地中連続壁のコーナー部の造成方法、地中連続壁のコーナー用鋼製連壁部材及びコーナー部を有するソイルセメント地中連続壁
【課題】直線部と同じ壁厚でコーナー用鋼製連壁部材をコーナー部に存在させることができ、工期の短縮、コストの低減等が可能なソイルセメント地中連続壁コーナー部の造成方法、コーナー用鋼製連壁部材、ソイルセメント地中連続壁を提供する。
【解決手段】一方向に連続するソイルセメント地中連続壁１の末端部５に該ソイルセメント地中連続壁１の幅内に収まる例えば幅ｄがＨ型鋼製連壁部材２の幅Ｄよりも狭い四角形のコーナー用鋼製連壁部材６を先に埋設したＨ型鋼製連壁部材２に接合するように埋設した後、前記一方向に連続するソイルセメント地中連続壁１の末端部５で交差する方向にソイルセメント地中連続壁１´の造成を開始し、この交差する部分に最初に埋設するＨ型鋼製連壁部材２´を前記コーナー用鋼製連壁部材６と接合するように埋設する。
【解決手段】一方向に連続するソイルセメント地中連続壁１の末端部５に該ソイルセメント地中連続壁１の幅内に収まる例えば幅ｄがＨ型鋼製連壁部材２の幅Ｄよりも狭い四角形のコーナー用鋼製連壁部材６を先に埋設したＨ型鋼製連壁部材２に接合するように埋設した後、前記一方向に連続するソイルセメント地中連続壁１の末端部５で交差する方向にソイルセメント地中連続壁１´の造成を開始し、この交差する部分に最初に埋設するＨ型鋼製連壁部材２´を前記コーナー用鋼製連壁部材６と接合するように埋設する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、ソイルセメント地中連続壁のコーナー部の造成方法、及び該造成方法に使用することができるコーナー用鋼製連壁部材に関するものであり、更には前記コーナー用鋼製連壁部材をコーナー部に有するソイルセメント地中連続壁に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
図８に示すように、従来から、ソイルセメント地中連続壁のコーナー部にコーナー用鋼製部材（本発明ではコーナー用鋼製連壁部材という。）５１を存在させ、直線部に埋設した芯材としてのＨ形断面の鋼製部材（本発明ではＨ型鋼製連壁部材という。）５０に対して互いに継手部で接続させるという地中連続壁のコーナー部の造成方法は知られていた（例えば、特許文献１参照）。
【０００３】
また、図９に示すように、従来から、Ｈ型鋼製連壁部材６０に接続される中空筒体によるコーナー用鋼製連壁部材６１も知られていた（例えば、特許文献２参照）。
【０００４】
更に、図１０に示すように、Ｈ型鋼製連壁部材と連接される部材ではないが、コーナー用部材として屈曲する部分に互いに向き合った継手部を有する部材７０を配置することも知られていた（例えば、特許文献３参照）。
【特許文献１】特開２００２−２７５８８６号公報（特に、図４）
【特許文献２】実開昭５９−０６５０４６号公報（特に、請求の範囲、第３図）
【特許文献３】特開昭６３−３１２４１３号公報（特に、第７図〜第９図）
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
しかしながら、特許文献１に示され、図８にも示した造成方法では、ソイルセメント地中連続壁の端部寄りの部分を除く直線部Ａの地中連壁の壁厚に比べて、端部寄りの部分Ｂでは壁厚を大きくする必要があった。そのために通常の直線部Ａを造成するのとは異なった手段で端部寄りの部分Ｂを造成する必要があった。
【０００６】
また、特許文献２に示され、図９にも示したコーナー用の鋼製連壁部材６１を使用してコーナー部を有する地中連壁を構築しようとすると、コーナー用の鋼製連壁部材６１には側方方向に大きく突出した縦方向にスリットを有する２個の中空筒体６２が側方方向に大きく突出して固定されているので、一方向に連続するソイルセメント地中連続壁の末端部で壁厚を拡大して掘削する必要がある。
【０００７】
また、角鋼管矢板に関する技術が開示された特許文献３に示され、図１０（ａ）、（ｂ）、（ｃ）にも示されているようなコーナー用部材として屈曲する部分に互いに向き合った継手部を有する部材を配置することをＨ型鋼製連壁部材のコーナー用の鋼製連壁部材として利用するとしても、図１１に示すように、コーナー用の鋼製連壁部材７１には側方方向に大きく突出した部分が存在しているので、やはり一方向に連続するソイルセメント地中連続壁の末端部で壁厚を拡大して掘削する必要がある。
【０００８】
このように従来の造成方法では、図８、図９、図１１に示すように、端部寄りの部分を除く直線部の地中連続壁の壁厚に比べて、直線部の端部寄りの部分では壁厚を大きくすることが常識であった。そのために、通常の直線部を造成するのと異なった手段で端部寄りの部分を造成する必要があり、工期がかかり、コストがかかるなどの問題点があった。
【０００９】
本発明は、直線部と同じ壁厚でコーナー用鋼製連壁部材をコーナー部に存在させ、直線部に埋設したＨ型鋼製連壁部材と互いに継手部で接続させるというソイルセメント地中連続壁のコーナー部の造成方法を提供することを目的とする。
【００１０】
また、本発明は、直線部と同じ壁厚でコーナー部を造成しても、そのコーナー部に適応可能な新規なコーナー用鋼製連壁部材を提案することを目的とし、その結果として得られる新規な構造のコーナー用鋼製連壁部材をコーナー部に有するソイルセメント地中連続壁が得られることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【００１１】
本発明におけるソイルセメント地中連続壁のコーナー部の造成方法は、請求項１に記載したように、継手部を有するＨ型鋼製連壁部材を継手部で接合し埋設することによって補強されたソイルセメント地中連続壁を造成する方法において、一方向に連続するソイルセメント地中連続壁の末端部に該ソイルセメント地中連続壁の壁厚内に収まるコーナー用鋼製連壁部材を先に埋設したＨ型鋼製連壁部材に接合するように埋設した後、前記一方向に連続するソイルセメント地中連続壁の末端部で交差する方向にソイルセメント地中連続壁の造成を開始し、この交差する部分に最初に埋設するＨ型鋼製連壁部材を前記コーナー用鋼製連壁部材と接合するように埋設することを特徴とする。
【００１２】
この造成方法は、直角又はほぼ直角に交差しているコーナー部（図１〜図５参照）、あるいは交差角が１００°以上のコーナー部（図６、図７参照）などに適用されるものであり、コーナー用鋼製連壁部材は、前記した継手部を含めて、ソイルセメント地中連続壁の壁厚内に収めることができる構造であるので、従来のようなソイルセメント地中連続壁のコーナー部分が他の部分よりも拡幅した構造とする必要が無く、コーナー部を含んだソイルセメント地中連続壁を均一な壁厚で構成できる。
【００１３】
本発明におけるもう一つの地中連続壁のコーナー部の造成方法は、請求項２に記載したように、継手部を有するＨ型鋼製連壁部材を継手部で接合し埋設することによって補強されたソイルセメント地中連続壁を造成する方法において、一方向に連続するソイルセメント地中連続壁の末端部に、本体部分に先に埋設されたＨ型鋼製連壁部材のウェブと平行な面と、次に埋設されるＨ型鋼製連壁部材のウェブと平行な面を有し、それらの面にそれぞれ継手部を有すると共に、次に埋設されるＨ型鋼製連壁部材側の継手部は、先に埋設されたＨ型鋼製連壁部材の継手部よりも外側に出ていない構造のコーナー用鋼製連壁部材を先に埋設されたＨ型鋼製連壁部材と継手部で連結されるように埋設し、その後に該コーナー用鋼製連壁部材における次に埋設されるＨ型鋼製連壁部材のウェブと平行な面方向に一方向に連続するソイルセメント地中連続壁を構築し、該コーナー用鋼製連壁部材が存在する位置をコーナー部とすることを特徴とする。
【００１４】
この場合も、直角又はほぼ直角に交差しているコーナー部（図１〜図５参照）、あるいは交差角が１００°以上のコーナー部（図６、図７参照）などに適用されるものであり、コーナー用鋼製連壁部材は、先に埋設されたＨ型鋼製連壁部材のウェブと平行な面を有すると共に、次に埋設されるＨ型鋼製連壁部材のウェブと平行な面を有し、更に次に埋設されるＨ型鋼製連壁部材側の継手部は、先に埋設されたＨ型鋼製連壁部材の継手部よりも外側に出ていない（図１〜図７参照）。このような構造のコーナー用鋼製連壁部材を先に埋設されたＨ型鋼製連壁部材の継手部と連結されるように埋設し、その後に該コーナー用鋼製連壁部材における次に埋設されるＨ型鋼製連壁部材のウェブと平行な面方向にソイルセメント地中連続壁を構築し、該コーナー用鋼製連壁部材の継手部に次に埋設されるＨ型鋼製連壁部材の継手部を連結できる（図１〜図７参照）。このように従来のようなソイルセメント地中連続壁のコーナー部分が他の部分よりも拡幅した構造とする必要が無く、コーナー部を含んだソイルセメント地中連続壁を均一な壁厚で構成できる。
【００１５】
上記した請求項１や請求項２のソイルセメント地中連続壁のコーナー部の造成方法において、特に好ましいのは、請求項３に記載したように、一方向に連続するソイルセメント地中連続壁の末端部に該ソイルセメント地中連続壁の壁厚内に収まるコーナー用鋼製連壁部材として、本体部分が四角形をしており、その本体部分の一方の端部に次に埋設すべきＨ型鋼製連壁部材を接合するための継手部が設けられていると共に、四角形をした本体部分の前記継手部が設けられた辺の隣の辺から外側に張り出している張出部材を有し、先に埋設したＨ型鋼製連壁部材の継手部に接合可能とするための継手部が前記張出部材の先端部に設けられている構造のコーナー用鋼製連壁部材を使用することを特徴とするソイルセメント地中連続壁のコーナー部の造成方法である。
【００１６】
この好ましいソイルセメント地中連続壁のコーナー部の造成方法に使用されるコーナー用鋼製連壁部材は、本体部分は四角形をしており、その本体部分の一方の端部側は、次のＨ型鋼製連壁部材の継手部との継手部を有し、さらに四角形の本体部分の前記継手部が設けられた辺の隣の辺では、四角形の本体部分よりも張り出した部材に先に埋設されたＨ型鋼製連壁部材の継手部との継手部を有しており、かつ、コーナー用鋼製連壁部材は、前記した継手部を含めて、ソイルセメント地中連続壁の壁厚内に収めることができる。直角又はほぼ直角に交差しているコーナー部（図１〜図５参照）に適用されるものであり、従来のようなソイルセメント地中連続壁のコーナー部分が他の部分よりも拡幅した構造とする必要が無く、コーナー部を含んだソイルセメント地中連続壁を均一な壁厚で構成できる。
【００１７】
上記した請求項１または請求項２のソイルセメント地中連続壁のコーナー部の造成方法において、特に好ましいのは、請求項４に記載したように、コーナー用鋼製連壁部材として、その本体部分の一方の端部に次に埋設すべきＨ型鋼製連壁部材を接合するための継手部が設けられていると共に、前記継手部が設けられた辺とは少なくとも一辺離れた辺に先に埋設したＨ型鋼製連壁部材の継手部に接合可能とするための継手部が設けられている構造のコーナー用鋼製連壁部材を使用することを特徴とする地中連続壁のコーナー部の造成方法である。
【００１８】
この方法は交差角が１００°以上のコーナー部（図６、図７参照）などに適用されるものであり、この好ましいソイルセメント地中連続壁のコーナー部の造成方法に使用されるコーナー用鋼製連壁部材は、先に埋設されたＨ型鋼製連壁部材の継手部との継手部が設けられた辺とは少なくとも一辺離れた辺に、次に埋設したＨ型鋼製連壁部材の継手部との継手部を有したものであり、かつ、コーナー用鋼製連壁部材は、前記した継手部を含めて、ソイルセメント地中連続壁の壁厚内に収めることができ、従来のようなソイルセメント地中連続壁のコーナー部分が他の部分よりも拡幅した構造とする必要が無く、コーナー部を含んだソイルセメント地中連続壁を均一な壁厚で構成できる。
【００１９】
本発明のコーナー用鋼製連壁部材は、請求項５に記載したように、本体部分に先に埋設されたＨ型鋼製連壁部材のウェブと平行な面と、次に埋設されるＨ型鋼製連壁部材のウェブと平行な面を有し、それらの面にそれぞれ継手部を有すると共に、次に埋設されるＨ型鋼製連壁部側の継手部は、先に埋設されたＨ型鋼製連壁部材の継手部よりも外側に出ていないことを特徴とするコーナー用鋼製連壁部材である。
【００２０】
このコーナー用鋼製連壁部材は、先に請求項１として示したソイルセメント地中連続壁のコーナー部の造成方法に用いることができる部材である。
【００２１】
上記したコーナー用鋼製連壁部材において、特に好ましいのは、請求項６に記載したように、本体部分が四角形をしており、その本体部分の一方の端部にＨ型鋼製連壁部材を接合するための継手部が設けられていると共に、四角形をした本体部分の前記継手部が設けられた辺の隣の辺から外側に張り出している張出部材を有し、他方のＨ型鋼製連壁部材の継手部に接合可能とするための継手部が前記張出部材の先端部に設けられた構造であり、かつ、該四角形の本体部分における一方の幅は、接続されるべきＨ型鋼製連壁部材における両側のフランジ同士の幅よりも狭い幅であることを特徴とするコーナー用鋼製連壁部材である。
【００２２】
これは、コーナー用鋼製連壁部材の本体部分に張出部材を設けることにより、本体部分の幅ｄをＨ型鋼製連壁部材の幅Ｄよりも小さくしたコーナー用鋼製連壁部材（図１〜図５参照）の場合である。
【００２３】
上記したコーナー用鋼製連壁部材において、特に好ましいのは、請求項７に記載したように、コーナー用鋼製連壁部材として、その本体部分の一方の端部に次に埋設すべきＨ型鋼製連壁部材を接合するための継手部が設けられていると共に、前記継手部が設けられた辺とは少なくとも一辺離れた辺に先に埋設したＨ型鋼製連壁部材の継手部に接合可能とするための継手部が設けられていることと共に、次に埋設されるＨ型鋼製連壁部材の継手部よりも外側に出ていないことを特徴とするコーナー用鋼製連壁部材である。
【００２４】
このコーナー用鋼製連壁部材は、交差角が１００°以上のコーナー部（図６、図７参照）などに適用されるものであり、例えば次に埋設されるＨ型鋼製連壁部材の継手部との継手部が設けられた辺が、先に埋設されたＨ型鋼製連壁部材の継手部との継手部が設けられた辺に対して傾斜している辺である場合である（図６、図７参照）。
【００２５】
本発明のソイルセメント地中連続壁は、請求項８に記載したように、コーナー部を有するソイルセメント地中連続壁であって、一方向に連続するソイルセメント地中連続壁の末端部に該ソイルセメント地中連続壁の壁厚内に収まるコーナー用鋼製連壁部材が埋設されて、コーナー部以外のソイルセメント部分にも埋設されたＨ型鋼製連壁部材と継手部で互いに接合されていることを特徴とする。
【００２６】
このソイルセメント地中連続壁は、一方向に連続するソイルセメント地中連続壁の壁厚内に継手部を含めたコーナー用鋼製連壁部材が収まるようにし（図１〜図７参照）、従来のような一方向に連続するソイルセメント地中連続壁の末端部に拡幅部を設けることなく、ソイルセメント地中連続壁を一方向では全長にわたって直線部で構成できるようにしたものである。
【００２７】
上記のソイルセメント地中連続壁において、特に好ましいのは、請求項９に記載したように、コーナー部を有するソイルセメント地中連続壁であって、コーナーにおける一方のソイルセメント部分には、本体部分が四角形をしており、その本体部分の一方の端部に次に埋設すべきＨ型鋼製連壁部材を接合するための継手部が設けられ、更に、四角形をした本体部分の前記継手部が設けられた辺の隣の辺から外側に張り出している張出部材を有し、先に埋設したＨ型鋼製連壁部材の継手部に接合可能とするための継手部が前記張出部材の先端部に設けられた構造のコーナー用鋼製連壁部材が一方向に連続するソイルセメント地中連続壁の壁厚内に収まる姿で埋設されて、残りのソイルセメント部分にはＨ型鋼製連壁部材が埋設されていると共に、埋設された鋼製連壁部材は継手部で互いに接合されていることを特徴とするコーナー部を有するソイルセメント地中連続壁である。
【００２８】
この好ましいソイルセメント地中連続壁では、コーナー用鋼製連壁部材として、本体部分は四角形をしており、その本体部分の一方の端部側は、次のＨ型鋼製連壁部材の継手部との継手部を有し、さらに四角形の本体部分の前記継手部が設けられた辺の隣の辺では、四角形の本体部分よりも張り出した部材に先に埋設されたＨ型鋼製連壁部材の継手部との継手部を有しており、かつ、該コーナー用鋼製連壁部材は、前記した継手部を含めて、ソイルセメント地中連続壁の壁厚内に収めることができるコーナー用鋼製連壁部材を使用したものである。従って、直角又はほぼ直角に交差しているコーナー部（図１〜図５参照）を有したソイルセメント地中連続壁に関するものであり、従来のようなソイルセメント地中連続壁のコーナー部分が他の部分よりも拡幅した構造とする必要が無く、コーナー部を含んだソイルセメント地中連続壁を均一な壁厚で構成された地中連続壁とし得る。
【００２９】
上記ソイルセメント地中連続壁において、特に好ましいのは、請求項１０に記載したように、コーナー部を有するソイルセメント地中連続壁であって、コーナーにおける一方のソイルセメント部分には、本体部分の一方の端部に次に埋設すべきＨ型鋼製連壁部材を接合するための継手部が設けられていると共に、前記継手部が設けられた辺とは少なくとも一辺離れた辺に先に埋設したＨ型鋼製連壁部材の継手部に接合可能とするための継手部が設けられていることと共に、次に埋設されるＨ型鋼製連壁部材の継手部は、先に埋設されたＨ型鋼製連壁部材の継手部よりも外側に出ていない構造のコーナー用鋼製連壁部材が一方向に連続するソイルセメント地中連続壁の壁厚内に収まる姿で埋設されて、残りのソイルセメント部分にはＨ型鋼製連壁部材が埋設されていると共に、埋設された鋼製連壁部材は継手部で互いに接合されていることを特徴とするコーナー部を有するソイルセメント地中連続壁である。
【００３０】
この好ましい地中連続壁では、コーナー用鋼製連壁部材として、先に埋設されたＨ型鋼製連壁部材の継手部との継手部が設けられた辺とは少なくとも一辺離れた辺に、次に埋設したＨ型鋼製連壁部材の継手部との継手部を有したものであり、かつ、コーナー用鋼製連壁部材は、前記した継手部を含めて、ソイルセメント地中連続壁の壁厚内に収めることができるコーナー用鋼製連壁部材を使用したものである。従って、交差角が１００°以上のコーナー部（図６、図７参照）などに関するものであり、従来のようなソイルセメント地中連続壁のコーナー部分が他の部分よりも拡幅した構造とする必要が無く、コーナー部を含んだソイルセメント地中連続壁を均一な壁厚で構成されたソイルセメント地中連続壁とし得る。
【発明の効果】
【００３１】
本発明におけるソイルセメント地中連続壁のコーナー部の造成方法は、一方向に連続するソイルセメント地中連続壁の末端部に該ソイルセメント地中連続壁の壁厚内に収まるコーナー用鋼製連壁部材を埋設した後、前記一方向に連続するソイルセメント地中連続壁の末端部で交差する方向にソイルセメント地中連続壁の造成を開始するという工程を含む施工方法であるため、従来方法のような端部寄りの部分を除く直線部のソイルセメント地中連続壁の壁厚に比べて、直線部の端部寄りの部分では壁厚を大きくする必要が無くなる。そのために従来工法のように壁厚を大きくする工程が必要でないため、工期の短縮などにより工程面で有利であるばかりでなく、壁厚を大きくするための装置的な部品等を用意する必要が無くなり、ソイルセメント地中連続壁を造成するための総費用が安価になる等の利点がある。
【００３２】
上記の効果は、一方向に連続するソイルセメント地中連続壁の末端部に該ソイルセメント地中連続壁に幅内に収まるコーナー用鋼製連壁部材として、本体部分が四角形をしており、その本体部分の一方の端部に次に埋設すべきＨ型鋼製連壁部材を接合するための継手部が設けられていると共に、四角形をした本体部分の前記継手部が設けられた辺の隣の辺から外側に張り出している張出部材を有し、先に埋設したＨ型鋼製連壁部材の継手部に接合可能とするための継手部が前記張出部材の先端部に設けられている構造のコーナー用鋼製連壁部材を使用することによっても実現される。
【００３３】
更に、上記の効果は、一方向に連続するソイルセメント地中連続壁の末端部近くに、該ソイルセメント地中連続壁に壁厚内に収まるコーナー用鋼製連壁部材として、その本体部分の一方の端部に次に埋設すべきＨ型鋼製連壁部材を接合するための継手部が設けられていると共に、前記継手部が設けられた辺とは少なくとも一辺離れた辺に先に埋設したＨ型鋼製連壁部材の継手部に接続可能な継手部が設けられた構造のコーナー用鋼製連壁部材を使用することによっても実現される。
【００３４】
また、本体部分が四角形をしており、その本体部分の一方の端部に次に埋設すべきＨ型鋼製連壁部材を接合するための継手部が設けられていると共に、四角形をした本体部分の前記継手部が設けられた辺の隣の辺から外側に張り出している張出部材を有し、先に埋設したＨ型鋼製連壁部材の継手部に接合可能とするための継手部を前記張出部材の先端部に設けられている構造のコーナー用鋼製連壁部材は、ソイルセメント地中連続壁に使用されるばかりでなく、他の地中連続壁に使用された場合でも、コーナー部で余分な掘削を必要としないという優れた効果を発揮する鋼製連壁部材である。
【００３５】
更に、その本体部分に次に埋設すべきＨ型鋼製連壁部材を接合するための継手部が設けられていると共に、前記継手部が設けられた辺とは少なくとも一辺離れた辺に先に埋設したＨ型鋼製連壁部材の継手部に接続可能な継手部が設けられた構造であって、一方向に連続する地中連続壁の末端部近くに、該地中連続壁の壁厚内に収まるコーナー用鋼製連壁部材は、ソイルセメント地中連続壁に使用されるばかりでなく、他の地中連続壁に使用された場合でも、コーナー部で余分な掘削を必要としないという優れた効果を発揮する鋼製連壁部材である。
【００３６】
また、コーナー用鋼製連壁部材が先に埋設されたＨ型鋼製連壁部材の継手部よりも外側に出ていない状態で埋設され、ソイルセメント地中連続壁がコーナー部で弱点を持たない構造とできるばかりでなく、このコーナー用鋼製連壁部材の位置をコーナー部として次に造成する一方向に連続するソイルセメント地中連続壁を造成する際に、次のソイルセメント地中連続壁の造成開始位置が該コーナー用鋼製連壁部材における次に埋設されるＨ型鋼製連壁部材のウェブを目印とすることができる。即ち、該ウェブと平行な面方向に次のソイルセメント地中連続壁を造成開始することができる。
【００３７】
更に、コーナー部で前記した構造のコーナー用鋼製連壁部材が埋設されたソイルセメント地中連続壁は、コーナー部に余分な掘削あとが残らないスッキリした構造のソイルセメント地中連続壁となり、見映えが良くなるばかりか、安価な造成コストにより施工されているので、施主からも喜ばれる構造である。
【発明を実施するための最良の形態】
【００３８】
本発明のソイルセメント地中連続壁のコーナー部の造成方法について図面を用いて説明する。図１〜図５は、本発明のソイルセメント地中連続壁の直角又はほぼ直角に交差するコーナー部の造成方法に関する例である。図６、図７は、本発明のソイルセメント地中連続壁の交差角が１００°以上のコーナー部の造成方法に関する例であり、ソイルセメント地中連続壁の全体の平面視形状が五角形、六角形、七角形、八角形などの場合である。
【００３９】
図１に示したように、一方向に連続するソイルセメント地中連続壁１を、芯材としてのＨ型鋼製連壁部材２を埋設しながら、かつ、先に埋設したＨ型鋼製連壁部材２に対して継手部３で連結しながら、一方向に連続して造成する。この図において、４はソイルセメントである。
【００４０】
なお、図１におけるＨ型鋼製連壁部材２は、全て雄継手を有するＨ型鋼製連壁部材と、全て雌継手を有するＨ型鋼製連壁部材を組み合わせて使用しているが、その両端部の継手部として、片側に雄継手を有し、他の側に雌継手を有するＨ型鋼製連壁部材を使用してもよい。
【００４１】
このソイルセメント地中連続壁の造成方法は、前記した特許文献１に示されたような切削刃を有する無端チェーンをカッターポストの周囲で循環させながら、カッターポストを地中に挿入させたまま横行させると同時に、カッターポストの下端部、もしくは地表面付近から固化液等の注入液を吐出することにより、注入液と掘削土が充分に混合攪拌された壁状のソイルセメントを造成する造成方法によっても、またその他のソイルセメント地中連続壁の造成方法によっても良い。しかしながら、前者の造成方法が均一なソイルセメント地中連続壁とすることができるので好ましい造成方法である。
【００４２】
このようにして造成した一方向に連続するソイルセメント地中連続壁１の末端部５において、これまでソイルセメント４内に埋設したＨ型鋼製連壁部材２の代わりに、該ソイルセメント地中連続壁１の壁厚内に収まるコーナー用鋼製連壁部材６を埋設する。勿論、コーナー用鋼製連壁部材６は、先に埋設したＨ型鋼製連壁部材２に接合するように埋設する。
【００４３】
この図１に例示したコーナー用鋼製連壁部材６は、本体部分７が四角形をしており、その本体部分７の幅方向の一方の端部の辺８に次のＨ型鋼製連壁部材２´を接合するための継手部９、９が設けられていると共に、四角形をした本体部分７の前記継手部９、９が設けられた辺８の隣の辺１０の両端から幅方向の外側に張り出す断面Ｌ字状等の張出部材１１、１１が設けられ、他方のＨ型鋼製連壁部材２の継手部３に接合可能とするための継手部１２、１２が前記張出部材１１、１１の先端部に設けられた構造であり、かつ、該四角形の本体部分７の幅ｄは、接続されるべきＨ型鋼製連壁部材２における両側のフランジ同士の幅Ｄよりも狭い幅とされている。
【００４４】
このように、一方向に連続するソイルセメント地中連続壁１の末端部５-１において、該ソイルセメント地中連続壁１の壁厚内に収まるコーナー用鋼製連壁部材６-１を埋設した後、この一方向に連続するソイルセメント地中連続壁１の末端部５-１で交差する方向に、図１（ａ）において破線で示したようにソイルセメント地中連続壁１´の造成を開始し、この直交する部分に最初に埋設するＨ型鋼製連壁部材２´を前記コーナー用鋼製連壁部材６-１と継手部３´で互いに接合するように埋設する。
【００４５】
なお、図１（ａ）においては、一方向に連続するソイルセメント地中連続壁１の反対側の末端部５-２にもコーナー用鋼製連壁部材６-２が埋設されている。このコーナー用鋼製連壁部材６-２と先に示したコーナー用鋼製連壁部材６-１とは前記張出部材１１、１１の突出方向が逆方向になっている。このコーナー用鋼製連壁部材６-２にも交差する方向に図１（ａ）において破線で示したようにソイルセメント地中連続壁１´の造成を開始する。
【００４６】
また、図２に示すように、一方向に連続するソイルセメント地中連続壁１の末端部５に該ソイルセメント地中連続壁１の壁厚内に収まるコーナー用鋼製連壁部材６を埋設した後、この一方向に連続するソイルセメント地中連続壁１の末端部５で交差する方向にソイルセメント地中連続壁１ＡをＨ型鋼製連壁部材２Ａを埋設しながら造成し、その末端部５Ａに該ソイルセメント地中連続壁１Ａの壁厚内に収まるコーナー用鋼製連壁部材６Ａを埋設し、図２に破線で示したようにソイルセメント地中連続壁１Ｂの造成を開始する。このような場合は、コーナー用鋼製連壁部材６Ａは先に使用したコーナー用鋼製連壁部材６と同じ形のものを使用することができる。
【００４７】
なお、図１や図２に示したような直角な四角形とした鋼材に継手部等を設けた構造とする代わりに、図３に示したコーナー用鋼製連壁部材６のように、本体部分７を複数のＨ形鋼部材と鋼板を組み合わせて全体として四角形にした構造など、本体部分７が四角形である限り、コーナー用鋼製連壁部材６として使用できる。
【００４８】
また、図１、図２、図３に示した例では、本体部分７の張出部材１１、１１は、次のＨ型鋼製連壁部材２´を接合するための継手部９、９側にも、その反対側にも、設けられているが、図４に示すように、張出部材１１は次のＨ型鋼製連壁部材２´を接合するための継手部９、９側のみに設けられていても本発明のコーナー用鋼製連壁部材６である。
【００４９】
更に図５に示すように、次に造成するソイルセメント地中連続壁１´が、先に造成したソイルセメント地中連続壁１と直交しない場合では、次のＨ型鋼製連壁部材２´を接合するための継手部９、９側が次に造成するソイルセメント地中連続壁１´の方向に向いている場合は、本体部分７は四角形を変形した四角形となる。また、次のＨ型鋼製連壁部材２´を接合するための継手部９、９は、次のソイルセメント地中連続壁１´が造成できるように、造成中のソイルセメント地中連続壁１の壁面よりも離れた位置に存在するような構造となっている。このような構造のものでも、本発明のコーナー用鋼製連壁部材６である。
【００５０】
このように本体部分が四角形をしており、その本体部分の幅方向の一方の端部の辺に次のＨ型鋼製連壁部材を接合するための継手部が設けられていると共に、四角形をした本体部分の前記継手部が設けられた辺の隣の辺の両端から幅方向の外側に張り出す断面Ｌ字状等の張出部材が設けられ、他方のＨ型鋼製連壁部材の継手部に接合可能とするための継手部が前記張出部材の先端部に設けられた構造であり、かつ、該四角形の本体部分の幅は、接続されるべきＨ型鋼製連壁部材における両側のフランジ同士の幅よりも狭い幅である限り、本発明で使用し得るコーナー用鋼製連壁部材であり、このような構造とすることにより、継手部９、９が造成中のソイルセメント地中連続壁１の壁厚内に収めることが可能となる。
【００５１】
以上に示した通り、本発明におけるソイルセメント地中連続壁のコーナー部の造成方法は、互いに接合部を有するＨ型鋼製連壁部材を埋設することによって補強されたソイルセメント地中連続壁を造成する方法において、一方向に連続するソイルセメント地中連続壁の末端部に該ソイルセメント地中連続壁の壁厚内に収まるコーナー用鋼製連壁部材を先に埋設したＨ型鋼製連壁部材に接合するように埋設した後、前記一方向に連続するソイルセメント地中連続壁の末端部で交差する方向にソイルセメント地中連続壁の造成を開始し、この直交する部分に最初に埋設するＨ型鋼製連壁部材を前記コーナー用鋼製連壁部材と接合するように埋設して造成するものである。
【００５２】
次に、図６に示したコーナー用鋼製連壁部材２０は、その本体部分（即、継手部を除く部分）２１に先に埋設されたＨ型鋼製連壁部材２のウェブ２ａと平行な面２２と、次に埋設されるＨ型鋼製連壁部材２´のウェブ２ａ´と平行な面２３を有している。それらの面２２、２３に継手部２４、２５を有している。それと共に、次に埋設されるＨ型鋼製連壁部材２´側の継手部２４は、先に埋設されたＨ型鋼製連壁部材２の雌継手部３ａよりも外側に出ていない構造になっている。深さ方向の構造については図示されていないが、先に埋設されたＨ型鋼製壁部材２も、次に埋設されるＨ鋼製連壁部材２´も、コーナー用鋼製連壁部材２０も、全て継手部を含めて地中連続壁の深さ方向に延びているものである。
【００５３】
なお、図６中に示したコーナー用鋼製連壁部材２０は、コーナーの外側の本体部分が屈曲した姿になっているが、図７に示すように、屈曲しない構造であってもよい。
【００５４】
また、図６や図７におけるＨ型鋼製連壁部材２は、全て雄継手を有するＨ型鋼製連壁部材と、全て雌継手を有するＨ型鋼製連壁部材を組み合わせて使用しているが、その両端部の継手部として、片側に雄継手を有し、他の側に雌継手を有するＨ型鋼製連壁部材を使用してもよい。
【００５５】
更に、上記の構造を維持する限り、コーナー用鋼製連壁部材２０の継手部２４、２５の少なくとも一方を雌継手に変更しても差し支えないが、次に埋設されるＨ型鋼製連壁部材２´側の継手部２５は雄継手とする方が先に埋設されたＨ型鋼製連壁部材２の雌継手部３ａよりも外側に出ていない構造とすることが容易である。
【００５６】
次に、コーナー用鋼製連壁部材２０を用いたコーナー部を有するソイルセメント地中連続壁の造成方法について先に示した図６を使用して説明する。
【００５７】
一方向に連続するソイルセメント４を地中連続壁１状態に築造しながら互いの継手部３で接合した状態となるようにＨ型鋼製連壁部材２を埋設し、互いに接合部を有するＨ型鋼製連壁部材２を埋設することによって補強されたソイルセメント地中連続壁１を造成する。
【００５８】
このようにして造成されたソイルセメント地中連続壁１の末端部５に、先に示したコーナー用鋼製連壁部材２０を埋設する。
【００５９】
このコーナー用鋼製連壁部材２０は、その本体部分（即、継手部を除く部分）２１に先に埋設されたＨ型鋼製連壁部材２のウェブ２ａと平行な面２２の継手部２４が先に埋設されたＨ型鋼製連壁部材２の雌継手部３ａと接合された状態となるように埋設される。すると図６にも示されているように、コーナー用鋼製連壁部材２０の平行な面２３は、ソイルセメント４中の壁際よりも内側に位置することになり、その面２３の継手部２５は先に埋設されたＨ型鋼製連壁部材２の雌継手部３ａよりも外側に出ていない状態になる。
【００６０】
その後に、先に築造したソイルセメント地中連続壁１中の部分内に存在するコーナー用鋼製連壁部材２０の継手部２５の先端から、該継手部２５を有する面２３と直交する方向に一方向に連続するソイルセメント４´の地中連続壁１´を構築し、Ｈ型鋼製連壁部１´を継手部３´でコーナー用鋼製連壁部材２０の継手部２５と接合するように埋設する。
【００６１】
なお、この末端部５の壁厚は、ソイルセメント地中連続壁１の壁厚Ｄと同じである。また、このソイルセメント４´のソイルセメント地中連続壁１´の壁厚も先に築造したソイルセメント地中連続壁１の壁厚Ｄと同じである。
【００６２】
このようにしてコーナー用鋼製連壁部材２０が存在する位置をコーナー部とするソイルセメント地中連続壁が造成される。
【００６３】
また、図２に示したようにコーナー用鋼製連壁部材６Ａを使用した場合のソイルセメント地中連続壁を造成する場合も、Ｈ型鋼製連壁部材２Ａを互いの継手部３Ａで連続した形状に埋設された一方向に連続するソイルセメント地中連続壁１Ａを造成する手順は、図６で説明したと同じ手順である。
【００６４】
このように造成されたソイルセメント地中連続壁１Ａの末端部５Ａにコーナー用鋼製壁部材６Ａを埋設する。このコーナー用鋼製連壁部材６Ａは、図１（ｂ）に示したコーナー用鋼製連壁部材６と同じものであり、先に埋設されたＨ型鋼製連壁部材２Ａのウェブ２ａと平行な面に設けられた継手部（図１（ｂ）では１２と示されている継手部）で先に埋設されたＨ型鋼製連壁部材２Ａの継手部と接続された状態になるように埋設される。すると、図２にも示すように、次に埋設されるＨ型鋼製連壁部材２Ｂのウェブ２ａと平行な面となる辺に設けられた継手部（図１（ｂ）では９と示されている継手部）は、先に埋設されたＨ型鋼製連壁部材２Ａの継手部３ａより外側に出ていない状態になる。
【００６５】
その後に、先に造成したソイルセメント地中連続壁１Ａ中に存在するコーナー用鋼製壁部材６Ａの次に埋設されるＨ型鋼製連壁部材２Ｂのウェブ２ａと平行な面となる辺に設けられた継手部（図１（ｂ）では９と示されている継手部）の先端から、該継手部（図１（ｂ）では９と示されている継手部）を有する辺と直交する方向に一方向に連続するソイルセメント地中連続壁１Ｂを構築し、Ｈ型鋼製連壁部材２Ｂを埋設し、その継手部にてコーナー用鋼製連壁部材６Ａの継手部と接合する。
【００６６】
この場合も、末端部５Ａの壁厚も他の部分の壁厚と同じであり、ソイルセメント地中連続壁１Ｂの壁厚もソイルセメント地中連続壁１Ａと同じである。
【００６７】
このようにしてコーナー用鋼製連壁部材６Ａが存在する位置をコーナー部とするソイルセメント地中連続壁が造成される。
【図面の簡単な説明】
【００６８】
【図１】本発明におけるソイルセメント地中連続壁の直角又はほぼ直角のコーナー部の造成方法を説明するための平面図であり、（ａ）は一方向に連続するソイルセメント地中連続壁、（ｂ）はコーナー用鋼製連壁部材である。
【図２】本発明における図１とは異なるソイルセメント地中連続壁のコーナー部の造成方法を説明するための平面図である。
【図３】本発明における図１とは異なるコーナー用鋼製連壁部材を使用した例を示す平面図である。
【図４】本発明における図３とは異なるコーナー用鋼製連壁部材を使用した例を示す平面図である。
【図５】本発明における図４とは異なるコーナー用鋼製連壁部材を使用した例を示す平面図である。
【図６】本発明におけるソイルセメント地中連続壁の交差角が１００°以上のコーナー部の造成方法を説明するための平面図である。
【図７】本発明における図１とは異なるコーナー用鋼製連壁部材を使用した例を示す平面図である。
【図８】従来のコーナー部の造成方法を説明するための平面図である。
【図９】従来例のコーナー用鋼製連壁部材を使用状態で示す平面図である。
【図１０】従来例の角鋼管矢板を使用状態で示す平面図である。
【図１１】図８や図９とは異なる従来例のコーナー用鋼製連壁部材を使用状態で示す平面図である。
【符号の説明】
【００６９】
１、１´…ソイルセメント地中連続壁
２、２´…Ｈ型鋼製連壁部材
２ａ、２ａ´…ウェブ
３、３´…継手部
４、４´…ソイルセメント
５…末端部
６…コーナー用鋼製連壁部材
７…本体部分
８…端部
９…継手部
１０…隣の辺
１１…張出部材
１２…継手部
２０…コーナー用鋼製連壁部材
２１…本体部分
２２…面
２３…面
２４…継手部
２５…継手部
【技術分野】
【０００１】
本発明は、ソイルセメント地中連続壁のコーナー部の造成方法、及び該造成方法に使用することができるコーナー用鋼製連壁部材に関するものであり、更には前記コーナー用鋼製連壁部材をコーナー部に有するソイルセメント地中連続壁に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
図８に示すように、従来から、ソイルセメント地中連続壁のコーナー部にコーナー用鋼製部材（本発明ではコーナー用鋼製連壁部材という。）５１を存在させ、直線部に埋設した芯材としてのＨ形断面の鋼製部材（本発明ではＨ型鋼製連壁部材という。）５０に対して互いに継手部で接続させるという地中連続壁のコーナー部の造成方法は知られていた（例えば、特許文献１参照）。
【０００３】
また、図９に示すように、従来から、Ｈ型鋼製連壁部材６０に接続される中空筒体によるコーナー用鋼製連壁部材６１も知られていた（例えば、特許文献２参照）。
【０００４】
更に、図１０に示すように、Ｈ型鋼製連壁部材と連接される部材ではないが、コーナー用部材として屈曲する部分に互いに向き合った継手部を有する部材７０を配置することも知られていた（例えば、特許文献３参照）。
【特許文献１】特開２００２−２７５８８６号公報（特に、図４）
【特許文献２】実開昭５９−０６５０４６号公報（特に、請求の範囲、第３図）
【特許文献３】特開昭６３−３１２４１３号公報（特に、第７図〜第９図）
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
しかしながら、特許文献１に示され、図８にも示した造成方法では、ソイルセメント地中連続壁の端部寄りの部分を除く直線部Ａの地中連壁の壁厚に比べて、端部寄りの部分Ｂでは壁厚を大きくする必要があった。そのために通常の直線部Ａを造成するのとは異なった手段で端部寄りの部分Ｂを造成する必要があった。
【０００６】
また、特許文献２に示され、図９にも示したコーナー用の鋼製連壁部材６１を使用してコーナー部を有する地中連壁を構築しようとすると、コーナー用の鋼製連壁部材６１には側方方向に大きく突出した縦方向にスリットを有する２個の中空筒体６２が側方方向に大きく突出して固定されているので、一方向に連続するソイルセメント地中連続壁の末端部で壁厚を拡大して掘削する必要がある。
【０００７】
また、角鋼管矢板に関する技術が開示された特許文献３に示され、図１０（ａ）、（ｂ）、（ｃ）にも示されているようなコーナー用部材として屈曲する部分に互いに向き合った継手部を有する部材を配置することをＨ型鋼製連壁部材のコーナー用の鋼製連壁部材として利用するとしても、図１１に示すように、コーナー用の鋼製連壁部材７１には側方方向に大きく突出した部分が存在しているので、やはり一方向に連続するソイルセメント地中連続壁の末端部で壁厚を拡大して掘削する必要がある。
【０００８】
このように従来の造成方法では、図８、図９、図１１に示すように、端部寄りの部分を除く直線部の地中連続壁の壁厚に比べて、直線部の端部寄りの部分では壁厚を大きくすることが常識であった。そのために、通常の直線部を造成するのと異なった手段で端部寄りの部分を造成する必要があり、工期がかかり、コストがかかるなどの問題点があった。
【０００９】
本発明は、直線部と同じ壁厚でコーナー用鋼製連壁部材をコーナー部に存在させ、直線部に埋設したＨ型鋼製連壁部材と互いに継手部で接続させるというソイルセメント地中連続壁のコーナー部の造成方法を提供することを目的とする。
【００１０】
また、本発明は、直線部と同じ壁厚でコーナー部を造成しても、そのコーナー部に適応可能な新規なコーナー用鋼製連壁部材を提案することを目的とし、その結果として得られる新規な構造のコーナー用鋼製連壁部材をコーナー部に有するソイルセメント地中連続壁が得られることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【００１１】
本発明におけるソイルセメント地中連続壁のコーナー部の造成方法は、請求項１に記載したように、継手部を有するＨ型鋼製連壁部材を継手部で接合し埋設することによって補強されたソイルセメント地中連続壁を造成する方法において、一方向に連続するソイルセメント地中連続壁の末端部に該ソイルセメント地中連続壁の壁厚内に収まるコーナー用鋼製連壁部材を先に埋設したＨ型鋼製連壁部材に接合するように埋設した後、前記一方向に連続するソイルセメント地中連続壁の末端部で交差する方向にソイルセメント地中連続壁の造成を開始し、この交差する部分に最初に埋設するＨ型鋼製連壁部材を前記コーナー用鋼製連壁部材と接合するように埋設することを特徴とする。
【００１２】
この造成方法は、直角又はほぼ直角に交差しているコーナー部（図１〜図５参照）、あるいは交差角が１００°以上のコーナー部（図６、図７参照）などに適用されるものであり、コーナー用鋼製連壁部材は、前記した継手部を含めて、ソイルセメント地中連続壁の壁厚内に収めることができる構造であるので、従来のようなソイルセメント地中連続壁のコーナー部分が他の部分よりも拡幅した構造とする必要が無く、コーナー部を含んだソイルセメント地中連続壁を均一な壁厚で構成できる。
【００１３】
本発明におけるもう一つの地中連続壁のコーナー部の造成方法は、請求項２に記載したように、継手部を有するＨ型鋼製連壁部材を継手部で接合し埋設することによって補強されたソイルセメント地中連続壁を造成する方法において、一方向に連続するソイルセメント地中連続壁の末端部に、本体部分に先に埋設されたＨ型鋼製連壁部材のウェブと平行な面と、次に埋設されるＨ型鋼製連壁部材のウェブと平行な面を有し、それらの面にそれぞれ継手部を有すると共に、次に埋設されるＨ型鋼製連壁部材側の継手部は、先に埋設されたＨ型鋼製連壁部材の継手部よりも外側に出ていない構造のコーナー用鋼製連壁部材を先に埋設されたＨ型鋼製連壁部材と継手部で連結されるように埋設し、その後に該コーナー用鋼製連壁部材における次に埋設されるＨ型鋼製連壁部材のウェブと平行な面方向に一方向に連続するソイルセメント地中連続壁を構築し、該コーナー用鋼製連壁部材が存在する位置をコーナー部とすることを特徴とする。
【００１４】
この場合も、直角又はほぼ直角に交差しているコーナー部（図１〜図５参照）、あるいは交差角が１００°以上のコーナー部（図６、図７参照）などに適用されるものであり、コーナー用鋼製連壁部材は、先に埋設されたＨ型鋼製連壁部材のウェブと平行な面を有すると共に、次に埋設されるＨ型鋼製連壁部材のウェブと平行な面を有し、更に次に埋設されるＨ型鋼製連壁部材側の継手部は、先に埋設されたＨ型鋼製連壁部材の継手部よりも外側に出ていない（図１〜図７参照）。このような構造のコーナー用鋼製連壁部材を先に埋設されたＨ型鋼製連壁部材の継手部と連結されるように埋設し、その後に該コーナー用鋼製連壁部材における次に埋設されるＨ型鋼製連壁部材のウェブと平行な面方向にソイルセメント地中連続壁を構築し、該コーナー用鋼製連壁部材の継手部に次に埋設されるＨ型鋼製連壁部材の継手部を連結できる（図１〜図７参照）。このように従来のようなソイルセメント地中連続壁のコーナー部分が他の部分よりも拡幅した構造とする必要が無く、コーナー部を含んだソイルセメント地中連続壁を均一な壁厚で構成できる。
【００１５】
上記した請求項１や請求項２のソイルセメント地中連続壁のコーナー部の造成方法において、特に好ましいのは、請求項３に記載したように、一方向に連続するソイルセメント地中連続壁の末端部に該ソイルセメント地中連続壁の壁厚内に収まるコーナー用鋼製連壁部材として、本体部分が四角形をしており、その本体部分の一方の端部に次に埋設すべきＨ型鋼製連壁部材を接合するための継手部が設けられていると共に、四角形をした本体部分の前記継手部が設けられた辺の隣の辺から外側に張り出している張出部材を有し、先に埋設したＨ型鋼製連壁部材の継手部に接合可能とするための継手部が前記張出部材の先端部に設けられている構造のコーナー用鋼製連壁部材を使用することを特徴とするソイルセメント地中連続壁のコーナー部の造成方法である。
【００１６】
この好ましいソイルセメント地中連続壁のコーナー部の造成方法に使用されるコーナー用鋼製連壁部材は、本体部分は四角形をしており、その本体部分の一方の端部側は、次のＨ型鋼製連壁部材の継手部との継手部を有し、さらに四角形の本体部分の前記継手部が設けられた辺の隣の辺では、四角形の本体部分よりも張り出した部材に先に埋設されたＨ型鋼製連壁部材の継手部との継手部を有しており、かつ、コーナー用鋼製連壁部材は、前記した継手部を含めて、ソイルセメント地中連続壁の壁厚内に収めることができる。直角又はほぼ直角に交差しているコーナー部（図１〜図５参照）に適用されるものであり、従来のようなソイルセメント地中連続壁のコーナー部分が他の部分よりも拡幅した構造とする必要が無く、コーナー部を含んだソイルセメント地中連続壁を均一な壁厚で構成できる。
【００１７】
上記した請求項１または請求項２のソイルセメント地中連続壁のコーナー部の造成方法において、特に好ましいのは、請求項４に記載したように、コーナー用鋼製連壁部材として、その本体部分の一方の端部に次に埋設すべきＨ型鋼製連壁部材を接合するための継手部が設けられていると共に、前記継手部が設けられた辺とは少なくとも一辺離れた辺に先に埋設したＨ型鋼製連壁部材の継手部に接合可能とするための継手部が設けられている構造のコーナー用鋼製連壁部材を使用することを特徴とする地中連続壁のコーナー部の造成方法である。
【００１８】
この方法は交差角が１００°以上のコーナー部（図６、図７参照）などに適用されるものであり、この好ましいソイルセメント地中連続壁のコーナー部の造成方法に使用されるコーナー用鋼製連壁部材は、先に埋設されたＨ型鋼製連壁部材の継手部との継手部が設けられた辺とは少なくとも一辺離れた辺に、次に埋設したＨ型鋼製連壁部材の継手部との継手部を有したものであり、かつ、コーナー用鋼製連壁部材は、前記した継手部を含めて、ソイルセメント地中連続壁の壁厚内に収めることができ、従来のようなソイルセメント地中連続壁のコーナー部分が他の部分よりも拡幅した構造とする必要が無く、コーナー部を含んだソイルセメント地中連続壁を均一な壁厚で構成できる。
【００１９】
本発明のコーナー用鋼製連壁部材は、請求項５に記載したように、本体部分に先に埋設されたＨ型鋼製連壁部材のウェブと平行な面と、次に埋設されるＨ型鋼製連壁部材のウェブと平行な面を有し、それらの面にそれぞれ継手部を有すると共に、次に埋設されるＨ型鋼製連壁部側の継手部は、先に埋設されたＨ型鋼製連壁部材の継手部よりも外側に出ていないことを特徴とするコーナー用鋼製連壁部材である。
【００２０】
このコーナー用鋼製連壁部材は、先に請求項１として示したソイルセメント地中連続壁のコーナー部の造成方法に用いることができる部材である。
【００２１】
上記したコーナー用鋼製連壁部材において、特に好ましいのは、請求項６に記載したように、本体部分が四角形をしており、その本体部分の一方の端部にＨ型鋼製連壁部材を接合するための継手部が設けられていると共に、四角形をした本体部分の前記継手部が設けられた辺の隣の辺から外側に張り出している張出部材を有し、他方のＨ型鋼製連壁部材の継手部に接合可能とするための継手部が前記張出部材の先端部に設けられた構造であり、かつ、該四角形の本体部分における一方の幅は、接続されるべきＨ型鋼製連壁部材における両側のフランジ同士の幅よりも狭い幅であることを特徴とするコーナー用鋼製連壁部材である。
【００２２】
これは、コーナー用鋼製連壁部材の本体部分に張出部材を設けることにより、本体部分の幅ｄをＨ型鋼製連壁部材の幅Ｄよりも小さくしたコーナー用鋼製連壁部材（図１〜図５参照）の場合である。
【００２３】
上記したコーナー用鋼製連壁部材において、特に好ましいのは、請求項７に記載したように、コーナー用鋼製連壁部材として、その本体部分の一方の端部に次に埋設すべきＨ型鋼製連壁部材を接合するための継手部が設けられていると共に、前記継手部が設けられた辺とは少なくとも一辺離れた辺に先に埋設したＨ型鋼製連壁部材の継手部に接合可能とするための継手部が設けられていることと共に、次に埋設されるＨ型鋼製連壁部材の継手部よりも外側に出ていないことを特徴とするコーナー用鋼製連壁部材である。
【００２４】
このコーナー用鋼製連壁部材は、交差角が１００°以上のコーナー部（図６、図７参照）などに適用されるものであり、例えば次に埋設されるＨ型鋼製連壁部材の継手部との継手部が設けられた辺が、先に埋設されたＨ型鋼製連壁部材の継手部との継手部が設けられた辺に対して傾斜している辺である場合である（図６、図７参照）。
【００２５】
本発明のソイルセメント地中連続壁は、請求項８に記載したように、コーナー部を有するソイルセメント地中連続壁であって、一方向に連続するソイルセメント地中連続壁の末端部に該ソイルセメント地中連続壁の壁厚内に収まるコーナー用鋼製連壁部材が埋設されて、コーナー部以外のソイルセメント部分にも埋設されたＨ型鋼製連壁部材と継手部で互いに接合されていることを特徴とする。
【００２６】
このソイルセメント地中連続壁は、一方向に連続するソイルセメント地中連続壁の壁厚内に継手部を含めたコーナー用鋼製連壁部材が収まるようにし（図１〜図７参照）、従来のような一方向に連続するソイルセメント地中連続壁の末端部に拡幅部を設けることなく、ソイルセメント地中連続壁を一方向では全長にわたって直線部で構成できるようにしたものである。
【００２７】
上記のソイルセメント地中連続壁において、特に好ましいのは、請求項９に記載したように、コーナー部を有するソイルセメント地中連続壁であって、コーナーにおける一方のソイルセメント部分には、本体部分が四角形をしており、その本体部分の一方の端部に次に埋設すべきＨ型鋼製連壁部材を接合するための継手部が設けられ、更に、四角形をした本体部分の前記継手部が設けられた辺の隣の辺から外側に張り出している張出部材を有し、先に埋設したＨ型鋼製連壁部材の継手部に接合可能とするための継手部が前記張出部材の先端部に設けられた構造のコーナー用鋼製連壁部材が一方向に連続するソイルセメント地中連続壁の壁厚内に収まる姿で埋設されて、残りのソイルセメント部分にはＨ型鋼製連壁部材が埋設されていると共に、埋設された鋼製連壁部材は継手部で互いに接合されていることを特徴とするコーナー部を有するソイルセメント地中連続壁である。
【００２８】
この好ましいソイルセメント地中連続壁では、コーナー用鋼製連壁部材として、本体部分は四角形をしており、その本体部分の一方の端部側は、次のＨ型鋼製連壁部材の継手部との継手部を有し、さらに四角形の本体部分の前記継手部が設けられた辺の隣の辺では、四角形の本体部分よりも張り出した部材に先に埋設されたＨ型鋼製連壁部材の継手部との継手部を有しており、かつ、該コーナー用鋼製連壁部材は、前記した継手部を含めて、ソイルセメント地中連続壁の壁厚内に収めることができるコーナー用鋼製連壁部材を使用したものである。従って、直角又はほぼ直角に交差しているコーナー部（図１〜図５参照）を有したソイルセメント地中連続壁に関するものであり、従来のようなソイルセメント地中連続壁のコーナー部分が他の部分よりも拡幅した構造とする必要が無く、コーナー部を含んだソイルセメント地中連続壁を均一な壁厚で構成された地中連続壁とし得る。
【００２９】
上記ソイルセメント地中連続壁において、特に好ましいのは、請求項１０に記載したように、コーナー部を有するソイルセメント地中連続壁であって、コーナーにおける一方のソイルセメント部分には、本体部分の一方の端部に次に埋設すべきＨ型鋼製連壁部材を接合するための継手部が設けられていると共に、前記継手部が設けられた辺とは少なくとも一辺離れた辺に先に埋設したＨ型鋼製連壁部材の継手部に接合可能とするための継手部が設けられていることと共に、次に埋設されるＨ型鋼製連壁部材の継手部は、先に埋設されたＨ型鋼製連壁部材の継手部よりも外側に出ていない構造のコーナー用鋼製連壁部材が一方向に連続するソイルセメント地中連続壁の壁厚内に収まる姿で埋設されて、残りのソイルセメント部分にはＨ型鋼製連壁部材が埋設されていると共に、埋設された鋼製連壁部材は継手部で互いに接合されていることを特徴とするコーナー部を有するソイルセメント地中連続壁である。
【００３０】
この好ましい地中連続壁では、コーナー用鋼製連壁部材として、先に埋設されたＨ型鋼製連壁部材の継手部との継手部が設けられた辺とは少なくとも一辺離れた辺に、次に埋設したＨ型鋼製連壁部材の継手部との継手部を有したものであり、かつ、コーナー用鋼製連壁部材は、前記した継手部を含めて、ソイルセメント地中連続壁の壁厚内に収めることができるコーナー用鋼製連壁部材を使用したものである。従って、交差角が１００°以上のコーナー部（図６、図７参照）などに関するものであり、従来のようなソイルセメント地中連続壁のコーナー部分が他の部分よりも拡幅した構造とする必要が無く、コーナー部を含んだソイルセメント地中連続壁を均一な壁厚で構成されたソイルセメント地中連続壁とし得る。
【発明の効果】
【００３１】
本発明におけるソイルセメント地中連続壁のコーナー部の造成方法は、一方向に連続するソイルセメント地中連続壁の末端部に該ソイルセメント地中連続壁の壁厚内に収まるコーナー用鋼製連壁部材を埋設した後、前記一方向に連続するソイルセメント地中連続壁の末端部で交差する方向にソイルセメント地中連続壁の造成を開始するという工程を含む施工方法であるため、従来方法のような端部寄りの部分を除く直線部のソイルセメント地中連続壁の壁厚に比べて、直線部の端部寄りの部分では壁厚を大きくする必要が無くなる。そのために従来工法のように壁厚を大きくする工程が必要でないため、工期の短縮などにより工程面で有利であるばかりでなく、壁厚を大きくするための装置的な部品等を用意する必要が無くなり、ソイルセメント地中連続壁を造成するための総費用が安価になる等の利点がある。
【００３２】
上記の効果は、一方向に連続するソイルセメント地中連続壁の末端部に該ソイルセメント地中連続壁に幅内に収まるコーナー用鋼製連壁部材として、本体部分が四角形をしており、その本体部分の一方の端部に次に埋設すべきＨ型鋼製連壁部材を接合するための継手部が設けられていると共に、四角形をした本体部分の前記継手部が設けられた辺の隣の辺から外側に張り出している張出部材を有し、先に埋設したＨ型鋼製連壁部材の継手部に接合可能とするための継手部が前記張出部材の先端部に設けられている構造のコーナー用鋼製連壁部材を使用することによっても実現される。
【００３３】
更に、上記の効果は、一方向に連続するソイルセメント地中連続壁の末端部近くに、該ソイルセメント地中連続壁に壁厚内に収まるコーナー用鋼製連壁部材として、その本体部分の一方の端部に次に埋設すべきＨ型鋼製連壁部材を接合するための継手部が設けられていると共に、前記継手部が設けられた辺とは少なくとも一辺離れた辺に先に埋設したＨ型鋼製連壁部材の継手部に接続可能な継手部が設けられた構造のコーナー用鋼製連壁部材を使用することによっても実現される。
【００３４】
また、本体部分が四角形をしており、その本体部分の一方の端部に次に埋設すべきＨ型鋼製連壁部材を接合するための継手部が設けられていると共に、四角形をした本体部分の前記継手部が設けられた辺の隣の辺から外側に張り出している張出部材を有し、先に埋設したＨ型鋼製連壁部材の継手部に接合可能とするための継手部を前記張出部材の先端部に設けられている構造のコーナー用鋼製連壁部材は、ソイルセメント地中連続壁に使用されるばかりでなく、他の地中連続壁に使用された場合でも、コーナー部で余分な掘削を必要としないという優れた効果を発揮する鋼製連壁部材である。
【００３５】
更に、その本体部分に次に埋設すべきＨ型鋼製連壁部材を接合するための継手部が設けられていると共に、前記継手部が設けられた辺とは少なくとも一辺離れた辺に先に埋設したＨ型鋼製連壁部材の継手部に接続可能な継手部が設けられた構造であって、一方向に連続する地中連続壁の末端部近くに、該地中連続壁の壁厚内に収まるコーナー用鋼製連壁部材は、ソイルセメント地中連続壁に使用されるばかりでなく、他の地中連続壁に使用された場合でも、コーナー部で余分な掘削を必要としないという優れた効果を発揮する鋼製連壁部材である。
【００３６】
また、コーナー用鋼製連壁部材が先に埋設されたＨ型鋼製連壁部材の継手部よりも外側に出ていない状態で埋設され、ソイルセメント地中連続壁がコーナー部で弱点を持たない構造とできるばかりでなく、このコーナー用鋼製連壁部材の位置をコーナー部として次に造成する一方向に連続するソイルセメント地中連続壁を造成する際に、次のソイルセメント地中連続壁の造成開始位置が該コーナー用鋼製連壁部材における次に埋設されるＨ型鋼製連壁部材のウェブを目印とすることができる。即ち、該ウェブと平行な面方向に次のソイルセメント地中連続壁を造成開始することができる。
【００３７】
更に、コーナー部で前記した構造のコーナー用鋼製連壁部材が埋設されたソイルセメント地中連続壁は、コーナー部に余分な掘削あとが残らないスッキリした構造のソイルセメント地中連続壁となり、見映えが良くなるばかりか、安価な造成コストにより施工されているので、施主からも喜ばれる構造である。
【発明を実施するための最良の形態】
【００３８】
本発明のソイルセメント地中連続壁のコーナー部の造成方法について図面を用いて説明する。図１〜図５は、本発明のソイルセメント地中連続壁の直角又はほぼ直角に交差するコーナー部の造成方法に関する例である。図６、図７は、本発明のソイルセメント地中連続壁の交差角が１００°以上のコーナー部の造成方法に関する例であり、ソイルセメント地中連続壁の全体の平面視形状が五角形、六角形、七角形、八角形などの場合である。
【００３９】
図１に示したように、一方向に連続するソイルセメント地中連続壁１を、芯材としてのＨ型鋼製連壁部材２を埋設しながら、かつ、先に埋設したＨ型鋼製連壁部材２に対して継手部３で連結しながら、一方向に連続して造成する。この図において、４はソイルセメントである。
【００４０】
なお、図１におけるＨ型鋼製連壁部材２は、全て雄継手を有するＨ型鋼製連壁部材と、全て雌継手を有するＨ型鋼製連壁部材を組み合わせて使用しているが、その両端部の継手部として、片側に雄継手を有し、他の側に雌継手を有するＨ型鋼製連壁部材を使用してもよい。
【００４１】
このソイルセメント地中連続壁の造成方法は、前記した特許文献１に示されたような切削刃を有する無端チェーンをカッターポストの周囲で循環させながら、カッターポストを地中に挿入させたまま横行させると同時に、カッターポストの下端部、もしくは地表面付近から固化液等の注入液を吐出することにより、注入液と掘削土が充分に混合攪拌された壁状のソイルセメントを造成する造成方法によっても、またその他のソイルセメント地中連続壁の造成方法によっても良い。しかしながら、前者の造成方法が均一なソイルセメント地中連続壁とすることができるので好ましい造成方法である。
【００４２】
このようにして造成した一方向に連続するソイルセメント地中連続壁１の末端部５において、これまでソイルセメント４内に埋設したＨ型鋼製連壁部材２の代わりに、該ソイルセメント地中連続壁１の壁厚内に収まるコーナー用鋼製連壁部材６を埋設する。勿論、コーナー用鋼製連壁部材６は、先に埋設したＨ型鋼製連壁部材２に接合するように埋設する。
【００４３】
この図１に例示したコーナー用鋼製連壁部材６は、本体部分７が四角形をしており、その本体部分７の幅方向の一方の端部の辺８に次のＨ型鋼製連壁部材２´を接合するための継手部９、９が設けられていると共に、四角形をした本体部分７の前記継手部９、９が設けられた辺８の隣の辺１０の両端から幅方向の外側に張り出す断面Ｌ字状等の張出部材１１、１１が設けられ、他方のＨ型鋼製連壁部材２の継手部３に接合可能とするための継手部１２、１２が前記張出部材１１、１１の先端部に設けられた構造であり、かつ、該四角形の本体部分７の幅ｄは、接続されるべきＨ型鋼製連壁部材２における両側のフランジ同士の幅Ｄよりも狭い幅とされている。
【００４４】
このように、一方向に連続するソイルセメント地中連続壁１の末端部５-１において、該ソイルセメント地中連続壁１の壁厚内に収まるコーナー用鋼製連壁部材６-１を埋設した後、この一方向に連続するソイルセメント地中連続壁１の末端部５-１で交差する方向に、図１（ａ）において破線で示したようにソイルセメント地中連続壁１´の造成を開始し、この直交する部分に最初に埋設するＨ型鋼製連壁部材２´を前記コーナー用鋼製連壁部材６-１と継手部３´で互いに接合するように埋設する。
【００４５】
なお、図１（ａ）においては、一方向に連続するソイルセメント地中連続壁１の反対側の末端部５-２にもコーナー用鋼製連壁部材６-２が埋設されている。このコーナー用鋼製連壁部材６-２と先に示したコーナー用鋼製連壁部材６-１とは前記張出部材１１、１１の突出方向が逆方向になっている。このコーナー用鋼製連壁部材６-２にも交差する方向に図１（ａ）において破線で示したようにソイルセメント地中連続壁１´の造成を開始する。
【００４６】
また、図２に示すように、一方向に連続するソイルセメント地中連続壁１の末端部５に該ソイルセメント地中連続壁１の壁厚内に収まるコーナー用鋼製連壁部材６を埋設した後、この一方向に連続するソイルセメント地中連続壁１の末端部５で交差する方向にソイルセメント地中連続壁１ＡをＨ型鋼製連壁部材２Ａを埋設しながら造成し、その末端部５Ａに該ソイルセメント地中連続壁１Ａの壁厚内に収まるコーナー用鋼製連壁部材６Ａを埋設し、図２に破線で示したようにソイルセメント地中連続壁１Ｂの造成を開始する。このような場合は、コーナー用鋼製連壁部材６Ａは先に使用したコーナー用鋼製連壁部材６と同じ形のものを使用することができる。
【００４７】
なお、図１や図２に示したような直角な四角形とした鋼材に継手部等を設けた構造とする代わりに、図３に示したコーナー用鋼製連壁部材６のように、本体部分７を複数のＨ形鋼部材と鋼板を組み合わせて全体として四角形にした構造など、本体部分７が四角形である限り、コーナー用鋼製連壁部材６として使用できる。
【００４８】
また、図１、図２、図３に示した例では、本体部分７の張出部材１１、１１は、次のＨ型鋼製連壁部材２´を接合するための継手部９、９側にも、その反対側にも、設けられているが、図４に示すように、張出部材１１は次のＨ型鋼製連壁部材２´を接合するための継手部９、９側のみに設けられていても本発明のコーナー用鋼製連壁部材６である。
【００４９】
更に図５に示すように、次に造成するソイルセメント地中連続壁１´が、先に造成したソイルセメント地中連続壁１と直交しない場合では、次のＨ型鋼製連壁部材２´を接合するための継手部９、９側が次に造成するソイルセメント地中連続壁１´の方向に向いている場合は、本体部分７は四角形を変形した四角形となる。また、次のＨ型鋼製連壁部材２´を接合するための継手部９、９は、次のソイルセメント地中連続壁１´が造成できるように、造成中のソイルセメント地中連続壁１の壁面よりも離れた位置に存在するような構造となっている。このような構造のものでも、本発明のコーナー用鋼製連壁部材６である。
【００５０】
このように本体部分が四角形をしており、その本体部分の幅方向の一方の端部の辺に次のＨ型鋼製連壁部材を接合するための継手部が設けられていると共に、四角形をした本体部分の前記継手部が設けられた辺の隣の辺の両端から幅方向の外側に張り出す断面Ｌ字状等の張出部材が設けられ、他方のＨ型鋼製連壁部材の継手部に接合可能とするための継手部が前記張出部材の先端部に設けられた構造であり、かつ、該四角形の本体部分の幅は、接続されるべきＨ型鋼製連壁部材における両側のフランジ同士の幅よりも狭い幅である限り、本発明で使用し得るコーナー用鋼製連壁部材であり、このような構造とすることにより、継手部９、９が造成中のソイルセメント地中連続壁１の壁厚内に収めることが可能となる。
【００５１】
以上に示した通り、本発明におけるソイルセメント地中連続壁のコーナー部の造成方法は、互いに接合部を有するＨ型鋼製連壁部材を埋設することによって補強されたソイルセメント地中連続壁を造成する方法において、一方向に連続するソイルセメント地中連続壁の末端部に該ソイルセメント地中連続壁の壁厚内に収まるコーナー用鋼製連壁部材を先に埋設したＨ型鋼製連壁部材に接合するように埋設した後、前記一方向に連続するソイルセメント地中連続壁の末端部で交差する方向にソイルセメント地中連続壁の造成を開始し、この直交する部分に最初に埋設するＨ型鋼製連壁部材を前記コーナー用鋼製連壁部材と接合するように埋設して造成するものである。
【００５２】
次に、図６に示したコーナー用鋼製連壁部材２０は、その本体部分（即、継手部を除く部分）２１に先に埋設されたＨ型鋼製連壁部材２のウェブ２ａと平行な面２２と、次に埋設されるＨ型鋼製連壁部材２´のウェブ２ａ´と平行な面２３を有している。それらの面２２、２３に継手部２４、２５を有している。それと共に、次に埋設されるＨ型鋼製連壁部材２´側の継手部２４は、先に埋設されたＨ型鋼製連壁部材２の雌継手部３ａよりも外側に出ていない構造になっている。深さ方向の構造については図示されていないが、先に埋設されたＨ型鋼製壁部材２も、次に埋設されるＨ鋼製連壁部材２´も、コーナー用鋼製連壁部材２０も、全て継手部を含めて地中連続壁の深さ方向に延びているものである。
【００５３】
なお、図６中に示したコーナー用鋼製連壁部材２０は、コーナーの外側の本体部分が屈曲した姿になっているが、図７に示すように、屈曲しない構造であってもよい。
【００５４】
また、図６や図７におけるＨ型鋼製連壁部材２は、全て雄継手を有するＨ型鋼製連壁部材と、全て雌継手を有するＨ型鋼製連壁部材を組み合わせて使用しているが、その両端部の継手部として、片側に雄継手を有し、他の側に雌継手を有するＨ型鋼製連壁部材を使用してもよい。
【００５５】
更に、上記の構造を維持する限り、コーナー用鋼製連壁部材２０の継手部２４、２５の少なくとも一方を雌継手に変更しても差し支えないが、次に埋設されるＨ型鋼製連壁部材２´側の継手部２５は雄継手とする方が先に埋設されたＨ型鋼製連壁部材２の雌継手部３ａよりも外側に出ていない構造とすることが容易である。
【００５６】
次に、コーナー用鋼製連壁部材２０を用いたコーナー部を有するソイルセメント地中連続壁の造成方法について先に示した図６を使用して説明する。
【００５７】
一方向に連続するソイルセメント４を地中連続壁１状態に築造しながら互いの継手部３で接合した状態となるようにＨ型鋼製連壁部材２を埋設し、互いに接合部を有するＨ型鋼製連壁部材２を埋設することによって補強されたソイルセメント地中連続壁１を造成する。
【００５８】
このようにして造成されたソイルセメント地中連続壁１の末端部５に、先に示したコーナー用鋼製連壁部材２０を埋設する。
【００５９】
このコーナー用鋼製連壁部材２０は、その本体部分（即、継手部を除く部分）２１に先に埋設されたＨ型鋼製連壁部材２のウェブ２ａと平行な面２２の継手部２４が先に埋設されたＨ型鋼製連壁部材２の雌継手部３ａと接合された状態となるように埋設される。すると図６にも示されているように、コーナー用鋼製連壁部材２０の平行な面２３は、ソイルセメント４中の壁際よりも内側に位置することになり、その面２３の継手部２５は先に埋設されたＨ型鋼製連壁部材２の雌継手部３ａよりも外側に出ていない状態になる。
【００６０】
その後に、先に築造したソイルセメント地中連続壁１中の部分内に存在するコーナー用鋼製連壁部材２０の継手部２５の先端から、該継手部２５を有する面２３と直交する方向に一方向に連続するソイルセメント４´の地中連続壁１´を構築し、Ｈ型鋼製連壁部１´を継手部３´でコーナー用鋼製連壁部材２０の継手部２５と接合するように埋設する。
【００６１】
なお、この末端部５の壁厚は、ソイルセメント地中連続壁１の壁厚Ｄと同じである。また、このソイルセメント４´のソイルセメント地中連続壁１´の壁厚も先に築造したソイルセメント地中連続壁１の壁厚Ｄと同じである。
【００６２】
このようにしてコーナー用鋼製連壁部材２０が存在する位置をコーナー部とするソイルセメント地中連続壁が造成される。
【００６３】
また、図２に示したようにコーナー用鋼製連壁部材６Ａを使用した場合のソイルセメント地中連続壁を造成する場合も、Ｈ型鋼製連壁部材２Ａを互いの継手部３Ａで連続した形状に埋設された一方向に連続するソイルセメント地中連続壁１Ａを造成する手順は、図６で説明したと同じ手順である。
【００６４】
このように造成されたソイルセメント地中連続壁１Ａの末端部５Ａにコーナー用鋼製壁部材６Ａを埋設する。このコーナー用鋼製連壁部材６Ａは、図１（ｂ）に示したコーナー用鋼製連壁部材６と同じものであり、先に埋設されたＨ型鋼製連壁部材２Ａのウェブ２ａと平行な面に設けられた継手部（図１（ｂ）では１２と示されている継手部）で先に埋設されたＨ型鋼製連壁部材２Ａの継手部と接続された状態になるように埋設される。すると、図２にも示すように、次に埋設されるＨ型鋼製連壁部材２Ｂのウェブ２ａと平行な面となる辺に設けられた継手部（図１（ｂ）では９と示されている継手部）は、先に埋設されたＨ型鋼製連壁部材２Ａの継手部３ａより外側に出ていない状態になる。
【００６５】
その後に、先に造成したソイルセメント地中連続壁１Ａ中に存在するコーナー用鋼製壁部材６Ａの次に埋設されるＨ型鋼製連壁部材２Ｂのウェブ２ａと平行な面となる辺に設けられた継手部（図１（ｂ）では９と示されている継手部）の先端から、該継手部（図１（ｂ）では９と示されている継手部）を有する辺と直交する方向に一方向に連続するソイルセメント地中連続壁１Ｂを構築し、Ｈ型鋼製連壁部材２Ｂを埋設し、その継手部にてコーナー用鋼製連壁部材６Ａの継手部と接合する。
【００６６】
この場合も、末端部５Ａの壁厚も他の部分の壁厚と同じであり、ソイルセメント地中連続壁１Ｂの壁厚もソイルセメント地中連続壁１Ａと同じである。
【００６７】
このようにしてコーナー用鋼製連壁部材６Ａが存在する位置をコーナー部とするソイルセメント地中連続壁が造成される。
【図面の簡単な説明】
【００６８】
【図１】本発明におけるソイルセメント地中連続壁の直角又はほぼ直角のコーナー部の造成方法を説明するための平面図であり、（ａ）は一方向に連続するソイルセメント地中連続壁、（ｂ）はコーナー用鋼製連壁部材である。
【図２】本発明における図１とは異なるソイルセメント地中連続壁のコーナー部の造成方法を説明するための平面図である。
【図３】本発明における図１とは異なるコーナー用鋼製連壁部材を使用した例を示す平面図である。
【図４】本発明における図３とは異なるコーナー用鋼製連壁部材を使用した例を示す平面図である。
【図５】本発明における図４とは異なるコーナー用鋼製連壁部材を使用した例を示す平面図である。
【図６】本発明におけるソイルセメント地中連続壁の交差角が１００°以上のコーナー部の造成方法を説明するための平面図である。
【図７】本発明における図１とは異なるコーナー用鋼製連壁部材を使用した例を示す平面図である。
【図８】従来のコーナー部の造成方法を説明するための平面図である。
【図９】従来例のコーナー用鋼製連壁部材を使用状態で示す平面図である。
【図１０】従来例の角鋼管矢板を使用状態で示す平面図である。
【図１１】図８や図９とは異なる従来例のコーナー用鋼製連壁部材を使用状態で示す平面図である。
【符号の説明】
【００６９】
１、１´…ソイルセメント地中連続壁
２、２´…Ｈ型鋼製連壁部材
２ａ、２ａ´…ウェブ
３、３´…継手部
４、４´…ソイルセメント
５…末端部
６…コーナー用鋼製連壁部材
７…本体部分
８…端部
９…継手部
１０…隣の辺
１１…張出部材
１２…継手部
２０…コーナー用鋼製連壁部材
２１…本体部分
２２…面
２３…面
２４…継手部
２５…継手部
【特許請求の範囲】
【請求項１】
継手部を有するＨ型鋼製連壁部材を継手部で接合し埋設することによって補強されたソイルセメント地中連続壁を造成する方法において、
一方向に連続するソイルセメント地中連続壁の末端部に該ソイルセメント地中連続壁の壁厚内に収まるコーナー用鋼製連壁部材を先に埋設したＨ型鋼製連壁部材に接合するように埋設した後、
前記一方向に連続するソイルセメント地中連続壁の末端部で交差する方向にソイルセメント地中連続壁の造成を開始し、この交差する部分に最初に埋設するＨ型鋼製連壁部材を前記コーナー用鋼製連壁部材と接合するように埋設することを特徴とする地中連続壁のコーナー部の造成方法。
【請求項２】
継手部を有するＨ型鋼製連壁部材を継手部で接合し埋設することによって補強されたソイルセメント地中連続壁を造成する方法において、
一方向に連続するソイルセメント地中連続壁の末端部に、本体部分に先に埋設されたＨ型鋼製連壁部材のウェブと平行な面と、次に埋設されるＨ型鋼製連壁部材のウェブと平行な面を有し、それらの面にそれぞれ継手部を有すると共に、次に埋設されるＨ型鋼製連壁部材側の継手部は、先に埋設されたＨ型鋼製連壁部材の継手部よりも外側に出ていない構造のコーナー用鋼製連壁部材を先に埋設されたＨ型鋼製連壁部材と継手部で連結されるように埋設し、
その後に該コーナー用鋼製連壁部材における次に埋設されるＨ型鋼製連壁部材のウェブと平行な面方向に一方向に連続するソイルセメント地中連続壁を構築し、該コーナー用鋼製連壁部材が存在する位置をコーナー部とすることを特徴とする地中連続壁のコーナー部の造成方法。
【請求項３】
コーナー用鋼製連壁部材として、本体部分が四角形をしており、その本体部分の一方の端部に次に埋設すべきＨ型鋼製連壁部材を接合するための継手部が設けられていると共に、四角形をした本体部分の前記継手部が設けられた辺の隣の辺から外側に張り出している張出部材を有し、先に埋設したＨ型鋼製連壁部材の継手部に接合可能とするための継手部が前記張出部材の先端部に設けられている構造のコーナー用鋼製連壁部材を使用することを特徴とする請求項１または請求項２のいずれかに記載の地中連続壁のコーナー部の造成方法。
【請求項４】
コーナー用鋼製連壁部材として、その本体部分の一方の端部に次に埋設すべきＨ型鋼製連壁部材を接合するための継手部が設けられていると共に、前記継手部が設けられた辺とは少なくとも一辺離れた辺に先に埋設したＨ型鋼製連壁部材の継手部に接合可能とするための継手部が設けられている構造のコーナー用鋼製連壁部材を使用することを特徴とする請求項１または請求項２のいずれかに記載の地中連続壁のコーナー部の造成方法。
【請求項５】
本体部分に先に埋設されたＨ型鋼製連壁部材のウェブと平行な面と、次に埋設されるＨ型鋼製連壁部材のウェブと平行な面を有し、それらの面にそれぞれ継手部を有すると共に、次に埋設されるＨ型鋼製連壁部側の継手部は、先に埋設されたＨ型鋼製連壁部材の継手部よりも外側に出ていないことを特徴とするコーナー用鋼製連壁部材。
【請求項６】
本体部分が四角形をしており、その本体部分の一方の端部にＨ型鋼製連壁部材を接合するための継手部が設けられていると共に、四角形をした本体部分の前記継手部が設けられた辺の隣の辺から外側に張り出している張出部材を有し、他方のＨ型鋼製連壁部材の継手部に接合可能とするための継手部が前記張出部材の先端部に設けられた構造であり、かつ、該四角形の本体部分における一方の幅は、接続されるべきＨ型鋼製連壁部材における両側のフランジ同士の幅よりも狭い幅であることを特徴とするコーナー用鋼製連壁部材。
【請求項７】
コーナー用鋼製連壁部材として、その本体部分の一方の端部に次に埋設すべきＨ型鋼製連壁部材を接合するための継手部が設けられていると共に、前記継手部が設けられた辺とは少なくとも一辺離れた辺に先に埋設したＨ型鋼製連壁部材の継手部に接合可能とするための継手部が設けられていることと共に、次に埋設されるＨ型鋼製連壁部材の継手部よりも外側に出ていないことを特徴とするコーナー用鋼製連壁部材。
【請求項８】
コーナー部を有するソイルセメント地中連続壁であって、一方向に連続するソイルセメント地中連続壁の末端部に該ソイルセメント地中連続壁の壁厚内に収まるコーナー用鋼製連壁部材が埋設されて、コーナー部以外のソイルセメント部分にも埋設されたＨ型鋼製連壁部材と継手部で互いに接合されていることを特徴とするコーナー部を有するソイルセメント地中連続壁。
【請求項９】
コーナー部を有するソイルセメント地中連続壁であって、コーナーにおける一方のソイルセメント部分には、本体部分が四角形をしており、その本体部分の一方の端部に次に埋設すべきＨ型鋼製連壁部材を接合するための継手部が設けられ、更に、四角形をした本体部分の前記継手部が設けられた辺の隣の辺から外側に張り出している張出部材を有し、先に埋設したＨ型鋼製連壁部材の継手部に接合可能とするための継手部が前記張出部材の先端部に設けられた構造のコーナー用鋼製連壁部材が一方向に連続するソイルセメント地中連続壁の壁厚内に収まる姿で埋設されて、残りのソイルセメント部分にはＨ型鋼製連壁部材が埋設されていると共に、埋設された鋼製連壁部材は継手部で互いに接合されていることを特徴とするコーナー部を有するソイルセメント地中連続壁。
【請求項１０】
コーナー部を有するソイルセメント地中連続壁であって、コーナーにおける一方のソイルセメント部分には、本体部分の一方の端部に次に埋設すべきＨ型鋼製連壁部材を接合するための継手部が設けられていると共に、前記継手部が設けられた辺とは少なくとも一辺離れた辺に先に埋設したＨ型鋼製連壁部材の継手部に接合可能とするための継手部が設けられていることと共に、次に埋設されるＨ型鋼製連壁部材の継手部は、先に埋設されたＨ型鋼製連壁部材の継手部よりも外側に出ていない構造のコーナー用鋼製連壁部材が一方向に連続するソイルセメント地中連続壁の壁厚内に収まる姿で埋設されて、残りのソイルセメント部分にはＨ型鋼製連壁部材が埋設されていると共に、埋設された鋼製連壁部材は継手部で互いに接合されていることを特徴とするコーナー部を有するソイルセメント地中連続壁。
【請求項１】
継手部を有するＨ型鋼製連壁部材を継手部で接合し埋設することによって補強されたソイルセメント地中連続壁を造成する方法において、
一方向に連続するソイルセメント地中連続壁の末端部に該ソイルセメント地中連続壁の壁厚内に収まるコーナー用鋼製連壁部材を先に埋設したＨ型鋼製連壁部材に接合するように埋設した後、
前記一方向に連続するソイルセメント地中連続壁の末端部で交差する方向にソイルセメント地中連続壁の造成を開始し、この交差する部分に最初に埋設するＨ型鋼製連壁部材を前記コーナー用鋼製連壁部材と接合するように埋設することを特徴とする地中連続壁のコーナー部の造成方法。
【請求項２】
継手部を有するＨ型鋼製連壁部材を継手部で接合し埋設することによって補強されたソイルセメント地中連続壁を造成する方法において、
一方向に連続するソイルセメント地中連続壁の末端部に、本体部分に先に埋設されたＨ型鋼製連壁部材のウェブと平行な面と、次に埋設されるＨ型鋼製連壁部材のウェブと平行な面を有し、それらの面にそれぞれ継手部を有すると共に、次に埋設されるＨ型鋼製連壁部材側の継手部は、先に埋設されたＨ型鋼製連壁部材の継手部よりも外側に出ていない構造のコーナー用鋼製連壁部材を先に埋設されたＨ型鋼製連壁部材と継手部で連結されるように埋設し、
その後に該コーナー用鋼製連壁部材における次に埋設されるＨ型鋼製連壁部材のウェブと平行な面方向に一方向に連続するソイルセメント地中連続壁を構築し、該コーナー用鋼製連壁部材が存在する位置をコーナー部とすることを特徴とする地中連続壁のコーナー部の造成方法。
【請求項３】
コーナー用鋼製連壁部材として、本体部分が四角形をしており、その本体部分の一方の端部に次に埋設すべきＨ型鋼製連壁部材を接合するための継手部が設けられていると共に、四角形をした本体部分の前記継手部が設けられた辺の隣の辺から外側に張り出している張出部材を有し、先に埋設したＨ型鋼製連壁部材の継手部に接合可能とするための継手部が前記張出部材の先端部に設けられている構造のコーナー用鋼製連壁部材を使用することを特徴とする請求項１または請求項２のいずれかに記載の地中連続壁のコーナー部の造成方法。
【請求項４】
コーナー用鋼製連壁部材として、その本体部分の一方の端部に次に埋設すべきＨ型鋼製連壁部材を接合するための継手部が設けられていると共に、前記継手部が設けられた辺とは少なくとも一辺離れた辺に先に埋設したＨ型鋼製連壁部材の継手部に接合可能とするための継手部が設けられている構造のコーナー用鋼製連壁部材を使用することを特徴とする請求項１または請求項２のいずれかに記載の地中連続壁のコーナー部の造成方法。
【請求項５】
本体部分に先に埋設されたＨ型鋼製連壁部材のウェブと平行な面と、次に埋設されるＨ型鋼製連壁部材のウェブと平行な面を有し、それらの面にそれぞれ継手部を有すると共に、次に埋設されるＨ型鋼製連壁部側の継手部は、先に埋設されたＨ型鋼製連壁部材の継手部よりも外側に出ていないことを特徴とするコーナー用鋼製連壁部材。
【請求項６】
本体部分が四角形をしており、その本体部分の一方の端部にＨ型鋼製連壁部材を接合するための継手部が設けられていると共に、四角形をした本体部分の前記継手部が設けられた辺の隣の辺から外側に張り出している張出部材を有し、他方のＨ型鋼製連壁部材の継手部に接合可能とするための継手部が前記張出部材の先端部に設けられた構造であり、かつ、該四角形の本体部分における一方の幅は、接続されるべきＨ型鋼製連壁部材における両側のフランジ同士の幅よりも狭い幅であることを特徴とするコーナー用鋼製連壁部材。
【請求項７】
コーナー用鋼製連壁部材として、その本体部分の一方の端部に次に埋設すべきＨ型鋼製連壁部材を接合するための継手部が設けられていると共に、前記継手部が設けられた辺とは少なくとも一辺離れた辺に先に埋設したＨ型鋼製連壁部材の継手部に接合可能とするための継手部が設けられていることと共に、次に埋設されるＨ型鋼製連壁部材の継手部よりも外側に出ていないことを特徴とするコーナー用鋼製連壁部材。
【請求項８】
コーナー部を有するソイルセメント地中連続壁であって、一方向に連続するソイルセメント地中連続壁の末端部に該ソイルセメント地中連続壁の壁厚内に収まるコーナー用鋼製連壁部材が埋設されて、コーナー部以外のソイルセメント部分にも埋設されたＨ型鋼製連壁部材と継手部で互いに接合されていることを特徴とするコーナー部を有するソイルセメント地中連続壁。
【請求項９】
コーナー部を有するソイルセメント地中連続壁であって、コーナーにおける一方のソイルセメント部分には、本体部分が四角形をしており、その本体部分の一方の端部に次に埋設すべきＨ型鋼製連壁部材を接合するための継手部が設けられ、更に、四角形をした本体部分の前記継手部が設けられた辺の隣の辺から外側に張り出している張出部材を有し、先に埋設したＨ型鋼製連壁部材の継手部に接合可能とするための継手部が前記張出部材の先端部に設けられた構造のコーナー用鋼製連壁部材が一方向に連続するソイルセメント地中連続壁の壁厚内に収まる姿で埋設されて、残りのソイルセメント部分にはＨ型鋼製連壁部材が埋設されていると共に、埋設された鋼製連壁部材は継手部で互いに接合されていることを特徴とするコーナー部を有するソイルセメント地中連続壁。
【請求項１０】
コーナー部を有するソイルセメント地中連続壁であって、コーナーにおける一方のソイルセメント部分には、本体部分の一方の端部に次に埋設すべきＨ型鋼製連壁部材を接合するための継手部が設けられていると共に、前記継手部が設けられた辺とは少なくとも一辺離れた辺に先に埋設したＨ型鋼製連壁部材の継手部に接合可能とするための継手部が設けられていることと共に、次に埋設されるＨ型鋼製連壁部材の継手部は、先に埋設されたＨ型鋼製連壁部材の継手部よりも外側に出ていない構造のコーナー用鋼製連壁部材が一方向に連続するソイルセメント地中連続壁の壁厚内に収まる姿で埋設されて、残りのソイルセメント部分にはＨ型鋼製連壁部材が埋設されていると共に、埋設された鋼製連壁部材は継手部で互いに接合されていることを特徴とするコーナー部を有するソイルセメント地中連続壁。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【公開番号】特開２００６−３４２５９３（Ｐ２００６−３４２５９３Ａ）
【公開日】平成１８年１２月２１日（２００６．１２．２１）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００５−１６９７４５（Ｐ２００５−１６９７４５）
【出願日】平成１７年６月９日（２００５．６．９）
【出願人】（０００１３３８８１）株式会社テノックス (62)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成１８年１２月２１日（２００６．１２．２１）
【国際特許分類】
【出願日】平成１７年６月９日（２００５．６．９）
【出願人】（０００１３３８８１）株式会社テノックス (62)
【Ｆターム（参考）】
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