説明

垂直軸型重層翼車装置

【課題】垂直軸型翼車装置において、風力に対する作用、効率は問題ないが、大きな出力を得るために大型にすると、長方形の翼は風力で弓なり湾曲し、脱落、破損し翼軸受け部分も破損する。
【解決手段】垂直軸型重層翼車装置を鳥籠状の円筒形筺体構造としたことで、堅牢で柔軟性にとみ積雪や着氷を軽減し、空間体積の大きな風力を効率よく利用できる、さらに、垂直翼10を複数の翼輪3の間へ複数階に設けたことで、大型の風車構造となる、翼軸8と中空翼軸を被覆する垂直翼としたことで、垂直翼の破損や飛散を無くし、さらに、垂直翼の交換が簡単にできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風力エネルギーの流体エネルギーを利用した装置に用いられる垂直軸型重層翼車装置であって、特に低風速タイプとして知られているサポニウス型の一種である複数の垂直翼を有したクロスフロー形風車に似た外見の翼車である垂直軸型重層翼車装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、風は地表の摩擦を受け易く、高度が増すごとに地表の摩擦を受けにくくなる。
そして、風速の出現率は2mより8mがもっとも顕著である。
したがって、風力発電用の風車の発明に当たっては、風力出現率のもっとも多い所、地表より高い位置で風力を捕捉できる構造とすることが肝要である。
然るに、高度の風力を利用するための垂直軸型風車装置の構造は、円筒状の空間体積を大きくすることが要求される。
【0003】
特許文献1の、垂直軸型翼車装置において、翼車内を通過する風力に対する作用と効率においては、なんら、問題はないが、垂直軸型翼車装置を大型の構造物として、大きな出力を得ようとすると問題である。
【0004】
特許文献1の、垂直軸型翼車装置において、大型の構造物を制作すると、一段の円筒形であるため垂直軸型翼車装置の翼は全体が大型になり、その翼が大型になると風力を受けた時に、翼は弓なりに湾曲し、翼の回転不良、破損,飛散等の被害を生ずる。「垂直軸型翼車装置」(例えば、特許文献参照)
【0005】
特許文献2の、垂直軸型翼列翼車装置において大型の構造物を制作すると、翼が複数に分割されている、そして、翼の軽量化のために、翼軸を細く制作する構造となり、大型の翼を制作することは困難である、さらに、翼を分割していても、風力で回転する翼からは大きな騒音を発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−436810号公報
【特許文献2】特願2006−215002号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】関和市、牛山泉共著「垂直軸風車」パワー社出版2008年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1、特許文献2で解決しようとする問題点は、垂直軸型翼車装置又は、垂直軸型翼列翼車装置そのままの構造形態で大型の装置を制作すると、風力に対して風車の耐久力は保障されない点がある。


【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、垂直軸型重層翼車装置の中心へ動力伝達用の回転軸1を垂直に設ける、該回転軸1へ直交するよう四方へ放射状に複数のアーム2を重層状で、かつ、等間隔に設ける、該アーム2の周縁辺部に翼輪3を設ける、該翼輪3は内翼輪4と外翼輪5からなり、該内翼輪4と外翼輪5の間で円周へ等間隔に複数の翼軸受け板6を設ける、該翼軸受け板6に翼軸受け7を設ける、該翼軸受け7を貫通する翼軸8を設ける、該翼軸8を被覆する中空翼軸9と、該中空翼軸9を被覆する垂直翼10を設ける、該垂直翼10の形状は翼輪3と翼輪3の間の高さに近い長方形状とする、上記回転軸1と平行に複数の翼衝止棒体11を上記内翼輪4又は外翼輪5の円周へ等間隔で垂直に設け、該翼衝止棒体11は複数階に設けられた内翼輪4又は外翼輪5を連結して設けた構成で、回転軸1、アーム2、翼輪3、内翼輪4、外翼輪5、翼軸受け板6、翼軸受け7、翼軸8、中空翼軸9、垂直翼10、翼衝止棒体11で構成し、翼輪3と翼輪3の間へ複数の垂直翼10を並列で垂直に設け一階層とする、該一階層を重層の複数階に設け円筒状の筺体構造としたことを特徴とする垂直軸型重層翼車装置。
【発明の効果】
【0010】
本発明の、垂直軸型重層翼車装置は鳥籠状の円筒筺体構造となり、堅牢で柔軟性にとみ、積雪や着氷を軽減し、低風速域はもとより高風速域にも対応し、空間体積の風力を効率よく利用する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、垂直軸型重層翼車装置の実施例で全体像を示す斜視図の説明図である。(実施例1)
【図2】図2は、垂直軸型重層翼車装置の各部品と各部位の配置を示す低面図を示した説明図である。(実施例2)
【図3】図3は、垂直軸型重層翼車装置の垂直翼10の回動状態を示した説明図である。(実施例3)
【図4】図4は、垂直軸型重層翼車装置の一部分を示した説明図用の斜視図である。(実施例4)
【図5】図5は、垂直軸型重層翼車装置の垂直翼10の全体を示した説明用の斜視図である。(実施例5)
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を、風力利用の最適なものとして考慮すれば、垂直翼10を翼輪3と翼輪3の間へ垂直で並列に複数立設し、この、一階層を複数階層に設けた鳥籠状の円筒形筺体であり、水平回転の垂直軸型重層翼車装置である。
【実施例1】
【0013】
以下、本発明の、実施例について図1〜図5を参照しながら説明する。
ここで、各実施例中、同一機能を有する構成要素は同一符号を付して説明を省略する。
図1は、本発明の代表的な垂直軸型重層翼車装置の斜視図である、垂直軸型重層翼車装置の大きさは目的とする出力によって定めればよいので、寸法記載は全て省略したが、図から各部分の大きさを相対的に十分判断できると信ずる。
【0014】
垂直軸型重層翼車装置の骨格をなす制作素材は、主にステンレス鋼材を主体とするが、軽量でありながら堅牢であり、弾力性と柔軟性と耐久性と耐候性に優れた素材を選択することが肝要である。
【0015】
以下は、垂直軸型重層翼車装置を構成する部品の形状と付随する部分の説明である。
【0016】
図1は、垂直の回転軸1と、回転軸1へ上下均等で複数階に設け熔着された三角形状のアーム2と複数階の翼輪3と、垂直に設けられた複数の翼軸8と翼輪3と翼輪3の間へ垂直で複数の垂直翼10と、複数階の内翼輪4又は、外翼輪5の円周へ均等で垂直に複数設け熔着された翼衝止棒体11で構成された状態を示す斜視図であり、垂直軸型重層翼車装置の形状は中心に回転軸1を有する鳥籠状で円筒形の筺体構造である。
【実施例2】
【0017】
図2は、垂直軸型重層翼車装置の翼輪3の底面図であり、翼輪3の中心に回転軸1と、その、回転軸1より放射状に設け熔着された三角形状のアーム2で、その、アーム2の先端近傍に設けた内翼輪4と外翼輪5の間で円周へ等間隔に翼軸受け板6を設け熔着する、その、翼軸受け板6の中心を貫通するように翼軸受け7を設けた垂直軸型重層翼車装置の底面図である。
【実施例3】
【0018】
図3は、垂直軸型重層翼車装置の上面図であり、矢印の方向からの風向による垂直翼10の回動する様子を示しており、各々の垂直翼10が翼軸9を中心に回動し、翼衝止棒体11によって衝止、又は、解放されて、風力の流体エネルギーを回転エネルギーに変換する垂直翼10の様子を示している。

【実施例4】
【0019】
図4は、垂直軸型重層翼車装置の一部分を理解しやすく表した図で、回転軸1と三角形状のアーム2と水平に設けられた翼輪3で、回転軸1と平行な翼軸8で、その、翼軸8を被覆する中空翼軸9と、その、中空翼軸9を被覆する垂直翼10と、その、垂直翼10の回動範囲を決定する複数の翼衝止棒体11が複数の内翼輪4、又は、外翼輪5と直交するよう垂直方向に設け熔着した、状態を表している斜視図である。
【実施例5】
【0020】
図5は、垂直軸型重層翼車装置の垂直翼10の斜視図であり、中空翼軸9を被覆した長方形状の垂直翼10である。
【0021】
回転軸1は、軽量化のため中空の円筒、又は、角筒を用いるとよい。
【0022】
三角形状のアーム2は、上下左右の振動や遥動を抑止するよう直角三角形で筋交いを設け、底辺の短い辺を回転軸1に設け熔着し、高さの辺は翼輪3の半径で、その、高さの先端の周縁辺部へ翼輪3を設け熔着する。
【0023】
翼輪3は、内翼輪4と外翼輪5より成り、この両輪を水平に連結する複数の翼軸受け板6を内翼輪4と外翼輪5の間の円周へ均等に設け熔着することで、翼輪3がより堅牢で耐久性のある構造となる。
【0024】
翼軸受け板6へ翼軸受け7を設け、その、翼軸受け7へ丸棒の翼軸8を垂直に設けたことで、垂直翼10はスムーズに回動する。
【0025】
翼軸8を翼軸受け7へ通し、さらに、中空翼軸9へ通すことで、垂直翼10の組み込みと修理や交換が簡単にできる、さらに、翼軸8の両端をネジ状に加工し固定することで垂直翼10の脱落や飛散をふせぐ。
【0026】
中空翼軸9は、被覆する長方形の垂直翼10の短辺の両端より突出して設けたことで、垂直翼10の回動を円滑にする。
【0027】
中空翼軸9を被覆する長方形状の垂直翼10としたことで、垂直翼10が堅牢になり、弓なり湾曲を防ぎ、さらに、垂直翼10の交換や修理が簡単になる。
【0028】
垂直翼10を翼輪3と翼輪3の間へ垂直で複数並列に立設し、翼輪3の周縁辺部へ均等に設けた垂直翼10と翼輪3を一階とし、これを、複数階とすることで重層状の垂直軸型重層翼車装置となる。
【0029】
垂直翼10の高さは、翼輪3と翼輪3の高さに近い長方形であり、垂直翼10の幅を大幅にすると低風速に対応し、垂直翼を小幅にすることで高風速に対応する。
【0030】
翼衝止棒体11は、垂直翼10の回動範囲を決定する、さらに、重層された内翼輪4又は、外翼輪5の周辺へ複数本の翼衝止棒体11を等間隔で垂直に設け熔着する。
【0031】
翼衝止棒体11を複数階の内翼輪4、又は、外翼輪5の周辺へ設け熔着したことで、垂直軸型重層翼車装置の筺体が堅牢で変形や破損を軽減する。
【0032】
垂直軸型重層翼車の構造としたことで、円筒状の風車となり、大きな空間体積の大きな風力を効率よく利用することができる。
【0033】
低風速域においては、垂直翼10の使用枚数を多くすることで、大きな回転出力を得ることができる。
【0034】
高風速域においては、垂直翼10の使用枚数を少なくすることで、高風速に対応する。
【産業上の利用可能性】
【0035】
流体エネルギーを、回転エネルギーとして取り出すことで、回転運動を必要とする、あらゆる装置に利用できる。
【0036】
垂直軸型重層翼車装置を広告塔として利用することもできる。
【符号の説明】
【0037】
1 回転軸
2 アーム
3 翼輪
4 内翼輪
5 外翼輪
6 翼軸受け板
7 翼軸受け
8 翼軸
9 中空翼軸
10 垂直翼
11 翼衝止棒体











































【特許請求の範囲】
【請求項1】
垂直軸型重層翼車装置の中心へ動力伝達用の回転軸(1)を垂直に設ける、該回転軸(1)へ直交するよう四方へ放射状に複数のアーム(2)を重層状で、かつ、上下等間隔に設ける、該アーム(2)の周縁辺部へ翼輪(3)を設ける、該翼輪(3)は内翼輪(4)と外翼輪(5)よりなり、該内翼輪(4)と外翼輪(5)の間で円周へ等間隔に複数の翼軸受け板(6)を設ける、該翼軸受け板(6)へ翼軸受け(7)を設ける、該翼軸受け(7)を貫通する翼軸(8)を設ける、該翼軸(8)を被覆する中空翼軸(9)と、該中空翼軸(9)を被覆する垂直翼(10)を設ける、該垂直翼(10)の形状は翼輪(3)と翼輪(3)の間の高さに近い長方形状とする、上記回転軸(1)と平行で複数の翼衝止棒体(11)を上記内翼輪(4)又は、外翼輪(5)の円周へ等間隔で垂直に設け、該翼衝止棒体(11)は複数階に設けられた内翼輪(4)、又は、外翼輪(5)と直交するよう連結して設ける、回転軸(1)、アーム(2)、翼輪(3)、内翼輪(4)、外翼輪(5)、翼軸受け板(6)、翼軸受け(7)、翼軸(8)、中空翼軸(9)、垂直翼(10)、翼衝止棒体(11)、よりなり、翼輪(3)と翼輪(3)の間へ複数の垂直翼(10)を垂直で並列に設け、該垂直翼(10)の中空翼軸(9)へ翼軸(8)を貫通して垂直に設ける、上記翼輪(3)と翼輪(3)の間へ並列に設けた垂直翼(10)を一階層とする、該一階層を重層に複数階層とし、円筒形の筺体構造としたことを特徴とする垂直軸型重層翼車装置。
【請求項2】
垂直翼(10)は重層に設けられた翼輪(3)と翼輪(3)の各階へ垂直で並列に立設し複数配設した構造で、垂直軸型重層翼車装置の大型構造物として制作することができる請求項1記載の垂直軸型重層翼車装置。
【請求項3】
垂直翼(10)に中空翼軸(9)を設けたことで、垂直翼(10)の風力による弓なり湾曲を軽減する構造の請求項1乃至請求項2のいずれかに記載の垂直軸型重層翼車装置。
【請求項4】
重層に設けられた内翼輪(4)又は、外翼輪(5)の各々に、垂直で均等に複数配設された翼衝止棒体(11)としたことで、鳥籠状の円筒形筺体となり、堅牢で柔軟な構造の請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の垂直軸型重層翼車装置。
【請求項5】
風力エネルギーを原動力とし、風車として活用する請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の垂直軸型重層翼車装置。
【請求項6】
水力エネルギーを原動力とし、水車として活用する請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の垂直軸型重層翼車装置。
【請求項7】
垂直軸型重層翼車装置を広告塔として活用する請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の垂直軸型重層翼車装置。











【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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