説明

基地局装置及び方法

【課題】セミパーシステントスケジューリングにより音声通信を行う携帯端末に対して、適切に送信電力制御を行うこと。
【解決手段】基地局は、パスロスと、所定のサブフレームにおいて上りリンク共有チャネルによりユーザデータを送信する携帯端末が送信電力を制御する際に使用される第1のパラメータとに基づいて、送信電力を制御する際の第1の目標受信電力を算出する第1の目標受信電力算出部と、パスロスに基づいて、第1の目標受信電力と、一定周期毎に上りリンク共有チャネルによりユーザデータを送信する携帯端末が送信電力を制御する際に使用すべき第2の目標受信電力との間の差分を算出する差分算出部と、第1のパラメータから、差分を減算することにより、第2のパラメータを算出する第2のパラメータ算出部と、第2のパラメータを通知する通知部とを有する。第1の目標受信電力算出部は、パスロスが小さくなるに従って、第1の目標受信電力が高くなるように算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
LTE(Long Term Evolution)は、W-CDMA(Wideband-Code Division Multiple Access)の標準化団体3GPP(3rd Generation Partnership Project)にて、仕様が作成されている。LTEは、W-CDMAの拡張技術であるHSPA(High Speed Packet Access)から更に発展した標準規格である。LTEでは、下りリンクにおいて100Mbps以上、上りリンクにおいて50Mbps以上の高速通信が実現され、遅延の改善や周波数の利用効率向上などが図られる。
【0003】
LTEでは、パルロスが小さい程高い受信SIRとなるように、送信電力制御(TPC: transmission power control)が行われることがある。該送信電力制御は、フラクショナル送信電力制御(Fractional TPC)と呼ばれる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】TS36.213 V9.2.0 2010 06
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
LTEでは、ダイナミックスケジューリング(Dynamic Scheduling)が適用される。ダイナミックスケジューリングでは、受信チャネル状態に基づいて、携帯端末装置に対して、送信スロット、もしくは送信スロットの周波数帯域を分割したリソースブロックを割り当てる。ダイナミックスケジューリングにフラクショナル送信電力制御を適用した場合、パルロスが小さくなるに従って受信SIRが高くなるように送信電力が制御され、パスロスが大きくなるに従って受信SIRが低くなるように送信電力が制御される。該フラクショナル送信電力制御により、セル中央領域での高スループットが実現される。中央領域での高スループットが実現されるため、ダイナミックスケジューリングはデータ通信に適用するのが好適である。
【0006】
ダイナミックスケジューリングとともに、LTEでは、セミパーシステントスケジューリング(Semi-Persistent scheduling)が適用される。該セミパーシステントスケジューリングでは、携帯端末装置に、一定周期毎の無線リソースを固定的に割り当てられる。セミパーシステントスケジューリングは、音声通信やストリーミング等の、ある程度、一定の伝送速度となるパケットデータに対して適用するのが好適である。
【0007】
しかし、音声通信などでは、必要な伝送速度は、セル中央領域でもセル端領域でも同程度である。従って、セミパーシステントスケジューリングにフラクショナル送信電力制御を適用した場合、セル中央領域では過品質となると考えられる。
【0008】
そこで、本発明は上述した問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、セミパーシステントスケジューリングにより音声通信を行う携帯端末装置に対して、適切に送信電力制御を行うことができる基地局装置及び方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本基地局装置は、
携帯端末装置との間で無線通信を行う基地局装置であって、
前記携帯端末装置におけるパスロスを算出するパスロス算出部と、
前記パスロスと、所定のサブフレームにおいて上りリンク共有チャネルによりユーザデータを送信する携帯端末装置が送信電力を制御する際に使用される第1のパラメータとに基づいて、所定のサブフレームにおいて上りリンク共有チャネルによりユーザデータを送信する携帯端末装置が送信電力を制御する際の第1の目標受信電力を算出する第1の目標受信電力算出部と、
前記パスロスに基づいて、前記第1の目標受信電力算出部により算出される第1の目標受信電力と、一定周期毎に上りリンク共有チャネルによりユーザデータを送信する携帯端末装置が送信電力を制御する際に使用すべき第2の目標受信電力との間の差分を算出する差分算出部と、
前記第1のパラメータから、前記差分算出部により算出された差分を減算することにより、前記第2のパラメータを算出する第2のパラメータ算出部と、
該第2のパラメータ算出部により算出された第2のパラメータを通知する通知部と
を有し、
前記第1の目標受信電力算出部は、パスロスが小さくなるに従って、第1の目標受信電力が高くなるように算出する。
【0010】
本方法は、
携帯端末装置との間で無線通信を行う基地局装置における方法であって、
前記携帯端末装置におけるパスロスを算出するパスロス算出ステップと、
前記パスロスと、所定のサブフレームにおいて上りリンク共有チャネルによりユーザデータを送信する携帯端末装置が送信電力を制御する際に使用すべき第1のパラメータとに基づいて、所定のサブフレームにおいて上りリンク共有チャネルによりユーザデータを送信する携帯端末装置が送信電力を制御する際の第1の目標受信電力を算出する第1の目標受信電力算出ステップと、
前記パスロスに基づいて、前記第1の目標受信電力算出ステップにより算出される第1の目標受信電力と、一定周期毎に上りリンク共有チャネルによりユーザデータを送信する携帯端末装置が送信電力を制御する際に使用すべき第2の目標受信電力との間の差分を算出する差分算出ステップと、
前記第1のパラメータから、前記差分算出ステップにより算出された差分を減算することにより、前記第2のパラメータを算出する第2のパラメータ算出ステップと、
該第2のパラメータ算出ステップにより算出された第2のパラメータを通知する通知ステップと
を有し、
前記第1の目標受信電力算出ステップでは、パスロスが小さくなるに従って、第1の目標受信電力が高くなるように算出される。
【発明の効果】
【0011】
開示の基地局装置及び方法によれば、セミパーシステントスケジューリングにより音声通信を行う携帯端末装置に対して、適切に送信電力制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施例に従った基地局装置が適用される環境を示す説明図である。
【図2】パスロスと、目標受信電力との関係の一例を示す説明図である。
【図3】パスロスと、受信電力との関係の一例を示す説明図である。
【図4】本実施例に従った基地局装置を示す機能ブロック図である。
【図5】本実施例に従った基地局装置を示す機能ブロック図である。
【図6】本実施例に従った基地局装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明を実施するための形態を、以下の実施例に基づき図面を参照しつつ説明する。
なお、実施例を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を用い、繰り返しの説明は省略する。
【0014】
<実施例>
<システム>
本実施例に従った基地局装置が適用される環境について説明する。
【0015】
本基地局装置が適用される環境は、複数の移動体通信システムが混在する環境であってもよい。該移動体通信システムには、Evolved UTRA and UTRAN方式の移動体通信システムが含まれる。Evolved UTRAN and UTRAN方式の移動体通信システムは、LTEとも呼ばれる。さらに、W-CDMA方式の移動体通信システムが含まれてもよい。
【0016】
基地局装置によりカバーされるエリアには、1又は複数のセルが含まれる。該複数のセルには、同一周波数帯で無線通信可能なセルが存在する。該同一周波数帯で無線通信可能なセルは周波数レイヤーと呼ばれてもよい。
【0017】
図1は、本基地局装置が適用される環境の一例を示す模式図である。図1には、一例として、LTE方式に従った基地局装置300(nは、n>1の整数)と、該基地局装置300によりカバーされるエリアが示される。該エリアには、携帯端末装置100との間で無線通信可能なセル350が含まれる。該エリアには、該携帯端末装置100との間の無線通信に使用される周波数帯とは異なる他の周波数帯で無線通信可能なセルが含まれてもよい。また、基地局装置300とは異なる他の基地局装置(図示なし)によりカバーされるセルが混在していてもよい。また、LTEとは異なる他の無線アクセステクノロジにより無線通信可能なセルが混在していてもよい。該他の無線アクセステクノロジには、W-CDMAが含まれてもよい。
【0018】
本基地局装置300は、モビリティマネジメントエンティティ(MME: Mobility Management Entity)500(mは、m>0の整数)と接続される。該MMEは交換局により実現されてもよい。MME500は、コアネットワーク700と接続される。
【0019】
図1には、一例として、3の基地局装置が示される。また、図1には、2のMMEが示される。基地局装置300、及び300は、MME500と接続される。基地局装置300は、MME500と接続される。
【0020】
本実施例に従った携帯端末装置100は、LTE方式により無線通信が可能である。該LTE方式により無線通信を行うことができる携帯端末装置100は、W-CDMA方式により無線通信を行うことができるものであってもよい。換言すれば、携帯端末装置100は、デュアルモード端末であってもよい。デュアルモード端末は、既存の移動体通信システム、例えばW-CDMA方式と、新たに導入される移動体通信システム、例えばLTE方式により通信を行うことができる。
【0021】
<基地局装置>
本基地局装置300は、MME500と接続される。MME500は、コアネットワーク700と接続される。本基地局装置300は、セル350をカバーする。携帯端末装置100は、セル350において本基地局装置300とEvolved UTRA and UTRAN方式により通信を行う。MMEは、サービングゲートウェイ(SGW: Serving GateWay)とともに実現されてもよい。MME/S-GWは、アクセスゲートウェイと呼ばれることもある。本基地局装置300は、エヴォルブドパケットコア(EPC: Evolved Packet Core)(図示なし)と接続されてもよい。
【0022】
MME/SGWに1台の基地局装置が接続されてもよいし、複数の基地局装置が接続されてもよい。
【0023】
<送信電力制御方法>
本基地局装置300は、送信電力制御を行う。例えば、基地局装置300は、携帯端末装置100が送信電力を設定する際に使用すべき係数αを設定する。該係数αは、セル毎に異なっていてもよい。該係数αは報知情報として在圏する携帯端末装置100に無線送信される。さらに、基地局装置300は、携帯端末装置100がユーザデータを送信する際に使用すべき上りリンク共有チャネル送信電力基準値を設定する。該上りリンク共有チャネル送信電力基準値は、「P0_PUSCH」と記載されることもある。基地局装置300は、該上りリンク共有チャネル送信電力基準値として、第1のパラメータを設定する。該第1のパラメータは、「P0_NOMINAL_PUSCH」と記載されることもある。基地局装置300は、該第1のパラメータを報知情報として無線送信する。さらに、基地局装置300は、該上りリンク共有チャネル送信電力基準値として、第2のパラメータを設定する。基地局装置300は、該第2のパラメータを個別チャネルで無線送信する。
【0024】
例えば、下りリンクのパスロスが携帯端末装置100により推定される。該パスロスは基地局装置300に通知されてもよい。また、パスロスは、基地局装置300において推定されてもよい。該パスロスに基づいて、携帯端末装置100は、送信電力を制御する。例えば、携帯端末装置100は、式(1)に従って、上りリンク共有チャネルの送信電力PPUSCHを制御する。
【0025】
PPUSCH=min(Pmax,10log10MPUSCH+P0_PUSCH+α×PL+f(i)) (1)
式(1)において、「Pmax」は予め設定されるべき携帯端末装置100の送信電力である。「MPUSCH」は上りリンク共有チャネルの帯域幅である。該帯域幅は、リソースブロックの数で表されてもよい。「P0_PUSCH」は上りリンク共有チャネル送信電力基準値であり、基地局装置300により報知される。「α」は係数であり、基地局装置300により報知される。「PL」はパスロスである。「f(i)」は補正値である。「i」はサブフレームを示す。
【0026】
図2は、パスロスと、目標受信電力との間の関係の一例を示す。図2には、パスロスと、目標受信電力との関係が示される。目標受信電力は、携帯端末装置100により送信された上りリンク共有チャネルの基地局装置300における受信電力の目標値である。
【0027】
図2によれば、「P0_PUSCH」、「α」の値によって、パスロスと、目標受信電力との間の関係が変わる。傾きは「α」に応じて変化する。パスロスが零のときの目標電力値が「P0_PUSCH」となる。
【0028】
図3は、本基地局装置300が通知すべき第1のパラメータ、及び第2のパラメータを示す。図3には、パスロスと、受信電力との関係が示される。受信電力は、携帯端末装置100により送信された上りリンク共有チャネルの基地局装置300における受信電力である。
【0029】
図3には、ダイナミックスケジューリング対象の携帯端末装置に対応するパスロスと、受信電力との関係と、セミパーシステントスケジューリング対象の携帯端末装置に対応するパスロスと、受信電力との関係とが示される。
【0030】
ダイナミックスケジューリングでは、所定のサブフレームにおいて上りリンク共有チャネルを用いてユーザデータの送信を行う携帯端末装置を選別(選択)する処理が行われる。該ダイナミックスケジューリングは、携帯端末装置100からのスケジューリング要求(Scheduling Request)に従って行われてもよい。該スケジューリング要求は、上りリンクのリソース割り当てを要求するための信号である。ダイナミックスケジューリングでは、第1のパラメータに基づいて送信電力が制御される。
【0031】
セミパーシステントスケジューリングでは、携帯端末装置に、一定周期毎に上りリンク共有チャネルを用いてユーザデータの送信を行うための無線リソースを割り当てる処理が行われる。セミパーシステントスケジューリングが適用されるシステムにおいて、データが送信されている状態は、トークスパート(Talk Spurt)と呼ばれる。
【0032】
図3によれば、ダイナミックスケジューリングでは、セル中央部に位置するほど、携帯端末装置100からの上りリンク共有チャネルの受信電力が高くなるように制御される。換言すれば、フラクショナル送信電力制御では、パルロスが小さくなるに従って受信SIRが高くなるように送信電力が制御され、パスロスが大きくなるに従って受信SIRが低くなるように送信電力が制御される。セル中央部に位置するほど受信電力が高くなるように制御されることにより、スループットを高くすることができる。一方、セル端部に位置するほど、携帯端末装置100からの上りリンク共有チャネルの受信電力が低くなるように制御される。セル端部に位置するほど受信電力が低くなるように制御されることにより、他のセルからの干渉を低減できる。
【0033】
セミパーシステントスケジューリングでは、セル中央部、セル端部に関わらず、携帯端末装置100からの上りリンク共有チャネルの受信電力が同じになるように制御される。必要なレートは携帯端末装置の位置に関わらず同程度であるためである。
【0034】
本基地局装置300は、係数αと、第1のパラメータと、パスロスから、第1の目標受信電力を求める。例えば、図3に示されるパスロスと、受信電力との間の関係を利用し、ダイナミックスケジューリングの対象の携帯端末装置に対応する特性からパスロスに対応する受信電力を求めることにより第1の目標受信電力を求める。
【0035】
本基地局装置300は、第2のパラメータを設定する。例えば、前記第1の目標受信電力と、セミパーシステントスケジューリングの対象の携帯端末装置に対応する関係との間の差分を求める。該差分を図3では、「Δターゲット」と記載する。第1のパラメータから該Δターゲットを減算した値を第2のパラメータとする。第2のパラメータを第1のパラメータからΔターゲットを減算した値とし、セミパーシステントスケジュールの対象の携帯端末装置100に、該第2のパラメータを個別チャネルで通知することにより、該携帯端末装置100は、セル内の位置に関わらず基地局装置300における上りリンク共有チャネルの受信電力が同じになるように制御できる。
【0036】
図4は、本実施例に従った基地局装置300を示す。本実施例では、上りリンクに関する制御が主に説明される。適宜、下りリンクに適用することも可能である。
【0037】
本基地局装置300は、RLC(Radio Link Control)処理部302を有する。
【0038】
RLC処理部302は、上りリンクのデータに関する、分割・結合、RLC再送制御の受信処理等のRLCレイヤーの受信処理を行う。RLC処理部302は、RLCレイヤーの処理と、PDCP(Packet Data Convergence Protocol)レイヤーの処理を行ってもよい。
【0039】
本基地局装置300は、MAC(Medium Access Control)処理部304を有する。
【0040】
MAC処理部304は、上りリンクのユーザデータのMAC再送制御の受信処理、スケジューリング処理、伝送フォーマットの選択処理、周波数リソースの割り当て処理等を行う。
【0041】
スケジューリング処理には、ダイナミックスケジューリングと、セミパーシステントスケジューリングとが含まれる。伝送フォーマットの選択処理では、スケジューリングにおいて選別された携帯端末装置が送信すべきユーザデータに関する変調方式や符号化率、データサイズを決定する処理が行われる。該変調方式、符号化率、及びデータサイズは、例えば、携帯端末装置100から上りリンクにおいて送信されるサウンディング用リファレンス信号のSIRやパスロスに基づいて設定される。周波数リソースの割り当て処理では、スケジューリング処理により選別された携帯端末装置により送信されるべきユーザデータの送信に用いられるリソースブロックが設定される。該リソースブロックは、例えば、携帯端末装置100から送信されるサウンディング用リファレンス信号のSIRに基づいて決定される。
【0042】
MAC処理部304は、アップリンクスケジューリンググラント(Uplink Scheduling Grant) をレイヤー1処理部306に入力する。該アップリンクスケジューリンググラントには、物理上りリンク共有チャネルにより通信を行う携帯端末装置のID、該携帯端末装置のユーザデータのトランスポートフォーマットの情報が含まれる。該物理上りリンク共有チャネルは、スケジューリング処理、伝送フォーマットの選択処理、周波数リソースの割り当て処理により決定される。
【0043】
MAC処理部304は、送信電力制御を行う。
【0044】
図5は、MAC処理部304の送信電力制御に関する機能を示す。
【0045】
MAC処理部304は、パスロス算出部3042を有する、該パスロス算出部3042は、携帯端末装置100におけるパスロスを算出(推定)する。パスロスは、携帯端末装置100により算出(推定)され、基地局装置300に通知されてもよい。該パスロス算出部3042は、パスロス判定部3044に、パスロスを入力する。
【0046】
MAC処理部304は、パスロス判定部3044を有する、該パスロス判定部3044は、パスロス算出部3042により入力されたパスロスに基づいて、第2のパラメータを変更するかどうかを判定する。例えば、該パスロス判定部3044は、パスロスが以前に算出されたパスロスと比較して予め設定される閾値以上変化していた場合に、第2のパラメータを変更すると判定する。以前に算出されたパスロスは、直前に第2のパラメータを変更すると判定した際のパスロスであるのが好ましい。一方、該パスロス判定部3044は、パスロスの変化量が以前に算出されたパスロスと比較して予め設定される閾値未満である場合に、第2のパラメータを変更しないと判定する。該パスロス判定部3044は、第2のパラメータを変更すると判定した場合、パスロスの値とともに、第2のパラメータを変更する命令をパラメータ算出部3046に通知する。
【0047】
MAC処理部304は、パラメータ算出部3046を有する。該パラメータ算出部3046は、パスロス判定部3044と接続される。パラメータ算出部3046は、パスロス判定部3044により、第2のパラメータを変更する命令が通知された場合に、再設定すべき第2のパラメータを求める。
【0048】
パラメータ算出部3046は、第1の目標受信電力算出部3048を有する。該第1の目標受信電力算出部算出部3048は、パスロス判定部3044と接続される。該第1の目標受信電力算出部3048は、パスロス判定部3044から入力されるべきパスロスと、第1のパラメータとを利用して、第1の目標受信電力を算出する。例えば、第1の目標受信電力算出部算出部3048は、図3を参照して説明したパスロスと受信電力との関係を利用して、パスロス判定部3044により入力されたパスロスに対応する目標受信電力を求めることにより第1の目標受信電力を求める。該第1の目標受信電力算出部3048は、Δターゲット算出部3050に、第1の目標受信電力を入力する。さらに、該第1の目標受信電力算出部3048は、第2のパラメータ算出部3052に、第1のパラメータを入力する。
【0049】
パラメータ算出部3046は、Δターゲット算出部3050を有する。Δターゲット算出部3050は、第1の目標受信電力算出部3048と、パスロス判定部3044に接続される。Δターゲット算出部3050は、第1の目標受信電力算出部3048により入力された第1の目標受信電力と、セミパーシステントスケジューリングの対象の携帯端末装置に対応する受信電力との間の差分を求めることによりΔターゲットを求める。パスロスに応じて予め設定されたダイナミックスケジューリングの対象の携帯端末装置に対応する受信電力に対する差分に基づいて、Δターゲットを求めてもよい。該Δターゲット算出部3050は、第2のパラメータ算出部3052に、Δターゲットの値を入力する。
【0050】
パラメータ算出部3046は、第2のパラメータ算出部3052を有する。該第2のパラメータ算出部3052は、第1の目標受信電力算出部3048と、Δターゲット算出部3050に接続される。該第2のパラメータ算出部3050は、第1の目標受信電力算出部3048により入力されるべき第1のパラメータから、Δターゲット算出部3050により入力されるべきΔターゲットを減算した値を求めることにより、第2のパラメータを算出する。該第2のパラメータ算出部3052は、該第2のパラメータをレイヤー1処理部306に入力する。
【0051】
本基地局装置300は、レイヤー1処理部306を有する。レイヤー1処理部306は、MAC処理部304からのアップリンクスケジューリンググラントに対して、チャネル符号化やIFFT処理等の送信処理を行う。該アップリンクスケジューリンググラントは、下りリンク制御チャネルである物理下りリンク制御チャネルにマッピングされる。また、レイヤー1処理部306は、MAC処理部304からの係数αと、第1のパラメータとに対して、チャネル符号化やIFFT処理等の送信処理を行う。該係数αと、第1のパラメータは報知チャネルにマッピングされる。また、レイヤー1処理部306は、MAC処理部304からの第2のパラメータに対して、チャネル符号化やIFFT処理等の送信処理を行う。該第2のパラメータは個別チャネルにマッピングされる。
【0052】
また、レイヤー1処理部306は、上りリンクで送信される物理上りリンク制御チャネルにマッピングされるCQI(Channel Quality Indicator)や送達確認情報の復調及び復号を行う。レイヤー1処理部306は、該復号結果を、MAC処理部304に入力する。
【0053】
本基地局装置300は、呼処理部308を有する。該呼処理部308は、MAC処理部304と、レイヤー1処理部306と接続される。該呼処理部308は、通信チャネルの設定や解放等の呼処理や、当該基地局装置300の状態管理や、無線リソースの管理を行う。
【0054】
<基地局装置の動作>
図6は、本基地局装置300の動作の一例を示す。
【0055】
本基地局装置300は、該基地局装置300と無線通信を行う携帯端末装置100にパーシステントスケジューリングを適用し、音声通信を行う。換言すれば、トークスパートの状態であってもよい。
【0056】
本基地局装置300は、携帯端末装置100のパスロスを算出する(ステップS602)。例えば、パスロス算出部3042は、携帯端末装置100におけるパスロスを算出する。換言すれば、下りリンクのパスロスを算出する。該パスロスは、所定の周期で算出されてもよい。
【0057】
本基地局装置300は、セミパーシステントスケジューリング対象の携帯端末装置が送信電力制御の際に使用すべき第2のパラメータの値を変更すべきかどうかを判定する(ステップS604)。例えば、パスロス判定部3044は、パスロス算出部3042からのパスロスに基づいて、該パスロスが算出されたときより前に、第2のパラメータを変更した際のパスロスからの変化量が所定の閾値以上であると判定された場合に、第2のパラメータを変更すべきと判定する。また、パスロス判定部3044は、パスロス算出部3042からのパスロスに基づいて、該パスロスが算出されたときより前に算出されたパスロスからの変化量が所定の閾値未満であると判定された場合に、第2のパラメータを変更すべきでないと判定する。
【0058】
第2のパラメータの値を変更すべきと判定した場合(ステップS604:YES)、本基地局装置300は、Δターゲットを算出する(ステップS606)。例えば、第1の目標受信電力算出部3048は、パスロス判定部3044からのパスロスと、第1のパラメータとに基づいて、ダイナミックスケジューリング対象の携帯端末装置100が送信電力制御を行う際の第1の目標受信電力を算出する。Δターゲット算出部3050は、第1の目標受信電力算出部3048により入力された第1の目標受信電力と、パスロス判定部3044により入力されたパスロスに基づいて、ダイナミックスケジューリングの対象の携帯端末装置に対応する受信電力と、セミパーシステントスケジューリングの対象の携帯端末装置に対応する受信電力との間の差分を求めることによりΔターゲットを求める。パスロスに応じて予め設定されたダイナミックスケジューリングの対象の携帯端末装置に対応する受信電力に対する差分に基づいて、Δターゲットを求めてもよい。
【0059】
本基地局装置300は、ダイナミックスケジューリング対象の携帯端末装置100が送信電力制御の際に使用すべき第1のパラメータからステップS606により算出されたΔターゲットを減算することにより第2のパラメータを算出する(ステップS608)。例えば、第2のパラメータ算出部3052は、該第1の目標受信電力算出部3048により入力されるべき第1のパラメータからΔターゲット算出部3050により入力されるべきΔターゲットを減算した値を求めることにより、第2のパラメータを算出する。
【0060】
本基地局装置300は、携帯端末装置100に、第2のパラメータを通知する(ステップS610)。例えば、レイヤー1処理部306は、MAC処理部304からの第2のパラメータに対して、チャネル符号化やIFFT処理等の送信処理を行う。該第2のパラメータは個別チャネルにマッピングされる。該第2のパラメータは、個別チャネルにより送信される。
【0061】
ステップS604により第2のパラメータの値を変更すべきでないと判定された場合(ステップS604:NO)、終了する。
【0062】
本実施例によれば、セミパーシステントスケジューリングにフラクショナル送信電力制御を適用した場合において、セル内における伝送速度がほぼ同じになるように送信電力を制御できる。該送信電力を制御する際に、新たに通知する手段を用意すること無く既存のチャネルを利用して通知できる。
【0063】
本基地局装置は、
携帯端末装置との間で無線通信を行う基地局装置であって、
前記携帯端末装置におけるパスロスを算出するパスロス算出部と、
前記パスロスと、所定のサブフレームにおいて上りリンク共有チャネルによりユーザデータを送信する携帯端末装置が送信電力を制御する際に使用される第1のパラメータとに基づいて、所定のサブフレームにおいて上りリンク共有チャネルによりユーザデータを送信する携帯端末装置が送信電力を制御する際の第1の目標受信電力を算出する第1の目標受信電力算出部と、
前記パスロスに基づいて、前記第1の目標受信電力算出部により算出される第1の目標受信電力と、一定周期毎に上りリンク共有チャネルによりユーザデータを送信する携帯端末装置が送信電力を制御する際に使用すべき第2の目標受信電力との間の差分を算出するΔターゲット算出部としての、差分算出部と、
前記第1のパラメータから、前記差分算出部により算出された差分を減算することにより、前記第2のパラメータを算出する第2のパラメータ算出部と、
該第2のパラメータ算出部により算出された第2のパラメータを通知するレイヤー1処理部としての、通知部と
を有し、
前記第1の目標受信電力算出部は、パスロスが小さくなるに従って、第1の目標受信電力が高くなるように算出する。
【0064】
セミパーシステントスケジューリングにフラクショナル送信電力制御を適用した場合において、セル内における伝送速度がほぼ同じになるように送信電力を制御できる。
【0065】
さらに、
前記パスロス算出部により算出されたパスロスが、直前に第2のパラメータを変更した時点のパスロスからの変化量が所定の閾値以上であるかどうかを判定するパスロス判定部
を有し、
前記第1の目標受信電力算出部は、前記パスロス判定部により前記変化量が所定の閾値以上であると判定された場合に、前記第1の目標受信電力を算出し、
前記差分算出部は、前記第1の目標受信電力算出部により算出された第1の目標受信電力に基づいて、前記差分を算出し、
前記第2のパラメータ算出部は、前記第1のパラメータから、前記差分算出部により算出された差分を減算することにより、前記第2のパラメータを算出する。
【0066】
環境の変化に追従して送信電力を制御できる。
【0067】
さらに、
前記通知部は、個別チャネルにより、前記第2のパラメータ算出部により算出された第2のパラメータを通知する。
【0068】
送信電力を制御する際に、新たに通知する手段を用意すること無く既存のチャネルを利用して通知できる。
【0069】
本方法は、
携帯端末装置との間で無線通信を行う基地局装置における方法であって、
前記携帯端末装置におけるパスロスを算出するパスロス算出ステップと、
前記パスロスと、所定のサブフレームにおいて上りリンク共有チャネルによりユーザデータを送信する携帯端末装置が送信電力を制御する際に使用すべき第1のパラメータとに基づいて、所定のサブフレームにおいて上りリンク共有チャネルによりユーザデータを送信する携帯端末装置が送信電力を制御する際の第1の目標受信電力を算出する第1の目標受信電力算出ステップと、
前記パスロスに基づいて、前記第1のパラメータと、一定周期毎に上りリンク共有チャネルによりユーザデータを送信する携帯端末装置が送信電力を制御する際の第2の目標受信電力との間の差分を算出する差分算出ステップと、
前記第1のパラメータから、前記差分算出ステップにより算出された差分を減算することにより、前記第2のパラメータを算出する第2のパラメータ算出ステップと、
該第2のパラメータ算出ステップにより算出された第2のパラメータを通知する通知ステップと
を有し、
前記第1の目標受信電力算出ステップでは、パスロスが小さくなるに従って、第1の目標受信電力が高くなるように算出される。
【符号の説明】
【0070】
100 携帯端末装置
300(nは、n>0の整数) 基地局装置(eNB: evolved Node B)
302 RLC(Radio Link Control)処理部
304 MAC(Medium Access Control)処理部
3042 パスロス算出部
3044 パスロス判定部
3046 パラメータ算出部
3048 第1の目標受信電力算出部
3050 Δターゲット算出部
3052 第2のパラメータ算出部
306 レイヤー1処理部
308 呼処理部
350(nは、n>0の整数) セル
500(mは、m>0の整数) モビリティマネジメントエンティティ(MME: Mobility Management Entity)
700 コアネットワーク(CN: Core Network)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末装置との間で無線通信を行う基地局装置であって、
前記携帯端末装置におけるパスロスを算出するパスロス算出部と、
前記パスロスと、所定のサブフレームにおいて上りリンク共有チャネルによりユーザデータを送信する携帯端末装置が送信電力を制御する際に使用される第1のパラメータとに基づいて、所定のサブフレームにおいて上りリンク共有チャネルによりユーザデータを送信する携帯端末装置が送信電力を制御する際の第1の目標受信電力を算出する第1の目標受信電力算出部と、
前記パスロスに基づいて、前記第1の目標受信電力算出部により算出される第1の目標受信電力と、一定周期毎に上りリンク共有チャネルによりユーザデータを送信する携帯端末装置が送信電力を制御する際に使用すべき第2の目標受信電力との間の差分を算出する差分算出部と、
前記第1のパラメータから、前記差分算出部により算出された差分を減算することにより、前記第2のパラメータを算出する第2のパラメータ算出部と、
該第2のパラメータ算出部により算出された第2のパラメータを通知する通知部と
を有し、
前記第1の目標受信電力算出部は、パスロスが小さくなるに従って、第1の目標受信電力が高くなるように算出する基地局装置。
【請求項2】
請求項1に記載の基地局装置において、
前記パスロス算出部により算出されたパスロスが、直前に第2のパラメータを変更した時点のパスロスからの変化量が所定の閾値以上であるかどうかを判定するパスロス判定部
を有し、
前記第1の目標受信電力算出部は、前記パスロス判定部により前記変化量が所定の閾値以上であると判定された場合に、前記第1の目標受信電力を算出し、
前記差分算出部は、前記第1の目標受信電力算出部により算出された第1の目標受信電力に基づいて、前記差分を算出し、
前記第2のパラメータ算出部は、前記第1のパラメータから、前記差分算出部により算出された差分を減算することにより、前記第2のパラメータを算出する基地局装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の基地局装置において、
前記通知部は、個別チャネルにより、前記第2のパラメータ算出部により算出された第2のパラメータを通知する基地局装置。
【請求項4】
携帯端末装置との間で無線通信を行う基地局装置における方法であって、
前記携帯端末装置におけるパスロスを算出するパスロス算出ステップと、
前記パスロスと、所定のサブフレームにおいて上りリンク共有チャネルによりユーザデータを送信する携帯端末装置が送信電力を制御する際に使用すべき第1のパラメータとに基づいて、所定のサブフレームにおいて上りリンク共有チャネルによりユーザデータを送信する携帯端末装置が送信電力を制御する際の第1の目標受信電力を算出する第1の目標受信電力算出ステップと、
前記パスロスに基づいて、前記第1のパラメータと、一定周期毎に上りリンク共有チャネルによりユーザデータを送信する携帯端末装置が送信電力を制御する際の第2の目標受信電力との間の差分を算出する差分算出ステップと、
前記第1のパラメータから、前記差分算出ステップにより算出された差分を減算することにより、前記第2のパラメータを算出する第2のパラメータ算出ステップと、
該第2のパラメータ算出ステップにより算出された第2のパラメータを通知する通知ステップと
を有し、
前記第1の目標受信電力算出ステップでは、パスロスが小さくなるに従って、第1の目標受信電力が高くなるように算出される方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−19312(P2012−19312A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−154554(P2010−154554)
【出願日】平成22年7月7日(2010.7.7)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】