し、かつ地表面12に受信機17を配置したものについて説明したが、これとは反対に、ボーリング孔14の内部に受信機17を配置し、かつ地表面12に送信機15を配置しても、同様に検出を行うことができる。ボーリング孔14の位置は、管11の直下でなくても、送信機15からの電磁波16が管11によって遮られるのであれば、任意の位置で差し支えない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態の地中埋設管路の調査方法を示す横断面図である。
【図2】同調査方法を示す縦断面図である。
【図3】従来の地中埋設管路の調査方法を示す横断面図である。
【符号の説明】
【0017】
11 埋設管
12 地表面
14 ボーリング孔
15 送信機
16 電磁波
17 受信機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地中に埋設された管に沿ってボーリング孔を形成し、このボーリング孔と地表との間で電磁波の送受信を行うことによって、前記管の埋設位置を検出することを特徴とする地中埋設管路の調査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−322254(P2007−322254A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−152934(P2006−152934)
【出願日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】