説明

地磁気センサー及びその方位角の算出方法

【課題】 3軸の加速度センサーを含む地磁気センサーを提供する。
【解決手段】
本発明の地磁気センサーは、相互直交するX、Y、Z軸のフラックスゲートを備えた地磁気測定モジュールと、相互直交するX、Y、Z軸の加速度センサーを備えた傾き測定モジュールと、X及びY軸の加速度センサーの出力値を用いてピッチ角及びロール角を1次演算した後、Z軸の加速度センサーの出力値を用いて1次演算されたピッチ角及びロール角のうち少なくとも一つを再調整する2次演算を行う傾き演算部と、再調整されたピッチ角及びロール角と地磁気測定モジュールの出力値とを用いて、方位角を演算する制御部と、を含む。これにより、ピッチ角及びロール角を精密に測定して方位角の演算に使うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は地磁気センサー及びその方位角の算出方法に関し、より詳細には3軸の加速度センサーを用いてピッチ角及びロール角を領域ごとに正確に算出した後、方位角の演算に用いる地磁気センサー及びその方位角の算出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
地磁気センサーとは、人が感じられない地球磁気の強さおよび方向を測定する装置のことを意味する。特に、フラックスゲートを用いて地磁気を測定するセンサーのことをフラックスゲート型地磁気センサーと呼ぶ。
【0003】
フラックスゲート型地磁気センサーとは、パーマロイのような透磁率の高い材料を磁芯として使用し、その磁芯を巻いた駆動コイルにより励起磁場を加え、その磁芯の磁気飽和および非線形磁気特性に応じて発生する外部磁場に比例の2次高調波成分を測定することにより、外部磁場のサイズおよび方向を測定する装置のことを意味する。
【0004】
係るフラックスゲート型地磁気センサーは1930年代の末に開発されたもので、他の形態の地磁気センサーと比較すると、感度がよく、経済的であり、相対的に小型で製造できる長所を持つ。
【0005】
特に、最近になって、MEMS(マイクロエレクトロメカニカルシステム)技術が発展するにつれ、これを用いて低消費電力型の超小型フラックスゲートセンサーを製造することができるようになり、携帯、PDA、ノートPCなどの各種の携帯型電子機器にも内蔵されている。
【0006】
一方、地磁気センサーは、一般的に2軸又は3軸のフラックスゲートを用いる。地磁気センサーを用いて方位角を測定する過程で地磁気センサーが傾くと、方位角の測定が間違う余地がある。このため、傾斜角、つまりピッチ角やロール角を用いて方位角を補償するアルゴリズムを行うことが一般的である。これにより、従来の地磁気センサーでは、2軸の加速度センサーを用いてピッチ角とロール角を演算して方位角の補償作業に利用した。この場合、傾きの測定範囲は±90°に限定される。
【0007】
また、従来の地磁気センサーでは加速度センサーのX軸の値及びY軸の値にsin−1()関数を適用してピッチ角及びロール角の演算を行った。しかし、60°以上傾くとsin関数の特性上、信号の傾きがだんだんフラットになる。この場合、加速度センサーの出力値をデジタル値に変換するADC(アナログツデジタルコンバータ)の分解能が充分でないと傾斜角を正確に得ることができない問題点があった。
【0008】
詳細には、+90°以上に傾いた場合、即ち120°程度傾くと+120°に認識できず+60°に認識してしまう問題点があった。
【0009】
このように、算出されたピッチ角及びロール角の値に誤差が生じると、方位角の補償作業が正常に行われにくくなるので、結果的に方位角自体に誤差が生じ得る問題点があった。
【特許文献1】日本公開特許第2002−196055号公報
【特許文献2】米国特許第6813584号公報
【特許文献3】日本公開特許第2005−195410号公報
【特許文献4】日本公開特許第2003−042766号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は前述の問題点を解決するために提出されたもので、本発明の目的は、3軸の加速度センサーを用いてピッチ角及びロール角を1次演算し、Z軸の加速度センサーの出力値を用いてピッチ角及びロール角を再調整することで正確なピッチ角及びロール角を算出した後、算出されたピッチ角及びロール角を用いて方位角を精密に補償する地磁気センサー及びその方位角の算出方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前述の目的を達成するための本発明の一実施形態に係る地磁気センサーは、相互直交するX、Y、Z軸のフラックスゲートを備えた地磁気測定モジュールと、相互直交するX、Y、Z軸の加速度センサーを備えた傾き測定モジュールと、前記X及びY軸の加速度センサーの出力値を用いてピッチ角及びロール角を1次演算した後、前記Z軸の加速度センサーの出力値を用いて前記1次演算されたピッチ角及びロール角のうち少なくとも一つを再調整する2次演算を行う傾き演算部と、前記再調整されたピッチ角及びロール角と前記地磁気測定モジュールの出力値とを用いて、方位角を演算する制御部と、を含む。
【0012】
好ましくは、前記傾き測定モジュールは、前記X、Y、Z軸の加速度センサーの出力値を予め設定された範囲で正規化させ、前記傾き演算部に提供することができる。
また好ましくは、前記傾き演算部は、X、Y、Z軸の加速度センサーを用いてθ、Φ、θ、Φを1次演算することができる。
【0013】
より好ましくは、前記傾き演算部は、前記θの値が0°乃至45°の範囲内である状態で、前記θが0°以上であると前記θをピッチ角として決定し、前記θが0°未満であると180°−θをピッチ角として決定し、前記θの値が45°以上である状態で、前記Φが45°未満であると90°−θをピッチ角として決定し、前記Φが45°以上であると前記θをピッチ角として決定し、前記θの値が−45°乃至0°の範囲内である状態で、前記θが0°以上であると前記θをピッチ角として決定し、前記θが0°未満であると−180°−θをピッチ角として決定し、前記θの値が−45°未満である状態で、前記Φが45°未満であるとθ−90°をピッチ角として決定し、前記Φが45°以上であると前記θをピッチ角として決定する方式で前記2次演算を行うことができる。
【0014】
一方、前記傾き演算部は、前記Φの値が0°乃至45°の範囲内である状態で、前記Φが0°以上であると前記Φをロール角として決定し、前記Φが0°未満であると180°−Φをロール角として決定し、前記Φ値が45°以上である状態で、前記θが45°未満であると90°−Φをロール角として決定し、前記θが45°以上であると前記Φをロール角として決定し、前記Φの値が−45°乃至0°の範囲内である状態で、前記Φが0°以上であると前記Φをロール角として決定し、前記Φが0°未満であると−180°−Φをロール角として決定し、前記Φの値が−45°未満である状態で、前記θが45°未満であるとΦ−90°をロール角として決定し、前記θが45°以上であると前記Φをロール角として決定する方式で前記2次演算を行うことができる。
【0015】
好ましくは、前記地磁気検出モジュールは、前記X、Y、Z軸のフラックスゲートの出力値を予め設定された範囲で正規化させ、前記制御部に提供することができる。
【0016】
また好ましくは、前記制御部は、前記正規化されたX、Y、Z軸のフラックスゲートの出力値と前記再調整されたピッチ角及びロール角を所定の数式に代入して前記方位角を演算することができる。
【0017】
一方、本発明の一実施形態に係る方位角の算出方法は、(a)相互直交するX、Y、Z軸のフラックスゲートを用いてX、Y、Z軸のフラックスゲートの出力値を算出するステップと、(b)相互直交するX、Y、Z軸の加速度センサーを用いてピッチ角及びロール角を1次演算するステップと、(c)前記Z軸の加速度センサーの出力値を用いて前記1次演算されたピッチ角及びロール角のうち少なくとも一つを再調整するステップと、(d)前記再調整されたピッチ角及びロール角と前記地磁気測定モジュールとを用いて、方位角を演算するステップと、を含む。
【0018】
好ましくは、前記(b)ステップは、前記X、Y、Z軸の加速度センサーの出力値を所定の数式を用いて予め設定された範囲で正規化させることができる。
【0019】
好ましくは、前記(b)ステップは、X、Y、Z軸の加速度センサーを用いてθ、Φ、θ、Φを1次演算することができる。
【0020】
より好ましくは、前記(c)ステップは、前記θの値が0°乃至45°の範囲内である状態で、前記θが0°以上であると前記θをピッチ角として決定し、前記θが0°未満であると180°−θをピッチ角として決定し、前記θの値が45°以上である状態で、前記Φが45°未満であると90°−θをピッチ角として決定し、前記Φが45°以上であると前記θをピッチ角として決定し、前記θの値が−45°乃至0°の範囲内である状態で、前記θが0°以上であると前記θをピッチ角として決定し、前記θが0°未満であると−180°−θをピッチ角として決定し、前記θの値が−45°未満である状態で、前記Φが45°未満であるとθ−90°をピッチ角として決定し、前記Φが45°以上であると前記θをピッチ角として決定する方式で前記ピッチ角を再調整することができる。
【0021】
より好ましくは、前記(c)ステップは、前記Φの値が0°乃至45°の範囲内である状態で、前記Φが0°以上であると前記Φをロール角として決定し、前記Φが0°未満であると180°−Φをロール角として決定し、前記Φの値が45°以上である状態で、前記θが45°未満であると90°−Φをロール角として決定し、前記θが45°以上であると前記Φをロール角として決定し、前記Φの値が−45°乃至0°の範囲内である状態で、前記Φが0°以上であると前記Φをロール角として決定し、前記Φが0°未満であると−180°−Φをロール角として決定し、前記Φの値が−45°未満である状態で、前記θが45°未満であるとΦ−90°をロール角として決定し、前記θが45°以上であると前記Φをロール角として決定する方式で前記ロール角を再調整することができる。
【0022】
一方、前記(a)ステップは、前記X、Y、Z軸のフラックスゲートの出力値を所定の数式を用いて予め設定された範囲で正規化させることができる。
【0023】
また、前記(d)ステップは、前記正規化されたX、Y、Z軸のフラックスゲートの出力値と前記再調整されたピッチ角及びロール角を所定の数式に代入して前記方位角を演算することができる。
【0024】
一方、本発明の一実施形態に係る少なくとも一つのコンピューター記録媒体は、(a)相互直交するX、Y、Z軸のフラックスゲートを用いてX、Y、Z軸のフラックスゲートの出力値を算出するステップと、(b)相互直交するX、Y、Z軸の加速度センサーを用いてピッチ角及びロール角を1次演算するステップと、(c)前記Z軸の加速度センサーの出力値を用いて前記1次演算されたピッチ角及びロール角のうち少なくとも一つを再調整するステップと、(d)前記再調整されたピッチ角及びロール角と前記地磁気測定モジュールの出力値とを用いて、方位角を演算するステップと、を含む。
【0025】
好ましくは、前記(b)ステップは、前記X、Y、Z軸の加速度センサーの出力値を所定の数式を用いて予め設定された範囲で正規化させることができる。
【0026】
また好ましくは、前記(b)ステップは、X、Y、Z軸の加速度センサーを用いてθ、Φ、θ、Φを1次演算することができる。
【0027】
より好ましくは、前記(c)ステップは、前記θの値が0°乃至45°の範囲内である状態で、前記θが0°以上であると前記θをピッチ角として決定し、前記θが0°未満であると180°−θをピッチ角として決定し、前記θの値が45°以上である状態で、前記Φが45°未満であると90°−θをピッチ角として決定し、前記Φが45°以上であると前記θをピッチ角として決定し、前記θの値が−45°乃至0°の範囲内である状態で、前記θが0°以上であると前記θをピッチ角として決定し、前記θが0°未満であると−180°−θをピッチ角として決定し、前記θの値が−45°未満である状態で、前記Φが45°未満であるとθ−90°をピッチ角として決定し、前記Φが45°以上であると前記θをピッチ角として決定する方式で前記ピッチ角を再調整することができる。
【0028】
より好ましくは、前記(c)ステップは、前記Φの値が0°乃至45°の範囲内である状態で、前記Φが0°以上であると前記Φをロール角として決定し、前記Φが0°未満であると180°−Φをロール角として決定し、前記Φの値が45°以上である状態で、前記θが45°未満であると90°−Φをロール角として決定し、前記θが45°以上であると前記Φをロール角として決定し、前記Φの値が−45°乃至0°の範囲内である状態で、前記Φが0°以上であると前記Φをロール角として決定し、前記Φが0°未満であると−180°−Φをロール角として決定し、前記Φの値が−45°未満である状態で、前記θが45°未満であるとΦ−90°をロール角として決定し、前記θが45°以上であると前記Φをロール角として決定する方式で前記ロール角を再調整することができる。
【0029】
一方、前記(a)ステップは、前記X、Y、Z軸のフラックスゲートの出力値を所定の数式を用いて予め設定された範囲で正規化させることができる。
【0030】
また、前記(d)ステップは、前記正規化されたX、Y、Z軸のフラックスゲートの出力値と前記再調整されたピッチ角及びロール角を所定の数式に代入して前記方位角を演算することができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によると、3軸の加速度センサーを用いてピッチ角及びロール角を精密に測定することができる。つまり、X軸及びY軸の加速度センサーを用いてピッチ角及びロール角を1次演算した後、Z軸の加速度センサーの出力値を用いてピッチ角及びロール角を再調整する2次演算を行う。これにより、ADCの分解能が高くない状況においてもピッチ角及びロール角を精密に測定することができる。結果的に正確な方位角を算出することができる。また、ピッチ角及びロール角の測定範囲も従来の±90°から±180°に拡張される。
【0032】
また、本発明の一実施形態はコンピューター記録媒体などのような媒体上のコンピューター記録コード/命令を実行することで遂行されることができる。媒体は、コンピューター記録コードの保存又は伝送を可能にするある媒体又はその媒体に相当するものである。
【0033】
一方、コンピューター記録コード/命令は、多様な手段、例えば磁気記憶媒体(プロッピーディスク、ハードディスク、磁気テープなど)、光学記憶媒体(CD−ROMs、DVDなど)、磁気光学媒体(プロプティカルディスクなど)、ハードウェア記憶装置(ROM、RAM、フラッシュメモリ)、命令及びデータ構造などを含む搬送波伝送信号のような記憶/伝送媒体上に記録/伝送されることができる。
【0034】
記憶/伝送媒体は、有線伝送又は無線伝送(インターネットを通じた伝送など)を含む。この場合、有線記憶/伝送媒体は光学線又は金属線などを含む。
【0035】
媒体は分散された方式でコンピューター記録コード/命令が記憶/伝送されて実行されるようにするための分散したネットワークになり得る。コンピューター記録コード/命令は少なくとも一つ以上のプロセッサによって実行されることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、添付の図面に基づいて本発明の好適な実施形態を詳述する。
【0037】
図1は、本発明の一実施形態に係る地磁気センサーの構成を示すブロック図である。同図によると、本地磁気センサー100は、地磁気測定モジュール110、傾き測定モジュール120、傾き演算部130、制御部140を含む。
【0038】
地磁気測定モジュール110は、外部地磁気に対応される大きさの電圧値を出力する。詳細には、地磁気測定モジュール110は、相互直交するX、Y、Z軸のフラックスゲートを含むことができる。これにより、各軸のフラックスゲートに電気信号を印加し、地磁気に対応される出力値を得ることができる。
【0039】
傾き測定モジュール120は、地磁気センサー100本体の傾きに対応される大きさの電圧値を出力する。詳細には、傾き測定モジュール120は、相互直交するX、Y、Z軸の加速度センサーを備える。これにより、各軸の加速度センサーに電気信号を印加し、傾きに対応される各軸の加速度センサーの出力値を得ることができる。
【0040】
図2は、傾き測定モジュール120構成の一例を示すブロック図である。同図によると、傾き測定モジュール120は、3軸の加速度センサー122、信号処理部123、傾き測定制御部124、メモリ部125を含む。
【0041】
3軸の加速度センサー122は、相互異なる方向に配置され相互直交するX、Y、Z軸の加速度センサーからなる。
【0042】
信号処理部123は、X、Y、Z軸の加速度センサーそれぞれの出力値をデジタル値に変換して傾き測定制御部124に提供する。
【0043】
傾き測定制御部124は、信号処理部123を介して受信されたX、Y、Z軸の加速度センサーの出力値それぞれを予め設定された範囲の値にマッピングさせる正規化作業を行う。正規化範囲は−1乃至1になり得る。正規化は下記の式を用いて行うことができる。
【0044】
【数13】

(式1)において、AXnorm、AYnorm、AZnormはそれぞれ正規化されたX、Y、Z軸の加速度センサーの出力値、AXraw、AYraw、AZrawはそれぞれ実際X、Y、Z軸の加速度センサーの出力値、AXoffset、AYoffset、AZoffsetはそれぞれ予め設定されたX、Y、Z軸の加速度センサーのオフセット値、AXScale、AYScale、AZScaleはそれぞれ予め設定されたX、Y、Z軸の加速度センサーのスケール値を意味する。
【0045】
前述のように−1乃至+1の範囲内の値にマッピングするために、AXnorm、AYnorm、AZnormが+1以上であると+1に固定させ、−1以下であると−1に固定させることが好ましい。
【0046】
各加速度センサーのオフセット値及びスケール値は、以前の正規化作業過程で用いられた値をメモリ部125に保存しておいた後、そのまま読み出して使うことができる。
【0047】
または、オフセット値及びスケール値は下記の式を用いて直接演算することもできる。
【0048】
【数14】

(式2)において、AXmax、AYmax、AZmaxはそれぞれAXraw、AYraw、AZrawの最大値、AXmin、AYmin、AZminはそれぞれAXraw、AYraw、AZrawの最小値を意味する。AXmax、AYmax、AZmax、AXmin、AYmin、AZminは方位角の測定のための準備段階において、地磁気センサー100を少なくとも1回以上を回転させながら測定されたAXraw、AYraw、AZrawのうち最大値、最小値を算出してメモリ部125に保存しておくことができる。これにより、正規化過程でメモリ部125から読み出して使うことができる。
【0049】
また、図1に戻って、傾き演算部130は、傾き測定モジュール120から正規化されたX、Y、Z軸の加速度センサーの出力値を受信し、1次的にピッチ角及びロール角を演算する。1次演算されるピッチ角及びロール角は下記の式のように示すことができる。
【0050】
【数15】

(式3)において、θはX軸の加速度センサーを用いて演算したピッチ角、ΦはY軸の加速度センサーを用いて演算したロール角、θはZ軸の加速度センサーを用いて演算したピッチ角、ΦはZ軸の加速度センサーを用いて演算したロール角を意味する。
【0051】
一方、(式3)においてcosΦ、cosθは分母に位置する。従って、θやΦが90°になると分母が0になるため、数式計算に誤りが発生する。これを防止するために、θやΦが90°である場合は89°又は91°に代置させて数式に適用する。
【0052】
AXnorm、AYnorm、AZnorm、AZmodは正規化範囲、即ち±1の範囲を超えないようにサチュレーションさせる。つまり、+1以上であると+1に固定させ、−1以下であると−1に固定させて(式3)に代入する。
【0053】
一方、(式3)は実施形態に応じて異なり得る。つまり、θはcos−1(AZnorm)を用いて演算することができる。
【0054】
傾き演算部130は、1次演算されたθ、Φ、θ、Φの大きさの関係に応じてピッチ角及びロール角を最終決定する2次演算を行う。詳細には、傾き演算部130は、θ、θを組み合わせてピッチ角を算出し、Φ、Φを組み合わせてロール角を算出する。
【0055】
ます、ピッチ角を算出するために、傾き演算部130は、θの値が0°乃至45°の範囲内であるか否かを判断する。θの値が0°乃至45°の範囲内であると、θが0°以上であるかを判断する。判断結果、θが0°以上であると、θをそのままピッチ角として決定する。一方、θが0°未満であると180°−θを演算して、その結果値をピッチ角と決定する。前述のように、sin−1()関数を用いて演算を行う場合、45°を基点に分解能が落ちるようになる。Y軸を基準軸にしてX軸の加速度センサーを傾けるとZ軸も共に傾くようになる。X軸の加速度センサーが45°以上傾くとθが0°未満になるので、この場合は180°−θをピッチ角として決定すれば正確なピッチ角を算出することができる。こうした原理に従い、Z軸の加速度センサーで測定したピッチ角θ及びロール角Φを用いてピッチ角及びロール角に対する2次演算を行うことができる。
【0056】
一方、θの値が45°以上であると判断されると、Φが45°以上であるか否かを判断する。判断結果、Φが45°以上であると前記θをピッチ角として決定し、Φが45°未満であると90°−θを演算して、その結果値をピッチ角と決定する。
【0057】
θの値が−45°乃至0°の範囲内であると判断されると、θが0°以上であるか否かを判断する。判断結果、θが0°以上であるとθをピッチ角として決定し、θが0°未満であると−180°−θをピッチ角として決定する。
【0058】
θの値が−45°未満であると判断されると、Φが45°以上であるか否かを判断する。Φが45°以上であるとθをピッチ角として決定し、Φが45°未満であるとθ−90°をピッチ角として決定する。このような方式でピッチ角を最終確定することができる。
【0059】
次に、ロール角を算出するために、まずΦの値が0°乃至45°の範囲内である否かを判断する。Φの値が0°乃至45°の範囲内であると、Φが0°以上であるか否かを判断する。判断結果、Φが0°以上であるとΦをそのままロール角として決定する。一方、Φが0°未満であると180°−Φをロール角として決定する。
【0060】
一方。Φの値が45°以上であると判断されると、θが45°以上であるか否かを判断する。判断結果、θが45°以上であるとΦをロール角として決定する。一方、θが45°未満であると90°−Φをロール角として決定する。
【0061】
一方、Φの値が−45°乃至0°の範囲内であると判断されると、Φが0°以上であるか否かを判断する。判断結果、Φが0°以上であるとΦをそのままロール角として決定する。一方、Φが0°未満であると−180°−Φをロール角として決定する。
【0062】
また、Φの値が−45°未満であると判断されると、θが45°以上であるか否かを判断する。判断結果、θが45°以上であるとΦをロール角として決定する。一方、θが45°未満であるとΦ−90°をロール角として決定する。このような方式でロール角を最終確定することができる。
【0063】
制御部140は、2次演算して再調整されたピッチ角及びロール角を用いて方位角を演算することができる。方位角を演算するために、地磁気測定モジュール110は、X、Y、Z軸のフラックスゲートの出力値を下記の式のように正規化した後、制御部140に提供する。
【0064】
【数16】

ここで、Xnorm、Ynorm、Znormはそれぞれ正規化されたX、Y、Z軸のフラックスゲートの出力値、Xraw、Yraw、Zrawはそれぞれ実際X、Y、Z軸のフラックスゲートの出力値、Xoffset、Yoffset、Zoffsetはそれぞれ予め設定されたX、Y、Z軸のフラックスゲートのオフセット値、XScale、YScale、ZScaleはそれぞれ予め設定されたX、Y、Z軸のフラックスゲートのスケール値を意味する。
【0065】
offset、Yoffset、Zoffset、Scale、YScale、ZScaleは、地磁気測定モジュール110自体のメモリ(図示せず)に保存されていることもあり、(式2)と同様の演算式を用いて直接演算することもできる。地磁気測定モジュール110の細部構成は、従来の技術によって公知されており、図2の傾き測定モジュール120の構成と類似しているので、図示及び説明は省略する。
【0066】
制御部140は、再調整されたピッチ角及びロール角と正規化されたX、Y、Z軸のフラックスゲートの出力値を下記の式に代入して方位角を演算することができる。
【0067】
【数17】

(式5)において、Xnorm、Ynorm、Znormはそれぞれ正規化されたX、Y、Z軸のフラックスゲートの出力値、θはピッチ角、Φはロール角を意味する。(式5)は、水平面に垂直したZ軸の値を負数に設定した場合に該当する式である。つまり、前述の(式5)は、図3に示すように3軸の地磁気センサー100が配置された状態で、3軸の地球北半球で地表面に水平で置かれた場合に有効な式である。この場合、Z軸の正規化(Normalized)された値が負数になる。
【0068】
一方、前述の(式3)及び(式5)は、地磁気測定モジュール110内の3軸フラックスゲート、傾き測定モジュール120内の3軸加速度センサー122の軸の配置形態に応じてその符号が異なることがある。一方、(式3)及び(式5)において、方位角を演算するとき、ピッチ角が90°を超過する場合は数式の符号が変わって適用される。例えば、ピッチ角が120°の場合、地磁気センサー100の信号のうちX軸及びY軸の信号は符号(Sign)を変え、傾斜(加速度センサー)の場合はθ=θ−180°に変更して数式に適用する。
【0069】
図3は、3軸フラックスゲート及び3軸加速度センサー122の軸の配置形態の一例を示す模式図である。同図によると、地磁気センサー100上において地磁気測定モジュール110及び傾き測定モジュール120のそれぞれのX軸は、地磁気センサー100の進行方向に従って配置され、Y軸は地磁気センサー100が置かれた平面上でX軸と垂直の方向に従って配置され、Z軸は地磁気センサー100の上側の方向に従って配置され、X軸及びY軸とそれぞれ垂直をなす。前述の(式3)と(式5)は、軸が図3のように配置された場合に適用される式である。
【0070】
図4は、ピッチ角の領域を全体的に示すグラフである。ピッチ角の領域はθの大きさに応じて全部4つの大領域(P1〜P4)に区分され、各大領域はまた2つの小領域(a、b)に区部される。
【0071】
これにより、0°≦θ<45°、θ≧0°であると、大領域P1のa領域、即ちP1−a領域と認識し、θをそのままピッチ角として決定する。一方、0°≦θ<45°、θ≦0°であると、P1−b領域と認識し、180°−θをピッチ角として決定する。
【0072】
θ≧45、θ≧0°であると、P2−a領域と認識し、θをそのままピッチ角として決定する。一方、θ≧45°、θ<0°であると、P2−b領域と認識し、90°−θをピッチ角として決定する。
【0073】
−45≦θ<0°、θ<0°であると、P3−a領域と認識し、−180°−θをピッチ角として決定する。−45°≦θ<0°、θ≧0°であると、P3−b領域と認識し、θをそのままピッチ角として決定する。
【0074】
一方、θ<−45°の場合は、大領域P4と認識する。この場合、小領域はθの大きさに応じて決定される。つまり、θ<−45°、θ<0°であると、P4−a領域と認識する。P4−aの領域上で、Φ≧45°であるとθをそのままピッチ角として決定し、Φ<45°であると、θ−90°をピッチ角として決定する。一方、θ<−45°、θ≧0°であると、P4−b領域と認識する。P4−bの領域上で、Φ≧45°であるとθをそのままピッチ角として決定し、Φ<45°であると、 θ−90°をピッチ角として決定する。
【0075】
図5は、ロール角の領域を全体的に示すグラフである。ロール角の領域はΦの大きさに応じて全部4つの大領域(R1〜R4)に区分され、各大領域はまた2つの小領域(a、b)に区部される。
【0076】
これにより、0°≦Φ<45°、Φ≧0°であると、大領域R1のa領域、即ちR1−a領域と認識し、Φをそのままロール角として決定する。一方、0°≦Φ<45°、Φ<0°であると、R1−b領域と認識し、180°−Φをロール角として決定する。
【0077】
Φ≧45、Φ≧0°であると、R2−a領域と認識し、Φをそのままロール角として決定する。一方、Φ≧45°、Φ<0°であると、P2−b領域と認識し、90°−Φをロール角として決定する。
【0078】
−45≦Φ<0°、Φ<0°であると、R3−a領域と認識し、−180°−Φをロール角として決定する。−45°≦Φ<0°、Φ≧0°であると、R3−b領域と認識し、Φをそのままロール角として決定する。
【0079】
一方、Φ<−45°の場合は、大領域R4と認識する。この場合、小領域はΦの大きさに応じて決定される。つまり、Φ<−45°、Φ<0°であると、R4−a領域と認識する。R4−aの領域上で、θ≧45°であるとΦをそのままロール角として決定し、θ<45°であると、Φ−90°をロール角として決定する。
【0080】
一方、Φ<−45°、Φ≧0°であると、R4−b領域と認識する。R4−bの領域上で、θ≧45°であるとΦをそのままロール角として決定し、θ<45°であると、Φ−90°をロール角として決定する。
【0081】
図4及び図5によると、ピッチ角及びロール角をそれぞれ±180°の範囲で測定できることが分かる。
【0082】
図6は、本発明の一実施形態に係る方位角の算出方法を説明するためのフローチャートである。同図によると、X、Y、Z軸のフラックスゲートの出力値を算出して正規化した後(S610)、X、Y、Z軸の加速度センサーを用いてピッチ角及びロール角を1次的に演算する(S620)。詳細には、θ、Φ、θ、Φを1次的に算出する。
【0083】
次いで、Z軸の加速度センサーの出力値を用いてθ、Φ、θ、Φを再調整する2次演算を行う(S630)。
【0084】
2次演算結果、ピッチ角及びロール角が最終決定されると、再調整されたピッチ角及びロール角とX、Y、Z軸のフラックスゲートの正規化された出力値とを用いて方位角を演算する(S640)。方位角演算は前述の(式5)を用いて行うことができる。
【0085】
図7は、図6の方位角算出方法のうち、ピッチ角を算出する方法を具体的に説明するためのフローチャートである。同図によると、まずX、Y、Z軸の加速度センサーの値を正規化させ、所定範囲の値にマッピングさせる(S710)。正規化は前述の(式1)を用いて行うことができる。
【0086】
これにより、θ、Φ、θ、Φが1次的に算出されると(S715)、θの値が0°乃至45°の範囲内であるか否かを判断する(S720)。θの値が0°乃至45°の範囲内であると、θが0°以上であるか否かを判断する(S725)。判断結果、θが0°以上であると、θをピッチ角として決定し(S730)、θが0°未満であると180°−θをピッチ角として決定する(S735)。
【0087】
一方、θの値が0°乃至45°の範囲内ではないと、45°以上の値であるかを判断する(S740)。判断結果が45°以上であると、Φが45°未満であるか否かを判断する(S745)。判断結果、Φが45°未満であると90°−θをピッチ角として決定し(S750)、Φが45°以上であるとθをピッチ角として決定する(S755)。
【0088】
一方、θの値が0°乃至45°内ではなく、45°以上でもない場合、−45°乃至0°内の値であるか否かを判断する(S760)。判断結果、θの値が−45°乃至0°の範囲内であると、θが0°以上であるか否かを判断する(S765)。θが0°以上であるとθをピッチ角として決定し(S770)、θが0°未満であると−180°−θをピッチ角として決定する(S775)。
【0089】
一方、θの値が−45°乃至0°内でもないと判断されると、θの値が−45°未満であることを確認する(S780)。それから、Φが45°未満であるか否かを判断する(S785)。判断結果、Φが45°未満であるとθ−90°をピッチ角として決定し(S790)、Φが45°以上であるとθをピッチ角として決定する(S795)。
【0090】
図8は、図6の方位角算出方法のうち、ロール角を算出する方法を具体的に説明するためのフローチャートである。同図によると、まずX、Y、Z軸の加速度センサーの値を正規化させ、所定範囲の値にマッピングさせる(S810)。正規化は前述の(式1)を用いて行うことができる。
【0091】
これにより、θ、Φ、θ、Φが1次的に算出されると(S815)、Φの値が0°乃至45°の範囲内であるか否かを判断する(S820)。判断結果、Φの値が0°乃至45°の範囲内であると、Φが0°以上であるか否かを判断する(S825)。判断結果、Φが0°以上であると、Φをロール角として決定し(S830)、Φが0°未満であると180°−Φをロール角として決定する(S835)。
【0092】
一方、Φの値が0°乃至45°の範囲内ではないと、45°以上の値であるかを判断する(S840)。判断結果が45°以上であると、θが45°未満であるか否かを判断する(S845)。判断結果、θが45°未満であると90°−Φをロール角と決定し(S850)、θが45°以上であるとΦをロール角として決定する(S855)。
【0093】
一方、Φの値が0°乃至45°内ではなく、45°以上でもない場合、−45°乃至0°内の値であるか否かを判断する(S860)。判断結果、Φの値が−45°乃至0°の範囲内であると、Φが0°以上であるか否かを判断する(S865)。Φが0°以上であるとΦをロール角として決定し(S870)、Φが0°未満であると−180°−Φをロール角として決定する(S875)。
【0094】
一方、Φの値が−45°乃至0°内でもないと判断されると、Φの値が−45°未満であることを確認する(S880)。それから、θが45°未満であるか否かを判断する(S885)。判断結果、θが45°未満であるとΦ−90°をロール角として決定し(S890)、θが45°以上であるとΦをロール角として決定する(S895)。
【0095】
一方、本願発明に係る方位角の算出は、方位角算出方法を行うための少なくとも一つのプロセッサを制御する命令を保存するコンピューター記録媒体を利用することもできる。
【0096】
これにより、arcsin関数の分解能が悪くなる領域においても、ピッチ角及びロール角を正確に算出して方位角を補償することができるようになる。
【0097】
以上、本発明の好適な実施形態を図示及び説明してきたが、本発明の技術的範囲は前述の実施形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に基づいて定められ、特許請求の範囲において請求する本発明の要旨から外れることなく当該発明が属する技術分野において通常の知識を有する者であれば誰もが多様な変形実施が可能であることは勿論のことであり、該変更した技術は特許請求の範囲に記載された発明の技術的範囲に属するものである。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本発明の一実施形態に係る地磁気センサーの構成を示すブロック図である。
【図2】図1の地磁気センサーに用いられる傾き測定モジュール構成の一例を示すブロック図である。
【図3】図1の地磁気センサーにおいて、地磁気測定モジュール及び傾き測定モジュールの3軸配置の一例を示す模式図である。
【図4】ピッチ角の再調整領域を示す模式図である。
【図5】ロール角の再調整領域を示す模式図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る方位角の算出方法を説明するためのフローチャートである。
【図7】図6の方位角の算出方法に用いられるピッチ角算出方法の一例を示すフローチャートである。
【図8】図6の方位角の算出方法に用いられるロール角算出方法の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0099】
100 地磁気センサー
110 地磁気測定モジュール
120 傾き測定モジュール
130 傾き演算部
140 制御部
122 3軸加速度センサー
123 信号処理部
124 傾き測定制御部
125 メモリ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相互直交するX、Y、Z軸のフラックスゲートを備えた地磁気測定モジュールと、
相互直交するX、Y、Z軸の加速度センサーを備えた傾き測定モジュールと、
前記X及びY軸の加速度センサーの出力値を用いてピッチ角及びロール角を1次演算した後、前記Z軸の加速度センサーの出力値を用いて前記1次演算されたピッチ角及びロール角のうち少なくとも一つを再調整する2次演算を行う傾き演算部と、
前記再調整されたピッチ角及びロール角と前記地磁気測定モジュールの出力値とを用いて、方位角を演算する制御部とを含むことを特徴とする地磁気センサー。
【請求項2】
前記傾き測定モジュールは、前記X、Y、Z軸の加速度センサーの出力値をそれぞれ下記の数式を用いて予め設定された範囲で正規化させ、前記傾き演算部に提供することを特徴とする請求項1に記載の地磁気センサー。
【数1】

(ここで、AXnorm、AYnorm、AZnormはそれぞれ正規化されたX、Y、Z軸の加速度センサーの出力値、AXraw、AYraw、AZrawはそれぞれ実際X、Y、Z軸の加速度センサーの出力値、AXoffset、AYoffset、AZoffsetはそれぞれ予め設定されたX、Y、Z軸の加速度センサーのオフセット値、AXScale、AYScale、AZScaleはそれぞれ予め設定されたX、Y、Z軸の加速度センサーのスケール値である。)
【請求項3】
前記傾き演算部は、下記の数式を用いて前記ピッチ角及びロール角を1次演算することを特徴とする請求項2に記載の地磁気センサー。
【数2】

(ここで、θはX軸の加速度センサーを用いて演算したピッチ角、ΦはY軸の加速度センサーを用いて演算したロール角、θはZ軸の加速度センサーを用いて演算したピッチ角、ΦはZ軸の加速度センサーを用いて演算したロール角である。)
【請求項4】
前記傾き演算部は、
前記θの値が0°乃至45°の範囲内である状態で、前記θが0°以上であると前記θをピッチ角として決定し、前記θが0°未満であると180°−θをピッチ角として決定し、
前記θの値が45°以上である状態で、前記Φが45°未満であると90°−θをピッチ角として決定し、前記Φが45°以上であると前記θをピッチ角として決定し、
前記θの値が−45°乃至0°の範囲内である状態で、前記θが0°以上であると前記θをピッチ角として決定し、前記θが0°未満であると−180°−θをピッチ角として決定し、
前記θの値が−45°未満である状態で、前記Φが45°未満であるとθ−90°をピッチ角として決定し、前記Φが45°以上であると前記θをピッチ角として決定する方式で前記2次演算を行うことを特徴とする請求項3に記載の地磁気センサー。
【請求項5】
前記傾き演算部は、
前記Φの値が0°乃至45°の範囲内である状態で、前記Φが0°以上であると前記Φをロール角として決定し、前記Φが0°未満であると180°−Φをロール角として決定し、
前記Φの値が45°以上である状態で、前記θが45°未満であると90°−Φをロール角として決定し、前記θが45°以上であると前記Φをロール角として決定し、
前記Φの値が−45°乃至0°の範囲内である状態で、前記Φが0°以上であると前記Φをロール角として決定し、前記Φが0°未満であると−180°−Φをロール角として決定し、
前記Φの値が−45°未満である状態で、前記θが45°未満であるとΦ−90°をロール角として決定し、前記θが45°以上であると前記Φをロール角として決定する方式で前記2次演算を行うことを特徴とする請求項4に記載の地磁気センサー。
【請求項6】
前記地磁気検出モジュールは、前記X、Y、Z軸のフラックスゲートの出力値をそれぞれ下記の数式を用いて予め設定された範囲で正規化させ、前記制御部に提供することを特徴とする請求項1に記載の地磁気センサー。
【数3】

(ここで、Xnorm、Ynorm、Znormはそれぞれ正規化されたX、Y、Z軸のフラックスゲートの出力値、Xraw、Yraw、Zrawはそれぞれ実際X、Y、Z軸のフラックスゲートの出力値、Xoffset、Yoffset、Zoffsetはそれぞれ予め設定されたX、Y、Z軸のフラックスゲートのオフセット値、XScale、YScale、ZScaleはそれぞれ予め設定されたX、Y、Z軸のフラックスゲートのスケール値である。)
【請求項7】
前記制御部は、前記正規化されたX、Y、Z軸のフラックスゲートの出力値と前記再調整されたピッチ角及びロール角を下記の数式に代入して前記方位角を演算することを特徴とする請求項6に記載の地磁気センサー。
【数4】

(ここで、Xnorm、Ynorm、Znormはそれぞれ正規化されたX、Y、Z軸のフラックスゲートの出力値、θはピッチ角、Φはロール角である。)
【請求項8】
(a)相互直交するX、Y、Z軸のフラックスゲートを用いてX、Y、Z軸のフラックスゲートの出力値を算出するステップと、
(b)相互直交するX、Y、Z軸の加速度センサーを用いてピッチ角及びロール角を1次演算するステップと、
(c)前記Z軸の加速度センサーの出力値を用いて前記1次演算されたピッチ角及びロール角のうち少なくとも一つを再調整するステップと、
(d)前記再調整されたピッチ角及びロール角と前記地磁気測定モジュールの出力値を用いて、方位角を演算するステップとを含むことを特徴とする方位角の算出方法。
【請求項9】
前記(b)ステップは、前記X、Y、Z軸の加速度センサーの出力値をそれぞれ下記の数式を用いて予め設定された範囲で正規化させることを特徴とする請求項8に記載の方位角の算出方法。
【数5】

(ここで、AXnorm、AYnorm、AZnormはそれぞれ正規化されたX、Y、Z軸の加速度センサーの出力値、AXraw、AYraw、AZrawはそれぞれ実際X、Y、Z軸の加速度センサーの出力値、AXoffset、AYoffset、AZoffsetはそれぞれ予め設定されたX、Y、Z軸の加速度センサーのオフセット値、AXScale、AYScale、AZScaleはそれぞれ予め設定されたX、Y、Z軸の加速度センサーのスケール値である。)
【請求項10】
前記(b)ステップは、下記の数式を用いて前記ピッチ角及びロール角を1次演算することを特徴とする請求項9に記載の方位角の算出方法。
【数6】

(ここで、θはX軸の加速度センサーを用いて演算したピッチ角、ΦはY軸の加速度センサーを用いて演算したロール角、θはZ軸の加速度センサーを用いて演算したピッチ角、ΦはZ軸の加速度センサーを用いて演算したロール角である。)
【請求項11】
前記(c)ステップは、
前記θの値が0°乃至45°の範囲内である状態で、前記θが0°以上であると前記θをピッチ角として決定し、前記θが0°未満であると180°−θをピッチ角として決定し、
前記θの値が45°以上である状態で、前記Φが45°未満であると90°−θをピッチ角として決定し、前記Φが45°以上であると前記θをピッチ角として決定し、
前記θの値が−45°乃至0°の範囲内である状態で、前記θが0°以上であると前記θをピッチ角として決定し、前記θが0°未満であると−180°−θをピッチ角として決定し、
前記θの値が−45°未満である状態で、前記Φが45°未満であるとθ−90°をピッチ角として決定し、前記Φが45°以上であると前記θをピッチ角として決定する方式で前記ピッチ角を再調整することを特徴とする請求項10に記載の方位角の算出方法。
【請求項12】
前記(c)ステップは、
前記Φの値が0°乃至45°の範囲内である状態で、前記Φが0°以上であると前記Φをロール角として決定し、前記Φが0°未満であると180°−Φをロール角として決定し、
前記Φ値が45°以上である状態で、前記θが45°未満であると90°−Φをロール角として決定し、前記θが45°以上であると前記Φをロール角として決定し、
前記Φの値が−45°乃至0°の範囲内である状態で、前記Φが0°以上であると前記Φをロール角として決定し、前記Φが0°未満であると−180°−Φをロール角として決定し、
前記Φの値が−45°未満である状態で、前記θが45°未満であるとΦ−90°をロール角として決定し、前記θが45°以上であると前記Φをロール角として決定する方式で前記ロール角を再調整することを特徴とする請求項11に記載の方位角の算出方法。
【請求項13】
前記(a)ステップは、前記X、Y、Z軸のフラックスゲートの出力値をそれぞれ下記の数式を用いて予め設定された範囲で正規化させることを特徴とする請求項9に記載の方位角の算出方法。
【数7】

(ここで、Xnorm、Ynorm、Znormはそれぞれ正規化されたX、Y、Z軸のフラックスゲートの出力値、Xraw、Yraw、Zrawはそれぞれ実際X、Y、Z軸のフラックスゲートの出力値、Xoffset、Yoffset、Zoffsetはそれぞれ予め設定されたX、Y、Z軸のフラックスゲートのオフセット値、XScale、YScale、ZScaleはそれぞれ予め設定されたX、Y、Z軸のフラックスゲートのスケール値である。)
【請求項14】
前記(d)ステップは、前記正規化されたX、Y、Z軸のフラックスゲートの出力値と前記再調整されたピッチ角及びロール角を下記の数式に代入して前記方位角を演算することを特徴とする請求項13に記載の方位角の算出方法。
【数8】

(ここで、Xnorm、Ynorm、Znormはそれぞれ正規化されたX、Y、Z軸のフラックスゲートの出力値、θはピッチ角、そして、Φはロール角である。)
【請求項15】
方位角の算出方法を行うための少なくとも一つのプロセッサを制御する命令を保存するコンピューター記録媒体において、
(a)相互直交するX、Y、Z軸のフラックスゲートを用いてX、Y、Z軸のフラックスゲートの出力値を算出するステップと、
(b)相互直交するX、Y、Z軸の加速度センサーを用いてピッチ角及びロール角を1次演算するステップと、
(c)前記Z軸の加速度センサーの出力値を用いて前記1次演算されたピッチ角及びロール角のうち少なくとも一つを再調整するステップと、
(d)前記再調整されたピッチ角及びロール角と前記地磁気測定モジュールの出力値とを用いて、方位角を演算するステップとを含むことを特徴とする少なくとも一つのコンピューター記録媒体。
【請求項16】
前記(b)ステップは、前記X、Y、Z軸の加速度センサーの出力値をそれぞれ下記の数式を用いて予め設定された範囲で正規化させることを特徴とする請求項15に記載の少なくとも一つのコンピューター記録媒体。
【数9】

(ここで、AXnorm、AYnorm、AZnormはそれぞれ正規化されたX、Y、Z軸の加速度センサーの出力値、AXraw、AYraw、AZrawはそれぞれ実際X、Y、Z軸の加速度センサーの出力値、AXoffset、AYoffset、AZoffsetはそれぞれ予め設定されたX、Y、Z軸の加速度センサーのオフセット値、AXScale、AYScale、AZScaleはそれぞれ予め設定されたX、Y、Z軸の加速度センサーのスケール値である。)
【請求項17】
前記(b)ステップは、下記の数式を用いて前記ピッチ角及びロール角を1次演算することを特徴とする請求項15に記載の少なくとも一つのコンピューター記録媒体。
【数10】

(ここで、θはX軸の加速度センサーを用いて演算したピッチ角、ΦはY軸の加速度センサーを用いて演算したロール角、θはZ軸の加速度センサーを用いて演算したピッチ角、ΦはZ軸の加速度センサーを用いて演算したロール角である。)
【請求項18】
前記(c)ステップは、
前記θの値が0°乃至45°の範囲内である状態で、前記θが0°以上であると前記θをピッチ角として決定し、前記θが0°未満であると180°−θをピッチ角として決定し、
前記θの値が45°以上である状態で、前記Φが45°未満であると90°−θをピッチ角として決定し、前記Φが45°以上であると前記θをピッチ角として決定し、
前記θの値が−45°乃至0°の範囲内である状態で、前記θが0°以上であると前記θをピッチ角として決定し、前記θが0°未満であると−180°−θをピッチ角として決定し、
前記θの値が−45°未満である状態で、前記Φが45°未満であるとθ−90°をピッチ角として決定し、前記Φが45°以上であると前記θをピッチ角として決定する方式で前記ピッチ角を再調整することを特徴とする請求項17に記載の少なくとも一つのコンピューター記録媒体。
【請求項19】
前記(c)ステップは、
前記Φの値が0°乃至45°の範囲内である状態で、前記Φが0°以上であると前記Φをロール角として決定し、前記Φが0°未満であると180°−Φをロール角として決定し、
前記Φ値が45°以上である状態で、前記θが45°未満であると90°−Φをロール角として決定し、前記θが45°以上であると前記Φをロール角として決定し、
前記Φの値が−45°乃至0°の範囲内である状態で、前記Φが0°以上であると前記Φをロール角として決定し、前記Φが0°未満であると−180°−Φをロール角として決定し、
前記Φの値が−45°未満である状態で、前記θが45°未満であるとΦ−90°をロール角として決定し、前記θが45°以上であると前記Φをロール角として決定する方式で前記ロール角を再調整することを特徴とする請求項18に記載の少なくとも一つのコンピューター記録媒体。
【請求項20】
前記(a)ステップは、前記X、Y、Z軸のフラックスゲートの出力値をそれぞれ下記の数式を用いて予め設定された範囲で正規化させることを特徴とする請求項16に記載の少なくとも一つのコンピューター記録媒体。
【数11】

(ここで、Xnorm、Ynorm、Znormはそれぞれ正規化されたX、Y、Z軸のフラックスゲートの出力値、Xraw、Yraw、Zrawはそれぞれ実際X、Y、Z軸のフラックスゲートの出力値、Xoffset、Yoffset、Zoffsetはそれぞれ予め設定されたX、Y、Z軸のフラックスゲートのオフセット値、XScale、YScale、ZScaleはそれぞれ予め設定されたX、Y、Z軸のフラックスゲートのスケール値である。)
【請求項21】
前記(d)ステップは、前記正規化されたX、Y、Z軸のフラックスゲートの出力値と前記再調整されたピッチ角及びロール角を下記の数式に代入して前記方位角を演算することを特徴とする請求項20に記載の少なくとも一つのコンピューター記録媒体。
【数12】

(ここで、Xnorm、Ynorm、Znormはそれぞれ正規化されたX、Y、Z軸のフラックスゲートの出力値、θはピッチ角、Φはロール角である。)

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−147609(P2007−147609A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−306671(P2006−306671)
【出願日】平成18年11月13日(2006.11.13)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【Fターム(参考)】