説明

型物成型機

【課題】全体的な形状を単純化させた型物成型機の提供。
【解決手段】本発明の型物成型機は、フレーム枠の上端及び下端に設けられているガイドレールに沿って左右方向に移動可能なように配置されている圧着板と、圧着板の左右直進運動に従って雌型に選択的に結合されるように、圧着板の先端面に装着された雄型と、フレーム枠に固定されたベース本体と、ベース本体の右側に搭載された逆転可能な電動モーターの駆動力によって回転する駆動軸と、ベース本体に対して回転可能なようにベース本体の中央に装着された貫通ナット部と、貫通ナット部には複数のボールを介在し左右方向に移動可能なように貫通してガイドレールと平行の方向に伸びており、圧着板が固定されたスクリュー棒と、貫通ナット部と共に回転するようになっている従動ギアおよび従動ギアと駆動軸に固定的に外接した駆動ギアを連動させるチェーンを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は型物成型機に関し、より詳細には上記の型物成型機に具備された雄型金型を水平または垂直方向に前後進させることのできる駆動手段を備えた型物成形機に関する。
【背景技術】
【0002】
発泡ポリスチレン、発泡ポリエチレン、発泡ポリプロピレンのような発泡樹脂はプラスチック樹脂のフォームの中に空気が密閉された発泡体構造を持つことにより、軽量性、緩衝性、断熱性を持つ。このような発泡樹脂の成型は一般的に小さなビーズ、ペレットなどの形態の発泡性樹脂の粒子を発泡機で予備発泡した後に、この発泡粒子を乾燥および熟成/貯蔵してから、成型枠の中で2次発泡および成型する課程を経て行われる。
【0003】
上記成型工程は下記特許文献1に開示の型物成型機でなされ、上記の型物成型機は固定された雌型と上記の雌型と向かい合わせに結合されるように水平または水平方向に前後進が可能な雄型を具備しており、上記の雄型は高圧または油圧シリンダーのロードの先端に固定され、上記のロードの前後進運動によって型物成型機に具備されたガイドレールに沿って前後進することができる。
【特許文献1】特開平5−154930
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このような従来の型物成型機は上記の雄型を前後進させるための油圧または空圧設備が上記の雄型の背面側に配置されることになる。
【0005】
上記の型物成型機の成型枠をなしている雄型と雌型は大きな力により互いに結合されていなければならない。その理由は、雄型と雌型が互いに結合して内部に発泡成型される発泡樹脂を充填できる空間を備えた状態で、上記の空間内に発泡樹脂とスチームが充填されて発泡樹脂が所定の形状に成型されるためには、上記の空間を一定に安全に維持しなければならないからである。上記の空間が一定に維持されなければ、上記の雄型と上記の雌型との間に隙間が発生し、この隙間から高圧の蒸気と発泡樹脂が外に排出されることがある。したがって、上記の雄型を前後進させる油圧または空圧設備は大きな圧力を提供できる容量がなければならない。
【0006】
このような関係から、上記の雄型を前後進させるための油圧または空圧設備が上記の雄型背面側に配置されている従来の型物成型機は、それ自体の大きさが肥大し、油圧または空圧設備の維持補修にかなりの費用がかかり、また油圧設備で通常発生する騒音によって作業者が安楽に作業できないという問題点と油圧設備の漏油により維持補修に大きな苦衷があるという問題点がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記の問題点を解決することを目的とする。上記の目的は、雄型を前後進させる駆動を、電気モーターの駆動力と、また上記の電気モーターの駆動力が伝達されて前後進運動するスクリュー棒によって具現することによって達成される。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、上記のような構成によって型物成型機に具備された雄型の前後進駆動手段において油圧を排除することにより型物成型機の全体的な形状を単純化させることができ、その全体的な大きさも小さくすることができ、油圧/空圧による騒音および漏油を排除することにより作業環境を良くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明による実施例を図1ないし図3を参照して以下で詳細に説明する。ここで、図1には本実施例の型物成型機は雌型が排除された状態の平面図で、概念的に図示されており、図2は図1の型物成型機が正面図として概念的に図示されており、図3には図1の型物成型機が側面図として概念的に図示されており、図4には図1のスクリュー棒に関連した構成要素が拡大して図示されている。
【0010】
図1ないし図3には型物成型機が符号100で示されている。上記の型物成型機100は六面体の格子型をなしているフレーム枠1、上記フレーム枠1の上端および下端に設けられているガイドレール2、上記ガイドレール2が上部及び下部から貫通挿入され上記のガイドレール2に沿って左右方向に移動可能に配置された圧着板10を含む。
【0011】
上記圧着板10の先端面にはフレーム枠1の左側に固定的に配置された雌型(図示せず)の向かい合わせに配置され上記圧着板10の左右直進運動に従って上記の雌型に選択的に結合されるように雄型(図示せず)が装着されている。上記圧着板10の右側には上記圧着板10と一定の間隔を置いて配置されたベース本体20が上記フレーム枠1に固定されている。
【0012】
また、上記ベース本体20の右側に搭載された逆転可能な電動モーターMおよび減速機Rを経て所定の回転数で回転することになる駆動軸Sが上記ベース本体20の中央部分に隣接して上記ガイドレール2と平行の方向に伸びている。また、上記ベース本体20の中央には図4に図示されているように、貫通ナット部30が上記ベース本体20に対して回転可能なように植え込まれ左右に突出している。
【0013】
上記の貫通ナット部30には複数のボールを介在してスクリュー棒40が左右方向に移動可能なように貫通し、上記ガイドレール2と平行な方向に伸びている。上記スクリュー棒40の左側端部には上記の圧着板10が固定されている。上記の貫通ナット部30の突出した右側端部には従動ギア50が装着され、上記の貫通ナット部30と共に回転するようになっている。上記の従動ギア50と上記の駆動軸Sに固定的に外接した駆動ギア60の間はチェーンCによって連動している。
【0014】
また、上記の従動ギア50の右側にはディスク70が配置されており、このディスク70は左右上下に移動不可能な状態で上記スクリュー棒40に回転可能なように外接しており、上記ディスク70の外周部には摩擦式ブレーキ80が配置されている。上記の摩擦式ブレーキ80は通常の自動車の前輪ホイールに具備されたブレーキと同一のものである。
【0015】
上記スクリュー棒40の右側端部は上記スクリュー棒40を外部環境から保護するために保護カバー90で覆われている。
【0016】
上記のように構成された型物成型機は次のように動作する。電動モーターMの出力軸が一方向に回転すれば、減速機によって減速されて駆動軸Sが一方向に回転する。上記の駆動軸Sが一方向に回転すると、駆動ギア60が一方向に回転し、同時にチェーンCによって従動ギア50も一方向に回転する。上記の従動ギア50が一方向に回転するにしたがって、貫通ナット部30が一方向に回転駆動し、上記の貫通ナット部30と締結されたスクリュー棒40が前進運動(左側への移動)し、上記スクリュー棒40の左側端部に固定された圧着板10がガイドレール2に沿って雌型に向かって移動するようになり、結局、上記圧着板10に装着された雄型が上記の雌型と合わさって結合することになる。
【0017】
次に、上記の摩擦式ブレーキ80が作動して上記のディスク70と接触し、上記ディスク70が回転しないようにする。このような状態で、上記の雌型と上記の雄型が互いに結合し、内部に形成された空間に発泡樹脂とスチームを注入すれば希望する形状の発泡成型物が成型される。この時、スチームの注入により上記空間に形成された大きな圧力が上記の雄型を装着している圧着板10を右側に加圧しても上記ディスク70が上記の摩擦式ブレーキ80によって回転不可能になっているので、上記の圧着板10がその位置に維持されるようになる。
【0018】
上記の空間に成型された成型物を排出させるためには上記電動モーターを逆回転させればよい。その理由は上記電動モーターの逆回転により上記の圧着板が後退(右側への移動)することになるからである。
【0019】
上記の実施例の型物成型機においてスクリュー棒40が圧着板10の中央を貫通してスクリュー棒40が回転することなく前後進運動だけするものとして説明されているが、スクリュー棒をその場で回転させて圧着板10を前後進させることもできる。
【0020】
しかし、スクリュー棒をその場で回転させて圧着板を前後進させることは、スクリュー棒が上記の圧着板のガイドする4つのガイドレールの位置に配置されてはじめて安定的に圧着板を前後進させることができ、またスクリュー棒も雌型まで伸びていてこそ雌型と雄型を互いに結合させることができる。このようなスクリュー棒の構成は雌型と雄型が解体された状態で完成した成型物を雌型から排出させる際にスクリュー棒によって作業者の作業が面倒になるという問題がある。したがって、一つのスクリュー棒だけを圧着板に固定させてスクリュー棒が前後進だけする上記の実施例が望ましい。
【0021】
上記の説明において、型物成型機の圧着板が水平に移動するものとして説明されているが、上記の型物成型機を垂直方向に移動するものとして具現させることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施形態に係る型物成型機の平面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る型物成型機の正面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る型物成型機の右側面図である。
【図4】本発明の実施形態に係る型物成型機の拡大断面図である。
【符号の説明】
【0023】
1 フレーム枠
2 ガイドレール
10 圧着板
20 ベース本体
30 貫通ナット部
40 スクリュー棒と,
50 従動ギア
60 駆動ギア
70 ディスク
80 摩擦式ブレーキ
90 保護カバー
M 電動モーター
S 駆動軸
B ボール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレーム枠(1)の上端および下端に設けられているガイドレール(2)と、
上記ガイドレール(2)が上部および下部で貫通挿入され上記ガイドレール(2)に沿って移動可能なように配置されている圧着板(10)と、
フレーム枠(1)の先端側に固定的に配置された雌型と向かい合わせに配置され上記の圧着板(10)の前後進運動により上記の雌型に選択的に結合するように、上記の圧着板(10)の先端面に装着されている雄型と、
上記の圧着板(10)と一定の間隔を置いて上記の圧着板(10)の基段軸に配置され上記フレーム枠(1)に固定されているベース本体(20)と、
上記ベース本体(20)の基段軸に搭載されている逆転可能な電動モーター(M)の駆動力によって回転する駆動軸(S)と、
上記ベース本体(20)に対して回転可能なように上記ベース本体(20)の中央に装着された貫通ナット部(30)と、
上記貫通ナット部(30)には複数のボール(B)を介在して前後方向に移動可能なように貫通し上記ガイドレール(2)と平行の方向に伸びており、先端部には上記の圧着板(10)が固定されているスクリュー棒(40)と,
上記の貫通ナット部(30)の一つの側の先端部に装着され上記の貫通ナット部(30)と共に回転するようになっている従動ギア(50)、および
上記の従動ギア(50)と上記の駆動軸(S)に固定的に外接した駆動ギア(60)を連動させる連動手段を含み、
上記のスクリュー棒(40)の基段側の端部には上記のスクリュー棒(40)を外部の環境から保護するための保護カバー(90)が被せられていることを特徴とする型物成型機。
【請求項2】
上記の従動ギア(50)の基段軸にはディスク(70)が配置されており、このディスク(70)は前後上下に移動不可能な状態で上記のスクリュー棒(40)に回転可能なように外接しており、上記ディスク(70)の外周部の一部には摩擦式ブレーキ(80)が配置されていることを特徴とする請求項1に記載の型物成型機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−82891(P2010−82891A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−252644(P2008−252644)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(508294413)株式会社多保精密 (1)
【氏名又は名称原語表記】Dabo Precision Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】3Lot22Block Namdong Industrial Complex 433−2 Nonhyun−dong Namdong−gu Inchon−si Republic of Korea
【Fターム(参考)】