説明

地図作成方法、そのような方法を用いる地図作成装置、地図作成プログラム、及び地図作成システム

【課題】少ないデータ量で描画される地図を作成する方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明に係る地図作成方法は、共通地図101を描画するためのラスタ形式の共通地図データと、共通地図上に配置される図形111、121、及び131を描画するためのベクタ形式の図形データとを有する複数のデータセット110、120、及び130を受け取ることと、図形データそれぞれを用いて、共通地図データを用いて作成された共通地図の縮尺が変更された共通地図401と同一の縮尺に変更された図形411、421、及び431を作成して、縮尺が変更された図形を、図形が共通地図上に配置される相対的な位置を維持するように、縮尺が変更された共通地図上に配置することと、縮尺が変更された共通地図の地図データと、縮尺が変更された図形の図形データと、縮尺が変更された図形の縮尺が変更された共通地図に対する相対的な位置を表す位置データとを記憶することとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図作成方法、そのような方法を用いる地図作成装置、地図作成プログラム、及び地図作成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
空港、港湾、浄水場、発電所、及び石油精製施設などの大規模施設において、屋外設備の定期的な整備、維持管理、及び点検が実施される。整備、維持管理、及び点検を実施する場合、施設管理者は、複数の作業予定者から提供される作業予定日報に基づき、時間的、及び空間的に重複する作業の調整を実施する。そして、施設管理者は、その結果をまとめた作業一覧を作成し、監視員、作業予定者、空港であれば管制官などの関係者に、作業一覧を公開するようになりつつある。このときに使用される作業予定日報は、作業内容、作業時間、及び作業場所などの整備、維持管理、及び点検の作業内容を示す種々の属性とともに、作業場所を示す図形が配置された構内地図が描画される。また、公開される作業一覧には、それぞれの作業場所を示す複数の図形が配置された地図が添付される。
【0003】
また、表計算ソフトウェアを使用して、異なる場所で収集された測定結果などの情報を電子化することが知られている。例えば、特許文献1に示されるように、表計算ソフトウェアにより構成されるスプレッドシートのセルに入力された異なる地区のガス使用量などの情報を、データ収集用のファイルを構成する表計算ソフトウェアのスプレッドシートのセルに自動的に割り当てることによって、様々な情報を整理する作業を効率化できる。
【0004】
一方、位置、距離、面積、体積、及び方向などの空間的な属性と、人口分布、気温、及び道路名などの他の付加的な属性とを関連付けるシステムであるGIS(Geographic Information System、地理情報システム)が知られる。GISは、レイヤ構造を有するベクタ形式の地図データに種々の属性を包含し、その属性を様々な表示形式で表示することにより、多くの機能を実現する。例えば、GISはGPS(Global Positioning System、全地球的測位システム)を利用した観測位置情報により、カーナビや自局の位置を表すアプリケーションに適用されている場合もあるが、一般的には、地図の表示機能、図形の作成・編集機能、属性の作成・編集機能、検索機能(属性・空間検索)、空間解析機能、主題図作成機能、印刷機能等の様々な機能を装備している。個々の機能は、比較的数多くの高度な処理機能を持ち合わせ、様々な利用ニーズに応えるべくインターフェースを持つ。このように多くの機能を有するGISを用いて、それぞれの作業予定日報に描画される地図上に配置された図形を描画するためのデータを、作業一覧ファイルに付加するシステムを構成することが考えられる。空港作業用の作業一覧ファイルを構成するためにGISを使用する場合、種々の情報を有するベクタ形式の地図データが、作業一覧ファイルに添付する平面図を描画するために使用される。空港の平面図を描画するための地図データは、空港周辺道路・河川、及び地形を表す等高線など自然地形に関する情報、滑走路、誘導路、エプロン、芝生帯、及び保安・場周道路などの空港地形に関する情報、空港管理事務所、ターミナルビル、格納庫などの建築物系施設に関する情報、誘導案内灯及び進入灯などの航空灯火系施設に関する情報、ILS無線設備、ASR/SSR等レーダ施設、及びVOR/DME等の航行を援助する無線系施設に関する情報、並びに滑走路標識、誘導路標識、エプロン標識などの標識系施設に関する情報などの多くの情報を包含する。さらにまた、特許文献2に示されるように、表計算ソフトウェアを使用してGIS機能を実現しようという試みもなされている。特許文献2では、GIS機能を単に表計算ソフトウェアで実現するものであるため、地図データは、レイヤ構造を有するベクタ形式のデータとなっている。このため、特許文献2に開示されるGISは一般的なGISと同様、地図データは種々の属性を含み、且つ多量のデータを含むものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−133980号公報
【特許文献2】特開2004−126286号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、GISは、多機能であるがために、一般的に高価になってしまう問題点がある。また、GISは、多数のレイヤ構造に種々の属性を有する地図データに基づき地図を描画するので、多量のデータを処理する必要があるために、処理用のコンピュータも高価になる問題点がある。さらに、GISは、地図データが大きくなるので、地図データを処理するためのコンピュータの処理速度が低下する不具合があった。
【0007】
そこで、本発明は、少ないデータ量で描画される地図を作成する方法を提供することを目的とする。また、地図上に描画された図形やその属性データを収集・集約し、効率的に一元管理することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係る地図作成方法は、受信部が、共通地図を描画するためのラスタ形式の共通地図データと、共通地図上に配置される図形を描画するためのベクタ形式の図形データとを有する複数のデータセットを受け取ることと、演算部が、図形データそれぞれを用いて作成した複数の図形を、共通地図データを用いて作成された共通地図の縮尺が変更された共通地図と同一の縮尺になるように変更し、縮尺が変更された複数の図形を、図形が共通地図上に配置される相対的な位置を維持するように、縮尺が変更された共通地図上に配置することと、記憶部が、縮尺が変更された共通地図の地図データと、縮尺が変更された複数の図形の図形データと、縮尺が変更された複数の図形の縮尺が変更された共通地図に対する相対的な位置を表す位置データとを記憶することと、を特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ラスタ形式の共通地図データを使用して地図を描画するので、少ないデータ量で地図を作成することが可能となった。また、複数のデータセットから、縮尺が変更された複数の図形を、図形が共通地図上に配置される相対的な位置を維持するように、縮尺が変更された共通地図上に配置するので、複数の図形が配置された地図を簡便に作成することが可能になった。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係るシステムの第1の実施形態を示す図である。
【図2】図1に示すシステムの動作フローを示す図である。
【図3】作業予定日報ファイルの入力フォームの一例を示す図である。
【図4A】作業予定日報の一例を示す図である。
【図4B】作業予定日報の他の例を示す図である。
【図4C】作業予定日報のさらに他の例を示す図である。
【図5】縮尺が変更された共通地図を作成する処理のフローを示す図である。
【図6】インタフェース画面の一例を示す図である。
【図7】インタフェース画面の他の例を示す図である。
【図8】図形の縮尺を変更する処理のフローを示す図である。
【図9】共通地図の縮尺を変換する方法の一例を説明する図である。
【図10】作業一覧の一例を示す図である。
【図11】インタフェース画面のさらに他の例を示す図である。
【図12】作業予定日報ファイルへの入力フォームを作成する処理のフローを示す図である。
【図13】本発明に係るシステムの第2実施形態を使用して作成される地図の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る地図作成システムの第1の実施形態を、図面を参照しながら説明する。本システムは、空港の整備、維持管理、及び点検の作業内容が入力された複数の作業予定日報ファイルから作業予定を検索して、作業位置を示す図形を共通地図上に配置するとともに作業の属性を表示する作業一覧を作成するためのデータを有する作業一覧ファイルを作成する。共通地図は、作業対象の空港の平面図であり、それぞれの作業予定日報ファイルでは共通する平面図が同一の縮尺で描画され、作業一覧ファイルでは、個々の作業予定日報ファイルに描画された作業位置(図形)が集約描画されるため、その識別を明確にし、視認性を高めるために、一般に共通する平面図が大きな平面図として異なる縮尺で描画される。また、共通地図は、航空写真、手書き地図、又は見取り図などから形成されるラスタ形式のデータである。
【0012】
図1〜12を参照して、第1の実施形態について詳細に説明する。
【0013】
図1は、本発明に係る地図作成システムを示す図である。
【0014】
地図作成システム1は、空港事務所2の内部に配置されるサーバ10と、インタネットネットワーク30を介してサーバ10に接続される作業予定者用の複数の端末40a、40b、・・・40nとを有する。具体的には、サーバ10は、通信装置26を介してインタネットネットワーク30と接続される。また、サーバ10で作成された作業一覧を複数の端末40a、40b、・・・40nからアクセス可能な状態に記憶するファイル公開サーバ50が、サーバ10、及び複数の端末40a、40b、・・・40nとインタネットネットワーク30を介して接続される。
【0015】
空港事務所2には、サーバ10、及び通信装置26に加えて、入力装置20と、表示装置21と、印刷装置22と、記憶装置24とが配置される。これらの装置は、バス回路28を介して相互に接続される。
【0016】
サーバ10は、演算部12と、演算部12に所定の機能を実施させるプログラムなどが記憶される記憶部14と、バス回路28を介して接続される種々の装置とデータを送受信する通信部16とを有する。演算部12は、CPU(Central Processing Unit、中央演算処理装置)で構成され、記憶部14は、RAM(Random Access Memory、ランダムアクセスメモリ)、及びROM(Read Only Memory、リードオンリーメモリ)などの記憶装置で構成され、通信部16は、入力装置20、及び表示装置21などの周辺機器と、サーバ10との間でデータ通信が可能なインタフェースを提供する装置で構成される。また、通信部16は、バス回路28を介してデータを送信する送信部と、データを受信する受信部とを備えるように構成することも可能である。複数の作業予定日報ファイルが、インタネットネットワーク30を介して複数の端末40a、40b、・・・40nから送信されると、サーバ10は、複数の作業予定日報ファイルを通信部16で受信し、記憶部14に記憶する。演算部12は、本発明に係る地図作成プログラムを実行し、記憶部14に記憶された複数の作業予定日報に描画される共通地図、及び複数の図形の縮尺を変更して、作業一覧に描画される共通地図、及び複数の図形を作成する。
【0017】
バス回路28は、入力装置20、及び表示装置21などの周辺機器をサーバ10に電気的に通信可能なように接続する回路であり、LAN(Local Area Network、構内通信網)として形成してもよい。バス回路28を介してサーバ10に電気的に接続される入力装置20は、施設管理者により操作されて、サーバ10に様々な入力情報を提供する。表示装置21は、サーバ10で作成された共通地図、及び図形などの視覚的情報を施設管理者に提供する。入力装置20は、キーボード、タッチパネルなどで構成され、表示装置21は、LCD(Liquid Crystal Display、液晶ディスプレイ)、LED(Light Emitting Diode、発光ダイオード)、EL(Electro Luminescence)ディスプレイなどで構成される。また、通信装置26は、バス回路28と、インタネットネットワーク30との間を接続するルータで構成される。
【0018】
バス回路28には、印刷装置22、及び記憶装置24をさらに接続することができる。印刷装置22は、作業予定日報、及び作業一覧などを印刷する。
【0019】
ファイル公開サーバ50は、サーバ10で作成された作業一覧を複数の端末40a、40b、・・・、40nからアクセス可能なように記憶し、端末を介して作業予定者が閲覧できるようする。
【0020】
サーバ10にインタネットネットワーク30を介して接続される複数の端末40a、40b、・・・、40nそれぞれは、作業予定者によって使用される。端末40(以下、端末40a、40b、・・・、40nを、単に端末40とも記載する)は、処理部、記憶部、入力部、表示部、及びインタネットネットワーク30と接続可能な通信部を有するコンピュータで構成することができる。
【0021】
次に、図2を参照して、システム1の動作フォローの概略を以下に説明する。図2は、図1に示すシステムの動作フローを示す図である。
【0022】
まず、図2に示す動作フローの概略を説明する。図2に示すように、図1に示すシステムにおいて、まずサーバ10は、共通地図を描画するための共通地図データを包含する作業予定日報ファイルを端末40に送信する(S101)。サーバ10から作業予定日報ファイルを受信した端末40において(S102)、作業予定日報ファイルは、作業予定者によって、共通地図上に描画される図形の図形データ、及び属性のデータが付加される(S103)。作業予定者は、端末40を使用して、作業予定日報に描画される共通地図上に作業場所を図形として配置するとともに、作業内容、作業日時、及び担当者名などの作業の属性を入力する。その後、端末40は、共通地図データに加えて図形データなどが付加された作業予定日報ファイルをサーバ10に送信する(S104)。複数の端末40はそれぞれ、図形データなどが付加された作業予定日報ファイルをサーバに送信する。端末40から作業予定日報ファイルを受信したサーバ10において(S105)、施設管理者は、作業予定日報ファイルの受理を確認し(S106)、その後、サーバ10は、端末40に受理確認メールを送信し(S107)、端末40は、受理確認メールを受信する(S108)。
【0023】
さらに、サーバ10は、受信した作業予定日報ファイルに包含されるデータを用いて、縮尺が変更された共通地図、及び図形を作成し、記憶する(S109)。そして、サーバ10は、縮尺が変更された共通地図、及び図形が描画された作業一覧ファイルをファイル公開サーバ50に記憶して、作業予定者などの関係者が端末40から閲覧可能な状態にする(S110)。作業予定者は、端末40を介して作業一覧を閲覧する(S111)。端末40それぞれは、インタネットネットワーク30を介してファイル公開サーバ50に接続され、ファイル公開サーバ50に記憶された作業一覧ファイルにアクセス可能である。
【0024】
次に、図2に記載のシステム1の動作フローの各ステップの詳細を、以下に説明する。
【0025】
まず、ステップS101において、サーバ10は、共通地図を描画するための共通地図データを包含する作業予定日報ファイルを端末40に送信する。作業予定日報ファイルは、電子メールに添付されて送信されるか、又は端末40からの受信要求に基づいてダウンロードできる。好適には、作業予定日報における共通地図の相対的な位置、及び縮尺は、施設管理者によって、任意に変更できないよう固定される。これによって、作業予定者によって、作業予定日報における共通地図の相対的な位置、及び縮尺が変更されることが防止される。
【0026】
次に、ステップS102において、端末40は、作業予定日報ファイルをサーバ10から受信する。受信された作業予定日報ファイルは、端末40が有する記憶部、又は端末40に電気的に接続される外部記憶装置などに記憶される。
【0027】
図3は、端末40の表示部に表示される作業予定日報ファイルの入力フォームの一例を示す。図3に示すように、作業予定日報ファイルの入力フォーム100は、作業対象の空港の平面図である共通地図101と、作業に関連する様々な属性が入力される複数の属性入力欄102とを有する。
【0028】
作業予定日報ファイルの入力フォーム100は、表計算ソフトウェアのスプレッドシートを用いて構成することも可能である。この場合、共通地図101は、スプレッドシートの所定のセルを原点として配置する。例えば、共通地図101は、図3の矢印Aで示す位置に位置するセルを原点として配置できる。ここで、図3の矢印Aで示す位置は、スプレッドシートの左上部に位置するセルの左上端部、すなわち、スプレッドシートの左上端である。
【0029】
共通地図101は、ビットマップ、JPEGなどのラスタ形式のデータを用いて作成される。共通地図101は、多くの属性を保存するレイヤを含まない単なる画像データであるラスタ形式のデータを用いて作成される。したがって、レイヤ構造を採用するGISによって共通地図を描画する場合に比べて、データ量を小さくすることができる。共通地図101をラスタ形式のデータを用いて作成することにより、処理データ量を小さくすることができるため、サーバ10、及び端末40に与える動作負荷をGISに比べて小さくすることが可能になる。また、ラスタ形式のデータは、ベクタ形式のデータよりも一般的に作成が容易である。例えば、ラスタ形式のデータは、イメージスキャナなどの画像走査装置によって、地図を読み取ることにより作成できる。さらに、ラスタ形式のデータは、ベクタ形式のデータよりも改変が容易ではないという利点も有する。
【0030】
共通地図101には、管制塔、及び空港ターミナルビルなど空港に必要な機能を備える建築物101aと、航空機が空港を離着陸するための滑走路101bと、誘導路101cとを有し、且つ制限区域境界101eによって囲まれる空港が描画される。共通地図101には、空港に必要な様々な施設が描画される。例えば、建築物101aと、滑走路101bとの間の領域には、乗員、及び乗客の乗降、貨物の積み下ろし、燃料の補給、並びに簡易な点検整備などのために航空機を駐機させる場所であるエプロン101dが描画される。なお、地図の上方向を北として表現される一般的な地図とは異なり、空港においては、管理や見易さから、平面図を滑走路が水平方向になるように配置し、空港独自の座標系、「空港座標」によって表現されるのが一般的である。このため、本明細書で空港平面図を表す地図を図示する場合には、空港座標に基づき表現された地図を採用する。
【0031】
複数の属性入力欄102は、作業予定者が予定する作業に関する様々な属性を入力する欄である。図3に示すように、属性は、作業内容、作業日時、及び作業場所など当該作業に関連する様々な情報を含む。後述するように、属性はさらに、配置される図形の形状、色、及びパターンなど作業場所などを示す図形に関連する様々な情報も含む。
【0032】
複数の属性入力欄102は、表計算プログラムのスプレッドシートのセルを利用して構成することが可能である。この場合、複数の属性入力欄に入力される属性は、一般的な表計算ソフトウェアが有するスプレッドシートアプリケーション機能を使用することにより、他のスプレッドシートのセルと関連付けることができる。表計算ソフトウェアを作業予定日報ファイルのアプリケーションソフトウェアとして使用した場合、作業予定日報ファイルは、属性を入力するための他のスプレッドシートを提供できる。例えば、作業予定日報ファイルは、作業予定者が入力すべき入力のみを有する単一のスプレッドシートを作業予定者に提供できる。
【0033】
なお、上述した作業予定日報ファイルが有するデータを表示する作業予定日報において、共通地図101の大きさ、及び位置、並びに複数の属性入力欄102の属性の種類、及び位置は、空港ごとに異なることは当然である。
【0034】
次に、図2のフローに戻って、ステップS103において、作業予定者は、端末40を使用して、作業予定日報ファイルの入力フォーム100に描画される共通地図101上に図形を配置するとともに、複数の属性入力欄102に属性を入力する。
【0035】
再び図3を参照して、ステップS103における作業予定者の操作を具体的に説明する。作業予定者は、共通地図101上の適当な位置に、作業場所を示す面、又は線の形状を有する図形を配置することができる。作業予定日報ファイルの入力フォーム100は、作業予定者が図形を配置するときに使用する配置手段として、ボタン103a、103b、104a、104b、105a、及び105bを有する。作業予定者は、これらのボタンをクリックするなどして、所定の図形を共通地図101上に配置する。作業予定者は、図形を共通地図101上に配置するときには、表計算ソフトウェアのスプレッドシートの表示比率変更機能(拡大・縮小:ズーム機能)によって共通地図101を拡大して表示することができる。共通地図101を拡大して表示することにより、作業者は、容易に図形を配置することができる。
【0036】
ボタン103a、及び103bは、作業場所を示す面形状を有する図形を共通地図101上に配置するためのボタンである。作業予定者がボタン103aをクリックした後に、共通地図101上の複数の点をクリックすることによって、面形状の図形の頂点が配置される。作業予定者は、作業場所を示す図形の配置が終了したときに、ボタン103bをクリックすることにより、各頂点を接続し面形状の図形を作成する。
【0037】
ボタン104a、及び104bは、作業場所を示す線形状を有する図形を共通地図101上に配置するためのボタンである。作業予定者がボタン104aをクリックした後に、共通地図101上の複数の点をクリックすることによって、線形状の図形が配置される。作業予定者は、作業場所を示す図形の配置が終了したときに、ボタン104bをクリックする。
【0038】
ボタン105a、及び105bは、空港敷地内での立ち入り経路を示す線形状を有する図形を共通地図101上に配置するためのボタンである。作業予定者がボタン105aをクリックした後に、共通地図101上の複数の点をクリックすることによって、線形状の図形が配置される。作業予定者は、作業場所を示す図形の配置が終了したときに、ボタン105bをクリックする。
【0039】
ボタン103a、103b、104a、104b、105a、及び105bを使用して描画される図形は、ベクタ形式のデータとして作成される。作業予定日報ファイルの入力フォーム100を、表計算ソフトウェアのスプレッドシートを用いて構成する場合では、図形を表す座標の原点は、スプレッドシートの所定のセルにできる。例えば、図形を表す座標の原点は、図3の矢印Aで示す位置に位置するセルにできる。図3の矢印Aで示す位置は、スプレッドシートの左上部に位置するセルの左上端部、すなわち、スプレッドシートの左上端である。
【0040】
また、ボタン103a、103b、104a、104b、105a、及び105bを使用して描画される図形はそれぞれ、固有の属性を有する。すなわち、ボタン103a、103b、104a、104b、105a、及び105bにより配置される図形は、面、線などの形状、色、及びパターンを有する所定の表示形態を備えるように属性を規定できる。一般に、これらの表示形態は、空港ごとに規定されるものであり、作業予定日報ファイルは、ぞれぞれの図形が適当な属性を有するように規定される。また、ボタン103a、103b、104a、104b、105a、及び105bを使用して描画される図形は、所定の領域のみに配置するように制限することができる。例えば、図形は、共通地図101上のみに配置可能であり、共通地図101が表示される領域を超えて配置される場合は、入力を許可しないよう制限する。
【0041】
ボタン106は、作業予定日報が印刷されるときの形態を表示するためのボタンである。具体的には、図4A、4B、及び4Cに示されるような作業予定日報ファイルが有する共通地図データで描画される共通地図、図形データで描画される図形、及び属性などを有する作業予定日報110、120、及び130などの作業予定日報を表示する。ボタン107a、及び107bは、作業予定者が配置した図形を描画するための図形データ、及び属性のデータを保存するか否かを決定するボタンである。なお、このようにして配置される図形は、作業範囲が判別できる程度の精度があればよく、ボタン103a、103b、104a、104b、105a、及び105bによっても、作業範囲が判別できる図形を描画することは可能である。しかしながら、好適には、作業予定日報ファイルは、作業範囲を示す種々の図形データを提供できる。この場合、作業予定者は、作業予定日報ファイルから提供される種々の図形データを共通地図101上に配置し、形状変更や移動を行うことによって、作業範囲をより的確に規定することができる。作業範囲を示す図形データとして、三角形、及び四辺形など使用頻度が高い図形を提供でき、さらに円形、及び楕円形など作業予定者による入力が難しい図形を提供できる。
【0042】
図4A、4B、及び4Cは、作業予定日報の種々の例を示す図である。作業予定日報は、作業予定日報ファイルの入力フォーム100を介して、施工者によって作業予定日報ファイルに入力された作業に関する情報を表示するものである。
【0043】
図4Aは、面形状を有する図形111aで示される芝生帯における芝生帯草刈除草作業についての作業予定が記載された作業予定日報110を示す。共通地図101上には、右肩上がりのハッチがなされた面形状の図形で作業場所を示す図形111aが配置される。また、破線で示される図形で立ち入り経路を示す図形111bが描画される。上述のように、共通地図101を描画するための共通地図データは、ラスタ形式のデータであり、図形111a、及び111bを描画するための図形データは、ベクタ形式のデータである。したがって、作業予定日報ファイルは、共通地図101を描画するためのラスタ形式の共通地図データと、共通地図上に配置される図形111a、及び111bを描画するためのベクタ形式の図形データとを有するデータセットである。なお、共通地図101は、実線で囲まれた範囲に配置されるテキストを含むものでもよく、これらのテキストを含まないものでもよい。
【0044】
図4Bは、面形状を有する図形121aで示される誘導路101cにおける誘導路補修箇所点検についての作業予定が記載された作業予定日報120を示す。共通地図101上には、右肩上がりのハッチがなされた面形状の図形で作業場所を示す図形121aに加えて、破線で示される図形で立ち入り経路を示す図形121bが描画される。
【0045】
図4Cは、面形状を有する図形131aで示されるエプロンにおけるエプロン清掃についての作業予定が記載された作業予定日報130を示す。共通地図101上には、右肩上がりのハッチがなされた面形状の図形で作業場所を示す図形131aに加えて、破線で示される図形で立ち入り経路を示す図形131bが描画される。
【0046】
再び、図2のフローに戻って、ステップS104において、端末40は、作業予定者によって共通地図上に配置された図形を描画するための図形データ、及び属性が付加された作業予定日報ファイルをサーバ10に送信する。
【0047】
次に、ステップS105において、サーバ10の通信部16は、図形データ、及び属性のデータが付加された作業予定日報ファイルを、それぞれの端末40から受信する。受信された作業予定日報ファイルは、サーバ10が有する記憶部14、又はサーバ10にバス回路28を介して電気的に接続される記憶装置24などに記憶される。
【0048】
次に、ステップS106において、施設管理者は、複数の端末40から送信された図形データ、及び属性のデータが付加された作業予定日報ファイルが、サーバ10に受信されていることを確認する。
【0049】
次に、ステップS107において、サーバ10は、施設管理者の指示に基づき、作業予定日報ファイルが受理されたことを確認するメールを端末40に送信する。作業予定日報ファイルが表計算ソフトウェアのスプレッドシートのセルを用いて形成される場合には、送信されるメールの表示形式は、作業予定日報ファイルの入力フォーム100に記載された属性に関連付けられた表示形式にしてもよい。
【0050】
次に、ステップS108において、端末40は、作業予定日報ファイルが受理されたことを確認するメールを、サーバ10から受信する。
【0051】
次に、ステップS109において、サーバ10は、縮尺が変更された共通地図、及び図形を作成し、記憶部14に記憶する。
【0052】
次に、図5を参照して、ステップS109における処理の詳細を以下に説明する。図5は、縮尺が変更された共通地図、及び図形を作成する処理のフローを示す図である。
【0053】
まず、ステップS201において、サーバ10は、記憶部14、又は記憶装置24に記憶された複数の作業予定日報ファイルそれぞれの図形データと、属性のデータとを関連付ける。例えば、サーバ10は、記憶部14、又は記憶装置24に記憶された作業予定日報ファイルごとに識別子を付与し、それぞれの作業予定日報ファイルの図形データ、及び属性のデータを識別子に関連付けることができる。作業予定日報ファイルごとに識別子を付与することより、複数の作業ファイルが存在する場合に、それぞれの作業ファイルと、それぞれの作業ファイルに包含される図形データ、及び属性のデータとの関係を明確化することができる。
【0054】
ステップ201は、施設管理者が、図6に示すインタフェース画面200のボタン201をクリックすることにより実行される。
【0055】
次に、ステップS202において、施設管理者は、公開する日付、及び運用時間帯を指定する。この日付、及び時間帯は、作業予定日報ファイルの入力フォーム100の複数の属性入力欄102の作業日時に入力された情報に基づくことができる。施設管理者は、図6に示すインタフェース画面200のボタン202をクリックすることにより、図7に示す時間帯検索メニュー300を表示することができる。施設管理者は、図7に示す時間帯検索メニュー300において、ボタン301をクリックして、日付を決定した後に、ボタン302a、302b、又は302cのいずれか1つのボタンをクリックすることにより運用時間帯を決定する。
【0056】
図7は、2010年9月1日の日付で、7時から18時までの運用時間帯を指定した場合の作業一覧表310を示す。ここで、作業一覧表310の上段から順に図4A、4B、及び4Cの属性が入力された複数の属性入力欄112、122、及び132に入力された属性が表示され、それぞれの識別子が管理番号として表示される。
【0057】
次に、ステップS203において、サーバ10は、作業予定日報に描画される共通地図から、作業一覧に描画するための、縮尺が変更された共通地図を作成する。縮尺が変更された共通地図は、作業予定日報に描画される共通地図の縮尺と、作業一覧に描画される共通地図の縮尺との比率に基づいて作成される。縮尺が変更された共通地図を描画するための共通地図データが作成されていて、サーバ10の記憶部14に記憶されている場合は、記憶された共通地図データを用いて、縮尺が変更された共通地図を作業一覧に描画することができる。一方、縮尺が変更された共通地図を描画するための共通地図データがサーバ10の記憶部14に記憶されていない場合は、縮尺が変更された共通地図データを作成して、縮尺が変更された共通地図を作業一覧に描画する。
【0058】
次に、ステップS204において、サーバ10の演算部12は、記憶部14に記憶される図形データを用いて作成した複数の図形を、縮尺が変更された共通地図と同一の縮尺になるように変更し、縮尺が変更される前の図形が作業予定日報に描画される共通地図上に配置される相対的な位置を維持するように、座標をアフィン変換する。
【0059】
次に、図8を参照して、ステップS204の処理の詳細をさらに以下に説明する。
【0060】
図8は、図形の縮尺を変更する処理のフローを示す図である。
【0061】
まず、ステップS301において、サーバ10の演算部12は、作業予定日報110、120、及び130に描画される共通地図101上の原点、及び作業一覧400に描画される共通地図401上の原点を算出する。
【0062】
図9を参照して、スプレッドシート700に共通地図701を配置する例を参照して、共通地図上の原点の算出方法の一例を説明する。図9において、スプレッドシート700に描画される共通地図701の描画位置は、表計算ソフトウェアのスプレッドシート700のセルによって規定される。共通地図上の原点の算出方法の一例について説明する前に、表計算ソフトウェアのスプレッドシート700のセルによって共通地図701の描画位置を規定する方法について簡単に説明する。
【0063】
まず、施設管理者は、共通地図701の左上端、及び右下端の2点、又は左下端、及び右上端の2点のセルを指定する。図9では、右肩上りのハッチ700aがなされている共通地図701の左上端のセルB3、及び右肩上りのハッチ700bがなされている共通地図701の右下端のセルL23が指定される。サーバ10の演算部12は、破線で示した施設管理者が規定した範囲内に共通地図701が配置されるように、共通地図の配置、及び縮尺を調整する。具体的には、サーバ10の演算部12は、共通地図701の左上端を規定するセルB3、及び共通地図701の右下端を規定するセルL23の中点と、共通地図701の重心とが一致するように、共通地図701を配置する。次いでサーバ10の演算部12は、共通地図701の長辺、及び短辺のいずれもが破線で示す範囲に包含されるように、共通地図701の縮尺を変更する。ここでは、横方向に延伸する共通地図701の長辺は、施設管理者が規定した範囲を示す破線に接する一方、縦方向に延伸する共通実701の短辺は、施設管理者が規定した範囲を示す破線とは接していない。
【0064】
このように表計算ソフトウェアのスプレッドシート700のセルによって共通地図の描画位置が規定される場合には、サーバ10の演算部12は、施設管理者が指定したセル間の中点の座標と、共通地図701の長辺、及び短辺の長さとから、共通地図701を形成する長方形の4つの端部のいずれか1つである共通地図701上の原点の座標を算出する。図9に示すように、スプレッドシート700の原点が矢印Cで示され、座標のX軸プラス方向が列番号のアルファベット順の方向であり、座標のY軸のプラス方向が行番号の数字が増加する方向であり、且つ矢印Dで示される共通地図701の左上端が共通地図701上の原点である場合について具体的に説明する。この場合、共通地図701上の原点DのX座標は、セルB3、及びL23のX座標の中点から、共通地図701の長辺の半分の長さを減じた値となる。また、共通地図701上の原点DのY座標は、セルB3、及びL23のX座標の中点から、共通地図701の短辺の半分の長さを減じた値となる。なお、図9では、セルB3、及びL23の中心点をそれぞれのセルの座標として記載しているが、それぞれのセルの左上端、又は右下端をそれぞれのセルの座標として規定してもよい。
【0065】
次に、図8に戻って、ステップS302において、サーバ10の演算部12は、複数の作業予定日報110、120、及び130にそれぞれ描画された図形の座標を共通地図101上の座標に変換する。具体的には、それぞれの図形の座標から、ステップS301で算出された作業予定日報に描画される共通地図101上の原点の座標を減ずることによって、それぞれの図形の座標が変換される。
【0066】
次に、ステップS303において、サーバ10の演算部12は、作業予定日報に描画される共通地図101の縮尺と、作業一覧400に描画される共通地図401の縮尺との比率を算出する。具体的には、記憶部14に記憶される双方の共通地図の縮尺から、その比率を算出する。
【0067】
次に、ステップS304において、サーバ10の演算部12は、共通地図401上の原点を基点として、それぞれの図形の縮尺を変換する。具体的には、ステップS302で算出したそれぞれの図形の座標に、ステップS303で算出した縮尺比を乗じることによって、図形の座標が変換される。
【0068】
次に、ステップS305において、サーバ10の演算部12は、それぞれの図形の原点を作業一覧400の原点に変換する。具体的には、ステップ304において算出した図形の座標に、作業一覧400に描画される共通地図401の原点の座標を加算することによって、図形の座標が変換される。
【0069】
このように、ステップS304、及び305の処理により、作業予定日報110、120、及び130に描画されていた図形111、121、及び131はそれぞれ、作業一覧400に描画される図形411、421、及び431にアフィン変換される。
【0070】
次に、ステップS306において、サーバ10の演算部12は、縮尺が変更された共通地図401を作業一覧400に配置する。
【0071】
次に、ステップS307において、サーバ10の演算部12は、縮尺が変更された図形111、121、及び131を作業一覧400に配置する。
【0072】
そして、ステップS307において、サーバ10の記憶部14は、縮尺が変更された共通地図401を描画するための共通地図データ、縮尺が変更された図形111、121、及び131を描画するための図形データ、並びに縮尺が変更された図形111、121、及び131の、縮尺が変更された共通地図401に対する相対的な位置を表す位置データを記憶部14に記憶する。サーバ10は、これらの共通地図データ、図形データ、及び位置データを、サーバ10の記憶部14とともに、サーバ10とバス回路28を介して電気的に接続される記憶装置24に記憶することもできる。
【0073】
このように、それぞれの図形の縮尺を変更するときに、共通地図と、それぞれの図形とが同一の原点を用いることにより、図形の縮尺の変更が容易になる。
【0074】
再び、図5のフローに戻って、ステップS205において、サーバ10は、作業一覧ファイルを作成し、記憶部14に記憶する。作業一覧ファイルは、縮尺が変更された共通地図401を描画するための共通地図データ、縮尺が変更されたぞれぞれの図形411、421、及び431の図形データ、並びにそれぞれの図形に関係付けられた属性を含む。
【0075】
ここで、図10に示す作業一覧400について、説明する。
【0076】
作業一覧400は、共通地図401と、共通地図401上に配置される複数の図形411a、411b、421a、421b、431a、及び431bと、複数の図形にそれぞれ関係付けられる属性を表示する複数の属性表示欄402とを有する。
【0077】
共通地図401は、作業予定日報110、120、及び130に描画された共通地図101をアフィン変換したものである。すなわち、共通地図401は、共通地図101の座標を移動した上に、その縮尺を変更したものである。
【0078】
図形411a、及び411bは、作業予定日報110に描画された図形111a、及び111bをそれぞれ、アフィン変換したものである。すなわち、図形411a、及び411bはそれぞれ、作業予定日報110において共通地図101上に図形111a、及び111bが配置される相対的な位置を維持するように、共通地図401上に共通地図401の縮尺で配置したものである。
【0079】
図形421a、及び421b、並びに431a、及び431bは、作業予定日報120、及び130に描画された図形121a、及び121b、並びに131a、及び131bをそれぞれ、アフィン変換した上で、表示形態を変更したものである。すなわち、図形121a、及び131aはそれぞれ、右肩上りのハッチがなされているが、図形421aは、右肩下がりのハッチに、図形431aは、上下方向のハッチにそれぞれ変更されている。同様に、図形121b、及び131bはそれぞれ、破線で示されているが、図形421bは、一点鎖線に、図形431bは、二点鎖線にそれぞれ変更されている。これは、作業予定日報110、120、及び130においては、サーバ10は、図形の表示形態が空港ごとに規定される表示形態で描画されるように属性が決定されるのに対し、作業一覧400においては、サーバ10が、共通地図上に配置されるそれぞれの図形を明確に区分するために、属性を相違させるためである。
【0080】
さらに図形411a、421a、及び431aは、図形の重心にそれぞれの作業予定日報110、120、及び130に対応する識別子が有する情報が表示される。これによって、それぞれの図形と、それぞれの図形に関連付けられる属性の表示との関連がより明確になる。
【0081】
複数の属性表示欄402には、作業予定日報110、120、及び130に記載された属性が表示されるとともに、対応する識別子が有する情報と、対応する図形の表示形態と同一の表示形態を有する図形とが示される。なお、複数の属性表示欄402に表示される「中止」欄は、降雨などで作業が中止になった場合に、施設管理者が、該当する作業が中止になったことを明確にするために、属性を変更するための欄である。
【0082】
再び、図2のフローに戻って、ステップS110において、サーバ10は、ステップS109で記憶部14に記憶された作業一覧ファイルを、インタネットネットワーク30を介してファイル公開サーバ50に送信する。作業一覧ファイルを受信したファイル公開サーバ50は、インタネットネットワーク30を介して接続される複数の端末40から作業一覧ファイルがアクセス可能なように作業一覧ファイルを記憶する。この結果、縮尺が変更された共通地図、及び図形が記載された作業一覧が、端末40から閲覧可能な状態になる。なお、サーバ10は、複数の端末40から作業一覧が閲覧可能なように、記憶部14、又はバス回路28を介して接続される記憶装置24に作業一覧ファイルを記憶することも可能である。
【0083】
そして、ステップS111において、作業予定者は、端末40を介して作業一覧を閲覧する。具体的には、作業者によって、端末40は、インタネットネットワーク30を介してファイル公開サーバ50にアクセス可能なように記憶された作業一覧ファイルにアクセスする。又は、端末40は、ファイル公開サーバ50に受信要求を送信し、受信要求を受信したファイル公開サーバ50から送信される作業一覧ファイルを受信する。さらに端末40が印刷部を備える場合は、端末40は、作業一覧を印刷部で印刷することも可能である。
【0084】
以上で図2のフローの説明を終了する。なお、図2のフローでは、作業予定日報における共通地図101の相対的な位置、及び縮尺は、施設管理者によって固定されていた。しかしながら、サーバ10の演算部12が、共通地図101の作業予定日報上の座標データに基づいて、縮尺が変更された共通地図401を作成できる場合には、共通地図101は、施設管理者によって固定される必要はない。
【0085】
次に、図11、及び12を参照して、本発明に係る地図作成システム1が有する、作業予定日報、及び作業一覧を作成する機能について説明する。
【0086】
図11は、作業予定日報、及び作業一覧などを作成するためのインタフェース画面であるメンテナンスメニュー画面500を示す。メンテナンスメニュー画面500は、施設管理者が図6に示すメインメニュー画面200のボタン206をクリックすることにより表示される。図11に示すように、メンテナンスメニュー画面500は複数のボタン501〜513を有する。ボタン501は、サーバ10の記憶部14の所定の領域に蓄積された不要なデータを削除するボタンである。ボタン502は、図7に示す時間帯検索メニュー300の検索条件を規定するボタンである。ボタン503は、作業予定日報ファイルなどに記憶される属性と、表計算ソフトウェアのスプレッドシートのセルとを関係付けし、且つ属性を示す情報の型(テキスト、日付型、及び数値型など)、及び表示形態(オプションボタン、又はチェックボックスなど)を設定するボタンである。ボタン504は、作業予定日報などに表示される共通地図を描画するための共通地図データの指定し、かつ表計算ソフトウェアのスプレッドシートのセル番号で、共通地図を配置する配置位置を指定するボタンである。ボタン505は、作業予定日報ファイルなどの作成される各種ファイルを格納するフォルダを規定するボタンである。ボタン506は、作業予定日報のレイアウトを編集するボタンである。ボタン507は、作業予定日報ファイルを形成する表計算ソフトウェアに新たなスプレッドシートを生成するために、属性のセル定義と、レイアウトの編集結果とを合致させるボタンである。ボタン508は、作業予定日報ファイルに新たに生成されたスプレッドシートシートのレイアウトを確認し、編集するボタンである。ボタン509は、作業予定者が記載する作業予定日報ファイルを形成するスプレッドシートのレイアウトを編集するボタンである。ボタン510は、端末40から受信した作業予定日報ファイルが有するデータに基づいて、受理確認メール用のスプレッドシートをレイアウトし、編集するボタンである。ボタン511は、新たな作業予定日報を作成するボタンである。ボタン512は、公開用の作業一覧をレイアウトし、編集するボタンである。ボタン513は、業務用の作業一覧をレイアウトし、編集するボタンである。
【0087】
図12を参照して、メンテナンスメニュー画面500によって作業予定日報を作成する処理のフローを説明する。
【0088】
まず、ステップS401において、施設管理者は、ボタン506をクリックして、作業予定日報の属性の配置、及び罫線の形式など作業予定日報のレイアウトの編集を開始する。作業予定日報のレイアウトの編集が終了した後、必要に応じてボタン509、及び510をクリックして、作業予定者が入力する入力用スプレッドシートのレイアウト、及び受理確認メール用のスプレッドシートのレイアウトを編集する。
【0089】
次に、ステップS402において、施設管理者は、ボタン503をクリックして、作業予定日報にレイアウトした属性に関する属性定義、形式定義、作業一覧ファイルなどとの入出力セル位置定義を規定する。併せて、選択/チェック式ボタンの設定を規定する。
【0090】
次に、ステップS403において、施設管理者は、ボタン504をクリックして、共通地図を描画するために使用する共通地図データが記憶されるフォルダに存在する画像ファイルを読み込むとともに、作業予定日報、及び作業一覧に描画される図形の属性(色/柄/透過度など)を規定する。また、作業予定日報ファイルが、受理返信文作成用のスプレッドシートなど複数のスプレッドシートを有する場合は、スプレッドシート間の関連付けを規定する。
【0091】
次に、ステップS404において、施設管理者は、ボタン507をクリックして、ステップS401〜403で編集、又は規定された情報を連携させるためのデータを規定するセル連携シートを作成する。
【0092】
次に、ステップS405において、施設管理者は、ボタン508をクリックして、作業予定日報の属性入力欄、文字・数値の表示形態、入力支援インタフェース、及び選択/チェックボックスボタン等をステップS402で規定されたように配置するとともに、最終的なレイアウトを編集し、確認を行う。
【0093】
そして、ステップS406において、施設管理者は、ボタン511をクリックして、作業予定日報を作成する。
【0094】
このように施設管理者は、本発明に係るシステムを使用して、空港ごとにカスタマイズされた作業予定日報を作成できる。
【0095】
図1〜12を参照して、空港の整備、維持管理、及び点検の作業内容を示す複数の作業予定日報ファイルから作業予定を検索して、作業位置を示す図形を共通地図上に配置するとともに作業の属性を表示する作業一覧を表示するためのデータを有する作業一覧ファイルを作成するシステムの第1の実施形態を説明してきた。しかしながら、本発明に係るシステムは、空港、港湾、浄水場、発電所、及び石油精製施設などの大規模施設の整備、維持管理、及び点検における作業一覧ファイルの作成のみならず、他の用途にも使用できることは、当然である。例えば、本発明に係るシステムは、学校区内の様々な情報の収集、交通信号設備の取り付けなど地方公共団体が設置する様々な設備の設置情報の収集、及びマーケティングでの簡便な情報収集などにおいて共通地図を使用するシステムに使用できる。
【0096】
次に、図13を参照して、本発明に係るシステムの第2の実施形態を説明する。図13は、本発明に係るシステムを使用して作成される動植物生息情報を表す情報集計ファイル600を示す。情報集計ファイル600は、ある河川周辺区域において、小学生、及び周辺住民などの情報提供者に配布した回答票に記載された図形、及び属性を集計したものである。情報提供者は、共通地図、及び属性入力欄を有する回答票に、動植物を発見した位置を示す図形を配置し、発見した動植物に関連する属性を入力する。サーバは、情報提供者が配置した図形を描画する図形データ、及び属性のデータを受け取る。そして、サーバは、受け取った図形データをそれぞれ用いて作成した複数の図形を、回答票の共通地図データを用いて作成された共通地図の縮尺が変更された共通地図601と同一の縮尺になるように変更し、縮尺が変更された図形を、縮尺が変更される前の図形がそれぞれの回答票の共通地図上に配置される相対的な位置を維持するように、縮尺が変更された共通地図上に配置する。また、サーバは、識別子によりそれぞれの図形に関連付けられた属性を複数の属性表示欄601に表示する。
【0097】
例えば、図形611aは、識別子1が付与された回答票に記載された動植物発見箇所を示す図形であり、発見者が山田太郎である行の属性に関連付けられる。また、図形611bは、識別子1が付与された回答票に記載された発見箇所への経路を示す図形である。
【符号の説明】
【0098】
1 地図作成システム
2 空港事務所
10 サーバ
12 演算部
14 記憶部
16 通信部
20 入力装置
21 表示装置
22 印刷装置
24 記憶装置
26 通信装置
28 バス回路
30 インタネット
40a、40b、40n 端末
50 ファイル公開サーバ
100 作業予定日報ファイルの入力フォーム
101 共通地図
101a、401a 建築物
101b、401b 滑走路
102 複数の属性入力欄
110、120、130 作業予定日報
111、121、131 属性情報が記載された属性領域
111a、121a、131a、411a、421a、431a、 作業場所を示す面形状の図形
111b、121b、131b、411b、421b、431b 立ち入り経路を示す線形状の図形
112、122、132 属性が入力された複数の属性入力欄
200 メインメニュー
300 時間帯検索メニュー
400 作業一覧
401 縮尺が変更された共通地図
402 複数の属性表示欄
500 メンテナンスメニュー
600 情報集計ファイル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信部が、共通地図を描画するためのラスタ形式の共通地図データと、前記共通地図上に配置される図形を描画するためのベクタ形式の図形データとを有する複数のデータセットを受け取ることと、
演算部が、前記図形データそれぞれを用いて作成した複数の図形を、前記共通地図データを用いて作成された前記共通地図の縮尺が変更された共通地図と同一の縮尺になるように変更し、前記縮尺が変更された複数の図形を、前記図形が前記共通地図上に配置される相対的な位置を維持するように、前記縮尺が変更された共通地図上に配置することと、
記憶部が、前記縮尺が変更された共通地図の地図データと、前記縮尺が変更された複数の図形の図形データと、前記縮尺が変更された複数の図形の前記縮尺が変更された共通地図に対する相対的な位置を表す位置データとを記憶することと、
を特徴とする地図作成方法。
【請求項2】
前記演算部が、前記共通地図データをアフィン変換して、前記縮尺が変更された共通地図を作成し、前記図形データをそれぞれアフィン変換して、前記縮尺が変更された複数の図形を作成する請求項1に記載の地図作成方法。
【請求項3】
前記演算部が、前記共通地図データを用いて前記縮尺が変更された共通地図を作成するために用いた原点と同一の原点を用いて、前記図形データそれぞれから、前記縮尺が変更された複数の図形を作成する請求項1、又は請求項2に記載の地図作成方法。
【請求項4】
前記データセットは、前記図形の色、及びパターンを示す属性をさらに有し、前記演算部は、前記図形の色、及びパターンを示す前記属性が図形ごとに相違するように、前記縮尺を変更した複数の図形を作成する請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の地図作成方法。
【請求項5】
前記属性は、それぞれの前記データセットを示す識別子をさらに有し、前記識別子に基づいて、前記縮尺を変更した図形を作成する請求項4に記載の地図作成方法。
【請求項6】
前記演算部が、前記図形の形状が面である場合に、前記縮尺を変更した複数の図形とともに、前記縮尺を変更した図形の重心に前記識別子が有する情報を表示装置に表示させることをさらに含む請求項5に記載の地図作成方法。
【請求項7】
前記演算部が、前記縮尺が変更された共通地図、及び前記縮尺が変更された図形とともに前記属性を表示装置に表示させることをさらに含む請求項4、又は請求項5のいずれか一項に記載の地図作成方法。
【請求項8】
共通地図を描画するためのラスタ形式の共通地図データと、前記共通地図上に配置される図形を描画するためのベクタ形式の図形データとを有する複数のデータセットを受け取ることと、
前記図形データそれぞれを用いて作成した複数の図形を、前記共通地図データを用いて作成された前記共通地図の縮尺が変更された共通地図と同一の縮尺になるように変更し、前記縮尺が変更された複数の図形を、前記図形が前記共通地図上に配置される相対的な位置を維持するように、前記縮尺が変更された共通地図上に配置することと、
前記縮尺が変更された共通地図の地図データと、前記縮尺が変更された複数の図形の図形データと、前記縮尺が変更された複数の図形の前記縮尺が変更された共通地図に対する相対的な位置を表す位置データとを記憶することと、
をコンピュータに実行させることを特徴とする地図作成プログラム。
【請求項9】
共通地図を描画するためのラスタ形式の共通地図データと、前記共通地図上に配置される図形を描画するためのベクタ形式の図形データとを有する複数のデータセットを受け取る受信部と、
前記図形データそれぞれを用いて作成した複数の図形を、前記共通地図データを用いて作成された前記共通地図の縮尺が変更された共通地図と同一の縮尺になるように変更し、前記縮尺が変更された複数の図形を、前記図形が前記共通地図上に配置される相対的な位置を維持するように、前記縮尺が変更された共通地図上に配置する演算部と、
前記縮尺が変更された共通地図の地図データと、前記縮尺が変更された複数の図形の図形データとを、前記縮尺が変更された複数の図形の前記縮尺が変更された共通地図に対する相対的な位置を表す位置データと記憶する記憶部と、
を備えることを特徴とする地図作成装置。
【請求項10】
共通地図を描画するためのラスタ形式の共通地図データを有するデータファイルを複数の端末に送信することと、
前記共通地図に配置される図形を描画するためのベクタ形式の図形データが付加されたデータファイルを前記複数の端末から受信することと、
前記図形データそれぞれを用いて作成した複数の図形を、前記共通地図データを用いて作成された前記共通地図の縮尺が変更された共通地図と同一の縮尺になるように変更し、前記縮尺が変更された複数の図形を、前記図形が前記共通地図上に配置される相対的な位置を維持するように、前記縮尺が変更された共通地図上に配置することと、
前記縮尺が変更された共通地図の地図データと、前記縮尺が変更された複数の図形の図形データと、前記縮尺が変更された複数の図形の前記縮尺が変更された共通地図に対する相対的な位置を表す位置データとを記憶することと、
をサーバが実行することを特徴とする地図作成方法。
【請求項11】
共通地図を描画するためのラスタ形式の共通地図データを有するデータファイルを受信し、前記共通地図上に配置される図形を描画するためのベクタ形式の図形データが付加された前記データファイルを送信する複数の端末と、
前記複数の端末に前記データファイルを送信する送信部と、
前記複数の端末から前記データセットを受信する受信部と、
受信した前記データファイルの前記図形データをそれぞれ用いて作成した複数の図形を、前記共通地図データを用いて作成された前記共通地図の縮尺が変更された共通地図と同一の縮尺になるように変更し、前記縮尺が変更された複数の図形を、前記図形が前記共通地図上に配置される相対的な位置を維持するように、前記縮尺が変更された共通地図上に配置する演算部と、
前記縮尺が変更された共通地図の地図データと、前記縮尺が変更された複数の図形の図形データと、前記縮尺が変更された複数の図形の前記縮尺が変更された共通地図に対する相対的な位置を表す位置データとを記憶する記憶部と、
を有するサーバと
を備えることを特徴とする地図作成システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−113232(P2012−113232A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−263941(P2010−263941)
【出願日】平成22年11月26日(2010.11.26)
【特許番号】特許第4812896号(P4812896)
【特許公報発行日】平成23年11月9日(2011.11.9)
【出願人】(000135771)株式会社パスコ (102)
【Fターム(参考)】