説明

基板に貼着されたテープ状部材の検査装置及び検査方法

【課題】この発明は基板に一列に貼着された複数の異方性導電部材の捲れを迅速の検査する検査装置を提供することにある。
【解決手段】基板に貼着された複数の異方性導電部材4a〜4nを撮像する撮像カメラ2と、撮像カメラの撮像範囲における基板のリード3の異方性導電部材が貼着されていない部分の輝度を測定するリード明暗測定部6と、リード明暗測定部の測定に基づいて閾値を設定する二値化閾値設定部8と、二値化閾値設定部によって設定された閾値を格納する閾値格納部10と、閾値格納部に格納された閾値に基づいて撮像カメラが順次撮像する複数の異方性導電部材のそれぞれの部分の撮像画像を二値化処理する二値化画像作成部9と、二値化画像作成部によって得られた二値化画像に基づいてテープ状部材の端部の状態を判定する判定部13を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は基板の側部に形成されたリードに貼着された粘着性のテープ状部材に電子部品を実装する前に、上記テープ状部材の貼着状態を検査する検査装置及び検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、液晶表示装置の組立工程では、基板としての液晶表示パネルの側辺部に、液晶駆動用ICが搭載された電子部品としての複数のタブ(TAB:Tape Automated Bonding)を所定間隔で実装し、これらタブに対して同じく電子部品としての回路基板を電気的に接続して上記表示装置を組み立てるということが行われている。
【0003】
上記液晶表示パネルにタブを実装する場合、表示パネルの側辺部の多数のリードが所定間隔で形成された上面に、テープ状部材としての粘着性を有する異方性導電部材を貼着する。ついで、この異方性導電部材に複数のタブを所定間隔で仮圧着した後、これらタブを本圧着するということが行なわれている。そして、液晶表示パネルにタブを本圧着したならば、これらタブに異方性導電部材が一側部に貼着された上記回路基板を本圧着するようにしている。
【0004】
上記液晶表示パネルや回路基板の側辺部に貼着される異方性導電部材は上述したように粘着性を有するから、供給リールに剥離性の高い樹脂製の離型テープと重ね合わせて巻かれている。そして、離型テープが接着されていない側面を下にして上記供給リールから繰り出されて所定長さに切断された後、上記液晶表示パネルの側辺部の上面に加圧貼着される。
【0005】
ついで、上記異方性導電部材の上記液晶表示パネルに貼着された部分から上記離型テープを剥離した後、その基板は上記タブを仮圧着する次工程に搬送される。タブを仮圧着したならば、そのタブを次工程で本圧着し、その後、これらタブに上記回路基板を異方性導電部材によって圧着するということが行われる。
【0006】
液晶表示パネルや回路基板に貼着された異方性導電テープから離型テープを剥離する際、たとえば剥離ローラを離型テープに係合させ、この剥離ローラを異方性導電部材に沿って移動させることで、上記離型テープを上記異方性導電部材から引き離すようにしている。
【0007】
そのため、離型テープを剥がす力が上記異方性導電テープに加わることが避けられないから、その力によって液晶表示パネルや回路基板に貼着された異方性導電部材が剥離することがあり、そして剥離した異方性導電部材の端部は液晶表示パネルや回路基板から捲くれ上がるということがある。その結果、次工程で上記液晶表示パネルや回路基板に対してタブを確実に圧着できなくなるという問題が生じる。
【0008】
そこで、液晶表示パネルや回路基板に異方性導電テープを貼着したならば、次工程に送る前に異方性導電部材の端部が捲くれ上がっているか否かを自動的に検査するということが行なわれている。
【0009】
異方性導電部材の端部の捲くれ上がりを検査する場合、従来は特許文献1に示されているように基板に貼着された異方性導電部材の端部の部分を撮像カメラによって撮像し、その画像の撮像画素を白画素と黒画素とに二値化処理した後、どちらか一方の画素を計数し、その計数値を予め設定された閾値と比較する。
【0010】
図6は撮像カメラによって撮像された視野範囲の基板及びリードの輝度及びこれらを二値化処理する際に設定される閾値B1を示す。同図において、X1は異方性導電部材が貼着された部分のリードの輝度で、X2は異方性導電部材が貼着されていないリードの輝度を示しており、X3はリード間の基板の地肌の輝度を示している。
【0011】
異方性導電部材の端部が捲くれ上がっていれば、捲くれ上がっている部分からリードが露出することになる。リードは光を反射する輝度の高い金属が用いられているから、液晶表示パネルや回路基板などの基板のリードが設けられていない部分に比べて閾値B1よりも高い輝度を有し、二値化処理した場合には白画素となる。
【0012】
そのため、異方性導電部材の端部が捲くれ上がってリードが露出している場合、その部分は白画素になるから、異方性導電部材が正常に貼着されている場合に比べて白画素数が多くなる。
【0013】
それによって、白画素と黒画素のどちらか一方の計数値と、予め設定された異方性導電部材が正常に貼着された状態における白画素或いは黒画素の設定値を比較すれば、その差によって異方性導電部材の端部が捲くれ上がっているか否かを判定することができるというものである。
【0014】
ところで、液晶表示パネルや回路基板などの基板にリードを形成する場合、リード形成時の処理むらなどによってリードの輝度にはばらつきが生じるということがある。つまり、基板のロットや品種によってリードの輝度が異なるということがある。たとえば、上記リードの表面は、なし地状となっていて輝度が低い場合や光沢面となっていて輝度が高い場合などがある。
【0015】
リードの輝度が高い場合、そのリードに異方性導電部材が貼着されていても、異方性導電部材は薄くて透光性を有するため、異方性導電部材によって覆われた部分のリードの輝度が図6に鎖線で示すX4のように閾値B1よりも高くなることがある。
【0016】
そのような状態で、撮像カメラによって異方性導電部材の端部を撮像し、その撮像画像を二値化処理して図7に示すように二値化画像P1を作成すると、異方性導電部材から露出したリードの部分だけでなく、異方性導電部材によって覆われたリードの部分P2も白画素になってしまう。この場合、黒画素はリード間から露出した基板の部分だけである。
【0017】
そのため、白画素の割合が予め設定された設定値よりも多くなるから、実際には異方性導電部材の端部が捲くれ上がっていないのに、捲くれ上がっているという判定結果になるということがある。
【0018】
そこで、特許文献2では基板の品種によってリードの輝度が異なる場合であっても、異方性導電部材の端部が捲くれ上がっているか否かを確実に判定することができるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】特開2003−75366号公報
【特許文献2】特開2008−185574号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
特許文献2では、テープ状部材の端部を撮像する際、上記リードの上記テープ状部材から露出した部分を撮像し、その部分の輝度を測定する。そして、測定された輝度に基づいて閾値を設定し、その閾値に基づいて撮像カメラによって撮像された画像を二値化処理して二値化画像を作成し、テープ状部材の端部の捲れ状態を変態するようにしている。
【0021】
このような方法よれば、リードの輝度が基板の品種によって異なっても、テープ状部材の端部の捲れ状態を確実に検出することが可能となる。
【0022】
ところで、最近では、基板の側辺部に貼着されるテープ状部材を、その側辺部に接続されるタブの幅寸法に応じた長さに分断することで、基板にタブを実装した状態において、所定間隔で隣り合うタブ間に不要なテープ状部材が露出残留することがないようにしている。その場合、基板の側辺部には所定長さに切断された複数のテープ状部材が貼着されることになる。
【0023】
特許文献2では基板の側辺部のほぼ全長にわたって1本のテープ状部材を貼着するようにしている。そのため、テープ状部材の端部は2箇所であるから、その2箇所でテープ状部材が捲れているか否かを検査するだけであった。
【0024】
しかしながら、上述したように基板の側辺部に所定長さに分断された複数のテープ状部材を貼着した場合、テープ状部材の端部の数は基板に実装されるタブの数に応じて多くなる。
【0025】
そのため、各テープ状部材の端部の全てにおいて、特許文献2に示されている輝度の測定及びその測定に基づく閾値の設定を行って各テープ状部材の端部の状態を判定するようにしたのでは、検査能率が大幅に低下し、生産性が損なわれることになる。
【0026】
この発明は基板の側辺部に分断された複数のテープ状部材が貼着されている場合、各テープ状部材の端部の貼着状態を能率よく検査することができるようにした基板に貼着されたテープ状部材の検査装置及び検査方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0027】
この発明は、複数のリードが所定間隔で設けられた基板の側部上面に、所定長さに切断されて一列に貼着された複数のテープ状部材の上記基板に対する貼着状態を検査する検査装置であって、
上記基板に貼着されたテープ状部材を撮像する撮像手段と、
この撮像手段の撮像範囲における上記リードの上記テープ状部材が貼着されていない部分の輝度を測定するリード明暗測定部と、
このリード明暗測定部の測定に基づいて閾値を設定する二値化閾値設定部と、
この二値化閾値設定部によって設定された閾値を格納する閾値格納部と、
この閾値格納部に格納された閾値に基づいて上記撮像手段が順次撮像する複数のテープ状部材のそれぞれの撮像画像を二値化処理する二値化画像作成部と、
この二値化画像作成部によって得られた二値化画像に基づいて上記テープ状部材の貼着状態を判定する判定手段と
を具備したことを特徴とする基板に貼着されたテープ状部材の検査装置にある。
【0028】
上記閾値格納部には上記基板の品種によって異なる上記リードのテープ状部材が貼着されていない部分の輝度に基づく複数の閾値が格納されていて、
上記二値化画像作成部は、基板の品種に応じて予め決定される上記閾値格納部に格納された輝度に基づいて上記撮像手段が順次撮像する複数のテープ状部材のそれぞれの撮像画像を二値化処理することが好ましい。
【0029】
この発明は、複数のリードが所定間隔で設けられた基板の側部上面に、所定長さに切断されて一列に貼着された複数のテープ状部材の上記基板に対する貼着状態を検査する検査方法であって、
上記基板に貼着されたテープ状部材を撮像する工程と、
上記撮像の撮像範囲における上記リードの上記テープ状部材が貼着されていない部分の輝度を測定する工程と、
この輝度の測定に基づいて閾値を設定する工程と、
設定された閾値を格納する工程と、
格納された閾値に基づいて順次撮像される複数のテープ状部材のそれぞれの撮像画像を二値化処理する工程と、
この二値化処理によって得られた二値化画像に基づいて上記テープ状部材の貼着状態を判定する工程と
を具備したことを特徴とする基板に貼着されたテープ状部材の検査方法にある。
【0030】
上記基板の品種によって異なる上記リードのテープ状部材が貼着されていない部分の輝度に基づく複数の閾値が格納され、
上記基板の品種に応じて予め決定される輝度に基づいて順次撮像される複数のテープ状部材のそれぞれの撮像画像を二値化処理することが好ましい。
【0031】
基板のロット或いは品種が同じであるときに、格納された閾値を繰り返して用いて複数のテープ状部材のそれぞれの撮像画像を二値化処理することが好ましい。
【発明の効果】
【0032】
この発明によれば、テープ状部材が貼着されていない部分のリードの輝度に基づいて閾値を設定して格納したならば、格納された閾値を利用して複数のテープ状部材のそれぞれの端部の撮像画像を二値化処理して得られる二値化画像によって各テープ状部材の端部の状態を判定する。
【0033】
そのため、基板に貼着されるテープ状部材が複数に分割されていても、基板が同じロットや品種であれば閾値の設定は1回ですみ、それぞれのテープ状部材の端部毎に閾値を設定せずにすむから、複数のテープ状部材の端部の状態の検査を能率よく行なうことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】この発明の一実施の形態を示す検査装置のブロック図。
【図2】テープ状の複数の異方性導電部材が一列に貼着された基板の側辺部を一部省略して示す平面図。
【図3】撮像カメラの視野範囲から検出範囲を抽出するときの説明図。
【図4】検出範囲の輝度の平均値から設定された閾値と、視野範囲の基板及びリードの輝度の関係を示す図。
【図5】設定された閾値に基づいて視野範囲の撮像信号を二値化処理して得られた二値化画像を示す図。
【図6】従来の閾値と、撮像カメラの視野範囲の基板及びリードの輝度の関係を示す図。
【図7】従来のリードの輝度が高い場合に得られる二値化画像の図。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、この発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
図1乃至図5はこの発明の一実施の形態を示し、図1は検査装置1のブロック図である。この検査装置1は撮像カメラ2を有する。この撮像カメラ2は図3に示す液晶表示パネルや回路基板などの複数のリード3が所定間隔で設けられた一側部の端部を撮像する。
【0036】
上記基板Wの一側部には、図2に示すようにテープ状部材としての所定長さに分断された複数の異方性導電部材4a〜4nが図示しない貼着装置によってほぼ全長にわたって貼着されていて、上記撮像カメラ2は基板Wの側辺部の長手方向一端に位置する最初の異方性導電部材4aの端部が視野範囲に入るよう、上記基板Wの一側部の端部を撮像する。上記撮像カメラ2の視野範囲を図3にRで示す。
【0037】
図1に示すように、上記撮像カメラ2の撮像信号Sは画像メモリ5に出力されてここに格納される。画像メモリ5に格納された撮像信号Sはリード明暗測定部6に読み出される。このリード明暗測定部6は上記視野範囲R内の図3に示す検出範囲rのリード3の輝度の平均値Mを算出する。上記検出範囲rは異方性導電部材4が貼着されない1つのリード3の一部分であって、上記平均値Mは上記検出範囲rの輝度の平均値となる。
【0038】
なお、検出範囲rは、異方性導電部材4が貼着されない1つのリード3の一部分に限られず、基板Wの地肌の部分を含む複数のリード3の部分を検出範囲として抽出し、その検出範囲のうちから基板Wの地肌の部分を除く複数のリード3の部分の輝度の平均値Mを求めるようにしてもよい。
【0039】
上記リード明暗測定部6で算出された平均値Mは二値化閾値設定部8に読み出される。この二値化閾値設定部8では平均値Mに所定の係数αを乗じた値を閾値B(図4に示す)として設定する。この閾値Bは閾値格納部10に格納されるともに、上記画像メモリ5から読み出された視野範囲Rの撮像信号Sを二値化処理する。
【0040】
上記係数αは0.70〜0.95が好ましく、さらに好ましくは0.80〜0.90であって、この実施の形態では0.85に設定されている。すなわち、係数αは検出範囲rのリード3の輝度を、実際のリード3の輝度よりも低い85%の値に設定する。
【0041】
つまり、係数αを0.85とすることで、閾値Bはリード3の異方性導電部材4が貼着された部分の輝度よりも高い値で、しかも異方性導電部材4から露出したリード3の輝度よりも低い値になるよう、ロット或いは品種に応じたそれぞれの基板Wを検査する度に設定されて上記閾値格納部10に格納される。
【0042】
それによって、基板Wのロット或いは品種によってリード3の輝度が異なっても、同一のロット或いは品種の基板Wであれば、係数αを乗じて設定される同じ値の閾値Bを用いて、リード3が異方性導電部材4によって覆われているか否かを確実に判別することができる値となる。なお、閾値Bはリード3間から露出する基板Wの地肌の輝度よりも高い輝度であるから、基板Wの地肌の判別も確実に行なうことができる。
【0043】
上記二値化閾値設定部8で二値化処理された撮像信号Sは二値化画像作成部9に読み出され、ここで図5に示す二値化画像Pが作成される。二値化画像作成部9で作成された二値化画像Pはカウント部11に読み出され、ここで二値化画像Pに含まれる白画素数と黒画素数とがカウントされる。
【0044】
そして、白画素数と黒画素数の比率或いは白画素数または黒画素数がカウント信号Cとして上記カウント部11に格納される。この実施の形態では白画素数がカウント信号Cとしてカウント部11に格納されている。
【0045】
上記カウント部11に格納されたカウント信号Cは比較部12に読み出され、この比較部12で予め設定された設定値Vと比較される。この設定値Vは、予め二値化画像Pにおけるリード3の異方性導電部材4によって覆われた部分及び基板Wの地肌の部分を黒画素とし、リード3の露出した部分を白画素としたときの、白画素の数に応じて設定される。
【0046】
したがって、上記カウント信号Cが設定値Vよりも大きければ、黒画素よりも白画素が多いということであるから、異方性導電部材4の端部が捲れてリード3が露出していると判定される。逆に上記設定値Vがカウント信号Cよりも小さければ、白画素よりも黒画素が多いということであるから、異方性導電部材4の端部が捲れていないと判定される。
【0047】
そして、それらの判定結果が上記比較部12から判定部13に出力され、その判定結果が上記判定部13によって表示或いは警報されて作業者に知らされる。
【0048】
このような構成の検査装置1において、異方性導電部材4の端部が捲くれているか否かを検査する場合、基板Wが新たなロット或いは品種であるならば、その基板Wの側辺部に貼着された最初の異方性導電部材4aの一端部を撮像カメラ2によって撮像する。撮像カメラ2の撮像信号Sは画像メモリ5に取り込まれ、リード明暗測定部6に読み出される。
【0049】
上記リード明暗測定部6では、撮像カメラ2の視野範囲Rの異方性導電部材4が貼着されていないリード3の一部を検出範囲rとして抽出し、その検出範囲rの輝度の平均値Mを求める。
【0050】
そして、二値化閾値設定部8では上記平均値Mに1よりも小さな係数α、この実施の形態ではα=0.85を乗じて閾値Bを設定し、その閾値Bによって二値化画像作成部9で撮像信号Sを白画素と黒画素とに二値化処理し、二値化画像Pを作成する。それと同時に、上記閾値Bは閾値格納部10に格納される。
【0051】
上記閾値Bは、リード3の異方性導電部材4が貼着されていない部分である、検出範囲rの平均輝度に係数αを乗じて設定される。そのため、リード3の輝度が高い場合であっても、その閾値Bは図4に示すようにリード3の異方性導電部材4が貼着されていない露出部分の輝度X2よりも低い値であり、リード3の異方性導電部材4が貼着された部分の輝度X1及び基板Wの地肌の輝度X3よりも高い値である。
【0052】
そのため、二値化画像作成部9で二値化画像Pを作成すれば、図5に示すようにリード3の異方性導電部材4が貼着された部分及びリード3が形成されていない基板Wの地肌の部分は黒画素となり、リード3の異方性導電部材4によって覆われていない部分である、露出したリード3の部分は白画素となる。
【0053】
したがって、基板Wに形成されたリード3の輝度X2が高い場合であっても、リード3が異方性導電部材4によって覆われていれば、その部分の輝度X1は閾値Bよりも小さいため黒画素となり、リード3の異方性導電部材4から露出した部分の輝度X2は閾値Bより大きいため白画素となる。
【0054】
そのため、二値化画像作成部9で作成される二値化画像Pに含まれる白画素の数は、リード3の異方性導電部材4が貼着されていない部分及び異方性導電部材4が捲くれた部分だけとなり、リード3の輝度X2が高くなることで、従来のように白画素が増大するということがないから、カウント部11でカウントされた二値化画像Pの白画素の数を比較部12で設定値Vと比較すれば、異方性導電部材4が捲くれているか否かを確実に判定することができる。
【0055】
このようにして、最初の異方性導電部材4aの一方の端部が捲くれているか否かを確実に判定したならば、つぎは最初の異方性導電部材4aの他端部を撮像する。この撮像信号Sは、画像メモリ5に取り込まれ、リード明暗測定部6に読み出された後、撮像カメラ2の視野範囲Rの異方性導電部材4が貼着されていないリード3の一部を検出範囲rとして抽出し、その検出範囲rの輝度の平均値Mを求める。
【0056】
検出範囲rの輝度の平均値Mを求めたならば、二値化画像作成部9によって予め閾値格納部10に格納された閾値Bに基づいて二値化画像Pが作成される。それによって、カウント部11でカウントされた二値化画像Pの白画素の数を比較部12で設定値Vと比較すれば、最初の異方性導電部材4aの他端部が捲くれているか否かを判定することができる。
【0057】
このようにして、最初の異方性導電部材4aの一端部と他端部の捲れ状態を検査したならば、以下、最初の異方性導電部材4aの他端部と同様にして、2番目の異方性導電部材4bの一端部と他端部、…n番目の異方性導電部材4nの一端部と他端部が捲れているか否かを判定することができる。
【0058】
つまり、基板Wが同じロットや品種の場合、最初の基板Wの最初の異方性導電部材4aの一端部におけるリード3の異方性導電部材4aが貼着されていない部分の輝度を測定して閾値Bを設定し、その閾値Bを閾値格納部10に格納したならば、その基板Wの他の部分では閾値格納部10に格納された閾値Bを利用して最初の異方性導電部材4aの他端部及び他の異方性導電部材4b〜4nの一端部と他端部の捲れ状態を判定することができる。つまり、閾値格納部10に格納された閾値Bを繰り返して使用することになる。
【0059】
したがって、異方性導電部材4a〜4nの一端部と他端部を撮像する度に、閾値Bを設定せずに捲れ状態を判定することができるから、異方性導電部材4a〜4nの捲れ検査を迅速に、しかも確実に行なうことができる。
【0060】
上記閾値格納部10には基板Wのロットや品種に応じたリード3の輝度に基づいて複数の異なる閾値Bを格納することができる。したがって、過去に検査が行われた基板Wと同じロットや品種の基板Wに貼着された異方性導電部材4a〜4nの捲れを検査する場合には、上記閾値格納部10に格納された閾値Bを利用することができる。
【0061】
つまり、過去に検査が行われたロット或いは品種と同じ基板Wの場合、最初の異方性導電部材4aの一端部を撮像して閾値Bを求めるということをせずに、全ての異方性導電部材4a〜4nの一端部と他端部の捲れを検査することができる。
【0062】
上記一実施の形態では複数に分割された各異方性導電部材の一端部と他端部を撮像し、その異方性導電部材の一端部と他端部の捲れ状態を判定するようにしたが、異方性導電部材は両端部だけが捲れ上がっている場合だけでなく、長さ全体の半分以上が捲くれていたり、大きく捲くれていることがある。そのような場合、撮像カメラによる撮像は異方性導電部材の両端部でなく、中途部の一箇所であってもよい。
【0063】
また、基板のロットや種類によっては、複数の異方性導電部材が貼着された基板の側辺部に抵抗やコンデンサなどが設けられている場合があり、そのような場合には各異方性導電部材の両端部が抵抗やコンデンサなどが設けられている部分に対応すると、その部分の輝度が他の部分と異なる場合がある。
【0064】
したがって、そのようなロットや種類の基板の場合、最初の1枚の基板では全ての異方性導電部材の両端部を撮像し、各端部の閾値を設定して閾値格納部に格納しておく。そして、所定の異方性導電部材の端部を測定したときに、その端部に対応する、閾値格納部に格納された閾値を利用することで、その端部の捲れ状態を判定するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0065】
2…撮像カメラ(撮像手段)、3…リード、4a〜4n…異方性導電部材(テープ状部材)、5…画像メモリ、8…二値化閾値設定部、9…二値化画像作成部、10…閾値格納部、11…カウント部、12…比較部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のリードが所定間隔で設けられた基板の側部上面に、所定長さに切断されて一列に貼着された複数のテープ状部材の上記基板に対する貼着状態を検査する検査装置であって、
上記基板に貼着されたテープ状部材を撮像する撮像手段と、
この撮像手段の撮像範囲における上記リードの上記テープ状部材が貼着されていない部分の輝度を測定するリード明暗測定部と、
このリード明暗測定部の測定に基づいて閾値を設定する二値化閾値設定部と、
この二値化閾値設定部によって設定された閾値を格納する閾値格納部と、
この閾値格納部に格納された閾値に基づいて上記撮像手段が順次撮像する複数のテープ状部材のそれぞれの撮像画像を二値化処理する二値化画像作成部と、
この二値化画像作成部によって得られた二値化画像に基づいて上記テープ状部材の貼着状態を判定する判定手段と
を具備したことを特徴とする基板に貼着されたテープ状部材の検査装置。
【請求項2】
上記閾値格納部には上記基板の品種によって異なる上記リードのテープ状部材が貼着されていない部分の輝度に基づく複数の閾値が格納されていて、
上記二値化画像作成部は、基板の品種に応じて予め決定される上記閾値格納部に格納された輝度に基づいて上記撮像手段が順次撮像する複数のテープ状部材のそれぞれの撮像画像を二値化処理することを特徴とする請求項1記載のテープ状部材の検査装置。
【請求項3】
複数のリードが所定間隔で設けられた基板の側部上面に、所定長さに切断されて一列に貼着された複数のテープ状部材の上記基板に対する貼着状態を検査する検査方法であって、
上記基板に貼着されたテープ状部材を撮像する工程と、
上記撮像の撮像範囲における上記リードの上記テープ状部材が貼着されていない部分の輝度を測定する工程と、
この輝度の測定に基づいて閾値を設定する工程と、
設定された閾値を格納する工程と、
格納された閾値に基づいて順次撮像される複数のテープ状部材のそれぞれの撮像画像を二値化処理する工程と、
この二値化処理によって得られた二値化画像に基づいて上記テープ状部材の貼着状態を判定する工程と
を具備したことを特徴とする基板に貼着されたテープ状部材の検査方法。
【請求項4】
上記基板の品種によって異なる上記リードのテープ状部材が貼着されていない部分の輝度に基づく複数の閾値が格納され、
上記基板の品種に応じて予め決定される輝度に基づいて順次撮像される複数のテープ状部材のそれぞれの撮像画像を二値化処理することを特徴とする請求項1記載のテープ状部材の検査方法。
【請求項5】
基板のロット或いは品種が同じであるときに、格納された閾値を繰り返して用いて複数のテープ状部材のそれぞれの撮像画像を二値化処理することを特徴とする請求項3記載のテープ状部材の検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−122981(P2011−122981A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−281970(P2009−281970)
【出願日】平成21年12月11日(2009.12.11)
【出願人】(000002428)芝浦メカトロニクス株式会社 (907)
【Fターム(参考)】