説明

地盤改良装置及び地盤の改良工法

【課題】軟弱地盤の表層部又は深度方向における中間層部を均一な品質の固化地盤に改良する地盤改良装置及び地盤の改良工法を提供すること。
【解決手段】地中に貫入及び引上げされる基部1と、基部1に対して鉛直方向に摺動可能に且つ基部1の前後方向における一方の側部に設置される可動部2、3と、地上から供給される固化材を地中に吐出する固化材吐出口と、基部1に付設される鉛直方向に所定のピッチで左右方向に延出する第1攪拌両翼12と、可動部2、3に付設される鉛直方向に所定のピッチで第1攪拌両翼12と同じ方向に延出する第2攪拌両翼22、第3攪拌両翼32と、可動部2、3を基部1に対して所定のストロークで往復上下動させ、第1攪拌両翼12、第2攪拌両翼22及び第3攪拌両翼32により地盤にせん断力を与えて地中攪拌を行なう地盤改良装置10。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軟弱地盤の表層部又は深度方向における中間層部を均一な品質の固化地盤に改良するか、あるいは汚染地盤を浄化する地盤改良装置及び地盤の改良工法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
干潟、浚渫埋め立て地などの軟弱地盤の表層部の地盤改良工法として、セメントミルクなどの固化材を軟弱地盤と攪拌混合して、該混合物を固化させることにより地盤の土質を改良する地盤改良工法がある。
【0003】
このような地盤改良工法としては、作業機側に取着するための取着手段と、攪拌手段と、を備え、上記攪拌手段は、上部回転軸と、下部回転軸と、上記両回転軸間に設けてある中間部材と、上記両回転軸間に所要間隔を設けて並設してある無端状の搬送チェーンと、該搬送チェーン間に架設されており、かつ搬送方向に所要間隔で設けてある攪拌部材と、上記搬送チェーンを駆動させる駆動手段と、を備える軟弱地盤攪拌機を用いて軟弱な地盤を土質改良する地盤改良工法が知られている(特開平09−143980号公報)。この地盤改良工法によれば、攪拌時において搬送チェーンの脱落の危険性がなく、かつ攪拌抵抗を減少させることで攪拌効率を向上させることができる。
【特許文献1】特開平09−143980号公報(請求項1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の軟弱地盤攪拌機は、チェーンを一方向に走行させるだけで、地盤を強制的にせん断するものではない。このため、均一な攪拌混合を行なうには、十分な時間をかける必要があった。また、深度方向全体の攪拌を行なうため、深度方向における中間層部の改良を行なうことはできなかった。なお、深度方向における中間層部を改良する工法とは、例えば、表層部は改良を行なわず、表層部以下の所定深度について改良を行ない、その後、表層部の土砂を撤去して改良された凹部地盤を得るような工法を言う。
【0005】
また、近年、揮発性有機塩素化合物(VOC)を含む汚染土壌を浄化する方法として、汚染地盤に金属触媒を添加し、金属触媒による還元分解反応により、低分子量のエチレンガスやアセチレンガスと分解し、最終的には炭酸ガスへと分解する方法が採用されている。このような汚染土壌の浄化工法においても、地盤に強制的な攪拌混合を与える地盤改良装置の開示が望まれていた。
【0006】
従って、本発明の目的は、地盤を強制的なせん断力により攪拌混合するることができ、地盤の表層部又は深度方向における中間層部を均一な品質の改良地盤に改良する地盤改良装置及び地盤の改良工法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる実情において、本発明者らは鋭意検討を行った結果、従来の攪拌プレートを取り付けたチェーンを上下方向に循環走行させる攪拌混合機構とは全く異なり、一対の攪拌両翼を相対的に往復上下動させることで地盤に強制的なせん断力を与えるような装置を使用すれば、軟弱地盤の表層部あるいは深度方向における中間層部を均一な品質の改良地盤に改良することができることなどを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明(1)は、鉛直方向に所定の長さを有し地中に貫入及び引上げされる基部と、鉛直方向に所定の長さを有し該基部に対して鉛直方向に摺動可能に且つ該基部の前後方向における一方の側部に設置される可動部と、地上から供給される改良材を地中に吐出する改良材吐出口と、該基部に付設される鉛直方向に所定のピッチで左右方向に延出する第1攪拌両翼と、該可動部に付設される鉛直方向に所定のピッチで該第1攪拌両翼と同じ方向に延出する第2攪拌両翼と、該可動部を該基部に対して所定のストロークで往復上下動させ、該第1攪拌両翼と該第2攪拌両翼間の地盤にせん断力を与える可動部駆動手段と、を備える地盤改良装置を提供するものである。
【0009】
また、本発明(2)は、鉛直方向に所定の長さを有し地中に貫入及び引上げされる基部と、鉛直方向に所定の長さを有し基部に対して鉛直方向に摺動可能に且つ該基部の前後方向における両側部にそれぞれ設置される第1可動部及び第2可動部と、地上から供給される改良材を地中に吐出する改良材吐出口と、該第1可動部に付設される鉛直方向に所定のピッチで左右方向に延出する第2攪拌両翼と、該第2可動部に付設される鉛直方向に所定のピッチで該第2攪拌両翼と同じ方向に延出する第3攪拌両翼と、該第1可動部及び第2可動部を該基部に対して所定のストロークでそれぞれ往復上下動させ、該第1攪拌両翼と該第2攪拌両翼間及び該第1攪拌両翼と該第3攪拌両翼間のそれぞれの地盤にせん断力を与える第1可動部駆動手段及び第2可動部駆動手段と、を備える地盤改良装置を提供するものである。
【0010】
また、本発明(3)は、前記(1)の地盤改良装置の基部を地盤に貫入し、地表から又は所定の深度から地盤中に改良材を吐出し、該改良材を吐出しつつ該可動部を該基部に対して所定のストロークで往復上下動させ、該第1攪拌両翼と該第2攪拌両翼により地盤にせん断力を与えてほぐしつつ、該改良材と攪拌混合する工程を有する地盤の改良工法を提供するものである。
【0011】
また、本発明(4)は、前記(2)の地盤改良装置の基部を地盤に貫入し、地表から又は所定の深度から地盤中に改良材を吐出し、該改良材を吐出しつつ該第1可動部及び第2可動部を該基部に対してそれぞれ同期又は同期させることなく所定のストロークで往復上下動させ、該第2攪拌両翼と該第3攪拌両翼により地盤にせん断力を与えてほぐしつつ、該改良材と攪拌混合する工程を有する地盤の改良工法を提供するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の地盤改良装置において、可動部を、第2攪拌両翼(第3攪拌両翼)が基部の第1攪拌両翼とすれ違うように往復上下動させ、且つ改良材の噴射位置を制御すれば、深度方向における中間層部を均一な品質の改良地盤に改良することができる。また、基部の下端部にローラを設置した地盤改良装置を用いローラを回転させながら水平掘進させれば、基部の下端部が進行方向に先行して進むため、地盤改良装置を押し込む作用力を低減することができる。また、斜め傾斜姿勢の地盤改良装置をローラを回転させながら水平方向に掘進し、更に昇降移動させれば、該地盤改良装置がオービタル軌道を描く移動をするため、攪拌効率を一層向上させる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の第1の実施の形態における地盤改良装置を図1〜図3を参照して説明する。図1は本例の地盤改良装置の斜視図、図2は図1の地盤改良装置の分解斜視図、図3は図1の地盤改良装置を地上の補助機械に設置した斜視図をそれぞれ示す。なお、本明細書において、地盤改良装置の「前」は、地中の水平掘進方向に向かう側を言い、「後」はその逆方向を言う。また、「左右」は、地盤改良装置の前方側を正面視した際の方向を言う。
【0014】
なお、本発明において、改良材としては、固化材又は浄化材が挙げられるが、先ず第1の実施の形態として、改良材として固化材を使用した形態について説明する。
【0015】
地盤改良装置10は、地上の補助機械であるバックホー50に連結される鉛直方向に所定の長さを有し地中に貫入及び引上げされる板状の基部1と、鉛直方向に所定の長さを有し基部1に対して鉛直方向に摺動可能に且つ基部1の前後方向における一方の側部191に設置される第1可動部2と、第1可動部2と同じ形状であって基部1の前後方向における他方の側部192に設置される第2可動部3と、地上から供給される固化材を地中に吐出する固化材吐出口(図1〜図3では不図示)と、基部1に付設される鉛直方向に所定のピッチで左右方向に延出する第1攪拌両翼12と、第1可動部2に付設される鉛直方向に所定のピッチで第1攪拌両翼12と同じ方向に延出する第2攪拌両翼22と、第2可動部3に付設される鉛直方向に所定のピッチで第1攪拌両翼12と同じ方向に延出する第3攪拌両翼32と、第1可動部2を基部1に対して所定のストロークで往復上下動させ、第1攪拌両翼12と第2攪拌両翼22間の地盤にせん断力を与える第1油圧シリンダー14(第1可動部駆動手段)と、第2可動部3を基部1に対して所定のストロークで往復上下動させ、第1攪拌両翼12と第3攪拌両翼32間の地盤にせん断力を与える第2油圧シリンダー15(第2可動部駆動手段)とを備えるものである。
【0016】
基部1の上部には、第1可動部2を所定のストロークで往復上下動させる第1油圧シリンダー14と、第2可動部3を所定のストロークで往復上下動させる第2油圧シリンダー15と、基部1に第1油圧シリンダー14及び第2油圧シリンダー15を固定するための固体板17と、基部1を補強するための補強板18と、バックホーとの接合を行なうピン孔16を備えている。第1油圧シリンダー14は、油圧シリンダー本体141、ロッド142及び第1可動部2の接合部211と接合する継手143を備えている。第2油圧シリンダー15は、同様に、油圧シリンダー本体151、ロッド152及び第2可動部3の接合部311と接合する継手153を備えている。第1油圧シリンダー14及び第2油圧シリンダー15は、地上の油圧ユニットに不図示の油圧ホースで連結されている。第1油圧シリンダー14のロッド142及び第2油圧シリンダー15のロッド152は、制御装置により同期又は同期することなく、所定のストロークで往復運動する。所定のストロークは、例えば第1攪拌両翼12〜第3攪拌両翼32が鉛直方向に略同じ間隔で設置されている場合、攪拌両翼の鉛直方向の設置間隔か、あるいはそれより少し大となる寸法で十分である。
【0017】
基部1の形状は、本例の板状のものに限定されず、矩形断面の中空管なども使用できる。また、第1可動部2の駆動源である第1油圧シリンダー14及び第2可動部3の駆動源である第2油圧シリンダー15は、これに限定されず、例えば油圧モータや電動モータなどのモータ、あるいは空気圧シリンダーなども使用できる。モータの場合、クランクやカムを設置することで、第1可動部2や第2可動部3を往復運動させることができる。
【0018】
基部1の鉛直方向中央部から下方に向けて複数個設置される第1攪拌両翼12の鉛直方向におけるピッチ(設置間隔)や設置個数(本例では5つ)は、地盤の土質やせん断効率の観点から適宜決定される。また、第1攪拌両翼12の断面形状は、本例では菱形であるが、これに限定されず、矩形断面のものであってもよい。
【0019】
また、基部1の下方には、左右方向に突出する突起部13a、13bを形成している。突起部13a、13bは、第1可動部2及び第2可動部3の縦案内スリット23、33に遊嵌して第1可動部2及び第2可動部3の往復上下動を案内するものである。
【0020】
基部1の下端部には、図4に示すように、水平掘進方向に対して転がるような方向に回転するローラ8を、更に設置するのがよい。図4は基部1の下端部の部分拡大図である。ローラ8は、ローラ8を回転させる別途の駆動装置はなくてもよいが、正転及び逆転させる別途の駆動装置を設置したほうが、オービタル軌道を描く地盤攪拌ができると共に、基部を作動させる地上の補助機械の作用力を低減することができる点で好ましい。また、地上に別途の駆動装置を設置せずとも、基部1に対する第1可能部2又は第2可動部3との往復移動のエネルギーを動力とする駆動手段を設置することもできる。このような往復移動のエネルギーを動力とする駆動手段としては、クランク機構又はカム機構が挙げられる。
【0021】
基部1の下端部にローラ8を設置した地盤改良装置10を用い、ローラ8を回転させながら水平掘進させれば、ローラ8の前進運動により、基部1の下端部が進行方向に先行して進むため、基部を作動させる地上の補助機械の作用力を低減することができる。また、地盤中、地盤改良装置10を掘進方向に対して下り傾斜に設置し、掘進運動に加えて、上下に昇降させれば、装置10が地盤の鉛直方向に対してオービタル(楕円)軌道を描くため、より一層攪拌効率が向上する。ローラ8は、図4のように基部1の両側に、ローラ8の設置面が基部1の下端より更に下方位置となるよう一対で設置する形態の他、基部1の端部に1個設置するものであってもよい。ローラ8は平面視で攪拌両翼内に収まるように設置される。ローラ8の回転速度は水平掘進速度に応じて適宜決定される。また、ローラ8の回動面82に、小さなビット81を多数設置することが、基部1の地盤への貫入や地中水平掘進移動を容易にさせる点で好ましい。
【0022】
次ぎに、第1可動部2及び第2可動部3を説明するが、両部材は同じ形状であるため、第1可動部2を説明し、第2可動部3の説明を省略する。第1可動部2は、所定長さと幅の板状物であり、基部1と係止する側には、基部1の厚みよりやや大きな幅で上下端に至る案内溝214が形成され、上方には油圧シリンダー14の継手143とピン結合するピン孔312を有する上部結合部211が形成され、下方基部1側の出っ張り状部213には、基部1の突起部13aを係止する縦案内スリット23が形成されている。
【0023】
また、第1可動部2に複数個設置される第2攪拌両翼22の鉛直方向におけるピッチ(設置間隔)や設置個数(本例では7つ)は、地盤の土質やせん断効率の観点から適宜決定される。また、第2攪拌両翼22の設置形状や断面形状は、本例では菱形断面形状で外側に向けて下り傾斜に設置されているが、これに限定されず、断面形状は矩形断面であってもよく、また水平設置であってもよい。第1可動部2における第2攪拌両翼22の設置位置は、油圧シリンダー14の最大又は最小ストローク位置において、基部1の第1攪拌両翼12間の中間位置になるようにするのがよい。すなわち、第1攪拌両翼12と第2攪拌両翼22が側面視で交互に配置されていることが、小さな往復上下動で攪拌効率を高めることができる点で好ましい。
【0024】
第1可動部2及び第2可動部3の形状は、上記のものに限定されず、例えば図5に示すような、コ字状断面の管状部材であってもよい。また、第1可動部2及び第2可動部3の下端には複数個の尖り部6を設けて、貫入を容易にすることもできる(図5参照)。また、第2攪拌両翼22と第3攪拌両翼32の先端部の水平掘進方向の前後面には、ビット221、321を形成して攪拌効率を高めるようにしてもよい。ビット221、321は、往復上下動の際、基部1の第1攪拌両翼12に激突しない高さとなるように形成される。
【0025】
地盤改良装置10は、基部1に第1可動部2及び第2可動部3を組み付けることで形成される。組み付け後の地盤改良装置10は、図1に示すように、第1攪拌両翼12、第2攪拌両翼22及び第3攪拌両翼32の全てが、水平掘進方向に対して直交する方向(左右方向)に延びており、且つ水平掘進方向(側面視)において互いが数cm程度の隙間を有している。また、第1攪拌両翼12と第2攪拌両翼22、あるいは第1攪拌両翼12と第3攪拌両翼32はそれぞれ側面視で交互に配置されている。このような構造を採ることにより、第1攪拌両翼12と第2攪拌両翼22間、第1攪拌両翼12と第3攪拌両翼32間に介在する土砂に対して好適なせん断を与えることができる。なお、本例では第1攪拌両翼12、第2攪拌両翼22及び第3攪拌両翼32共に、主たる5本の攪拌両翼の鉛直方向における設置間隔は同じである。なお、第2攪拌両翼22及び第3攪拌両翼32のそれぞれ下方の2本の設置間隔はやや狭いものの、上方の5本の設置間隔と同じであってもよい。
【0026】
基部1と、第1可動部2又は第2可動部3の係止形態としては、上記係止形態に限定されず、例えば、基部1に凹部断面又は凸部断面の縦状案内部を形成し、これと係止する凸部断面又は凹部断面の縦状案内部を第1可動部2又は第2可動部3に形成するものであってもよい。
【0027】
また、本発明の地盤改良装置としては、上記地盤改良装置10(第1の地盤改良装置)以外に、地盤改良装置10において第1可動部2又は第2可動部3のいずれか一方の設置を省略した装置(第2の地盤改良装置)及び地盤改良装置10において基部1の第1攪拌両翼12の設置を省略した装置(第3の地盤改良装置)が挙げられる。
【0028】
第2の地盤改良装置においては、基部1の第1攪拌両翼12と一方の第1可動部2の第2攪拌両翼22により、あるいは基部1の第1攪拌両翼12と一方の第2可動部3の第3攪拌両翼32により地盤にせん断力を与えて地中攪拌を行なうものである。第2の地盤改良装置は、対向する2列の攪拌両翼によりせん断を行なうため、3列の攪拌両翼でせん断を行なう地盤改良装置10より、同じ往復上下動条件ではせん断力で劣るものの、同様の効果を奏する。
【0029】
第3の地盤改良装置においては、第1可動部2の第2攪拌両翼22と第2可動部3の第3攪拌両翼32により地盤にせん断力を与えて地中攪拌を行なうものである。第3の地盤改良装置は、対向する2列の攪拌両翼によりせん断を行なうため、3列の攪拌両翼でせん断を行なう地盤改良装置10より、同じ往復上下動条件ではせん断力で劣るものの同様の効果を奏する。
【0030】
地盤改良装置10において、地上から供給される固化材を地中に吐出する固化材吐出口の設置位置としては、例えば深度方向の下方、水平掘進方向の前方又は後方の3方向の中、少なくも1方向に固化材が吐出するように設置すればよく、好適には、深度方向の下方、水平掘進方向の前方及びその後方の3方に固化材が吐出されるように設置する。固化材吐出口は、基部1、第1可動部2及び第2可動部3のいずれに設置してもよいが、第1可動部2又は第2可動部3に設置すると、往復上下動の際、吐出域が広くなり、深度方向に拡散散布ができる点で好ましい。
【0031】
固化材吐出口を基部1に設置する例を図5を参照して説明する。基部1には複数、本例では3つの中空部113を縦方向に形成し、固化材流路とする。中空部113には他端が地上の固化材供給手段に接続される配管の一端が接続される。地盤改良装置10の後方に固化材を吐出するために、基部1の後方面に固化材吐出管114を設置すると共に、第1可動部2の前面には、固化材吐出管114の開口窓211を形成して、前方への固化材吐出を可能としている。固化材吐出管114は、中空部113のひとつと連通している。開口窓211の鉛直方向の開口長さは往復上下動の範囲よりやや大とする寸法である。また、地盤改良装置10の後方に固化材を吐出するためには、同様に基部1の後面に固化材吐出管114を設置すればよい。また、地盤改良装置10の左右方向の側方に固化材を吐出するためには、例えば基部1の側面115の前後方向の中央部に固化材吐出管114を設置すればよい。基部1の側面115の前後方向の中央部に固化材吐出管114を設置すれば、第1可動部2や第2可動部3に開口窓を設ける必要がなくなる。また、地盤改良装置10の下方に固化材を吐出するためには、基部1の下端か、あるいは第1可動部2や第2可動部3の下端に固化材吐出管114を設置すればよい。なお、固化材吐出手段から固化材吐出口を接続する固化材流路は、基部1、第1可動部2及び第2可動部3の内部の中空部の他、外部配管としてもよい。
【0032】
地盤改良装置10において、固化材吐出口の設置個数や設置位置は適宜決定されるが、改良域が深度方向に深い場合、地盤改良装置10の鉛直方向の全体に所定の間隔で多数設置するのが、固化材吐出効率が向上する点で好ましい。固化材吐出口の所定の間隔としては、特に制限されないが、最小の間隔は攪拌両翼の上下方向における設置間隔である。なお、地盤改良装置10自体を昇降させる工法をとる場合、固化材吐出口の設置間隔は広く採ることができる。固化材の供給手段としては、特に制限されないが、エジェクター吐出とすることが、地盤の掘削効果や攪拌精度が向上する点で好ましい。固化材としては、液状、粉体及び粒状体並びにこれらの気体同伴体が挙げられる。
【0033】
地盤改良装置10は、複数個を準備し、前後方向または左右方向に並列配置した装置あるいは縦に直列配置した装置としても使用できる。これにより施工効率が向上する。また、地盤改良装置10をユニット化して、並列配置や直列配置ができるような接続部を設けておけば、改良域に応じた水平方向の長さ寸法や鉛直方向の長さ寸法とすることができる。
【0034】
基部1を地中に貫入あるいは引上げする地上の補助機械としては、バックホーに限定されず、台船、クレーンや杭打機などが挙げられる。補助機械は、地盤改良装置10を地中に鉛直方向、地盤改良装置10の掘進方向に対する前後又は左右における斜め方向に貫入ができ、鉛直方向への引き上げや傾斜方向への引上げができ、また水平掘進方向への前進または後退ができ、更に貫入や引き上げを行いつつ、水平掘進方向への前進または後退がでるものが好ましい。
【0035】
次ぎに、本発明の実施の形態における地盤改良工法を図6〜図10を参照して説明する。図7〜図10は本例の工法を説明するための模式図である。本例の地盤改良工法は、第1の地盤改良装置を使用した工法(第1の工法)、第2の地盤改良装置を使用した工法(第2の工法)、第3の地盤改良装置を使用した工法(第3の工法)及びこれらの地盤改良装置の基板の下端にローラを設置した装置を使用した工法(第4の工法〜第6の工法)が挙げられる。第1の工法〜第3の工法においては、2列の攪拌両翼でせん断を行うか、あるか3列の攪拌両翼でせん断を行なうかの相違はあるものの、基本工法はいずれの工法も同じであるため、第1の工法について主に説明し、他の工法の説明は省略する。
【0036】
第1の工法は、基部1を地盤60に鉛直方向(図7(A)のX方向参照)、掘進方向の前後方向における斜め方向(図7(B)のY方向)又は掘進方向の左右方向における斜め方向(不図示)に貫入し、地表から又は所定の深度から地盤中に固化材を吐出し、該固化材を吐出しつつ第1可動部2及び第2可動部3を基部1に対して所定のストロークで往復上下動させ、第1攪拌両翼と第2攪拌両翼及び第1攪拌両翼と第3攪拌両翼により地盤にせん断力を与えて地盤を攪拌する工程を有するものである。なお、図7中、黒抜き矢印は可動部の往復上下方向を示し、白抜き矢印は装置の移動方向を示す。これは以下の図面において同様である。
【0037】
なお、第2の工法においては、固化材を吐出しつつ第1可動部2(又は第2可動部3)を基部1に対して所定のストロークで往復上下動させ、第1攪拌両翼と第2攪拌両翼(第3攪拌両翼)により地盤にせん断力を与えて地盤を攪拌する。また、第3の工法においては、固化材を吐出しつつ第1可動部2及び第2可動部3を基部1に対して所定のストロークで往復上下動させ、第2攪拌両翼と第3攪拌両翼により地盤にせん断力を与えて地盤を攪拌する。なお、第1の地盤改良装置の第1可動部2又は第2可動部3のいずれか一方の油圧シリンダーの作動を停止させて第2の地盤改良装置の変形例として使用することもできる。
【0038】
第1の工法において、第1可動部2と第2可動部3は同期して又は同期することなく、交互に往復上下動させることができる。第1可動部2又は第2可動部3の往復上下動のストロークとしては、第1攪拌両翼12と第2攪拌両翼22あるいは第1攪拌両翼12と第3攪拌両翼32がすれ違う状態とする距離であり、具体的には攪拌両翼の鉛直方向の設置間隔が好適であり、最大でも攪拌両翼の鉛直方向の設置間隔の2倍である。このような小さな往復上下動であっても、装置全体長において、地盤のせん断が可能となる。このため、図6に示すように、地表から深度Hに地盤改良装置10を貫入し、水平掘進移動させて改良を行なう際、地盤改良装置10の中間部181より下方部分に固化材を吐出させるようにすれば、所定深度Hより下方の中間層の地盤61を改良することができる。このような工法は、例えば中間層の地盤61を改良後、表層部62の土砂を除去すれば、凹部が形成された改良地盤とすることができる。従来のチェーンを一方に回転させる工法では、図8(B)に示すように、固化材の吐出位置を調節しても、固化材は装置長全体に行き渡り、部分改良を行なうことは不可能であった。また、本例の地盤改良装置10において、第1可動部2又は第2可動部3の往復上下動は、地盤の状況に合わせて油圧シリンダー14、15のロッドの速度を自在に変化させれば、更に攪拌混合精度を高めることができる。
【0039】
第1の工法において、第1可動部2又は第2可動部3の往復上下動を行いつつ、地盤改良装置10を上下方向あるいは傾斜方向に昇降させることができる(図7(A)及び(B))。これにより、攪拌混合精度を高めることができる。第1工法において、水平掘進移動を伴わない場合、矩形の単杭を造成することができる。また、水平掘進移動を行なえば、壁状や格子状の改良を行なうことができる。また、水平掘進移動の際、地盤改良装置10を昇降させれば、攪拌混合精度を高めることができる(図9参照)。この地盤改良装置10の昇降幅は、固化材吐出口の深度方向における設置間隔の0.5〜1.0倍とすれば、より効率的な攪拌混合が可能となる。
【0040】
第1の工法において、平面視で広い面積を有する改良域の施工方法を図10を参照して説明する。図10中、改良はa列及びc列は往路、b列及びd列は復路であり、b列以降の改良は、近接の改良部分の未改良側の一部をラップして改良を行なう工法である。すなわち、a列の改良に際して固化材は少なくとも前方側へ吐出しつつ行う。a列の改良後、地盤改良装置10は姿勢をそのまま横移動するか、あるいは一度引上げて横移動し再貫入する。次いでb列の改良に際して固化材は少なくとも後方側へ吐出しつつ改良を行う。b列の改良後、地盤改良装置10は姿勢をそのままで横移動する。次いで同様にc列の改良を行う。これを順次繰り返して行う。なお、上記の施工においては、列変更の際、地盤改良装置10の姿勢を補助機械により180度反転して、常に前方側が同じとなるようにすることもできる。なお、地盤改良装置10を掘進方向の左右方向に傾斜させた姿勢で前方へ掘進移動させれば、例えば堤防などの法面(傾斜面)の造成が可能となる。
【0041】
第4の工法〜第6の工法においては、前記第1の工法〜第3の工法と同様に、2列の攪拌両翼でせん断を行うか、あるか3列の攪拌両翼でせん断を行なうかの相違はあるものの、基本工法はいずれの工法も同じであるため、第4の工法について主に説明する。また、第4の工法において、第1の工法と同様の実施部分についてはその説明を省略し、異なる点について主に説明する。
【0042】
第4の工法は、基部1を地盤60に直進方向又は傾斜方向に貫入し、地表から又は所定の深度から地盤中に固化材を吐出し、固化材を吐出しつつ第1可動部2及び第2可動部3を基部1に対してそれぞれ同期又は同期させることなく所定のストロークで往復上下動させ、第1攪拌両翼12と第2攪拌両翼22、及び第1攪拌両翼12と第3攪拌両翼32により地盤にせん断力を与えて地盤を攪拌し、ローラ8を回転させながら、地盤改良装置10を水平掘進方向に前進させる工法である。なお、第5の工法においては、固化材を吐出しつつ第1可動部2(又は第2可動部3)を基部1に対して所定のストロークで往復上下動させ、第1攪拌両翼と第2攪拌両翼(第3攪拌両翼)により地盤にせん断力を与えて地盤を攪拌する。また、第6の工法においては、固化材を吐出しつつ第1可動部2及び第2可動部3を基部1に対して所定のストロークで往復上下動させ、第2攪拌両翼と第3攪拌両翼により地盤にせん断力を与えて地盤を攪拌する。
【0043】
基部1の下端部にローラ8を設置した地盤改良装置10を用い、ローラ8を回転させながら水平掘進させれば、ローラ8の前進運動により、基部1の下端部が進行方向に先行して進むため、基部を作動させる地上の補助機械の作用力を低減することができる(図8参照)。この際、地盤改良装置10の昇降を併せて行なうことにより、地盤改良装置10が地盤の鉛直方向(側面視)に対してオービタル(楕円)軌道を描くため、地盤への食い込みや攪拌精度を高めることができる。また、ローラ8の回転速度は、地盤の状況、水平掘進速度などを考慮して適宜に決定される。また、地盤改良装置10を地中に貫入する際、ローラ8を回転させれば、地盤改良装置10の地中への貫入を容易にすることができる。なお、オービタル軌道攪拌は、ローラ8を付設せずとも、例えば、地上の補助機械の操作によっても達成することができる。
【0044】
次ぎに第2の実施の形態における地盤改良装置及び地盤改良工法について説明する。本例の実施の形態における地盤改良装置及び地盤改良工法において、第1の実施の形態における地盤改良装置及び地盤改良工法と同じ構成要素についてはその説明を省略し、異なる点について主に説明する。すなわち、第2の実施の形態における地盤改良装置及び地盤改良工法において、第1の実施の形態における地盤改良装置及び地盤改良工法と異なる点は、改良する対象地盤が汚染地盤である点、改良材が浄化材である点にある。
【0045】
汚染地盤としては、揮発性有機塩素化合物を含有する地盤が挙げられる。また、揮発性有機塩素化合物としては、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、ペルクロロエチレン、1,1−ジクロロエチレン、トランス−1,2−ジクロロエチレン、シス−1,2−ジクロロエチレン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、ジクロロメタンなどが挙げられる。また、汚染土壌中には、ダイオキシン類や残留農薬などが含まれていてもよい。これらの汚染物質は、大気汚染の原因となっており、大気中に放出されないよう、分解除去する必要がある。
【0046】
浄化材としては、公知の浄化材を使用でき、例えば鉄粉または酸化鉄粉が挙げられる。土壌に鉄粉または酸化鉄粉を散布することにより、揮発性有機塩素化合物が還元分解され、最終的に炭酸ガス、塩素ガス、水などの無害ガスに分解される。第2の実施の形態では、鉄粉またはマグネタイト(Fe)を含む酸化鉄粉を空気または窒素に分散させたガスを浄化材吐出口より噴射させることにより、土壌中に鉄粉または酸化鉄粉を広く分散させ、第1攪拌両翼12と第2攪拌両翼22、第1攪拌両翼12と第3攪拌両翼32あるいは第2攪拌両翼22と第3攪拌両翼32により地盤にせん断力を与えてほぐしつつ、改良材と攪拌混合する。このため、還元分解反応が促進され、汚染物質を効果的に分解させ、汚染された土壌を浄化することができる。また、本例の地盤改良工法によれば、例えば汚染地盤中の汚染区域が、地盤中、深度方向の中間部分にある場合、浄化材の噴射を当該位置に限定して行ない、当該区域の地盤に集中してせん断を与えてほぐすことができ、効果的な浄化を行うことができる。
【0047】
また、本発明においては、改質材として、固化材と浄化材を併用することができる。すなわち、地盤改良装置においては、複数の改質材吐出口の中、一部を固化材吐出口とし、他部を浄化材吐出口とすることができる。この場合、浄化材としては、空気又は窒素に、鉄粉又は酸化鉄粉末、焼き石膏及び水溶性高分子を分散させたガスとするのが好適である。これにより、固化速度を遅延させ、揮発性有機塩素化合物を分解除去して汚染土壌を浄化することができると共に、原地盤の地耐力の低下を防止して、固化地盤を造成することができる。焼き石膏は、硫酸カルシウムのニ水和物を低温加熱処理して得ることができる。また、水溶性高分子としては、凝集効果を有する高分子凝集剤が使用でき、例えばアニオン系及びノニオン系、カチオン系、両性の高分子凝集剤が好適である。なお、改質材として固化材と浄化材を併用する工法における固化材及び浄化材の詳細は、特開2006−130412号公報記載の公知の方法と同じである。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本例の地盤改良装置の斜視図。
【図2】図1の地盤改良装置の分解斜視図。
【図3】図1の地盤改良装置を地上の補助機械に設置した斜視図。
【図4】基部1の下端部の部分拡大図。
【図5】一部を切り欠いて示す地盤改良装置の概略図。
【図6】本例の地盤改良装置を使用した地盤改良工法を説明する図。
【図7】本例の工法を説明する模式図。
【図8】(A)本例の他の工法を、(B)は従来の工法をそれぞれ説明する模式図。
【図9】本例の他の工法を説明する模式図。
【図10】本例の他の工法を説明する模式図。
【符号の説明】
【0049】
1 基部
2 第1可動部
3 第2可動部
6 尖り部
8 ローラ
10 地盤改良装置
11 基部
12 第1攪拌両翼
14 第1油圧シリンダー
15 第2油圧シリンダー
22 第1攪拌両翼
32 第2攪拌両翼
50 バックホー
60 改良地盤
61 中間層部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉛直方向に所定の長さを有し地中に貫入及び引上げされる基部と、
鉛直方向に所定の長さを有し該基部に対して鉛直方向に摺動可能に且つ該基部の前後方向における一方の側部に設置される可動部と、
地上から供給される改良材を地中に吐出する改良材吐出口と、
該基部に付設される鉛直方向に所定のピッチで左右方向に延出する第1攪拌両翼と、
該可動部に付設される鉛直方向に所定のピッチで該第1攪拌両翼と同じ方向に延出する第2攪拌両翼と、
該可動部を該基部に対して所定のストロークで往復上下動させ、該第1攪拌両翼と該第2攪拌両翼間の地盤にせん断力を与える可動部駆動手段と、
を備えることを特徴とする地盤改良装置。
【請求項2】
鉛直方向に所定の長さを有し該基部に対して鉛直方向に摺動可能に且つ該基部の前後方向における他方の側部に設置される第2可動部と、
該第2可動部に付設される鉛直方向に所定のピッチで該第1攪拌両翼と同じ方向に延出する第3攪拌両翼と、
該第2可動部を該基部に対して所定のストロークで往復上下動させ、該第1攪拌両翼と該第3攪拌両翼間の地盤にせん断力を与える第2可動部駆動手段と、
を更に備えることを特徴とする請求項1記載の地盤改良装置。
【請求項3】
鉛直方向に所定の長さを有し地中に貫入及び引上げされる基部と、
鉛直方向に所定の長さを有し基部に対して鉛直方向に摺動可能に且つ該基部の前後方向における両側部にそれぞれ設置される第1可動部及び第2可動部と、
地上から供給される改良材を地中に吐出する改良材吐出口と、
該第1可動部に付設される鉛直方向に所定のピッチで左右方向に延出する第2攪拌両翼と、
該第2可動部に付設される鉛直方向に所定のピッチで該第2攪拌両翼と同じ方向に延出する第3攪拌両翼と、
該第1可動部及び第2可動部を該基部に対して所定のストロークでそれぞれ往復上下動させ、該第1攪拌両翼と該第2攪拌両翼間及び該第1攪拌両翼と該第3攪拌両翼間のそれぞれの地盤にせん断力を与える第1可動部駆動手段及び第2可動部駆動手段と、
を備えることを特徴とする地盤改良装置。
【請求項4】
前記基部の下端部には、水平掘進方向に対して転がるような方向に回転するローラを、更に設置することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の地盤改良装置。
【請求項5】
前記改良材吐出口は、深度方向の下方、水平掘進方向の前方及び後方の3方向の中、少なくとも一方向に改良材が吐出するように設置されることを特徴とする請求項1又は3記載の地盤改良装置。
【請求項6】
請求項1の地盤改良装置の基部を地盤に貫入し、地表から又は所定の深度から地盤中に改良材を吐出し、該改良材を吐出しつつ該可動部を該基部に対して所定のストロークで往復上下動させ、該第1攪拌両翼と該第2攪拌両翼により地盤にせん断力を与えてほぐしつつ、該改良材と攪拌混合する工程を有することを特徴とする地盤の改良工法。
【請求項7】
前記地盤と改良材を攪拌混合しながら、該地盤改良装置を水平掘進方向に前進させることを特徴とする請求項6記載の地盤の改良工法。
【請求項8】
前記地盤改良装置を水平掘進方向に前進させながら、該基部を鉛直方向又は斜め方向に昇降させて更に地盤を攪拌することを特徴とする請求項7記載の地盤の改良工法。
【請求項9】
請求項3の地盤改良装置の基部を地盤に貫入し、地表から又は所定の深度から地盤中に改良材を吐出し、該改良材を吐出しつつ該第1可動部及び第2可動部を該基部に対してそれぞれ同期又は同期させることなく所定のストロークで往復上下動させ、該第2攪拌両翼と該第3攪拌両翼により地盤にせん断力を与えてほぐしつつ、該改良材と攪拌混合する工程を有することを特徴とする地盤の改良工法。
【請求項10】
前記地盤と改良材を攪拌混合しながら、該地盤改良装置を水平掘進方向に前進させることを特徴とする請求項9記載の地盤の改良工法。
【請求項11】
前記地盤改良装置を水平掘進方向に前進させながら、該基部を鉛直方向又は斜め方向に昇降させて更に地盤を攪拌することを特徴とする請求項10記載の地盤の改良工法。
【請求項12】
請求項1の地盤改良装置の基部の下端部に、水平掘進方向に対して転がるような方向に回転するローラを更に設置した地盤改良装置を用い、該基部を地盤に貫入し、地表から又は所定の深度から地盤中に改良材を吐出し、該改良材を吐出しつつ該可動部を該基部に対して所定のストロークで往復上下動させ、該第1攪拌両翼と該第2攪拌両翼により地盤にせん断力を与えてほぐしつつ、該改良材と攪拌混合し、ローラを回転させながら、該地盤改良装置を水平掘進方向に前進させることを特徴とする地盤の改良工法。
【請求項13】
請求項3の地盤改良装置の基部の下端部に、水平掘進方向に対して転がるような方向に回転するローラを更に設置した地盤改良装置を用い、該基部を地盤に貫入し、地表から又は所定の深度から地盤中に改良材を吐出し、該改良材を吐出しつつ該第1可動部及び第2可動部を該基部に対してそれぞれ同期又は同期させることなく所定のストロークで往復上下動させ、該第2攪拌両翼と該第3攪拌両翼により地盤にせん断力を与えてほぐしつつ、該改良材と攪拌混合し、ローラを回転させながら、該地盤改良装置を水平掘進方向に前進させることを特徴とする地盤の改良工法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−169602(P2008−169602A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−3211(P2007−3211)
【出願日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【出願人】(000236610)株式会社不動テトラ (136)
【Fターム(参考)】