説明

埋設位置特定装置、埋設位置特定方法、及び、プログラム

【課題】地中に埋設された埋設物の位置を、地上で精度良く特定すること。
【解決手段】埋設物の埋設推定位置の基準点を記憶し、埋設物と交差する地表線上の複数の地点であって、基準点を境に左右に離れた複数の地点における、埋設物からの距離の入力を受け付ける。そして、埋設物からの距離を基に、基準点を境にした地表線上の2点であって、埋設物からの距離が等しい2点の位置を算出し、当該2点の中間地点の位置を算出する。さらに、複数の中間地点の位置の平均を求めて、平均の位置を埋設位置と特定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地中に埋設されたケーブル等の埋設物の埋設位置を、地表で特定する埋設位置特定装置、埋設位置特定方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、地中に埋設されたケーブルの敷設位置や深度を検知する方法として、埋設ケーブルに電流を流すことによって発生した電磁波による磁界を、地表面の様々な位置で検出し、その磁界の強度とケーブルに流した電流等から深度や埋設位置を検出する方法が取られていた。
例えば、特許文献1では、埋設ケーブルや埋設ケーブルに付属された金属ワイヤーが発信する電磁波の強度情報と、電磁波の強度を計測した地点の位置情報とから地図を作成するケーブル位置情報管理システムが記載されている。また特許文献2には、地下の導電体、例えば埋設ケ−ブル、またはパイプを探索する位置決め装置に関する技術が開示されている。
【特許文献1】特開2004−109084号公報
【特許文献2】米国特許第5920194号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の埋設位置検出方法だと、埋設位置検出の十分な精度が得られないといった問題があった。例えば、埋設ケーブルがそれほど太くなく、埋設位置特定において数センチメートルの誤差がある場合では、特定した埋設位置の地下を掘り下げても埋設ケーブルに到達しない場合があり、工事にかかる時間やコスト等が莫大なものとなる場合がある。また、このような工事は、道路を通行止めにして行うなど公に与える影響も大きいので、効率的に行う必要がある。
本発明は、以上の点に鑑みてなされたものであり、埋設ケーブルなどの埋設物の位置を、地表で精度よく特定する埋設位置特定装置、埋設位置特定方法、及び、プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前述した目的を達成するために本発明は、地表の基準点であって、埋設物の埋設推定位置の基準点を記憶する基準点記憶手段と、前記埋設物と交差する地表線上の複数の地点であって、前記基準点を境に左右に離れた前記複数の地点における、前記埋設物からの距離の入力を受け付ける埋設距離入力受付手段と、前記埋設物からの距離を基に、前記基準点を境にした前記地表線上の2点であって、前記埋設物からの距離が等しい2点の位置を算出し、当該2点の中間地点の位置を算出する中間地点算出手段と、前記中間地点算出手段によって算出された複数の中間地点の位置の平均を求めて、前記平均の位置を埋設位置と特定する埋設位置特定手段と、を備えることを特徴とする。
【0005】
本発明では、埋設ケーブルなどの埋設物の位置を地表で特定するものであり、電子機器によって算出された埋設物からの距離を基に、基準点を境にした地表線上の2点であって、埋設物からの距離が等しい2点の位置を算出し、当該2点の中間地点の位置を複数算出し、その中間地点の位置の平均を埋設位置と特定する。ここで、電子機器は、地表面から異なる距離の2点において、前記埋設物から発信される電磁波または埋設物内部から発信される電磁波の強度を検出する電磁波検出手段と、2点で検出された電磁波の強度と、前記電磁波を発生させた電流値とに基づいて、前記埋設物からの距離を算出し、通信ネットワークを介して、埋設物からの距離を埋設位置特定装置に送信する。また、埋設位置特定装置が特定した埋設位置の情報は、通信ネットワークを介して電子機器に送信される。
【0006】
また、本発明は、地表の基準点であって、埋設物の埋設推定位置の基準点の入力を受け付けるステップと、前記埋設物と交差する地表線上の複数の地点であって、前記基準点を境に左右に離れた前記複数の地点における、前記埋設物からの距離の入力を受け付けるステップと、前記埋設物からの距離を基に、前記基準点を境にした前記地表線上の2点であって、前記埋設物からの距離が等しい2点の位置を算出し、当該2点の中間地点の位置を算出するステップと、前記算出された複数の中間地点の位置の平均を求めて、前記平均の位置を埋設位置と特定するステップと、を有することを特徴とする埋設物位置特定方法である。
【0007】
また、本発明は、地表の基準点であって、埋設物の埋設推定位置の基準点を記憶する基準点記憶手段を備えたコンピュータを、前記埋設物と交差する地表線上の複数の地点であって、前記基準点を境に左右に離れた前記複数の地点における、前記埋設物からの距離の入力を受け付ける埋設距離入力受付手段と、前記埋設物からの距離を基に、前記基準点を境にした前記地表線上の2点であって、前記埋設物からの距離が等しい2点の位置を算出し、当該2点の中間地点の位置を算出する中間地点算出手段と、前記中間地点算出手段によって算出された複数の中間地点の位置の平均を求めて、前記平均の位置を埋設位置と特定する埋設位置特定手段、として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、地中埋設物の埋設位置を地表で特定する際の、特定位置の精度を向上することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に、添付図面を参照しながら、本発明に係る埋設位置特定装置の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明および添付図面において、略同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略することにする。
【0010】
図1は、埋設位置特定システムのブロック構成図である。埋設位置特定システムは、検出装置3および携帯端末5の組み合わせ、または通信ネットワーク2、検出装置3、サーバ7、記憶装置8の組合せによって構成される。携帯端末5及びサーバ7は、地中に埋設された埋設ケーブル11の埋設位置を特定する埋設位置特定装置である。なお本実施形態の詳細については、埋設位置特定システムが検出装置3および携帯端末5により構成されている場合の例を示す。なお、埋設ケーブル11は、例えば光ファイバーケーブルやメタリックケーブル等である。または埋設ケーブル11の代わりに金属の埋設管であってもよい。
【0011】
検出装置3は電子機器であり、検出部31、記憶部33、表示部35、通信部37等を有する。検出部31は、埋設ケーブル11が発生する磁界(磁界強度B)を検出する。埋設ケーブル11が発生する磁界とは、埋設ケーブル11に接続された発信器により埋設ケーブル11に直接電気信号を送り、埋設ケーブル等に導通する電流によって発生する磁界である。この他にも、埋設ケーブル11をクランプで把持し、埋設ケーブル11に導通させた電流に基づいて磁界を発生させる方法、自ら信号を発生するソンデと呼ばれる発信器を通線ロッド等の先端に装着し、非金属の埋設管路の内部に送り込み、磁界を発生させる方法などがある。
検出部31は、検出した磁界強度とその磁界を発生させた電流値とから、後述する深度計算式に従って、埋設深度を算出する。
【0012】
記憶部33は、検出部31によって検出された検出結果や算出結果等を記憶する。表示部35は、検出部31による検出結果や算出結果、検出装置3の操作入力、操作出力等を表示する。通信部37は、携帯端末5や通信ネットワーク2を介してのサーバ7に対する通信を行う。
【0013】
携帯端末5、サーバ7は、埋設物の埋設位置を特定する埋設位置特定装置である。
携帯端末5は、PDA端末等であり、制御部51、記憶部53、通信部55等を有する。通信部55は、検出装置3による検出結果等を受信する。制御部51は、通信部55が受信した検出結果を基に埋設ケーブル11の埋設位置の特定処理を行う。記憶部53は、通信部55が受信した検出結果、埋設位置特定処理のプログラム、埋設位置特定処理の結果等を記憶する。尚、検出装置3と携帯端末5とを一体化することも可能である。
【0014】
サーバ7はコンピュータであり、制御部、通信部等を有し、記憶装置8に接続する。サーバ7の通信部55は、通信ネットワーク2を介して検出装置3から検出結果等を受信する。サーバ7の制御部51は、受信した検出結果を基に埋設ケーブル11の埋設位置の特定処理を行う。記憶装置8は、検出装置3から受信した検出結果、埋設位置特定処理のプログラム、埋設位置特定処理の結果等を記憶する。
尚、サーバ7は更にキーボードやマウス等の入力部を有し、検出装置3による検出結果を入力部からの入力として受け付けることも可能である。
【0015】
次に、埋設位置特定装置による位置特定処理について説明する。
図2は、位置特定処理の流れを示すフローチャートである。
ここでは、携帯端末5が位置特定処理を行う場合について説明するが、サーバ7が同様の処理を行う様にしてもよい。
検出装置3は地表面上において埋設ケーブル11から発せられる磁界を計測し、基準点の座標や計測結果等に基づいて基準点を決定し、その位置を記憶する(ステップS201)。検出装置3は、基準点を境にして、埋設ケーブルに交差する線上の左右の複数の地点で計測した磁界等から埋設深度を算出し(ステップS202)、携帯端末5に送信する。
【0016】
次に、携帯端末5は、基準点を境にして、埋設ケーブルに交差する線上の2点であって、同一の埋設深度となる2点の位置を算出し、その中間位置を算出し(ステップS203)、記憶する。算出した中間位置のデータ数が足りなければ(ステップS204)、ステップS203の処理を行う。算出した中間位置のデータ数が十分となれば(ステップS204)、算出した複数の中間位置の平均となる位置を求め、埋設位置を算出する(ステップS205)。
【0017】
以下、上述の各ステップの処理について詳細に説明する。
検出装置3による磁界の計測から基準点を決定し、記憶する。この基準点は、埋設ケーブル11が敷設されている道路の端からの推定位置である。
【0018】
図3は検出装置によるケーブル位置の検出概要を示す第1の図である。
図3で示すように、まず検出装置3を用いて、ユーザは、埋設ケーブル11と交差する地表の線上を移動する。図3では地表の線上を基準とした断面図を示している。埋設ケーブル11の直上PBの地点では、検出装置3で検出する磁界は水平方向となり、また磁界は埋設ケーブル11を中心とする円の右回りの方向であるとする。この時、PBの地点を基準として、埋設ケーブル11と交差する地表線上を左右に移動すると、検出装置3における磁界の方向および強度が変化する。つまりPAの地点では磁界は右上方向であり、PBの地点では磁界は水平方向となり、PCの地点では磁界は右下方向となる。なお、埋設ケーブル11を導通する電流は、図3においては、紙面の手前から裏側へ抜ける方向へ流れている場合の状況を想定しているものとする。そして、この磁界により、垂直コイル43には誘導電流が流れることとなる。そして、この誘導電流の値の大きさにより、検出装置3の検出部31が、埋設ケーブル11の上に位置しているかどうかを判定することができる。ここで誘導電流が最も小さいPBの地点(図3においては誘導電流値0)が、埋設ケーブル11の上であると判定することができる。
【0019】
図4は検出装置によるケーブル位置の検出概要を示す第2の図である。
図3で示した手法により大まかな埋設ケーブル11の上の位置が判定されると、次に、ユーザから指示(次の処理の開始のボタン押下など)により、検出装置3は水平コイル41−1および水平コイル41−2の処理により、より詳細な埋設ケーブル11の直上の位置を判定する。図4で示すように、埋設ケーブルの真上のPB2の位置では水平コイル41−1または41−2における磁界は水平であるので、誘導電流値は小さいか、または0となる。またPB1やPB3の位置にずれることにより、検出装置3の水平コイル41−1または41−2における磁界が当該水平コイル41−1または41−2と交差するので、誘導電流が発生する。従って、誘導電流値が最も小さい位置(例えば誘導電流が0の位置)が最も、埋設ケーブル11との距離が近い(つまり、埋設ケーブル11の真上)であると判定できる。そして、検出装置3の表示部35には図4の(b)のような表示がされる。つまり、最も電流値が低い場合、インジケータの表示が最大となる。これによりユーザがボタンなどを押下することにより基準位置が決定される。そして、その基準位置の、道路の端からの距離が検出装置3に入力される。そして、携帯端末5は、この基準点の位置情報(道路の橋からの距離)の入力を受け付け、その基準点を決定し、メモリ等に記憶する。
【0020】
次に、検出装置3は、基準点を境にした左右の複数の地点における埋設ケーブル11から地表までの深度を算出する。
図5は、検出装置における埋設物の距離の算出概要を示す図である。
発信器61が信号を発信すると、発信器61に接続する埋設ケーブル11には電流Iが流れる。埋設ケーブル11に電流Iが流れると、埋設ケーブル11の周辺には電磁波が発生し、検出装置3は設置地点での磁界を検出する。検出装置3の検出部31は、水平コイル41−1、41−2、垂直コイル43を有し、水平コイル41−1、41−2の位置で検出した磁界強度と、埋設ケーブル11に導通させた電流値Iとに基づいて、深度計算式から、地表と埋設物(埋設ケーブル11)との距離Hを求める。
【0021】
例えば図3において、磁界強度B1と磁界強度B2とを検出し、水平コイル41−1と水平コイル41−2の距離がX、水平コイル41−2と地表との距離がh、検出装置3直下の地表の位置と埋設物との距離(深度)がH、埋設物から水平コイル41−2までの距離をDとすると、
磁界強度B1=K・I÷D
磁界強度B2=K・I÷(D+X)
であるとすると、これら2つの式を用いて、
D=X・B2÷(B1−B2)
と表すことができる。また、H=D−hであるから、結果、検出装置3直下の地表の位置と埋設物との距離(深度)がHを算出することができる。なおKは係数である。
【0022】
そして、検出装置3は、ユーザからの指示に基づいて、埋設ケーブル11と交差する地表線上の複数の地点であって、基準点を境に左右に離れた複数の地点における深度Hの値を算出する。
【0023】
図6は、埋設ケーブルと交差する地表線上の複数の地点における深度の測定表を示す図である。
この図が示すように、検出装置3は、計11点の位置において、深度Hの算出の指示の入力を受け付けて、各深度Hを算出したものとする。図6において、基準点loにおける深度(地表から埋設ケーブルまでの距離H)は204cm、基準点から右方向(+)10cm移動した地点における深度は204cm、基準点から右方向(+)20cm移動した地点における深度は205cm、基準点から右方向(+)30cm移動した地点における深度は208cm、基準点から右方向(+)40cm移動した地点における深度は211cm、基準点から右方向(+)50cm移動した地点における深度は220cmである。また図6において基準点から左方向(−)10cm移動した地点における深度は207cm、基準点から左方向(−)20cm移動した地点における深度は211cm、基準点から左方向(−)30cm移動した地点における深度は216cm、基準点から左方向(−)40cm移動した地点における深度は221cm、基準点から左方向(−)50cm移動した地点における深度は231cmであるとする。そして、図6で示す情報がユーザの操作により検出装置3から携帯端末5に転送される。
【0024】
図7は携帯端末における中間地点算出結果を示す図である。
次に、図6に示す各情報(基準点の道路端からの距離、基準点における深度、埋設ケーブルと交差する地表線上の複数の地点であって、基準点を境に左右に離れた複数の地点における深度)の入力を受けた携帯端末5に対して、ユーザが処理の開始を指示する。すると、携帯端末5は、埋設ケーブル11からの距離を基に、基準点を境にした地表線上の2点であって、埋設ケーブル11からの距離が等しい2点の位置を算出し、当該2点の中間地点の位置を算出する。つまり図7で示すように、携帯端末5の制御部51は、深度が最も小さい204cmである地点の基準点からの距離を導き、その中間地点を算出する。ここで深度204cmである地点の基準点からの距離は0cm(基準点)と基準点から右方向へ10cmの位置であるので、その中間地点は、基準点から右方向に5cm移動した地点であると算出できる。
【0025】
また携帯端末5の制御部51は次に値の小さい深度205cmを特定し、その深度205cmを検出した右方向の位置20cmと、左方向の位置(−)3.3cmとの中間地点を、中間地点=20+(−3.3)/2≒8.3と算出する。なお中間地点は小数点第2位を切り捨てた値である。また、深度205cmとなる基準点から左方向の移動した際の移動距離は、補間計算により行っている。つまり、基準点での深度が204cm、左方向(−)10cm移動した位置の深度が207cmであるので、補間計算により、深度205cmである場合の基準点からの左方向への移動距離は、移動距離=(207−204)÷(0−(−10))=(−)3.3cmと計算できる。また同様に、携帯端末5の制御部51は次に値の小さい深度207cmを特定し、その深度207cmを検出した左方向の位置(−)10cmと、同深度が検出されると推定される右方向の基準点からの距離26.7cmとの中間地点=(−10)+26.7/2≒8.3cmと算出する。また同様に、深度208cmを検出すると推定される左右の位置(基準点からの左右の位置)の中間点の基準点からの移動距離≒8.8cm、深度211cmを検出すると推定される左右の位置(基準点からの左右の位置)の中間点の基準点からの移動距離≒10cm、深度216cmを検出すると推定される左右の位置(基準点からの左右の位置)の中間点の基準点からの移動距離≒7.8cm、深度220cmを検出すると推定される左右の位置(基準点からの左右の位置)の中間点の基準点からの移動距離≒6.0cmと算出する。そして、携帯端末5の制御部51は、中間点の基準点からの移動距離の平均を算出する。なお中間点の基準点からの移動距離は7.74cmであるとする。
【0026】
図8は中間点の基準点からの移動距離の算出処理の概要を示す図である。
図8で示すように、携帯端末5の制御部51は、深度204cmを検出すると推定される左右の位置(基準点からの左右の位置)の中間点の基準点からの移動距離、深度205cmを検出すると推定される左右の位置(基準点からの左右の位置)の中間点の基準点からの移動距離、深度207cmを検出すると推定される左右の位置(基準点からの左右の位置)の中間点の基準点からの移動距離、深度208cmを検出すると推定される左右の位置(基準点からの左右の位置)の中間点の基準点からの移動距離、深度211cmを検出すると推定される左右の位置(基準点からの左右の位置)の中間点の基準点からの移動距離、深度216cmを検出すると推定される左右の位置(基準点からの左右の位置)の中間点の基準点からの移動距離、深度220cmを検出すると推定される左右の位置(基準点からの左右の位置)の中間点の基準点からの移動距離、を算出する。そしてその平均lsは7.7cm(小数点第2位切り捨て)であるため、携帯端末5の制御部51は、埋設ケーブル11の道路端からの距離l=lo+ls=192+7.7=197.7と算出する。そして、携帯端末5はの制御部51は、197.7cmを埋設位置と特定し、その値を表示する。
【0027】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上述の携帯端末5の処理によれば、従来検出装置3のみで求めていた埋設物の位置を、複数の計測情報により平均値を求めて補正するので、従来より、正確な埋設物の位置を特定することができる。
【0028】
なお、本実施形態においては埋設位置の特定の処理を、携帯端末5で行う場合について例示しているが、携帯端末5の処理をサーバ7が行うようにしても良い。その場合、検出装置3の通信部37が、通信ネットワーク2を介して接続されたサーバ7に、検出装置3の測定した各種情報(基準点の道路端からの距離、基準点における深度、埋設ケーブルと交差する地表線上の複数の地点であって、基準点を境に左右に離れた複数の地点における深度)を送信する通信部37を備える。またサーバ7は、算出した埋設位置の値を通信ネットワーク2を介して検出装置3へ送信し、検出装置3がその埋設位置の値を表示する。または、検出装置3で測定した各種情報を、ユーザがサーバ7に手入力して、その情報を基にサーバ7が埋設位置の算出を行うようにしても良い。また検出装置3が携帯端末5の機能を備えるようにしても良い。
【0029】
なお、上述の各装置は内部に、コンピュータシステムを有している。そして、上述した処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。
【0030】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0031】
このように、本発明によれば、地中に埋設された埋設ケーブル等の埋設物、或いは、その埋設物に付属した発信器からの電磁波を利用して、埋設物の位置を地上で精度良く特定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】埋設位置特定システムのブロック構成図である。
【図2】位置特定処理の流れを示すフローチャートである。
【図3】検出装置によるケーブル位置の検出概要を示す第1の図である。
【図4】検出装置によるケーブル位置の検出概要を示す第2の図である。
【図5】検出装置における埋設物の距離の算出概要を示す図である。
【図6】埋設ケーブルと交差する地表線上の複数の地点における深度の測定表を示す図である。
【図7】携帯端末における中間地点算出結果を示す図である。
【図8】中間点の基準点からの移動距離の算出処理の概要を示す図である。
【符号の説明】
【0033】
2………通信ネットワーク
3………検出装置
5………携帯端末
7………サーバ
11………埋設ケーブル
31………検出部
33………記憶部
35………通信部
51………制御部
53………記憶部
55………通信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地表の基準点であって、埋設物の埋設推定位置の基準点を記憶する基準点記憶手段と、
前記埋設物と交差する地表線上の複数の地点であって、前記基準点を境に左右に離れた前記複数の地点における、前記埋設物からの距離の入力を受け付ける埋設距離入力受付手段と、
前記埋設物からの距離を基に、前記基準点を境にした前記地表線上の2点であって、前記埋設物からの距離が等しい2点の位置を算出し、当該2点の中間地点の位置を算出する中間地点算出手段と、
前記中間地点算出手段によって算出された複数の中間地点の位置の平均を求めて、前記平均の位置を埋設位置と特定する埋設位置特定手段と、
を備えることを特徴とする埋設位置特定装置。
【請求項2】
前記埋設距離入力受付手段は、
地表面から異なる距離の2点において、前記埋設物から発信される電磁波または埋設物内部から発信される電磁波の強度を検出する電磁波検出手段と、
前記2点で検出された電磁波の強度と、前記電磁波を発生させた電流値とに基づいて、前記埋設物からの距離を算出する距離算出手段と、
を備えた電子機器から、通信ネットワークを介して、前記埋設物からの距離を受信し、入力を受け付けることを特徴とする請求項1記載の埋設位置特定装置。
【請求項3】
前記電子機器に対して、前記通信ネットワークを介して、前記特定した埋設位置の情報を送信する埋設位置通知手段を、更に備えることを特徴とする請求項2記載の埋設位置特定装置。
【請求項4】
地表の基準点であって、埋設物の埋設推定位置の基準点の入力を受け付けるステップと、
前記埋設物と交差する地表線上の複数の地点であって、前記基準点を境に左右に離れた前記複数の地点における、前記埋設物からの距離の入力を受け付けるステップと、
前記埋設物からの距離を基に、前記基準点を境にした前記地表線上の2点であって、前記埋設物からの距離が等しい2点の位置を算出し、当該2点の中間地点の位置を算出するステップと、
前記算出された複数の中間地点の位置の平均を求めて、前記平均の位置を埋設位置と特定するステップと、
を有することを特徴とする埋設物位置特定方法。
【請求項5】
地表の基準点であって、埋設物の埋設推定位置の基準点を記憶する基準点記憶手段を備えたコンピュータを、
前記埋設物と交差する地表線上の複数の地点であって、前記基準点を境に左右に離れた前記複数の地点における、前記埋設物からの距離の入力を受け付ける埋設距離入力受付手段と、
前記埋設物からの距離を基に、前記基準点を境にした前記地表線上の2点であって、前記埋設物からの距離が等しい2点の位置を算出し、当該2点の中間地点の位置を算出する中間地点算出手段と、
前記中間地点算出手段によって算出された複数の中間地点の位置の平均を求めて、前記平均の位置を埋設位置と特定する埋設位置特定手段、
として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−103579(P2009−103579A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−275599(P2007−275599)
【出願日】平成19年10月23日(2007.10.23)
【出願人】(500140127)エヌ・ティ・ティ・インフラネット株式会社 (61)
【Fターム(参考)】