説明

基地局システム、無線制御部及び通信制御方法

【課題】事業者間で無線部における無線リソースを共有可能な基地局システム、無線制御部及び通信制御方法を提供する。
【解決手段】基地局システムは、通信事業者毎に設けられた複数のRE20と、REC10とを有する。REC10は、第1の通信事業者のRE20の近隣に設置された第2の通信事業者のRE20における空きのキャリアリソースの状況を問い合わせるためのキャリアリソース空き問合せメッセージを送信する。更に、REC10は、第2の通信事業者のRE20における空きのキャリアリソースの状況を示すキャリアリソース空きメッセージを受信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、事業者毎に設けられた複数の無線部と、事業者毎に設けられた複数の無線制御部とを有する基地局システム、当該基地局システムにおける無線制御部、及び、無線制御部の通信制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信システムは、無線アクセスネットワークとコアネットワークとに大きく分類できる。更に、無線アクセスネットワークは、無線信号の変復調を行う無線制御部と送受信電力を増幅する無線部とに大きく分類できる。近年、無線制御部(REC:Radio Equipment Control)と無線部(RE:Radio Equipment)とのインタフェースがCPRI(Common Public Radio Interface)として標準化されている。無線通信システムにおいては、無線アクセスネットワーク機能の中心を担うRECがNOC(Network Operation Center)に設置され、光張出TRX装置を使用して、REに向けてユーザーデータを送信する方式が採用されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】“CPRI Specification V4.2”、[平成22年12月10日検索]、インターネット〈URL:http://www.cpri.info/downloads/CPRI_v_4_2_2010-09-29.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来では、1つの通信事業者がREC及びREを所有している場合が多く、特に1つのREにおける無線リソースを異なる通信事業者間で共有していない。このため、無線リソースが有効に使われていないことがある。
【0005】
上記問題点に鑑み、本発明は、事業者間で無線部における無線リソースを共有可能な基地局システム、無線制御部及び通信制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明は以下のような特徴を有している。
【0007】
本発明の特徴は、事業者毎に設けられた複数の無線部(RE20)と、無線制御部(REC10)とを有する基地局システムであって、第1の事業者の無線部における空きの無線リソースが不足していると見なされる場合に、前記第1の事業者の無線部の近隣に設置された第2の事業者の無線部における空きの無線リソースの状況を問い合わせる問合せメッセージを送信する第1の送信部(制御部102)と、前記第2の事業者の無線部における空きの無線リソースの状況を示す第1の応答メッセージを受信する第1の受信部(制御部102)とを備えることを要旨とする。
【0008】
このような基地局システムは、第1の事業者の無線部における空きの無線リソースが不足していると見なされる場合には、当該第1の事業者の無線部の近隣に設置された第2の事業者の無線部における空きの無線リソースの状況を取得できる。このため、基地局システムは、取得した第2の事業者の無線部における空きの無線リソースの状況に応じて、第2の事業者の無線部における空きの無線リソースを、第1の事業者の無線部の無線リソースとして用いることが可能となる。
【0009】
本発明の特徴は、前記第2の事業者の無線部における無線リソースの使用要求のメッセージを送信する第2の送信部と、前記第2の事業者の無線部における無線リソースの使用可否を示す第2の応答メッセージを受信する第2の受信部とを備えることを要旨とする。
【0010】
本発明の特徴は、前記第2の送信部は、前記第1の応答メッセージが、前記第2の事業者における空きの無線リソースが所定量以上であることを示す場合に、前記使用要求のメッセージを送信することを要旨とする。
【0011】
本発明の特徴は、前記第2の事業者の無線部における無線リソースの識別に、前記第1の事業者の無線部の識別情報を使用する制御部を備えることを要旨とする。
【0012】
本発明の特徴は、事業者毎に設けられた複数の無線部とともに基地局システムを構成する無線制御部であって、所定の事業者の無線部における空きの無線リソースが不足していると見なされる場合に、前記所定の事業者の無線部の近隣に設置された他の事業者における空きの無線リソースの状況を問い合わせる問合せメッセージを送信する第1の送信部と、前記他の事業者の無線部からの空きの無線リソースの状況を示す第1の応答メッセージを受信する第1の受信部とを備えることを要旨とする。
【0013】
本発明の特徴は、前記他の事業者の無線部における無線リソースの使用要求のメッセージを送信する第2の送信部と、前記他の事業者の無線部における無線リソースの使用可否を示す第2の応答メッセージを受信する第2の受信部とを備えることを要旨とする。
【0014】
本発明の特徴は、事業者毎に設けられた複数の無線部とともに基地局システムを構成する無線制御部の通信制御方法であって、前記無線制御部が、所定の事業者の無線部における空きの無線リソースが不足していると見なされる場合に、前記所定の事業者の無線部の近隣に設置された他の事業者の無線部における空きの無線リソースの状況を問い合わせる問合せメッセージを送信するステップと、前記無線制御部が、前記他の事業者の無線部における空きの無線リソースの状況を示す第1の応答メッセージを受信するステップとを含むことを要旨とする。
【0015】
本発明の特徴は、前記無線制御部が、前記他の事業者の無線部における無線リソースの使用要求のメッセージを送信するステップと、前記無線制御部が、前記他の事業者の無線部における無線リソースの使用可否を示す第2の応答メッセージを受信するステップとを含むことを要旨とする。
【0016】
本発明の特徴は、事業者毎に設けられた複数の無線部と、無線制御部とを有する基地局システムであって、前記無線制御部は、第1の事業者の無線部における空きの無線リソースが不足していると見なされる場合に、前記第1の事業者の無線部の近隣に設置された第2の事業者の無線部における空きの無線リソースを、前記第1の事業者が使用可能とすることを要旨とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、事業者間で無線部における無線リソースを共有可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態に係る無線通信システムの全体概略構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係る基地局システムの論理的な構成図である。
【図3】本発明の実施形態に係るRECの構成図である。
【図4】本発明の実施形態に係るキャリアリソースの一例を示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係るRE情報の第1の例を示す図である。
【図6】本発明の実施形態に係るCPRIプロトコルを示す図である。
【図7】本発明の実施形態に係るREの構成図である。
【図8】本発明の実施形態に係る他社REのキャリアリソースを使用する場合を説明するための図である。
【図9】本発明の実施形態に係るRE情報の第2の例を示す図である。
【図10】本発明の実施形態に係る無線通信システムの動作を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。具体的には、無線通信システムの構成、無線通信システムの動作、作用・効果、その他の実施形態について説明する。以下の実施形態における図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。
【0020】
(1)無線通信システムの構成
図1は、本実施形態に係る無線通信システムの概略構成図である。本実施形態では、無線通信システム1は、LTE技術を用いて構成されている。図1に示す無線通信システム1は、REC(Radio Equipment Control)10、RE(Radio Equipment)20−1、RE20−2、RE20−3(以下、RE20−1、RE20−2、RE20−3をまとめて、適宜「RE20」と称する)、光ファイバであって、CPRI(Common Public Radio Interface)リンクを構築する通信回線30−1、通信回線30−2、通信回線30−3(以下、通信回線30−1、通信回線30−2、通信回線30−3をまとめて、適宜「通信回線30」と称する)、バックホール40、EMS(Event Monitoring Service)サーバ50、インターネット60とを含む。
【0021】
REC10と、RE20−1、RE20−2、RE20−3とは、光張り出し方式により、通信回線30−1、通信回線30−2、通信回線30−3を介して接続され、基地局システムを構成する。また、REC10は、バックホール40を介して、EMSサーバ50及びインターネット60に接続される。
【0022】
本実施形態において、RE20−1及びRE20−2は、通信事業者A(A社)の固有の資産であり、RE20−3は、通信事業者B(B社)の固有の資産である。RE20−1及びRE20−2は、A社の通信エリアであるセル511を形成する。RE20−3は、B社の通信エリアであるセル512を形成する。
【0023】
本実施形態において、REC10のリソースであるコンピュータ及びソフトウェア群を所有する者は、A社及びB社に対して、REC10を貸し出す。この場合、図2に示すように、REC10は、A社に貸し出す論理的なREC(A社論理的REC)11−1と、B社に貸し出す論理的なREC(B社論理的REC)11−2を構成する。
【0024】
このようにして、REC10とRE20−1及びRE20−2とにより、A社の基地局システムが構成され、REC10とRE20−3とにより、B社の基地局システムが構成される。基地局システムにおいて、REC10は、SNMP(Simple Network Management Protocol)におけるSNMPマネージャとなり、RE20は、SNMPエージェントとなる。
【0025】
図3は、REC10の構成を示す図である。図3に示すREC10は、複数台のコンピュータによって構成される。各コンピュータには、ファイバーチャネルスイッチが接続されており、ファイバーチャネルスイッチと通信回線30−1、通信回線30−2、通信回線30−3を介してRE20−1、RE20−2、RE20−3に接続される。
【0026】
REC10は、制御部102、記憶部103、有線通信部104及びBB(Base Band)処理部106を含む。
【0027】
制御部102は、REC10が具備する各種機能を制御する。具体的には、制御部102は、通信事業者毎にソフトウェアを実行することにより、A社論理的REC11−1と、B社論理的REC11−2とを実現する。A社論理的REC11−1と、B社論理的REC11−2とは、それぞれ対応する通信事業者のRE20と対応付けられる。本実施形態では、A社論理的REC11−1は、A社のREであるRE20−1及びRE20−2が対応付けられ、B社論理的REC11−2は、B社のREであるRE20−3が対応付けられる。
【0028】
また、制御部102は、RE20毎に、当該RE20が形成するセル内の図示しない無線端末(UE)に対して、無線リソースであるキャリアリソースを割り当てる。RE20は、複数のキャリアリソースを持つことができる。例えば、図4に示すように、RE20が20[MHz]の周波数帯域をキャリアリソースとして使用可能な場合、制御部102は、20[MHz]の周波数帯を10[MHz]のキャリアリソースに分割し、各キャリアリソースの送信電力を制御する。すなわち、制御部102は、キャリアリソースの使用及び未使用(割り当て及び未割り当て)を制御できる。
【0029】
記憶部103は、例えばメモリによって構成され、REC10における制御などに用いられる各種情報を記憶する。具体的には、記憶部103には、RE20毎の属性情報であるRE情報が記憶されている。図5は、RE情報の一例を示す図である。図5に示すRE情報は、対応するRE20の所有者である通信事業者、対応するRE20によって形成されるセルの識別情報(セルID)を含む。
【0030】
有線通信部104は、バックホール40に接続され、EMSサーバ50や、インターネット60上のサーバ等との間で、データの送信及び受信を行う。
【0031】
BB処理部106は、通信回線30−1、通信回線30−2、通信回線30−3を介して、RE20−1、RE20−2、RE20−3に接続される。BB処理部106は、ベースバンド周波数帯の処理を行う。具体的には、BB処理部106は、ユーザデータを受信し、ベースバンド周波数信号であるIQデータを生成する。更に、BB処理部106は、IQデータをCPRIフレームに変換し、当該CPRIフレームを、通信回線30−1、通信回線30−2、通信回線30−3を介して、RE20−1、RE20−2、RE20−3へ送信する。
【0032】
図6は、CPRIのプロトコルを示す図である。図6に示すように、CPRIのプロトコルは、レイヤ1において電気信号伝送(Electrical Transmission)、光信号伝送(Optical Transmission)及び時分割多重(Time Division Multiplexing)について規定している。また、レイヤ2において、IQデータ、Vender Specific、Ethernet(登録商標)、HDLC、L1 Inband Protocolについて規定している。
【0033】
図7は、RE20−1、RE20−2、RE20−3の構成図である。図7に示すRE20は、制御部202、無線通信部206及びアンテナ208を含む。
【0034】
制御部202は、RE20が具備する各種機能を制御する。無線通信部206は、無線周波数帯の処理を行う。具体的には、無線通信部206は、REC10が送信するCPRIフレームを、通信回線30を介して受信する。更に、無線通信部206は、CPRIフレーム内のIQデータを無線周波数帯の信号に変調した後、アンテナ208を介して、図示しない無線端末(UE)へ無線通信により送信する。
【0035】
本実施形態の基地局システムにおいて、REC10は、1の通信事業者に対応するキャリアリソースを、他の通信事業者に対応するキャリアリソースとして設定することができる。以下、設定処理の詳細を説明する。
【0036】
REC10内の制御部102は、RE20毎に、当該RE20におけるキャリアリソースの使用状況を監視する。監視の結果、所定のRE20におけるキャリアリソースが不足していると見なされる場合(空きのキャリアリソースが所定量以下となった場合や、キャリアリソースの使用率が所定値を超えた場合等)、制御部102は、近隣他社RE問合せメッセージを生成する。近隣他社問合せメッセージは、キャリアリソースが不足しているRE20の近隣に存在し、当該キャリアリソースが不足しているRE20を所有する通信事業者以外の通信事業者が所有するRE20(近隣他社RE20)を問い合わせるためのメッセージである。近隣他社RE問合せメッセージは、キャリアリソースが不足しているRE20の識別情報として、IPアドレスが含まれている。
【0037】
制御部102は、生成した近隣他社RE問合せメッセージを、有線通信部104及びバックホール40を介して、EMSサーバ50へ送信する。
【0038】
EMSサーバ50は、各RE20の位置の情報、各RE20のIPアドレス、各RE20を所有する通信事業者の情報とを対応付けて保持している。EMSサーバ50は、近隣他社RE問合せメッセージを受信する。次に、EMSサーバ50は、近隣他社RE問合せメッセージに含まれる、キャリアリソースが不足しているRE20のIPアドレスに基づいて、当該キャリアリソースが不足しているRE20の位置と、当該キャリアリソースが不足しているRE20を所有する通信事業者を認識する。
【0039】
更に、EMSサーバ50は、キャリアリソースが不足しているRE20から所定距離内に存在し、且つ、キャリアリソースが不足しているRE20を所有する通信事業者とは別の通信事業者が所有するRE20(近隣他社RE20)のIPアドレスを判別する。
【0040】
次に、EMSサーバ50は、近隣他社RE20のIPアドレスを、バックホール40を介して、REC10内20へ送信する。
【0041】
REC10内の制御部102は、有線通信部104を介して、近隣他社RE20のIPアドレスを受信する。次に、制御部102は、近隣他社RE20のIPアドレスを宛先とする、キャリアリソース空き問合せメッセージを生成する。キャリアリソース空き問合せメッセージは、近隣他社RE20に対して、空き(未使用)のキャリアリソースの状況を問い合わせるためのメッセージである。制御部102は、キャリアリソース空き問合せメッセージを、BB処理部106及び通信回線30を介して、近隣他社RE20へ送信する。
【0042】
近隣他社RE20内の制御部202は、キャリアリソース空き問合せメッセージを受信すると、当該近隣他社RE20におけるキャリアリソースの空きを認識する。制御部202は、キャリアリソース空きメッセージを生成する。キャリアリソース空きメッセージは、近隣他社RE20における空きのキャリアリソースの状況に関する情報を含む。近隣他社RE20におけるキャリアリソースの空きに関する情報は、MIB(Management Information Base)情報であり、例えば、キャリアリソースの使用率、空きのキャリアリソースの周波数帯域等の情報である。更に、制御部202は、キャリアリソース空きメッセージを、通信回線30を介してREC10へ送信する。
【0043】
REC10内の制御部102は、BB処理部106を介して、キャリアリソース空きメッセージを受信する。次に、制御部102は、キャリアリソース空きメッセージによって示される、空きのキャリアリソースが所定量以上、例えば、キャリアリソースの使用率が所定値以下、空きのキャリアリソースの周波数帯域が所定帯域幅以上である場合、キャリアリソース空きメッセージの送信元である隣接他社RE20のIPアドレスを宛先とする、キャリアリソース使用要求メッセージを生成する。キャリアリソース使用要求メッセージは、近隣他社RE20に対して、キャリアリソースが不足しているRE20を所有する通信事業者のためにキャリアリソースを使用することを要求するためのメッセージである。制御部102は、キャリアリソース使用要求メッセージを、BB処理部106及び通信回線30を介して、近隣他社RE20へ送信する。
【0044】
近隣他社RE20内の制御部202は、キャリアリソース使用要求メッセージを受信すると、近隣他社RE20におけるキャリアリソースを他の通信事業者のために使用可能であるか否かを判定する。例えば、キャリアリソースの使用率が所定値以下である場合には、制御部202は、使用可能と判断する。制御部202は、キャリアリソース使用応答メッセージを生成する。キャリアリソース使用応答メッセージは、キャリアリソースが不足しているRE20を所有する通信事業者のために近隣他社RE20におけるキャリアリソースを使用することを認めるか否かを示すメッセージである。更に、制御部202は、キャリアリソース使用応答メッセージを、通信回線30を介してREC10へ送信する。
【0045】
REC10内の制御部102は、BB処理部106を介して、キャリアリソース使用応答メッセージを受信する。次に、制御部102は、キャリアリソース使用応答メッセージに基づいて、当該キャリアリソース使用応答メッセージの送信元である隣接他社RE20におけるキャリアリソースを、キャリアリソースが不足しているRE20を所有する通信事業者のために使用可能であるか否かを判定する。
【0046】
使用可能である場合、制御部102は、隣接他社RE20におけるキャリアリソースを、キャリアリソースが不足しているRE20を所有する通信事業者のために使用する処理を行う。この際、制御部102は、RE情報のうち、隣接他社RE20に対応するRE情報に、キャリアリソースが不足しているRE20のセルIDを追加する。その後、制御部102は、キャリアリソースが不足しているRE20のセル内に存在し、通信事業者Aの通信サービスを受けるUEからの接続要求があった場合に、当該UEに対して、隣接他社RE20における複数のキャリアリソースの一部を割り当てる。
【0047】
例えば、通信事業者BのRE20−3におけるキャリアリソースの一部が通信事業者Aのために使用される場合、図8に示すように、RE20−3のセルが通信事業者Aに対応するセル511となる。また、図9に示すように、RE20−3に対応するRE情報に通信事業者Aに対応するセル511のセルIDが追加される。
【0048】
(2)無線通信システムの動作
図10は、本発明の実施形態に係る無線通信システムの動作を示すシーケンス図である。
【0049】
ステップS101において、REC10は、通信事業者AのRE20−2へ通信事業者Aの通信サービスを受けるUE宛のIQデータを送信する。RE20−2は、IQデータを受信する。
【0050】
ステップS102において、RE20−2におけるキャリアリソースが不足した場合、ステップS103において、REC10は、近隣他社RE問合せメッセージをEMSサーバ50へ送信する。EMSサーバ50は、近隣他社RE問合せメッセージを受信する。
【0051】
ステップS104において、EMSサーバ50は、通信事業者BのRE20−3のIPアドレスをREC10へ送信する。REC10は、RE20−3のIPアドレスを受信する。
【0052】
ステップS105において、REC10は、キャリアリソース空き問合せメッセージをRE20−3へ送信する。RE20−3は、キャリアリソース空き問合せメッセージを受信する。
【0053】
ステップS106において、RE20−3は、キャリアリソース空きメッセージをREC10へ送信する。REC10は、キャリアリソース空きメッセージを受信する。
【0054】
ステップS107において、REC10は、キャリアリソース使用要求メッセージをRE20−3へ送信する。RE20−3は、キャリアリソース使用要求メッセージを受信する。
【0055】
ステップS108において、RE20−3は、キャリアリソース使用応答メッセージをREC10へ送信する。REC10は、キャリアリソース使用応答メッセージを受信する。
【0056】
ステップS109において、REC10は、通信事業者BのRE20−3のキャリアリソースを通信事業者Aのキャリアリソースとして使用する処理を行う。
【0057】
ステップS110において、REC10は、通信事業者BのRE20−3へ通信事業者Bの通信サービスを受けるUE宛のIQデータを送信する。RE20−3は、IQデータを受信する。
【0058】
(3)作用・効果
本実施形態において、基地局システムは、通信事業者毎のRE20と、REC10とによって構成される。1の通信事業者のRE20においてキャリアリソースが不足した場合、REC10は、キャリアリソースが不足しているRE20の近隣に設置されている、他の通信事業者のRE20に対して、キャリアリソース空き問合せメッセージを送信し、他の通信事業者のRE20からのキャリアリソース空きメッセージを受信する。
【0059】
更に、REC10は、他の通信事業者のRE20に対して、キャリアリソース使用要求メッセージを送信し、他の通信事業者のRE20からのキャリアリソース使用応答メッセージを受信する。
【0060】
従って、REC10は、1の通信事業者のRE20の近隣に設置された他の通信事業者のRE20における空きのキャリアリソースの状況を取得できる。更に、REC10は、1の通信事業者のRE20の近隣に設置された他の通信事業者のRE20における空きのキャリアリソースの使用許可を得ることができる。このため、REC10は、取得した他の通信事業者のRE20における空きのキャリアリソースの状況に応じて、当該他の通信事業者のRE20における空きのキャリアリソースを、1の通信事業者のキャリアリソースとして用いることが可能となり、通信事業者間でRE20におけるキャリアリソースを共有可能となる。
【0061】
(4)その他の実施形態
上記のように、本発明は実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなる。
【0062】
上述した実施形態では、REC10は、1の通信事業者のRE20におけるキャリアリソースが不足した場合に、EMSサーバ50に対して、近隣他社RE問合せメッセージを送信し、EMSサーバ50からの1の通信事業者のRE20の近隣に設置された他の通信事業者のRE20のIPアドレスを受信した。しかし、REC10が、各RE20のIPアドレスを予め保持しておくようにしてもよい。
【0063】
上述した実施形態では、REC10が、キャリアリソース空き問合せメッセージの送信、キャリアリソース空きメッセージの受信、キャリアリソース使用要求メッセージの送信、キャリアリソース使用応答メッセージの受信、1の通信事業者のキャリアリソースを他の通信事業者のキャリアリソースとして使用する処理を行った。しかし、REC10以外の装置がこれらの処理を行うようにしてもよい。
【0064】
また、上述した実施形態では、LTEの基地局システムについて説明したが、無線制御部と、無線部とがCPRIのインタフェースによって接続される基地局システムであれば、同様に本発明を適用することができる。
【0065】
このように本発明は、ここでは記載していない様々な実施形態等を包含するということを理解すべきである。したがって、本発明はこの開示から妥当な特許請求の範囲の発明特定事項によってのみ限定されるものである。
【符号の説明】
【0066】
1…基地局システム、10…REC、11−1…A社論理的REC、11−2…B社論理的REC、20−1、20−2、20−3…RE、30−1、30−2、30−3…通信回線、40…バックホール、50…EMSサーバ、60…インターネット、102、202…制御部、103…記憶部、104…有線通信部、106、206…BB処理部、208…アンテナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
事業者毎に設けられた複数の無線部と、無線制御部とを有する基地局システムであって、
第1の事業者の無線部における空きの無線リソースが不足していると見なされる場合に、前記第1の事業者の無線部の近隣に設置された第2の事業者の無線部における空きの無線リソースの状況を問い合わせる問合せメッセージを送信する第1の送信部と、
前記第2の事業者の無線部における空きの無線リソースの状況を示す第1の応答メッセージを受信する第1の受信部と
を備える基地局システム。
【請求項2】
前記第2の事業者の無線部における無線リソースの使用要求のメッセージを送信する第2の送信部と、
前記第2の事業者の無線部における無線リソースの使用可否を示す第2の応答メッセージを受信する第2の受信部と
を備える請求項1に記載の基地局システム。
【請求項3】
前記第2の送信部は、前記第1の応答メッセージが、前記第2の事業者における空きの無線リソースが所定量以上であることを示す場合に、前記使用要求のメッセージを送信する請求項2に記載の基地局システム。
【請求項4】
前記第2の事業者の無線部における無線リソースの識別に、前記第1の事業者の無線部の識別情報を使用する制御部を備える請求項1に記載の基地局システム。
【請求項5】
事業者毎に設けられた複数の無線部とともに基地局システムを構成する無線制御部であって、
所定の事業者の無線部における空きの無線リソースが不足していると見なされる場合に、前記所定の事業者の無線部の近隣に設置された他の事業者における空きの無線リソースの状況を問い合わせる問合せメッセージを送信する第1の送信部と、
前記他の事業者の無線部からの空きの無線リソースの状況を示す第1の応答メッセージを受信する第1の受信部と
を備える無線制御部。
【請求項6】
前記他の事業者の無線部における無線リソースの使用要求のメッセージを送信する第2の送信部と、
前記他の事業者の無線部における無線リソースの使用可否を示す第2の応答メッセージを受信する第2の受信部と
を備える請求項5に記載の無線制御部。
【請求項7】
事業者毎に設けられた複数の無線部とともに基地局システムを構成する無線制御部の通信制御方法であって、
前記無線制御部が、所定の事業者の無線部における空きの無線リソースが不足していると見なされる場合に、前記所定の事業者の無線部の近隣に設置された他の事業者の無線部における空きの無線リソースの状況を問い合わせる問合せメッセージを送信するステップと、
前記無線制御部が、前記他の事業者の無線部における空きの無線リソースの状況を示す第1の応答メッセージを受信するステップと
を含む通信制御方法。
【請求項8】
前記無線制御部が、前記他の事業者の無線部における無線リソースの使用要求のメッセージを送信するステップと、
前記無線制御部が、前記他の事業者の無線部における無線リソースの使用可否を示す第2の応答メッセージを受信するステップと
を含む請求項7に記載の通信制御方法。
【請求項9】
事業者毎に設けられた複数の無線部と、無線制御部とを有する基地局システムであって、
前記無線制御部は、第1の事業者の無線部における空きの無線リソースが不足していると見なされる場合に、前記第1の事業者の無線部の近隣に設置された第2の事業者の無線部における空きの無線リソースを、前記第1の事業者が使用可能とする基地局システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2012−191264(P2012−191264A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−50650(P2011−50650)
【出願日】平成23年3月8日(2011.3.8)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】