地震時のトンネル覆工挙動の計測システム
【課題】 地震時のトンネルの覆工挙動をリアルタイムに把握することができる地震時のトンネル覆工挙動の計測システムを提供する。
【解決手段】 地震時のトンネル覆工挙動の計測システムにおいて、トンネル14の覆工表面1に歪みゲージ4を有するセンサー2とこのセンサー2に接続される無線送信装置10とを配置し、この無線送信装置10からの前記トンネル14の覆工表面1の変状情報を前記トンネル14の外で受信する無線受信装置20と、この無線受信装置20からの前記トンネル14の覆工表面1の変状情報を解析するトンネル覆工変状情報解析装置30とを具備する。
【解決手段】 地震時のトンネル覆工挙動の計測システムにおいて、トンネル14の覆工表面1に歪みゲージ4を有するセンサー2とこのセンサー2に接続される無線送信装置10とを配置し、この無線送信装置10からの前記トンネル14の覆工表面1の変状情報を前記トンネル14の外で受信する無線受信装置20と、この無線受信装置20からの前記トンネル14の覆工表面1の変状情報を解析するトンネル覆工変状情報解析装置30とを具備する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地震時のトンネル覆工挙動の計測システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、地震時の構造物挙動のモニタリングとして加速度を測定するようにしているが、トンネルの場合、覆工の変形度合が分からず、覆工の損傷状態を把握することができない。さらに、トンネルの損傷はひずみや内空変位とリンクしており、加速度だけではその挙動を判断することができない。
【0003】
また、トンネルにおいては、その延長方向に計測用の配線を敷設することが困難であるため、測定箇所近くにデータ収録機器を置くことが一般的であるが、この場合、データ収録機器が高価であり、多点に配置することが難しく、地震時にトンネル内の挙動を多点でリアルタイムに測定することができない(下記非特許文献1参照)。
【0004】
さらに、トンネル内のデータ収録機器設置箇所まで地震時のトンネル覆工挙動データを取りに行く必要があり、地震が発生した場合にすぐにデータが見れない。また、機器設置箇所前後に覆工崩落があり現地に行けなかったり、データ収録機器が損傷した等、被害が大きい時にデータが取れない場合もある。さらに、地震直後にトンネル内の収録機器設置箇所までデータを収集しに行くことに危険が伴う。
【非特許文献1】財団法人 鉄道総合技術研究所,「鉄道構造物等維持管理標準・同解説(構造物編 トンネル)」,丸善株式会社,平成19年1月25日発行,pp.113−115
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記したように、地震時のトンネルの覆工挙動のデータをリアルタイムに把握することは困難であった。
【0006】
本発明は、上記問題点を解決するために、地震時のトンネルの覆工挙動のデータをリアルタイムに把握することができる地震時のトンネル覆工挙動の計測システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するために、
〔1〕地震時のトンネル覆工挙動の計測システムにおいて、トンネルの覆工表面に歪みゲージを有するセンサーとこのセンサーに接続される無線送信装置とを配置し、この無線送信装置からの前記トンネルの覆工表面の変状情報を前記トンネルの外で受信する無線受信装置と、この無線受信装置からの前記トンネルの覆工表面の変状情報を解析するトンネル覆工情報解析装置とを具備することを特徴とする。
【0008】
〔2〕上記〔1〕記載の地震時のトンネル覆工挙動の計測システムにおいて、前記センサーが逆U字形状の支持体の一面に配置され、ひび割れを検出することを特徴とする。
【0009】
〔3〕地震時のトンネル覆工挙動の計測システムにおいて、トンネルの覆工表面に光学的変位計を有するセンサーとこのセンサーに接続される無線送信装置とを配置し、この無線送信装置からのトンネルの覆工表面の変状情報を前記トンネルの外で受信する無線受信装置と、この無線受信装置からの前記トンネルの覆工表面の変状情報を解析するトンネル覆工情報解析装置とを具備することを特徴とする。
【0010】
〔4〕上記〔3〕記載の地震時のトンネル覆工挙動の計測システムにおいて、前記光学的変位計がレーザー変位計であることを特徴とする。
【0011】
〔5〕上記〔1〕又は〔3〕記載の地震時のトンネル覆工挙動の計測システムにおいて、前記センサーを前記トンネルの複数の断面に配置して3次元的なトンネル覆工挙動の計測を行うようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、地震時のトンネルの覆工挙動のデータをリアルタイムに把握することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の地震時のトンネル覆工挙動の計測システムは、トンネルの覆工表面に歪みゲージを有するセンサーとこのセンサーに接続される無線送信装置とを配置し、この無線送信装置からの前記トンネルの覆工表面の変状情報を前記トンネルの外で受信する無線受信装置と、この無線受信装置からの前記トンネルの覆工表面の変状情報を解析するトンネル覆工情報解析装置とを具備する。
【実施例】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0015】
図1は本発明の第1実施例を示す歪みゲージを有するセンサーを備えた地震時のトンネル覆工挙動の計測装置を示す模式図、図2はその計測装置の配置状態を示す図面代用の写真、図3はその地震時のトンネル覆工挙動の計測システムの模式図、図4は本発明の地震時のトンネル覆工挙動の計測システムの無線送信装置のブロック図、図5はその計測システムの無線受信装置のブロック図である。
【0016】
これらの図において、1はトンネルの覆工表面、2は歪みゲージ4を逆U字形状の支持体3の背面に有するセンサーであり、逆U字形状の支持体3の脚部5,6は固定ボルト7,8でトンネルの覆工表面1に固定される。そこで、例えば、トンネルの覆工表面1にひび割れ9が発生すると、逆U字形状の支持体3の両脚部5,6は広がることになり、歪みゲージ4に作用することになり、トンネルの覆工表面1の挙動が歪みゲージ4の出力情報として得られる。また、センサー2の近傍にはこのセンサー2に接続される無線送信装置10を設置する。つまり、無線送信装置10は、図4に示すように、アナログ情報をデジタル情報に変換する入力インターフェース11と、CPU(中央処理装置)12と、無線送信部13とからなる。なお、センサー2は同一断面上にも複数個配置することが望ましい。また、歪みゲージ4は支持部材(テープなど)でトンネルの覆工表面に配置するようにしてもよい。
【0017】
図3に示すように、無線送信装置10からは地震時のトンネル覆工挙動の計測情報が送信され、トンネル14の外に配置される無線受信装置20で受信される。この無線受信装置20は、図5に示すように、無線受信部21、CPU(中央処理装置)22と、出力インターフェース23とを備えている。
【0018】
この無線受信部21に得られたトンネル覆工挙動の計測情報は、出力インターフェース23を介してトンネル覆工情報解析装置30で解析される。
【0019】
図6は本発明の第2実施例を示すトンネルの複数断面にセンサーを配置した地震時のトンネル覆工挙動の3次元的計測システムの模式図である。
【0020】
上記した第1実施例では、トンネルの一断面のトンネル覆工挙動を計測する例について述べたが、本実施例では、図6に示すように、複数のトンネルの断面41,42にそれぞれセンサー43,44を配置した。これにより、それぞれの断面にでのトンネル覆工表面の変状情報を、その断面の位置情報とともに無線送信装置45,46で送信して、トンネルの外に配置される無線受信装置47で受信するようにした。無線受信装置47で受信された複数断面のトンネル覆工挙動の計測情報は、トンネル覆工情報解析装置48で解析され、3次元的なトンネル覆工挙動を把握することができる。
【0021】
図7は本発明の第3実施例を示すレーザー変位計を有するセンサーを備えた地震時のトンネル覆工挙動の計測システムの模式図である。
【0022】
この実施例では、トンネル14の覆工表面にレーザー変位計50を配置して、トンネル覆工表面の変位を計測し、第1実施例と同様に、その計測情報を無線送信装置でトンネルの外に配置される無線受信装置20に送信し、トンネル覆工情報解析装置30で解析する。
【0023】
この第3実施例においても、トンネルの一断面のみのトンネル覆工挙動の計測について述べたが、第2実施例と同様に、複数のトンネルの断面にそれぞれレーザー変位計50を有するセンサーを配置してもよい。これにより、それぞれの断面でのトンネル覆工表面の変状情報を、その断面の位置情報とともに無線送信装置で送信して、トンネルの外に配置される無線受信装置で受信するようにした。この無線受信装置で受信された複数断面のトンネル覆工挙動の計測情報は、トンネル覆工情報解析装置で解析され、3次元的なトンネル覆工挙動を把握することができる。
【0024】
この第3実施例において、レーザー変位計50を用いるようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、通常の発光ランプと距離センサ付き受光素子との組み合わせ等の種々の光学的変位計を用いるようにしてもよい。
【0025】
本発明によれば、トンネル覆工に取り付けたセンサーで得られたデータを無線送信装置で送信し、トンネル外で受信することにより、トンネル坑外で覆工挙動をリアルタイムに監視することができる。
【0026】
また、このシステムを用いた計測断面をあらかじめトンネル変状箇所等に複数設置し、地震発生時(緊急地震速報等で地震が予知された段階)に動的なセンサー(計測装置)を開始させ、地震による挙動が収束したり、計測・無線装置が損傷するまで計測とデータ送信を継続することにより、地震時の覆工挙動を動的にリアルタイムで計測することができる。
【0027】
このように、無線受信装置と周波数分析等を行うトンネル覆工情報解析装置を組み合わせたシステムを構築し、これをもとにトンネル覆工の損傷程度を把握して運転規制等の判断に資することができる。
【0028】
また、トンネル内に配置される各種センサーや無線送信装置等の機器が安価であり、小型であるため、多くの計測断面を設けることができる。これにより高密度のモニタリングができる。
【0029】
さらに、トンネル内にデータを収集しに行く必要がないので、地震によるトンネル崩壊の危険性がある場合でも安全にデータを得ることができる。また、被害が大きな場合でも、機器類が損傷するまで、データを取り続けることができる。
【0030】
そして、トンネル覆工の地震時挙動メカニズムが解明できる。
【0031】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明の地震時のトンネル覆工挙動の計測システムは、地震時のトンネルの覆工挙動をリアルタイムに把握することができるシステムとして利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の第1実施例を示す歪みゲージを有するセンサーを備えた地震時のトンネル覆工挙動の計測装置を示す模式図である。
【図2】本発明の第1実施例を示す歪みゲージを有するセンサーを備えた地震時のトンネル覆工挙動の計測装置の配置状態を示す図面代用の写真である。
【図3】本発明の第1実施例を示す歪みゲージを有するセンサーを備えた地震時のトンネル覆工挙動の計測システムの模式図である。
【図4】本発明の地震時のトンネル覆工挙動の計測システムの無線送信装置のブロック図である。
【図5】本発明のトンネル覆工挙動の計測システムの無線受信装置のブロック図である。
【図6】本発明の第2実施例を示すトンネルの複数断面にセンサーを配置した地震時のトンネル覆工挙動の3次元的計測システムの模式図である。
【図7】本発明の第3実施例を示すレーザー変位計を有するセンサーを備えた地震時のトンネル覆工挙動の計測システムの模式図である。
【符号の説明】
【0034】
1 トンネルの覆工表面
2 センサー
3 逆U字形状の支持体
4 歪みゲージ
5,6 逆U字形状の支持体の脚部
7,8 固定ボルト
9 ひび割れ
10,45,46 無線送信装置
11 入力インターフェース
12,22 CPU(中央処理装置)
13 無線送信部
14 トンネル
20,47 無線受信装置
21 無線受信部
23 出力インターフェース
30,48 トンネル覆工情報解析装置
41,42 トンネルの断面
43,44 センサー
50 レーザー変位計
【技術分野】
【0001】
本発明は、地震時のトンネル覆工挙動の計測システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、地震時の構造物挙動のモニタリングとして加速度を測定するようにしているが、トンネルの場合、覆工の変形度合が分からず、覆工の損傷状態を把握することができない。さらに、トンネルの損傷はひずみや内空変位とリンクしており、加速度だけではその挙動を判断することができない。
【0003】
また、トンネルにおいては、その延長方向に計測用の配線を敷設することが困難であるため、測定箇所近くにデータ収録機器を置くことが一般的であるが、この場合、データ収録機器が高価であり、多点に配置することが難しく、地震時にトンネル内の挙動を多点でリアルタイムに測定することができない(下記非特許文献1参照)。
【0004】
さらに、トンネル内のデータ収録機器設置箇所まで地震時のトンネル覆工挙動データを取りに行く必要があり、地震が発生した場合にすぐにデータが見れない。また、機器設置箇所前後に覆工崩落があり現地に行けなかったり、データ収録機器が損傷した等、被害が大きい時にデータが取れない場合もある。さらに、地震直後にトンネル内の収録機器設置箇所までデータを収集しに行くことに危険が伴う。
【非特許文献1】財団法人 鉄道総合技術研究所,「鉄道構造物等維持管理標準・同解説(構造物編 トンネル)」,丸善株式会社,平成19年1月25日発行,pp.113−115
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記したように、地震時のトンネルの覆工挙動のデータをリアルタイムに把握することは困難であった。
【0006】
本発明は、上記問題点を解決するために、地震時のトンネルの覆工挙動のデータをリアルタイムに把握することができる地震時のトンネル覆工挙動の計測システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するために、
〔1〕地震時のトンネル覆工挙動の計測システムにおいて、トンネルの覆工表面に歪みゲージを有するセンサーとこのセンサーに接続される無線送信装置とを配置し、この無線送信装置からの前記トンネルの覆工表面の変状情報を前記トンネルの外で受信する無線受信装置と、この無線受信装置からの前記トンネルの覆工表面の変状情報を解析するトンネル覆工情報解析装置とを具備することを特徴とする。
【0008】
〔2〕上記〔1〕記載の地震時のトンネル覆工挙動の計測システムにおいて、前記センサーが逆U字形状の支持体の一面に配置され、ひび割れを検出することを特徴とする。
【0009】
〔3〕地震時のトンネル覆工挙動の計測システムにおいて、トンネルの覆工表面に光学的変位計を有するセンサーとこのセンサーに接続される無線送信装置とを配置し、この無線送信装置からのトンネルの覆工表面の変状情報を前記トンネルの外で受信する無線受信装置と、この無線受信装置からの前記トンネルの覆工表面の変状情報を解析するトンネル覆工情報解析装置とを具備することを特徴とする。
【0010】
〔4〕上記〔3〕記載の地震時のトンネル覆工挙動の計測システムにおいて、前記光学的変位計がレーザー変位計であることを特徴とする。
【0011】
〔5〕上記〔1〕又は〔3〕記載の地震時のトンネル覆工挙動の計測システムにおいて、前記センサーを前記トンネルの複数の断面に配置して3次元的なトンネル覆工挙動の計測を行うようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、地震時のトンネルの覆工挙動のデータをリアルタイムに把握することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の地震時のトンネル覆工挙動の計測システムは、トンネルの覆工表面に歪みゲージを有するセンサーとこのセンサーに接続される無線送信装置とを配置し、この無線送信装置からの前記トンネルの覆工表面の変状情報を前記トンネルの外で受信する無線受信装置と、この無線受信装置からの前記トンネルの覆工表面の変状情報を解析するトンネル覆工情報解析装置とを具備する。
【実施例】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0015】
図1は本発明の第1実施例を示す歪みゲージを有するセンサーを備えた地震時のトンネル覆工挙動の計測装置を示す模式図、図2はその計測装置の配置状態を示す図面代用の写真、図3はその地震時のトンネル覆工挙動の計測システムの模式図、図4は本発明の地震時のトンネル覆工挙動の計測システムの無線送信装置のブロック図、図5はその計測システムの無線受信装置のブロック図である。
【0016】
これらの図において、1はトンネルの覆工表面、2は歪みゲージ4を逆U字形状の支持体3の背面に有するセンサーであり、逆U字形状の支持体3の脚部5,6は固定ボルト7,8でトンネルの覆工表面1に固定される。そこで、例えば、トンネルの覆工表面1にひび割れ9が発生すると、逆U字形状の支持体3の両脚部5,6は広がることになり、歪みゲージ4に作用することになり、トンネルの覆工表面1の挙動が歪みゲージ4の出力情報として得られる。また、センサー2の近傍にはこのセンサー2に接続される無線送信装置10を設置する。つまり、無線送信装置10は、図4に示すように、アナログ情報をデジタル情報に変換する入力インターフェース11と、CPU(中央処理装置)12と、無線送信部13とからなる。なお、センサー2は同一断面上にも複数個配置することが望ましい。また、歪みゲージ4は支持部材(テープなど)でトンネルの覆工表面に配置するようにしてもよい。
【0017】
図3に示すように、無線送信装置10からは地震時のトンネル覆工挙動の計測情報が送信され、トンネル14の外に配置される無線受信装置20で受信される。この無線受信装置20は、図5に示すように、無線受信部21、CPU(中央処理装置)22と、出力インターフェース23とを備えている。
【0018】
この無線受信部21に得られたトンネル覆工挙動の計測情報は、出力インターフェース23を介してトンネル覆工情報解析装置30で解析される。
【0019】
図6は本発明の第2実施例を示すトンネルの複数断面にセンサーを配置した地震時のトンネル覆工挙動の3次元的計測システムの模式図である。
【0020】
上記した第1実施例では、トンネルの一断面のトンネル覆工挙動を計測する例について述べたが、本実施例では、図6に示すように、複数のトンネルの断面41,42にそれぞれセンサー43,44を配置した。これにより、それぞれの断面にでのトンネル覆工表面の変状情報を、その断面の位置情報とともに無線送信装置45,46で送信して、トンネルの外に配置される無線受信装置47で受信するようにした。無線受信装置47で受信された複数断面のトンネル覆工挙動の計測情報は、トンネル覆工情報解析装置48で解析され、3次元的なトンネル覆工挙動を把握することができる。
【0021】
図7は本発明の第3実施例を示すレーザー変位計を有するセンサーを備えた地震時のトンネル覆工挙動の計測システムの模式図である。
【0022】
この実施例では、トンネル14の覆工表面にレーザー変位計50を配置して、トンネル覆工表面の変位を計測し、第1実施例と同様に、その計測情報を無線送信装置でトンネルの外に配置される無線受信装置20に送信し、トンネル覆工情報解析装置30で解析する。
【0023】
この第3実施例においても、トンネルの一断面のみのトンネル覆工挙動の計測について述べたが、第2実施例と同様に、複数のトンネルの断面にそれぞれレーザー変位計50を有するセンサーを配置してもよい。これにより、それぞれの断面でのトンネル覆工表面の変状情報を、その断面の位置情報とともに無線送信装置で送信して、トンネルの外に配置される無線受信装置で受信するようにした。この無線受信装置で受信された複数断面のトンネル覆工挙動の計測情報は、トンネル覆工情報解析装置で解析され、3次元的なトンネル覆工挙動を把握することができる。
【0024】
この第3実施例において、レーザー変位計50を用いるようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、通常の発光ランプと距離センサ付き受光素子との組み合わせ等の種々の光学的変位計を用いるようにしてもよい。
【0025】
本発明によれば、トンネル覆工に取り付けたセンサーで得られたデータを無線送信装置で送信し、トンネル外で受信することにより、トンネル坑外で覆工挙動をリアルタイムに監視することができる。
【0026】
また、このシステムを用いた計測断面をあらかじめトンネル変状箇所等に複数設置し、地震発生時(緊急地震速報等で地震が予知された段階)に動的なセンサー(計測装置)を開始させ、地震による挙動が収束したり、計測・無線装置が損傷するまで計測とデータ送信を継続することにより、地震時の覆工挙動を動的にリアルタイムで計測することができる。
【0027】
このように、無線受信装置と周波数分析等を行うトンネル覆工情報解析装置を組み合わせたシステムを構築し、これをもとにトンネル覆工の損傷程度を把握して運転規制等の判断に資することができる。
【0028】
また、トンネル内に配置される各種センサーや無線送信装置等の機器が安価であり、小型であるため、多くの計測断面を設けることができる。これにより高密度のモニタリングができる。
【0029】
さらに、トンネル内にデータを収集しに行く必要がないので、地震によるトンネル崩壊の危険性がある場合でも安全にデータを得ることができる。また、被害が大きな場合でも、機器類が損傷するまで、データを取り続けることができる。
【0030】
そして、トンネル覆工の地震時挙動メカニズムが解明できる。
【0031】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明の地震時のトンネル覆工挙動の計測システムは、地震時のトンネルの覆工挙動をリアルタイムに把握することができるシステムとして利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の第1実施例を示す歪みゲージを有するセンサーを備えた地震時のトンネル覆工挙動の計測装置を示す模式図である。
【図2】本発明の第1実施例を示す歪みゲージを有するセンサーを備えた地震時のトンネル覆工挙動の計測装置の配置状態を示す図面代用の写真である。
【図3】本発明の第1実施例を示す歪みゲージを有するセンサーを備えた地震時のトンネル覆工挙動の計測システムの模式図である。
【図4】本発明の地震時のトンネル覆工挙動の計測システムの無線送信装置のブロック図である。
【図5】本発明のトンネル覆工挙動の計測システムの無線受信装置のブロック図である。
【図6】本発明の第2実施例を示すトンネルの複数断面にセンサーを配置した地震時のトンネル覆工挙動の3次元的計測システムの模式図である。
【図7】本発明の第3実施例を示すレーザー変位計を有するセンサーを備えた地震時のトンネル覆工挙動の計測システムの模式図である。
【符号の説明】
【0034】
1 トンネルの覆工表面
2 センサー
3 逆U字形状の支持体
4 歪みゲージ
5,6 逆U字形状の支持体の脚部
7,8 固定ボルト
9 ひび割れ
10,45,46 無線送信装置
11 入力インターフェース
12,22 CPU(中央処理装置)
13 無線送信部
14 トンネル
20,47 無線受信装置
21 無線受信部
23 出力インターフェース
30,48 トンネル覆工情報解析装置
41,42 トンネルの断面
43,44 センサー
50 レーザー変位計
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)トンネルの覆工表面に歪みゲージを有するセンサーと該センサーに接続される無線送信装置とを配置し、
(b)該無線送信装置からの前記トンネルの覆工表面の変状情報を前記トンネルの外で受信する無線受信装置と、
(c)該無線受信装置からの前記トンネルの覆工表面の変状情報を解析するトンネル覆工情報解析装置とを具備することを特徴とする地震時のトンネル覆工挙動の計測システム。
【請求項2】
請求項1記載の地震時のトンネル覆工挙動の計測システムにおいて、前記センサーが逆U字形状の支持体の一面に配置され、ひび割れを検出することを特徴とする地震時のトンネル覆工挙動の計測システム。
【請求項3】
(a)トンネルの覆工表面に光学的変位計を有するセンサーと該センサーに接続される無線送信装置とを配置し、
(b)該無線送信装置からのトンネルの覆工表面の変状情報を前記トンネルの外で受信する無線受信装置と、
(c)該無線受信装置からの前記トンネルの覆工表面の変状情報を解析するトンネル覆工情報解析装置とを具備することを特徴とする地震時のトンネル覆工挙動の計測システム。
【請求項4】
請求項3記載の地震時のトンネル覆工挙動の計測システムにおいて、前記光学的変位計がレーザー変位計であることを特徴とする地震時のトンネル覆工挙動の計測システム。
【請求項5】
請求項1又は3記載の地震時のトンネル覆工挙動の計測システムにおいて、前記センサーを前記トンネルの複数の断面に配置して3次元的なトンネル覆工挙動の計測を行うようにしたことを特徴とする地震時のトンネル覆工挙動の計測システム。
【請求項1】
(a)トンネルの覆工表面に歪みゲージを有するセンサーと該センサーに接続される無線送信装置とを配置し、
(b)該無線送信装置からの前記トンネルの覆工表面の変状情報を前記トンネルの外で受信する無線受信装置と、
(c)該無線受信装置からの前記トンネルの覆工表面の変状情報を解析するトンネル覆工情報解析装置とを具備することを特徴とする地震時のトンネル覆工挙動の計測システム。
【請求項2】
請求項1記載の地震時のトンネル覆工挙動の計測システムにおいて、前記センサーが逆U字形状の支持体の一面に配置され、ひび割れを検出することを特徴とする地震時のトンネル覆工挙動の計測システム。
【請求項3】
(a)トンネルの覆工表面に光学的変位計を有するセンサーと該センサーに接続される無線送信装置とを配置し、
(b)該無線送信装置からのトンネルの覆工表面の変状情報を前記トンネルの外で受信する無線受信装置と、
(c)該無線受信装置からの前記トンネルの覆工表面の変状情報を解析するトンネル覆工情報解析装置とを具備することを特徴とする地震時のトンネル覆工挙動の計測システム。
【請求項4】
請求項3記載の地震時のトンネル覆工挙動の計測システムにおいて、前記光学的変位計がレーザー変位計であることを特徴とする地震時のトンネル覆工挙動の計測システム。
【請求項5】
請求項1又は3記載の地震時のトンネル覆工挙動の計測システムにおいて、前記センサーを前記トンネルの複数の断面に配置して3次元的なトンネル覆工挙動の計測を行うようにしたことを特徴とする地震時のトンネル覆工挙動の計測システム。
【図1】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図2】
【公開番号】特開2009−300323(P2009−300323A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−156887(P2008−156887)
【出願日】平成20年6月16日(2008.6.16)
【出願人】(000173784)財団法人鉄道総合技術研究所 (1,666)
【出願人】(500519987)株式会社ジェイアール総研情報システム (14)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月16日(2008.6.16)
【出願人】(000173784)財団法人鉄道総合技術研究所 (1,666)
【出願人】(500519987)株式会社ジェイアール総研情報システム (14)
【Fターム(参考)】
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