基材にレーベル印刷するシステム及び光ディスクにレーベル印刷する方法
電磁放射感応性組成物中のロイコ染料を用いて、光ディスク(14)記録用媒体及びその他の基材にレーベル印刷するシステム(10)及び方法に関し記載する。イソベンゾフラノン含有ロイコ染料は、活性化剤、放射吸収剤、及び任意選択の非ロイコ着色剤、及び/又は様々なキャリヤーを含んで成る種々の組成物中で調製される。ロイコ染料組成物は、ロイコ染料顕色時、所望の可視効果を達成できるよう適用し且つ調製することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、ロイコ染料の応用に関する。より詳細には、本発明は、基材のラベリングのためにブラックロイコ染料を用いることに関する。
(優先権情報)
本願は、2003年1月24日付け米国特許出願第10/351,188号の一部継続出願であり、それは参照することで本明細書に取り入れることとする。
【背景技術】
【0002】
光ディスクは、ソフトウェアのデータ記憶、並びにフォトグラフィック、ビデオ、及び/又はオーディオデータのデータ記憶に関する市場において顕著な割合を占めている。典型的に、光ディスクは、当該ディスクの片面又は両面から読取りできるデータパターンがそこに埋め込まれており、且つ当該ディスクの他面にはグラフィック表示が印刷されている。ディスクのデータ読取り可能面、即ち、データ面は、ランドと呼ばれる沈下していない表面によって分離された、ピットと呼ばれるさまざまに間隔がとられた凹部からなるらせん軌道を含んでいる。そのらせん軌道上に低電力レーザをフォーカスさせる。ピットとランドとの間の高さの差によって、反射ビームの位相シフトが生じ、それを測定して使用可能なデータに翻訳することができる。現在、CD、CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD、DVD−R及びDVD−RWなどの種々の光ディスク形式が利用されている。その他の光ディスク形式もまた利用することができる。
【0003】
光ディスクの内容を識別するのに、印刷パターン又はグラフィック表示情報をディスクの非データ面に印刷することができる。当該パターン又はグラフィック表示は両方とも、装飾的なものとすることができ、当該ディスクのデータ内容に関する関連情報をもたらす。過去においては、商業レーベル印刷は、決まって、スクリーン印刷法により行われてきた。この方法は、広範なレーベル内容を提供できるが、ステンシル又はステンシルの組合せを作製すること並びに所望のパターン又はグラフィック表示を印刷することに関連した固定費のため、約400ディスク未満の生産では費用効果が低くなる傾向がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、消費者によるデータ記憶用光ディスクの使用が著しく増大しており、光ディスクの内容を反映する専用のレーベルを提供する必要性が高まってきている。消費者が現在利用できるほとんどのレーベル表示は、手書きによる記載、並びにディスクに付着させ得るが高速回転時にディスク性能に悪影響を及ぼすことのある事前印刷レーベル、のいずれかに限定されている。
【0005】
光ディスクのような基材にレーベル印刷するための代替のシステム及び方法を開発することが有用であろうことが認識されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態では、本発明の実施形態による光ディスクは、電磁放射感応性組成物がその上にコーティングされた光ディスク基材を含むことができる。当該電磁放射感応性組成物は、顕色時にブラック画像を生成し得るロイコ染料を含むことができ、この場合、当該ロイコ染料は、イソベンゾフラノン含有染料である。電磁放射感応性組成物はまた、ロイコ染料と反応するように構成された活性化剤を含むことができる。電磁放射感応性組成物はまた、ロイコ染料と混合されているか又は熱的に接触している電磁放射吸収剤を含むことができ、それは、反応を促進するのに十分な電磁放射の影響下で熱的に活性となる。
【0007】
本発明には、基材にレーベル印刷するためのシステムが包含され、当該システムは、画像データ源と、電磁放射感応性組成物がその上にコーティングされた基材と、電磁放射感応性組成物を顕色させるための放射源とを具備する。電磁放射感応性組成物は、顕色時にブラック画像を生成し得る、イソベンゾフラノン含有染料のようなロイコ染料を含むことができる。さらに、当該組成物は、ロイコ染料と反応するように構成された活性化剤を含むことができ、また、当該反応を促進するのに十分な電磁放射の影響下において熱的に活性となる、ロイコ染料と混合されているか又は熱的に接触している電磁放射吸収剤を含むことができる。電磁放射源は、画像データ源に有効に接続されており、電磁放射を電磁放射感応性組成物に誘導し得るように構成することができる。
【0008】
他の実施形態では、光ディスクをレーベル印刷するためのシステムは、一連の処理ステップを包含することができる。1つのステップには、電磁放射感応性組成物を光ディスクの表面に適用することが含まれ、この場合、当該組成物は、ブラックロイコ染料、活性化剤、及び電磁放射吸収剤を含んで成り、前記ロイコ染料はイソベンゾフラノン含有染料である。第2のステップには、データ源から、電磁放射を生成するよう構成された電磁放射源へと画像データを転送することが含まれ得る。第3のステップには、光ディスク上に可視像を生成するべく、予め定められた周波数、強度、時間、及びスポットサイズにて電磁放射にさらすことによって、電磁放射感応性組成物の少なくとも一部を変色させることが含まれ得る。
【0009】
本発明のその他の特徴及び利点は、添付の図面と共に、本発明の諸特徴を例示目的で記載している以下の詳細な説明から明らかになろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面に記載の例示的な実施形態について参照することとし、それを説明するにあたっては特定の用語を用いることとする。とはいえ、それによって本発明の範囲を限定する意のないことは理解されよう。当業者並びに本開示を手にした者であれば想起するであろう、本明細書に記載される発明の特徴に関する変更やさらなる改良、並びに本明細書に記載されるような発明の原理のさらなる応用例もまた、本発明の範囲内であるものとみなす。さらに、本発明の詳細な実施形態を開示、説明するにあたり、本発明が、本明細書に開示する特定のプロセス及び材料に限定されないことを理解されたい。そえらはある程度変更し得るためである。また、本明細書で用いられる用語は、特定の実施形態を専ら記述するだけの目的で用いるものであって、限定することを意図したものではないということも理解されたい。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲及びその等価物によってのみ限定される。
【0011】
本発明を説明し、範囲請求を行うにあたって、以下の用語を用いることとする。
【0012】
別途明確に指示のない限り、単数形「a」、「an」、及び「the」は、複数形の意味を包含する。従って、例えば、「ロイコ染料」という場合、1つ又は複数の当該材料を指すことを包含する。
【0013】
本明細書で用いるとき、「光ディスク」とは、CD及び/又はDVDドライブ等において機械読取り可能なオーディオ、ビデオ、マルチメディア、及び/又はソフトウェアディスクを包含するものとする。光ディスク形式の例としては、DVD、DVD−R、DVD−RW、DVD+R、DVD+RW、CD、CD−ROM、CD−R、CD−RW等のような書込み可能ディスク、記録可能ディスク、及び再書込み可能ディスクが包含される。類似形式及び将来開発される形式のような、その他の同様の形式も包含することができる。
【0014】
本明細書で用いるとき、「グラフィック表示」とは、光ディスク上にある任意の視認し得る文字や画像を包含し得る。典型的に、グラフィック表示は、常にそうではないが、目立って、光ディスクの片面上にある。
【0015】
本明細書で用いるとき、本開示に関連して用いられる「データ」には、典型的に、ディジタル的に又はそれ以外の形態でそこに埋め込まれている、光ディスク上に含まれる非グラフィック情報が含まれる。データとしては、オーディオ情報、ビデオ情報、写真情報、ソフトウェア情報等をあげることができる。
【0016】
本明細書で用いるとき、「イソベンゾフラノン含有」とは、本発明における使用に適しており且つ下記のサブグループを含む任意の化合物を意味する。
【0017】
【化2】
【0018】
本明細書で用いるとき、「ロイコ染料」は、顕色前は、実質的に無色又は白色であり、且つ熱に曝されると黒くなる形態の染料を意味する。その変色現象は、典型的に、熱に曝すことによって起きる、酸化などの化学変化に起因する。
【0019】
用語「活性化剤」は、熱が伝わると、ロイコ染料と相互作用するか又は反応する組成物を意味する。
【0020】
本明細書で用いるとき、「顕色する」又は「顕色」とは、所望する色の可視化合物を生成するための、ロイコ染料と、活性化剤などの他の反応剤との相互作用又は反応を意味する。当該相互作用は、たいていの場合、熱によって開始されるが、実際上、物理的であってもよい。
【0021】
本明細書で用いるとき、「吸収剤」とは、一般的に、予め定められた周波数の電磁放射に曝されると熱を発生し得る電磁放射感応剤を意味する。予め定められた周波数は、吸収剤組成物毎に異なり得る。ロイコ染料及び/又は活性化剤と混合さているか又は熱的に接触している場合、吸収剤は、本発明の実施形態に従ってロイコ染料を少なくとも部分的に顕色させるのに十分な熱を生ずるよう、十分な量にて存在させ得る。典型的に、ロイコ染料の顕色は、ロイコ染料と活性化組成物との間の相互作用によって起こり得る。
【0022】
用語「熱的に接触」とは、吸収剤とロイコ染料−活性化剤組成物との間の空間的関係を意味する。例えば、吸収剤が電磁放射との相互作用により加熱されると、吸収剤が発生する熱は、ロイコ染料を、活性化剤との反応を介して黒くさせるのに十分であるはずである。熱的に接触とは、吸収剤とロイコ染料との間の密な近接を包含し得、それは、吸収剤からロイコ染料及び/又は活性化剤への熱移動を可能にする。熱的に接触とは、直ぐ隣接する層におけるような、又は両方の成分を含んでいる混合物におけるような、吸収剤とロイコ染料との間の実際の接触もまた包含し得る。
【0023】
「キャリヤー」又は「キャリヤー成分」とは、基材の表面上に1つ又は複数の層を形成するために、ロイコ染料、吸収剤、及び/又は活性化剤と共に用い得る組成物や添加物を包含するものと定義する。界面活性剤、ポリマー、UV硬化性材料等をキャリヤーとして用いることができる。ロイコ染料と吸収剤との組合せを同じキャリヤー内に存在させることができ、あるいは基材に逐次的に供給される別個のキャリヤー内に存在させることもできる。幾つかの実施形態では、着色剤のような添加物をキャリヤーに添加することもできる。
【0024】
本明細書で用いるとき、「光学濃度」とは、反射率の逆数の対数を指し、ここで、反射率は、入射強度に対する反射強度の比である。
【0025】
本明細書においては、濃度、量、及びその他の数値データを範囲形式で提示する場合がある。そのような範囲形式は、単に便利且つ簡潔のために用いるものであって、範囲の限界として明記された数値を含むだけでなく、各数値及び副範囲があたかも明記されているようにその範囲内に包含される個別の数値又は副範囲を全て包含するものと柔軟に解釈すべきことを理解されたい。例えば、約1μm〜約200μmというサイズ範囲は、1μm〜約200μmという明記された濃度限界を含むだけではなくて、2μm、3μm、4μmのような個別の濃度、及び10μm〜50μm、20μm〜100μm等のような副範囲を含むものと解釈されたい。
【0026】
図1において説明するように、全体を10にて表す、本発明による、ブラックロイコ染料をその上に有する基材にレーベル印刷するためのシステムを示す。本実施形態では、当該システムは、光ディスク14の画像面12への書込みと、光ディスクのデータ面16へのデータの収集及び/又は書込みとを同時に行うことができる。光ディスク基材18は、画像面12が上方を向いている第1方位にて示されている。光ディスク14を回転させ且つ支持するために、モータ20及び支持要素22が存在する。
【0027】
本発明によれば、画像は、画像データ源24にディジタル的に格納されている。この画像情報は、多数の市販の画像ソフトウェアプログラムを用いて作成することができる。次いで、前記画像をラスタライズ又はスパイラル化し、信号プロセッサ26を経由して、レーベル印刷用電磁放射源へと送ることができる。このプロセスは、一般に、画像データを、回転時の光ディスクの画像面に関して電磁放射源が追従するパスに整合するスパイラルパスに対応するるようにディジタル化することを伴う。一実施形態では、レーベル印刷用電磁放射源は、ロイコ染料組成物32をその上に有する、回転する光ディスク14の画像面12と面した、放射装置28a及び光学レーベル検出装置30aである。さらに、任意選択の第2放射装置28b及び第2検出装置30bが、データ面16に面しており、読取り及び/又は書込み操作を同時にできるよう構成されている。データを生成し、使用し、且つ/又はデータ源34に格納することができる。一実施形態では、データは、信号プロセッサ26経由で第2放射装置28bに送ることによって書込むことができる。エミッタ及び検出器の各セットは、それぞれ、第1スレッド36a及び第2スレッド36b上に配置される。さらに、第1スレッド36a及び第2スレッド36bの各々は、第1トラック38a及び第2トラック38bに沿って移動する。この実施形態では、第1スレッド36aと第2スレッド36bの両方を一致して同時に移動させ且つ情報を収集させるように機能する、単一のソレノイド40が示されている。しかしながら、これは要求されるものではない。
【0028】
代替実施形態では、各スレッドは、他方の影響を受けないように構成することができる。そのような実施形態では、独立した機能を満たすために、2つのソレノイド又はその他の機械的若しくは電気的構造を使用することができる。さらに、一般的なCD−R/CD−RWドライブに利用できるもののような単一のトラック及びソレノイドの組合せを使うなどするその他の実施形態も可能である。同一のエミッタ及びダイオードの組合せを用いて、データの読取り及び書込みを行った後にディスクを裏返して、本発明のロイコ染料を用いてブラック画像を顕色させることができる。
【0029】
本発明は、概して、特定のブラックロイコ染料を用いて基材をレーベル印刷することに関連する。図2A、2B及び2Cにおいて説明するように、全体を14で表す、種々のコーティングを有する基材を備える光ディスクを示す。基材18は、一般に、構造支持体として用いられ、データ面16とレーベル面12とを有する。基材18は、光ディスクに向くポリカーボネート又はその他の高分子材料などの任意の適切な材料から作製することができる。データ層42は、一般に、スパッタリング又はその他の既知のプロセスによって形成され、そして固有のデータに対応するピット及びランドを生成し、維持し、及び/又は模擬し得る、任意の既知の物質を含有することができる。従って、単一のデータ層を示しているが、書込み可能な及び/又は再書込み可能な形式に向くような、多重層もまた用い得ることが理解される。永久(ROM)フォーマット、書込み可能フォーマット、又は再書込み可能フォーマットを作成するのに用いるための材料は、当業者に周知である。これらの材料は、限定はしないが、染料層の高分子結合剤中に、アルミニウム、シアニン、フタロシアニン、含金属アゾ染料、及び感光性化合物を含む。例えば、再書込み可能な光ディスクは、典型的に、非晶質状態及び結晶状態において様々な反射特性を呈する、四元の相変化合金を含む。データ層はまた、データ層のデータ記憶性能に影響しない着色剤を含むことができる。上記組成物は、光ディスク14のデータ面16に関して読取り可能で又は書込み可能である。
【0030】
本発明のブラックロイコ染料と活性化剤は、種々の方法により、調製することができ、且つデータ読取り又は書込み可能な光ディスクに適用することができる。例えば、図2Aに示すような電磁放射感応性組成物44は、ブラックロイコ染料、活性化剤、電磁放射吸収剤、及びキャリヤーを含有させて調製することができる。キャリヤーとしては、界面活性剤、及び/又はAlmacryl(登録商標)T−500、モノマー及びオリゴマーからのポリアクリレート、ポリビニルアルコール、セルロースエステル、ポリビニルピロリジン、ポリエチレン、ポリフェノール又はポリフェノール系エステル、ポリウレタン等のような高分子材料を挙げることができる。示した実施形態の電磁放射感応性組成物は、ロイコ染料と活性化剤の機能をもたらすためだけではなく、ディスクの最上面を保護するのにも用いられるため、潤滑剤、界面活性剤、及び耐湿性を付与する物質のような種々の付加的な成分を付加して、電磁放射感応性組成物に機械的保護をもたらすことができる。
【0031】
代替実施形態では、電磁放射吸収剤をロイコ染料層とは別個の層内に適用することができ、この場合、当該別個の層は、ロイコ染料の前あるいは後に、基材上に配置される。図2Bは、適切なキャリヤー中にブラックロイコ染料及び活性化剤を含んでんいるロイコ染料層46を示す。当該組成物は、データ層42上に形成され、そして光ディスク14の全面積あるいは単に一部を覆うことができる。図2B記載の実施形態では、吸収剤層48は、(吸収剤を含むキャリヤーを用いて)別個の層として形成することができ、それは、光ディスクの少なくとも一部を覆う。従って、ロイコ染料層46と吸収剤層48は、共同して、電磁放射感応性組成物を構成する。一実施形態では、光ディスク表面上でロイコ染料組成物46が望まれた通りに顕色するように、ロイコ染料層46と少なくともほぼ同じ光ディスク14の部分上に吸収剤層48を形成することができる。これによって、ロイコ染料46と熱的に接触している吸収剤層48を具備する光ディスクがもたらされる。2つの層が実際に接触していないが、ロイコ染料の熱的活性化が十分生ずるほど密に近接している場合、その層群は、熱的に接触しているということができる。ロイコ染料層46及び吸収剤層48に対して機械的保護を付与するために、任意選択の不活性保護層50を形成することができる。当該保護層は、十分な電磁放射を通過させて、電磁放射感応性組成物の顕色を可能にするよう、実質的に、透明又は半透明とし得る。
【0032】
本発明のさらに他の実施形態では、図2Cに、基材18、データ層42、及び第1保護層52を有する光ディスク14を示す。電磁放射感応性組成物層54は、上述のように、ロイコ染料、活性化剤、電磁放射吸収剤、及びキャリヤーを含むように、吸収剤及びロイコ染料と活性化剤とを別個の層として又は一緒に混合して作製することができる。第1保護コーティング層52は、現在市販されている書込み可能及び再書込み可能光ディスクにおいて一般的であるように、データ層42を保護する。第2保護コーティング層56は、電磁放射感応性組成物層(群)54を保護する。上述の保護コーティングは、ラッカー、UV被膜、又は高分子フィルムをはじめとするコーティングとし得る。
【0033】
図面において列挙した各実施形態に関して、並びに等価の実施形態に関して、本発明の使用に適しているブラックロイコ染料は、イソベンゾフラノン含有染料である。一般的に、ロイコ染料は、実質的に無色であり且つラクトンの閉環形である。そのような染料は、3−ジ−n−ペンチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ−n−ブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(n−エチル−n−イソペンチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、及び3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオランのようなロイコフルオラン染料とし得る。対応する化学構造を、それぞれ以下に示す。
【0034】
【化3】
【化4】
【0035】
ハライドイソベンゾフラノンロイコ染料のようなハロゲン化物を含んでいるロイコ染料もまた、本発明に用いることができる。ハロゲン化物含有イソベンゾフラノンロイコ染料の一例は、テトラハライド組成物 1(3H)−イソベンゾフラノン、4,5,6,7−テトラクロロ−3,3−ビス〔2−〔4−(ジメチルアミノ)フェニル〕−2−(4−メトキシフェニル)エテニル〕であり、以下の構造を有する。
【0036】
【化5】
【0037】
活性化剤の存在下において、熱誘導酸化、プロトン化、開環等が起こると、上に挙げたイソベンゾフラノン含有ロイコ染料は、高い光学濃度を有するブラック染料を形成することができる。広範な組成物が本発明における使用に適しているが、電磁放射感応性組成物は、重量にて約60%未満のロイコ染料及び活性化剤を含有することができ、好ましくは約40wt%である。これらの範囲は単なる例示であって、所望の画像特性及びその他の検討事項に応じて、他の重量範囲を用いることができる。約1:4〜約4:1の活性化剤対ロイコ染料重量比が、典型的に、適切な結果をもたらし、また、約2:1という比を用いることができる。
【0038】
上述のように、ロイコ染料と活性化剤との間の相互作用によって、ロイコ染料が化学変化し、それによって、ロイコ染料の色は実質的に白色又は無色から実質的に黒色に変化することができる。一般的に、ロイコ染料の化学変化は、予め定められた量の熱を適用することによって生じる。本発明の使用に適する活性化剤は、当業者であれば選択することができる。適する活性化剤の幾つかの非限定例としては、フェノール、カルボン酸、ルイス酸、シュウ酸塩錯体、コハク酸、ステアリン酸亜鉛、及びそれらの組合せがある。
【0039】
電磁放射吸収剤によって予め定められた量の熱が与えられる際、用いた吸収剤に対する電磁放射周波数及び強度の整合が行われてシステムが最適化され得る。当該吸収剤は、電磁感応性ロイコ染料組成物中に、典型的に、約0.001wt%〜約10wt%の量にて存在させ得るが、具体的な吸収剤の活性によってはその他の重量範囲が要求されることもある。選択し得る周波数の例には、赤外、可視、紫外、又はその組合せが含まれる。
【0040】
当該吸収剤は、イソベンゾフラノン含有ロイコ染料と熱伝達関係にあるように構成することができる。例えば、当該吸収剤は、イソベンゾフラノン含有ロイコ染料と同じ層に混合物の一部として配置させるか、又は別個の層に配置させることができる。即ち、当該吸収剤をロイコ染料組成物と混合するか又は熱接触させることができる。本発明の一態様においては、当該吸収剤は、ロイコ染料組成物を層として適用する以前又は後に、基材に別の隣接層として適用することができる。一実施形態では、可視範囲において吸収される光が未顕色ロイコ染料のグラフィック表示又は見かけに悪影響を及ぼさないように活性化剤を選択することにも考慮する。無機化合物も用い得るが、当該吸収剤は、限定はしないが、典型的に、赤外吸収剤、紫外吸収剤、可視光吸収剤等のような有機化合物とし得る。より詳細には、本発明の使用に適する吸収剤の例としては、限定はしないが、金属錯体IR染料、インドシアニングリーン、ヘテロ環式化合物及びそれらの組合せが挙げられる。下記の一般式を有するジチオラン金属錯体のような金属錯体IR染料を用いるkとができる。
【0041】
【化6】
【0042】
式中、Mは遷移金属とし得、R1〜R4は、低級アルキル又はアリール基とし得る。
【0043】
以下の化合物のようなインドシアニン金属錯体も適し得る。
【0044】
【化7】
【0045】
式中、Mは、Ni、Cu、又は他の遷移金属とし得、各Rは、個々独立して、H、低級アルキル、及び/又はアリールとし得る。下図に、それぞれ示す、IR780及びIR783(アルドリッチケミカル社から入手可能)及びジチオフェニリデン化合物(Syntec 9/1及びSyntec 9/3)もまた、本発明に使用することができる。
【0046】
【化8】
【化9】
【0047】
その他の適切な吸収剤もまた、本発明に使用することができ、当業者に既知であり、且つ「Infrared Aborbing Dyes」,Matsuoka,Masaru,ed.,Plenum Press,New York,1990(ISBN 0−306−43478−4)及び「Near−Infrared Dyes for High Technology Applications」,Daehne,Resch−Genger,Wolfbeis,Kluwer Academic Publishers(ISBN 0−7923−5101−0)のような参考文献に見出されるようなものであり、両方とも参照することで本明細書に取り入れることとする。本明細書で議論している特定の活性化剤と吸収剤は別個の化合物であるものの、上述の活性はまた、ロイコ染料分子内に活性化作用及び/又は放射吸収作用を付与するロイコ染料の成分基によって与えることもできる。
【0048】
本発明の他の態様では、ブラックイソベンゾフラノンロイコ染料は、レーザを用いて生成された電磁放射をはじめとする、特定の種類の電磁放射に曝露させる条件下において、顕色させることができる。可視、赤外、及び紫外周波数にて放射を生じるレーザを利用することができる。例えば、約650nm〜約815nmの任意の周波数を有するレーザは、市場で容易に入手できる。
【0049】
本発明のロイコ染料の顕色化条件は変更することができる。例えば、電磁放射周波数、熱流束、及び曝露時間を変えることができる。スポットサイズ及びレーザ電力のような変量もまた、特定のシステム設計に影響を与えるため、所望する結果に基づいて選択することができる。これらの変量に従って、電磁放射源は、信号プロセッサから受信される画像データ源及び情報に従って電磁放射感応性組成物に電磁放射を誘導することができる。さらに、ロイコ染料及び/又は活性化剤の濃度並びに相互の近接程度も変更し得る。
【0050】
本発明のロイコ染料は、電力使用量15〜100mWのレーザを用いて顕色させることができるが、この範囲以外の電力を有するレーザも使用することができる。スポットサイズは、電磁放射源の検討により定めることができ、約1〜約200μmの範囲とし得るが、それより小さいか又は大きいサイズもまた、用いることができる。一実施形態では、約10〜約60μmの放射スポットサイズも利用することができる。さらに別の態様においては、20x50μmのスポットサイズによって、解像度と顕色速度間の良好なバランスがもたらされ得る。
【0051】
同様に、熱流束も変更し得る変量であり、一実施形態では、約0.05〜1 J/cm2とし得、第2の実施形態においては、約0.05〜0.4 J/cm2とし得る。これらの範囲にある熱流束は、幾つかの実施形態では約1000マイクロ秒/ドット未満にて、他の実施態様では約500マイクロ秒/ドット未満にて、さらに別の実施態様では約100マイクロ秒/ドット以下にて、ロイコ染料を顕色させることができる。
【0052】
これらの変量が共に用いられる例を1つの実施形態で説明すると、20x50μmのスポットサイズ、35mWレーザ、及びドット当り100マイクロ秒の曝露によって、約20分間にて、ロイコ染料組成物及び活性化剤を含む標準のCD画像表面を顕色させることができる。本実施形態で生成されたブラック画像は、約1.3を上回る高い光学濃度を有し得る。約1.4以上の光学濃度もまた、一般に達成することができる。当業者は、様々な解像度と顕色時間を達成できるようこれらの変量を調節することができる。
【0053】
画像に所望の追加の色を付与する非ロイコ着色剤の添加をはじめとする、その他のバリエーションも実施し得る。例えば、乳白剤顔料又はその他の非ロイコ着色剤を利用して、光ディスクに背景色を与えることができる。ロイコ染料の顕色に悪影響を及ぼさない限り、電磁放射感応性組成物の層(活性化剤層及びロイコ染料層を含んで成るか、又は2層が混合された単一層であり得る)、又は保護層に、非ロイコ着色剤を付加することができる。それによって、ブラックロイコ染料部分が顕色されると、有色の背景を有するブラック画像を生ずることができる。乳白剤の例としては、炭酸カルシウム、二酸化チタン、及びその他の既知の乳白剤が挙げられる。また、その他の非ロイコ着色剤の例には、染料又は他の顔料が含まれる。換言すれば、ロイコ染料の顕色とは無関係に留まる着色背景が望まれるなら、乳白剤顔料、他の顔料、及び/又は染料をキャリヤー中で混合して所望の色を付与することができる。
【0054】
ブラック形成ロイコ染料を調製に関しては、当該染料は、実質的に透明であるか又は半透明である溶液中で調製することができる。選択した具体的ブラックロイコ染料に適合する界面活性剤などの任意の適切なキャリヤーを用いることができる。ブラックロイコ染料を溶液状にて調製する場合、前記ロイコ染料溶液の下方の、基材の少なくとも一部の上に着色コーティングを下刷りするのが望ましい。任意選択の着色コーティングは、溶液層下方に見える背景色を生成する。この着色コーティングは、その他の顔料及び/又は染料のような種々の非ロイコ着色剤を含むことができる。あるいはまた、非ロイコ着色剤をデータ層に付加して所望の背景色を生成することができる。活性化剤は、分散させるなどして溶液内に混合するか、又は溶液がその上にコーティングされる以前又は後に、基材上にコーティングすることができる。背景色を事前印刷する場合、前述のコーティング及び各組成物は、スクリーン印刷、スピンコーティング、スパッタリング、又はスプレーコーティングのような様々な既知の技術を利用して、基材に適用することができる。各コーティングを適用し、その後、順次乾燥させ得る。
【実施例1】
【0055】
0.05%IR783活性化剤粉末を含有する粉砕した4−ベンジルオキシベンゾアート約5gを、アクリレートモノマー及びオリゴマーからなる紫外線硬化性混合物(商標NOR−COTE CDG000 UV−lacquerを付して市販)15.3g中に溶解して溶液を形成した。次に、下記構造を有し且つ約5μm未満の平均粒径を有する2’−アニリノ−3’−メチル−6’−(ジブチルアミノ)フルオラン(Nagase Co.,Ltd.から入手可能なBK−400ロイコ染料)14.5gを溶液に添加した。
【0056】
【化10】
【0057】
活性化剤として、約5μm未満の平均粒径を有する純ビスフェノール−A 1.9gを溶液に加えた。その溶液を微細なペーストにし、そして約7μmの厚さにて基材上にスクリーン印刷して、画像化媒体を形成した。次いで、媒体上のコーティングを水銀ランプを用いた紫外線放射によって硬化させた。
【0058】
生じたロイコ染料含有層を、780nmの45mWレーザを用いて顕色させた。約20マイクロ秒〜100マイクロ秒の曝露時間で、約20μm x 45μmのマークを生じた。顕色画像は、印刷媒介物を用いることなく生成し、高い光学濃度を呈した。
【実施例2】
【0059】
シュウ酸ジベンジル粉末約2gを、当該粉末が溶融するのに十分である約85℃まで加熱した。溶融した粉末に、下記構造を有する、フェノール,4,4’−スルホニルビス(2−(2−プロペニル)活性化剤(商標TG−SAを付して市販)20gと、1.2gのIR吸収剤 IR780を添加した。
【0060】
【化11】
【0061】
得られた組成物を冷却し、粉砕して、微細粉末にした。次いで、1.8gの微細粉末を、キャリヤーであるNOR−COTE CDG000 UV−ラッカー15.3gに溶解して、溶液を形成した。次に、商標S−205を付して、Nagase Co.,Ltd.から市販されている、下記構造を有する、ブラックロイコ染料((2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)フッ素)15gを溶液に加えた。
【0062】
【化12】
【0063】
ブラックロイコ染料は、約5μm未満の平均粒径を有していた。さらに、約5μm未満の平均粒径を有する純ビスフェノール−A 2.0gを溶液に加えて、混合物を形成した。その混合物を微細なペーストにし、そして約7μm未満の厚さにて基材上にスクリーン印刷して、画像化媒体を形成した。次いで、媒体上のコーティングを水銀ランプによる紫外線放射を用いて硬化させた。
【0064】
次いで、ロイコ染料を、780nmの45mWレーザを用いて、得られた被覆基材上で顕色させた。約60マイクロ秒〜100マイクロ秒の曝露時間で、約20μm x 45μmのマークが生じた。顕色画像は、印刷媒介物を用いることなく生成し、高い光学濃度を呈した。
【実施例3】
【0065】
脱イオン水に溶かしたインドシアニングリーン(10%溶液 1.5g)を、商標LASCAUXを付してSavoir Faire,Novato,CAから市販されているスクリーン印刷用ペースト50gと十分に混合して、ペースト混合物を生成した。そのペースト混合物の約半分を、摩砕したブラックロイコ染料(実施例2におけるようなS205)17gと組み合わせた。当該ロイコ染料は、予め、水スラリーとして約5μm未満の平均粒径に摩砕され、約50%固形物となるまで乾燥されていた。次いで、そのペースト混合物とロイコ染料を、ローラミルを用いて十分混合した。次いで、ペースト混合物の残留部分を、ベンジル4−ヒドロキシベンゾアート33gと組み合わせて、十分混合させた。ベンジル4−ヒドロキシベンゾアートは、その粒子を11μm未満の平均粒径に摩砕し、約50%固形物となるまで乾燥させることにより調製した。次いで、生じた組合せ混合物をロールミルして、その成分を十分に均質化し且つ平均粒径を減じた。得られた混合物の平均微細度は、約2μm未満であった。混合物の粘度は、1rpmにおいて50,000〜160,000cpsであり、10rpm/1rpmに関する曲線勾配が5.0より大きいことが測定された。その混合物をCDの片面上にスクリーンコーティングし、45℃の真空下で乾燥させた。
【0066】
次いで、そのロイコ染料を、780nmの45mWレーザを用いて、280マイクロ秒の曝露時間にて、CD基材上で顕色させた。CD上に印刷された画像は、寸法約20x50ミクロンの光学濃度の高いブラックマークであり、且つグリーンの背景を有していた。
【0067】
上で参照した構成は、本発明の原理の応用を例示したものであることを理解されたい。本発明の例示的実施形態に関して、本発明を図面に示し且つこれまで説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、多数の修正並びに代替構成を案出することができる。特許請求の範囲で説明する本発明の原理及び概念から逸脱することなく多数の修正をなし得ることは、当業者には明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の実施形態による、基材にレーベル印刷するためのシステムの概略図
【図2A】本発明の幾つかの例示的な実施形態による、光ディスクの一部の断面図
【図2B】本発明の幾つかの例示的な実施形態による、光ディスクの一部の断面図
【図2C】本発明の幾つかの例示的な実施形態による、光ディスクの一部の断面図
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、ロイコ染料の応用に関する。より詳細には、本発明は、基材のラベリングのためにブラックロイコ染料を用いることに関する。
(優先権情報)
本願は、2003年1月24日付け米国特許出願第10/351,188号の一部継続出願であり、それは参照することで本明細書に取り入れることとする。
【背景技術】
【0002】
光ディスクは、ソフトウェアのデータ記憶、並びにフォトグラフィック、ビデオ、及び/又はオーディオデータのデータ記憶に関する市場において顕著な割合を占めている。典型的に、光ディスクは、当該ディスクの片面又は両面から読取りできるデータパターンがそこに埋め込まれており、且つ当該ディスクの他面にはグラフィック表示が印刷されている。ディスクのデータ読取り可能面、即ち、データ面は、ランドと呼ばれる沈下していない表面によって分離された、ピットと呼ばれるさまざまに間隔がとられた凹部からなるらせん軌道を含んでいる。そのらせん軌道上に低電力レーザをフォーカスさせる。ピットとランドとの間の高さの差によって、反射ビームの位相シフトが生じ、それを測定して使用可能なデータに翻訳することができる。現在、CD、CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD、DVD−R及びDVD−RWなどの種々の光ディスク形式が利用されている。その他の光ディスク形式もまた利用することができる。
【0003】
光ディスクの内容を識別するのに、印刷パターン又はグラフィック表示情報をディスクの非データ面に印刷することができる。当該パターン又はグラフィック表示は両方とも、装飾的なものとすることができ、当該ディスクのデータ内容に関する関連情報をもたらす。過去においては、商業レーベル印刷は、決まって、スクリーン印刷法により行われてきた。この方法は、広範なレーベル内容を提供できるが、ステンシル又はステンシルの組合せを作製すること並びに所望のパターン又はグラフィック表示を印刷することに関連した固定費のため、約400ディスク未満の生産では費用効果が低くなる傾向がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、消費者によるデータ記憶用光ディスクの使用が著しく増大しており、光ディスクの内容を反映する専用のレーベルを提供する必要性が高まってきている。消費者が現在利用できるほとんどのレーベル表示は、手書きによる記載、並びにディスクに付着させ得るが高速回転時にディスク性能に悪影響を及ぼすことのある事前印刷レーベル、のいずれかに限定されている。
【0005】
光ディスクのような基材にレーベル印刷するための代替のシステム及び方法を開発することが有用であろうことが認識されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態では、本発明の実施形態による光ディスクは、電磁放射感応性組成物がその上にコーティングされた光ディスク基材を含むことができる。当該電磁放射感応性組成物は、顕色時にブラック画像を生成し得るロイコ染料を含むことができ、この場合、当該ロイコ染料は、イソベンゾフラノン含有染料である。電磁放射感応性組成物はまた、ロイコ染料と反応するように構成された活性化剤を含むことができる。電磁放射感応性組成物はまた、ロイコ染料と混合されているか又は熱的に接触している電磁放射吸収剤を含むことができ、それは、反応を促進するのに十分な電磁放射の影響下で熱的に活性となる。
【0007】
本発明には、基材にレーベル印刷するためのシステムが包含され、当該システムは、画像データ源と、電磁放射感応性組成物がその上にコーティングされた基材と、電磁放射感応性組成物を顕色させるための放射源とを具備する。電磁放射感応性組成物は、顕色時にブラック画像を生成し得る、イソベンゾフラノン含有染料のようなロイコ染料を含むことができる。さらに、当該組成物は、ロイコ染料と反応するように構成された活性化剤を含むことができ、また、当該反応を促進するのに十分な電磁放射の影響下において熱的に活性となる、ロイコ染料と混合されているか又は熱的に接触している電磁放射吸収剤を含むことができる。電磁放射源は、画像データ源に有効に接続されており、電磁放射を電磁放射感応性組成物に誘導し得るように構成することができる。
【0008】
他の実施形態では、光ディスクをレーベル印刷するためのシステムは、一連の処理ステップを包含することができる。1つのステップには、電磁放射感応性組成物を光ディスクの表面に適用することが含まれ、この場合、当該組成物は、ブラックロイコ染料、活性化剤、及び電磁放射吸収剤を含んで成り、前記ロイコ染料はイソベンゾフラノン含有染料である。第2のステップには、データ源から、電磁放射を生成するよう構成された電磁放射源へと画像データを転送することが含まれ得る。第3のステップには、光ディスク上に可視像を生成するべく、予め定められた周波数、強度、時間、及びスポットサイズにて電磁放射にさらすことによって、電磁放射感応性組成物の少なくとも一部を変色させることが含まれ得る。
【0009】
本発明のその他の特徴及び利点は、本発明の諸特徴を例示目的で記載している以下の詳細な説明から明らかになろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、例示的な実施形態について参照することとし、それを説明するにあたっては特定の用語を用いることとする。とはいえ、それによって本発明の範囲を限定する意のないことは理解されよう。当業者並びに本開示を手にした者であれば想起するであろう、本明細書に記載される発明の特徴に関する変更やさらなる改良、並びに本明細書に記載されるような発明の原理のさらなる応用例もまた、本発明の範囲内であるものとみなす。さらに、本発明の詳細な実施形態を開示、説明するにあたり、本発明が、本明細書に開示する特定のプロセス及び材料に限定されないことを理解されたい。そえらはある程度変更し得るためである。また、本明細書で用いられる用語は、特定の実施形態を専ら記述するだけの目的で用いるものであって、限定することを意図したものではないということも理解されたい。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲及びその等価物によってのみ限定される。
【0011】
本発明を説明し、範囲請求を行うにあたって、以下の用語を用いることとする。
【0012】
別途明確に指示のない限り、単数形「a」、「an」、及び「the」は、複数形の意味を包含する。従って、例えば、「ロイコ染料」という場合、1つ又は複数の当該材料を指すことを包含する。
【0013】
本明細書で用いるとき、「光ディスク」とは、CD及び/又はDVDドライブ等において機械読取り可能なオーディオ、ビデオ、マルチメディア、及び/又はソフトウェアディスクを包含するものとする。光ディスク形式の例としては、DVD、DVD−R、DVD−RW、DVD+R、DVD+RW、CD、CD−ROM、CD−R、CD−RW等のような書込み可能ディスク、記録可能ディスク、及び再書込み可能ディスクが包含される。類似形式及び将来開発される形式のような、その他の同様の形式も包含することができる。
【0014】
本明細書で用いるとき、「グラフィック表示」とは、光ディスク上にある任意の視認し得る文字や画像を包含し得る。典型的に、グラフィック表示は、常にそうではないが、目立って、光ディスクの片面上にある。
【0015】
本明細書で用いるとき、本開示に関連して用いられる「データ」には、典型的に、ディジタル的に又はそれ以外の形態でそこに埋め込まれている、光ディスク上に含まれる非グラフィック情報が含まれる。データとしては、オーディオ情報、ビデオ情報、写真情報、ソフトウェア情報等をあげることができる。
【0016】
本明細書で用いるとき、「イソベンゾフラノン含有」とは、本発明における使用に適しており且つ下記のサブグループを含む任意の化合物を意味する。
【0017】
【化2】
【0018】
本明細書で用いるとき、「ロイコ染料」は、顕色前は、実質的に無色又は白色であり、且つ熱に曝されると黒くなる形態の染料を意味する。その変色現象は、典型的に、熱に曝すことによって起きる、酸化などの化学変化に起因する。
【0019】
用語「活性化剤」は、熱が伝わると、ロイコ染料と相互作用するか又は反応する組成物を意味する。
【0020】
本明細書で用いるとき、「顕色する」又は「顕色」とは、所望する色の可視化合物を生成するための、ロイコ染料と、活性化剤などの他の反応剤との相互作用又は反応を意味する。当該相互作用は、たいていの場合、熱によって開始されるが、実際上、物理的であってもよい。
【0021】
本明細書で用いるとき、「吸収剤」とは、一般的に、予め定められた周波数の電磁放射に曝されると熱を発生し得る電磁放射感応剤を意味する。予め定められた周波数は、吸収剤組成物毎に異なり得る。ロイコ染料及び/又は活性化剤と混合さているか又は熱的に接触している場合、吸収剤は、本発明の実施形態に従ってロイコ染料を少なくとも部分的に顕色させるのに十分な熱を生ずるよう、十分な量にて存在させ得る。典型的に、ロイコ染料の顕色は、ロイコ染料と活性化組成物との間の相互作用によって起こり得る。
【0022】
用語「熱的に接触」とは、吸収剤とロイコ染料−活性化剤組成物との間の空間的関係を意味する。例えば、吸収剤が電磁放射との相互作用により加熱されると、吸収剤が発生する熱は、ロイコ染料を、活性化剤との反応を介して黒くさせるのに十分であるはずである。熱的に接触とは、吸収剤とロイコ染料との間の密な近接を包含し得、それは、吸収剤からロイコ染料及び/又は活性化剤への熱移動を可能にする。熱的に接触とは、直ぐ隣接する層におけるような、又は両方の成分を含んでいる混合物におけるような、吸収剤とロイコ染料との間の実際の接触もまた包含し得る。
【0023】
「キャリヤー」又は「キャリヤー成分」とは、基材の表面上に1つ又は複数の層を形成するために、ロイコ染料、吸収剤、及び/又は活性化剤と共に用い得る組成物や添加物を包含するものと定義する。界面活性剤、ポリマー、UV硬化性材料等をキャリヤーとして用いることができる。ロイコ染料と吸収剤との組合せを同じキャリヤー内に存在させることができ、あるいは基材に逐次的に供給される別個のキャリヤー内に存在させることもできる。幾つかの実施形態では、着色剤のような添加物をキャリヤーに添加することもできる。
【0024】
本明細書で用いるとき、「光学濃度」とは、反射率の逆数の対数を指し、ここで、反射率は、入射強度に対する反射強度の比である。
【0025】
本明細書においては、濃度、量、及びその他の数値データを範囲形式で提示する場合がある。そのような範囲形式は、単に便利且つ簡潔のために用いるものであって、範囲の限界として明記された数値を含むだけでなく、各数値及び副範囲があたかも明記されているようにその範囲内に包含される個別の数値又は副範囲を全て包含するものと柔軟に解釈すべきことを理解されたい。例えば、約1μm〜約200μmというサイズ範囲は、1μm〜約200μmという明記された濃度限界を含むだけではなくて、2μm、3μm、4μmのような個別の濃度、及び10μm〜50μm、20μm〜100μm等のような副範囲を含むものと解釈されたい。
【0026】
本発明による、ブラックロイコ染料をその上に有する基材にレーベル印刷するためのシステムについて説明する。一実施形態では、当該システムは、光ディスクの画像面への書込みと、光ディスクのデータ面へのデータの収集及び/又は書込みとを同時に行うことができる。光ディスク基材は、画像面が上方を向いている第1方位にある。光ディスクを回転させ且つ支持するために、モータ及び支持要素が存在する。
【0027】
本発明によれば、画像は、画像データ源にディジタル的に格納されている。この画像情報は、多数の市販の画像ソフトウェアプログラムを用いて作成することができる。次いで、前記画像をラスタライズ又はスパイラル化し、信号プロセッサを経由して、レーベル印刷用電磁放射源へと送ることができる。このプロセスは、一般に、画像データを、回転時の光ディスクの画像面に関して電磁放射源が追従するパスに整合するスパイラルパスに対応するるようにディジタル化することを伴う。一実施形態では、レーベル印刷用電磁放射源は、ロイコ染料組成物をその上に有する、回転する光ディスクの画像面と面した、放射装置及び光学レーベル検出装置である。さらに、任意選択の第2放射装置及び第2検出装置が、データ面に面しており、読取り及び/又は書込み操作を同時にできるよう構成されている。データを生成し、使用し、且つ/又はデータ源に格納することができる。一実施形態では、データは、信号プロセッサ経由で第2放射装置に送ることによって書込むことができる。エミッタ及び検出器の各セットは、それぞれ、第1スレッド及び第2スレッド上に配置される。さらに、第1スレッド及び第2スレッドの各々は、第1トラック及び第2トラックに沿って移動する。この実施形態では、第1スレッドと第2スレッドの両方を一致して同時に移動させ且つ情報を収集させるように機能する、単一のソレノイドが示されている。しかしながら、これは要求されるものではない。
【0028】
代替実施形態では、各スレッドは、他方の影響を受けないように構成することができる。そのような実施形態では、独立した機能を満たすために、2つのソレノイド又はその他の機械的若しくは電気的構造を使用することができる。さらに、一般的なCD−R/CD−RWドライブに利用できるもののような単一のトラック及びソレノイドの組合せを使うなどするその他の実施形態も可能である。同一のエミッタ及びダイオードの組合せを用いて、データの読取り及び書込みを行った後にディスクを裏返して、本発明のロイコ染料を用いてブラック画像を顕色させることができる。
【0029】
本発明は、概して、特定のブラックロイコ染料を用いて基材をレーベル印刷することに関連する。光ディスクは、種々のコーティングを有する。基材は、一般に、構造支持体として用いられ、データ面とレーベル面とを有する。基材は、光ディスクに向くポリカーボネート又はその他の高分子材料などの任意の適切な材料から作製することができる。データ層は、一般に、スパッタリング又はその他の既知のプロセスによって形成され、そして固有のデータに対応するピット及びランドを生成し、維持し、及び/又は模擬し得る、任意の既知の物質を含有することができる。従って、書込み可能な及び/又は再書込み可能な形式に向くような、多重層もまた用い得ることが理解される。永久(ROM)フォーマット、書込み可能フォーマット、又は再書込み可能フォーマットを作成するのに用いるための材料は、当業者に周知である。これらの材料は、限定はしないが、染料層の高分子結合剤中に、アルミニウム、シアニン、フタロシアニン、含金属アゾ染料、及び感光性化合物を含む。例えば、再書込み可能な光ディスクは、典型的に、非晶質状態及び結晶状態において様々な反射特性を呈する、四元の相変化合金を含む。データ層はまた、データ層のデータ記憶性能に影響しない着色剤を含むことができる。上記組成物は、光ディスクのデータ面に関して読取り可能で又は書込み可能である。
【0030】
本発明のブラックロイコ染料と活性化剤は、種々の方法により、調製することができ、且つデータ読取り又は書込み可能な光ディスクに適用することができる。例えば、電磁放射感応性組成物は、ブラックロイコ染料、活性化剤、電磁放射吸収剤、及びキャリヤーを含有させて調製することができる。キャリヤーとしては、界面活性剤、及び/又はAlmacryl(登録商標)T−500、モノマー及びオリゴマーからのポリアクリレート、ポリビニルアルコール、セルロースエステル、ポリビニルピロリジン、ポリエチレン、ポリフェノール又はポリフェノール系エステル、ポリウレタン等のような高分子材料を挙げることができる。示した実施形態の電磁放射感応性組成物は、ロイコ染料と活性化剤の機能をもたらすためだけではなく、ディスクの最上面を保護するのにも用いられるため、潤滑剤、界面活性剤、及び耐湿性を付与する物質のような種々の付加的な成分を付加して、電磁放射感応性組成物に機械的保護をもたらすことができる。
【0031】
代替実施形態では、電磁放射吸収剤をロイコ染料層とは別個の層内に適用することができ、この場合、当該別個の層は、ロイコ染料の前あるいは後に、基材上に配置される。例えば、ロイコ染料層が適切なキャリヤー中にブラックロイコ染料及び活性化剤を含んでんいる組成物は、データ層上に形成され、そして光ディスクの全面積あるいは単に一部を覆うことができる。本実施形態では、吸収剤層は、(吸収剤を含むキャリヤーを用いて)別個の層として形成することができ、それは、光ディスクの少なくとも一部を覆う。従って、ロイコ染料層と吸収剤層は、共同して、電磁放射感応性組成物を構成する。一実施形態では、光ディスク表面上でロイコ染料組成物が望まれた通りに顕色するように、ロイコ染料層と少なくともほぼ同じ光ディスクの部分上に吸収剤層を形成することができる。これによって、ロイコ染料と熱的に接触している吸収剤層を具備する光ディスクがもたらされる。2つの層が実際に接触していないが、ロイコ染料の熱的活性化が十分生ずるほど密に近接している場合、その層群は、熱的に接触しているということができる。ロイコ染料層及び吸収剤層に対して機械的保護を付与するために、任意選択の不活性保護層を形成することができる。当該保護層は、十分な電磁放射を通過させて、電磁放射感応性組成物の顕色を可能にするよう、実質的に、透明又は半透明とし得る。
【0032】
本発明のさらに他の実施形態では、光ディスクは、基材、データ層、及び第1保護層を有する。電磁放射感応性組成物層は、上述のように、ロイコ染料、活性化剤、電磁放射吸収剤、及びキャリヤーを含むように、吸収剤及びロイコ染料と活性化剤とを別個の層として又は一緒に混合して作製することができる。第1保護コーティング層は、現在市販されている書込み可能及び再書込み可能光ディスクにおいて一般的であるように、データ層を保護する。第2保護コーティング層は、電磁放射感応性組成物層(群)を保護する。上述の保護コーティングは、ラッカー、UV被膜、又は高分子フィルムをはじめとするコーティングとし得る。
【0033】
先に列挙した各実施形態に関して、並びに等価の実施形態に関して、本発明の使用に適しているブラックロイコ染料は、イソベンゾフラノン含有染料である。一般的に、ロイコ染料は、実質的に無色であり且つラクトンの閉環形である。そのような染料は、3−ジ−n−ペンチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ−n−ブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(n−エチル−n−イソペンチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、及び3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオランのようなロイコフルオラン染料とし得る。対応する化学構造を、それぞれ以下に示す。
【0034】
【化3】
【化4】
【0035】
ハライドイソベンゾフラノンロイコ染料のようなハロゲン化物を含んでいるロイコ染料もまた、本発明に用いることができる。ハロゲン化物含有イソベンゾフラノンロイコ染料の一例は、テトラハライド組成物 1(3H)−イソベンゾフラノン、4,5,6,7−テトラクロロ−3,3−ビス〔2−〔4−(ジメチルアミノ)フェニル〕−2−(4−メトキシフェニル)エテニル〕であり、以下の構造を有する。
【0036】
【化5】
【0037】
活性化剤の存在下において、熱誘導酸化、プロトン化、開環等が起こると、上に挙げたイソベンゾフラノン含有ロイコ染料は、高い光学濃度を有するブラック染料を形成することができる。広範な組成物が本発明における使用に適しているが、電磁放射感応性組成物は、重量にて約60%未満のロイコ染料及び活性化剤を含有することができ、好ましくは約40wt%である。これらの範囲は単なる例示であって、所望の画像特性及びその他の検討事項に応じて、他の重量範囲を用いることができる。約1:4〜約4:1の活性化剤対ロイコ染料重量比が、典型的に、適切な結果をもたらし、また、約2:1という比を用いることができる。
【0038】
上述のように、ロイコ染料と活性化剤との間の相互作用によって、ロイコ染料が化学変化し、それによって、ロイコ染料の色は実質的に白色又は無色から実質的に黒色に変化することができる。一般的に、ロイコ染料の化学変化は、予め定められた量の熱を適用することによって生じる。本発明の使用に適する活性化剤は、当業者であれば選択することができる。適する活性化剤の幾つかの非限定例としては、フェノール、カルボン酸、ルイス酸、シュウ酸塩錯体、コハク酸、ステアリン酸亜鉛、及びそれらの組合せがある。
【0039】
電磁放射吸収剤によって予め定められた量の熱が与えられる際、用いた吸収剤に対する電磁放射周波数及び強度の整合が行われてシステムが最適化され得る。当該吸収剤は、電磁感応性ロイコ染料組成物中に、典型的に、約0.001wt%〜約10wt%の量にて存在させ得るが、具体的な吸収剤の活性によってはその他の重量範囲が要求されることもある。選択し得る周波数の例には、赤外、可視、紫外、又はその組合せが含まれる。
【0040】
当該吸収剤は、イソベンゾフラノン含有ロイコ染料と熱伝達関係にあるように構成することができる。例えば、当該吸収剤は、イソベンゾフラノン含有ロイコ染料と同じ層に混合物の一部として配置させるか、又は別個の層に配置させることができる。即ち、当該吸収剤をロイコ染料組成物と混合するか又は熱接触させることができる。本発明の一態様においては、当該吸収剤は、ロイコ染料組成物を層として適用する以前又は後に、基材に別の隣接層として適用することができる。一実施形態では、可視範囲において吸収される光が未顕色ロイコ染料のグラフィック表示又は見かけに悪影響を及ぼさないように活性化剤を選択することにも考慮する。無機化合物も用い得るが、当該吸収剤は、限定はしないが、典型的に、赤外吸収剤、紫外吸収剤、可視光吸収剤等のような有機化合物とし得る。より詳細には、本発明の使用に適する吸収剤の例としては、限定はしないが、金属錯体IR染料、インドシアニングリーン、ヘテロ環式化合物及びそれらの組合せが挙げられる。下記の一般式を有するジチオラン金属錯体のような金属錯体IR染料を用いるkとができる。
【0041】
【化6】
【0042】
式中、Mは遷移金属とし得、R1〜R4は、低級アルキル又はアリール基とし得る。
【0043】
以下の化合物のようなインドシアニン金属錯体も適し得る。
【0044】
【化7】
【0045】
式中、Mは、Ni、Cu、又は他の遷移金属とし得、各Rは、個々独立して、H、低級アルキル、及び/又はアリールとし得る。下図に、それぞれ示す、IR780及びIR783(アルドリッチケミカル社から入手可能)及びジチオフェニリデン化合物(Syntec 9/1及びSyntec 9/3)もまた、本発明に使用することができる。
【0046】
【化8】
【化9】
【0047】
その他の適切な吸収剤もまた、本発明に使用することができ、当業者に既知であり、且つ「Infrared Aborbing Dyes」,Matsuoka,Masaru,ed.,Plenum Press,New York,1990(ISBN 0−306−43478−4)及び「Near−Infrared Dyes for High Technology Applications」,Daehne,Resch−Genger,Wolfbeis,Kluwer Academic Publishers(ISBN 0−7923−5101−0)のような参考文献に見出されるようなものであり、両方とも参照することで本明細書に取り入れることとする。本明細書で議論している特定の活性化剤と吸収剤は別個の化合物であるものの、上述の活性はまた、ロイコ染料分子内に活性化作用及び/又は放射吸収作用を付与するロイコ染料の成分基によって与えることもできる。
【0048】
本発明の他の態様では、ブラックイソベンゾフラノンロイコ染料は、レーザを用いて生成された電磁放射をはじめとする、特定の種類の電磁放射に曝露させる条件下において、顕色させることができる。可視、赤外、及び紫外周波数にて放射を生じるレーザを利用することができる。例えば、約650nm〜約815nmの任意の周波数を有するレーザは、市場で容易に入手できる。
【0049】
本発明のロイコ染料の顕色化条件は変更することができる。例えば、電磁放射周波数、熱流束、及び曝露時間を変えることができる。スポットサイズ及びレーザ電力のような変量もまた、特定のシステム設計に影響を与えるため、所望する結果に基づいて選択することができる。これらの変量に従って、電磁放射源は、信号プロセッサから受信される画像データ源及び情報に従って電磁放射感応性組成物に電磁放射を誘導することができる。さらに、ロイコ染料及び/又は活性化剤の濃度並びに相互の近接程度も変更し得る。
【0050】
本発明のロイコ染料は、電力使用量15〜100mWのレーザを用いて顕色させることができるが、この範囲以外の電力を有するレーザも使用することができる。スポットサイズは、電磁放射源の検討により定めることができ、約1〜約200μmの範囲とし得るが、それより小さいか又は大きいサイズもまた、用いることができる。一実施形態では、約10〜約60μmの放射スポットサイズも利用することができる。さらに別の態様においては、20x50μmのスポットサイズによって、解像度と顕色速度間の良好なバランスがもたらされ得る。
【0051】
同様に、熱流束も変更し得る変量であり、一実施形態では、約0.05〜1 J/cm2とし得、第2の実施形態においては、約0.05〜0.4 J/cm2とし得る。これらの範囲にある熱流束は、幾つかの実施形態では約1000マイクロ秒/ドット未満にて、他の実施態様では約500マイクロ秒/ドット未満にて、さらに別の実施態様では約100マイクロ秒/ドット以下にて、ロイコ染料を顕色させることができる。
【0052】
これらの変量が共に用いられる例を1つの実施形態で説明すると、20x50μmのスポットサイズ、35mWレーザ、及びドット当り100マイクロ秒の曝露によって、約20分間にて、ロイコ染料組成物及び活性化剤を含む標準のCD画像表面を顕色させることができる。本実施形態で生成されたブラック画像は、約1.3を上回る高い光学濃度を有し得る。約1.4以上の光学濃度もまた、一般に達成することができる。当業者は、様々な解像度と顕色時間を達成できるようこれらの変量を調節することができる。
【0053】
画像に所望の追加の色を付与する非ロイコ着色剤の添加をはじめとする、その他のバリエーションも実施し得る。例えば、乳白剤顔料又はその他の非ロイコ着色剤を利用して、光ディスクに背景色を与えることができる。ロイコ染料の顕色に悪影響を及ぼさない限り、電磁放射感応性組成物の層(活性化剤層及びロイコ染料層を含んで成るか、又は2層が混合された単一層であり得る)、又は保護層に、非ロイコ着色剤を付加することができる。それによって、ブラックロイコ染料部分が顕色されると、有色の背景を有するブラック画像を生ずることができる。乳白剤の例としては、炭酸カルシウム、二酸化チタン、及びその他の既知の乳白剤が挙げられる。また、その他の非ロイコ着色剤の例には、染料又は他の顔料が含まれる。換言すれば、ロイコ染料の顕色とは無関係に留まる着色背景が望まれるなら、乳白剤顔料、他の顔料、及び/又は染料をキャリヤー中で混合して所望の色を付与することができる。
【0054】
ブラック形成ロイコ染料を調製に関しては、当該染料は、実質的に透明であるか又は半透明である溶液中で調製することができる。選択した具体的ブラックロイコ染料に適合する界面活性剤などの任意の適切なキャリヤーを用いることができる。ブラックロイコ染料を溶液状にて調製する場合、前記ロイコ染料溶液の下方の、基材の少なくとも一部の上に着色コーティングを下刷りするのが望ましい。任意選択の着色コーティングは、溶液層下方に見える背景色を生成する。この着色コーティングは、その他の顔料及び/又は染料のような種々の非ロイコ着色剤を含むことができる。あるいはまた、非ロイコ着色剤をデータ層に付加して所望の背景色を生成することができる。活性化剤は、分散させるなどして溶液内に混合するか、又は溶液がその上にコーティングされる以前又は後に、基材上にコーティングすることができる。背景色を事前印刷する場合、前述のコーティング及び各組成物は、スクリーン印刷、スピンコーティング、スパッタリング、又はスプレーコーティングのような様々な既知の技術を利用して、基材に適用することができる。各コーティングを適用し、その後、順次乾燥させ得る。
【実施例1】
【0055】
0.05%IR783活性化剤粉末を含有する粉砕した4−ベンジルオキシベンゾアート約5gを、アクリレートモノマー及びオリゴマーからなる紫外線硬化性混合物(商標NOR−COTE CDG000 UV−lacquerを付して市販)15.3g中に溶解して溶液を形成した。次に、下記構造を有し且つ約5μm未満の平均粒径を有する2’−アニリノ−3’−メチル−6’−(ジブチルアミノ)フルオラン(Nagase Co.,Ltd.から入手可能なBK−400ロイコ染料)14.5gを溶液に添加した。
【0056】
【化10】
【0057】
活性化剤として、約5μm未満の平均粒径を有する純ビスフェノール−A 1.9gを溶液に加えた。その溶液を微細なペーストにし、そして約7μmの厚さにて基材上にスクリーン印刷して、画像化媒体を形成した。次いで、媒体上のコーティングを水銀ランプを用いた紫外線放射によって硬化させた。
【0058】
生じたロイコ染料含有層を、780nmの45mWレーザを用いて顕色させた。約20マイクロ秒〜100マイクロ秒の曝露時間で、約20μm x 45μmのマークを生じた。顕色画像は、印刷媒介物を用いることなく生成し、高い光学濃度を呈した。
【実施例2】
【0059】
シュウ酸ジベンジル粉末約2gを、当該粉末が溶融するのに十分である約85℃まで加熱した。溶融した粉末に、下記構造を有する、フェノール,4,4’−スルホニルビス(2−(2−プロペニル)活性化剤(商標TG−SAを付して市販)20gと、1.2gのIR吸収剤 IR780を添加した。
【0060】
【化11】
【0061】
得られた組成物を冷却し、粉砕して、微細粉末にした。次いで、1.8gの微細粉末を、キャリヤーであるNOR−COTE CDG000 UV−ラッカー15.3gに溶解して、溶液を形成した。次に、商標S−205を付して、Nagase Co.,Ltd.から市販されている、下記構造を有する、ブラックロイコ染料((2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)フッ素)15gを溶液に加えた。
【0062】
【化12】
【0063】
ブラックロイコ染料は、約5μm未満の平均粒径を有していた。さらに、約5μm未満の平均粒径を有する純ビスフェノール−A 2.0gを溶液に加えて、混合物を形成した。その混合物を微細なペーストにし、そして約7μm未満の厚さにて基材上にスクリーン印刷して、画像化媒体を形成した。次いで、媒体上のコーティングを水銀ランプによる紫外線放射を用いて硬化させた。
【0064】
次いで、ロイコ染料を、780nmの45mWレーザを用いて、得られた被覆基材上で顕色させた。約60マイクロ秒〜100マイクロ秒の曝露時間で、約20μm x 45μmのマークが生じた。顕色画像は、印刷媒介物を用いることなく生成し、高い光学濃度を呈した。
【実施例3】
【0065】
脱イオン水に溶かしたインドシアニングリーン(10%溶液 1.5g)を、商標LASCAUXを付してSavoir Faire,Novato,CAから市販されているスクリーン印刷用ペースト50gと十分に混合して、ペースト混合物を生成した。そのペースト混合物の約半分を、摩砕したブラックロイコ染料(実施例2におけるようなS205)17gと組み合わせた。当該ロイコ染料は、予め、水スラリーとして約5μm未満の平均粒径に摩砕され、約50%固形物となるまで乾燥されていた。次いで、そのペースト混合物とロイコ染料を、ローラミルを用いて十分混合した。次いで、ペースト混合物の残留部分を、ベンジル4−ヒドロキシベンゾアート33gと組み合わせて、十分混合させた。ベンジル4−ヒドロキシベンゾアートは、その粒子を11μm未満の平均粒径に摩砕し、約50%固形物となるまで乾燥させることにより調製した。次いで、生じた組合せ混合物をロールミルして、その成分を十分に均質化し且つ平均粒径を減じた。得られた混合物の平均微細度は、約2μm未満であった。混合物の粘度は、1rpmにおいて50,000〜160,000cpsであり、10rpm/1rpmに関する曲線勾配が5.0より大きいことが測定された。その混合物をCDの片面上にスクリーンコーティングし、45℃の真空下で乾燥させた。
【0066】
次いで、そのロイコ染料を、780nmの45mWレーザを用いて、280マイクロ秒の曝露時間にて、CD基材上で顕色させた。CD上に印刷された画像は、寸法約20x50ミクロンの光学濃度の高いブラックマークであり、且つグリーンの背景を有していた。
【0067】
上で参照した構成は、本発明の原理の応用を例示したものであることを理解されたい。本発明の例示的実施形態に関して、本発明をこれまで説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、多数の修正並びに代替構成を案出することができる。特許請求の範囲で説明する本発明の原理及び概念から逸脱することなく多数の修正をなし得ることは、当業者には明らかであろう。
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、ロイコ染料の応用に関する。より詳細には、本発明は、基材のラベリングのためにブラックロイコ染料を用いることに関する。
(優先権情報)
本願は、2003年1月24日付け米国特許出願第10/351,188号の一部継続出願であり、それは参照することで本明細書に取り入れることとする。
【背景技術】
【0002】
光ディスクは、ソフトウェアのデータ記憶、並びにフォトグラフィック、ビデオ、及び/又はオーディオデータのデータ記憶に関する市場において顕著な割合を占めている。典型的に、光ディスクは、当該ディスクの片面又は両面から読取りできるデータパターンがそこに埋め込まれており、且つ当該ディスクの他面にはグラフィック表示が印刷されている。ディスクのデータ読取り可能面、即ち、データ面は、ランドと呼ばれる沈下していない表面によって分離された、ピットと呼ばれるさまざまに間隔がとられた凹部からなるらせん軌道を含んでいる。そのらせん軌道上に低電力レーザをフォーカスさせる。ピットとランドとの間の高さの差によって、反射ビームの位相シフトが生じ、それを測定して使用可能なデータに翻訳することができる。現在、CD、CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD、DVD−R及びDVD−RWなどの種々の光ディスク形式が利用されている。その他の光ディスク形式もまた利用することができる。
【0003】
光ディスクの内容を識別するのに、印刷パターン又はグラフィック表示情報をディスクの非データ面に印刷することができる。当該パターン又はグラフィック表示は両方とも、装飾的なものとすることができ、当該ディスクのデータ内容に関する関連情報をもたらす。過去においては、商業レーベル印刷は、決まって、スクリーン印刷法により行われてきた。この方法は、広範なレーベル内容を提供できるが、ステンシル又はステンシルの組合せを作製すること並びに所望のパターン又はグラフィック表示を印刷することに関連した固定費のため、約400ディスク未満の生産では費用効果が低くなる傾向がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、消費者によるデータ記憶用光ディスクの使用が著しく増大しており、光ディスクの内容を反映する専用のレーベルを提供する必要性が高まってきている。消費者が現在利用できるほとんどのレーベル表示は、手書きによる記載、並びにディスクに付着させ得るが高速回転時にディスク性能に悪影響を及ぼすことのある事前印刷レーベル、のいずれかに限定されている。
【0005】
光ディスクのような基材にレーベル印刷するための代替のシステム及び方法を開発することが有用であろうことが認識されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態では、本発明の実施形態による光ディスクは、電磁放射感応性組成物がその上にコーティングされた光ディスク基材を含むことができる。当該電磁放射感応性組成物は、顕色時にブラック画像を生成し得るロイコ染料を含むことができ、この場合、当該ロイコ染料は、イソベンゾフラノン含有染料である。電磁放射感応性組成物はまた、ロイコ染料と反応するように構成された活性化剤を含むことができる。電磁放射感応性組成物はまた、ロイコ染料と混合されているか又は熱的に接触している電磁放射吸収剤を含むことができ、それは、反応を促進するのに十分な電磁放射の影響下で熱的に活性となる。
【0007】
本発明には、基材にレーベル印刷するためのシステムが包含され、当該システムは、画像データ源と、電磁放射感応性組成物がその上にコーティングされた基材と、電磁放射感応性組成物を顕色させるための放射源とを具備する。電磁放射感応性組成物は、顕色時にブラック画像を生成し得る、イソベンゾフラノン含有染料のようなロイコ染料を含むことができる。さらに、当該組成物は、ロイコ染料と反応するように構成された活性化剤を含むことができ、また、当該反応を促進するのに十分な電磁放射の影響下において熱的に活性となる、ロイコ染料と混合されているか又は熱的に接触している電磁放射吸収剤を含むことができる。電磁放射源は、画像データ源に有効に接続されており、電磁放射を電磁放射感応性組成物に誘導し得るように構成することができる。
【0008】
他の実施形態では、光ディスクをレーベル印刷するためのシステムは、一連の処理ステップを包含することができる。1つのステップには、電磁放射感応性組成物を光ディスクの表面に適用することが含まれ、この場合、当該組成物は、ブラックロイコ染料、活性化剤、及び電磁放射吸収剤を含んで成り、前記ロイコ染料はイソベンゾフラノン含有染料である。第2のステップには、データ源から、電磁放射を生成するよう構成された電磁放射源へと画像データを転送することが含まれ得る。第3のステップには、光ディスク上に可視像を生成するべく、予め定められた周波数、強度、時間、及びスポットサイズにて電磁放射にさらすことによって、電磁放射感応性組成物の少なくとも一部を変色させることが含まれ得る。
【0009】
本発明のその他の特徴及び利点は、添付の図面と共に、本発明の諸特徴を例示目的で記載している以下の詳細な説明から明らかになろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面に記載の例示的な実施形態について参照することとし、それを説明するにあたっては特定の用語を用いることとする。とはいえ、それによって本発明の範囲を限定する意のないことは理解されよう。当業者並びに本開示を手にした者であれば想起するであろう、本明細書に記載される発明の特徴に関する変更やさらなる改良、並びに本明細書に記載されるような発明の原理のさらなる応用例もまた、本発明の範囲内であるものとみなす。さらに、本発明の詳細な実施形態を開示、説明するにあたり、本発明が、本明細書に開示する特定のプロセス及び材料に限定されないことを理解されたい。そえらはある程度変更し得るためである。また、本明細書で用いられる用語は、特定の実施形態を専ら記述するだけの目的で用いるものであって、限定することを意図したものではないということも理解されたい。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲及びその等価物によってのみ限定される。
【0011】
本発明を説明し、範囲請求を行うにあたって、以下の用語を用いることとする。
【0012】
別途明確に指示のない限り、単数形「a」、「an」、及び「the」は、複数形の意味を包含する。従って、例えば、「ロイコ染料」という場合、1つ又は複数の当該材料を指すことを包含する。
【0013】
本明細書で用いるとき、「光ディスク」とは、CD及び/又はDVDドライブ等において機械読取り可能なオーディオ、ビデオ、マルチメディア、及び/又はソフトウェアディスクを包含するものとする。光ディスク形式の例としては、DVD、DVD−R、DVD−RW、DVD+R、DVD+RW、CD、CD−ROM、CD−R、CD−RW等のような書込み可能ディスク、記録可能ディスク、及び再書込み可能ディスクが包含される。類似形式及び将来開発される形式のような、その他の同様の形式も包含することができる。
【0014】
本明細書で用いるとき、「グラフィック表示」とは、光ディスク上にある任意の視認し得る文字や画像を包含し得る。典型的に、グラフィック表示は、常にそうではないが、目立って、光ディスクの片面上にある。
【0015】
本明細書で用いるとき、本開示に関連して用いられる「データ」には、典型的に、ディジタル的に又はそれ以外の形態でそこに埋め込まれている、光ディスク上に含まれる非グラフィック情報が含まれる。データとしては、オーディオ情報、ビデオ情報、写真情報、ソフトウェア情報等をあげることができる。
【0016】
本明細書で用いるとき、「イソベンゾフラノン含有」とは、本発明における使用に適しており且つ下記のサブグループを含む任意の化合物を意味する。
【0017】
【化2】
【0018】
本明細書で用いるとき、「ロイコ染料」は、顕色前は、実質的に無色又は白色であり、且つ熱に曝されると黒くなる形態の染料を意味する。その変色現象は、典型的に、熱に曝すことによって起きる、酸化などの化学変化に起因する。
【0019】
用語「活性化剤」は、熱が伝わると、ロイコ染料と相互作用するか又は反応する組成物を意味する。
【0020】
本明細書で用いるとき、「顕色する」又は「顕色」とは、所望する色の可視化合物を生成するための、ロイコ染料と、活性化剤などの他の反応剤との相互作用又は反応を意味する。当該相互作用は、たいていの場合、熱によって開始されるが、実際上、物理的であってもよい。
【0021】
本明細書で用いるとき、「吸収剤」とは、一般的に、予め定められた周波数の電磁放射に曝されると熱を発生し得る電磁放射感応剤を意味する。予め定められた周波数は、吸収剤組成物毎に異なり得る。ロイコ染料及び/又は活性化剤と混合さているか又は熱的に接触している場合、吸収剤は、本発明の実施形態に従ってロイコ染料を少なくとも部分的に顕色させるのに十分な熱を生ずるよう、十分な量にて存在させ得る。典型的に、ロイコ染料の顕色は、ロイコ染料と活性化組成物との間の相互作用によって起こり得る。
【0022】
用語「熱的に接触」とは、吸収剤とロイコ染料−活性化剤組成物との間の空間的関係を意味する。例えば、吸収剤が電磁放射との相互作用により加熱されると、吸収剤が発生する熱は、ロイコ染料を、活性化剤との反応を介して黒くさせるのに十分であるはずである。熱的に接触とは、吸収剤とロイコ染料との間の密な近接を包含し得、それは、吸収剤からロイコ染料及び/又は活性化剤への熱移動を可能にする。熱的に接触とは、直ぐ隣接する層におけるような、又は両方の成分を含んでいる混合物におけるような、吸収剤とロイコ染料との間の実際の接触もまた包含し得る。
【0023】
「キャリヤー」又は「キャリヤー成分」とは、基材の表面上に1つ又は複数の層を形成するために、ロイコ染料、吸収剤、及び/又は活性化剤と共に用い得る組成物や添加物を包含するものと定義する。界面活性剤、ポリマー、UV硬化性材料等をキャリヤーとして用いることができる。ロイコ染料と吸収剤との組合せを同じキャリヤー内に存在させることができ、あるいは基材に逐次的に供給される別個のキャリヤー内に存在させることもできる。幾つかの実施形態では、着色剤のような添加物をキャリヤーに添加することもできる。
【0024】
本明細書で用いるとき、「光学濃度」とは、反射率の逆数の対数を指し、ここで、反射率は、入射強度に対する反射強度の比である。
【0025】
本明細書においては、濃度、量、及びその他の数値データを範囲形式で提示する場合がある。そのような範囲形式は、単に便利且つ簡潔のために用いるものであって、範囲の限界として明記された数値を含むだけでなく、各数値及び副範囲があたかも明記されているようにその範囲内に包含される個別の数値又は副範囲を全て包含するものと柔軟に解釈すべきことを理解されたい。例えば、約1μm〜約200μmというサイズ範囲は、1μm〜約200μmという明記された濃度限界を含むだけではなくて、2μm、3μm、4μmのような個別の濃度、及び10μm〜50μm、20μm〜100μm等のような副範囲を含むものと解釈されたい。
【0026】
図1において説明するように、全体を10にて表す、本発明による、ブラックロイコ染料をその上に有する基材にレーベル印刷するためのシステムを示す。本実施形態では、当該システムは、光ディスク14の画像面12への書込みと、光ディスクのデータ面16へのデータの収集及び/又は書込みとを同時に行うことができる。光ディスク基材18は、画像面12が上方を向いている第1方位にて示されている。光ディスク14を回転させ且つ支持するために、モータ20及び支持要素22が存在する。
【0027】
本発明によれば、画像は、画像データ源24にディジタル的に格納されている。この画像情報は、多数の市販の画像ソフトウェアプログラムを用いて作成することができる。次いで、前記画像をラスタライズ又はスパイラル化し、信号プロセッサ26を経由して、レーベル印刷用電磁放射源へと送ることができる。このプロセスは、一般に、画像データを、回転時の光ディスクの画像面に関して電磁放射源が追従するパスに整合するスパイラルパスに対応するるようにディジタル化することを伴う。一実施形態では、レーベル印刷用電磁放射源は、ロイコ染料組成物32をその上に有する、回転する光ディスク14の画像面12と面した、放射装置28a及び光学レーベル検出装置30aである。さらに、任意選択の第2放射装置28b及び第2検出装置30bが、データ面16に面しており、読取り及び/又は書込み操作を同時にできるよう構成されている。データを生成し、使用し、且つ/又はデータ源34に格納することができる。一実施形態では、データは、信号プロセッサ26経由で第2放射装置28bに送ることによって書込むことができる。エミッタ及び検出器の各セットは、それぞれ、第1スレッド36a及び第2スレッド36b上に配置される。さらに、第1スレッド36a及び第2スレッド36bの各々は、第1トラック38a及び第2トラック38bに沿って移動する。この実施形態では、第1スレッド36aと第2スレッド36bの両方を一致して同時に移動させ且つ情報を収集させるように機能する、単一のソレノイド40が示されている。しかしながら、これは要求されるものではない。
【0028】
代替実施形態では、各スレッドは、他方の影響を受けないように構成することができる。そのような実施形態では、独立した機能を満たすために、2つのソレノイド又はその他の機械的若しくは電気的構造を使用することができる。さらに、一般的なCD−R/CD−RWドライブに利用できるもののような単一のトラック及びソレノイドの組合せを使うなどするその他の実施形態も可能である。同一のエミッタ及びダイオードの組合せを用いて、データの読取り及び書込みを行った後にディスクを裏返して、本発明のロイコ染料を用いてブラック画像を顕色させることができる。
【0029】
本発明は、概して、特定のブラックロイコ染料を用いて基材をレーベル印刷することに関連する。図2A、2B及び2Cにおいて説明するように、全体を14で表す、種々のコーティングを有する基材を備える光ディスクを示す。基材18は、一般に、構造支持体として用いられ、データ面16とレーベル面12とを有する。基材18は、光ディスクに向くポリカーボネート又はその他の高分子材料などの任意の適切な材料から作製することができる。データ層42は、一般に、スパッタリング又はその他の既知のプロセスによって形成され、そして固有のデータに対応するピット及びランドを生成し、維持し、及び/又は模擬し得る、任意の既知の物質を含有することができる。従って、単一のデータ層を示しているが、書込み可能な及び/又は再書込み可能な形式に向くような、多重層もまた用い得ることが理解される。永久(ROM)フォーマット、書込み可能フォーマット、又は再書込み可能フォーマットを作成するのに用いるための材料は、当業者に周知である。これらの材料は、限定はしないが、染料層の高分子結合剤中に、アルミニウム、シアニン、フタロシアニン、含金属アゾ染料、及び感光性化合物を含む。例えば、再書込み可能な光ディスクは、典型的に、非晶質状態及び結晶状態において様々な反射特性を呈する、四元の相変化合金を含む。データ層はまた、データ層のデータ記憶性能に影響しない着色剤を含むことができる。上記組成物は、光ディスク14のデータ面16に関して読取り可能で又は書込み可能である。
【0030】
本発明のブラックロイコ染料と活性化剤は、種々の方法により、調製することができ、且つデータ読取り又は書込み可能な光ディスクに適用することができる。例えば、図2Aに示すような電磁放射感応性組成物44は、ブラックロイコ染料、活性化剤、電磁放射吸収剤、及びキャリヤーを含有させて調製することができる。キャリヤーとしては、界面活性剤、及び/又はAlmacryl(登録商標)T−500、モノマー及びオリゴマーからのポリアクリレート、ポリビニルアルコール、セルロースエステル、ポリビニルピロリジン、ポリエチレン、ポリフェノール又はポリフェノール系エステル、ポリウレタン等のような高分子材料を挙げることができる。示した実施形態の電磁放射感応性組成物は、ロイコ染料と活性化剤の機能をもたらすためだけではなく、ディスクの最上面を保護するのにも用いられるため、潤滑剤、界面活性剤、及び耐湿性を付与する物質のような種々の付加的な成分を付加して、電磁放射感応性組成物に機械的保護をもたらすことができる。
【0031】
代替実施形態では、電磁放射吸収剤をロイコ染料層とは別個の層内に適用することができ、この場合、当該別個の層は、ロイコ染料の前あるいは後に、基材上に配置される。図2Bは、適切なキャリヤー中にブラックロイコ染料及び活性化剤を含んでんいるロイコ染料層46を示す。当該組成物は、データ層42上に形成され、そして光ディスク14の全面積あるいは単に一部を覆うことができる。図2B記載の実施形態では、吸収剤層48は、(吸収剤を含むキャリヤーを用いて)別個の層として形成することができ、それは、光ディスクの少なくとも一部を覆う。従って、ロイコ染料層46と吸収剤層48は、共同して、電磁放射感応性組成物を構成する。一実施形態では、光ディスク表面上でロイコ染料組成物46が望まれた通りに顕色するように、ロイコ染料層46と少なくともほぼ同じ光ディスク14の部分上に吸収剤層48を形成することができる。これによって、ロイコ染料46と熱的に接触している吸収剤層48を具備する光ディスクがもたらされる。2つの層が実際に接触していないが、ロイコ染料の熱的活性化が十分生ずるほど密に近接している場合、その層群は、熱的に接触しているということができる。ロイコ染料層46及び吸収剤層48に対して機械的保護を付与するために、任意選択の不活性保護層50を形成することができる。当該保護層は、十分な電磁放射を通過させて、電磁放射感応性組成物の顕色を可能にするよう、実質的に、透明又は半透明とし得る。
【0032】
本発明のさらに他の実施形態では、図2Cに、基材18、データ層42、及び第1保護層52を有する光ディスク14を示す。電磁放射感応性組成物層54は、上述のように、ロイコ染料、活性化剤、電磁放射吸収剤、及びキャリヤーを含むように、吸収剤及びロイコ染料と活性化剤とを別個の層として又は一緒に混合して作製することができる。第1保護コーティング層52は、現在市販されている書込み可能及び再書込み可能光ディスクにおいて一般的であるように、データ層42を保護する。第2保護コーティング層56は、電磁放射感応性組成物層(群)54を保護する。上述の保護コーティングは、ラッカー、UV被膜、又は高分子フィルムをはじめとするコーティングとし得る。
【0033】
図面において列挙した各実施形態に関して、並びに等価の実施形態に関して、本発明の使用に適しているブラックロイコ染料は、イソベンゾフラノン含有染料である。一般的に、ロイコ染料は、実質的に無色であり且つラクトンの閉環形である。そのような染料は、3−ジ−n−ペンチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ−n−ブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(n−エチル−n−イソペンチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、及び3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオランのようなロイコフルオラン染料とし得る。対応する化学構造を、それぞれ以下に示す。
【0034】
【化3】
【化4】
【0035】
ハライドイソベンゾフラノンロイコ染料のようなハロゲン化物を含んでいるロイコ染料もまた、本発明に用いることができる。ハロゲン化物含有イソベンゾフラノンロイコ染料の一例は、テトラハライド組成物 1(3H)−イソベンゾフラノン、4,5,6,7−テトラクロロ−3,3−ビス〔2−〔4−(ジメチルアミノ)フェニル〕−2−(4−メトキシフェニル)エテニル〕であり、以下の構造を有する。
【0036】
【化5】
【0037】
活性化剤の存在下において、熱誘導酸化、プロトン化、開環等が起こると、上に挙げたイソベンゾフラノン含有ロイコ染料は、高い光学濃度を有するブラック染料を形成することができる。広範な組成物が本発明における使用に適しているが、電磁放射感応性組成物は、重量にて約60%未満のロイコ染料及び活性化剤を含有することができ、好ましくは約40wt%である。これらの範囲は単なる例示であって、所望の画像特性及びその他の検討事項に応じて、他の重量範囲を用いることができる。約1:4〜約4:1の活性化剤対ロイコ染料重量比が、典型的に、適切な結果をもたらし、また、約2:1という比を用いることができる。
【0038】
上述のように、ロイコ染料と活性化剤との間の相互作用によって、ロイコ染料が化学変化し、それによって、ロイコ染料の色は実質的に白色又は無色から実質的に黒色に変化することができる。一般的に、ロイコ染料の化学変化は、予め定められた量の熱を適用することによって生じる。本発明の使用に適する活性化剤は、当業者であれば選択することができる。適する活性化剤の幾つかの非限定例としては、フェノール、カルボン酸、ルイス酸、シュウ酸塩錯体、コハク酸、ステアリン酸亜鉛、及びそれらの組合せがある。
【0039】
電磁放射吸収剤によって予め定められた量の熱が与えられる際、用いた吸収剤に対する電磁放射周波数及び強度の整合が行われてシステムが最適化され得る。当該吸収剤は、電磁感応性ロイコ染料組成物中に、典型的に、約0.001wt%〜約10wt%の量にて存在させ得るが、具体的な吸収剤の活性によってはその他の重量範囲が要求されることもある。選択し得る周波数の例には、赤外、可視、紫外、又はその組合せが含まれる。
【0040】
当該吸収剤は、イソベンゾフラノン含有ロイコ染料と熱伝達関係にあるように構成することができる。例えば、当該吸収剤は、イソベンゾフラノン含有ロイコ染料と同じ層に混合物の一部として配置させるか、又は別個の層に配置させることができる。即ち、当該吸収剤をロイコ染料組成物と混合するか又は熱接触させることができる。本発明の一態様においては、当該吸収剤は、ロイコ染料組成物を層として適用する以前又は後に、基材に別の隣接層として適用することができる。一実施形態では、可視範囲において吸収される光が未顕色ロイコ染料のグラフィック表示又は見かけに悪影響を及ぼさないように活性化剤を選択することにも考慮する。無機化合物も用い得るが、当該吸収剤は、限定はしないが、典型的に、赤外吸収剤、紫外吸収剤、可視光吸収剤等のような有機化合物とし得る。より詳細には、本発明の使用に適する吸収剤の例としては、限定はしないが、金属錯体IR染料、インドシアニングリーン、ヘテロ環式化合物及びそれらの組合せが挙げられる。下記の一般式を有するジチオラン金属錯体のような金属錯体IR染料を用いるkとができる。
【0041】
【化6】
【0042】
式中、Mは遷移金属とし得、R1〜R4は、低級アルキル又はアリール基とし得る。
【0043】
以下の化合物のようなインドシアニン金属錯体も適し得る。
【0044】
【化7】
【0045】
式中、Mは、Ni、Cu、又は他の遷移金属とし得、各Rは、個々独立して、H、低級アルキル、及び/又はアリールとし得る。下図に、それぞれ示す、IR780及びIR783(アルドリッチケミカル社から入手可能)及びジチオフェニリデン化合物(Syntec 9/1及びSyntec 9/3)もまた、本発明に使用することができる。
【0046】
【化8】
【化9】
【0047】
その他の適切な吸収剤もまた、本発明に使用することができ、当業者に既知であり、且つ「Infrared Aborbing Dyes」,Matsuoka,Masaru,ed.,Plenum Press,New York,1990(ISBN 0−306−43478−4)及び「Near−Infrared Dyes for High Technology Applications」,Daehne,Resch−Genger,Wolfbeis,Kluwer Academic Publishers(ISBN 0−7923−5101−0)のような参考文献に見出されるようなものであり、両方とも参照することで本明細書に取り入れることとする。本明細書で議論している特定の活性化剤と吸収剤は別個の化合物であるものの、上述の活性はまた、ロイコ染料分子内に活性化作用及び/又は放射吸収作用を付与するロイコ染料の成分基によって与えることもできる。
【0048】
本発明の他の態様では、ブラックイソベンゾフラノンロイコ染料は、レーザを用いて生成された電磁放射をはじめとする、特定の種類の電磁放射に曝露させる条件下において、顕色させることができる。可視、赤外、及び紫外周波数にて放射を生じるレーザを利用することができる。例えば、約650nm〜約815nmの任意の周波数を有するレーザは、市場で容易に入手できる。
【0049】
本発明のロイコ染料の顕色化条件は変更することができる。例えば、電磁放射周波数、熱流束、及び曝露時間を変えることができる。スポットサイズ及びレーザ電力のような変量もまた、特定のシステム設計に影響を与えるため、所望する結果に基づいて選択することができる。これらの変量に従って、電磁放射源は、信号プロセッサから受信される画像データ源及び情報に従って電磁放射感応性組成物に電磁放射を誘導することができる。さらに、ロイコ染料及び/又は活性化剤の濃度並びに相互の近接程度も変更し得る。
【0050】
本発明のロイコ染料は、電力使用量15〜100mWのレーザを用いて顕色させることができるが、この範囲以外の電力を有するレーザも使用することができる。スポットサイズは、電磁放射源の検討により定めることができ、約1〜約200μmの範囲とし得るが、それより小さいか又は大きいサイズもまた、用いることができる。一実施形態では、約10〜約60μmの放射スポットサイズも利用することができる。さらに別の態様においては、20x50μmのスポットサイズによって、解像度と顕色速度間の良好なバランスがもたらされ得る。
【0051】
同様に、熱流束も変更し得る変量であり、一実施形態では、約0.05〜1 J/cm2とし得、第2の実施形態においては、約0.05〜0.4 J/cm2とし得る。これらの範囲にある熱流束は、幾つかの実施形態では約1000マイクロ秒/ドット未満にて、他の実施態様では約500マイクロ秒/ドット未満にて、さらに別の実施態様では約100マイクロ秒/ドット以下にて、ロイコ染料を顕色させることができる。
【0052】
これらの変量が共に用いられる例を1つの実施形態で説明すると、20x50μmのスポットサイズ、35mWレーザ、及びドット当り100マイクロ秒の曝露によって、約20分間にて、ロイコ染料組成物及び活性化剤を含む標準のCD画像表面を顕色させることができる。本実施形態で生成されたブラック画像は、約1.3を上回る高い光学濃度を有し得る。約1.4以上の光学濃度もまた、一般に達成することができる。当業者は、様々な解像度と顕色時間を達成できるようこれらの変量を調節することができる。
【0053】
画像に所望の追加の色を付与する非ロイコ着色剤の添加をはじめとする、その他のバリエーションも実施し得る。例えば、乳白剤顔料又はその他の非ロイコ着色剤を利用して、光ディスクに背景色を与えることができる。ロイコ染料の顕色に悪影響を及ぼさない限り、電磁放射感応性組成物の層(活性化剤層及びロイコ染料層を含んで成るか、又は2層が混合された単一層であり得る)、又は保護層に、非ロイコ着色剤を付加することができる。それによって、ブラックロイコ染料部分が顕色されると、有色の背景を有するブラック画像を生ずることができる。乳白剤の例としては、炭酸カルシウム、二酸化チタン、及びその他の既知の乳白剤が挙げられる。また、その他の非ロイコ着色剤の例には、染料又は他の顔料が含まれる。換言すれば、ロイコ染料の顕色とは無関係に留まる着色背景が望まれるなら、乳白剤顔料、他の顔料、及び/又は染料をキャリヤー中で混合して所望の色を付与することができる。
【0054】
ブラック形成ロイコ染料を調製に関しては、当該染料は、実質的に透明であるか又は半透明である溶液中で調製することができる。選択した具体的ブラックロイコ染料に適合する界面活性剤などの任意の適切なキャリヤーを用いることができる。ブラックロイコ染料を溶液状にて調製する場合、前記ロイコ染料溶液の下方の、基材の少なくとも一部の上に着色コーティングを下刷りするのが望ましい。任意選択の着色コーティングは、溶液層下方に見える背景色を生成する。この着色コーティングは、その他の顔料及び/又は染料のような種々の非ロイコ着色剤を含むことができる。あるいはまた、非ロイコ着色剤をデータ層に付加して所望の背景色を生成することができる。活性化剤は、分散させるなどして溶液内に混合するか、又は溶液がその上にコーティングされる以前又は後に、基材上にコーティングすることができる。背景色を事前印刷する場合、前述のコーティング及び各組成物は、スクリーン印刷、スピンコーティング、スパッタリング、又はスプレーコーティングのような様々な既知の技術を利用して、基材に適用することができる。各コーティングを適用し、その後、順次乾燥させ得る。
【実施例1】
【0055】
0.05%IR783活性化剤粉末を含有する粉砕した4−ベンジルオキシベンゾアート約5gを、アクリレートモノマー及びオリゴマーからなる紫外線硬化性混合物(商標NOR−COTE CDG000 UV−lacquerを付して市販)15.3g中に溶解して溶液を形成した。次に、下記構造を有し且つ約5μm未満の平均粒径を有する2’−アニリノ−3’−メチル−6’−(ジブチルアミノ)フルオラン(Nagase Co.,Ltd.から入手可能なBK−400ロイコ染料)14.5gを溶液に添加した。
【0056】
【化10】
【0057】
活性化剤として、約5μm未満の平均粒径を有する純ビスフェノール−A 1.9gを溶液に加えた。その溶液を微細なペーストにし、そして約7μmの厚さにて基材上にスクリーン印刷して、画像化媒体を形成した。次いで、媒体上のコーティングを水銀ランプを用いた紫外線放射によって硬化させた。
【0058】
生じたロイコ染料含有層を、780nmの45mWレーザを用いて顕色させた。約20マイクロ秒〜100マイクロ秒の曝露時間で、約20μm x 45μmのマークを生じた。顕色画像は、印刷媒介物を用いることなく生成し、高い光学濃度を呈した。
【実施例2】
【0059】
シュウ酸ジベンジル粉末約2gを、当該粉末が溶融するのに十分である約85℃まで加熱した。溶融した粉末に、下記構造を有する、フェノール,4,4’−スルホニルビス(2−(2−プロペニル)活性化剤(商標TG−SAを付して市販)20gと、1.2gのIR吸収剤 IR780を添加した。
【0060】
【化11】
【0061】
得られた組成物を冷却し、粉砕して、微細粉末にした。次いで、1.8gの微細粉末を、キャリヤーであるNOR−COTE CDG000 UV−ラッカー15.3gに溶解して、溶液を形成した。次に、商標S−205を付して、Nagase Co.,Ltd.から市販されている、下記構造を有する、ブラックロイコ染料((2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)フッ素)15gを溶液に加えた。
【0062】
【化12】
【0063】
ブラックロイコ染料は、約5μm未満の平均粒径を有していた。さらに、約5μm未満の平均粒径を有する純ビスフェノール−A 2.0gを溶液に加えて、混合物を形成した。その混合物を微細なペーストにし、そして約7μm未満の厚さにて基材上にスクリーン印刷して、画像化媒体を形成した。次いで、媒体上のコーティングを水銀ランプによる紫外線放射を用いて硬化させた。
【0064】
次いで、ロイコ染料を、780nmの45mWレーザを用いて、得られた被覆基材上で顕色させた。約60マイクロ秒〜100マイクロ秒の曝露時間で、約20μm x 45μmのマークが生じた。顕色画像は、印刷媒介物を用いることなく生成し、高い光学濃度を呈した。
【実施例3】
【0065】
脱イオン水に溶かしたインドシアニングリーン(10%溶液 1.5g)を、商標LASCAUXを付してSavoir Faire,Novato,CAから市販されているスクリーン印刷用ペースト50gと十分に混合して、ペースト混合物を生成した。そのペースト混合物の約半分を、摩砕したブラックロイコ染料(実施例2におけるようなS205)17gと組み合わせた。当該ロイコ染料は、予め、水スラリーとして約5μm未満の平均粒径に摩砕され、約50%固形物となるまで乾燥されていた。次いで、そのペースト混合物とロイコ染料を、ローラミルを用いて十分混合した。次いで、ペースト混合物の残留部分を、ベンジル4−ヒドロキシベンゾアート33gと組み合わせて、十分混合させた。ベンジル4−ヒドロキシベンゾアートは、その粒子を11μm未満の平均粒径に摩砕し、約50%固形物となるまで乾燥させることにより調製した。次いで、生じた組合せ混合物をロールミルして、その成分を十分に均質化し且つ平均粒径を減じた。得られた混合物の平均微細度は、約2μm未満であった。混合物の粘度は、1rpmにおいて50,000〜160,000cpsであり、10rpm/1rpmに関する曲線勾配が5.0より大きいことが測定された。その混合物をCDの片面上にスクリーンコーティングし、45℃の真空下で乾燥させた。
【0066】
次いで、そのロイコ染料を、780nmの45mWレーザを用いて、280マイクロ秒の曝露時間にて、CD基材上で顕色させた。CD上に印刷された画像は、寸法約20x50ミクロンの光学濃度の高いブラックマークであり、且つグリーンの背景を有していた。
【0067】
上で参照した構成は、本発明の原理の応用を例示したものであることを理解されたい。本発明の例示的実施形態に関して、本発明を図面に示し且つこれまで説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、多数の修正並びに代替構成を案出することができる。特許請求の範囲で説明する本発明の原理及び概念から逸脱することなく多数の修正をなし得ることは、当業者には明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の実施形態による、基材にレーベル印刷するためのシステムの概略図
【図2A】本発明の幾つかの例示的な実施形態による、光ディスクの一部の断面図
【図2B】本発明の幾つかの例示的な実施形態による、光ディスクの一部の断面図
【図2C】本発明の幾つかの例示的な実施形態による、光ディスクの一部の断面図
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、ロイコ染料の応用に関する。より詳細には、本発明は、基材のラベリングのためにブラックロイコ染料を用いることに関する。
(優先権情報)
本願は、2003年1月24日付け米国特許出願第10/351,188号の一部継続出願であり、それは参照することで本明細書に取り入れることとする。
【背景技術】
【0002】
光ディスクは、ソフトウェアのデータ記憶、並びにフォトグラフィック、ビデオ、及び/又はオーディオデータのデータ記憶に関する市場において顕著な割合を占めている。典型的に、光ディスクは、当該ディスクの片面又は両面から読取りできるデータパターンがそこに埋め込まれており、且つ当該ディスクの他面にはグラフィック表示が印刷されている。ディスクのデータ読取り可能面、即ち、データ面は、ランドと呼ばれる沈下していない表面によって分離された、ピットと呼ばれるさまざまに間隔がとられた凹部からなるらせん軌道を含んでいる。そのらせん軌道上に低電力レーザをフォーカスさせる。ピットとランドとの間の高さの差によって、反射ビームの位相シフトが生じ、それを測定して使用可能なデータに翻訳することができる。現在、CD、CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD、DVD−R及びDVD−RWなどの種々の光ディスク形式が利用されている。その他の光ディスク形式もまた利用することができる。
【0003】
光ディスクの内容を識別するのに、印刷パターン又はグラフィック表示情報をディスクの非データ面に印刷することができる。当該パターン又はグラフィック表示は両方とも、装飾的なものとすることができ、当該ディスクのデータ内容に関する関連情報をもたらす。過去においては、商業レーベル印刷は、決まって、スクリーン印刷法により行われてきた。この方法は、広範なレーベル内容を提供できるが、ステンシル又はステンシルの組合せを作製すること並びに所望のパターン又はグラフィック表示を印刷することに関連した固定費のため、約400ディスク未満の生産では費用効果が低くなる傾向がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、消費者によるデータ記憶用光ディスクの使用が著しく増大しており、光ディスクの内容を反映する専用のレーベルを提供する必要性が高まってきている。消費者が現在利用できるほとんどのレーベル表示は、手書きによる記載、並びにディスクに付着させ得るが高速回転時にディスク性能に悪影響を及ぼすことのある事前印刷レーベル、のいずれかに限定されている。
【0005】
光ディスクのような基材にレーベル印刷するための代替のシステム及び方法を開発することが有用であろうことが認識されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態では、本発明の実施形態による光ディスクは、電磁放射感応性組成物がその上にコーティングされた光ディスク基材を含むことができる。当該電磁放射感応性組成物は、顕色時にブラック画像を生成し得るロイコ染料を含むことができ、この場合、当該ロイコ染料は、イソベンゾフラノン含有染料である。電磁放射感応性組成物はまた、ロイコ染料と反応するように構成された活性化剤を含むことができる。電磁放射感応性組成物はまた、ロイコ染料と混合されているか又は熱的に接触している電磁放射吸収剤を含むことができ、それは、反応を促進するのに十分な電磁放射の影響下で熱的に活性となる。
【0007】
本発明には、基材にレーベル印刷するためのシステムが包含され、当該システムは、画像データ源と、電磁放射感応性組成物がその上にコーティングされた基材と、電磁放射感応性組成物を顕色させるための放射源とを具備する。電磁放射感応性組成物は、顕色時にブラック画像を生成し得る、イソベンゾフラノン含有染料のようなロイコ染料を含むことができる。さらに、当該組成物は、ロイコ染料と反応するように構成された活性化剤を含むことができ、また、当該反応を促進するのに十分な電磁放射の影響下において熱的に活性となる、ロイコ染料と混合されているか又は熱的に接触している電磁放射吸収剤を含むことができる。電磁放射源は、画像データ源に有効に接続されており、電磁放射を電磁放射感応性組成物に誘導し得るように構成することができる。
【0008】
他の実施形態では、光ディスクをレーベル印刷するためのシステムは、一連の処理ステップを包含することができる。1つのステップには、電磁放射感応性組成物を光ディスクの表面に適用することが含まれ、この場合、当該組成物は、ブラックロイコ染料、活性化剤、及び電磁放射吸収剤を含んで成り、前記ロイコ染料はイソベンゾフラノン含有染料である。第2のステップには、データ源から、電磁放射を生成するよう構成された電磁放射源へと画像データを転送することが含まれ得る。第3のステップには、光ディスク上に可視像を生成するべく、予め定められた周波数、強度、時間、及びスポットサイズにて電磁放射にさらすことによって、電磁放射感応性組成物の少なくとも一部を変色させることが含まれ得る。
【0009】
本発明のその他の特徴及び利点は、本発明の諸特徴を例示目的で記載している以下の詳細な説明から明らかになろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、例示的な実施形態について参照することとし、それを説明するにあたっては特定の用語を用いることとする。とはいえ、それによって本発明の範囲を限定する意のないことは理解されよう。当業者並びに本開示を手にした者であれば想起するであろう、本明細書に記載される発明の特徴に関する変更やさらなる改良、並びに本明細書に記載されるような発明の原理のさらなる応用例もまた、本発明の範囲内であるものとみなす。さらに、本発明の詳細な実施形態を開示、説明するにあたり、本発明が、本明細書に開示する特定のプロセス及び材料に限定されないことを理解されたい。そえらはある程度変更し得るためである。また、本明細書で用いられる用語は、特定の実施形態を専ら記述するだけの目的で用いるものであって、限定することを意図したものではないということも理解されたい。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲及びその等価物によってのみ限定される。
【0011】
本発明を説明し、範囲請求を行うにあたって、以下の用語を用いることとする。
【0012】
別途明確に指示のない限り、単数形「a」、「an」、及び「the」は、複数形の意味を包含する。従って、例えば、「ロイコ染料」という場合、1つ又は複数の当該材料を指すことを包含する。
【0013】
本明細書で用いるとき、「光ディスク」とは、CD及び/又はDVDドライブ等において機械読取り可能なオーディオ、ビデオ、マルチメディア、及び/又はソフトウェアディスクを包含するものとする。光ディスク形式の例としては、DVD、DVD−R、DVD−RW、DVD+R、DVD+RW、CD、CD−ROM、CD−R、CD−RW等のような書込み可能ディスク、記録可能ディスク、及び再書込み可能ディスクが包含される。類似形式及び将来開発される形式のような、その他の同様の形式も包含することができる。
【0014】
本明細書で用いるとき、「グラフィック表示」とは、光ディスク上にある任意の視認し得る文字や画像を包含し得る。典型的に、グラフィック表示は、常にそうではないが、目立って、光ディスクの片面上にある。
【0015】
本明細書で用いるとき、本開示に関連して用いられる「データ」には、典型的に、ディジタル的に又はそれ以外の形態でそこに埋め込まれている、光ディスク上に含まれる非グラフィック情報が含まれる。データとしては、オーディオ情報、ビデオ情報、写真情報、ソフトウェア情報等をあげることができる。
【0016】
本明細書で用いるとき、「イソベンゾフラノン含有」とは、本発明における使用に適しており且つ下記のサブグループを含む任意の化合物を意味する。
【0017】
【化2】
【0018】
本明細書で用いるとき、「ロイコ染料」は、顕色前は、実質的に無色又は白色であり、且つ熱に曝されると黒くなる形態の染料を意味する。その変色現象は、典型的に、熱に曝すことによって起きる、酸化などの化学変化に起因する。
【0019】
用語「活性化剤」は、熱が伝わると、ロイコ染料と相互作用するか又は反応する組成物を意味する。
【0020】
本明細書で用いるとき、「顕色する」又は「顕色」とは、所望する色の可視化合物を生成するための、ロイコ染料と、活性化剤などの他の反応剤との相互作用又は反応を意味する。当該相互作用は、たいていの場合、熱によって開始されるが、実際上、物理的であってもよい。
【0021】
本明細書で用いるとき、「吸収剤」とは、一般的に、予め定められた周波数の電磁放射に曝されると熱を発生し得る電磁放射感応剤を意味する。予め定められた周波数は、吸収剤組成物毎に異なり得る。ロイコ染料及び/又は活性化剤と混合さているか又は熱的に接触している場合、吸収剤は、本発明の実施形態に従ってロイコ染料を少なくとも部分的に顕色させるのに十分な熱を生ずるよう、十分な量にて存在させ得る。典型的に、ロイコ染料の顕色は、ロイコ染料と活性化組成物との間の相互作用によって起こり得る。
【0022】
用語「熱的に接触」とは、吸収剤とロイコ染料−活性化剤組成物との間の空間的関係を意味する。例えば、吸収剤が電磁放射との相互作用により加熱されると、吸収剤が発生する熱は、ロイコ染料を、活性化剤との反応を介して黒くさせるのに十分であるはずである。熱的に接触とは、吸収剤とロイコ染料との間の密な近接を包含し得、それは、吸収剤からロイコ染料及び/又は活性化剤への熱移動を可能にする。熱的に接触とは、直ぐ隣接する層におけるような、又は両方の成分を含んでいる混合物におけるような、吸収剤とロイコ染料との間の実際の接触もまた包含し得る。
【0023】
「キャリヤー」又は「キャリヤー成分」とは、基材の表面上に1つ又は複数の層を形成するために、ロイコ染料、吸収剤、及び/又は活性化剤と共に用い得る組成物や添加物を包含するものと定義する。界面活性剤、ポリマー、UV硬化性材料等をキャリヤーとして用いることができる。ロイコ染料と吸収剤との組合せを同じキャリヤー内に存在させることができ、あるいは基材に逐次的に供給される別個のキャリヤー内に存在させることもできる。幾つかの実施形態では、着色剤のような添加物をキャリヤーに添加することもできる。
【0024】
本明細書で用いるとき、「光学濃度」とは、反射率の逆数の対数を指し、ここで、反射率は、入射強度に対する反射強度の比である。
【0025】
本明細書においては、濃度、量、及びその他の数値データを範囲形式で提示する場合がある。そのような範囲形式は、単に便利且つ簡潔のために用いるものであって、範囲の限界として明記された数値を含むだけでなく、各数値及び副範囲があたかも明記されているようにその範囲内に包含される個別の数値又は副範囲を全て包含するものと柔軟に解釈すべきことを理解されたい。例えば、約1μm〜約200μmというサイズ範囲は、1μm〜約200μmという明記された濃度限界を含むだけではなくて、2μm、3μm、4μmのような個別の濃度、及び10μm〜50μm、20μm〜100μm等のような副範囲を含むものと解釈されたい。
【0026】
本発明による、ブラックロイコ染料をその上に有する基材にレーベル印刷するためのシステムについて説明する。一実施形態では、当該システムは、光ディスクの画像面への書込みと、光ディスクのデータ面へのデータの収集及び/又は書込みとを同時に行うことができる。光ディスク基材は、画像面が上方を向いている第1方位にある。光ディスクを回転させ且つ支持するために、モータ及び支持要素が存在する。
【0027】
本発明によれば、画像は、画像データ源にディジタル的に格納されている。この画像情報は、多数の市販の画像ソフトウェアプログラムを用いて作成することができる。次いで、前記画像をラスタライズ又はスパイラル化し、信号プロセッサを経由して、レーベル印刷用電磁放射源へと送ることができる。このプロセスは、一般に、画像データを、回転時の光ディスクの画像面に関して電磁放射源が追従するパスに整合するスパイラルパスに対応するるようにディジタル化することを伴う。一実施形態では、レーベル印刷用電磁放射源は、ロイコ染料組成物をその上に有する、回転する光ディスクの画像面と面した、放射装置及び光学レーベル検出装置である。さらに、任意選択の第2放射装置及び第2検出装置が、データ面に面しており、読取り及び/又は書込み操作を同時にできるよう構成されている。データを生成し、使用し、且つ/又はデータ源に格納することができる。一実施形態では、データは、信号プロセッサ経由で第2放射装置に送ることによって書込むことができる。エミッタ及び検出器の各セットは、それぞれ、第1スレッド及び第2スレッド上に配置される。さらに、第1スレッド及び第2スレッドの各々は、第1トラック及び第2トラックに沿って移動する。この実施形態では、第1スレッドと第2スレッドの両方を一致して同時に移動させ且つ情報を収集させるように機能する、単一のソレノイドが示されている。しかしながら、これは要求されるものではない。
【0028】
代替実施形態では、各スレッドは、他方の影響を受けないように構成することができる。そのような実施形態では、独立した機能を満たすために、2つのソレノイド又はその他の機械的若しくは電気的構造を使用することができる。さらに、一般的なCD−R/CD−RWドライブに利用できるもののような単一のトラック及びソレノイドの組合せを使うなどするその他の実施形態も可能である。同一のエミッタ及びダイオードの組合せを用いて、データの読取り及び書込みを行った後にディスクを裏返して、本発明のロイコ染料を用いてブラック画像を顕色させることができる。
【0029】
本発明は、概して、特定のブラックロイコ染料を用いて基材をレーベル印刷することに関連する。光ディスクは、種々のコーティングを有する。基材は、一般に、構造支持体として用いられ、データ面とレーベル面とを有する。基材は、光ディスクに向くポリカーボネート又はその他の高分子材料などの任意の適切な材料から作製することができる。データ層は、一般に、スパッタリング又はその他の既知のプロセスによって形成され、そして固有のデータに対応するピット及びランドを生成し、維持し、及び/又は模擬し得る、任意の既知の物質を含有することができる。従って、書込み可能な及び/又は再書込み可能な形式に向くような、多重層もまた用い得ることが理解される。永久(ROM)フォーマット、書込み可能フォーマット、又は再書込み可能フォーマットを作成するのに用いるための材料は、当業者に周知である。これらの材料は、限定はしないが、染料層の高分子結合剤中に、アルミニウム、シアニン、フタロシアニン、含金属アゾ染料、及び感光性化合物を含む。例えば、再書込み可能な光ディスクは、典型的に、非晶質状態及び結晶状態において様々な反射特性を呈する、四元の相変化合金を含む。データ層はまた、データ層のデータ記憶性能に影響しない着色剤を含むことができる。上記組成物は、光ディスクのデータ面に関して読取り可能で又は書込み可能である。
【0030】
本発明のブラックロイコ染料と活性化剤は、種々の方法により、調製することができ、且つデータ読取り又は書込み可能な光ディスクに適用することができる。例えば、電磁放射感応性組成物は、ブラックロイコ染料、活性化剤、電磁放射吸収剤、及びキャリヤーを含有させて調製することができる。キャリヤーとしては、界面活性剤、及び/又はAlmacryl(登録商標)T−500、モノマー及びオリゴマーからのポリアクリレート、ポリビニルアルコール、セルロースエステル、ポリビニルピロリジン、ポリエチレン、ポリフェノール又はポリフェノール系エステル、ポリウレタン等のような高分子材料を挙げることができる。示した実施形態の電磁放射感応性組成物は、ロイコ染料と活性化剤の機能をもたらすためだけではなく、ディスクの最上面を保護するのにも用いられるため、潤滑剤、界面活性剤、及び耐湿性を付与する物質のような種々の付加的な成分を付加して、電磁放射感応性組成物に機械的保護をもたらすことができる。
【0031】
代替実施形態では、電磁放射吸収剤をロイコ染料層とは別個の層内に適用することができ、この場合、当該別個の層は、ロイコ染料の前あるいは後に、基材上に配置される。例えば、ロイコ染料層が適切なキャリヤー中にブラックロイコ染料及び活性化剤を含んでんいる組成物は、データ層上に形成され、そして光ディスクの全面積あるいは単に一部を覆うことができる。本実施形態では、吸収剤層は、(吸収剤を含むキャリヤーを用いて)別個の層として形成することができ、それは、光ディスクの少なくとも一部を覆う。従って、ロイコ染料層と吸収剤層は、共同して、電磁放射感応性組成物を構成する。一実施形態では、光ディスク表面上でロイコ染料組成物が望まれた通りに顕色するように、ロイコ染料層と少なくともほぼ同じ光ディスクの部分上に吸収剤層を形成することができる。これによって、ロイコ染料と熱的に接触している吸収剤層を具備する光ディスクがもたらされる。2つの層が実際に接触していないが、ロイコ染料の熱的活性化が十分生ずるほど密に近接している場合、その層群は、熱的に接触しているということができる。ロイコ染料層及び吸収剤層に対して機械的保護を付与するために、任意選択の不活性保護層を形成することができる。当該保護層は、十分な電磁放射を通過させて、電磁放射感応性組成物の顕色を可能にするよう、実質的に、透明又は半透明とし得る。
【0032】
本発明のさらに他の実施形態では、光ディスクは、基材、データ層、及び第1保護層を有する。電磁放射感応性組成物層は、上述のように、ロイコ染料、活性化剤、電磁放射吸収剤、及びキャリヤーを含むように、吸収剤及びロイコ染料と活性化剤とを別個の層として又は一緒に混合して作製することができる。第1保護コーティング層は、現在市販されている書込み可能及び再書込み可能光ディスクにおいて一般的であるように、データ層を保護する。第2保護コーティング層は、電磁放射感応性組成物層(群)を保護する。上述の保護コーティングは、ラッカー、UV被膜、又は高分子フィルムをはじめとするコーティングとし得る。
【0033】
先に列挙した各実施形態に関して、並びに等価の実施形態に関して、本発明の使用に適しているブラックロイコ染料は、イソベンゾフラノン含有染料である。一般的に、ロイコ染料は、実質的に無色であり且つラクトンの閉環形である。そのような染料は、3−ジ−n−ペンチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ−n−ブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(n−エチル−n−イソペンチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、及び3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオランのようなロイコフルオラン染料とし得る。対応する化学構造を、それぞれ以下に示す。
【0034】
【化3】
【化4】
【0035】
ハライドイソベンゾフラノンロイコ染料のようなハロゲン化物を含んでいるロイコ染料もまた、本発明に用いることができる。ハロゲン化物含有イソベンゾフラノンロイコ染料の一例は、テトラハライド組成物 1(3H)−イソベンゾフラノン、4,5,6,7−テトラクロロ−3,3−ビス〔2−〔4−(ジメチルアミノ)フェニル〕−2−(4−メトキシフェニル)エテニル〕であり、以下の構造を有する。
【0036】
【化5】
【0037】
活性化剤の存在下において、熱誘導酸化、プロトン化、開環等が起こると、上に挙げたイソベンゾフラノン含有ロイコ染料は、高い光学濃度を有するブラック染料を形成することができる。広範な組成物が本発明における使用に適しているが、電磁放射感応性組成物は、重量にて約60%未満のロイコ染料及び活性化剤を含有することができ、好ましくは約40wt%である。これらの範囲は単なる例示であって、所望の画像特性及びその他の検討事項に応じて、他の重量範囲を用いることができる。約1:4〜約4:1の活性化剤対ロイコ染料重量比が、典型的に、適切な結果をもたらし、また、約2:1という比を用いることができる。
【0038】
上述のように、ロイコ染料と活性化剤との間の相互作用によって、ロイコ染料が化学変化し、それによって、ロイコ染料の色は実質的に白色又は無色から実質的に黒色に変化することができる。一般的に、ロイコ染料の化学変化は、予め定められた量の熱を適用することによって生じる。本発明の使用に適する活性化剤は、当業者であれば選択することができる。適する活性化剤の幾つかの非限定例としては、フェノール、カルボン酸、ルイス酸、シュウ酸塩錯体、コハク酸、ステアリン酸亜鉛、及びそれらの組合せがある。
【0039】
電磁放射吸収剤によって予め定められた量の熱が与えられる際、用いた吸収剤に対する電磁放射周波数及び強度の整合が行われてシステムが最適化され得る。当該吸収剤は、電磁感応性ロイコ染料組成物中に、典型的に、約0.001wt%〜約10wt%の量にて存在させ得るが、具体的な吸収剤の活性によってはその他の重量範囲が要求されることもある。選択し得る周波数の例には、赤外、可視、紫外、又はその組合せが含まれる。
【0040】
当該吸収剤は、イソベンゾフラノン含有ロイコ染料と熱伝達関係にあるように構成することができる。例えば、当該吸収剤は、イソベンゾフラノン含有ロイコ染料と同じ層に混合物の一部として配置させるか、又は別個の層に配置させることができる。即ち、当該吸収剤をロイコ染料組成物と混合するか又は熱接触させることができる。本発明の一態様においては、当該吸収剤は、ロイコ染料組成物を層として適用する以前又は後に、基材に別の隣接層として適用することができる。一実施形態では、可視範囲において吸収される光が未顕色ロイコ染料のグラフィック表示又は見かけに悪影響を及ぼさないように活性化剤を選択することにも考慮する。無機化合物も用い得るが、当該吸収剤は、限定はしないが、典型的に、赤外吸収剤、紫外吸収剤、可視光吸収剤等のような有機化合物とし得る。より詳細には、本発明の使用に適する吸収剤の例としては、限定はしないが、金属錯体IR染料、インドシアニングリーン、ヘテロ環式化合物及びそれらの組合せが挙げられる。下記の一般式を有するジチオラン金属錯体のような金属錯体IR染料を用いるkとができる。
【0041】
【化6】
【0042】
式中、Mは遷移金属とし得、R1〜R4は、低級アルキル又はアリール基とし得る。
【0043】
以下の化合物のようなインドシアニン金属錯体も適し得る。
【0044】
【化7】
【0045】
式中、Mは、Ni、Cu、又は他の遷移金属とし得、各Rは、個々独立して、H、低級アルキル、及び/又はアリールとし得る。下図に、それぞれ示す、IR780及びIR783(アルドリッチケミカル社から入手可能)及びジチオフェニリデン化合物(Syntec 9/1及びSyntec 9/3)もまた、本発明に使用することができる。
【0046】
【化8】
【化9】
【0047】
その他の適切な吸収剤もまた、本発明に使用することができ、当業者に既知であり、且つ「Infrared Aborbing Dyes」,Matsuoka,Masaru,ed.,Plenum Press,New York,1990(ISBN 0−306−43478−4)及び「Near−Infrared Dyes for High Technology Applications」,Daehne,Resch−Genger,Wolfbeis,Kluwer Academic Publishers(ISBN 0−7923−5101−0)のような参考文献に見出されるようなものであり、両方とも参照することで本明細書に取り入れることとする。本明細書で議論している特定の活性化剤と吸収剤は別個の化合物であるものの、上述の活性はまた、ロイコ染料分子内に活性化作用及び/又は放射吸収作用を付与するロイコ染料の成分基によって与えることもできる。
【0048】
本発明の他の態様では、ブラックイソベンゾフラノンロイコ染料は、レーザを用いて生成された電磁放射をはじめとする、特定の種類の電磁放射に曝露させる条件下において、顕色させることができる。可視、赤外、及び紫外周波数にて放射を生じるレーザを利用することができる。例えば、約650nm〜約815nmの任意の周波数を有するレーザは、市場で容易に入手できる。
【0049】
本発明のロイコ染料の顕色化条件は変更することができる。例えば、電磁放射周波数、熱流束、及び曝露時間を変えることができる。スポットサイズ及びレーザ電力のような変量もまた、特定のシステム設計に影響を与えるため、所望する結果に基づいて選択することができる。これらの変量に従って、電磁放射源は、信号プロセッサから受信される画像データ源及び情報に従って電磁放射感応性組成物に電磁放射を誘導することができる。さらに、ロイコ染料及び/又は活性化剤の濃度並びに相互の近接程度も変更し得る。
【0050】
本発明のロイコ染料は、電力使用量15〜100mWのレーザを用いて顕色させることができるが、この範囲以外の電力を有するレーザも使用することができる。スポットサイズは、電磁放射源の検討により定めることができ、約1〜約200μmの範囲とし得るが、それより小さいか又は大きいサイズもまた、用いることができる。一実施形態では、約10〜約60μmの放射スポットサイズも利用することができる。さらに別の態様においては、20x50μmのスポットサイズによって、解像度と顕色速度間の良好なバランスがもたらされ得る。
【0051】
同様に、熱流束も変更し得る変量であり、一実施形態では、約0.05〜1 J/cm2とし得、第2の実施形態においては、約0.05〜0.4 J/cm2とし得る。これらの範囲にある熱流束は、幾つかの実施形態では約1000マイクロ秒/ドット未満にて、他の実施態様では約500マイクロ秒/ドット未満にて、さらに別の実施態様では約100マイクロ秒/ドット以下にて、ロイコ染料を顕色させることができる。
【0052】
これらの変量が共に用いられる例を1つの実施形態で説明すると、20x50μmのスポットサイズ、35mWレーザ、及びドット当り100マイクロ秒の曝露によって、約20分間にて、ロイコ染料組成物及び活性化剤を含む標準のCD画像表面を顕色させることができる。本実施形態で生成されたブラック画像は、約1.3を上回る高い光学濃度を有し得る。約1.4以上の光学濃度もまた、一般に達成することができる。当業者は、様々な解像度と顕色時間を達成できるようこれらの変量を調節することができる。
【0053】
画像に所望の追加の色を付与する非ロイコ着色剤の添加をはじめとする、その他のバリエーションも実施し得る。例えば、乳白剤顔料又はその他の非ロイコ着色剤を利用して、光ディスクに背景色を与えることができる。ロイコ染料の顕色に悪影響を及ぼさない限り、電磁放射感応性組成物の層(活性化剤層及びロイコ染料層を含んで成るか、又は2層が混合された単一層であり得る)、又は保護層に、非ロイコ着色剤を付加することができる。それによって、ブラックロイコ染料部分が顕色されると、有色の背景を有するブラック画像を生ずることができる。乳白剤の例としては、炭酸カルシウム、二酸化チタン、及びその他の既知の乳白剤が挙げられる。また、その他の非ロイコ着色剤の例には、染料又は他の顔料が含まれる。換言すれば、ロイコ染料の顕色とは無関係に留まる着色背景が望まれるなら、乳白剤顔料、他の顔料、及び/又は染料をキャリヤー中で混合して所望の色を付与することができる。
【0054】
ブラック形成ロイコ染料を調製に関しては、当該染料は、実質的に透明であるか又は半透明である溶液中で調製することができる。選択した具体的ブラックロイコ染料に適合する界面活性剤などの任意の適切なキャリヤーを用いることができる。ブラックロイコ染料を溶液状にて調製する場合、前記ロイコ染料溶液の下方の、基材の少なくとも一部の上に着色コーティングを下刷りするのが望ましい。任意選択の着色コーティングは、溶液層下方に見える背景色を生成する。この着色コーティングは、その他の顔料及び/又は染料のような種々の非ロイコ着色剤を含むことができる。あるいはまた、非ロイコ着色剤をデータ層に付加して所望の背景色を生成することができる。活性化剤は、分散させるなどして溶液内に混合するか、又は溶液がその上にコーティングされる以前又は後に、基材上にコーティングすることができる。背景色を事前印刷する場合、前述のコーティング及び各組成物は、スクリーン印刷、スピンコーティング、スパッタリング、又はスプレーコーティングのような様々な既知の技術を利用して、基材に適用することができる。各コーティングを適用し、その後、順次乾燥させ得る。
【実施例1】
【0055】
0.05%IR783活性化剤粉末を含有する粉砕した4−ベンジルオキシベンゾアート約5gを、アクリレートモノマー及びオリゴマーからなる紫外線硬化性混合物(商標NOR−COTE CDG000 UV−lacquerを付して市販)15.3g中に溶解して溶液を形成した。次に、下記構造を有し且つ約5μm未満の平均粒径を有する2’−アニリノ−3’−メチル−6’−(ジブチルアミノ)フルオラン(Nagase Co.,Ltd.から入手可能なBK−400ロイコ染料)14.5gを溶液に添加した。
【0056】
【化10】
【0057】
活性化剤として、約5μm未満の平均粒径を有する純ビスフェノール−A 1.9gを溶液に加えた。その溶液を微細なペーストにし、そして約7μmの厚さにて基材上にスクリーン印刷して、画像化媒体を形成した。次いで、媒体上のコーティングを水銀ランプを用いた紫外線放射によって硬化させた。
【0058】
生じたロイコ染料含有層を、780nmの45mWレーザを用いて顕色させた。約20マイクロ秒〜100マイクロ秒の曝露時間で、約20μm x 45μmのマークを生じた。顕色画像は、印刷媒介物を用いることなく生成し、高い光学濃度を呈した。
【実施例2】
【0059】
シュウ酸ジベンジル粉末約2gを、当該粉末が溶融するのに十分である約85℃まで加熱した。溶融した粉末に、下記構造を有する、フェノール,4,4’−スルホニルビス(2−(2−プロペニル)活性化剤(商標TG−SAを付して市販)20gと、1.2gのIR吸収剤 IR780を添加した。
【0060】
【化11】
【0061】
得られた組成物を冷却し、粉砕して、微細粉末にした。次いで、1.8gの微細粉末を、キャリヤーであるNOR−COTE CDG000 UV−ラッカー15.3gに溶解して、溶液を形成した。次に、商標S−205を付して、Nagase Co.,Ltd.から市販されている、下記構造を有する、ブラックロイコ染料((2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)フッ素)15gを溶液に加えた。
【0062】
【化12】
【0063】
ブラックロイコ染料は、約5μm未満の平均粒径を有していた。さらに、約5μm未満の平均粒径を有する純ビスフェノール−A 2.0gを溶液に加えて、混合物を形成した。その混合物を微細なペーストにし、そして約7μm未満の厚さにて基材上にスクリーン印刷して、画像化媒体を形成した。次いで、媒体上のコーティングを水銀ランプによる紫外線放射を用いて硬化させた。
【0064】
次いで、ロイコ染料を、780nmの45mWレーザを用いて、得られた被覆基材上で顕色させた。約60マイクロ秒〜100マイクロ秒の曝露時間で、約20μm x 45μmのマークが生じた。顕色画像は、印刷媒介物を用いることなく生成し、高い光学濃度を呈した。
【実施例3】
【0065】
脱イオン水に溶かしたインドシアニングリーン(10%溶液 1.5g)を、商標LASCAUXを付してSavoir Faire,Novato,CAから市販されているスクリーン印刷用ペースト50gと十分に混合して、ペースト混合物を生成した。そのペースト混合物の約半分を、摩砕したブラックロイコ染料(実施例2におけるようなS205)17gと組み合わせた。当該ロイコ染料は、予め、水スラリーとして約5μm未満の平均粒径に摩砕され、約50%固形物となるまで乾燥されていた。次いで、そのペースト混合物とロイコ染料を、ローラミルを用いて十分混合した。次いで、ペースト混合物の残留部分を、ベンジル4−ヒドロキシベンゾアート33gと組み合わせて、十分混合させた。ベンジル4−ヒドロキシベンゾアートは、その粒子を11μm未満の平均粒径に摩砕し、約50%固形物となるまで乾燥させることにより調製した。次いで、生じた組合せ混合物をロールミルして、その成分を十分に均質化し且つ平均粒径を減じた。得られた混合物の平均微細度は、約2μm未満であった。混合物の粘度は、1rpmにおいて50,000〜160,000cpsであり、10rpm/1rpmに関する曲線勾配が5.0より大きいことが測定された。その混合物をCDの片面上にスクリーンコーティングし、45℃の真空下で乾燥させた。
【0066】
次いで、そのロイコ染料を、780nmの45mWレーザを用いて、280マイクロ秒の曝露時間にて、CD基材上で顕色させた。CD上に印刷された画像は、寸法約20x50ミクロンの光学濃度の高いブラックマークであり、且つグリーンの背景を有していた。
【0067】
上で参照した構成は、本発明の原理の応用を例示したものであることを理解されたい。本発明の例示的実施形態に関して、本発明をこれまで説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、多数の修正並びに代替構成を案出することができる。特許請求の範囲で説明する本発明の原理及び概念から逸脱することなく多数の修正をなし得ることは、当業者には明らかであろう。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁放射感応性組成物がその上にコーティングされた光ディスク基材を含む光ディスクであって、前記電磁放射感応性組成物が、
a) 顕色時にブラック画像を形成し得るロイコ染料であって、イソベンゾフラノン含有染料である、ロイコ染料と、
b) 前記ロイコ染料と反応するように構成された活性化剤と、
c) 前記ロイコ染料と混合されているか又は熱的に接触している電磁放射吸収剤であって、反応を促進させるのに十分な電磁放射の影響下で熱的に活性である、電磁放射吸収剤と、
を含んで成る、光ディスク。
【請求項2】
前記吸収剤が前記ロイコ染料と混合されており、前記吸収剤が電磁放射の影響下で熱的に活性である、請求項1に記載の光ディスク。
【請求項3】
前記電磁放射吸収剤が第1層に含まれ且つ前記ロイコ染料及び前記活性化剤が第2層に含まれており、前記第2層が、前記吸収剤が電磁放射によって活性化されると前記ロイコ染料と熱接触するように、前記第1層に関して構成されている、請求項1に記載の光ディスク。
【請求項4】
前記電磁放射が、レーザの形態である、請求項1に記載の光ディスク。
【請求項5】
電磁放射感応性組成物が、非ロイコ染料をさらに含む、請求項1に記載の光ディスク。
【請求項6】
基材にレーベル印刷するシステムであって、
a) 画像データ源と、
b) 電磁放射感応性組成物がその上にコーティングされている基材であって、前記電磁放射感応性組成物が、
i) 顕色時にブラック画像を形成し得る、イソベンゾフラノン含有染料であるロイコ染料と、
ii) 前記ロイコ染料と反応するように構成された活性化剤と、
iii) 前記ロイコ染料と混合されているか又は熱的に接触している電磁放射級取材であって、反応を促進させるのに十分な電磁放射の影響下で熱的に活性である、電磁放射吸収剤と、
を含んで成る、基材と、
c) 画像データ源に有効に接続され且つ前記電磁放射感応性組成物に電磁放射を誘導し得るように構成された電磁放射源と、
を含む、システム。
【請求項7】
前記電磁放射源が、0.05〜1.0 J/cm2の熱流束を生ずることのできるレーザ源の形態である、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記ブラック画像の光学濃度が、少なくとも1.3である、請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
前記基材が、前記電磁放射感応性組成物の下方に、下刷りされた着色層を有する、請求項6に記載のシステム。
【請求項10】
前記基材が、光ディスクである、請求項6に記載のシステム。
【請求項11】
光ディスクにレーベル印刷する方法であって、
a) 電磁放射感応性組成物を前記光ディスクの表面に適用するステップであって、前記組成物が、ブラックロイコ染料、活性化剤、及び電磁放射吸収剤を含んで成り、前記ロイコ染料が、イソベンゾフラノン含有染料である、ステップと、
b) データ源から、電磁放射を生ずるように構成された電磁放射源へと画像データを転送するステップと、
c) 前記光ディスク上に可視像を生成すべく、予め定められた周波数、強度、時間、及びスポットサイズにて電磁放射にさらすことによって前記電磁放射感応性組成物の少なくとも一部を変色させるステップと、
を包含する、方法。
【請求項12】
前記電磁放射感応性組成物が、ロイコ染料を含有する層と、吸収剤を含有する層とからなる、隣接した層から形成されている、請求項11に記載の光ディスクにレーベル印刷する方法。
【請求項13】
前記画像データを転送するステップが、回転時の前記光ディスクの最上面に関して電磁放射源が追従するパスに整合するスパイラルパスに対応するように、前記データをディジタル化するステップをさらに含む、請求項11に記載の光ディスクにレーベル印刷する方法。
【請求項14】
前記電磁放射感応性組成物が、非ロイコ着色剤をさらに含む、請求項11に記載の光ディスクにレーベル印刷する方法。
【請求項15】
前記ロイコ染料が、
【化1−1】
【化1−2】
から成る群から選択される、請求項1〜14の何れか1項に記載の光ディスク、システム、又は方法。
【請求項1】
電磁放射感応性組成物がその上にコーティングされた光ディスク基材を含む光ディスクであって、前記電磁放射感応性組成物が、
a) 顕色時にブラック画像を形成し得るロイコ染料であって、イソベンゾフラノン含有染料である、ロイコ染料と、
b) 前記ロイコ染料と反応するように構成された活性化剤と、
c) 前記ロイコ染料と混合されているか又は熱的に接触している電磁放射吸収剤であって、反応を促進させるのに十分な電磁放射の影響下で熱的に活性である、電磁放射吸収剤と、
を含んで成る、光ディスク。
【請求項2】
前記吸収剤が前記ロイコ染料と混合されており、前記吸収剤が電磁放射の影響下で熱的に活性である、請求項1に記載の光ディスク。
【請求項3】
前記電磁放射吸収剤が第1層に含まれ且つ前記ロイコ染料及び前記活性化剤が第2層に含まれており、前記第2層が、前記吸収剤が電磁放射によって活性化されると前記ロイコ染料と熱接触するように、前記第1層に関して構成されている、請求項1に記載の光ディスク。
【請求項4】
前記電磁放射が、レーザの形態である、請求項1に記載の光ディスク。
【請求項5】
電磁放射感応性組成物が、非ロイコ染料をさらに含む、請求項1に記載の光ディスク。
【請求項6】
基材にレーベル印刷するシステムであって、
a) 画像データ源と、
b) 電磁放射感応性組成物がその上にコーティングされている基材であって、前記電磁放射感応性組成物が、
i) 顕色時にブラック画像を形成し得る、イソベンゾフラノン含有染料であるロイコ染料と、
ii) 前記ロイコ染料と反応するように構成された活性化剤と、
iii) 前記ロイコ染料と混合されているか又は熱的に接触している電磁放射級取材であって、反応を促進させるのに十分な電磁放射の影響下で熱的に活性である、電磁放射吸収剤と、
を含んで成る、基材と、
c) 画像データ源に有効に接続され且つ前記電磁放射感応性組成物に電磁放射を誘導し得るように構成された電磁放射源と、
を含む、システム。
【請求項7】
前記電磁放射源が、0.05〜1.0 J/cm2の熱流束を生ずることのできるレーザ源の形態である、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記ブラック画像の光学濃度が、少なくとも1.3である、請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
前記基材が、前記電磁放射感応性組成物の下方に、下刷りされた着色層を有する、請求項6に記載のシステム。
【請求項10】
前記基材が、光ディスクである、請求項6に記載のシステム。
【請求項11】
光ディスクにレーベル印刷する方法であって、
a) 電磁放射感応性組成物を前記光ディスクの表面に適用するステップであって、前記組成物が、ブラックロイコ染料、活性化剤、及び電磁放射吸収剤を含んで成り、前記ロイコ染料が、イソベンゾフラノン含有染料である、ステップと、
b) データ源から、電磁放射を生ずるように構成された電磁放射源へと画像データを転送するステップと、
c) 前記光ディスク上に可視像を生成すべく、予め定められた周波数、強度、時間、及びスポットサイズにて電磁放射にさらすことによって前記電磁放射感応性組成物の少なくとも一部を変色させるステップと、
を包含する、方法。
【請求項12】
前記電磁放射感応性組成物が、ロイコ染料を含有する層と、吸収剤を含有する層とからなる、隣接した層から形成されている、請求項11に記載の光ディスクにレーベル印刷する方法。
【請求項13】
前記画像データを転送するステップが、回転時の前記光ディスクの最上面に関して電磁放射源が追従するパスに整合するスパイラルパスに対応するように、前記データをディジタル化するステップをさらに含む、請求項11に記載の光ディスクにレーベル印刷する方法。
【請求項14】
前記電磁放射感応性組成物が、非ロイコ着色剤をさらに含む、請求項11に記載の光ディスクにレーベル印刷する方法。
【請求項15】
前記ロイコ染料が、
【化1−1】
【化1−2】
から成る群から選択される、請求項1〜14の何れか1項に記載の光ディスク、システム、又は方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2006−527097(P2006−527097A)
【公表日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−518840(P2005−518840)
【出願日】平成16年1月23日(2004.1.23)
【国際出願番号】PCT/US2004/001805
【国際公開番号】WO2004/067289
【国際公開日】平成16年8月12日(2004.8.12)
【出願人】(503003854)ヒューレット−パッカード デベロップメント カンパニー エル.ピー. (1,145)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年1月23日(2004.1.23)
【国際出願番号】PCT/US2004/001805
【国際公開番号】WO2004/067289
【国際公開日】平成16年8月12日(2004.8.12)
【出願人】(503003854)ヒューレット−パッカード デベロップメント カンパニー エル.ピー. (1,145)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]