説明

地山固結工法および止水工法

【課題】作業性に優れ、飽和度が高く、透水性の低い砂質地山や亀裂性岩盤等に対する浸透性に優れた地山固結工法あるいは止水工法を提供する。
【解決手段】地山29に穿設された長孔に注入管28を配設し、この注入管28に下記の(A)〜(C)液を必須とする(メタ)アクリル酸系薬液を供給して地山に注入するようにした地山固結工法あるいは止水工法であって、それぞれ別々の非鉄製タンク1,21,22に収容された下記の(A)〜(C)液を、非鉄製注入機4により各別に注入管28に圧送するに際して、上記注入管28の手前で、(A)液と(B)液と(C)液とを、容量基準で、(A)液:(B)液:(C)液=1:0.9〜1.5:0.9〜1.5の割合で、混合するようにしたという構成をとる。
(A)(メタ)アクリル酸の一価または二価の金属塩水溶液。
(B)アルミニウム水溶性塩の水溶液。
(C)重亜硫酸塩水溶液。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地山固結工法および止水工法に関するものであり、詳しくは、飽和度の高い未固結砂質地山や亀裂性岩盤等を強化、安定化、止水化することができる地山固結工法および止水工法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
地山固結工法において用いられる地山注入材は、地盤改良を目的として地盤中に注入される薬液である。このような地山注入材として、従来から、ポリオールを主成分とするA液(主剤)と、ポリイソシアネートを主成分とするB液(硬化剤)との組み合わせからなる二液混合型のウレタン系薬液が使用されている。
【0003】
しかしながら、上記二液混合型のウレタン系薬液を用いた地山固結工法には、つぎのような難点がある。すなわち、上記二液混合型のウレタン系薬液は、一般に粘度が高く(約40mPa・s/20℃)、薬液の圧送圧力を高くしても、飽和度の高い未固結砂質(砂が固まらないで密に詰まった状態)地山や亀裂幅のごく小さい岩盤に浸透しにくく、薬液がブロック状に広がりにくいという難点がある。また、トンネルボーリングマシンを使って、その先端からパイプでウレタン系薬液を注入すると、トンネルボーリングマシンのカッタヘッドやカッタ等に薬液が付着して、トンネルボーリングマシンが動かなくなる場合もある。また、上記ポリオールやポリイソシアネートは可燃性であるため、火災の危険性もある。また、従来の二液混合型のウレタン系薬液は、作業現場で硬化時間を調整することが困難であった。
【0004】
そこで、これらの難点を解決するため、特に上記のような地山に対しては、ウレタン系薬液に代えて、比較的粘度の低いアクリル酸系薬液を用いた地山固結工法が提案されている。例えば、アクリル酸の一価または二価の金属塩水溶液からなるA液と、三価金属塩と重亜硫酸塩の水溶液からなるB液を調製し、これらを1台ないし2台のポンプで注入管に注入して、注入管内でA液とB液とを混合させ組成物とする山岳トンネル工法の補助工法が提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−214687号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の工法では、三価金属塩に、予め重亜硫酸塩水溶液を少量混合してB液を調製しているため、B液単体でも反応が少しずつ進み、液ライフが短くなるという難点がある。施行現場あるいは作業現場において、突発的な湧水等で注入が予定より遅れてしまうことはたびたび発生し、こうした場合はB液が使えなくなってしまう。また、上記特許文献1に記載の工法では、A液とB液と重亜硫酸塩水溶液とをそれぞれ別々に保管し、使用直前に混合して組成物を調製することも可能であるが、重亜硫酸塩水溶液が少量であるため、重亜硫酸塩水溶液の注入精度のばらつきや、重亜硫酸塩水溶液の分散度合いの影響を受けやすく、混合した組成物内で硬化時間が早くなったり、遅くなったりするという不都合が生じるおそれがある。さらに、上記のように、三価金属塩に、予め重亜硫酸塩水溶液を混合してB液を調製する場合も、A液とB液と重亜硫酸塩水溶液とをそれぞれ別々に保管し、使用直前に混合して組成物を調製する場合のいずれにおいても、施工現場における土質の透水係数および作業現場の雰囲気温度により、硬化時間を設定する場合に困難が伴う。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、作業性に優れ、飽和度が高く、透水性の低い砂質地山や亀裂性岩盤等に対する浸透性に優れた地山固結工法および止水工法の提供をその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明の地山固結工法あるいは止水工法は、地山に穿設された長孔に注入管を配設し、この注入管に下記の(A)〜(C)液を必須とする(メタ)アクリル酸系薬液を供給して地山に注入するようにした地山固結工法あるいは止水工法であって、それぞれ別々の非鉄製タンクに収容された下記の(A)〜(C)液を、非鉄製注入機により各別に注入管に圧送するに際して、上記注入管の手前で、(A)液と(B)液と(C)液とを、容量基準で、(A)液:(B)液:(C)液=1:0.9〜1.5:0.9〜1.5の割合で、混合するようにしたという構成をとる。
(A)(メタ)アクリル酸の一価または二価の金属塩水溶液。
(B)アルミニウム水溶性塩の水溶液。
(C)重亜硫酸塩水溶液。
【0008】
すなわち、本発明の地山固結工法あるいは止水工法は、それぞれ別々の非鉄製タンクに収容された下記の(A)〜(C)液を、非鉄製注入機により各別に注入管に圧送するため、作業現場にて人手により、各液を混合する必要がなく、作業性に優れている。また、注入管に圧送するに際して、上記注入管の手前で、各液を所定の割合で混合しており、本発明では、従来に比べて、(C)液を希釈してその量を多くし、(A)液,(B)液と略同量にしていることから、注入管前の混合も均一かつ円滑になり、各液を所定割合で混合することができる。そのうえ、(C)液を希釈していることから、(メタ)アクリル酸系薬液の粘度を低くすることができる。そのため、飽和度が高く、透水性の低い砂質地山や亀裂性岩盤等に対する浸透性に優れ、砂質地山や亀裂性岩盤等を有効に強化、安定化、止水化することができる。
(A)(メタ)アクリル酸の一価または二価の金属塩水溶液。
(B)アルミニウム水溶性塩の水溶液。
(C)重亜硫酸塩水溶液。
【0009】
なお、本発明において、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸またはメタアクリル酸をいう。
【発明の効果】
【0010】
このように、本発明の地山固結工法あるいは止水工法によると、作業現場にて人手により、各液を混合する必要がないため、作業性に優れている。また、従来に比べて、(C)液の量を多くするため、希釈してその固形分濃度を小さくしているため、(メタ)アクリル酸系薬液の粘度を低くすることができる。そのため、飽和度が高く、透水性の低い砂質地山や亀裂性岩盤等に対する浸透性に優れ、砂質地山や亀裂性岩盤等を有効に強化、安定化、止水化することができる。また、(A)〜(C)液を所定割合で均一に混合でき、地山に対して均質、強固な固結領域を形成することができる。そのうえ、本発明においては、各液を収容するタンク、および各液を注入管に圧送するための注入機が、いずれもステンレス材料等の非鉄材料で構成されているため、(メタ)アクリル酸系薬液中に鉄が混入することがなく、(メタ)アクリル酸系薬液の鉄による硬化時間のばらつきによる硬化物の不均一性の問題を解消することができる。また、作業現場で(C)液に適当な量の水を加えることによって、硬化時間を調整することも可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
つぎに、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
【0012】
本発明は、地山に穿設された長孔に注入管を配設し、この注入管に、(メタ)アクリル酸の一価または二価の金属塩水溶液(A液)と、アルミニウム水溶性塩の水溶液(B液)と、重亜硫酸塩水溶液(C液)とを必須とする(メタ)アクリル酸系薬液を供給して地山に注入する地山固結工法あるいは止水工法である。
【0013】
ここで、本発明は、A液,B液およびC液を収容する各タンクと、各液を注入管に圧送する注入機とが、いずれも非鉄製(例えば、ステンレス製)であり、かつ、注入管の手前で、各液を特定の容量基準で混合するようにしたのであって、これらが最大の特徴である。
【0014】
本発明の地山固結工法あるいは止水工法に用いる(メタ)アクリル酸系薬液は、上記A液〜C液を必須とする薬液である。
【0015】
上記(メタ)アクリル酸の一価または二価の金属塩水溶液(A液)中の、(メタ)アクリル酸の一価または二価の金属塩〔以下「(メタ)アクリル酸金属塩」と略す〕としては、特に限定はなく、例えば、(メタ)アクリル酸のアルカリ金属塩,アルカリ土類金属塩等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。これらのなかでも、(メタ)アクリル酸のナトリウム塩,マグネシウム塩が好適に用いられる。
【0016】
なお、本発明においては、目的とする性能を損なわない範囲において、(メタ)アクリル酸金属塩水溶液(A液)に、イタコン酸,マレイン酸,フマル酸の一価または二価の金属塩を添加しても差し支えない。
【0017】
上記(メタ)アクリル酸金属塩水溶液(A液)中の(メタ)アクリル酸金属塩(固形分)の濃度は、10〜45重量%の範囲内が好ましく、特にアルカリ土類金属塩の場合は、15〜45重量%の範囲内が好ましい。
【0018】
つぎに、アルミニウム水溶性塩の水溶液(B液)中のアルミニウム水溶性塩としては、特に限定はなく、例えば、(メタ)アクリル酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、ミョウバン、ナトリウムミョウバン、酢酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム(塩基性塩化アルミニウム)、ポリ硫酸塩化アルミニウム(塩基性硫酸塩化アルミニウム)等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。これらのなかでも、ポリ塩化アルミニウムが好適に用いられる。
【0019】
上記アルミニウム水溶性塩の水溶液(B液)中のアルミニウム水溶性塩(固形分)の濃度は、10〜70重量%の範囲内が好ましく、特に好ましくは30〜50重量%の範囲内である。
【0020】
つぎに、上記A液およびB液とともに用いられる重亜硫酸塩水溶液(C液)中の重亜硫酸塩としては、特に限定はなく、例えば、重亜硫酸のアルカリ金属塩があげられる。このなかでも、特に重亜硫酸のナトリウム塩,カリウム塩が好適に用いられる。
【0021】
本発明では、C液の液量を増すため、希釈して、その固形分濃度を小さくしているのであり、これが本発明の最大の特徴である。ここで、上記重亜硫酸塩水溶液(C液)中の重亜硫酸塩(固形分)の濃度は、通常、0.5〜10重量%の範囲内であり、好ましくは1〜5重量%の範囲内である。
【0022】
ここで、前記A液とB液とC液との混合比は、容量基準で、A液:B液:C液=1:0.9〜1.5:0.9〜1.5の範囲内が好ましく、特に好ましくはA液:B液:C液=1:1.0〜1.3:1.0〜1.3の範囲内である。すなわち、B液の混合比が0.9未満であると、得られるホモゲルの強度が不充分となり、逆に1.5を超えると、(メタ)アクリル酸系薬液の浸透性が低下するからである。また、C液の混合比が0.9未満であると、得られるホモゲルの強度が不充分となり、逆に1.5を超えると、反応速度が早くなり、浸透性が低下するからである。
【0023】
ここで、C液の固形分濃度を調節することにより、薬液の硬化速度を任意に調節することができる。通常、濃度が当初の半分になると、薬液の硬化速度が遅くなり、硬化時間は当初の約2〜10倍要するようになる。
【0024】
なお、ホモゲルとは、(メタ)アクリル酸系薬液の硬化物(固結体)であって、砂や土等を含まないものをいう。
【0025】
なお、本発明に用いる(メタ)アクリル酸系薬液には、上記A液〜C液に加えて、A液中の(メタ)アクリル酸金属塩の重合体の強度、寸法安定性および耐久性を向上させるために、メチレンビスアクリルアマイドやヒドロキシエチレンビスアクリルアマイド等の水溶性ジビニル単量体や、N−メチロールアクリルアミド等の架橋剤を適宜配合しても差し支えない。
【0026】
上記架橋剤の配合割合としては、A液中の(メタ)アクリル酸金属塩に対して、30重量%以下であることが好ましく、より好ましくは20重量%以下である。
【0027】
また、本発明に用いる(メタ)アクリル酸系薬液には、薬液の増量または補強のために、必要に応じて骨材を配合することもできる。上記骨材としては、例えば、セメント、フライアッシュ、珪藻土、炭酸カルシウム、カオリン、クレー、ベントナイト、パーライト、蛭石、高炉スラグ、石膏、珪砂、パルプや炭素粉等の粉体、各種繊維等を用いることができる。
【0028】
上記骨材は、使用量が多過ぎると、(メタ)アクリル酸系薬液の流動性やホモゲルの曲げ強度を低減させるおそれがあるため、A液中の(メタ)アクリル酸金属塩の重量の10倍以下とするのが好ましい。なお、(メタ)アクリル酸系薬液中に骨材が沈降する場合は、沈降防止剤等を併用することが好ましい。
【0029】
つぎに、本発明の地山固結工法あるいは止水工法について、図面にもとづいて説明する。図1に示すように、注入機4のダイアフラム式ポンプ(図示せず)により、A液用タンク21から、A液用ホース24a,24bを通して、注入管(注入ボルト)28の基端部にカプラー27を介して取り付けたミキシングユニット5にA液を送り込むとともに、B液用タンク22から、B液用ホース25a,25bを通して、ミキシングユニット5にB液を送り込む。それとともに、C液用タンク1から、C液用ホース2,3を通して、ミキシングユニット5にC液を送り込み、A液,B液,C液を合流させて混合する。つぎに、この混合液をカプラー27を介して、注入管28の基端開口から内部に供給し、内部に配設した静止ミキサー(図示せず)で攪拌した後、注入管28の先端開口もしくは注入管28の周壁に穿設した多孔(図示せず)から、飽和度の高い未固結砂質地山29に注入し、地山に固結領域30を形成する。
【0030】
上記注入機4のポンプは、各薬液が低粘度であり、通常のギヤーポンプでは送液精度が得られないため、上記のようなダイアフラム式ポンプが好ましい。また、ウレタン系薬液であれば、ポンプの駆動部がウレタン系薬液自身により潤滑が図られるが、本発明に用いる(メタ)アクリル酸系薬液は水溶性であり、摩耗により寿命が短くなってしまうため、上記のようなダイアフラム式ポンプが好ましい。また、他動式のダイアフラムを備えた形式のポンプは、脈動を吸収するためさらに好ましい。
【0031】
上記A液用タンク21,B液用タンク22およびC液用タンク1は、いずれもステンレス等の非鉄材料で構成されている。また、上記注入機4も、上記A液用タンク21,B液用タンク22,C液用タンク1と同様、ステンレス等の非鉄材料で構成されている。このように、本発明では、各液を収容するタンク21,22,1、および各液を注入管28に圧送するための注入機4が、いずれもステンレス材料等の非鉄材料で構成されているため、(メタ)アクリル酸系薬液中に鉄が混入することがなく、(メタ)アクリル酸系薬液の鉄による硬化時間のばらつきによる硬化物の不均一性の問題を解消することができる。
【0032】
また、上記注入機4は、独立した3つのモーター(図示せず)を有しており、各モーターでA液,B液およびC液をそれぞれ別々に独立して圧送することができるとともに、上記A液,B液およびC液の圧送比率を自由に調節することができるようになっている。
【0033】
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。
【実施例】
【0034】
〔実施例1〕
縦0.5m、横1mおよび高さ0.7mの土槽を準備し、この土槽内に川砂を均一に水締め充填することにより、透水係数が1.75×10-3cm/sであるモデル地盤を作製した。このモデル地盤の側部に、30cm間隔で3ヶ所注入口を開け、長さ50cm、外径17mmの注入管を挿入し、口元をシーリングした後、つぎのようにしてアクリル酸系薬液の注入を行った。
【0035】
すなわち、アクリル酸マグネシウム塩水溶液(固形分濃度:35重量%、粘度:4〜5mPa・s/20℃)〔A液〕を収容したステンレス製A液用タンクと、ポリ塩化アルミニウム水溶液(固形分濃度:15重量%、粘度:4〜5mPa・s/20℃)〔B液〕を収容したステンレス製B液用タンクと、重亜硫酸塩水溶液(固形分濃度:1重量%、粘度:4〜5mPa・s/20℃)〔C液〕を収容したステンレス製C液用タンクとをそれぞれ準備した。つぎに、ステンレス製注入機のダイアフラム式ポンプを駆動させ、A液用タンクから、A液用ホースを通して、上記注入管に取り付けたミキシングユニットにA液を送り込むとともに、B液用タンクから、B液用ホースを通して、ミキシングユニットにB液を送り込んだ。それとともに、C液用タンクから、C液用ホースを通して、ミキシングユニットにC液を送り込み、A液,B液,C液を合流させて混合した後、上記注入管内に注入した。なお、各液の注入速度は2リットル/分、注入圧は4MPa以下で、注入管1本当たり9リットル注入した。そして、注入1時間後に非固結部分の砂を取り除き、固結体形状の確認を行った結果、注入管の周りに、固結体積約20リットルの球根状の砂ゲルを形成していた。これにより、本発明の工法によると、アクリル酸系薬液の地盤に対する浸透性に優れることがわかった。また、この固結体(砂ゲル)の一軸圧縮強度は0.8MPaであり、地盤に対して充分な強化および安定化効果があることが確認された。なお、アクリル酸系薬液の硬化時間は、約240秒であった。
【0036】
〔実施例2〜5、比較例1,2〕
下記の表1に示すように、各液の混合割合を変更する以外は、実施例1に準じて、アクリル酸系薬液を注入した。そして、実施例1と同様にして、アクリル酸系薬液の硬化時間、浸透性および一軸圧縮強度をそれぞれ測定し、これらの結果を、下記の表1に併せて示した。なお、浸透性については、浸透性が良好なものを○、浸透性が劣るものを×とした。
【0037】
【表1】

【0038】
上記結果から、実施例品はいずれも、C液の混合量を従来に比べて多く、しかも適正な範囲に設定しているため、アクリル酸系薬液の浸透性および一軸圧縮強度が優れているとともに、硬化時間も良好であった。
【0039】
これに対して、比較例1品は、C液の混合量が少ないため、硬化時間が遅く、アクリル酸系薬液の浸透性は良いが、軸圧縮強度が劣っていた。比較例2品は、C液の混合量が多いため、硬化時間が早く、浸透性が劣っていた。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明の地山固結工法あるいは止水工法は、飽和度の高い未固結砂質地山や亀裂性岩盤の強化、安定化、止水化等に非常に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の地山固結工法あるいは止水工法の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0042】
1 C液用タンク
4 注入機
21 A液用タンク
22 B液用タンク
28 注入管
29 地山

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地山に穿設された長孔に注入管を配設し、この注入管に下記の(A)〜(C)液を必須とする(メタ)アクリル酸系薬液を供給して地山に注入するようにした地山固結工法あるいは止水工法であって、それぞれ別々の非鉄製タンクに収容された下記の(A)〜(C)液を、非鉄製注入機により各別に注入管に圧送するに際して、上記注入管の手前で、(A)液と(B)液と(C)液とを、容量基準で、(A)液:(B)液:(C)液=1:0.9〜1.5:0.9〜1.5の割合で、混合するようにしたことを特徴とする地山固結工法あるいは止水工法。
(A)(メタ)アクリル酸の一価または二価の金属塩水溶液。
(B)アルミニウム水溶性塩の水溶液。
(C)重亜硫酸塩水溶液。

【図1】
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【公開番号】特開2006−104795(P2006−104795A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−293751(P2004−293751)
【出願日】平成16年10月6日(2004.10.6)
【出願人】(000206211)大成建設株式会社 (1,602)
【出願人】(000219602)東海ゴム工業株式会社 (1,983)
【Fターム(参考)】