説明

基地局装置およびスリープ制御方法

【課題】無線アクセスシステムを構成する基地局において、消費電力を低減するための基地局装置およびスリープ制御方法を提供する。
【解決手段】アウェイク状態とスリープ状態とを遷移しながら端末局との通信を行う基地局装置において、端末局に対して無線アクセス禁止期間を通知することなくアウェイク状態からスリープ状態に移行し、スリープ状態の終了後にアウェイク状態に移行してキャリアセンスを実施し、無線チャネルがビジーでないときに再びスリープ状態に移行し、無線チャネルがビジーのときにアウェイク状態を維持して端末局が送信するパケットを受信する制御手段を備え、制御手段は、アウェイク状態の時間は、キャリアセンスによって無線チャネルがビジーか否かの判定が可能な短い時間に設定し、スリープ状態の時間は、キャリアセンスで無線チャネルがビジーになった後のアウェイク状態で端末局からの再送パケットの受信が可能な時間に設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線アクセスシステムを構成する基地局において、消費電力を低減するための基地局装置およびスリープ制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年のインターネットの普及と共に、光回線やADSL等の有線回線に加え、スマートフォンを中心とするモバイル環境でのインターネット利用が増大している。モバイル環境では、第3世代携帯電話(3G)や次世代携帯電話と位置づけられるLTE(Long Term Evolution )などの回線を利用する。これらのシステムは、無線アクセスに利用される様々な周波数帯の中でも、比較的使い勝手のよいマイクロ波帯を利用するものであり、この周波数帯の性質を利用して、ひとつの基地局で広範囲のエリアを一括してサービスエリアにすることが可能である。
【0003】
しかし、このような使い勝手のよいマイクロ波帯はその他のシステムにおいても利用が期待されており、既に周波数資源の枯渇の問題に直面している。特に、動画などを含むブロードバンドのアプリケーションの増加やスマートフォンの普及によって、通信トラフィックが急速に増加する中で、LTEなどではより広い周波数帯域の割り当てが必要になる。一方で、全体の帯域を複数の事業者が分け合うことになり、1事業者に割り当てられる帯域は非常に限定されたものとなっているのが現状である。
【0004】
この問題を解決するために、これらの3GおよびLTE等の回線を迂回させる無線システムが必要となる。最も現実的なシステムは 2.4GHz帯および5GHz帯を利用するWiFiである。IEEE 802.11系の規格(802.11a,b,g,n等の全ての規格を含む)に準拠するWiFiでは、CSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access/Collision Avoidance )と呼ばれるアクセス技術を用いることにより、同一の周波数チャネルを用いて非計画的に乱立する無線局が混在する中でも、効率的かつ安定的に無線アクセスを利用可能である。さらに、各家庭内のホームネットワーク、携帯型ゲーム機、ノートPCや携帯電話等への実装など、これらのシステムは爆発的に普及しており、既に基地局装置(AP:アクセスポイントとも呼ぶ)および端末装置の双方の価格が非常に安価になっている。
【0005】
このWiFiにおけるCSMA/CA技術では、基地局の置局設計を特に意識しなくても破綻することなく運用可能である。特に、送信電力を抑えることにより、サービスエリア半径を小さくしたマイクロセル化を行うと、個々のマイクロセル毎に所定のスループットを実現可能になり、結果的に単位面積当たりの伝送容量は増大する。このようにして、3GおよびLTE等の回線から溢れたトラヒックを効率的にWiFiネットワークを介して収容することが可能になる。
【0006】
しかし、通信エリアが広範な3G回線などからの迂回を想定するならば、少なくとも人口の密集する市街地、住宅地などの大部分を広範囲にカバーするためには、膨大な数の基地局を設置する必要がある。もともとWiFiは、屋内での利用を前提に設計された無線規格であることから、ひとつの基地局で広範囲をカバーすることは困難な上、システム全体の伝送容量増大のためにはマイクロセル化も必要になり、その結果、設置が必要な基地局の台数は膨大となる。これにより、基地局の消費電力はそれほど大きくなくても、システム全体の消費電力量は膨大となり、環境問題の観点からは環境に対する負荷の低減が必要である。
【0007】
これらの課題を解決するために再生可能エネルギーの利用が期待されている。太陽光発電では発電可能な電力量も他の発電技術よりも比較的大きいため、最も有力な方法として期待される。
【0008】
さらに、再生可能エネルギーによる給電のみによって基地局が安定的に動作することができれば、基地局と商用電源との接続が不要となり、置局自由度を向上することができる。置局自由度が向上すれば、地震などの災害対策としての活用が可能となる。たとえば、災害を受けたエリア内で通信網や電力網が被害を受けることがあり、通信網や電力網の復旧には数日から1カ月程度に及ぶことがある。その時に太陽電池により給電される基地局装置の導入によって、従来の通信システムの代替として通信サービスを提供することが可能である。
【0009】
このような理由から、太陽電池で給電可能な無線インフラの基地局装置は急激に注目を集めているのが現状である。ただし、基地局の安定動作のためには課題が存在する。まず、太陽光発電は太陽光が降り注ぐ昼間、さらには晴天時に多くの発電量が期待される一方で、夜間や雨天時には発電が期待できない。このため、通常はバッテリーを太陽電池に接続し、夜間や雨天時にも運用可能な状態としている。しかし、例えば電柱などの上方や専用の支柱に基地局を設置する場合を考えると、平面状の太陽電池パネルは風が吹いた時にその大きさに比例した風圧を受けることになり、強度上の観点からあまり大きなサイズの太陽電池パネルを設置することは出来ない。
【0010】
仮に30cm四方のサイズの太陽電池パネルを想定して、運用時の課題を整理してみる。現在、一般的な太陽電池パネルの発電能力は、1m2 あたり 180W/hといわれている。30cm四方の場合には、この9%の発電量に相当する。さらに、昼間と夜間を含めた晴天率(太陽が出ている率)は年間日照時間が約1000時間であることから1000/(365×24)の11.4%程度の低い割合である。したがって、 180W/h×0.09×0.114 =1.85Wとなる。さらに、一旦バッテリーに蓄電した電力を利用する場合の蓄電効率も考慮すると、利用可能な電力はさらに低い値となることが予想される。また、晴天や雨天の間隔や周期はランダムであり、発電量が低い日々が長く続けば、数日平均で見たときの発電量にも波があり、通信用のインフラとしての利用においては、当然ながらさらなるマージンが必要となる。
【0011】
以上のように、環境に考慮した社会的な取り組みとして様々な電子機器の消費電力削減が広く進められているが、上述のような太陽電池給電の基地局装置を想定すると更に、基地局装置の省電力化が重要な課題となる。以下では従来技術における基地局装置の省電力化技術を紹介する。
【0012】
例えば、非特許文献1に記載された基地局のスリープ制御技術はそのひとつである。通常、基地局装置は商用電源に接続されるので本来であればスリープの必要はないが、消費電力の削減のため、ないしはバッテリーを搭載した特殊な基地局などにおいて、基地局装置側も所定の周期で自らの回路を停止させ、スリープ状態に入ることで消費電力を削減する。ただし、自らがスリープ状態にある場合には、配下の端末局(場合によっては、基地局のスリープ開始時には電源がOFFになっていた端末が、基地局のスリープ動作中に電源ON状態になることもあり、このような可能性を秘めた端末局も含む)が無線回線でアクセスすることを禁止するメカニズムを必要とする。
【0013】
図8は、従来技術における基地局のスリープ制御例(NAV利用)を示す。
図8において、201および202はビーコン信号、203および204はスリープ制御パケットである。また、説明の都合上、時刻A,B,…,Gを図中に示す。
【0014】
WiFiでは、基地局がブロードキャストの制御情報であるビーコン信号201,202を所定の周期で送信する。端末局のスリープ制御においては、このビーコン信号の周期に基づいて端末局は通常動作に戻る(スリープ解除)が、端末局は全てのビーコン信号を受信するわけではない。ビーコン信号201,202内には、DTIM(Delivery Traffic Indication MAP )カウント、およびDTIM周期等を含む情報が収容されており、このDTIMカウント値がゼロとなるビーコンだけを受信する。そこで、基地局はこのDTIM周期を1に設定し、全てのビーコン信号201,202のDTIMカウント値を0に設定し、その中で当該基地局がスリープ動作を行うためのスリープ制御パケット203,204を送信する。すなわち、すべての端末局が基地局の送信するパケットを受信できるタイミングを構成するために、ビーコン信号のDTIMカウンタ値およびDTIM周期を上記の値に設定し、当該タイミングにおいてスリープ制御パケットを送信する。
【0015】
一般に、WiFiで用いられる無線パケットには、ある無線リンク(相互に無線通信を行う、1つの基地局と1つ端末局の組合せ)で所定の時間だけ帯域を確保するために、NAV(Network Allocation Vector )と呼ばれる時間を設定し、当該リンク以外の端末局の送信を禁止する。スリープ制御用パケット203,204ではこのNAVを設定し、端末局が信号を送信することをブロックし、その間、基地局は自らの電源を落として消費電力削減を図る。
【0016】
例えば、スリープ制御パケット203の設定するNAVは時刻C〜Dであり、この間のうち信号を送信していない区間、時刻C〜Dが基地局のスリープ時間となる。なお、一度のスリープ制御パケット203,204で設定可能なNAVの最大時間には限りがあるため、更なるスリープを行うためにはスリープ制御パケット203に続けてスリープ制御パケット204を送信することになり、これにより時刻E〜Fもスリープすることができ、この状況が基地局の状態として示されている。ちなみに、端末局の状態は、端末局としては、時刻C〜Dおよび時刻E〜FをそれぞれNAVを認識し、この時間に無線パケットを送信することはない。
【0017】
このスリープ制御パケット203,204としては、NAVを設定できるものであれば何でもよく、典型的なものとしてはCTS(Clear to Send )パケットを用いるが、ブロードキャスト、マルチキャストなどのパケットを用いてもよい。この際の設定次第では、端末局もスリープに移行することもできる。
【0018】
なお、スリープ制御パケットの送信回数は、予め基地局に設定されている総スリープ期間によって定まる。総スリープ期間が大きければ、スリープ制御パケットの送信回数も大きくなる。
【0019】
同様のスリープ制御は、その他の制御メッセージを用いても実現可能である。例えば、WiFiにおける制御信号のひとつであるビーコン信号内には、Quietと呼ばれるフィールドが設定してあり、このフィールドを用いてビーコン周期内に無線アクセス禁止期間を設定可能である。
【0020】
図9は、従来技術における基地局のスリープ制御例(Quiet IE利用)を示す。
図9において、201および202はビーコン信号であり、基地局および端末局の状態をそれぞれ示す。また、説明の都合上、時刻A,B,Cを図中に示す。
【0021】
WiFiでは、利用可能な周波数帯域の中に、様々なレーダーの使用する周波数帯と共通の帯域が含まれている。そのような帯域では、例えば基地局が周辺にレーダー波を送信する局が存在しないかを定期的に検出する必要がある。これはDFS(Dynamic Frequency Selection )と呼ばれる制御であるが、このレーダー波の検出作業中は配下の端末局からの無線アクセスを禁止しなければならない。そこで、所定の時間を端末からの送信禁止期間(図中では時刻A〜B)を用いてレーダー波の検出を行う。これを利用して、基地局は、時刻A〜Bにスリープ状態になり、時刻B〜Cにアウェイク状態となる。一般の端末局は、送信禁止期間中の動作が規定されていないために、時刻A〜Bについてはスリープできるか否かは端末次第であるが、この間は少なくとも有意なデータを送受信する可能性がないため、スリープ同様の動作とすることも可能である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0022】
【非特許文献1】小川 他、「無線LANアクセスポイントにおける省電力モードの性能評価」, 電子情報通信学会 信学技報 MoMuC2009−13
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
非特許文献1に記載のスリープ制御技術では、ビーコン送信時に基地局のバッファにデータが存在する場合や、一定時間内に端末局とトラフィックの送受信が行われた履歴があった場合は、ビーコン間で基地局がスリープモードに移行しないように制御される。そのビーコンインターバル内では、トラフィック送受信が発生する可能性が高いので、そのデータの遅延等の通信品質を劣化させないために、基地局がスリープモードに移行することを防止しているからである。
【0024】
ここで、基地局がスリープモードに移行するかどうかはビーコン送信時点でのみ判断される。したがって、ビーコンインターバル内で、基地局がバッファに蓄積したデータの送受信を完了した後、送受信するトラフィックがない場合でも、基地局は不必要なアウェイク状態を維持する。すなわち、この従来技術は基地局に接続している端末局がいない状態、または端末局がいたとしてもトラフィックが発生していないときのみにスリープモードに移行できる手段であり、一定以上のトラフィックが送受信される場合では、基地局はスリープモードに移行できなくなるので、大きな省電力化効果を期待できない。
【0025】
この問題を解消するために、基地局が不必要なアウェイク状態を削減し、一定以上のトラフィックがある場合でも基地局をスリープモードへ移行させる手段として、短周期でスリープモードへの移行を判断する手段が考えられる。例えば、ビーコン周期を短く設定し、ビーコン送信タイミングでスリープモードへの移行を判断する方法である。短い周期でスリープ移行判断が可能となるので、蓄積トラフィックの送信を完了した後の不要なアウェイク状態を維持する時間は短くなる。このように、ビーコン周期を短くすることによって、一定のトラフィックがある場合でも基地局がスリープモードに移行することが可能となる。
【0026】
しかし、ビーコン周期を短くすることには、以下の問題点が考えられる。第1は、ビーコン送信頻度が高くなるため、ビーコン送信に要する消費電力が大きくなる。第2は、各ビーコン送信時点でスリープ移行判断を実施するためには、端末局からのアップリンクの送信有無を判断する必要があり、ビーコン送信前に一定のアウェイク時間(図8の時刻F〜G、図9の時刻B〜C)を設定しなければならない。ビーコン送信頻度が増加するごとにこのアウェイク時間は増加するため、総アウェイク時間の削減には限界がある。
【0027】
本発明は、スリープ制御技術によって省電力化効果を向上させるために、基地局がビーコンやCTS等によって無線アクセス禁止区間を設定することなくスリープモードに移行することができ、かつアウェイク時間を削減し、省電力効果を向上させることができる基地局装置およびスリープ制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0028】
第1の発明は、アウェイク状態とスリープ状態とを遷移しながら端末局との通信を行う基地局装置において、端末局に対して無線アクセス禁止期間を通知することなくアウェイク状態からスリープ状態に移行し、スリープ状態の終了後にアウェイク状態に移行してキャリアセンスを実施し、無線チャネルがビジーでないときに再びスリープ状態に移行し、無線チャネルがビジーのときにアウェイク状態を維持して端末局が送信するパケットを受信する制御手段を備え、制御手段は、アウェイク状態の時間は、キャリアセンスによって無線チャネルがビジーか否かの判定が可能な短い時間に設定し、スリープ状態の時間は、キャリアセンスで無線チャネルがビジーになった後のアウェイク状態で端末局からの再送パケットの受信が可能な時間に設定する。
【0029】
第1の発明の基地局装置において、制御手段は、スリープ状態に入る前に端末局へ送信するパケットがあるときに、当該パケットの送信を行うとともに、当該パケット送信後にスリープ状態に移行する。
【0030】
第1の発明の基地局装置において、制御手段は、スリープ状態中に端末局へ送信するパケットが生じたときに、スリープ状態を中断してアウェイク状態に移行し、当該パケットの送信を行うとともに、当該パケット送信後にスリープ状態に移行する。
【0031】
第1の発明の基地局装置において、制御手段は、キャリアセンスにより無線チャネルがビジーでないときに再びスリープ状態に移行することを繰り返すときに、その繰り返し回数が大きくなるほどスリープ状態の時間を長く設定する。
【0032】
第2の発明は、アウェイク状態とスリープ状態とを遷移しながら端末局との通信を行う基地局装置のスリープ制御方法において、端末局に対して無線アクセス禁止期間を通知することなくアウェイク状態からスリープ状態に移行し、スリープ状態の終了後にアウェイク状態に移行してキャリアセンスを実施し、無線チャネルがビジーでないときに再びスリープ状態に移行し、無線チャネルがビジーのときにアウェイク状態を維持して端末局が送信するパケットを受信する制御ステップを有し、アウェイク状態の時間は、キャリアセンスによって無線チャネルがビジーか否かの判定が可能な短い時間に設定し、スリープ状態の時間は、キャリアセンスで無線チャネルがビジーになった後のアウェイク状態で端末局からの再送パケットの受信が可能な時間に設定する。
【0033】
第2の発明のスリープ制御方法において、制御ステップは、スリープ状態に入る前に端末局へ送信するパケットがあるときに、当該パケットの送信を行うとともに、当該パケット送信後にスリープ状態に移行する。
【0034】
第2の発明のスリープ制御方法において、制御ステップは、スリープ状態中に端末局へ送信するパケットが生じたときに、スリープ状態を中断してアウェイク状態に移行し、当該パケットの送信を行うとともに、当該パケット送信後にスリープ状態に移行する。
【0035】
第2の発明のスリープ制御方法において、制御ステップは、キャリアセンスにより無線チャネルがビジーでないときに再びスリープ状態に移行することを繰り返すときに、その繰り返し回数が大きくなるほどスリープ状態の時間を長く設定する。
【発明の効果】
【0036】
本発明は、基地局が無線アクセス禁止期間を端末局に通知せずにスリープ状態に移行し、その後に短時間のアウェイク状態に移行してキャリアセンスを行い、ビジーであればアウェイク状態を維持して端末局が送信するパケットを受信する。ビジーでなければ、再びスリープ状態に移行する。これを繰り返すことにより、基地局が端末局に無線アクセス禁止期間の通知せずに行うスリープによる省電力化と、端末局からのパケット受信の両立を図ることができる。
【0037】
また、基地局において送信するパケットがあれば、スリープ状態に入る前であれば、パケット送信後にスリープ状態に移行し、スリープ状態中であればスリープ状態を中断してアウェイク状態に移行し、パケット送信後にスリープ状態に移行することができる。
【0038】
また、スリープ状態とアウェイク状態を繰り返すごとにスリープ状態の時間を長くすることにより、端末局からのパケット受信を優先しながら基地局における省電力効果を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明における基地局のスリープ制御の概要を説明するタイムチャートである。
【図2】本発明における基地局のスリープ制御の動作例1を示すタイムチャートである。
【図3】本発明における基地局のスリープ制御の動作例2を示すタイムチャートである。
【図4】本発明の基地局装置の構成例を示す図である。
【図5】スリーププロファイルの例を示す図である。
【図6】本発明によるスリープ制御開始判断の処理手順を示すフローチャートである。
【図7】本発明によるスリープ制御(S110,S111)の処理手順を示すフローチャートである。
【図8】従来技術における基地局のスリープ制御例(NAV利用)を示すタイムチャートである。
【図9】従来技術における基地局のスリープ制御例(Quiet IE利用)を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明は、基地局がビーコンやCTS等により、無線アクセス禁止期間を端末局に通知せずにスリープモードに移行できる技術である。基地局が無線アクセス禁止期間を通知せずにスリープモードに移行した場合、端末局は、基地局がスリープモードに移行している時間にアップリンクのパケットを送信することがある。この場合、基地局は端末局に対してACKを返信できない。そのため、端末局は送信したパケットの再送を繰り返し、再送回数が上限値に達した場合はそのパケットを廃棄して、パケットロスが生じてしまう。そこで、本発明は端末局が送信したパケットの廃棄を抑制し、再送回数を最小限に抑えるための工夫を施す。
【0041】
図1は、本発明における基地局のスリープ制御の概要を示す。
図1において、基地局は、ビーコン送信後に送信パケットがなければ、所定期間キャリアセンスを行い、端末局からのアップリンクのパケット送信がないことを確認してスリープモードに移行する。その後、短周期でアウェイクモードに復旧し、キャリアセンスを実施する。キャリアセンスにより、無線チャネルがビジーか否かによって、スリープモードへの移行判断を行う。キャリアセンスの実施結果がアイドルであれば、基地局は再びスリープモードに移行する。キャリアセンスの実施結果がビジーであれば、スリープモードを中断する。端末局がアップリンクのパケットを送信している場合は、無線チャネルがビジーとなるため、基地局は端末局がパケットの送信を試みていることを把握し、再送されるパケットを受信する。
【0042】
このように、基地局が短周期でアウェイクモードを繰り返すことにより端末局のパケット送信を把握できるので、端末局におけるパケットの再送回数を低減し、廃棄となる確率を低減することができる。一方、基地局は、ビーコンやCTS等により、無線アクセス禁止期間を端末局に通知せずに、周期的にスリープモードになって消費電力を低減することができる。
【0043】
なお、基地局は短周期でアウェイクモードに復旧することになるが、アウェイクモードはパケットの受信が目的ではなく、キャリアセンスによる無線チャネルのビジー判断のみである。したがって、ここでのアウェイク時間は、従来技術のアウェイク時間より大幅に短くすることができる。例えば、アウェイク時間は、IEEE802.16標準規格で定められる1スロットタイム(IEEE802.11bでは20μsec )に設定することが可能である。または、アウェイク時間を、キャリアセンスによる信号検出のために最低限必要な最小時間に設定することも可能である。そのため、総アウェイク時間を従来技術に比べて大幅に削減できる。
【0044】
図2は、本発明における基地局のスリープ制御の動作例1を示す。
図2(1) は、スリープモード前にパケットの送受信を実施するケースである。基地局は、端末局宛ての送信パケットがあれば、ビーコン送信後にパケット(Tx Data)を送信し、端末局からのACKを受信して通信を完了する。その後、所定期間キャリアセンスを行い、端末局からのアップリンクのパケット送信がないことを確認してスリープモードに移行する。
【0045】
図2(2) は、スリープモード中に端末局がパケットを送信するケースである。基地局はスリープモードに移行した後のキャリアセンスで、無線チャネルがビジーであると判断した場合は、端末局がアップリンクでパケットを送信していると認識し、スリープモードを中断して端末局が再送するパケット(Rx Data)を受信する。再送パケットの受信、ACK送信後に、所定期間キャリアセンスを行い、端末局からのアップリンクのパケット送信がないことを確認してスリープモードに移行する。
【0046】
なお、基地局がスリープモード後に行うキャリアセンスは、上記のように信号受信が目的ではなく、無線チャネルがビジーであるか否かを検出するためにあり、その間に端末局がアップリンクでパケットを送信していれば、それを認識するだけで十分である。端末局は、基地局からACKが返ってこなければパケットを再送することになり、図2(2) のパケット(Rx Data)はこの再送パケットを示す。ビジーを検出するキャリアセンスと再送パケットとの間には、再送のための時間を要するが、図2(2) では省略している。
【0047】
図2(3) は、スリープモード中に基地局で送信パケットが発生するケースである。基地局がスリープモードに移行した後に、基地局に送信パケットが発生した場合は、基地局はスリープモードを中断し、そのパケット(Tx Data)を送信し、端末局からのACKを受信して通信を完了する。その後、所定期間キャリアセンスを行い、端末局からのアップリンクのパケット送信がないことを確認してスリープモードに移行する。
【0048】
図3は、本発明における基地局のスリープ制御の動作例2を示す。
図1および図2ではスリープ時間を一定としているが、ビーコンインターバル内でのスリープモードへの移行回数によってスリープ時間を変更してもよい。例えば、基地局が連続的にスリープに移行する回数が大きくなるほど、すなわちキャリアセンス結果がアイドルと連続的に判断される回数が大きくなるほど、スリープ時間を大きくする。端末局は、送信したいパケットを有している場合、ビーコン受信直後にそのパケットを送信する傾向が強いため、ビーコンインターバルの前半で端末局がパケットを送信しなければ、ビーコンインターバルの後半で端末局がパケットを送信する可能性は小さいからである。
【0049】
(装置構成)
図4は、本発明の基地局装置の構成例を示す。
図4において、基地局装置1は、アンテナ2、送受信部3、通信制御部4、バッファ部5、インタフェース部6、スリープ制御部7、スリーププロファイル記憶部8から構成される。また、必要に応じてスリープカウンタ記憶部9を備えたてもよい。
【0050】
基地局装置1は、無線回線を介した信号をアンテナ2で受信し、送受信部3にて帯域外信号のフィルタリング、ローノイズアンプによる信号増幅、RF周波数からベースバンド帯への周波数変換、アナログ信号からデジタル信号へのA/D変換等の処理を行う。さらに、デジタル化されたベースバンド信号は、タイミング検出、物理レイヤに関するヘッダ情報の終端、復調処理、誤り訂正などの一連の信号処理が施される。送受信部2から出力される復調処理等がされた信号は通信制御部4に入力される。
【0051】
受信した信号がデータパケットである場合は、バッファ部5を介してインタフェース部6にそのデータパケットを出力する。インタフェース部6は基地局装置と外部とのデータパケットの入出力を行うインタフェースである。一方、インタフェース部6からパケットが出力されたときは、このデータパケットはバッファ部5に蓄積される。このデータパケットが、通信制御部4の制御によって送信されるときは、通信制御部4は無線パケットを送受信部3に出力し、送受信部3で各種変調処理を施されてベースバンド信号が生成され、デジタル信号からアナログ信号に変換するD/A変換、周波数変換、帯域外信号のフィルタリング、信号増幅などを行い、アンテナ2より送信される。
【0052】
スリープ制御部7は、スリーププロファイル記憶部8およびスリープカウンタ記憶部9を参照して、基地局のスリープモードへの移行判断を実施すると共に、所定の回路の電源をオフにする。
【0053】
スリーププロファイル記憶部8には、基地局がスリープモードに移行するときの各種パラメータや、電源をオフにする回路の情報の記載されている。図5にスリーププロファイルの一例を示す。
【0054】
標準スリープ時間は、基地局の標準的なスリープ時間である。基地局はスリープモードに移行すると、この時間経過後にアウェイクモードに復旧し、キャリアセンスを実施することになる。キャリアセンスでチャネルがビジー、すなわち端末局がパケットを送信していることを認識した場合、基地局はスリープモードに移行せずに再送されるパケットを受信する。
【0055】
ここで、通信品質における遅延の観点からは、端末局の再送回数が小さいうちにパケットを受信できることが望ましい。これを考慮して、標準スリープ時間を設定する。例えば、IEEE802.11bのデータパケットの大きさは最低でも 218μsec(伝送レート11Mbps 、ペイロード0 bit)である。したがって、標準スリープ時間を 200μsec にすれば、端末局によるパケットの初回送信で、基地局が最初のスリープモード後のキャリアセンスでそれを検出してスリープモードを停止するので、1回目の再送パケットを基地局が受信することが可能となる。
【0056】
また、図3に示すように、スリープカウンタ記憶部9のスリープモードカウンタSCを用いてスリープ時間を制御してもよい。SCは、基地局のスリープモードへの連続移行回数を示す。SCの値はスリープカウンタ記憶部9に保存され、連続的にスリープモードに移行することによって1ずつ加算される。キャリアセンスによって無線チャネルをビジーと判断し、スリープモードへの移行を停止したときは、SCを1にリセットする。
【0057】
例えば、標準スリープ時間にSCを乗算した値や、標準スリープ時間に2^(SC−1)を乗算した値をスリープ時間に設定してもよい。ただし、スリープ時間を大きくしすぎると、端末局による再送回数が上限値に達してしまい、パケットロスが発生してしまう。そこで、図5に示すように、スリーププロファイルとして最大スリープ時間が設定されている。例えば、端末局の再送回数の上限値が3である場合、2回目の再送完了までに基地局はキャリアセンスを実行すれば、基地局は3回目の再送を受信することができ、パケットロスを防止できる。端末局が2回目の再送を完了するまでの時間は、
【0058】
初回パケット送信時間+ACKタイムアウト時間
+1回目の再送待機時間+パケット送信時間+ACKタイムアウト時間
+2回目の再送待機時間+パケット送信時間
であり、IEEE802.11bでは、平均的に3098μsec程度(伝送レート11Mbps 、ペイロード0 bit)である。したがって、最大スリープ時間を3000μsec に制限しておけば、再送上限値が3回の端末局のパケットロスを防止することが可能である。
【0059】
このように、端末局の再送上限値を考慮して、最大スリープ時間を設定することができる。また、キャリアセンス時間は、基地局がキャリアセンスによって無線チャネルがビジーか否かを判断できる必要最低限の時間でよい。ここではIEEE802.11bで規定される1スロットタイムとして20μsecに設定している。さらに、スリーププロファイル記憶部8では、スリープ時間によって電源をオフにする基地局の回路情報も有している。基地局における一部の回路では、電源供給から機能が安定するまで一定の時間を要する回路があるため、標準スリープ時間等の短い時間でスリープする場合は、一部の回路の電源供給を停止することができない。したがって、スリープ時間によって電源をオフにする回路を制御し、長時間のスリープモードに移行する場合は多くの回路を停止するように制御する。
【0060】
なお、スリープ制御部7、スリーププロファイル記憶部8、スリープカウンタ記憶部9について、通信制御部4から切り離して説明を行ったが、これら全てをひとつの制御部全体と捉えることも可能である。
【0061】
図6は、本発明によるスリープ制御開始判断の処理手順を示す。
図6において、スリープ制御を開始すると(S101)、従来技術とは異なり、無線アクセス禁止期間を設定しないビーコンを送信する(S102)。続いて、基地局のバッファに送信パケットがあるかどうかを判断する(S103)。バッファに送信パケットがある場合は(S103でYes)、キャリアセンスを実施し(S104)、所定時間、無線チャネルが未使用であれば(S105でYes)、パケットを送信する(S106)。無線チャネルが使用中であれば(S105でNo)、その無線チャネルを使用して送信されている無線パケットを受信し(S107)、再び基地局のバッファにおける送信パケットの有無を判断し(S103)、キャリアセンスを実施する。ここでのS104〜S107の動作は一般的な無線LANの動作と同じであり、キャリアセンスによってチャネル使用状況を判断する時間(S105の所定時間)は、DIFS時間とバックオフ時間の合計である(図1参照)。バックオフ時間は、コンテンションウィンドウ範囲内からランダムに選択した値によって定まり、その値とスロット時間を乗算した時間に設定される。
【0062】
一方で、基地局のバッファに送信パケットがない場合は(S103でNo)、キャリアセンスを実施し(S108)、所定時間で無線チャネルが未使用であれば(S109でYes)、基地局はスリープ制御を開始する(S110,S111)。ここで、端末局が送信パケットを有しているときは、その送信よりも早くスリープ制御が開始されることを回避するために、S109における基地局のバックオフ時間は端末局のそれよりも長く設定する。例えば、再送回数毎のコンテンションウィンドウ最大値(IEEE802.11bの初回送信では31スロット)に設定することも可能である。端末局はコンテンションウィンドウ値をゼロから最大値までのランダムな値に選択するため、基地局のバックオフ時間としてコンテンションウィンドウ最大値を設定すると基地局のコンテンションウィンドウ値の方が必ず大きくなるからである。これにより、端末局によるパケット送信を優先させることによって、基地局は端末局がパケットを送信しないときのみにスリープモードに移行させることが可能となる。なお、無線チャネルが使用中であれば(S109でNo)、その無線チャネルを使用して送信されている無線パケットを受信し(S112)、再び基地局のバッファにおける送信パケットの有無を判断し(S103)、キャリアセンスを実施する。このS103〜S112の動作をビーコンインターバルの終了まで繰り返し(S113)、ビーコンインターバルを終了すると、再びビーコンを送信する(S102)。
【0063】
図7は、本発明によるスリープ制御(S110,S111)の処理手順を示す。
図7において、図6のS110によってスリープ制御を開始すると(S201)、スリープ制御部7がスリーププロファイル記憶部8やスリープカウンタ記憶部9を参照してスリープ時間を設定する(S202)。続いて、設定したスリープ時間で所定回路の電源をオフにする(S203)。ここではスリーププロファイル記憶部8を参照し、設定したスリープ時間から電源をオフにする回路を把握することができる。スリープ時間中に基地局のバッファに送信パケットが発生した場合は(S204でYes)、直ちにスリープ制御を終了する(S208、S111)。すなわら、スリープモードから直ちにアウェイクモードへ復旧する。送信パケットが発生せずに(S203でNo)スリープ時間を経過すると、回路の電源をオンにし、キャリアセンスを実施する(S206)。ここでのキャリアセンス時間は、スリープ制御部7がスリーププロファイル記憶部8を参照して設定することが可能である。キャリアセンスによって無線チャネルがビジーか否かを判断し、ビジーでない場合(S207でNo)、再びスリープモードに移行する(S202〜S205)。ビジーと判断した場合(S207でYes)、直ちにスリープ制御を終了する(S208、S111)。
【符号の説明】
【0064】
1 基地局装置
2 アンテナ
3 送受信部
4 通信制御部
5 バッファ部
6 インタフェース部
7 スリープ制御部
8 スリーププロファイル記憶部
9 スリープカウンタ記憶部
201,202 ビーコン
202,203 スリープ制御パケット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アウェイク状態とスリープ状態とを遷移しながら端末局との通信を行う基地局装置において、
前記端末局に対して無線アクセス禁止期間を通知することなく前記アウェイク状態から前記スリープ状態に移行し、前記スリープ状態の終了後に前記アウェイク状態に移行してキャリアセンスを実施し、無線チャネルがビジーでないときに再び前記スリープ状態に移行し、無線チャネルがビジーのときに前記アウェイク状態を維持して前記端末局が送信するパケットを受信する制御手段を備え、
前記制御手段は、
前記アウェイク状態の時間は、前記キャリアセンスによって無線チャネルがビジーか否かの判定が可能な短い時間に設定し、
前記スリープ状態の時間は、前記キャリアセンスで無線チャネルがビジーになった後の前記アウェイク状態で前記端末局からの再送パケットの受信が可能な時間に設定する
ことを特徴とする基地局装置。
【請求項2】
請求項1に記載の基地局装置において、
前記制御手段は、前記スリープ状態に入る前に前記端末局へ送信するパケットがあるときに、当該パケットの送信を行うとともに、当該パケット送信後に前記スリープ状態に移行する
ことを特徴とする基地局装置。
【請求項3】
請求項1に記載の基地局装置において、
前記制御手段は、前記スリープ状態中に前記端末局へ送信するパケットが生じたときに、前記スリープ状態を中断して前記アウェイク状態に移行し、当該パケットの送信を行うとともに、当該パケット送信後に前記スリープ状態に移行する
ことを特徴とする基地局装置。
【請求項4】
請求項1に記載の基地局装置において、
前記制御手段は、前記キャリアセンスにより無線チャネルがビジーでないときに再び前記スリープ状態に移行することを繰り返すときに、その繰り返し回数が大きくなるほど前記スリープ状態の時間を長く設定する
ことを特徴とする基地局装置。
【請求項5】
アウェイク状態とスリープ状態とを遷移しながら端末局との通信を行う基地局装置のスリープ制御方法において、
前記端末局に対して無線アクセス禁止期間を通知することなく前記アウェイク状態から前記スリープ状態に移行し、前記スリープ状態の終了後に前記アウェイク状態に移行してキャリアセンスを実施し、無線チャネルがビジーでないときに再び前記スリープ状態に移行し、無線チャネルがビジーのときに前記アウェイク状態を維持して前記端末局が送信するパケットを受信する制御ステップを有し、
前記アウェイク状態の時間は、前記キャリアセンスによって無線チャネルがビジーか否かの判定が可能な短い時間に設定し、
前記スリープ状態の時間は、前記キャリアセンスで無線チャネルがビジーになった後の前記アウェイク状態で前記端末局からの再送パケットの受信が可能な時間に設定する
ことを特徴とするスリープ制御方法。
【請求項6】
請求項1に記載のスリープ制御方法において、
前記制御ステップは、前記スリープ状態に入る前に前記端末局へ送信するパケットがあるときに、当該パケットの送信を行うとともに、当該パケット送信後に前記スリープ状態に移行する
ことを特徴とするスリープ制御方法。
【請求項7】
請求項1に記載のスリープ制御方法において、
前記制御ステップは、前記スリープ状態中に前記端末局へ送信するパケットが生じたときに、前記スリープ状態を中断して前記アウェイク状態に移行し、当該パケットの送信を行うとともに、当該パケット送信後に前記スリープ状態に移行する
ことを特徴とするスリープ制御方法。
【請求項8】
請求項1に記載のスリープ制御方法において、
前記制御ステップは、前記キャリアセンスにより無線チャネルがビジーでないときに再び前記スリープ状態に移行することを繰り返すときに、その繰り返し回数が大きくなるほど前記スリープ状態の時間を長く設定する
ことを特徴とするスリープ制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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