地盤改良工法
【課題】地中固結体を造成する際に、切削、改良が不要な領域を出来る限り切削、改良しないで済む様な地盤改良工法の提供。
【解決手段】固結体を造成するべき領域の最深部までボーリング孔を削孔する工程と、削孔されたボーリング孔に噴射攪拌装置(10)を挿入する工程を含み、
噴射攪拌装置(10)は、2本の回転軸(1a、1b)と、2本の回転軸の各々に設けられた攪拌手段(2a、2b)及び噴射手段(3a、3b)とを有しており、噴射攪拌装置(10)の攪拌手段(2a、2b)により原位置土を攪拌しつつ、噴射攪拌装置(10)の噴射手段(3a、3b)から改良材を包含する噴流(Ja、Jb)を噴射して原位置土を切削し、以って、改良材と原位置土を混合、攪拌することにより改良する工程を含む。
【解決手段】固結体を造成するべき領域の最深部までボーリング孔を削孔する工程と、削孔されたボーリング孔に噴射攪拌装置(10)を挿入する工程を含み、
噴射攪拌装置(10)は、2本の回転軸(1a、1b)と、2本の回転軸の各々に設けられた攪拌手段(2a、2b)及び噴射手段(3a、3b)とを有しており、噴射攪拌装置(10)の攪拌手段(2a、2b)により原位置土を攪拌しつつ、噴射攪拌装置(10)の噴射手段(3a、3b)から改良材を包含する噴流(Ja、Jb)を噴射して原位置土を切削し、以って、改良材と原位置土を混合、攪拌することにより改良する工程を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地中に固結体を造成する技術に関する。より詳細には、本発明は、施工するべき地中の領域に地盤改良材や固化材を包含する噴流を噴射して、原位置土を切削すると共に、原位置土と地盤改良材や固化材とを混合、攪拌して、固結体を造成する地盤改良工法に関する。
【背景技術】
【0002】
係る従来の地盤改良工法では、例えば、所定の深度までボーリング孔を削孔し、ボーリング孔に噴射装置を挿入し、地盤改良材や固化材を包含する噴流を噴射しつつ噴射装置を回転する。これにより、噴流によって原位置土を切削すると共に、原位置土と地盤改良材や固化材とを混合、攪拌する。そして、噴射装置を地上側に引き上げれば、原位置土と地盤改良材や固化材とが混合した後に固結して、断面円形の円柱形状の地中固結体が造成される。
連続した壁状の地中固結体を造成する場合には、図16で示す様に、造成しようとする地中壁W(図16では点線で示す)の長さ方向に沿って、上述した様な態様で造成される円柱状地中固結体を複数造成して、その一部を重複させれば良い。
隣接する円柱状地中固結体が重複する範囲については、地中壁Wにおいて必要とされる幅寸法tを確保する様に決定される。
【0003】
ここで、図16において、地中壁Wに要求される幅寸法tを確保するために、造成される円柱状地中固結体においては、点線D1、D2よりも(地中壁Wの)外側の領域LAが存在している。
係る領域LAが存在しなければ、特に重複している部分において、必要な幅寸法tが確保できなくなってしまうからである。
しかし、その様な領域LAは、地中壁Wに要求される幅寸法t或いは強度に対して、過剰に改良されている部分である。
換言すれば、図16における領域LAは、地中壁Wの造成に当たって、切削、改良することが無駄になってしまう領域である。
【0004】
切削、改良することが無駄になってしまう領域LAにおける原位置土の切削と改良を行なわないようにするため、切削、改良される断面形状を非円形にする技術も提案されている。
しかし、係る技術は非常に複雑な構成を具備する機器及び高度な制御技術を必要とする場合が多い。
そのため、図16における領域LAの様な切削、改良が不要な領域に相当する地盤については、出来る限り切削、改良を行なわない技術が求められている。
しかしながら、現時点では、その様な要請に応えることが出来る技術は提案されていない。
【0005】
その他の従来技術として、削孔工程で高圧ジェットを噴射して、先行する削孔工程で地盤が緩んだ領域を包含する範囲を切削して、連続地中壁を造成する技術が提案されている(特許文献1参照)。
係る技術(特許文献1)は有用な技術ではあるが、上述した様な問題を解決するものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−144720号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、地中固結体を造成する際に、切削、改良が不要な領域を出来る限り切削、改良しないで済む様な地盤改良工法の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の地盤改良工法は、噴射攪拌装置(10、10A)により、地盤改良するべき領域(固結体K11・・・、K21・・・を造成するべき領域の最深部)までボーリング孔を削孔する工程(図8)を含み、
噴射攪拌装置(10、10A)は、2本の回転軸(1a、1b)と、2本の回転軸(1a、1b)の各々に設けられた攪拌手段(攪拌翼2a、2b;2a1、2a2、2b1、2b2)及び噴射手段(噴射ノズル3a、3b;3a1、3a2、3b1、3b2)とを有しており、
噴射攪拌装置(10、10A)の攪拌手段(攪拌翼2a、2b)により原位置土を攪拌しつつ、噴射攪拌装置(10、10A)の噴射手段(3a、3b;3a1、3a2、3b1、3b2)から改良材(固化材、硬化材、注入材、地盤改良材)を包含する噴流(Ja、Jb;Jax、Jbx)を噴射して原位置土を切削し、以って、改良材と原位置土を混合、攪拌することにより改良する工程(図1〜図4)を含み、
当該改良する工程では、噴流(Ja、Jb;Jax、Jbx)が噴射攪拌装置(10、10A)の2本の回転軸(1a、1bの中心Ca、Cb)を結ぶ直線方向であって、且つ、2本の回転軸(1a、1b)から離隔する方向(矢印H方向:半径方向外方)に噴射される場合(例えば、図1における領域E1a、E1bを改良している場合)には、当該噴流(Ja、Jb;Jax、Jbx)の切削距離(到達距離:r1)を長くし、
噴流(Ja、Jb;Jax、Jbx)が噴射攪拌装置(10、10A)の2本の回転軸(1a、1bの中心Ca、Cb)を結ぶ直線と直交する方向(矢印V方向)に噴射される場合(例えば、図2、図4における領域E2a、E2b、E4a、E4bを改良している場合)には、当該噴流(Ja、Jb;Jax、Jbx)の切削距離(到達距離:r2)を短くし、
噴流(Ja、Jb;Jax、Jbx)が噴射攪拌装置(10、10A)の2本の回転軸(1a、1bの中心Ca、Cb)を結ぶ直線方向であって、且つ、2本の回転軸(1a、1b)に向かう方向(矢印H方向の逆方向:半径方向内方)に噴射される場合(例えば、図3における領域E3a、E3bを改良している場合)には、当該噴流(J1、J1A)の切削距離(到達距離:r3)をさらに短くすることを特徴としている(図1〜図8)。
【0009】
ここで、「噴射攪拌装置の2本の回転軸を結ぶ直線方向」は、当該直線方向(図1の矢印Hと完全に同一の方向)ではなく、前記噴流が切削する領域が、改良された領域(地中固結体K11・・・、K21・・・)の必要最低厚み(連続壁の必要厚さ:t)の範囲を十分にカバーする程度に、当該直線(矢印H)から傾斜している範囲を包含している。
同様に、「噴射攪拌装置の2本の回転軸を結ぶ直線と直交する方向」は、当該直線方向(矢印H)と完全に垂直な方向(矢印V)のみを意味する文言ではなく、前記噴流が切削する領域が、改良された領域(地中固結体K11・・・、K21・・・)の必要最低厚み(連続壁の必要厚さ:t)の範囲を十分にカバーする程度に、前記直線(矢印H)と垂直な方向(矢印V)に対して傾斜している範囲をも包含している。
また本発明において、前記改良材を包含する噴流(Ja、Jb;Jax、Jbx)とは、改良材(例えば、セメントミルク)の溶液のみを包含する噴流や、改良材の溶液の噴流と高圧エアの噴流とを組み合わせている場合等を含む趣旨の文言である。
【0010】
本発明における前記改良する工程を実施するに際して、噴流(Ja、Jb;Jax、Jbx)が噴射攪拌装置(10、10A)の2本の回転軸(1a、1bの中心Ca、Cb)を結ぶ直線方向であって、且つ、2本の回転軸(1a、1b)から離隔する方向(矢印H方向:半径方向外方)に噴射される場合(例えば、図1における領域E1a、E1bを改良している場合)における当該噴流(Ja、Jb;Jax、Jbx)の切削距離(到達距離:r1)は、噴流(Ja、Jb;Jax、Jbx)が噴射攪拌装置(10、10A)の2本の回転軸(1a、1bの中心Ca、Cb)を結ぶ直線と直交する方向(矢印V方向)に噴射される場合(例えば、図2、図4における領域E2a、E2b、E4a、E4bを改良している場合)における当該噴流(Ja、Jb;Jax、Jbx)の切削距離(到達距離:r2)よりも長く、
噴流(Ja、Jb;Jax、Jbx)が噴射攪拌装置(10、10A)の2本の回転軸(1a、1bの中心Ca、Cb)を結ぶ直線と直交する方向(矢印V方向)に噴射される場合(例えば、図2、図4における領域E2a、E2b、E4a、E4bを改良している場合)における当該噴流(Ja、Jb;Jax、Jbx)の切削距離(到達距離:r2)は、噴流(Ja、Jb;Jax、Jbx)が噴射攪拌装置(10、10A)の2本の回転軸(1a、1bの中心Ca、Cb)を結ぶ直線方向であって、且つ、2本の回転軸(1a、1b)に向かう方向(矢印H方向の逆方向:半径方向内方)に噴射される場合(例えば、図3における領域E3a、E3bを改良している場合)における当該噴流(Ja、Jb;Jax、Jbx)の切削距離(到達距離:r3)よりも長い。
【0011】
また本発明において、前記噴流(Ja、Jb;Jax、Jbx)の切削距離(到達距離:r1、r2、r3)を変化させるためには、前記噴流(Ja、Jb;Jax、Jbx)の噴射圧力、噴射流量を増大して、噴流の切削距離(到達距離)を長くして、或いは、
噴射圧力、噴射流量を減少して、噴流の切削距離(到達距離)を短くするのが好ましい。
より具体的には、噴流(Ja、Jb;Jax、Jbx)が噴射攪拌装置(10、10A)の2本の回転軸(1a、1bの中心Ca、Cb)を結ぶ直線方向であって、且つ、2本の回転軸(1a、1b)から離隔する方向(矢印H方向:半径方向外方)に噴射される場合(例えば、図1における領域E1a、E1bを改良している場合)の噴射圧力、噴射流量を最も大きくして、
噴流(Ja、Jb;Jax、Jbx)が噴射攪拌装置(10、10A)の2本の回転軸(1a、1bの中心Ca、Cb)を結ぶ直線方向であって、且つ、2本の回転軸(1a、1b)に向かう方向(矢印H方向の逆方向:半径方向内方)に噴射される場合(例えば、図3における領域E3a、E3bを改良している場合)の噴射圧力、噴射流量を最も小さくして、
噴流(Ja、Jb;Jax、Jbx)が噴射攪拌装置(10、10A)の2本の回転軸(1a、1bの中心Ca、Cb)を結ぶ直線と直交する方向(矢印V方向)に噴射される場合(例えば、図2、図4における領域E2a、E2b、E4a、E4bを改良している場合)の噴射圧力、噴射流量を、その中間の値とするのが好ましい。
【0012】
また本発明において、前記噴流(Ja、Jb;Jax、Jbx)の切削距離(到達距離:r1、r2、r3)を変化させるためには、噴射攪拌装置(10、10A)の回転速度(角速度v1〜v3)を、
噴流(Ja、Jb;Jax、Jbx)が噴射攪拌装置(10、10A)の2本の回転軸(1a、1bの中心Ca、Cb)を結ぶ直線方向であって、且つ、2本の回転軸(1a、1b)から離隔する方向(矢印H方向:半径方向外方)に噴射される場合(例えば、図1における領域E1a、E1bを改良している場合)の角速度(v1)を最も遅くして、
噴流(Ja、Jb;Jax、Jbx)が噴射攪拌装置(10、10A)の2本の回転軸(1a、1bの中心Ca、Cb)を結ぶ直線方向であって、且つ、2本の回転軸(1a、1b)に向かう方向(矢印H方向の逆方向:半径方向内方)に噴射される場合(例えば、図3における領域E3a、E3bを改良している場合)の角速度(v3)を最も速くして、
噴流(Ja、Jb;Jax、Jbx)が噴射攪拌装置(10、10A)の2本の回転軸(1a、1bの中心Ca、Cb)を結ぶ直線と直交する方向(矢印V方向)に噴射される場合(例えば、図2、図4における領域E2a、E2b、E4a、E4bを改良している場合)の角速度(v2)を、その中間の速度とする(v1<v2<v3)のが好ましい。
【0013】
本発明において、噴射攪拌装置(10A)の2本の回転軸(1a、1b)の各々に設けられた攪拌手段(攪拌翼2a1、2a2:2b1、2b2)は垂直方向に間隔を空けて一対配置されており、垂直方向に間隔を空けて一対配置された攪拌手段(攪拌翼翼2a1、2a2:2b1、2b2)の各々が噴射手段(噴射ノズル3a1、3a2、3b1、3b2)を有し、一対の攪拌手段(攪拌翼2a1、2a2:2b1、2b2)の各々における噴射手段(噴射ノズル3a1、3a2、3b1、3b2)から噴射された一対の噴流(Ja1、Ja2:Jb1、Jb2)は半径方向外方で衝突する様に設定されている(いわゆる「交差噴流」Jax、Jbxを構成している)のが好ましい。
【0014】
この場合、一対の噴流(Ja1、Ja2:Jb1、Jb2)が噴射攪拌装置(10、10A)の2本の回転軸(1a、1bの中心Ca、Cb)を結ぶ直線方向であって、且つ、2本の回転軸(1a、1b)から離隔する方向(矢印H方向:半径方向外方)に噴射される場合(例えば、図1における領域E1a、E1bを改良している場合)に、一対の噴流(Ja1、Ja2:Jb1、Jb2)が衝突する位置を回転軸(1a、1b)の各々の半径方向における最も外方の位置として、
一対の噴流(Ja1、Ja2:Jb1、Jb2)が噴射攪拌装置(10、10A)の2本の回転軸(1a、1bの中心Ca、Cb)を結ぶ直線方向であって、且つ、2本の回転軸(1a、1b)に向かう方向(矢印H方向の逆方向:半径方向内方)に噴射される場合(例えば、図3における領域E3a、E3bを改良している場合)に、一対の噴流(Ja1、Ja2:Jb1、Jb2)が衝突する位置を回転軸(1a、1b)の各々の半径方向における最も内方の位置として、
一対の噴流(Ja1、Ja2:Jb1、Jb2)が噴射攪拌装置(10、10A)の2本の回転軸(1a、1bの中心Ca、Cb)を結ぶ直線と直交する方向(矢印V方向)に噴射される場合(例えば、図2、図4における領域E2a、E2b、E4a、E4bを改良している場合)に、一対の噴流(Ja1、Ja2:Jb1、Jb2)が衝突する位置をその中間の位置(回転軸1a、1bの各々の半径方向について、中間の位置)とするのが好ましい。
【0015】
また本発明の地盤改良工法において、
噴射攪拌装置(10)により、地盤改良するべき領域(固結体K21、K22・・・を造成するべき領域の最深部)までボーリング孔を削孔する工程(図8)を含み、
噴射攪拌装置(10)は、2本の回転軸(回転軸の中心Ca、Cb)と、2本の回転軸の各々に設けられた攪拌手段(攪拌翼)及び噴射手段(噴射ノズル)とを有しており、
噴射攪拌装置(10)の攪拌手段(攪拌翼)により原位置土を攪拌しつつ、噴射攪拌装置(10)の噴射手段(噴射ノズル)から改良材(固化材、硬化材、注入材、地盤改良材)を包含する噴流を噴射して原位置土を切削し、以って、改良材と原位置土を混合、攪拌することにより改良する工程(図9〜図14)を含み、
当該改良する工程では、噴流が噴射攪拌装置(10)の2本の回転軸(回転軸の中心Ca、Cb)を結ぶ直線(矢印H)から(約45°)傾斜した方向であって、且つ、2本の回転軸(回転軸の中心Ca、Cb)から離隔する方向に噴射される場合(例えば、図10で領域E112a、E112bを改良している場合、図14で領域E141a、E141bを改良している場合)には、当該噴流の切削距離(到達距離)を長く設定し、
噴流が噴射攪拌装置(10)の2本の回転軸(回転軸の中心Ca、Cb)を結ぶ直線方向であって、且つ、2本の回転軸(回転軸の中心Ca、Cb)に向かう方向(矢印H方向の逆方向:半径方向内方)に噴射される場合(例えば、図12における領域E13a、E13bを改良している場合)には、当該噴流の切削距離(到達距離)を短く設定し、
噴流が上記2種類の領域(図10の領域E112a、E112b、図14の領域E141a、E141b、図12の領域E13a、E13b)の間の領域(領域E11a、E12a、E14a、E11b、E12b、E14b)に噴射される場合(図9、図11、図13)には、当該噴流の切削距離(到達距離)は、上記2種類の領域(図10の領域E112a、E112b、図14の領域E141a、E141b、図12の領域E13a、E13b)における噴流の切削距離(到達距離)の中間の値となる様に設定することを特徴としている(図9〜図15)。
【発明の効果】
【0016】
上述する構成を具備する本発明によれば、地中固結体(K11・・・、K21・・・)を造成して地盤改良を行なうに際して、噴流(Ja、Jb;Jax、Jbx)が噴射攪拌装置(10、10A)の2本の回転軸(1a、1bの中心Ca、Cb)を結ぶ直線方向であって、且つ、2本の回転軸(1a、1b)から離隔する方向(矢印H方向:半径方向外方)に噴射される場合(例えば、図1における領域E1a、E1bを改良している場合)には、当該噴流(Ja、Jb;Jax、Jbx)の切削距離(到達距離:r1)を長くし、
噴流(Ja、Jb;Jax、Jbx)が噴射攪拌装置(10、10A)の2本の回転軸(1a、1bの中心Ca、Cb)を結ぶ直線と直交する方向(矢印V方向)に噴射される場合(例えば、図2、図4における領域E2a、E2b、E4a、E4bを改良している場合)には、当該噴流(Ja、Jb;Jax、Jbx)の切削距離(到達距離:r2)を短くしている。
そのため、改良された領域の水平断面形状は円形から長方形状に近い形状となり、切削、改良が不要な領域について、原位置土を切削して改良してしまう面積が減少する。
その結果、改良材(固化材、硬化材、注入材、地盤改良材)の使用量が減少し、無駄な作業(すなわち、不要な領域の改良)が省略されるので、作業効率が向上して、施工コストを節約することが出来る。
【0017】
ここで、噴流(Ja、Jb;Jax、Jbx)が噴射攪拌装置(10、10A)の2本の回転軸(1a、1bの中心Ca、Cb)を結ぶ直線方向であって、且つ、2本の回転軸(1a、1b)に向かう方向(矢印H方向の逆方向:半径方向内方)に噴射される場合(例えば、図3における領域E3a、E3bを改良している場合)には、2本の回転軸(1a、1b)の噴射手段同士が最も近接しているため、当該噴流(Ja、Jb;Jax、Jbx)は、噴射後、直ちに同一箇所に到達し、同一領域を重複して改良してしまう可能性が極めて高い。
そのため、係る場合(図3における領域E3a、E3bを改良している場合)には、噴流(Ja、Jb;Jax、Jbx)の切削距離(到達距離:r3)をさらに短くして、重複して改良してしまう範囲を、出来る限り小さくしている。
【0018】
また、本発明によれば、噴射攪拌装置(10、10A)から2本の噴流(Ja、Jb;Jax、Jbx)が噴射するため、噴射攪拌装置(10、10A)が半回転すれば、長方形状に近い形状の領域が改良される。
そのため、改良に時間が掛かり過ぎてしまうことは無く、従来の円柱状地中固結体を造成する場合と同様に、効率的な地盤改良が可能である。
ここで、地盤が硬く、噴流による切削が困難な場合であっても、噴流による切削を繰り返すことにより、地盤を上述した形状に切削し、改良することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1実施形態における最初の工程を平面的に示す工程図である。
【図2】図1に続く工程を平面的に示す工程図である。
【図3】図2に続く工程を平面的に示す工程図である。
【図4】図3に続く工程を平面的に示す工程図である。
【図5】第1実施形態で連続壁を造成する態様を平面的に示す図である。
【図6】第1実施形態における施工手順を示すフローチャートである。
【図7】第1実施形態を施工順に示した図である。
【図8】第1実施形態で用いられる噴射攪拌装置を示す図である。
【図9】第2実施形態における最初の工程を平面的に示す工程図である。
【図10】図9に続く工程を平面的に示す工程図である。
【図11】図10に続く工程を平面的に示す工程図である。
【図12】図11に続く工程を平面的に示す工程図である。
【図13】図12に続く工程を平面的に示す工程図である。
【図14】図13に続く工程を平面的に示す工程図である。
【図15】第2実施形態で連続壁を造成する態様を平面的に示す図である。
【図16】従来技術の問題点を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
図1〜図8は、第1実施形態を示している。
第1実施形態は、本発明の原理を説明するものである。
【0021】
図1〜図5において、矢印Hは、噴射攪拌装置における2本の回転軸の中心点Ca、Cbを結んだ直線の方向を示しており、且つ、中心点Ca、Cbから離れる方向(半径方向外方)を示している。ここで、当該噴射攪拌装置は、図1〜図5では図示を省略している。
符号Vで示す矢印は、一点鎖線Hと直交する方向を示す方向を示している。
図1において、横方向寸法Labは、回転軸1a、1bの中心間距離を示している。そして矢印V方向の寸法t(図1〜図5における上下方向の寸法t)は、地中固結体の必要最低厚みを示している。
【0022】
第1実施形態では、図1で示す工程を施工する以前の段階で、図示しない噴射攪拌装置(以下、「攪拌装置」と記載する)を、施工現場で配置する。
そして、地表部から地中に向かって2本のボーリング孔を削孔する。
2本のボーリング孔が、改良するべき領域の最深部に到達したならば、深度の確認を行なった後、図1の工程を開始する。
【0023】
図1で示す工程では、前記攪拌装置10に設けた噴射ノズル(例えば、図8のノズル3a、3b)から、改良材(固化材、硬化材、注入材、地盤改良材)の噴流を噴射する。
図1〜図4では噴流の図示を省略している。
第1実施形態及び第2実施形態の説明に際して、一方の噴射ノズル(例えば、図8のノズル3a)から噴射された噴流を「Ja」と記載し、他方の噴射ノズル(例えば、図8のノズル3b)から噴射された噴流を「Jb」と記載する。
噴流Ja、Jbは、例えば、改良材の噴流とエアの高圧噴流とを組み合わせている。ただし、改良材のみで噴流を構成することも可能である。
【0024】
図1において、符号20は、回転軸に設けられた攪拌翼(図1〜図5では図示せず)によって機械攪拌される領域を示し、符号30は、噴流によって切削、攪拌される領域(改良される領域)を示している。図1〜図4において、機械攪拌される領域20には、噴流によって切削、攪拌される領域(改良される領域)30のハッチング(比較的間隔が狭い右上がりのハッチング)とは異なるハッチング(比較的間隔が広い左上がりのハッチング)が付されている。
図1において、点Caは回転軸1aの中心であり、点Cbは回転軸1bの中心である。換言すれば、図1〜図4において、回転軸を示す符号1a、1bは図示されていないが、中心Ca、Cbは図示されている。従って、図1〜図4の説明において、「回転軸1a」なる文言は、点Caを中心とする回転軸を意味しており、「回転軸1b」なる文言は、点Cbを中心とする回転軸を意味している。
【0025】
図1で示す工程において、改良される領域E1a、E1bでは、噴流が、矢印Hで示す方向に噴射される。
ここで、「矢印H」は、噴射攪拌装置10の2本の回転軸1a、1bの中心Ca、Cbを結ぶ直線方向であって、且つ、2本の回転軸1a、1bの中心Ca、Cbから離隔する方向(半径方向外方)である。
ただし、噴流が噴射される方向(矢印Hで示す方向)は、矢印Hと完全に同一の方向のみを意味するものではない。噴射された噴流が切削する領域E1a、E1bが、改良体(連続壁W1:地中固結体K11〜K13)の必要最低厚み(連続壁の必要厚さ)tの範囲を十分にカバーする程度に、矢印Hから傾斜している範囲(方向)を包含している。
【0026】
図1において、噴流により切削された領域は、ハッチングを処した領域E1a、領域E1bである。
領域E1a及び領域E1bを改良する場合の、回転軸及び/又は攪拌翼の回転速度はv1であり、噴流Ja、Jbの到達距離はr1である。
ここで、扇状の領域E1a及び領域E1bの半径方向寸法r1は、噴流Ja、Jbの切削距離であり、噴流Ja、Jbの噴射圧力、流量は一定であれば、回転軸1a、1bの回転速度(角速度)により決定する。
すなわち、回転軸1a、1bの回転速度が遅ければ、地盤中の単一箇所が長い時間に亘って噴流によって切削されることになるので、噴流の切削距離は長くなる。一方、回転軸1a、1bの回転速度が早ければ、地盤中の単一箇所が噴流によって切削される時間が短くなるので、当該噴流による切削距離は短くなる。
【0027】
また、噴流Ja、Jbの噴射圧力、流量が変動しても、噴流Ja、Jbの切削距離が変動する。
すなわち、噴流Ja、Jbの噴射圧力、噴射流量が増大すれば、噴流Ja、Jbによって地盤が切削される距離は長くなる。一方、噴流Ja、Jbの噴射圧力、噴射流量が減少すれば、噴流Ja、Jbによって地盤が切削される距離は短くなる。
【0028】
図1で示す工程で、領域E1a及び領域E1bの改良を行なった後、回転軸1a、1bの回転速度(角速度)をv2に変化(変動)して、領域E2a及び領域E2bの改良を行なう(図2)。
ここで、回転軸1a、1bの回転速度(角速度)v1、v2は v1<v2 である。回転速度v2はv1よりも速いので、図2の工程における噴流が地盤中の単一箇所を切削する時間は短くなり、図2の工程における噴流の切削距離r2は、図1の段階における噴流の切削距離r1よりも短くなる。
【0029】
領域E2a及び領域E2bの改良を行なう際に、噴流が噴射させる方向は、矢印Vで示されている。
「矢印V」は、噴射攪拌装置10の2本の回転軸1a、1bの中心Ca、Cbを結ぶ矢印Vと直交する方向である。
ただし、領域E2a及び領域E2bの改良を行なう際に、噴流が噴射させる方向(矢印Vで示す方向)は、矢印Vと完全に同一の方向のみを意味するものではない。噴射された噴流が切削する領域E2a、領域E2bが、改良体(連続壁W1:地中固結体K11〜K13)の必要最低厚み(連続壁の必要厚さ)tの範囲を十分にカバーする程度に、矢印Vから傾斜している範囲(方向)を包含している。
【0030】
図2の工程において、噴流の切削距離r2が図1における切削距離r1のままであると、改良領域が、図1〜図4において破線で示す領域30まで拡大する。その結果、改良が不要な箇所(無駄な箇所:幅寸法tの領域よりも外側の箇所)まで改良されてしまうことになり、改良が不要な箇所(無駄な箇所)を改良する分だけ、改良材の消費量が増大する。
これに対して、図2の工程では、領域E2a及び領域E2bにおける噴流の切削距離(到達距離)r2は、図1における噴流の切削領域(到達距離)r1よりも短い。そのため、改良が不要な箇所(無駄な箇所)で使用される改良材の量が減少し、環境を悪化する恐れも減少する。
【0031】
領域E2a及び領域E2bの改良を行なった後、回転軸1a、1bの回転速度(角速度)をv3として、領域E3a及び領域E3bの改良を行なう(図3)。
ここで、回転軸1a、1bの回転速度(角速度)v1、v2、v3の大小関係は、 v1<v2<v3 である。
上述した様に、回転速度が速いほど、噴流の切削距離は短くなる。そのため、図3の工程における噴流が地盤中の単一箇所を切削する時間は短くなり、図3の段階における噴流の切削距離r3は、 r1>r2>r3 となる。
図3の工程では、回転軸1a、1bの一方から噴射される噴流は、他方の回転軸側に向かって噴射され、双方の回転軸から噴流により地盤が切削される。すなわち、回転軸1a、1b間の領域を切削すれば足りるため、長い距離に亘って地盤を削孔する必要がない。
そのため、図3の工程における噴流が地盤中の単一箇所を切削する距離r3は、ズ1、図2の工程に比較して、短く設定されている。以って、改良材の噴射量及びそれに伴うコストを節約することが出来る。
【0032】
図3の工程で、噴流が噴射される方向は、噴射攪拌装置10の2本の回転軸1a、1bの中心Ca、Cbを結ぶ直線方向であって、且つ、2本の回転軸1a、1bに向かう方向(矢印H方向の逆方向:半径方向内方)である。
ただし、噴流が噴射される方向(矢印Hで示す方向)は、矢印Hと完全に同一の方向のみを意味するものではない。矢印Hから傾斜した方向も包含する。
具体的には、回転軸1aから噴射される噴流については、図1における領域E1aを切削した噴流の噴射方向と、回転軸1aの中心点Caについて、点対象となる方向も包含している。そして、回転軸1bから噴射される噴流については、図1における領域E1bを切削した噴流の噴射方向と、回転軸1bの中心点Cbについて、点対象となる方向も包含している。
【0033】
領域E3a及び領域E3bの改良を行なった後、回転軸1a、1bの回転速度(角速度)をv2に戻して、領域E4a及び領域E4bの改良を行なう(図4)。
領域E4a及び領域E4bは、領域E2a及び領域E2bに対して、矢印Hに対して、線対称の形状である。
そして、図4の工程において、領域E4a及び領域E4bを改良する際に、噴射される噴流の方向は、図2で説明した方向に対して、矢印Hに線対称の方向である。
回転軸1a、1bの回転速度v4は、図2における回転速度v2と等しい。そのため、噴流の切削距離r4も、図2における噴流の切削距離r2に等しい。
図4の工程でも、領域E4a及び領域E4bにおける噴流の切削距離(到達距離)r4は、図1における噴流の切削領域(到達距離)r1よりも短く、そのため、改良が不要な箇所(無駄な箇所)で使用される改良材の量が減少する。
なお、図4の例では、領域E4a及び領域E4bは、領域E2a及び領域E2bと部分的に重なり合う領域M(2箇所)を有している。
【0034】
図1〜図4で示す工程により、領域E1a〜E4a、E1b〜E4bの改良が完了したならば、噴射装置10を、改良するべき地盤の性質や施工条件によりケース・バイ・ケースで予め決定される所定深度分だけ引き上げて、改良された領域を、垂直方向について延伸する。
所定深度分だけ引き上げたならば、図1〜図4で説明した工程を順次繰り返す。
【0035】
所定の領域について、垂直方向に必要な範囲だけ地盤を改良したならば(図5の領域K11)、造成するべき連続壁の他の部分(例えば、図5の領域K12)について、図1〜図4で説明した工程を順次繰り返し、所定深度分だけ引き上げて、改良された領域を垂直方向について延伸する。
さらに、改良された部分の中間の領域(図5の領域K13)についても、図1〜図4で説明した工程を順次繰り返して、所定深度分だけ引き上げて、改良された領域を垂直方向について延伸する。
これにより、連続壁W1を築造する。
【0036】
図6〜図8を参照して、第1実施形態をさらに説明する。
図7及び図8を参照して、第1実施形態で用いられる機器を説明する。
図7の(a)において、第1実施形態で用いられるベースマシン100が示されている。
ベースマシン100は、垂直部材110を有している。垂直部材110の上端部からは、ケーブル120(支持部材)によって、噴射攪拌装置10が垂下支持されている。
噴射攪拌装置10は、駆動装置7、2本の回転軸1a、1b(図7において、回転軸1bは回転軸1aに重なっている)、攪拌翼2a、2bを備えている。
【0037】
さらに、図8を参照して、噴射攪拌装置10の構成について説明する。
図8において、噴射攪拌装置10の回転軸1a、1bの先端近傍には、攪拌翼2a、2bが配置されている。
攪拌翼2a、2b各々の先端には、噴射ノズル3a、3bが設けられており、噴射ノズル3a、3bからは噴流Ja、Jb(超高圧ジェット)が水平方向に噴射される。
2本の回転軸1a、1bの攪拌翼2a、2bの上方には、オーガスクリュー4a、4bが形成されている。このオーガスクリュー4a、4bは、攪拌翼2a、2bによって切削、攪拌された地盤を、排土Gxとして地表Gf側に移動させる昨日を有している(図8の(8a)参照)。
なお、図8(8a)において、符号5で示す部材は干渉バンドであり、2本の回転軸1a、1bが衝突しない様にするための部材である。
【0038】
図8の(8b)においても、符号20は、攪拌翼2a、2bにより地盤Gが攪拌された領域(機械攪拌部)を示し、符号30は、噴流(超高圧ジェット)Ja、Jbによって切削、攪拌された領域(超高圧ジェット攪拌部)を示している。
機械攪拌部20及び超高圧ジェット攪拌部30は、超高圧ジェットに含まれる改良材(固化材、硬化材、注入材、地盤改良材)により、改良される(例えば、固結して、地中固結体となる)。
図1〜図5を参照して上述した様に、第1実施形態で改良された領域の水平断面形状は、図8の(8b)で示す様な形状ではなく、図5の領域K11〜K13の様な形状となる。換言すれば、図8の(8b)は、第1実施形態で用いられる機器の説明のためのみに用いられる水平断面図である。
【0039】
改良された領域の水平断面形状は、図示の実施形態では、
機械攪拌部20の直径D20が 1.0m≦D20≦1.6m、
超高圧ジェット攪拌部の幅D30が、 1.6m≦D30、
2軸の中心間距離Labが 0.8m≦Lab≦2.2m、
となっている(図8(8b)参照)。
【0040】
以下、図6及び図7を参照して、第1実施形態における施工手順を説明する。
図6のステップS1(施工機の位置決め)において、先ず、ベースマシン(施工機)100を施工領域の上方の所定位置に設置する(図7(a)参照)。
【0041】
図6の第2ステップS2(嵌入・排土)では、ベースマシン100の噴射攪拌装置10を下降させつつ、回転軸1a、1b先端の攪拌翼2a、2bを回転させ、地中に攪拌翼2a、2bを嵌入しながら削孔する。
図6のステップS3では、噴射攪拌装置10が所定の深度、すなわち、改良するべき領域の(例えば)最深部に到達したか否かを判断する(図7(c)参照)。
【0042】
図6のステップS4(引抜き・噴射攪拌)では、噴射攪拌装置10の図示しない噴射ノズルから、超高圧の噴流(改良材のジェット、或いは、改良材及び高圧エアのジェット)を噴射しつつ、攪拌装置10を回転する(図7(d)参照)。
回転軸2a、2bの回転速度(角速度)v1〜v3及び切削距離(到達距離)r1〜r3は、図1〜図4で説明したと同様に、噴流が噴射される領域によって異なっている。
ここで、回転軸2a、2bの回転速度(角速度)v1〜v3に代えて、噴流Ja、Jbの噴射圧力、噴射流量を変動することにより、噴流の切削距離を変動しても良い。図1〜図4において、噴流の噴射圧力、流量が増大すれば、切削距離r1、r2、r3が長くなり、噴射圧力、噴射流量が減少すれば、切削距離r1、r2、r3は短くなる。
【0043】
図6のステップS5では、図1〜図4で示す工程により、領域E1a〜E4a、E1b〜E4bの改良が完了したか否かを判断する。領域E1a〜E4a、E1b〜E4bの改良が完了していない場合には、ステップS4、ステップS5を繰り返す(ステップS5がNoのループ)。
領域E1a〜E4a、E1b〜E4bの改良が完了したならば(ステップS5が、Yes)、噴射攪拌装置10を所定量だけ引き上げる(ステップS6)。ステップS6における噴射攪拌装置10の引き上げ量(所定量)は、改良するべき地盤の性質や施工条件によりケース・バイ・ケースで予め決定される。
【0044】
噴射攪拌装置10を所定量だけ引き上げたならば、垂直方向について、改良するべき領域が全て改良されたか否かを判断する(ステップS7)。
垂直方向について、改良するべき領域が全て改良されていなければ(ステップS7でNo)、ステップS4に戻り、図9〜図12で説明した工程を順次繰り返す(ステップS7がNoのループ)。
垂直方向について、改良するべき領域が全て改良されれば(ステップS7でYes)、ベースマシン(施工機)100を設置した箇所の改良は完了する。すなわち、深度方向の所定の領域について、図1〜図4で示す様に、地盤が改良される。
【0045】
第1実施形態によれば、図1〜図4で示すように、攪拌装置10からの噴流Ja、Jbが、上述した様に噴射され、矢印Hについて線対称となる様に噴射されるため、攪拌装置10が半回転すれば、長方形状に近い形状の領域が改良される。
そのため、投入する材料の消費量及び施工のためのエネルギーを削減すると共に、改良時間も短縮できて、効率的な地盤改良が可能となる。
ここで、地盤が硬く、噴流による切削が困難な場合であっても、噴流による切削を繰り返すことにより、地盤を上述した形状に切削し、改良することが出来る。
【0046】
次に、図9〜図15を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。
ここで、図9〜図15において、図1〜図8で示すのと同様な部材や領域については、同様な符号が付されている。
図1〜図8の第1実施形態は、特に図1〜図4で示すように、改良される区画を4区間に分けて、噴射攪拌装置10の回転速度(角速度)、或いは、噴射圧力、噴射流量を変化させている。
それに対して、図9〜図15の第2実施形態では、図9〜図14で示すように、改良される区画を6区画に分けて、噴射攪拌装置10の回転速度(角速度)、或いは、噴射圧力、噴射流量を変化させている。
【0047】
図9で示す工程では、噴射攪拌装置10(図9〜図14では明示せず)から噴射される噴流は、回転軸1aの中心Caと回転軸1bの中心Cbとを結んだ直線(矢印H)の方向で、他の回転軸の反対側の方向(矢印H方向)に噴射されており、第1実施形態における図1で示す工程と概略同様である。
図9において、噴流により改良される領域は、それぞれ符号E11a、E11bで示されている。ここで、領域E11a、E11bの範囲は、図1における領域E1a、E1bに比較して、若干、狭く設定されている。
なお、図9〜図15の第2実施形態では、噴射攪拌装置10が回転する方向(図9では矢印V11方向)は反時計方向であり、図1〜図8の第1実施形態とは逆方向に図示されている。ただし、噴射攪拌装置10が回転する方向は、図1〜図8の第1実施形態と同じ時計方向であっても良い。
【0048】
図9に続く工程が図10で示されている。図10で示す工程では、噴流は、回転軸1aの中心Caと回転軸1bの中心Cbとを結んだ直線(矢印H)に対して、概略45°傾斜した角度の方向(矢印Hから傾斜している範囲)に噴射されている。そして、図10において地盤改良される領域(矢印Hから傾斜している範囲の地盤改良領域)は、符号E112a、E112bで示されている。
領域E112a、E112bの回転軸1aの中心Caと回転軸1bの中心Cbにおける中心角は、領域E11a、E11bの回転軸1aの中心Caと回転軸1bの中心Cbにおける中心角よりも小さく設定されている。
また、領域E112a、E112bの回転軸1aの中心Caと回転軸1bの中心Cbからの距離(半径方向距離:噴流到達距離)は、図9で示す工程で地盤改良させれた領域E11a、E11bの回転軸1aの中心Caと回転軸1bの中心Cbからの距離(半径方向距離:噴流到達距離)よりも長い。すなわち、領域E112a、E112bを地盤改良している場合における噴流(或いは、噴射攪拌装置10)の回転速度は、領域E11a、E11bを地盤改良している場合における噴流(或いは、噴射攪拌装置10)の回転速度よりも遅い。
【0049】
図10の工程に続き、図11で示す工程が行なわれる。
図11で示す工程では、噴流は、回転軸1aの中心Caと回転軸1bの中心Cbとを結んだ直線(矢印H)と垂直な方向(図11の矢印V方向)に噴射される。より詳細には、直線H(矢印H)と垂直な方向(矢印V方向)に対して、傾斜した方向(矢印Hと垂直な方向に対して傾斜している範囲)に噴射されている。
図11において、噴流により改良される領域は、符号E12a、E12bで示されている。
【0050】
領域E12a、E12bの回転軸1aの中心Caと回転軸1bの中心Cbにおける中心角は、領域E112a、E112bの回転軸1aの中心Caと回転軸1bの中心Cbにおける中心角に概略等しい。
そして、領域E12a、E12bの回転軸1aの中心Caと回転軸1bの中心Cbからの距離(半径方向距離:噴流到達距離)は、図9で示す工程で地盤改良させれた領域E11a、E11bの回転軸1aの中心Caと回転軸1bの中心Cbからの距離(半径方向距離:噴流到達距離)と等しい。換言すれば、領域E12a、E12bを地盤改良している場合における噴流(或いは、噴射攪拌装置10)の回転速度は、領域E11a、E11bを地盤改良している場合における噴流(或いは、噴射攪拌装置10)の回転速度と等しい。
【0051】
図11で示す工程に続き、図12の工程が行なわれる。
図12で示す工程では、噴射攪拌装置10から噴射される噴流は、回転軸1aの中心Caと回転軸1bの中心Cbとを結んだ直線の方向で反対側の回転軸に向かう方向(矢印Hとは逆方向)へ噴射されており、第1実施形態における図3で示す工程と概略同様である。
図12において、噴流により改良される領域は、それぞれ符号E13a、E13bで示されている。
領域E13a、E13bの回転軸1aの中心Caと回転軸1bの中心Cbからの距離(半径方向距離:噴流到達距離)は、図9、図11における地盤改良された領域E11a、E11b、E12a、E12bの回転軸1aの中心Caと回転軸1bの中心Cbからの距離(半径方向距離:噴流到達距離)と等しい。換言すれば、領域E13a、E13bを地盤改良している場合における噴流(或いは、噴射攪拌装置10)の回転速度は、領域E11a、E11b、E12a、E12bを地盤改良している場合における噴流(或いは、噴射攪拌装置10)の回転速度よりも速い。
【0052】
図12の工程の後、図13で示す工程が行なわれる。
図13で示す工程では、回転軸1aの中心Caと回転軸1bの中心Cbとを結んだ直線(矢印H)に対して、図11の工程で地盤改良された領域E12a、E12bと、線対称に位置する領域E14a、E14bを地盤改良している。換言すれば、領域E14a、E14bを地盤改良する噴流の噴射方向は、領域E12a、E12bを地盤改良する噴流の噴射方向と、回転軸1aの中心Caと回転軸1bの中心Cbとを結んだ直線(矢印H)に対して、線対称な方向である。
そして、回転軸1aの中心Caと回転軸1bの中心Cbにおける中心角は、領域E12a、E12bの回転軸1aの中心Caと回転軸1bの中心Cbにおける中心角に等しく、領域E14a、E14bの回転軸1aの中心Caと回転軸1bの中心Cbからの距離(半径方向距離:噴流到達距離)は、領域E12a、E12bの回転軸1aの中心Caと回転軸1bの中心Cbからの距離(半径方向距離:噴流到達距離)と等しい。換言すれば、領域E14a、E14bを地盤改良している場合における噴流(或いは、噴射攪拌装置10)の回転速度は、領域E12a、E12bを地盤改良している場合における噴流(或いは、噴射攪拌装置10)の回転速度と等しい。
【0053】
図13の工程に続き、図14で示す工程が実行される。
図14の工程では、回転軸1aの中心Caと回転軸1bの中心Cbとを結んだ直線(矢印H)に対して、図10の工程で地盤改良された領域E112a、E112bと、線対称に位置する領域E141a、E141bを地盤改良している。換言すれば、領域E141a、E141bを地盤改良する噴流の噴射方向は、領域E112a、E112bを地盤改良する噴流の噴射方向と、回転軸1aの中心Caと回転軸1bの中心Cbとを結んだ直線(矢印H)に対して、線対称な方向である。
そして、領域E141a、E141bの回転軸1aの中心Caと回転軸1bの中心Cbにおける中心角は、領域E112a、E112bの回転軸1aの中心Caと回転軸1bの中心Cbにおける中心角に等しく、領域E141a、E141bの回転軸1aの中心Caと回転軸1bの中心Cbからの距離(半径方向距離:噴流到達距離)は、領域E112a、E112bの回転軸1aの中心Caと回転軸1bの中心Cbからの距離(半径方向距離:噴流到達距離)と等しい。換言すれば、領域E141a、E141bを地盤改良している場合における噴流(或いは、噴射攪拌装置10)の回転速度は、領域E112a、E112bを地盤改良している場合における噴流(或いは、噴射攪拌装置10)の回転速度と等しい。
【0054】
図9〜図14で示す工程により、領域E11a、E112a、E12a、E13a、E14a、E141a、E11b、E112b、E12b、E13b、E14b、E141bの改良が完了したならば、第1実施形態と同様に、噴射攪拌装置10を、改良するべき地盤の性質や施工条件によりケース・バイ・ケースで予め決定される所定深度分だけ引き上げて、改良された領域を、垂直方向について延伸する。
所定深度分だけ引き上げたならば、図9〜図14で説明した工程を順次繰り返す。
【0055】
所定の領域について、垂直方向に必要な範囲だけ地盤を改良したならば(図15の領域K21)、造成するべき連続壁の他の部分(例えば、図15の領域K22)について、図9〜図14で説明した工程を順次繰り返し、所定深度分だけ引き上げて、改良された領域を垂直方向について延伸する。
そして、改良された部分の中間の領域(例えば、図15の領域K23)についても、図9〜図14で説明した工程を順次繰り返して、所定深度分だけ引き上げて、改良された領域を垂直方向について延伸する。
これにより、連続壁W2を築造する。
【0056】
上述した様に、図9〜図14においても、改良される区画毎に、噴射攪拌装置10の回転速度(角速度)を変化させることに代えて、噴射圧力、噴射流量を変化させることが可能である。噴流の噴射圧力、流量が増大すれば、噴流到達距離が長くなり、噴射圧力、噴射流量が減少すれば、噴流到達距離は短くなる。
【0057】
第2実施形態では、第1実施形態と同様に、攪拌装置10が半回転すれば、長方形状に近い形状の領域が改良される。そのため、投入する材料の消費量及び施工のためのエネルギーを削減すると共に、改良時間も短縮できて、効率的な地盤改良が可能となる。
ここで、地盤が硬く、噴流による切削が困難な場合であっても、噴流による切削を繰り返すことにより、地盤を上述した形状に切削し、改良することが出来る。
これに加えて第2実施形態では、地盤改良をするべき領域を、さらに細かく分割(第1実施形態の4区画から6区画に区画数を増加)しているので、連続壁(地中固結体)の必要最低厚み(矢印V方向の寸法)tを超える領域を改良してしまう割合がさらに減少して、投入する材料の消費量及び施工のためのエネルギーがより削減され、地盤改良の効率がさらに向上する。
第2実施形態における上述した以外の構成及び作用効果については、図1〜図8の第1実施形態と同様である。
【0058】
図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定する趣旨の記述ではない。
例えば、第1実施形態では、噴射攪拌装置10、10Aは時計方向に回転して改良材等を噴射しているが、反時計方向に回転させても良い。一方、第2実施形態では、噴射攪拌装置10を時計方向に回転させても良い。
【符号の説明】
【0059】
1a、1b・・・回転軸
2a、2b・・・攪拌翼
3a、3b・・・噴射手段/噴射ノズル
10、10A・・・二軸式機械攪拌装置/攪拌装置
20・・・機械攪拌部
30・・・超高圧ジェット攪拌部
100・・・ベースマシン/三点支持式杭打ち機
【技術分野】
【0001】
本発明は、地中に固結体を造成する技術に関する。より詳細には、本発明は、施工するべき地中の領域に地盤改良材や固化材を包含する噴流を噴射して、原位置土を切削すると共に、原位置土と地盤改良材や固化材とを混合、攪拌して、固結体を造成する地盤改良工法に関する。
【背景技術】
【0002】
係る従来の地盤改良工法では、例えば、所定の深度までボーリング孔を削孔し、ボーリング孔に噴射装置を挿入し、地盤改良材や固化材を包含する噴流を噴射しつつ噴射装置を回転する。これにより、噴流によって原位置土を切削すると共に、原位置土と地盤改良材や固化材とを混合、攪拌する。そして、噴射装置を地上側に引き上げれば、原位置土と地盤改良材や固化材とが混合した後に固結して、断面円形の円柱形状の地中固結体が造成される。
連続した壁状の地中固結体を造成する場合には、図16で示す様に、造成しようとする地中壁W(図16では点線で示す)の長さ方向に沿って、上述した様な態様で造成される円柱状地中固結体を複数造成して、その一部を重複させれば良い。
隣接する円柱状地中固結体が重複する範囲については、地中壁Wにおいて必要とされる幅寸法tを確保する様に決定される。
【0003】
ここで、図16において、地中壁Wに要求される幅寸法tを確保するために、造成される円柱状地中固結体においては、点線D1、D2よりも(地中壁Wの)外側の領域LAが存在している。
係る領域LAが存在しなければ、特に重複している部分において、必要な幅寸法tが確保できなくなってしまうからである。
しかし、その様な領域LAは、地中壁Wに要求される幅寸法t或いは強度に対して、過剰に改良されている部分である。
換言すれば、図16における領域LAは、地中壁Wの造成に当たって、切削、改良することが無駄になってしまう領域である。
【0004】
切削、改良することが無駄になってしまう領域LAにおける原位置土の切削と改良を行なわないようにするため、切削、改良される断面形状を非円形にする技術も提案されている。
しかし、係る技術は非常に複雑な構成を具備する機器及び高度な制御技術を必要とする場合が多い。
そのため、図16における領域LAの様な切削、改良が不要な領域に相当する地盤については、出来る限り切削、改良を行なわない技術が求められている。
しかしながら、現時点では、その様な要請に応えることが出来る技術は提案されていない。
【0005】
その他の従来技術として、削孔工程で高圧ジェットを噴射して、先行する削孔工程で地盤が緩んだ領域を包含する範囲を切削して、連続地中壁を造成する技術が提案されている(特許文献1参照)。
係る技術(特許文献1)は有用な技術ではあるが、上述した様な問題を解決するものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−144720号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、地中固結体を造成する際に、切削、改良が不要な領域を出来る限り切削、改良しないで済む様な地盤改良工法の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の地盤改良工法は、噴射攪拌装置(10、10A)により、地盤改良するべき領域(固結体K11・・・、K21・・・を造成するべき領域の最深部)までボーリング孔を削孔する工程(図8)を含み、
噴射攪拌装置(10、10A)は、2本の回転軸(1a、1b)と、2本の回転軸(1a、1b)の各々に設けられた攪拌手段(攪拌翼2a、2b;2a1、2a2、2b1、2b2)及び噴射手段(噴射ノズル3a、3b;3a1、3a2、3b1、3b2)とを有しており、
噴射攪拌装置(10、10A)の攪拌手段(攪拌翼2a、2b)により原位置土を攪拌しつつ、噴射攪拌装置(10、10A)の噴射手段(3a、3b;3a1、3a2、3b1、3b2)から改良材(固化材、硬化材、注入材、地盤改良材)を包含する噴流(Ja、Jb;Jax、Jbx)を噴射して原位置土を切削し、以って、改良材と原位置土を混合、攪拌することにより改良する工程(図1〜図4)を含み、
当該改良する工程では、噴流(Ja、Jb;Jax、Jbx)が噴射攪拌装置(10、10A)の2本の回転軸(1a、1bの中心Ca、Cb)を結ぶ直線方向であって、且つ、2本の回転軸(1a、1b)から離隔する方向(矢印H方向:半径方向外方)に噴射される場合(例えば、図1における領域E1a、E1bを改良している場合)には、当該噴流(Ja、Jb;Jax、Jbx)の切削距離(到達距離:r1)を長くし、
噴流(Ja、Jb;Jax、Jbx)が噴射攪拌装置(10、10A)の2本の回転軸(1a、1bの中心Ca、Cb)を結ぶ直線と直交する方向(矢印V方向)に噴射される場合(例えば、図2、図4における領域E2a、E2b、E4a、E4bを改良している場合)には、当該噴流(Ja、Jb;Jax、Jbx)の切削距離(到達距離:r2)を短くし、
噴流(Ja、Jb;Jax、Jbx)が噴射攪拌装置(10、10A)の2本の回転軸(1a、1bの中心Ca、Cb)を結ぶ直線方向であって、且つ、2本の回転軸(1a、1b)に向かう方向(矢印H方向の逆方向:半径方向内方)に噴射される場合(例えば、図3における領域E3a、E3bを改良している場合)には、当該噴流(J1、J1A)の切削距離(到達距離:r3)をさらに短くすることを特徴としている(図1〜図8)。
【0009】
ここで、「噴射攪拌装置の2本の回転軸を結ぶ直線方向」は、当該直線方向(図1の矢印Hと完全に同一の方向)ではなく、前記噴流が切削する領域が、改良された領域(地中固結体K11・・・、K21・・・)の必要最低厚み(連続壁の必要厚さ:t)の範囲を十分にカバーする程度に、当該直線(矢印H)から傾斜している範囲を包含している。
同様に、「噴射攪拌装置の2本の回転軸を結ぶ直線と直交する方向」は、当該直線方向(矢印H)と完全に垂直な方向(矢印V)のみを意味する文言ではなく、前記噴流が切削する領域が、改良された領域(地中固結体K11・・・、K21・・・)の必要最低厚み(連続壁の必要厚さ:t)の範囲を十分にカバーする程度に、前記直線(矢印H)と垂直な方向(矢印V)に対して傾斜している範囲をも包含している。
また本発明において、前記改良材を包含する噴流(Ja、Jb;Jax、Jbx)とは、改良材(例えば、セメントミルク)の溶液のみを包含する噴流や、改良材の溶液の噴流と高圧エアの噴流とを組み合わせている場合等を含む趣旨の文言である。
【0010】
本発明における前記改良する工程を実施するに際して、噴流(Ja、Jb;Jax、Jbx)が噴射攪拌装置(10、10A)の2本の回転軸(1a、1bの中心Ca、Cb)を結ぶ直線方向であって、且つ、2本の回転軸(1a、1b)から離隔する方向(矢印H方向:半径方向外方)に噴射される場合(例えば、図1における領域E1a、E1bを改良している場合)における当該噴流(Ja、Jb;Jax、Jbx)の切削距離(到達距離:r1)は、噴流(Ja、Jb;Jax、Jbx)が噴射攪拌装置(10、10A)の2本の回転軸(1a、1bの中心Ca、Cb)を結ぶ直線と直交する方向(矢印V方向)に噴射される場合(例えば、図2、図4における領域E2a、E2b、E4a、E4bを改良している場合)における当該噴流(Ja、Jb;Jax、Jbx)の切削距離(到達距離:r2)よりも長く、
噴流(Ja、Jb;Jax、Jbx)が噴射攪拌装置(10、10A)の2本の回転軸(1a、1bの中心Ca、Cb)を結ぶ直線と直交する方向(矢印V方向)に噴射される場合(例えば、図2、図4における領域E2a、E2b、E4a、E4bを改良している場合)における当該噴流(Ja、Jb;Jax、Jbx)の切削距離(到達距離:r2)は、噴流(Ja、Jb;Jax、Jbx)が噴射攪拌装置(10、10A)の2本の回転軸(1a、1bの中心Ca、Cb)を結ぶ直線方向であって、且つ、2本の回転軸(1a、1b)に向かう方向(矢印H方向の逆方向:半径方向内方)に噴射される場合(例えば、図3における領域E3a、E3bを改良している場合)における当該噴流(Ja、Jb;Jax、Jbx)の切削距離(到達距離:r3)よりも長い。
【0011】
また本発明において、前記噴流(Ja、Jb;Jax、Jbx)の切削距離(到達距離:r1、r2、r3)を変化させるためには、前記噴流(Ja、Jb;Jax、Jbx)の噴射圧力、噴射流量を増大して、噴流の切削距離(到達距離)を長くして、或いは、
噴射圧力、噴射流量を減少して、噴流の切削距離(到達距離)を短くするのが好ましい。
より具体的には、噴流(Ja、Jb;Jax、Jbx)が噴射攪拌装置(10、10A)の2本の回転軸(1a、1bの中心Ca、Cb)を結ぶ直線方向であって、且つ、2本の回転軸(1a、1b)から離隔する方向(矢印H方向:半径方向外方)に噴射される場合(例えば、図1における領域E1a、E1bを改良している場合)の噴射圧力、噴射流量を最も大きくして、
噴流(Ja、Jb;Jax、Jbx)が噴射攪拌装置(10、10A)の2本の回転軸(1a、1bの中心Ca、Cb)を結ぶ直線方向であって、且つ、2本の回転軸(1a、1b)に向かう方向(矢印H方向の逆方向:半径方向内方)に噴射される場合(例えば、図3における領域E3a、E3bを改良している場合)の噴射圧力、噴射流量を最も小さくして、
噴流(Ja、Jb;Jax、Jbx)が噴射攪拌装置(10、10A)の2本の回転軸(1a、1bの中心Ca、Cb)を結ぶ直線と直交する方向(矢印V方向)に噴射される場合(例えば、図2、図4における領域E2a、E2b、E4a、E4bを改良している場合)の噴射圧力、噴射流量を、その中間の値とするのが好ましい。
【0012】
また本発明において、前記噴流(Ja、Jb;Jax、Jbx)の切削距離(到達距離:r1、r2、r3)を変化させるためには、噴射攪拌装置(10、10A)の回転速度(角速度v1〜v3)を、
噴流(Ja、Jb;Jax、Jbx)が噴射攪拌装置(10、10A)の2本の回転軸(1a、1bの中心Ca、Cb)を結ぶ直線方向であって、且つ、2本の回転軸(1a、1b)から離隔する方向(矢印H方向:半径方向外方)に噴射される場合(例えば、図1における領域E1a、E1bを改良している場合)の角速度(v1)を最も遅くして、
噴流(Ja、Jb;Jax、Jbx)が噴射攪拌装置(10、10A)の2本の回転軸(1a、1bの中心Ca、Cb)を結ぶ直線方向であって、且つ、2本の回転軸(1a、1b)に向かう方向(矢印H方向の逆方向:半径方向内方)に噴射される場合(例えば、図3における領域E3a、E3bを改良している場合)の角速度(v3)を最も速くして、
噴流(Ja、Jb;Jax、Jbx)が噴射攪拌装置(10、10A)の2本の回転軸(1a、1bの中心Ca、Cb)を結ぶ直線と直交する方向(矢印V方向)に噴射される場合(例えば、図2、図4における領域E2a、E2b、E4a、E4bを改良している場合)の角速度(v2)を、その中間の速度とする(v1<v2<v3)のが好ましい。
【0013】
本発明において、噴射攪拌装置(10A)の2本の回転軸(1a、1b)の各々に設けられた攪拌手段(攪拌翼2a1、2a2:2b1、2b2)は垂直方向に間隔を空けて一対配置されており、垂直方向に間隔を空けて一対配置された攪拌手段(攪拌翼翼2a1、2a2:2b1、2b2)の各々が噴射手段(噴射ノズル3a1、3a2、3b1、3b2)を有し、一対の攪拌手段(攪拌翼2a1、2a2:2b1、2b2)の各々における噴射手段(噴射ノズル3a1、3a2、3b1、3b2)から噴射された一対の噴流(Ja1、Ja2:Jb1、Jb2)は半径方向外方で衝突する様に設定されている(いわゆる「交差噴流」Jax、Jbxを構成している)のが好ましい。
【0014】
この場合、一対の噴流(Ja1、Ja2:Jb1、Jb2)が噴射攪拌装置(10、10A)の2本の回転軸(1a、1bの中心Ca、Cb)を結ぶ直線方向であって、且つ、2本の回転軸(1a、1b)から離隔する方向(矢印H方向:半径方向外方)に噴射される場合(例えば、図1における領域E1a、E1bを改良している場合)に、一対の噴流(Ja1、Ja2:Jb1、Jb2)が衝突する位置を回転軸(1a、1b)の各々の半径方向における最も外方の位置として、
一対の噴流(Ja1、Ja2:Jb1、Jb2)が噴射攪拌装置(10、10A)の2本の回転軸(1a、1bの中心Ca、Cb)を結ぶ直線方向であって、且つ、2本の回転軸(1a、1b)に向かう方向(矢印H方向の逆方向:半径方向内方)に噴射される場合(例えば、図3における領域E3a、E3bを改良している場合)に、一対の噴流(Ja1、Ja2:Jb1、Jb2)が衝突する位置を回転軸(1a、1b)の各々の半径方向における最も内方の位置として、
一対の噴流(Ja1、Ja2:Jb1、Jb2)が噴射攪拌装置(10、10A)の2本の回転軸(1a、1bの中心Ca、Cb)を結ぶ直線と直交する方向(矢印V方向)に噴射される場合(例えば、図2、図4における領域E2a、E2b、E4a、E4bを改良している場合)に、一対の噴流(Ja1、Ja2:Jb1、Jb2)が衝突する位置をその中間の位置(回転軸1a、1bの各々の半径方向について、中間の位置)とするのが好ましい。
【0015】
また本発明の地盤改良工法において、
噴射攪拌装置(10)により、地盤改良するべき領域(固結体K21、K22・・・を造成するべき領域の最深部)までボーリング孔を削孔する工程(図8)を含み、
噴射攪拌装置(10)は、2本の回転軸(回転軸の中心Ca、Cb)と、2本の回転軸の各々に設けられた攪拌手段(攪拌翼)及び噴射手段(噴射ノズル)とを有しており、
噴射攪拌装置(10)の攪拌手段(攪拌翼)により原位置土を攪拌しつつ、噴射攪拌装置(10)の噴射手段(噴射ノズル)から改良材(固化材、硬化材、注入材、地盤改良材)を包含する噴流を噴射して原位置土を切削し、以って、改良材と原位置土を混合、攪拌することにより改良する工程(図9〜図14)を含み、
当該改良する工程では、噴流が噴射攪拌装置(10)の2本の回転軸(回転軸の中心Ca、Cb)を結ぶ直線(矢印H)から(約45°)傾斜した方向であって、且つ、2本の回転軸(回転軸の中心Ca、Cb)から離隔する方向に噴射される場合(例えば、図10で領域E112a、E112bを改良している場合、図14で領域E141a、E141bを改良している場合)には、当該噴流の切削距離(到達距離)を長く設定し、
噴流が噴射攪拌装置(10)の2本の回転軸(回転軸の中心Ca、Cb)を結ぶ直線方向であって、且つ、2本の回転軸(回転軸の中心Ca、Cb)に向かう方向(矢印H方向の逆方向:半径方向内方)に噴射される場合(例えば、図12における領域E13a、E13bを改良している場合)には、当該噴流の切削距離(到達距離)を短く設定し、
噴流が上記2種類の領域(図10の領域E112a、E112b、図14の領域E141a、E141b、図12の領域E13a、E13b)の間の領域(領域E11a、E12a、E14a、E11b、E12b、E14b)に噴射される場合(図9、図11、図13)には、当該噴流の切削距離(到達距離)は、上記2種類の領域(図10の領域E112a、E112b、図14の領域E141a、E141b、図12の領域E13a、E13b)における噴流の切削距離(到達距離)の中間の値となる様に設定することを特徴としている(図9〜図15)。
【発明の効果】
【0016】
上述する構成を具備する本発明によれば、地中固結体(K11・・・、K21・・・)を造成して地盤改良を行なうに際して、噴流(Ja、Jb;Jax、Jbx)が噴射攪拌装置(10、10A)の2本の回転軸(1a、1bの中心Ca、Cb)を結ぶ直線方向であって、且つ、2本の回転軸(1a、1b)から離隔する方向(矢印H方向:半径方向外方)に噴射される場合(例えば、図1における領域E1a、E1bを改良している場合)には、当該噴流(Ja、Jb;Jax、Jbx)の切削距離(到達距離:r1)を長くし、
噴流(Ja、Jb;Jax、Jbx)が噴射攪拌装置(10、10A)の2本の回転軸(1a、1bの中心Ca、Cb)を結ぶ直線と直交する方向(矢印V方向)に噴射される場合(例えば、図2、図4における領域E2a、E2b、E4a、E4bを改良している場合)には、当該噴流(Ja、Jb;Jax、Jbx)の切削距離(到達距離:r2)を短くしている。
そのため、改良された領域の水平断面形状は円形から長方形状に近い形状となり、切削、改良が不要な領域について、原位置土を切削して改良してしまう面積が減少する。
その結果、改良材(固化材、硬化材、注入材、地盤改良材)の使用量が減少し、無駄な作業(すなわち、不要な領域の改良)が省略されるので、作業効率が向上して、施工コストを節約することが出来る。
【0017】
ここで、噴流(Ja、Jb;Jax、Jbx)が噴射攪拌装置(10、10A)の2本の回転軸(1a、1bの中心Ca、Cb)を結ぶ直線方向であって、且つ、2本の回転軸(1a、1b)に向かう方向(矢印H方向の逆方向:半径方向内方)に噴射される場合(例えば、図3における領域E3a、E3bを改良している場合)には、2本の回転軸(1a、1b)の噴射手段同士が最も近接しているため、当該噴流(Ja、Jb;Jax、Jbx)は、噴射後、直ちに同一箇所に到達し、同一領域を重複して改良してしまう可能性が極めて高い。
そのため、係る場合(図3における領域E3a、E3bを改良している場合)には、噴流(Ja、Jb;Jax、Jbx)の切削距離(到達距離:r3)をさらに短くして、重複して改良してしまう範囲を、出来る限り小さくしている。
【0018】
また、本発明によれば、噴射攪拌装置(10、10A)から2本の噴流(Ja、Jb;Jax、Jbx)が噴射するため、噴射攪拌装置(10、10A)が半回転すれば、長方形状に近い形状の領域が改良される。
そのため、改良に時間が掛かり過ぎてしまうことは無く、従来の円柱状地中固結体を造成する場合と同様に、効率的な地盤改良が可能である。
ここで、地盤が硬く、噴流による切削が困難な場合であっても、噴流による切削を繰り返すことにより、地盤を上述した形状に切削し、改良することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1実施形態における最初の工程を平面的に示す工程図である。
【図2】図1に続く工程を平面的に示す工程図である。
【図3】図2に続く工程を平面的に示す工程図である。
【図4】図3に続く工程を平面的に示す工程図である。
【図5】第1実施形態で連続壁を造成する態様を平面的に示す図である。
【図6】第1実施形態における施工手順を示すフローチャートである。
【図7】第1実施形態を施工順に示した図である。
【図8】第1実施形態で用いられる噴射攪拌装置を示す図である。
【図9】第2実施形態における最初の工程を平面的に示す工程図である。
【図10】図9に続く工程を平面的に示す工程図である。
【図11】図10に続く工程を平面的に示す工程図である。
【図12】図11に続く工程を平面的に示す工程図である。
【図13】図12に続く工程を平面的に示す工程図である。
【図14】図13に続く工程を平面的に示す工程図である。
【図15】第2実施形態で連続壁を造成する態様を平面的に示す図である。
【図16】従来技術の問題点を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
図1〜図8は、第1実施形態を示している。
第1実施形態は、本発明の原理を説明するものである。
【0021】
図1〜図5において、矢印Hは、噴射攪拌装置における2本の回転軸の中心点Ca、Cbを結んだ直線の方向を示しており、且つ、中心点Ca、Cbから離れる方向(半径方向外方)を示している。ここで、当該噴射攪拌装置は、図1〜図5では図示を省略している。
符号Vで示す矢印は、一点鎖線Hと直交する方向を示す方向を示している。
図1において、横方向寸法Labは、回転軸1a、1bの中心間距離を示している。そして矢印V方向の寸法t(図1〜図5における上下方向の寸法t)は、地中固結体の必要最低厚みを示している。
【0022】
第1実施形態では、図1で示す工程を施工する以前の段階で、図示しない噴射攪拌装置(以下、「攪拌装置」と記載する)を、施工現場で配置する。
そして、地表部から地中に向かって2本のボーリング孔を削孔する。
2本のボーリング孔が、改良するべき領域の最深部に到達したならば、深度の確認を行なった後、図1の工程を開始する。
【0023】
図1で示す工程では、前記攪拌装置10に設けた噴射ノズル(例えば、図8のノズル3a、3b)から、改良材(固化材、硬化材、注入材、地盤改良材)の噴流を噴射する。
図1〜図4では噴流の図示を省略している。
第1実施形態及び第2実施形態の説明に際して、一方の噴射ノズル(例えば、図8のノズル3a)から噴射された噴流を「Ja」と記載し、他方の噴射ノズル(例えば、図8のノズル3b)から噴射された噴流を「Jb」と記載する。
噴流Ja、Jbは、例えば、改良材の噴流とエアの高圧噴流とを組み合わせている。ただし、改良材のみで噴流を構成することも可能である。
【0024】
図1において、符号20は、回転軸に設けられた攪拌翼(図1〜図5では図示せず)によって機械攪拌される領域を示し、符号30は、噴流によって切削、攪拌される領域(改良される領域)を示している。図1〜図4において、機械攪拌される領域20には、噴流によって切削、攪拌される領域(改良される領域)30のハッチング(比較的間隔が狭い右上がりのハッチング)とは異なるハッチング(比較的間隔が広い左上がりのハッチング)が付されている。
図1において、点Caは回転軸1aの中心であり、点Cbは回転軸1bの中心である。換言すれば、図1〜図4において、回転軸を示す符号1a、1bは図示されていないが、中心Ca、Cbは図示されている。従って、図1〜図4の説明において、「回転軸1a」なる文言は、点Caを中心とする回転軸を意味しており、「回転軸1b」なる文言は、点Cbを中心とする回転軸を意味している。
【0025】
図1で示す工程において、改良される領域E1a、E1bでは、噴流が、矢印Hで示す方向に噴射される。
ここで、「矢印H」は、噴射攪拌装置10の2本の回転軸1a、1bの中心Ca、Cbを結ぶ直線方向であって、且つ、2本の回転軸1a、1bの中心Ca、Cbから離隔する方向(半径方向外方)である。
ただし、噴流が噴射される方向(矢印Hで示す方向)は、矢印Hと完全に同一の方向のみを意味するものではない。噴射された噴流が切削する領域E1a、E1bが、改良体(連続壁W1:地中固結体K11〜K13)の必要最低厚み(連続壁の必要厚さ)tの範囲を十分にカバーする程度に、矢印Hから傾斜している範囲(方向)を包含している。
【0026】
図1において、噴流により切削された領域は、ハッチングを処した領域E1a、領域E1bである。
領域E1a及び領域E1bを改良する場合の、回転軸及び/又は攪拌翼の回転速度はv1であり、噴流Ja、Jbの到達距離はr1である。
ここで、扇状の領域E1a及び領域E1bの半径方向寸法r1は、噴流Ja、Jbの切削距離であり、噴流Ja、Jbの噴射圧力、流量は一定であれば、回転軸1a、1bの回転速度(角速度)により決定する。
すなわち、回転軸1a、1bの回転速度が遅ければ、地盤中の単一箇所が長い時間に亘って噴流によって切削されることになるので、噴流の切削距離は長くなる。一方、回転軸1a、1bの回転速度が早ければ、地盤中の単一箇所が噴流によって切削される時間が短くなるので、当該噴流による切削距離は短くなる。
【0027】
また、噴流Ja、Jbの噴射圧力、流量が変動しても、噴流Ja、Jbの切削距離が変動する。
すなわち、噴流Ja、Jbの噴射圧力、噴射流量が増大すれば、噴流Ja、Jbによって地盤が切削される距離は長くなる。一方、噴流Ja、Jbの噴射圧力、噴射流量が減少すれば、噴流Ja、Jbによって地盤が切削される距離は短くなる。
【0028】
図1で示す工程で、領域E1a及び領域E1bの改良を行なった後、回転軸1a、1bの回転速度(角速度)をv2に変化(変動)して、領域E2a及び領域E2bの改良を行なう(図2)。
ここで、回転軸1a、1bの回転速度(角速度)v1、v2は v1<v2 である。回転速度v2はv1よりも速いので、図2の工程における噴流が地盤中の単一箇所を切削する時間は短くなり、図2の工程における噴流の切削距離r2は、図1の段階における噴流の切削距離r1よりも短くなる。
【0029】
領域E2a及び領域E2bの改良を行なう際に、噴流が噴射させる方向は、矢印Vで示されている。
「矢印V」は、噴射攪拌装置10の2本の回転軸1a、1bの中心Ca、Cbを結ぶ矢印Vと直交する方向である。
ただし、領域E2a及び領域E2bの改良を行なう際に、噴流が噴射させる方向(矢印Vで示す方向)は、矢印Vと完全に同一の方向のみを意味するものではない。噴射された噴流が切削する領域E2a、領域E2bが、改良体(連続壁W1:地中固結体K11〜K13)の必要最低厚み(連続壁の必要厚さ)tの範囲を十分にカバーする程度に、矢印Vから傾斜している範囲(方向)を包含している。
【0030】
図2の工程において、噴流の切削距離r2が図1における切削距離r1のままであると、改良領域が、図1〜図4において破線で示す領域30まで拡大する。その結果、改良が不要な箇所(無駄な箇所:幅寸法tの領域よりも外側の箇所)まで改良されてしまうことになり、改良が不要な箇所(無駄な箇所)を改良する分だけ、改良材の消費量が増大する。
これに対して、図2の工程では、領域E2a及び領域E2bにおける噴流の切削距離(到達距離)r2は、図1における噴流の切削領域(到達距離)r1よりも短い。そのため、改良が不要な箇所(無駄な箇所)で使用される改良材の量が減少し、環境を悪化する恐れも減少する。
【0031】
領域E2a及び領域E2bの改良を行なった後、回転軸1a、1bの回転速度(角速度)をv3として、領域E3a及び領域E3bの改良を行なう(図3)。
ここで、回転軸1a、1bの回転速度(角速度)v1、v2、v3の大小関係は、 v1<v2<v3 である。
上述した様に、回転速度が速いほど、噴流の切削距離は短くなる。そのため、図3の工程における噴流が地盤中の単一箇所を切削する時間は短くなり、図3の段階における噴流の切削距離r3は、 r1>r2>r3 となる。
図3の工程では、回転軸1a、1bの一方から噴射される噴流は、他方の回転軸側に向かって噴射され、双方の回転軸から噴流により地盤が切削される。すなわち、回転軸1a、1b間の領域を切削すれば足りるため、長い距離に亘って地盤を削孔する必要がない。
そのため、図3の工程における噴流が地盤中の単一箇所を切削する距離r3は、ズ1、図2の工程に比較して、短く設定されている。以って、改良材の噴射量及びそれに伴うコストを節約することが出来る。
【0032】
図3の工程で、噴流が噴射される方向は、噴射攪拌装置10の2本の回転軸1a、1bの中心Ca、Cbを結ぶ直線方向であって、且つ、2本の回転軸1a、1bに向かう方向(矢印H方向の逆方向:半径方向内方)である。
ただし、噴流が噴射される方向(矢印Hで示す方向)は、矢印Hと完全に同一の方向のみを意味するものではない。矢印Hから傾斜した方向も包含する。
具体的には、回転軸1aから噴射される噴流については、図1における領域E1aを切削した噴流の噴射方向と、回転軸1aの中心点Caについて、点対象となる方向も包含している。そして、回転軸1bから噴射される噴流については、図1における領域E1bを切削した噴流の噴射方向と、回転軸1bの中心点Cbについて、点対象となる方向も包含している。
【0033】
領域E3a及び領域E3bの改良を行なった後、回転軸1a、1bの回転速度(角速度)をv2に戻して、領域E4a及び領域E4bの改良を行なう(図4)。
領域E4a及び領域E4bは、領域E2a及び領域E2bに対して、矢印Hに対して、線対称の形状である。
そして、図4の工程において、領域E4a及び領域E4bを改良する際に、噴射される噴流の方向は、図2で説明した方向に対して、矢印Hに線対称の方向である。
回転軸1a、1bの回転速度v4は、図2における回転速度v2と等しい。そのため、噴流の切削距離r4も、図2における噴流の切削距離r2に等しい。
図4の工程でも、領域E4a及び領域E4bにおける噴流の切削距離(到達距離)r4は、図1における噴流の切削領域(到達距離)r1よりも短く、そのため、改良が不要な箇所(無駄な箇所)で使用される改良材の量が減少する。
なお、図4の例では、領域E4a及び領域E4bは、領域E2a及び領域E2bと部分的に重なり合う領域M(2箇所)を有している。
【0034】
図1〜図4で示す工程により、領域E1a〜E4a、E1b〜E4bの改良が完了したならば、噴射装置10を、改良するべき地盤の性質や施工条件によりケース・バイ・ケースで予め決定される所定深度分だけ引き上げて、改良された領域を、垂直方向について延伸する。
所定深度分だけ引き上げたならば、図1〜図4で説明した工程を順次繰り返す。
【0035】
所定の領域について、垂直方向に必要な範囲だけ地盤を改良したならば(図5の領域K11)、造成するべき連続壁の他の部分(例えば、図5の領域K12)について、図1〜図4で説明した工程を順次繰り返し、所定深度分だけ引き上げて、改良された領域を垂直方向について延伸する。
さらに、改良された部分の中間の領域(図5の領域K13)についても、図1〜図4で説明した工程を順次繰り返して、所定深度分だけ引き上げて、改良された領域を垂直方向について延伸する。
これにより、連続壁W1を築造する。
【0036】
図6〜図8を参照して、第1実施形態をさらに説明する。
図7及び図8を参照して、第1実施形態で用いられる機器を説明する。
図7の(a)において、第1実施形態で用いられるベースマシン100が示されている。
ベースマシン100は、垂直部材110を有している。垂直部材110の上端部からは、ケーブル120(支持部材)によって、噴射攪拌装置10が垂下支持されている。
噴射攪拌装置10は、駆動装置7、2本の回転軸1a、1b(図7において、回転軸1bは回転軸1aに重なっている)、攪拌翼2a、2bを備えている。
【0037】
さらに、図8を参照して、噴射攪拌装置10の構成について説明する。
図8において、噴射攪拌装置10の回転軸1a、1bの先端近傍には、攪拌翼2a、2bが配置されている。
攪拌翼2a、2b各々の先端には、噴射ノズル3a、3bが設けられており、噴射ノズル3a、3bからは噴流Ja、Jb(超高圧ジェット)が水平方向に噴射される。
2本の回転軸1a、1bの攪拌翼2a、2bの上方には、オーガスクリュー4a、4bが形成されている。このオーガスクリュー4a、4bは、攪拌翼2a、2bによって切削、攪拌された地盤を、排土Gxとして地表Gf側に移動させる昨日を有している(図8の(8a)参照)。
なお、図8(8a)において、符号5で示す部材は干渉バンドであり、2本の回転軸1a、1bが衝突しない様にするための部材である。
【0038】
図8の(8b)においても、符号20は、攪拌翼2a、2bにより地盤Gが攪拌された領域(機械攪拌部)を示し、符号30は、噴流(超高圧ジェット)Ja、Jbによって切削、攪拌された領域(超高圧ジェット攪拌部)を示している。
機械攪拌部20及び超高圧ジェット攪拌部30は、超高圧ジェットに含まれる改良材(固化材、硬化材、注入材、地盤改良材)により、改良される(例えば、固結して、地中固結体となる)。
図1〜図5を参照して上述した様に、第1実施形態で改良された領域の水平断面形状は、図8の(8b)で示す様な形状ではなく、図5の領域K11〜K13の様な形状となる。換言すれば、図8の(8b)は、第1実施形態で用いられる機器の説明のためのみに用いられる水平断面図である。
【0039】
改良された領域の水平断面形状は、図示の実施形態では、
機械攪拌部20の直径D20が 1.0m≦D20≦1.6m、
超高圧ジェット攪拌部の幅D30が、 1.6m≦D30、
2軸の中心間距離Labが 0.8m≦Lab≦2.2m、
となっている(図8(8b)参照)。
【0040】
以下、図6及び図7を参照して、第1実施形態における施工手順を説明する。
図6のステップS1(施工機の位置決め)において、先ず、ベースマシン(施工機)100を施工領域の上方の所定位置に設置する(図7(a)参照)。
【0041】
図6の第2ステップS2(嵌入・排土)では、ベースマシン100の噴射攪拌装置10を下降させつつ、回転軸1a、1b先端の攪拌翼2a、2bを回転させ、地中に攪拌翼2a、2bを嵌入しながら削孔する。
図6のステップS3では、噴射攪拌装置10が所定の深度、すなわち、改良するべき領域の(例えば)最深部に到達したか否かを判断する(図7(c)参照)。
【0042】
図6のステップS4(引抜き・噴射攪拌)では、噴射攪拌装置10の図示しない噴射ノズルから、超高圧の噴流(改良材のジェット、或いは、改良材及び高圧エアのジェット)を噴射しつつ、攪拌装置10を回転する(図7(d)参照)。
回転軸2a、2bの回転速度(角速度)v1〜v3及び切削距離(到達距離)r1〜r3は、図1〜図4で説明したと同様に、噴流が噴射される領域によって異なっている。
ここで、回転軸2a、2bの回転速度(角速度)v1〜v3に代えて、噴流Ja、Jbの噴射圧力、噴射流量を変動することにより、噴流の切削距離を変動しても良い。図1〜図4において、噴流の噴射圧力、流量が増大すれば、切削距離r1、r2、r3が長くなり、噴射圧力、噴射流量が減少すれば、切削距離r1、r2、r3は短くなる。
【0043】
図6のステップS5では、図1〜図4で示す工程により、領域E1a〜E4a、E1b〜E4bの改良が完了したか否かを判断する。領域E1a〜E4a、E1b〜E4bの改良が完了していない場合には、ステップS4、ステップS5を繰り返す(ステップS5がNoのループ)。
領域E1a〜E4a、E1b〜E4bの改良が完了したならば(ステップS5が、Yes)、噴射攪拌装置10を所定量だけ引き上げる(ステップS6)。ステップS6における噴射攪拌装置10の引き上げ量(所定量)は、改良するべき地盤の性質や施工条件によりケース・バイ・ケースで予め決定される。
【0044】
噴射攪拌装置10を所定量だけ引き上げたならば、垂直方向について、改良するべき領域が全て改良されたか否かを判断する(ステップS7)。
垂直方向について、改良するべき領域が全て改良されていなければ(ステップS7でNo)、ステップS4に戻り、図9〜図12で説明した工程を順次繰り返す(ステップS7がNoのループ)。
垂直方向について、改良するべき領域が全て改良されれば(ステップS7でYes)、ベースマシン(施工機)100を設置した箇所の改良は完了する。すなわち、深度方向の所定の領域について、図1〜図4で示す様に、地盤が改良される。
【0045】
第1実施形態によれば、図1〜図4で示すように、攪拌装置10からの噴流Ja、Jbが、上述した様に噴射され、矢印Hについて線対称となる様に噴射されるため、攪拌装置10が半回転すれば、長方形状に近い形状の領域が改良される。
そのため、投入する材料の消費量及び施工のためのエネルギーを削減すると共に、改良時間も短縮できて、効率的な地盤改良が可能となる。
ここで、地盤が硬く、噴流による切削が困難な場合であっても、噴流による切削を繰り返すことにより、地盤を上述した形状に切削し、改良することが出来る。
【0046】
次に、図9〜図15を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。
ここで、図9〜図15において、図1〜図8で示すのと同様な部材や領域については、同様な符号が付されている。
図1〜図8の第1実施形態は、特に図1〜図4で示すように、改良される区画を4区間に分けて、噴射攪拌装置10の回転速度(角速度)、或いは、噴射圧力、噴射流量を変化させている。
それに対して、図9〜図15の第2実施形態では、図9〜図14で示すように、改良される区画を6区画に分けて、噴射攪拌装置10の回転速度(角速度)、或いは、噴射圧力、噴射流量を変化させている。
【0047】
図9で示す工程では、噴射攪拌装置10(図9〜図14では明示せず)から噴射される噴流は、回転軸1aの中心Caと回転軸1bの中心Cbとを結んだ直線(矢印H)の方向で、他の回転軸の反対側の方向(矢印H方向)に噴射されており、第1実施形態における図1で示す工程と概略同様である。
図9において、噴流により改良される領域は、それぞれ符号E11a、E11bで示されている。ここで、領域E11a、E11bの範囲は、図1における領域E1a、E1bに比較して、若干、狭く設定されている。
なお、図9〜図15の第2実施形態では、噴射攪拌装置10が回転する方向(図9では矢印V11方向)は反時計方向であり、図1〜図8の第1実施形態とは逆方向に図示されている。ただし、噴射攪拌装置10が回転する方向は、図1〜図8の第1実施形態と同じ時計方向であっても良い。
【0048】
図9に続く工程が図10で示されている。図10で示す工程では、噴流は、回転軸1aの中心Caと回転軸1bの中心Cbとを結んだ直線(矢印H)に対して、概略45°傾斜した角度の方向(矢印Hから傾斜している範囲)に噴射されている。そして、図10において地盤改良される領域(矢印Hから傾斜している範囲の地盤改良領域)は、符号E112a、E112bで示されている。
領域E112a、E112bの回転軸1aの中心Caと回転軸1bの中心Cbにおける中心角は、領域E11a、E11bの回転軸1aの中心Caと回転軸1bの中心Cbにおける中心角よりも小さく設定されている。
また、領域E112a、E112bの回転軸1aの中心Caと回転軸1bの中心Cbからの距離(半径方向距離:噴流到達距離)は、図9で示す工程で地盤改良させれた領域E11a、E11bの回転軸1aの中心Caと回転軸1bの中心Cbからの距離(半径方向距離:噴流到達距離)よりも長い。すなわち、領域E112a、E112bを地盤改良している場合における噴流(或いは、噴射攪拌装置10)の回転速度は、領域E11a、E11bを地盤改良している場合における噴流(或いは、噴射攪拌装置10)の回転速度よりも遅い。
【0049】
図10の工程に続き、図11で示す工程が行なわれる。
図11で示す工程では、噴流は、回転軸1aの中心Caと回転軸1bの中心Cbとを結んだ直線(矢印H)と垂直な方向(図11の矢印V方向)に噴射される。より詳細には、直線H(矢印H)と垂直な方向(矢印V方向)に対して、傾斜した方向(矢印Hと垂直な方向に対して傾斜している範囲)に噴射されている。
図11において、噴流により改良される領域は、符号E12a、E12bで示されている。
【0050】
領域E12a、E12bの回転軸1aの中心Caと回転軸1bの中心Cbにおける中心角は、領域E112a、E112bの回転軸1aの中心Caと回転軸1bの中心Cbにおける中心角に概略等しい。
そして、領域E12a、E12bの回転軸1aの中心Caと回転軸1bの中心Cbからの距離(半径方向距離:噴流到達距離)は、図9で示す工程で地盤改良させれた領域E11a、E11bの回転軸1aの中心Caと回転軸1bの中心Cbからの距離(半径方向距離:噴流到達距離)と等しい。換言すれば、領域E12a、E12bを地盤改良している場合における噴流(或いは、噴射攪拌装置10)の回転速度は、領域E11a、E11bを地盤改良している場合における噴流(或いは、噴射攪拌装置10)の回転速度と等しい。
【0051】
図11で示す工程に続き、図12の工程が行なわれる。
図12で示す工程では、噴射攪拌装置10から噴射される噴流は、回転軸1aの中心Caと回転軸1bの中心Cbとを結んだ直線の方向で反対側の回転軸に向かう方向(矢印Hとは逆方向)へ噴射されており、第1実施形態における図3で示す工程と概略同様である。
図12において、噴流により改良される領域は、それぞれ符号E13a、E13bで示されている。
領域E13a、E13bの回転軸1aの中心Caと回転軸1bの中心Cbからの距離(半径方向距離:噴流到達距離)は、図9、図11における地盤改良された領域E11a、E11b、E12a、E12bの回転軸1aの中心Caと回転軸1bの中心Cbからの距離(半径方向距離:噴流到達距離)と等しい。換言すれば、領域E13a、E13bを地盤改良している場合における噴流(或いは、噴射攪拌装置10)の回転速度は、領域E11a、E11b、E12a、E12bを地盤改良している場合における噴流(或いは、噴射攪拌装置10)の回転速度よりも速い。
【0052】
図12の工程の後、図13で示す工程が行なわれる。
図13で示す工程では、回転軸1aの中心Caと回転軸1bの中心Cbとを結んだ直線(矢印H)に対して、図11の工程で地盤改良された領域E12a、E12bと、線対称に位置する領域E14a、E14bを地盤改良している。換言すれば、領域E14a、E14bを地盤改良する噴流の噴射方向は、領域E12a、E12bを地盤改良する噴流の噴射方向と、回転軸1aの中心Caと回転軸1bの中心Cbとを結んだ直線(矢印H)に対して、線対称な方向である。
そして、回転軸1aの中心Caと回転軸1bの中心Cbにおける中心角は、領域E12a、E12bの回転軸1aの中心Caと回転軸1bの中心Cbにおける中心角に等しく、領域E14a、E14bの回転軸1aの中心Caと回転軸1bの中心Cbからの距離(半径方向距離:噴流到達距離)は、領域E12a、E12bの回転軸1aの中心Caと回転軸1bの中心Cbからの距離(半径方向距離:噴流到達距離)と等しい。換言すれば、領域E14a、E14bを地盤改良している場合における噴流(或いは、噴射攪拌装置10)の回転速度は、領域E12a、E12bを地盤改良している場合における噴流(或いは、噴射攪拌装置10)の回転速度と等しい。
【0053】
図13の工程に続き、図14で示す工程が実行される。
図14の工程では、回転軸1aの中心Caと回転軸1bの中心Cbとを結んだ直線(矢印H)に対して、図10の工程で地盤改良された領域E112a、E112bと、線対称に位置する領域E141a、E141bを地盤改良している。換言すれば、領域E141a、E141bを地盤改良する噴流の噴射方向は、領域E112a、E112bを地盤改良する噴流の噴射方向と、回転軸1aの中心Caと回転軸1bの中心Cbとを結んだ直線(矢印H)に対して、線対称な方向である。
そして、領域E141a、E141bの回転軸1aの中心Caと回転軸1bの中心Cbにおける中心角は、領域E112a、E112bの回転軸1aの中心Caと回転軸1bの中心Cbにおける中心角に等しく、領域E141a、E141bの回転軸1aの中心Caと回転軸1bの中心Cbからの距離(半径方向距離:噴流到達距離)は、領域E112a、E112bの回転軸1aの中心Caと回転軸1bの中心Cbからの距離(半径方向距離:噴流到達距離)と等しい。換言すれば、領域E141a、E141bを地盤改良している場合における噴流(或いは、噴射攪拌装置10)の回転速度は、領域E112a、E112bを地盤改良している場合における噴流(或いは、噴射攪拌装置10)の回転速度と等しい。
【0054】
図9〜図14で示す工程により、領域E11a、E112a、E12a、E13a、E14a、E141a、E11b、E112b、E12b、E13b、E14b、E141bの改良が完了したならば、第1実施形態と同様に、噴射攪拌装置10を、改良するべき地盤の性質や施工条件によりケース・バイ・ケースで予め決定される所定深度分だけ引き上げて、改良された領域を、垂直方向について延伸する。
所定深度分だけ引き上げたならば、図9〜図14で説明した工程を順次繰り返す。
【0055】
所定の領域について、垂直方向に必要な範囲だけ地盤を改良したならば(図15の領域K21)、造成するべき連続壁の他の部分(例えば、図15の領域K22)について、図9〜図14で説明した工程を順次繰り返し、所定深度分だけ引き上げて、改良された領域を垂直方向について延伸する。
そして、改良された部分の中間の領域(例えば、図15の領域K23)についても、図9〜図14で説明した工程を順次繰り返して、所定深度分だけ引き上げて、改良された領域を垂直方向について延伸する。
これにより、連続壁W2を築造する。
【0056】
上述した様に、図9〜図14においても、改良される区画毎に、噴射攪拌装置10の回転速度(角速度)を変化させることに代えて、噴射圧力、噴射流量を変化させることが可能である。噴流の噴射圧力、流量が増大すれば、噴流到達距離が長くなり、噴射圧力、噴射流量が減少すれば、噴流到達距離は短くなる。
【0057】
第2実施形態では、第1実施形態と同様に、攪拌装置10が半回転すれば、長方形状に近い形状の領域が改良される。そのため、投入する材料の消費量及び施工のためのエネルギーを削減すると共に、改良時間も短縮できて、効率的な地盤改良が可能となる。
ここで、地盤が硬く、噴流による切削が困難な場合であっても、噴流による切削を繰り返すことにより、地盤を上述した形状に切削し、改良することが出来る。
これに加えて第2実施形態では、地盤改良をするべき領域を、さらに細かく分割(第1実施形態の4区画から6区画に区画数を増加)しているので、連続壁(地中固結体)の必要最低厚み(矢印V方向の寸法)tを超える領域を改良してしまう割合がさらに減少して、投入する材料の消費量及び施工のためのエネルギーがより削減され、地盤改良の効率がさらに向上する。
第2実施形態における上述した以外の構成及び作用効果については、図1〜図8の第1実施形態と同様である。
【0058】
図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定する趣旨の記述ではない。
例えば、第1実施形態では、噴射攪拌装置10、10Aは時計方向に回転して改良材等を噴射しているが、反時計方向に回転させても良い。一方、第2実施形態では、噴射攪拌装置10を時計方向に回転させても良い。
【符号の説明】
【0059】
1a、1b・・・回転軸
2a、2b・・・攪拌翼
3a、3b・・・噴射手段/噴射ノズル
10、10A・・・二軸式機械攪拌装置/攪拌装置
20・・・機械攪拌部
30・・・超高圧ジェット攪拌部
100・・・ベースマシン/三点支持式杭打ち機
【特許請求の範囲】
【請求項1】
噴射攪拌装置により、地盤改良するべき領域までボーリング孔を削孔する工程を含み、
噴射攪拌装置は、2本の回転軸と、2本の回転軸の各々に設けられた攪拌手段及び噴射手段を有しており、
噴射攪拌装置の攪拌手段により原位置土を攪拌しつつ、噴射攪拌装置の噴射手段から改良材を包含する噴流を噴射して原位置土を切削し、以って、改良材と原位置土を混合、攪拌することにより改良する工程を含み、
当該改良する工程では、噴流が噴射攪拌装置の2本の回転軸を結ぶ直線方向であって、且つ、2本の回転軸から離隔する方向に噴射される場合には、当該噴流の切削距離を長くし、
噴流が噴射攪拌装置の2本の回転軸を結ぶ直線と直交する方向に噴射される場合には、当該噴流の切削距離を短くし、
噴流が噴射攪拌装置の2本の回転軸を結ぶ直線方向であって、且つ、2本の回転軸に向かう方向に噴射される場合には、当該噴流の切削距離をさらに短くすることを特徴とする地盤改良工法。
【請求項2】
噴射攪拌装置により、地盤改良するべき領域までボーリング孔を削孔する工程を含み、
噴射攪拌装置は、2本の回転軸と、2本の回転軸の各々に設けられた攪拌手段及び噴射手段とを有しており、
噴射攪拌装置の攪拌手段により原位置土を攪拌しつつ、噴射攪拌装置の噴射手段から改良材を包含する噴流を噴射して原位置土を切削し、以って、改良材と原位置土を混合、攪拌することにより改良する工程を含み、
当該改良する工程では、噴流が噴射攪拌装置の2本の回転軸を結ぶ直線から傾斜した方向であって、且つ、2本の回転軸から離隔する方向に噴射される場合には、当該噴流の切削距離を長く設定し、
噴流が噴射攪拌装置の2本の回転軸を結ぶ直線方向であって、且つ、2本の回転軸に向かう方向に噴射される場合には、当該噴流の切削距離を短く設定し、
噴流が上記2種類の領域の間の領域に噴射される場合には、当該噴流の切削距離は、上記2種類の領域における噴流の切削距離の中間の値となる様に設定することを特徴とする地盤改良工法。
【請求項1】
噴射攪拌装置により、地盤改良するべき領域までボーリング孔を削孔する工程を含み、
噴射攪拌装置は、2本の回転軸と、2本の回転軸の各々に設けられた攪拌手段及び噴射手段を有しており、
噴射攪拌装置の攪拌手段により原位置土を攪拌しつつ、噴射攪拌装置の噴射手段から改良材を包含する噴流を噴射して原位置土を切削し、以って、改良材と原位置土を混合、攪拌することにより改良する工程を含み、
当該改良する工程では、噴流が噴射攪拌装置の2本の回転軸を結ぶ直線方向であって、且つ、2本の回転軸から離隔する方向に噴射される場合には、当該噴流の切削距離を長くし、
噴流が噴射攪拌装置の2本の回転軸を結ぶ直線と直交する方向に噴射される場合には、当該噴流の切削距離を短くし、
噴流が噴射攪拌装置の2本の回転軸を結ぶ直線方向であって、且つ、2本の回転軸に向かう方向に噴射される場合には、当該噴流の切削距離をさらに短くすることを特徴とする地盤改良工法。
【請求項2】
噴射攪拌装置により、地盤改良するべき領域までボーリング孔を削孔する工程を含み、
噴射攪拌装置は、2本の回転軸と、2本の回転軸の各々に設けられた攪拌手段及び噴射手段とを有しており、
噴射攪拌装置の攪拌手段により原位置土を攪拌しつつ、噴射攪拌装置の噴射手段から改良材を包含する噴流を噴射して原位置土を切削し、以って、改良材と原位置土を混合、攪拌することにより改良する工程を含み、
当該改良する工程では、噴流が噴射攪拌装置の2本の回転軸を結ぶ直線から傾斜した方向であって、且つ、2本の回転軸から離隔する方向に噴射される場合には、当該噴流の切削距離を長く設定し、
噴流が噴射攪拌装置の2本の回転軸を結ぶ直線方向であって、且つ、2本の回転軸に向かう方向に噴射される場合には、当該噴流の切削距離を短く設定し、
噴流が上記2種類の領域の間の領域に噴射される場合には、当該噴流の切削距離は、上記2種類の領域における噴流の切削距離の中間の値となる様に設定することを特徴とする地盤改良工法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−107463(P2012−107463A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−258548(P2010−258548)
【出願日】平成22年11月19日(2010.11.19)
【出願人】(390002233)ケミカルグラウト株式会社 (79)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月19日(2010.11.19)
【出願人】(390002233)ケミカルグラウト株式会社 (79)
【Fターム(参考)】
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