説明

地図データ提供方法,及び、地図データ提供プログラム

【課題】ユーザの業務に係る情報を含む図郭データを地図データとしてサーバマシンからクライアントマシンへ送信する場合において、地図データのデータ量をできるだけ低減することができるようにサーバマシンを機能させる地図データ提供プログラムを、提供する。
【解決手段】何れかの図郭データ21を特定する情報がクライアントマシン10から送られてきた際に、その図郭データ21中に業務レイヤが存在するか否かを判別し、図郭データ21中に業務レイヤが存在していた場合には、その図郭データ21を地図データとしてそのままクライアントマシン10へ送信し、図郭データ21中に業務レイヤが存在していなかった場合には、業務レイヤに対応する不要レイヤ図郭データ21から除去したものを地図データとしてクライアントマシン10へ送信するように、サーバマシン20を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図データをクライアントマシンへ提供するための装置としてコンピュータを機能させる地図データ提供プログラムに、関する。
【背景技術】
【0002】
従来、地図に関する情報を電子的に保存するための電子データとして、図郭データが各社により作成され、蓄積されている。図郭とは、地図を幾つかの区画に区分したときの一区画の輪郭を言い、地図全体に所定の直交座標系が定義されている場合においては、図郭データは、図郭内に表現されている建物,道路,及び河川などを幾つかの線分にて表現したときの各線分の始点と終点の座標を、線分情報として有している。
【0003】
近年、この図郭データが蓄積されているサーバマシンと通信可能に繋がれているクライアントマシンに対して地図を表示させる地図表示システムが、開発されている。この地図表示システムでは、クライアントマシンからサーバマシンへ要求があった場合に、地図データがサーバマシンからクライアントマシンへ送信され、この地図データに基づく地図がクライアントマシンにおいて表示される。
【0004】
なお、クライアントマシンへ送信される地図データは、当初、サーバマシンが図郭データに基づいて生成した地図の画像データであったが、地図のスクロールや縮尺の変更が頻繁に行われると、クライアントマシンは、その度に、画像データをサーバマシンから読み込ねばならなかった。そのため、近年では、サーバマシンからクライアントマシンへ送信する地図データを、画像データではなく、図郭データそのものとする方法が、採られつつある。この方法を採ると、スクロールや縮尺の変更に係る処理については、クライアントマシンが行うこととなるため、一旦地図データが送られたあとは、クライアントマシンは、サーバマシンからデータを頻繁に読み込む必要がなくなる。但し、クライアントマシンには、地図データである図郭データを解析して地図の画像を表示するためのクライアントプログラムを、インストールしておく必要がある(例えば特許文献1参照)。
【0005】
また、最近、上述したような地図表示システムを利用して、ガス配管作業,電気電話配線作業,各戸点検,又は顧客訪問を執り行う業者のクライアントマシンに対し、その業務に必要な設備等の業務情報が記載された地図を表示させるサービスが、行われている。このサービスでは、サービス提供者は、事前に、業務情報を含む図郭データを業者毎に用意しておき、ユーザである業者は、自分の携帯情報端末などのクライアントマシンを作業現場に持ち込み、自己の業務に係る業務情報を含む地図データをそのクライアントマシンにダウンロードして地図を表示させる。これにより、各ユーザは、業務に必要な設備等の情報が記載された地図を、作業現場において利用することができる。
【0006】
【特許文献1】特開2002−229993号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、図郭中の建物を線分にて表現する場合、その建物が単なる四角形状であっても、最低四つの線分が必要である。これが曲がりくねった道路や河川の場合になると、その湾曲を全体として滑らかに表現するためには、非常に多数の線分が必要となる。従って、実際の図郭データは、極めて多数の線分情報を、有している。
【0008】
このような事情があるため、上述したような地図表示システムにおいて、通信速度及び処理速度に制限のある携帯情報端末などのクライアントマシンに対して図郭データが地図データとして送信された場合、そのクライアントマシンにおいて地図が表示されるまでに非常に時間が掛かるという問題があった。このような問題があると、上述したようなガス管業者や電線業者などが、自己のクライアントマシンを作業現場に持ち込んで操作した際に、地図がなかなか表示されないこととなり、その業務に支障を来すこととなる。
【0009】
本発明は、上述したような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その課題は、ユーザの業務に係る情報を含む図郭データを地図データとしてサーバマシンからクライアントマシンへ送信する場合において、地図データのデータ量をできるだけ低減することができるようにサーバマシンを機能させる地図データ提供プログラムを、提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために、本発明の第1の態様による地図データ提供プログラムは、以下のような構成を採用した。
【0012】
すなわち、本発明の第1の態様による地図データ提供プログラムは、線分情報を階層に分けて保有する多数の図郭データ,及び、所定の第1種の階層と所定の第2種の階層とを対応付けて定義する対応情報を記録した記録装置に対して繋がれるとともに、ネットワークを介してクライアントマシンに繋がれるコンピュータに対し、何れかの図郭データを特定する情報が前記クライアントマシンから送られてきた際には、その図郭データと前記対応情報とを前記記録装置から読み出させ、読み出した図郭データ中に、前記対応情報にて定義されている第1種の階層に対応する線分情報が存在するか否かを判別させ、読み出した図郭データ中に、前記対応情報にて定義されている全ての第1種の階層に対応する線分情報が存在していた場合には、その図郭データを地図データとしてそのまま前記クライアントマシンへ送信させ、読み出した図郭データ中に、前記対応情報にて定義されている何れかの第1種の階層に対応する線分情報が存在していなかった場合には、前記対応情報にて当該第1種の階層に対応付けられている各第2種の階層に対応する線分情報を前記図郭データから除去したものを、地図データとして前記クライアントマシンへ送信させることを、特徴としている。
【0013】
また、上記の課題を解決するために、本発明の第2の態様による地図データ提供プログラムは、以下のような構成を採用した。
【0014】
すなわち、本発明の第2の態様による地図データ提供プログラムは、線分情報を階層に分けて保有する多数の図郭データ,一つ又は多数の所定の第1種の階層を定義する定義情報,及び、一つ又は多数の所定の第2種の階層に対応する線分情報が前記各図郭データから除去されることによって生成された多数の簡易図郭データを記録した記録装置に対して繋がれるとともに、ネットワークを介してクライアントマシンに繋がれるコンピュータに対し、何れかの図郭データを特定する情報が前記クライアントマシンから送られてきた際には、その図郭データと前記定義情報とを前記記録装置から読み出させ、読み出した図郭データ中に、前記定義情報にて定義されている第1種の階層に対応する線分情報が存在するか否かを判別させ、読み出した図郭データ中に、前記定義情報にて定義されている何れかの第1種の階層に対応する線分情報が存在していた場合には、その図郭データを地図データとしてそのまま前記クライアントマシンへ送信させ、読み出した図郭データ中に、前記定義情報にて定義されている全ての第1種の階層に対応する線分情報が存在していなかった場合には、その図郭データに対応する簡易図郭データを前記記録装置から読み出させて、その簡易図郭データを地図データとして前記クライアントマシンへ送信させることを、特徴としている。
【0015】
また、上記の課題を解決するために、本発明の第3の態様による地図データ提供プログラムは、以下のような構成を採用した。
【0016】
すなわち、本発明の第3の態様による地図データ提供プログラムは、線分情報を階層に分けて保有する多数の図郭データ,所定の第1種の階層と所定の第2種の階層とを対応付けて定義する対応情報,及び、前記対応情報にて定義されている各第1種の階層に対応する線分情報が前記各図郭データ内に存在するか否かを示す識別情報を格納したテーブルを記録した記録装置に対して繋がれるとともに、ネットワークを介してクライアントマシンに繋がれるコンピュータに対し、何れかの図郭データを特定する情報が前記クライアントマシンから送られてきた際には、その図郭データを前記記録装置から読み出させ、前記テーブルを参照させることによって、読み出した図郭データ中に、前記対応情報にて定義されている第1種の階層に対応する線分情報が存在するか否かを判別させ、読み出した図郭データ中に、前記対応情報にて定義されている全ての第1種の階層に対応する線分情報が存在していた場合には、その図郭データを地図データとしてそのまま前記クライアントマシンへ送信させ、読み出した図郭データ中に、前記対応情報にて定義されている何れかの第1種の階層に対応する線分情報が存在していなかった場合には、前記記録装置から前記対応情報を読み出させ、その対応情報にて当該第1種の階層に対応付けられている各第2種の階層に対応する線分情報を前記図郭データから除去したものを、地図データとして前記クライアントマシンへ送信させることを、特徴としている。
【0017】
これらのように構成されると、サーバマシンがクライアントマシンから図郭データを要求された場合において、第1種の階層に対応する線分情報がその図郭データに含まれていたときには、その図郭データがそのままサーバマシンからクライアントマシンへ送信される。一方、第1種の階層に対応する線分情報がその図郭データに含まれていなかったときには、その図郭データから第2種の階層に対応する線分情報が除去されたものが、サーバマシンからクライアントマシンへ送信される。このため、業務に必要な設備を表現するための線分情報を有する一つ又は多数の階層が、第1種の階層として定義され、業務に必要な設備がない場合に不要になる建物等を表現するための線分情報を有する一つ又は多数の階層が、第2種の階層として定義されていれば、上述した本発明の第1乃至第3の態様による地図データ提供プログラムは、以下のように作用するようにコンピュータを機能させる。すなわち、通信速度や処理速度に制限のあるクライアントマシンを作業現場に持ち込んでそのクライアントマシンに地図を表示させる場合に、業務に必要な設備の階層がない図郭データは、その設備が無い場合に不要になる建物等の階層が除去された後に、地図データとしてクライアントマシンに送信される。つまり、業務に不要な情報ができるだけ削除された地図データがクライアントマシンに送信される。従って、クライアントマシンにおいて地図が表示されるまでに時間が掛かるのを極力抑えることができ、その結果、業務に支障を来さなくなる。
【0018】
また、上記の課題を解決するために、本発明の第4の態様による地図データ提供プログラムは、以下のような構成を採用した。
【0019】
すなわち、本発明の第4の態様による地図データ提供プログラムは、線分情報を階層に分けて保有する多数の図郭データ,所定の第1種の階層と所定の第2種の階層とを対応付けて定義する対応情報,及び、所定の距離に関する距離情報を記録した記録装置に対して繋がれるとともに、ネットワークを介してクライアントマシンに繋がれるコンピュータに対し、何れかの図郭データを特定する情報が前記クライアントマシンから送られてきた際には、その図郭データと前記対応情報とを前記記録装置から読み出させ、読み出した図郭データ中に、前記対応情報にて定義されている第1種の階層に対応する線分情報が存在するか否かを判別させ、読み出した図郭データ中に、前記対応情報にて定義されている全ての第1種の階層に対応する線分情報が存在していた場合には、その図郭データを地図データとしてそのまま前記クライアントマシンへ送信させ、読み出した図郭データ中に、前記対応情報にて定義されている何れかの第1種の階層に対応する線分情報が存在していなかった場合には、その図郭データの図郭に隣接する全隣接図郭の図郭データと前記距離情報とを前記記録装置から読み出させ、各隣接図郭の図郭データに基づいて、その隣接図郭における前記図郭側の境界線から前記所定の距離までの領域内に、前記対応情報にて定義される第1種の階層に対応する線分情報が含まれるか否かを判別させ、前記対応情報にて定義されている全ての第1種の階層に対応する線分情報が何れかの隣接図郭の前記領域内に含まれていた場合には、その図郭データを地図データとしてそのまま前記クライアントマシンへ送信させ、前記対応情報にて定義されている何れかの第1種の階層に対応する線分情報が全ての隣接図郭の前記領域内に含まれていなかった場合には、前記対応情報にて当該第1種の階層に対応付けられている各第2種の階層に対応する線分情報を前記図郭データから除去したものを、地図データとして前記クライアントマシンへ送信させることを、特徴としている。
【0020】
このように構成されると、サーバマシンがクライアントマシンから図郭データを要求された場合において、第1種の階層に対応する線分情報がその図郭データに含まれていたときには、その図郭データがそのままサーバマシンからクライアントマシンへ送信される。一方、第1種の階層に対応する線分情報がその図郭データに含まれていなかったときでも、その図郭の隣接図郭における境界線側の隣接領域に、第1種の階層に対応する線分情報が含まれている場合には、図郭データがそのままサーバマシンからクライアントマシンへ送信される。そして、その隣接領域に、第1種の階層に対応する線分情報が含まれていなかった場合だけ、その図郭データから第2種の階層に対応する線分情報が除去されたものが、サーバマシンからクライアントマシンへ送信される。このため、業務に必要な設備を表現するための線分情報を有する一つ又は多数の階層が、第1種の階層として定義され、業務に必要な設備がない場合に不要になる建物等を表現するための線分情報を有する一つ又は多数の階層が、第2種の階層として定義されていれば、上述した本発明の第4の態様による地図データ提供プログラムは、以下のように作用するようにコンピュータを機能させる。すなわち、通信速度や処理速度に制限のあるクライアントマシンを作業現場に持ち込んでそのクライアントマシンに地図を表示させる場合に、業務に必要な設備の階層がない図郭データであって、その図郭の隣接図郭における隣接領域において業務に必要な設備が存在していない図郭データは、その設備が無い場合に不要になる建物等の階層が除去された後に、地図データとしてクライアントマシンに送信される。つまり、業務に不要な情報ができるだけ削除された地図データがクライアントマシンに送信される。従って、クライアントマシンにおいて地図が表示されるまでに時間が掛かるのを極力抑えることができ、その結果、業務に支障を来さなくなる。
【発明の効果】
【0021】
以上に説明したように、本発明によれば、ユーザの業務に係る情報を含む図郭データを地図データとしてサーバマシンからクライアントマシンへ送信する場合において、地図データのデータ量をできるだけ低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を説明する。
【実施形態1】
【0023】
図1は、本発明が適用されたコンピュータネットワークシステムを概略的に示す構成図である。このコンピュータネットワークシステムは、クライアントマシン10とサーバマシン20とを備えており、これらマシン10,20は、ネットワークNを介して相互に接続されている。
【0024】
図2は、クライアントマシン10を概略的に示す構成図である。クライアントマシン10は、セントラルプロセッシングユニット(CPU)10a,ランダムアクセスメモリ(RAM)10b,表示装置10c,入力装置10d,通信制御装置10e,及び記録装置10fを、備えている。
【0025】
CPU10aは、クライアントマシン10全体を制御する中央処理装置である。RAM10bは、CPU10aが利用するプログラムの一部や頻繁に利用するデータが一時的に記録される記録装置である。表示装置10cは、各種の画面を表示するディスプレイである。入力装置10dは、各種のキーを有するキーボード,ポインタを操作するためのトラックボール,又は、ペン入力用のタッチスクリーンである。
【0026】
通信制御装置10eは、ネットワークNを介して他のコンピュータに繋がれたルータとの間で有線通信又は無線通信にてデータの送受信を司る装置であり、例えば、LAN(Local Area Network)接続ボード,ターミナルアダプタ,モデム,又はラジオフリークエンシー回路などである。
【0027】
記録装置10fは、各種のデータやプログラムが読み書きされる装置であり、具体的には、ハードディスク装置やフラッシュメモリなどである。この記録装置10fには、ハードウエアとソフトウエアを総合的に管理するためのオペレーションシステムプログラムや、各種のデータ及びプログラムが、格納されている。この記録装置10fに格納されているプログラムには、ウェブブラウザ11及び地図プログラム12が含まれる。
【0028】
ウェブブラウザ11は、CPU10aによって実行されている状態で、操作者から入力操作を受け付けると、CPU10aに対し、HTTP(HyperText Transfer Protocol)に従って、その時点で設定されているURL(Uniform Resource Locator)を含むHTTPリクエストを生成させ、URL中のドメイン名により示されるサーバマシン20へそのHTTPリクエストを送信させる。そして、ウェブブラウザ11は、HTTPリクエストに応じてHTTPレスポンスが送信されてきた場合、CPU10aに対し、そのHTTPレスポンスの本体中のデータによって示されるウェブページやイメージを示したウェブブラウザ画面を表示装置10cに表示させる。
【0029】
地図プログラム12は、一般に市販されている地図表示用のクライアントプログラムであり、CPU10aに対し、サーバマシン20から送られてくる地図データを利用させて、表示装置10c上に地図を表示させる。より具体的には、この地図プログラム12は、CPU10aに対し、表示すべき地図を検索するための検索条件(住所,電話番号,郵便番号,特徴的な店舗の名称,又は、緯度及び経度)が操作者によって入力装置10dから入力されるまで待機させ、その検索条件が入力された場合に、その検索条件をウェブブラウザ11による機能を通じてサーバマシン20へ送信させる。また、この地図プログラム12は、CPU10aに対し、ウェブブラウザ11による機能を通じてサーバマシン20から地図データが送信されてくるまで待機させ、地図データが受信された場合に、その地図データに基づいて表示用データを生成させ、その表示用データに基づいて表示装置10c上に地図を表示させる。
【0030】
図3は、サーバマシン20を概略的に示す構成図である。サーバマシン20は、CPU20a,RAM20b,表示装置20c,入力装置20d,通信制御装置20e,フレキシブルディスクドライブ(FDD)20f,コンパクトディスクドライブ(CDD)20g,及び記録装置20hを、備えている。CPU20a,RAM20b,表示装置20c,入力装置20d,通信制御装置20eは、クライアントマシン10のそれと同じものである。
【0031】
FDD20f及びCDD20gは、コンピュータ可読媒体であるフレキシブルディスクFDやコンパクトディスクCDに格納されたデータやプログラムを読み出し、或いは、これらディスクFD,CDへデータやプログラムを書き込む装置である。これら各ドライブ20f,20gによって各ディスクFD,CDから読み出されたデータやプログラムは、記録装置20hにインストールされる。
【0032】
記録装置20hは、各種のデータ及びプログラムが読み書きされる装置である。この記録装置20hには、多数の図郭データ21,図郭管理テーブル22,及び判定用テーブル23が、記録されている。また、この記録装置20hには、ハードウエアとソフトウエアを総合的に管理するためのオペレーションシステムプログラムとともに、HTTPサーバプログラム24及び地図データ配信プログラム25が、記録されている。
【0033】
図郭データ21は、いわゆるベクタ地図データであり、建物,道路,及び河川などの識別物を図郭中に表現するための多数の線分情報と、識別物の名称を図郭中に表示するための多数のテキスト情報とを、有している。なお、図郭とは、地図を幾つかの区画に区分したときの一区画の輪郭を言い、線分情報は、地図全体に所定のXY直交座標系が定義されている場合における線分の始点のX,Y座標及び終点のX,Y座標である。また、この図郭データ21は、階層的なデータ構造を有しており、各階層に、線分情報及びテキスト情報を保有している。
【0034】
図4は、この図郭データ21のデータ構造を説明するために作成された表である。この図4に示されるように、図郭データ21は、「キー」,「レイヤ名」,「始点X座標」,「始点Y座標」,「終点X座標」,「終点Y座標」,及び「テキスト」の項目欄(フィールド)からなるレコードを階層毎に作成することによって、構成されている。
【0035】
「キー」には、各階層を一意に識別するための識別番号が、記録されている。「レイヤ名」には、開発者によって各階層に定義された名称が、記録されている。「始点X座標」,「始点Y座標」,「終点X座標」,及び「終点Y座標」には、線分の始点のX,Y座標及び終点のX,Y座標が、それぞれ記録される。但し、図郭中に表現すべき識別物が線分により構成されないもの、例えば点やテキストの記述開始位置などの場合には、「終点X座標」及び「終点Y座標」は、空欄となっている。「テキスト」には、地方公共団体名や番地名や建物名や店舗名などのテキスト情報が、記録される。但し、テキスト情報が無い階層の場合には、「テキスト」は、空欄となっている。
【0036】
なお、この図4に示されるような図郭データ21は、地図上に定義された図郭毎に用意されており、一つの図郭データ21群を構成している。さらに、このような図郭データ21群は、サーバマシン20を利用して地図データの配信サービスを行うサービス提供業者の顧客毎に、多数用意されている。このサービス提供業者の顧客は、例えばガス配管作業,電気電話配線作業,各戸点検,又は顧客訪問を執り行う業者であり、具体的には、その業務に必要な設備等の業務情報が記載された地図を作業現場において利用している業者である。そして、サービス提供業者は、一つの図郭データ21群に対して一顧客の業務情報を組み込むことにより、その顧客向けの図郭データ21群を作成している。つまり、図郭データ21は、地図製作業者によって事前に作成された多数の階層に、サービス提供業者の顧客の業務情報を持つ階層が付け加えられることによって、作成されている。図4の例で言えば、識別番号が1乃至9の階層が、地図製作業者によって事前に作成された階層(つまりどの図郭データ21群にも共通する情報)であり、識別番号が10乃至13の階層が、上述した業務情報を持つ階層(図郭データ21群毎に異なる情報)である。但し、図4では、業務情報を持つ階層(業務レイヤ)を含む図郭データ21の例が示されていたが、図郭中に設備等が無ければ、その図郭の図郭データ21は、業務レイヤを含まない。
【0037】
図郭管理テーブル22は、各図郭データ21を管理するためのテーブルである。なお、この図郭管理テーブル22は、上記顧客毎(つまり図郭データ21群毎)に用意される。図5は、この図郭管理テーブル22のデータ構造を説明するために作成された表である。この図5に示されるように、図郭管理テーブル22は、「図郭名」,「左下X座標」,「左下Y座標」,「右上X座標」,「右上Y座標」,及び「図郭データ格納位置」の項目欄からなるレコードを図郭データ21毎(つまり図郭毎)に作成することによって、構成されている。
【0038】
「図郭名」には、開発者によって各図郭データ21に定義された名称が、記録されている。「左下X座標」,「左下Y座標」,「右上X座標」,及び「右上Y座標」には、図6の説明図に示されるように、図郭が矩形である場合において、上記XY直交座標系での図郭の左下隅のX,Y座標及び右上隅のX,Y座標が、それぞれ記録される。「図郭データ格納位置」には、図郭データ21の記録装置20h内での記録位置であるアドレスが、記録される。
【0039】
判定用テーブル23は、後述する地図データ配信プログラム25によって利用される表である。図7は、この判定用テーブル23のデータ構造を説明するために作成された表である。この図7に示されるように、判定用テーブル23は、「業務レイヤ」,「不要レイヤ1」,「不要レイヤ2」,…の項目欄からなるレコードを業務レイヤ毎に作成することによって、構成されている。
【0040】
「業務レイヤ」には、上記サービス提供業者の顧客である業者がその業務に利用するものとして図郭データ21群全体に追加されている業務レイヤ(図4の図郭データ21においては識別番号が10乃至13の階層)のレイヤ名が、記録される。「不要レイヤ1」,「不要レイヤ2」,…には、各図郭データ21中に業務レイヤが存在していない場合において図郭中に表示する必要がないと上記顧客の業者が決定した識別物が含まれる階層(図4の図郭データ21においては識別番号が1乃至9の階層の中から選択された階層)のレイヤ名が、記録される。なお、図7には、「不要レイヤ」が二個しか示されていないが、実際には、上記顧客である業者が、その業務に応じて任意にその個数を増減して構わない。そして、この判定用テーブル23における何れかのレコードの不要レイヤ数が他のレコードのそれよりも少なく設定されている場合には、そのレコードの幾つかの「不要レイヤ」は、空欄となる。
【0041】
HTTPサーバプログラム24は、いわゆるウェブサーバプログラムであり、CPU20aに対し、クライアントマシン10からHTTPリクエストを受信すると、そのHTTPリクエスト中のURLに基づいて、他のプログラムによる機能を呼び出すか否かを判別させ、呼び出さない場合には、そのURLにて示されるファイルの中のデータをクライアントマシン10へそのまま送信させ、呼び出す場合には、その機能を呼び出させて処理を実行させた後に、処理後のデータをクライアントマシン10へ送信させるプログラムである。
【0042】
なお、このHTTPサーバプログラム24には、HTTPリクエスト中のURLとそのURLに対応して呼び出される機能との対応関係を設定するための機能が、設けられている。どのURLがどの機能を利用するかは、サーバマシン20にインストールされている各アプリケーション(ウェブアプリケーション)の開発者により、事前に設定される。本実施形態では、マークアップ言語のみで記述されたテキストデータのURLについては、どの機能も呼び出さず、地図データ配信プログラム25による機能を呼び出すためのURLについてのみ、地図データ配信プログラム25による機能が呼び出されるように、設定されている。
【0043】
地図データ配信プログラム25によりCPU20aが実行する処理については、図8及び図9を参照しながら詳細に後述するが、当該プログラム25について簡単に説明すると、地図データ配信プログラム25は、CPU20aに対し、クライアントマシン10からHTTPリクエストとともに送られてくる検索条件を受け取らせ、受け取った検索条件に基づいて、クライアントマシン10に送信すべき図郭データ21を検出させ、検出した図郭データ21を判定用テーブル23を用いて加工させ、加工後の図郭データ21を地図データとしてクライアントマシン10へ送信させるプログラムである。
【0044】
以下、以上のように構成されるコンピュータネットワークシステムにおいて実行される処理について説明する。
【0045】
まず、サーバマシン20では、HTTPサーバプログラム24及び地図データ配信プログラム25がCPU20aによって読み込まれることにより、両プログラム24,25による機能が常駐した状態となっている。従って、サーバマシン20は、いわゆる地図サーバとして機能する。
【0046】
そして、クライアントマシン10の利用者が、そのマシン10を操作して、地図プログラム12を立ち上げると、検索条件(住所,電話番号,郵便番号,特徴的な店舗の名称,又は、緯度及び経度)を入力するための入力画面が表示装置10cに表示される。その後、この利用者が、入力装置10dを操作することによって、その入力画面の所定の箇所に検索条件を入力し、OKボタンをクリックすると、地図プログラム12による機能が、ウェブブラウザ11による機能を通じて、その検索条件をHTTPリクエストとともにサーバマシン20へ送信する。
【0047】
一方、サーバマシン20に常駐しているHTTPサーバプログラム24による機能は、何れかのクライアントマシン10からHTTPリクエストが送られてくるまで、待機している。そして、HTTPサーバプログラム24による機能は、HTTPリクエストを受信すると、そのHTTPリクエスト中のURLが地図データ配信プログラム25による機能を呼び出さねばならないURLであるか否かを、判別する。そして、地図データ配信プログラム25による機能を呼び出さねばならないURLであった場合には、地図データ配信プログラム25による機能が呼び出され、地図データ配信処理が実行される。図8は、地図データ配信処理の内容を示すフローチャートである。
【0048】
地図データ配信処理の開始後、最初のS101では、CPU20aは、検索条件をクライアントマシン10から受信するまで、待機する。そして、検索条件を受信した場合には、CPU20aは、処理をS102へ進める。
【0049】
S102では、CPU20aは、図郭検出処理を実行する。なお、この図郭検出処理は、一般に行われているものであるので詳しく説明しない。その処理の概略としては、CPU20aは、検索条件とその検索条件により特定される図郭の図郭名とを対応付けたテーブルを参照し、受信した検索条件に対応する一つの図郭名を特定する。また、CPU20aは、この図郭名の図郭中における検索条件により示される位置に応じてその図郭に隣接する図郭をクライアントマシン10において表示させる必要がある場合に、その隣接する図郭の図郭名も、特定する。CPU20aは、一つ又は幾つかの図郭名を特定した後、処理をS103へ進める。
【0050】
S103では、CPU20aは、記録装置20h内の判定用テーブル23から、全ての業務レイヤ名を読み出す。
【0051】
次のS104では、CPU20aは、S102において特定された幾つかの図郭名のうち、最初の図郭名を処理対象として特定する。
【0052】
次のS105では、CPU20aは、記録装置20h内の図郭管理テーブル22を参照して、処理対象図郭名に対応する図郭データ21を記録装置20hから読み出す。
【0053】
次のS106では、CPU20aは、S103において読み出した全ての業務レイヤ名に対応する線分情報が、S105において読み出した図郭データ21の中に含まれているか否かを、判別する。そして、CPU20aは、全ての業務レイヤ名に対応する線分情報が当該図郭データ21中に含まれていた場合には、処理をS108へ進め、全ての業務レイヤ名に対応する線分情報が当該図郭データ21中に含まれていなかった場合には、処理をS107へ進める。
【0054】
S107では、CPU20aは、図郭データ加工処理を実行する。図9は、この図郭データ加工処理の内容を示すフローチャートである。
【0055】
図郭データ加工処理の開始後、最初のS201では、CPU20aは、当該図郭データ21中に含まれていなかった業務レイヤを特定し、これらの業務レイヤ名に対応する不要レイヤ名を、記録装置20h内の判定用テーブル23から全て読み出す。
【0056】
次のS202では、CPU20aは、S201において読み出した不要レイヤ名に対応する線分情報を当該図郭データ21が有している場合には、当該図郭データ21から、不要レイヤに対応する線分情報及びテキスト情報を全て削除する。その後、CPU20aは、図郭データ加工処理を終了し、図8のメインルーチンにおけるS108へ処理を進める。
【0057】
S108では、CPU20aは、S105において読み出した図郭データ21,又は、S107において加工された図郭データ21を、HTTPレスポンスのボディに含まれるデータとして、HTTPサーバプログラム24による機能へ引き渡し、その機能に対し、図郭データ21を地図データとしてクライアントマシン10へ送信させる。
【0058】
次のS109では、CPU20aは、S102において特定した幾つかの図郭名の中に未処理のものが存在するか否かを、判別する。そして、CPU20aは、未処理の図郭名が存在していた場合には、処理をS110へ進める。
【0059】
S110では、CPU20aは、未処理の図郭名のなかから、次の処理対象図郭名を特定し、処理をS105へ戻す。
【0060】
S105〜S110の処理ループを実行中、未処理の図郭名が存在しなくなった場合には、CPU20aは、S109において処理を分岐させ、地図データ配信処理を終了する。
【0061】
以上に示されるような地図データ配信処理が実行されるので、第1の実施形態のコンピュータネットワークシステムは、以下に述べるような効果を奏する。すなわち、無加工の図郭データ21をサーバマシン20から配信していた従来のシステムにおいては、クライアントマシン10は、業務に必要であるか否かに拘わらず、全ての線分情報を受信せねばならなかった。そのため、図10の説明図における上側の画面例のように、業務に必要な全ての設備と全ての識別物とが地図上に表現されてしまっていた。しかし、第1の実施形態のサーバマシン20は、業務に必要な設備(図10中の円形の電柱A ,B)を表現するための線分情報を有していない図郭データ(図10中の図郭1及び図郭3の図郭データ)21を地図データとしてクライアントマシン10へ送信しようとする場合には、それらの図郭データ21から、設備が無い場合において業務に不要になる識別物(図10中のC氏及びE氏の建物)の線分情報及びテキスト情報を除去した後、地図データとしてクライアントマシン10へ送信する。つまり、クライアントマシン20には、業務に不要な情報ができるだけ削減された地図データが送られてくる。従って、特に通信速度や処理速度に制限のある携帯情報端末のようなクライアントマシン10が地図を表示するまでの時間が可及的に短縮され、然も、図10の説明図における下側の画面例のように、業務に必要な識別物は確実に地図上に表現されるようになる。その結果、クライアントマシン10を用いて業務を執り行う業者は、クライアントマシン10に順次表示される地図を頼りに、スムーズに業務を遂行できる。
【0062】
なお、第1の実施形態のコンピュータネットワークシステムは、HTTPを利用した通信環境を有していたが、この通信環境に限定されるものではない。例えば、このシステム専用のプロトコルに従った通信回線を利用した通信環境を有するものであっても良いし、通信衛星により中継される無線通信回線を利用した通信環境を有するものであっても良いし、その他の通信環境を有するものであっても良い。
【0063】
また、第1の実施形態のコンピュータネットワークシステムでは、サーバマシン20からクライアントマシン10へ図郭データ21をそのまま送信していたが、そうでなくても良い。例えば、一般に利用されている圧縮手段により、サーバマシン20が地図データを圧縮し、圧縮された地図データをサーバマシンが20がクライアントマシン10へ送信し、クライアントマシン10が地図データを解凍することによって、サーバマシン20からクライアントマシン10へ地図データ21が送信されても良い。
【0064】
また、第1の実施形態のコンピュータネットワークシステムでは、図郭が矩形状であるとして説明した(図6及び図10参照)が、この形状に限定されるものではない。例えば、図郭は、平行四辺形であっても良いし、六角形であっても良いし、その他の多角形状であっても良い。
【0065】
また、第1の実施形態では、図郭データ21は、地図製作業者によって事前に作成された多数の階層と、サービス提供業者の顧客の業務情報を持つ階層とが一体に作成されることによって、構成されていたが、そうでなくても良い。すなわち、図郭データ21は、地図製作業者によって事前に作成された多数の階層からなる基本図郭データと、顧客の業務情報を持つ階層からなる設備図郭データとに分離されて管理されるものであっても良い。
【実施形態2】
【0066】
図11は、第2の実施形態の判定用テーブル23’を説明するために作成された表である。この図11に示されるように、第2の実施形態は、一つ又は多数の業務レイヤ名の全てに対し、共通した不要レイヤ名の組み合わせしか定義されていない場合に有効な例である。つまり、判定用テーブル23’が図11に示されるような状況にあるときには、第1の実施形態のように、図郭データ21から不要レイヤを除去する加工(図8のS107並びに図9のS201及びS202)を送信の都度実行するよりも、これら不要レイヤ名がそれぞれ示す不要レイヤに対応する有効線分情報及びテキスト情報を図郭データ21から事前に除去し、記録装置20hに用意していたほうが、サーバマシン20内での処理速度を向上させることができる。そこで、図12の構成図に示されるように、第2の実施形態では、各図郭データ21から不要レイヤが除去されてできる簡易図郭データ21’が、図郭データ21とともに、サーバマシン20の記録装置20hに事前に用意されている。また、これに応じて、図郭データ加工処理の内容が、第1の実施形態のそれ(図9参照)に対し、若干変更されている。具体的には、図13のフローチャートに示されるように、図郭データ加工処理の開始後のS301において、CPU20aは、処理対象図郭名に対応する簡易図郭データ21’を記録装置20hから読み出し、図郭加工データ処理を終了する。従って、図11に示されるような判定用テーブル23’を用意する場合には、このような図郭データ加工処理をサーバマシン20内で実行させることにより、クライアントマシン20から要求を受けてから地図データを返すまでの処理速度を、第1の実施形態よりも向上させることができる。
【実施形態3】
【0067】
第3の実施形態は、サーバマシン20に設備管理テーブル26が追加されているとともに、地図データ配信処理の内容が若干異なっている他は、第1の実施形態と同じ構成を有している。従って、以下では、第1の実施形態との相違点についてのみ、説明する。
【0068】
図14は、第3の実施形態のサーバマシン20を概略的に示す構成図である。この図14と第1の実施形態の説明において用いた図3とを比べて明らかなように、第3の実施形態のサーバマシン20の記録装置20hには、設備管理テーブル26が追加されている。この設備管理テーブル26は、上記サービス提供業者の顧客である業者の業務に必要な設備が各図郭に何個存在するかを記録した表であり、上述した図郭データ21群毎(つまり顧客毎)に、用意されている。図15は、この設備管理テーブル26のデータ構造を説明するために作成された表である。この図15に示されるように、設備管理テーブル26は、「図郭名」,「電柱数」,「電線数」,及び「開閉器数」の各項目欄からなるレコードを図郭毎に作成することによって、構成されている。「図郭名」には、図郭名が記録され、「電柱数」,「電線数」,及び「開閉器数」には、或る業者の業務情報を持つ業務レイヤにより図郭内に表現される設備である電柱,電線,及び開閉器の数が、それぞれ記録される。なお、ここで記録される数は、0以上の整数である。
【0069】
また、第3の実施形態のサーバマシン20の記録装置20hには、第1の実施形態の地図データ配信プログラム25に対し、内容が若干変更された地図データ配信プログラム25’が、記録されている。図16は、第3の実施形態の地図データ配信処理の内容を示すフローチャートである。但し、図16のS401,S402及びS407〜S410のステップは、第1の実施形態の説明において用いた図8のS101,S102及びS107〜S110のステップと同じである。従って、これらステップについては、以下では説明しない。
【0070】
図16のS403では、CPU20aは、S402において特定された幾つかの図郭名のうち、最初の図郭名を処理対象として特定する。
【0071】
次のS404では、CPU20aは、記録装置20h内の図郭管理テーブル22を参照して、処理対象図郭名に対応する図郭データ21を記録装置20hから読み出す。
【0072】
次のS405では、CPU20aは、記録装置20h内の設備管理テーブル26から、処理対象図郭名を含むレコードを読み出す。
【0073】
次のS406では、CPU20aは、S405において読み出したレコードの中に、「0」が含まれているか否かを、判別する。そして、CPU20aは、このレコード中に「0」が一つも含まれていなかった場合には、全ての業務レイヤ名に対応する線分情報がこの図郭データ21に含まれているため、この図郭データ21をそのままクライアントマシン10へ送信すべきとして、処理をS408へ進める。一方、このレコード中に「0」が一つでも含まれていた場合には、CPU20aは、少なくとも1つの業務レイヤ名に対応する線分情報がこの図郭データ21に無いため、この図郭データ21に不要レイヤが存在する可能性があるとして、処理をS407へ進める。
【0074】
第3の実施形態では、このような地図データ配信処理において設備管理テーブル26の中がチェックされることにより、図郭データ21の中に業務レイヤがあるか否かが判別される。このため、第1の実施形態のように図郭データ21の中から業務レイヤをいちいち探し出すよりも、クライアントマシン20から要求を受けてから地図データを返すまでの処理速度が、若干であるが向上される。
【実施形態4】
【0075】
第4の実施形態は、サーバマシン20に距離テーブル27が追加されているとともに、図郭データ加工処理の内容が若干異なっている他は、第1の実施形態と同じ構成を有している。従って、以下では、第1の実施形態との相違点についてのみ、説明する。
【0076】
図17は、第4の実施形態のサーバマシン20を概略的に示す構成図である。この図17と第1の実施形態の説明に用いた図3とを比べて明らかなように、第4の実施形態のサーバマシン20の記録装置20hには、距離テーブル27が追加されている。図18は、この距離テーブル27のデータ構造を説明するために作成されたテーブルである。この図18に示されるように、距離テーブル27は、「縦の境界線からの距離」及び「横の境界線からの距離」の両項目欄からなるレコードを一つだけ作成することによって、構成されている。
【0077】
「縦の境界線からの距離」及び「横の境界線からの距離」には、それぞれ、地図全体に定義されている直交座標系における所定の距離が、記録される。この所定の距離は、具体的には、図19の説明図における矩形の破線にて示されるように、処理対象となる図郭(図郭A)に隣接する八つの隣接図郭(図郭1〜8)における処理対象図郭との境界線から内側に向かった或る位置までの距離である。この距離は、処理対象となる図郭において業務に必要な設備(例えば図10中の電柱A,B)が存在していない場合(業務レイヤが無い場合)において、その処理対象となる図郭の近隣に、業務に必要な設備が存在しているときには、その処理対象となる図郭から不要レイヤを削除することを行わないために、定義されるものである。このような距離を定義することにより、業務に必要な設備がないからといって単に図郭データ21から不要レイヤに対応する線分情報及びテキスト情報を削除することがなくなり、業務に必要な設備が近隣に存在していた場合に不要レイヤにより示される識別物を図郭内に残しておくことができる。これにより、業務上の利便性を図っている。
【0078】
そして、第4の実施形態では、この距離テーブル27を利用するために、図郭データ加工処理の内容が、第1の実施形態のそれ(図9参照)に対し、若干変更されている。図20及び図21は、第4の実施形態の図郭データ加工処理の内容を示すフローチャートである。
【0079】
図郭データ加工処理の開始後、最初のS501では、CPU20aは、記録装置20h内の距離テーブル27からレコードを距離情報として読み出す。
【0080】
次のS502では、CPU20aは、記録装置20h内の判定用テーブル25から、全ての業務レイヤ名を読み出す。
【0081】
次のS503では、CPU20aは、S502において読み出した幾つかの業務レイヤ名のうち、最初の業務レイヤ名を処理対象として特定する。
【0082】
次のS504では、CPU20aは、処理対象図郭名の図郭に隣接する隣接図郭(図19参照)のうち、最初の隣接図郭を処理対象として特定する。
【0083】
次のS505では、CPU20aは、処理対象隣接図郭の図郭データ21を記録装置20hから読み出す。
【0084】
次のS506では、CPU20aは、処理対象隣接図郭における処理対象図郭との境界線から距離情報の示す距離までの矩形領域を、隣接領域として特定する。
【0085】
次のS507では、CPU20aは、S505において読み出した図郭データ21に基づいて、S506において特定した隣接領域の中に、処理対象業務レイヤ名に対応する設備の線分情報が存在しているか否かを、判別する。そして、隣接領域の中に設備の線分情報が存在していなかった場合には、CPU20aは、処理をS508へ進める。
【0086】
S508では、CPU20aは、未処理の隣接図郭が存在するか否かを、判別する。そして、未処理の隣接図郭が存在していた場合には、CPU20aは、処理をS509へ進める。
【0087】
S509では、CPU20aは、未処理の隣接図郭のうち、次の隣接図郭を処理対象として特定し、処理をS505へ戻す。
【0088】
S505〜S509の処理ループの実行中、未処理の隣接図郭が存在しなくなった場合には、CPU20aは、処理をS508からS510へ分岐させる。また、未処理の隣接図郭が存在しなくなる前に、隣接領域の中に設備の線分情報が存在している隣接図郭があった場合には、CPU20aは、処理をS507からS511へ分岐させる。
【0089】
S510では、CPU20aは、記録装置20h内の判定用テーブル25から、処理対象業務レイヤ名に対応する不要レイヤ名を、読み出し、処理をS511へ進める。
【0090】
S511では、CPU20aは、未処理の業務レイヤ名が存在するか否かを、判別する。そして、未処理の業務レイヤ名が存在していた場合には、CPU20aは、処理をS512へ進める。
【0091】
S512では、CPU20aは、未処理の業務レイヤ名のうち、次の業務レイヤ名を処理対象として特定し、処理をS504へ戻す。
【0092】
S504〜S512の処理ループの実行中、未処理の業務レイヤ名が存在しなくなった場合には、CPU20aは、処理をS511からS513へ分岐させる。
【0093】
S513では、CPU20aは、この時点までに不要レイヤ名を読み出しているか否かを、判別する。そして、CPU20aは、不要レイヤ名を読み出していなかった場合には、図郭データ加工処理を終了し、不要レイヤ名を読み出していた場合には、処理をS514へ進める。
【0094】
S514では、CPU20aは、S505において読み出した処理対象図郭の図郭データ21が読み出し済の各不要レイヤ名に対応する線分情報を有している場合には、当該各不要レイヤ名に対応する線分情報及びテキスト情報をこの図郭データ21から全て削除し、図郭データ加工処理を終了する。
【0095】
以上に示されるような図郭データ加工処理が実行されるので、第4の実施形態のコンピュータネットワークシステムは、以下のような効果を奏する。すなわち、第1の実施形態では、図郭データ21に業務レイヤがあるかないかで、図郭データ21から不要レイヤを除去するかしないかを、単純に決定していた(図8のS106)。しかし、業務に必要な設備が図郭の端寄りに存在している場合には、その端側において隣接する図郭において、不要レイヤを削除しないほうが良い場合がある。そこで、第4の実施形態では、処理対象図郭に隣接する隣接図郭における一定の領域(隣接領域)に、業務に必要な設備が存在している場合には、その処理対象図郭の図郭データから不要レイヤを除去せず(図20のS507;YES)に、その図郭データ21をそのままウェブクライアントマシン10へ送信している。その結果、特に通信速度や処理速度に制限のある携帯情報端末のようなウェブクライアントマシン10が地図を表示するまでの時間が、第1の実施形態ほどは短縮されないものの、業務に必要であると見込まれる建物等の識別物が、確実に地図上に表現されるようになる。従って、ウェブクライアントマシン10を用いて業務を執り行う業者は、ウェブクライアントマシン10に順次表示される地図を頼りに、スムーズに業務を遂行できる。
【0096】
(付記1)
線分情報を階層に分けて保有する多数の図郭データ,及び、所定の第1種の階層と所定の第2種の階層とを対応付けて定義する対応情報を記録した記録装置に対して繋がれるとともに、ネットワークを介してクライアントマシンに繋がれるコンピュータに対し、
何れかの図郭データを特定する情報が前記クライアントマシンから送られてきた際には、その図郭データと前記対応情報とを前記記録装置から読み出させ、
読み出した図郭データ中に、前記対応情報にて定義されている第1種の階層に対応する線分情報が存在するか否かを判別させ、
読み出した図郭データ中に、前記対応情報にて定義されている全ての第1種の階層に対応する線分情報が存在していた場合には、その図郭データを地図データとしてそのまま前記クライアントマシンへ送信させ、
読み出した図郭データ中に、前記対応情報にて定義されている何れかの第1種の階層に対応する線分情報が存在していなかった場合には、前記対応情報にて当該第1種の階層に対応付けられている各第2種の階層に対応する線分情報を前記図郭データから除去したものを、地図データとして前記クライアントマシンへ送信させる
ことを特徴とする地図データ提供プログラム。
【0097】
(付記2)
線分情報を階層に分けて保有する多数の図郭データ,一つ又は多数の所定の第1種の階層を定義する定義情報,及び、一つ又は多数の所定の第2種の階層に対応する線分情報が前記各図郭データから除去されることによって生成された多数の簡易図郭データを記録した記録装置に対して繋がれるとともに、ネットワークを介してクライアントマシンに繋がれるコンピュータに対し、
何れかの図郭データを特定する情報が前記クライアントマシンから送られてきた際には、その図郭データと前記定義情報とを前記記録装置から読み出させ、
読み出した図郭データ中に、前記定義情報にて定義されている第1種の階層に対応する線分情報が存在するか否かを判別させ、
読み出した図郭データ中に、前記定義情報にて定義されている何れかの第1種の階層に対応する線分情報が存在していた場合には、その図郭データを地図データとしてそのまま前記クライアントマシンへ送信させ、
読み出した図郭データ中に、前記定義情報にて定義されている全ての第1種の階層に対応する線分情報が存在していなかった場合には、その図郭データに対応する簡易図郭データを前記記録装置から読み出させて、その簡易図郭データを地図データとして前記クライアントマシンへ送信させる
ことを特徴とする地図データ提供プログラム。
【0098】
(付記3)
線分情報を階層に分けて保有する多数の図郭データ,所定の第1種の階層と所定の第2種の階層とを対応付けて定義する対応情報,及び、前記対応情報にて定義されている各第1種の階層に対応する線分情報が前記各図郭データ内に存在するか否かを示す識別情報を格納したテーブルを記録した記録装置に対して繋がれるとともに、ネットワークを介してクライアントマシンに繋がれるコンピュータに対し、
何れかの図郭データを特定する情報が前記クライアントマシンから送られてきた際には、その図郭データを前記記録装置から読み出させ、
前記テーブルを参照させることによって、読み出した図郭データ中に、前記対応情報にて定義されている第1種の階層に対応する線分情報が存在するか否かを判別させ、
読み出した図郭データ中に、前記対応情報にて定義されている全ての第1種の階層に対応する線分情報が存在していた場合には、その図郭データを地図データとしてそのまま前記クライアントマシンへ送信させ、
読み出した図郭データ中に、前記対応情報にて定義されている何れかの第1種の階層に対応する線分情報が存在していなかった場合には、前記記録装置から前記対応情報を読み出させ、その対応情報にて当該第1種の階層に対応付けられている各第2種の階層に対応する線分情報を前記図郭データから除去したものを、地図データとして前記クライアントマシンへ送信させる
ことを特徴とする地図データ提供プログラム。
【0099】
(付記4)
線分情報を階層に分けて保有する多数の図郭データ,所定の第1種の階層と所定の第2種の階層とを対応付けて定義する対応情報,及び、所定の距離に関する距離情報を記録した記録装置に対して繋がれるとともに、ネットワークを介してクライアントマシンに繋がれるコンピュータに対し、
何れかの図郭データを特定する情報が前記クライアントマシンから送られてきた際には、その図郭データと前記対応情報とを前記記録装置から読み出させ、
読み出した図郭データ中に、前記対応情報にて定義されている第1種の階層に対応する線分情報が存在するか否かを判別させ、
読み出した図郭データ中に、前記対応情報にて定義されている全ての第1種の階層に対応する線分情報が存在していた場合には、その図郭データを地図データとしてそのまま前記クライアントマシンへ送信させ、
読み出した図郭データ中に、前記対応情報にて定義されている何れかの第1種の階層に対応する線分情報が存在していなかった場合には、その図郭データの図郭に隣接する全隣接図郭の図郭データと前記距離情報とを前記記録装置から読み出させ、
各隣接図郭の図郭データに基づいて、その隣接図郭における前記図郭側の境界線から前記所定の距離までの領域内に、前記対応情報にて定義されている第1種の階層に対応する線分情報が含まれるか否かを判別させ、
前記対応情報にて定義されている全ての第1種の階層に対応する線分情報が何れかの隣接図郭の前記領域内に含まれていた場合には、その図郭データを地図データとしてそのまま前記クライアントマシンへ送信させ、
前記対応情報にて定義されている何れかの第1種の階層に対応する線分情報が全ての隣接図郭の前記領域内に含まれていなかった場合には、前記対応情報にて当該第1種の階層に対応付けられている各第2種の階層に対応する線分情報を前記図郭データから除去したものを、地図データとして前記クライアントマシンへ送信させる
ことを特徴とする地図データ提供プログラム。
【0100】
(付記5)
前記サーバマシンと前記クライアントマシンとがHTTP(HyperText Transfer Protocol)に従ってデータの送受信を行う
ことを特徴とする付記1乃至4の何れかに記載の地図データ提供プログラム。
【0101】
(付記6)
線分情報を階層に分けて保有する多数の図郭データ,及び、所定の第1種の階層と所定の第2種の階層とを対応付けて定義する対応情報を記録した記録装置に対して繋がれるとともに、ネットワークを介してクライアントマシンに繋がれるコンピュータに対し、
何れかの図郭データを特定する情報が前記クライアントマシンから送られてきた際には、その図郭データと前記対応情報とを前記記録装置から読み出させ、
読み出した図郭データ中に、前記対応情報にて定義されている第1種の階層に対応する線分情報が存在するか否かを判別させ、
読み出した図郭データ中に、前記対応情報にて定義されている全ての第1種の階層に対応する線分情報が存在していた場合には、その図郭データを地図データとしてそのまま前記クライアントマシンへ送信させ、
読み出した図郭データ中に、前記対応情報にて定義されている何れかの第1種の階層に対応する線分情報が存在していなかった場合には、前記対応情報にて当該第1種の階層に対応付けられている各第2種の階層に対応する線分情報を前記図郭データから除去したものを、地図データとして前記クライアントマシンへ送信させる
地図データ提供プログラムを格納した
ことを特徴とするコンピュータ可読媒体。
【0102】
(付記7)
線分情報を階層に分けて保有する多数の図郭データ,一つ又は多数の所定の第1種の階層を定義する定義情報,及び、一つ又は多数の所定の第2種の階層に対応する線分情報が前記各図郭データから除去されることによって生成された多数の簡易図郭データを記録した記録装置に対して繋がれるとともに、ネットワークを介してクライアントマシンに繋がれるコンピュータに対し、
何れかの図郭データを特定する情報が前記クライアントマシンから送られてきた際には、その図郭データと前記定義情報とを前記記録装置から読み出させ、
読み出した図郭データ中に、前記定義情報にて定義されている第1種の階層に対応する線分情報が存在するか否かを判別させ、
読み出した図郭データ中に、前記定義情報にて定義されている何れかの第1種の階層に対応する線分情報が存在していた場合には、その図郭データを地図データとしてそのまま前記クライアントマシンへ送信させ、
読み出した図郭データ中に、前記定義情報にて定義されている全ての第1種の階層に対応する線分情報が存在していなかった場合には、その図郭データに対応する簡易図郭データを前記記録装置から読み出させて、その簡易図郭データを地図データとして前記クライアントマシンへ送信させる
地図データ提供プログラムを格納した
ことを特徴とするコンピュータ可読媒体。
【0103】
(付記8)
線分情報を階層に分けて保有する多数の図郭データ,所定の第1種の階層と所定の第2種の階層とを対応付けて定義する対応情報,及び、前記対応情報にて定義されている各第1種の階層に対応する線分情報が前記各図郭データ内に存在するか否かを示す識別情報を格納したテーブルを記録した記録装置に対して繋がれるとともに、ネットワークを介してクライアントマシンに繋がれるコンピュータに対し、
何れかの図郭データを特定する情報が前記クライアントマシンから送られてきた際には、その図郭データを前記記録装置から読み出させ、
前記テーブルを参照させることによって、読み出した図郭データ中に、前記対応情報にて定義されている第1種の階層に対応する線分情報が存在するか否かを判別させ、
読み出した図郭データ中に、前記対応情報にて定義されている全ての第1種の階層に対応する線分情報が存在していた場合には、その図郭データを地図データとしてそのまま前記クライアントマシンへ送信させ、
読み出した図郭データ中に、前記対応情報にて定義されている何れかの第1種の階層に対応する線分情報が存在していなかった場合には、前記記録装置から前記対応情報を読み出させ、その対応情報にて当該第1種の階層に対応付けられている各第2種の階層に対応する線分情報を前記図郭データから除去したものを、地図データとして前記クライアントマシンへ送信させる
地図データ提供プログラムを格納した
ことを特徴とするコンピュータ可読媒体。
【0104】
(付記9)
線分情報を階層に分けて保有する多数の図郭データ,所定の第1種の階層と所定の第2種の階層とを対応付けて定義する対応情報,及び、所定の距離に関する距離情報を記録した記録装置に対して繋がれるとともに、ネットワークを介してクライアントマシンに繋がれるコンピュータに対し、
何れかの図郭データを特定する情報が前記クライアントマシンから送られてきた際には、その図郭データと前記対応情報とを前記記録装置から読み出させ、
読み出した図郭データ中に、前記対応情報にて定義されている第1種の階層に対応する線分情報が存在するか否かを判別させ、
読み出した図郭データ中に、前記対応情報にて定義されている全ての第1種の階層に対応する線分情報が存在していた場合には、その図郭データを地図データとしてそのまま前記クライアントマシンへ送信させ、
読み出した図郭データ中に、前記対応情報にて定義されている何れかの第1種の階層に対応する線分情報が存在していなかった場合には、その図郭データの図郭に隣接する全隣接図郭の図郭データと前記距離情報とを前記記録装置から読み出させ、
各隣接図郭の図郭データに基づいて、その隣接図郭における前記図郭側の境界線から前記所定の距離までの領域内に、前記対応情報にて定義されている第1種の階層に対応する線分情報が含まれるか否かを判別させ、
前記対応情報にて定義されている全ての第1種の階層に対応する線分情報が何れかの隣接図郭の前記領域内に含まれていた場合には、その図郭データを地図データとしてそのまま前記クライアントマシンへ送信させ、
前記対応情報にて定義されている何れかの第1種の階層に対応する線分情報が全ての隣接図郭の前記領域内に含まれていなかった場合には、前記対応情報にて当該第1種の階層に対応付けられている各第2種の階層に対応する線分情報を前記図郭データから除去したものを、地図データとして前記クライアントマシンへ送信させる
地図データ提供プログラムを格納した
ことを特徴とするコンピュータ可読媒体。
【0105】
(付記10)
クライアントマシンがネットワークを介してサーバマシンに繋がれているコンピュータネットワークにおいて、
前記サーバマシンに繋がれる記録装置に対し、
線分情報を階層に分けて保有する多数の図郭データ,及び、所定の第1種の階層と所定の第2種の階層とを対応付けて定義する対応情報を、記録しておき、
前記サーバマシンが、
何れかの図郭データを特定する情報が前記クライアントマシンから送られてきた際には、その図郭データと前記対応情報とを前記記録装置から読み出して、前記対応情報にて定義されている第1種の階層に対応する線分情報が前記図郭データ中に存在するか否かを判別し、
前記対応情報にて定義されている全ての第1種の階層に対応する線分情報が前記図郭データ中に存在していた場合には、その図郭データを地図データとしてそのまま前記クライアントマシンへ送信し、
前記対応情報にて定義されている何れかの第1種の階層に対応する線分情報が前記図郭データ中に存在していなかった場合には、前記対応情報にて当該第1種の階層に対応付けられている各第2種の階層に対応する線分情報を前記図郭データから除去したものを、地図データとして前記クライアントマシンへ送信する
ことを特徴とする地図データ提供方法。
【0106】
(付記11)
クライアントマシンがネットワークを介してサーバマシンに繋がれているコンピュータネットワークにおいて、
前記サーバマシンに繋がれる記録装置に対し、
線分情報を階層に分けて保有する多数の図郭データ,一つ又は多数の所定の第1種の階層を定義する定義情報,及び、一つ又は多数の所定の第2種の階層に対応する線分情報が前記各図郭データから除去されることによって生成された多数の簡易図郭データを、記録しておき、
前記サーバマシンが、
何れかの図郭データを特定する情報が前記クライアントマシンから送られてきた際には、その図郭データと前記定義情報とを前記記録装置から読み出して、前記定義情報にて定義されている第1種の階層に対応する線分情報が前記図郭デー
タ中に存在するか否かを判別し、
前記定義情報にて定義されている何れかの第1種の階層に対応する線分情報が前記図郭データ中に存在していた場合には、その図郭データを地図データとしてそのまま前記クライアントマシンへ送信し、
前記定義情報にて定義されている全ての第1種の階層に対応する線分情報が前記図郭データ中に存在していなかった場合には、その図郭データに対応する簡易図郭データを前記記録装置から読み出して、その簡易図郭データを地図データとして前記クライアントマシンへ送信する
ことを特徴とする地図データ提供方法。
【0107】
(付記12)
クライアントマシンがネットワークを介してサーバマシンに繋がれているコンピュータネットワークにおいて、
前記サーバマシンに繋がれる記録装置に対し、
線分情報を階層に分けて保有する多数の図郭データ,所定の第1種の階層と所定の第2種の階層とを対応付けて定義する対応情報,及び、前記対応情報にて定義されている各第1種の階層に対応する線分情報が前記各図郭データ内に存在するか否かを示す識別情報を格納したテーブルを、記録しておき、
前記サーバマシンが、
何れかの図郭データを特定する情報が前記クライアントマシンから送られてきた際には、その図郭データを前記記録装置から読み出すとともに、前記テーブルを参照することによって、前記対応情報にて定義されている第1種の階層に対応する線分情報がその図郭データ内に存在するか否かを判別し、
前記対応情報にて定義されている全ての第1種の階層に対応する線分情報が前記図郭データ中に存在していた場合には、その図郭データを地図データとしてそのまま前記クライアントマシンへ送信し、
前記対応情報にて定義されている何れかの第1種の階層に対応する線分情報が前記図郭データ中に存在していなかった場合には、前記記録装置から前記対応情報を読み出して、その対応情報にて当該第1種の階層に対応付けられている各第2種の階層に対応する線分情報を前記図郭データから除去したものを、地図データとして前記クライアントマシンへ送信する
ことを特徴とする地図データ提供方法。
【0108】
(付記13)
クライアントマシンがネットワークを介してサーバマシンに繋がれているコンピュータネットワークにおいて、
前記サーバマシンに繋がれる記録装置に対し、
線分情報を階層に分けて保有する多数の図郭データ,所定の第1種の階層と所定の第2種の階層とを対応付けて定義する対応情報,及び、所定の距離に関する距離情報を、記録しておき、
前記サーバマシンが、
何れかの図郭データを特定する情報が前記クライアントマシンから送られてきた際には、その図郭データと前記対応情報とを前記記録装置から読み出して、前記対応情報にて定義されている第1種の階層に対応する線分情報が前記図郭データ中に存在するか否かを判別し、
前記対応情報にて定義されている全ての第1種の階層に対応する線分情報が前記図郭データ中に存在していた場合には、その図郭データを地図データとしてそのまま前記クライアントマシンへ送信し、
前記対応情報にて定義されている何れかの第1種の階層に対応する線分情報が前記図郭データ中に存在していなかった場合には、その図郭データの図郭に隣接する全隣接図郭の図郭データと前記距離情報とを前記記録装置から読み出し、各隣接図郭の図郭データに基づいて、その隣接図郭における前記図郭側の境界線から前記所定の距離までの領域内に、前記対応情報にて定義される第1種の階層に対応する線分情報が含まれるか否かを判別し、
前記対応情報にて定義されている全ての第1種の階層に対応する線分情報が何れかの隣接図郭の前記領域内に含まれていた場合には、その図郭データを地図データとしてそのまま前記クライアントマシンへ送信し、
前記対応情報にて定義されている何れかの第1種の階層に対応する線分情報が全ての隣接図郭の前記領域内に含まれていなかった場合には、前記対応情報にて当該第1種の階層に対応付けられている各第2種の階層に対応する線分情報を前記図郭データから除去したものを、地図データとして前記クライアントマシンへ送信する
ことを特徴とする地図データ提供方法。
【0109】
(付記14)
前記サーバマシンと前記クライアントマシンとがHTTP(HyperText Transfer Protocol)に従ってデータの送受信を行う
ことを特徴とする付記10乃至13の何れかに記載の地図データ提供方法。
【0110】
(付記15)
ネットワークを介してサーバマシンに繋がれているクライアントが、多数の線分情報を有する地図データを前記サーバマシンから受信すると、その地図データに基づいて地図を表示させる地図表示システムであって、
前記サーバマシンに繋がれる記録装置が、
線分情報を階層に分けて保有する多数の図郭データ,及び、所定の第1種の階層と所定の第2種の階層とを対応付けて定義する対応情報を、記録し、
前記サーバマシンが、
何れかの図郭データを特定する情報が前記クライアントマシンから送られてきた際には、その図郭データと前記対応情報とを前記記録装置から読み出して、前記対応情報にて定義されている第1種の階層に対応する線分情報が前記図郭データ中に存在するか否かを判別し、
前記対応情報にて定義されている全ての第1種の階層に対応する線分情報が前記図郭データ中に存在していた場合には、その図郭データを地図データとしてそのまま前記クライアントマシンへ送信し、
前記対応情報にて定義されている何れかの第1種の階層に対応する線分情報が前記図郭データ中に存在していなかった場合には、前記対応情報にて当該第1種の階層に対応付けられている各第2種の階層に対応する線分情報を前記図郭データから除去したものを、地図データとして前記クライアントマシンへ送信する
ことを特徴とする地図表示システム。
【0111】
(付記16)
ネットワークを介してサーバマシンに繋がれているクライアントが、多数の線分情報を有する地図データを前記サーバマシンから受信すると、その地図データに基づいて地図を表示させる地図表示システムであって、
前記サーバマシンに繋がれる記録装置が、
線分情報を階層に分けて保有する多数の図郭データ,一つ又は多数の所定の第1種の階層を定義する定義情報,及び、一つ又は多数の所定の第2種の階層に対応する線分情報が前記各図郭データから除去されることによって生成された多数の簡易図郭データを、記録し、
前記サーバマシンが、
何れかの図郭データを特定する情報が前記クライアントマシンから送られてきた際には、その図郭データと前記定義情報とを前記記録装置から読み出して、前記定義情報にて定義されている第1種の階層に対応する線分情報が前記図郭データ中に存在するか否かを判別し、
前記定義情報にて定義されている何れかの第1種の階層に対応する線分情報が前記図郭データ中に存在していた場合には、その図郭データを地図データとしてそのまま前記クライアントマシンへ送信し、
前記定義情報にて定義されている全ての第1種の階層に対応する線分情報が前記図郭データ中に存在していなかった場合には、その図郭データに対応する簡易図郭データを前記記録装置から読み出して、その簡易図郭データを地図データとして前記クライアントマシンへ送信する
ことを特徴とする地図表示システム。
【0112】
(付記17)
ネットワークを介してサーバマシンに繋がれているクライアントが、多数の線分情報を有する地図データを前記サーバマシンから受信すると、その地図データに基づいて地図を表示させる地図表示システムであって、
前記サーバマシンに繋がれる記録装置が、
線分情報を階層に分けて保有する多数の図郭データ,所定の第1種の階層と所定の第2種の階層とを対応付けて定義する対応情報,及び、前記対応情報にて定義されている各第1種の階層に対応する線分情報が前記各図郭データ内に存在するか否かを示す識別情報を格納したテーブルを、記録し、
前記サーバマシンが、
何れかの図郭データを特定する情報が前記クライアントマシンから送られてきた際には、その図郭データを前記記録装置から読み出すとともに、前記テーブルを参照することによって、前記対応情報にて定義されている第1種の階層に対応する線分情報が前記図郭データ中に存在するか否かを判別し、
前記対応情報にて定義されている全ての第1種の階層に対応する線分情報が前記図郭データ中に存在していた場合には、その図郭データを地図データとしてそのまま前記クライアントマシンへ送信し、
前記対応情報にて定義されている何れかの第1種の階層に対応する線分情報が前記図郭データ中に存在していなかった場合には、前記記録装置から前記対応情報を読み出して、その対応情報にて当該第1種の階層に対応付けられている各第2種の階層に対応する線分情報を前記図郭データから除去したものを、地図データとして前記クライアントマシンへ送信する
ことを特徴とする地図表示システム。
【0113】
(付記18)
ネットワークを介してサーバマシンに繋がれているクライアントが、多数の線分情報を有する地図データを前記サーバマシンから受信すると、その地図データに基づいて地図を表示させる地図表示システムであって、
前記サーバマシンに繋がれる記録装置が、
線分情報を階層に分けて保有する多数の図郭データ,所定の第1種の階層と所定の第2種の階層とを対応付けて定義する対応情報,及び、所定の距離に関する距離情報を、記録し、
前記サーバマシンが、
何れかの図郭データを特定する情報が前記クライアントマシンから送られてきた際には、その図郭データと前記対応情報とを前記記録装置から読み出して、前記対応情報にて定義されている第1種の階層に対応する線分情報が前記図郭データ中に存在するか否かを判別し、
前記対応情報にて定義されている全ての第1種の階層に対応する線分情報が前記図郭データ中に存在していた場合には、その図郭データを地図データとしてそのまま前記クライアントマシンへ送信し、
前記対応情報にて定義されている何れかの第1種の階層に対応する線分情報が前記図郭データ中に存在していなかった場合には、その図郭データの図郭に隣接する全隣接図郭の図郭データと前記距離情報とを前記記録装置から読み出し、各隣接図郭の図郭データに基づいて、その隣接図郭における前記図郭側の境界線から前記所定の距離までの領域内に、前記対応情報にて定義される第1種の階層に対応する線分情報が含まれるか否かを判別し、
前記対応情報にて定義されている全ての第1種の階層に対応する線分情報が何れかの隣接図郭の前記領域内に含まれていた場合には、その図郭データを地図データとしてそのまま前記クライアントマシンへ送信し、
前記対応情報にて定義されている何れかの第1種の階層に対応する線分情報が全ての隣接図郭の前記領域内に含まれていなかった場合には、前記対応情報にて当該第1種の階層に対応付けられている各第2種の階層に対応する線分情報を前記図郭データから除去したものを、地図データとして前記クライアントマシンへ送信する
ことを特徴とする地図表示システム。
【0114】
(付記19)
前記サーバマシンと前記クライアントマシンとがHTTP(HyperText Transfer Protocol)に従ってデータの送受信を行う
ことを特徴とする付記15乃至18の何れかに記載の地図表示システム。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】第1の実施形態を概略的に示す構成図
【図2】クライアントマシンを概略的に示す構成図
【図3】サーバマシンを概略的に示す構成図
【図4】図郭データのデータ構造を説明するために作成された表
【図5】図郭管理テーブルのデータ構造を説明するために作成された表
【図6】直交座標系上にある図郭の四隅の座標を説明するための説明図
【図7】判定用テーブルのデータ構造を説明するために作成された表
【図8】地図データ配信処理の内容を示すフローチャート
【図9】図郭データ加工処理の内容を示すフローチャート
【図10】不要レイヤの除去前後の地図を示した画面例
【図11】判定用テーブルのデータ構造を説明するために作成された表
【図12】第2の実施形態のサーバマシンを概略的に示す構成図
【図13】図郭データ加工処理の内容を示すフローチャート
【図14】第3の実施形態のサーバマシンを概略的に示す構成図
【図15】設備管理テーブルのデータ構造を説明するために作成された表
【図16】地図データ配信処理の内容を示すフローチャート
【図17】第4の実施形態のサーバマシンを概略的に示す構成図
【図18】距離テーブルのデータ構造を説明するために作成された表
【図19】注目図郭の周囲に設定される領域を説明するための説明図
【図20】図郭データ加工処理の内容を示すフローチャート
【図21】図郭データ加工処理の内容を示すフローチャート
【符号の説明】
【0116】
10 クライアントマシン
10a CPU
10b RAM
10c 表示装置
10d 入力装置
10e 通信制御装置
10f 記録装置
11 ウェブブラウザ
12 地図プログラム
20 サーバマシン
20a CPU
20b RAM
20c 表示装置
20d 入力装置
20e 通信制御装置
20f FDD
20g CDD
20h 記録装置
21 図郭データ
21’ 簡易図郭データ
22 図郭管理テーブル
23 判定用テーブル
23’ 判定用テーブル
24 HTTPサーバプログラム
25 地図データ配信プログラム
26 設備管理テーブル
27 距離テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータが、ネットワーク上の何れかのクライアントマシンから、記憶装置が記憶する地図データのうちの何れかを要求する情報を、受信する受付ステップ,
前記コンピュータが、所定の第一の識別物を表示するための第一の識別物情報を定義する判定テーブルを参照して、前記受付ステップで受信された地図データに第一の識別物情報が存在しているか否かを判別する判別ステップ,及び、
前記コンピュータが、前記受付ステップで受信された地図データに第一の識別物情報が存在していると前記判別ステップにおいて判別された場合に、前記地図データを要求元のクライアントマシンへ送信し、前記受付ステップで受信された地図データに第一の識別物情報が存在していないと前記判別ステップにおいて判別された場合に、その第一の識別物情報以外の所定の第二の識別物情報が除去された地図データを、要求元のクライアントマシンへ送信する送信ステップ
からなることを特徴とする地図データ提供方法。
【請求項2】
前記送信ステップにおいて、前記コンピュータは、第一の識別物情報以外の所定の第二の識別物情報が除去された地図データを、それを記憶した記憶装置から読み出して、要求元のクライアントマシンへ送信する
ことを特徴とする請求項1記載の地図データ提供方法。
【請求項3】
前記第一の識別物情報は、クライアントマシンを通じて地図データを要求する利用者がその業務に利用する第一の識別物を地図上に表示するための情報であり、
前記第二の識別物情報は、地図上に前記第一の識別物がない場合に前記利用者の業務に不要となる第二の識別物を地図上に表示するための情報である
ことを特徴とする請求項1又は2記載の地図データ提供方法。
【請求項4】
前記判定テーブルは、前記各地図データが保有する複数の階層のうち、前記第一の識別物情報を含む複数の階層を定義し、
前記判別ステップにおいて、前記コンピュータは、前記判定テーブルを参照して、前記受付ステップで受信した地図データに、第一の識別物情報を含む階層が存在しているか否かを、判別し、
前記送信ステップにおいて、前記コンピュータが、前記受付ステップで受信された地図データに第一の識別物情報を含む階層が存在していると前記判別ステップにおいて判別された場合に、前記地図データを要求元のクライアントマシンへ送信し、前記受付ステップで受信された地図データに第一の識別物情報を含む階層が存在していないと前記判別ステップにおいて判別された場合に、その第一の識別物情報以外の所定の第二の識別物情報が除去された地図データを、要求元のクライアントマシンへ送信する
ことを特徴とする請求項1,2又は3記載の地図データ提供方法。
【請求項5】
コンピュータを、
ネットワーク上の何れかのクライアントマシンから、記憶装置が記憶する地図データのうちの何れかを要求する情報を、通信装置を通じて受信する受付手段,
所定の第一の識別物を表示するための第一の識別物情報を定義する判定テーブルを参照して、前記受付手段が受信した地図データに第一の識別物情報が存在しているか否かを判別する判別手段,及び、
前記受付手段が受信した地図データに第一の識別物情報が存在していると前記判別手段が判別した場合に、前記地図データを要求元のクライアントマシンへ通信装置を通じて送信し、前記受付手段が受信した地図データに第一の識別物情報が存在していないと前記判別手段が判別した場合に、その第一の識別物情報以外の所定の第二の識別物情報が除去された地図データを、要求元のクライアントマシンへ通信装置を通じて送信する送信手段
として機能させる
ことを特徴とする地図データ提供プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2006−228237(P2006−228237A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−66543(P2006−66543)
【出願日】平成18年3月10日(2006.3.10)
【分割の表示】特願2003−31404(P2003−31404)の分割
【原出願日】平成15年2月7日(2003.2.7)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】