説明

型押装置、型押方法および皮革シート

【課題】皮革シートの表面に形成した型押しによる凹凸模様に関して、輪郭のはっきりした凹凸模様を形成すること、および時間の経過に伴う凹凸模様の薄れを防止することを課題とする。
【解決手段】被加工物の表面を押圧する凸型と、当該凸型と対向して配置された平坦面もしくは前記凸型に対応する凹部を形成した受圧部と、前記凸型若しくは受圧部の一方または双方を駆動するプレス機構と、前記凸型および受圧部に接続された高周波電流を発生する電源装置とを有し、前記凸型と受圧部の間に装着された前記被加工物を前記プレス機構によって押圧するとともに、前記高周波電流の印加によって生じる電磁波によって加熱するように構成したこと。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、型押装置、型押方法および皮革シートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、超音波振動を利用した特許文献1記載の天然皮革の刻印方法が知られている。当該天然皮革の刻印方法は、受台に刻印型を載置し、当該刻印型上に金属箔を形成してなるスタンプ箔および天然皮革を重ね、その上から超音波振動を発生するホーンを近接させてスタンプ箔を加熱し、その熱を利用してスタンプ箔を天然皮革の表面に加熱圧着するとともに刻印型によって所定の装飾が刻印されるというものである。また、必要に応じて超音波溶着機の近傍に加熱空気を送風するハンドヒータ等の送風加熱手段を設け、熱風により前記刻印型の温度調節を行なうようになっている。
【特許文献1】特開平5−331498号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来の超音波振動を使用した加熱方法は、物体を物理的に振動させて加熱するものであるから、金属等のような比熱が高く質量のある物体を共振させるようにしないと効率よく発熱しない。したがって、比熱が小さく重量も軽い(密度が低い)革を直接的に加熱することには適さない。また、金型等によって押圧した被加工物を加熱する場合、超音波振動では物体を押さえつける金型やプレスなどの重量のある物質に振動エネルギーが吸収されるので、革等の被加工物のみを効率よく加熱することは困難である。
また、革の表面に文字、記号その他の凹凸模様を形成する場合、金型を加熱しながら型押しをすることが行われている。しかし、単に加熱しながら型押しをするだけでは、凹凸模様の輪郭が鮮明ではなかったり、型押しされた凹凸模様が時間の経過とともに薄れるという問題がある。
【0004】
本発明は、上記課題に鑑み発明されたものであって、皮革シートの表面に形成した型押しによる凹凸模様に関して、第一に、輪郭のはっきりした凹凸模様を形成すること、第二に、時間の経過に伴う凹凸模様の薄れを防止すること等を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本願請求項1記載の型押装置は以下の構成を有する。すなわち、
被加工物の表面を押圧する凸型と、当該凸型と対向して配置された平坦面もしくは前記凸型に対応する凹部を形成した受圧部と、前記凸型若しくは受圧部の一方または双方を駆動するプレス機構と、前記凸型および受圧部に接続された高周波電流を発生する電源装置とを有し、前記凸型と受圧部の間に装着された前記被加工物を前記プレス機構によって押圧するとともに、前記高周波電流の印加によって生じる電磁波によって加熱するように構成したことを特徴とするものである。当該型押装置は、被加工物を直接的に加熱するので加熱時間が短時間でありかつ同時に加圧することができる。これにより、作業効率がよく形成された凹凸模様も輪郭が鮮明であるという特徴を有する。
【0006】
また、本願請求項2記載の型押装置は、請求項1記載の型押装置であって以下の構成を有することを特徴とする。
すなわち、前記被加工物が皮革シートであることを特徴とする。
【0007】
また、本願請求項3記載の型押装置は、請求項1または2記載の型押装置であって以下
の構成を有することを特徴とする。
すなわち、前記受圧部の表面に、絶縁性を有する弾性シートを配置したことを特徴とする。当該弾性シートは、絶縁効果を有することによって、皮革シート等の被加工物が焼け焦げることを防止することができる。また、弾性シートは、凸型による押し込みに伴って凹むので、弾性シートが無い場合と比較して凸型の押し込み量を多くすることができ、凹み量の大きい凹凸模様を形成することができるという特徴を有する。
【0008】
また、本願請求項4記載の型押装置は、請求項1または2記載の型押装置であって以下の構成を有することを特徴とする。
すなわち、前記受圧部の表面に、絶縁物による被膜もしくは板状体を設けたことを特徴とする。このような絶縁効果を有する被膜もしくは板状体を設けることによって、皮革シート等の被加工物が焼け焦げることを防止することができるという特徴を有する。
【0009】
また、本願請求項5記載の型押方法は、以下の構成を有することを特徴とする。すなわち、
皮革シートの表面を押圧する凸型と、当該凸型と対向して配置された平坦面もしくは前記凸型に対応する凹部を形成した受圧部と、前記凸型若しくは受圧部の一方または双方を駆動するプレス機構と、前記凸型および受圧部に接続された高周波電流を発生する電源装置とを有した型押装置による皮革シートの型押方法であって、前記凸型と受圧部の間に装着された前記皮革シートを前記プレス機構によって押圧するとともに前記高周波電流の印加によって生じる電磁波によって加熱を行い、当該加熱開始から所定時間経過した後に加熱を停止し、当該加熱停止から所定時間経過した後に前記プレス機構による加圧を停止するようにしたことを特徴とする。
当該方法によれば、皮革シート等の被加工物自体を加熱または冷却(放置)するものであるので、金型を加熱し冷却するというサイクルで型押しを行う場合と比較して、はるかに作業時間が短いものである。また、被加工物自体を加熱後に加圧したまま冷却することにより、型押しされた状態が維持され、形成された凹凸模様を鮮明に残存させることができるという特徴を有する。
【0010】
また、本願請求項6記載の型押方法は、以下の構成を有することを特徴とする。すなわち、
皮革シートの表面を押圧する凸型と、当該凸型と対向して配置された平坦面もしくは前記凸型に対応する凹部を形成した受圧部と、前記皮革シートと受圧部との間に設けられる弾性シートと、前記凸型若しくは受圧部の一方または双方を駆動するプレス機構と、前記凸型および受圧部に接続された高周波電流を発生する電源装置とを有した型押装置による皮革シートの型押方法であって、
前記凸型と受圧部の間に装着された前記皮革シートを前記プレス機構によって押圧するとともに前記高周波電流の印加によって生じる電磁波によって加熱を行い、当該加熱開始から所定時間経過した後に加熱を停止し、当該加熱停止から所定時間経過した後に前記プレス機構による加圧を停止するようにしたことを特徴とする。
【0011】
また、本願請求項7記載の皮革シートは、以下の構成を有することを特徴とする。すなわち、
凸型と、当該凸型に対向して配置された平坦面もしくは前記凸型に対応する凹部を形成した受圧部と、前記凸型若しくは受圧部の一方または双方を駆動するプレス機構と、前記凸型および受圧部に接続された高周波電流を発生する電源装置とを有した型押装置によって型押しされた皮革シートであって、
前記凸型と受圧部の間で前記プレス機構によって加圧されるとともに前記高周波電流の印加によって生じる電磁波によって加熱が行われ、当該加熱開始から所定時間経過した後に加熱を停止し、当該加熱停止から所定時間経過した後に前記プレス機構による加圧を停
止することにより型押し部を形成したこと。
上記皮革シートは、加圧下において加熱および冷却が行われると、内部の繊維質が変形後の状態を維持するので、形成された型押しによる凹凸模様を長期間に亘って維持することができるものである。
【0012】
また、本願請求項8記載の皮革シートは、以下の構成を有することを特徴とする。すなわち、
凸型と、当該凸型に対向して配置された平坦面もしくは前記凸型に対応する凹部を形成した受圧部と、前記皮革シートと受圧部との間に設けられる弾性シートと、前記凸型若しくは受圧部の一方または双方を駆動するプレス機構と、前記凸型および受圧部に接続された高周波電流を発生する電源装置とを有した型押装置によって型押しされた皮革シートであって、
前記凸型と受圧部の間で前記プレス機構によって加圧されるとともに前記高周波電流の印加によって生じる電磁波によって加熱が行われ、当該加熱開始から所定時間経過した後に加熱を停止し、当該加熱停止から所定時間経過した後に前記プレス機構による加圧を停止することにより型押し部を形成したこと。
上記皮革シートは、加圧下において加熱および冷却が行われると、内部の繊維質が変形後の状態を維持するので、形成された型押しによる凹凸模様を長期間に亘って維持することができるものである。また、前記弾性シートを使用すると、より深く型押しをすることができるので、形成された型押しによる凹凸模様を鮮明に形成することができるという特徴を有する。
【発明の効果】
【0013】
本願発明は下記の効果を有する。
(1)加工開始までの時間が短いという効果。
金型をヒーターで加熱してから型押しをする従来の装置では、金型の温度上昇を待ってから作業を行う必要があるため、作業着手から型押し開始までに待ち時間が生じてしまう。これに対して本発明に係る型押装置および型押方法は、皮革シート等の被加工物を短時間で直接的に加熱するものであるから金型の予備加熱を必要としないものである。したがって、作業に着手してから実際に型押しを開始するまでの時間が短いので、作業の中断、開始等の作業サイクルが不規則な場合であっても、待ち時間がなく効率よく型押し作業を行うことが出来るという効果を有している。
(2)加熱後に冷却時間を設けることによる効果。
皮革シート表面に加熱しながら型押しを行った場合、加熱直後に型押しを終了するよりも、加熱停止後に多少の冷却時間を設けた場合のほうが、皮革表面に形成された凹凸模様の輪郭を鮮明にすることができるとともに、時間の経過に伴って凹凸模様が薄くなるという現象を軽減することができる。
本発明に係る型押装置および型押方法は、金型を加熱するのではなく、皮革シート等の被加工物自体を加熱するものである。皮革シートは、金属と比較して比熱が低いことから熱しやすく冷めやすい素材であるということができる。したがって、加熱を停止すると接触している金型を介して熱が放散するので、皮革シートの型押し部分の温度降下が早く行われることになる。本発明に係る型押装置および型押方法は、型押しをしながらの加熱後に、加圧したまま所定時間(数秒〜十数秒)放置することによって、型押しを継続しながら皮革シートを冷却することができる。したがって、加熱、冷却というサイクルを短時間で繰り返すことができるので、凹凸模様の輪郭が明確であり凹凸模様の経時的な薄れの少ない皮革シートを効率よく量産できるという効果を有している。
(3)焼け焦げの防止効果
本発明に係る型押装置および型押方法は、凸型と受圧部を電極として作用させ、凸型と受圧部の間に発生する磁界によって間に挟んだ物質を加熱するという原理を利用している。しかし、鞣しや染色、塗装を行った皮革シートには、カーボンブラック等の導電物が含まれている場合があり、凸型と受圧部に高周波電流を印加した際に導電物によって電流が流れ、皮革シートが焼け焦げたり穴が開く場合がある。
本発明に係る型押装置および型押方法は、さらに改良を行い受圧部側に絶縁物を介在させることによって、凸型と受圧部間に発生する電流のリークを防止し、皮革シートの焼け焦げ等を防止することができるという効果を有している。
(4)凹凸模様を鮮明にする効果
皮革シート表面に形成する凹凸模様は、皮革表面に凸型を押しつけて凹ますことによって形成されるので、強い力で押圧するほど凹みの深さが深くなり、凹凸模様の輪郭が鮮明になる。しかし、強く押すということは凸型と受圧部の距離がより近接することになり、電流のリークが発生しやすくなる。しかし、受圧部の表面に絶縁物を配置することによって、電流のリークを防止することができる。
また、特に絶縁物としてシリコンゴム等の柔軟性のあるシートを使用すると、凸型によって押しつけられた部分のシートも凹むので、皮革表面を基準としてより深く凸型を押し込むことができる。これによって、凹み部の深さをより深くすることができ、凹凸模様の輪郭を鮮明にすることができるという効果を有している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、発明を実施するための最良の形態について説明する。図1は、本実施の形態に係る型押装置1の概略図を表したものである。当該型押装置1は大まかに型押し部2と電源部3に分けられる。
型押し部2は、作業用のテーブルを兼ねた架台4を有し、当該架台4の天板上に型押しに使用する受圧部5と、被加工物を介して受圧部に荷重をかける凸型6が設けられている。受圧部5は真鍮製の板状体として形成されており、電源部3が出力する高周波電流の一方の出力電極7に接続されたものとなっている。
【0015】
凸型6は、文字、記号、模様などの種々の図柄を凸模様8として形成した金型である(図2参照)。凸型6は、皮革シート9等のシート状の被加工物の表面を凸模様8によって凹ますものであり、これにより皮革シート9等の表面に凹凸部を形成し、文字、記号、模様などの種々の図柄10を表すものである(図3参照)。また、当該凹凸部による模様は、形成された凹部の深度が深いほど図柄の輪郭が鮮明となり、経時的な変化によって消滅しにくく良好なものということができる。
【0016】
凸型6は、真鍮等の導電性のある金属によって形成されており、図2に示すように立方体状の基台11を有し、当該基台11の表面を切削または放電加工等によって彫ることで凸模様8を形成したものである。
凸型6は、プレス機構(図示せず)によって上下動する保持部12に着脱可能に取り付けられるようになっており、プレス機構の駆動による保持部12の降下に伴って被加工物の表面に押しつけられるようになっている。また、保持部12は、電源部3が高周波電流を出力する一方の出力電極15に接続されており、電源部3の高周波電流を凸型6に導通するようになっている。
【0017】
前記プレス機構には種々の形態のものを使用することができる。例えば、空気圧シリンダーによって保持部12を上下動させることで凸型6を受圧部5側に押圧する機構がある。また、作業者によって踏みつけられるフットペダルを形成し、当該フットペダルによる駆動力をリンク機構等によって保持部12に伝達し保持部12を上下動させてもよい。その他、伝導モータを使用した機構など、種々の機構を用いることができる。本発明は、本発明の特徴である電磁波加熱を伴う凸型による加圧が実現可能である限り、プレス機構の種類は問わないものである。
なお、保持部12には保持部12の降下限度を設定するための調節可能なリミッター13が設けられている。当該リミッター13は、一定の距離以上に凸型6の表面と受圧部5
の表面が近接しすぎて放電起こさないこと、また皮革シート等の表面を押しつぶすことによって生じる傷の発生や品質の低下を防ぐことを目的とするものである。
【0018】
受圧部5の表面には、絶縁性の素材によって形成された弾性シートが設けられている。本実施の形態では、約1mm厚の皮革シートに凹凸模様を形成する場合、耐久性、皮革表面に形成された凹凸模様の品質等の観点から、最適な素材として1mm厚のシリコン製の弾性シート14が最適であることが見いだされている。
当該弾性シート14は、仮に被加工物である皮革シート9に導電性の物質が含まれているとしても、凸型6(皮革シート9)と受圧部5を電気的に絶縁する。これによって、皮革シート9内を電流が流れることを防止し、焼け焦げを防ぐことができるようになっている。
なお、型押しの対象となる被加工物によっては、受圧部5の表面に弾性の無い絶縁物を塗布または薄いシートを設けることによって、被加工物内の電流通過を防止して良好な型押し性を発揮できるものもある。また、絶縁物として弾性素材を用いるのか、または絶縁塗装や薄い絶縁シートを用いるのかは、被加工物の性質、厚み等の特質に合わせて適宜選択されるものである。
【0019】
電源部3は、離間して対向する受圧部5と凸型6を電極として、高周波電流を印加するようになっている。電源部3は、一例として40.140MHzの高周波電流を発生する装置であり、凸型6の種類や大きさや被加工物の性質に応じて効率よく発熱が行われるように電流値を適宜変更できるようになっている。
受圧部5と凸型6間に高周波電流が印加されると磁界が発生する。当該磁界が被加工物内の誘電体(絶縁体)を分子レベルで振動させ内部発熱を生じさせる。この原理によって、受圧部5と凸型6間に挟まれた被加工物自体が発熱するので、外部加熱とは異なり短時間で被加工物を目的の温度にまで上昇させることができるようになっている。
また、電流の印加を停止すると、被加工物は直ちに温度降下を開始する。受圧部5と凸型6自体は発熱しないため、被加工物が到達する最高温度よりも低温である。したがって、電流の印加を停止すると、被加工物内部で発生した熱が受圧部5と凸型6を介して放熱され、比較的短時間で被加工物の温度が降下する。
なお、さらに冷却時間を短くする場合には、圧縮空気を利用したエアブローが行えるように、凸型6による押圧部付近に空気の吐出ノズルを配置してもよい。
【0020】
本発明に係る型押装置および型押方法は、その一例として厚さが1mmの表面塗装を行った皮革シートを被加工物として、その表面に凹みを形成して図3に示したような文字を形成することができる。当該例に示した文字(全体領域)の大きさは、大凡5mm×45mmである。
そして、型押しとともに0.14〜0.18Aの電流を1〜2秒間通電し、その後10秒程度放置(自然冷却)するというサイクルで加工実験を行った。その結果、最適条件としては、型押しとともに0.16Aの電流を1.5秒間(加圧・加熱時間)通電し、その後10秒程度放置(自然冷却)した場合に、生成された凹部の深度が最大となりかつ形状の保持性がよい(経時変化が少ない)ことが見いだされた。
なお、電流値が0.14A(0.16A未満)では、十分な凹部の深度(0.4mm以上)が得られず、電流値が0.18以上では、皮革シートに焼け焦げが生じた。また、加圧・加熱時間が1秒以下であると、十分な凹部の深度(0.4mm以上)が得られなかった。
【0021】
電流値は、凸型の大きさや皮革シートの種類によって最適値が変動すると考えられるが、上記加工実験の結果より、次の加工条件が見いだされる。すなわち、厚さが1mmの表面塗装を行った皮革シートを焦がすことのない最大限度の電流を通電した場合、その加圧・加熱時間を1.5秒以上に設定すると十分な凹部の深度(0.4mm以上)が得られる
というものである。本発明に係る型押方法は、当該条件によって皮革シートを加工することにより、良好な凹凸模様を得られることができるようになっている。
【0022】
以上の説明は、主として皮革シートを例に説明したが、被加工物として合成皮革や布シートその他の繊維シートを用いてもよいものである。
また、事前または加工時に皮革シートの繊維層に熱可塑性樹脂を溶融させて含浸させることができる。この場合、加工後の冷却によって皮革表面に形成された凹凸とともに繊維に含まれた熱可塑性樹脂を固形化することができる。このようにすることによって、形成された凹凸模様の経時的な変化をさらに防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明は、皮革シート等のシート体を加工する型押装置、型押方法に関するものである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る型押装置の説明図である。
【図2】本発明に係る型押装置に用いる凸型の一例を表した説明図である。
【図3】本発明に係る型押装置によって型押した皮革シート説明図である。
【符号の説明】
【0025】
1 型押装置
2 型押し部
3 電源部
4 架台
5 受圧部
6 凸型
7 出力電極
8 凸模様
9 皮革シート
10 図柄
11 基台
12 保持部
13 リミッター
14 弾性シート(絶縁物)
15 出力電極


【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物の表面を押圧する凸型と、
当該凸型と対向して配置された平坦面もしくは前記凸型に対応する凹部を形成した受圧部と、
前記凸型若しくは受圧部の一方または双方を駆動するプレス機構と、
前記凸型および受圧部に接続された高周波電流を発生する電源装置とを有し、
前記凸型と受圧部の間に装着された前記被加工物を前記プレス機構によって押圧するとともに、前記高周波電流の印加によって生じる電磁波によって加熱するように構成したことを特徴とする型押装置。
【請求項2】
前記被加工物が皮革シートであることを特徴とする請求項1記載の型押装置。
【請求項3】
前記受圧部の表面に、絶縁性を有する弾性シートを配置したことを特徴とする請求項1または2記載の型押装置。
【請求項4】
前記受圧部の表面に、絶縁物による被膜もしくは板状体を設けたことを特徴とする請求項1または2記載の型押装置。
【請求項5】
皮革シートの表面を押圧する凸型と、
当該凸型と対向して配置された平坦面もしくは前記凸型に対応する凹部を形成した受圧部と、
前記凸型若しくは受圧部の一方または双方を駆動するプレス機構と、
前記凸型および受圧部に接続された高周波電流を発生する電源装置とを有した型押装置による皮革シートの型押方法であって、
前記凸型と受圧部の間に装着された前記皮革シートを前記プレス機構によって押圧するとともに前記高周波電流の印加によって生じる電磁波によって加熱を行い、
当該加熱開始から所定時間経過した後に加熱を停止し、
当該加熱停止から所定時間経過した後に前記プレス機構による加圧を停止するようにしたことを特徴とする型押方法。
【請求項6】
皮革シートの表面を押圧する凸型と、
当該凸型と対向して配置された平坦面もしくは前記凸型に対応する凹部を形成した受圧部と、
前記皮革シートと受圧部との間に設けられる弾性シートと、
前記凸型若しくは受圧部の一方または双方を駆動するプレス機構と、
前記凸型および受圧部に接続された高周波電流を発生する電源装置とを有した型押装置による皮革シートの型押方法であって、
前記凸型と受圧部の間に装着された前記皮革シートを前記プレス機構によって押圧するとともに前記高周波電流の印加によって生じる電磁波によって加熱を行い、
当該加熱開始から所定時間経過した後に加熱を停止し、
当該加熱停止から所定時間経過した後に前記プレス機構による加圧を停止するようにしたことを特徴とする型押方法。
【請求項7】
凸型と、当該凸型に対向して配置された平坦面もしくは前記凸型に対応する凹部を形成した受圧部と、前記凸型若しくは受圧部の一方または双方を駆動するプレス機構と、前記凸型および受圧部に接続された高周波電流を発生する電源装置とを有した型押装置によって型押しされた皮革シートであって、
前記凸型と受圧部の間で前記プレス機構によって加圧されるとともに前記高周波電流の印加によって生じる電磁波によって加熱が行われ、
当該加熱開始から所定時間経過した後に加熱を停止し、当該加熱停止から所定時間経過した後に前記プレス機構による加圧を停止することにより型押し部を形成した皮革シート。
【請求項8】
凸型と、当該凸型に対向して配置された平坦面もしくは前記凸型に対応する凹部を形成した受圧部と、前記皮革シートと受圧部との間に設けられる弾性シートと、前記凸型若しくは受圧部の一方または双方を駆動するプレス機構と、前記凸型および受圧部に接続された高周波電流を発生する電源装置とを有した型押装置によって型押しされた皮革シートであって、
前記凸型と受圧部の間で前記プレス機構によって加圧されるとともに前記高周波電流の印加によって生じる電磁波によって加熱が行われ、
当該加熱開始から所定時間経過した後に加熱を停止し、当該加熱停止から所定時間経過した後に前記プレス機構による加圧を停止することにより型押し部を形成した皮革シート。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−6866(P2010−6866A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−164873(P2008−164873)
【出願日】平成20年6月24日(2008.6.24)
【出願人】(591189535)ミドリホクヨー株式会社 (37)
【Fターム(参考)】