基板を案内する装置及び流体を分配する装置
【課題】スロットノズル機構の出口開口の領域のさまざまな幾何学的変化への適合を実施することを可能にする流体分配装置及び基板案内装置を提供すること。
【解決手段】本発明は、基板、特にウェブ形態の基板を案内する少なくとも1つの細長い案内要素を用いて、スロットノズルを有する流体分配装置に対して基板を案内する装置に関する。本発明によれば、少なくとも1つの案内要素を弾性変形させるデバイスが設けられている。
【解決手段】本発明は、基板、特にウェブ形態の基板を案内する少なくとも1つの細長い案内要素を用いて、スロットノズルを有する流体分配装置に対して基板を案内する装置に関する。本発明によれば、少なくとも1つの案内要素を弾性変形させるデバイスが設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板、特にウェブ形態の基板を案内する少なくとも1つの細長い案内要素を用いて、スロットノズルを有する流体分配装置に対して基板を案内する案内装置に関する。
【0002】
本発明はさらに、基板に流体を分配する分配装置であって、基板が該装置に対して可動であり、本体と、スロット形状の出口開口又は複数の離間した出口開口を有するノズル機構とを備え、該出口開口を通して、ノズル機構に導入され得る流体を装置から分配し、かつ装置に対して可動である基板に塗布することができ、分配装置を通過する移動経路に沿って基板を案内するように構成される案内装置が設けられている、分配装置に関する。
【背景技術】
【0003】
流体分配装置は、フィルム、包装材料等のウェブ形態の基板に接着剤又は他の液体を塗布するために、種々の工業部門において用いられ得る。これに関して、アプリケータヘッドと呼ばれることもあるアプリケータ装置が、例えばフレームに取り付けられ、基板は、分配装置の出口開口を通過して移動させられる基板の表面に流体が塗布されるように、アプリケータヘッドを通過してコンベヤデバイスによって移動させられることで、コーティングされる。
【0004】
多くの工業用途で、ノズル機構は、一定領域に渡ってコーティングを施すことが可能であるようなスロット形状の出口開口を有する。その場合、ウェブ形態の基板は、スロット形状の出口開口に密接してそこを通過しながら案内される。棒又は回転可能なローラ等の案内要素が、案内目的で用いられ、分配された流体の膜を基板に所望するように堆積させるように分配装置に対して位置決めされる。
【0005】
案内要素の正確な向きに関しては、例えばスロット形状の出口開口に対する案内要素の間隔を特定の限度内で変えることができるように、案内要素の向きが調節可能であることが知られている。複数の細長い案内棒の互いに対する間隔を変更できる案内装置も知られている。
【0006】
比較的広い塗布幅を伴う用途、すなわち比較的広い幅を有するコーティング対象基板を伴う用途では、これに対応した、塗布幅全体にわたって延び得る比較的長いスロット形状の出口開口を有する幅広のアプリケータヘッドが用いられる。例えば、2メートルの塗布幅が必要とされ得ることにより、これに対応した幅広のスロットノズル機構が設けられる。多くの場合、流体、例えばホットメルト接着剤が、約180℃という比較的高温に加熱されて分配される。その場合、アプリケータヘッドの一部も、特にスロット形状の出口開口の領域が比較的高温に加熱される。これらの温度と長いスロットノズル機構での比較的広い塗布幅とにより、動作の際にスロットノズル機構が変形するという結果になる場合がある。したがって、例えば、スロット形状の出口開口の場合、低温状態では直線状である出口開口が、高温の動作温度ではわずかに湾曲した構成になり得る。それによってさらに、基板に対する出口開口の間隔が全幅にわたって変わるか、又はスロット形状の出口開口が基板の移動方向に関して湾曲した構成をとるという結果になり得ることで、塗布幅全体で不規則な塗布状態も招き得る。その結果さらに、基板に塗布された流体の厚さが変わり、コーティング重量が局所的に異なることで跡が残ることにもなり得る。概して、それによって完全に申し分がないとは言えない塗布パターンが生じ得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の課題は、上述の欠点を減らすことができると共に、特にスロットノズル機構の出口開口の領域の、特に詳細にはスロット形状の出口開口の領域の、さまざまな幾何学的変化への適合を実施することを特に可能にする、流体分配装置及び基板案内装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、請求項1に記載の特徴を有する本明細書の冒頭部分で述べたタイプの基板案内装置において、特に、少なくとも1つの案内要素及び案内要素を弾性変形させるデバイスが配置されるフレーム構造によって、上記課題を解決する。
【0009】
本発明はさらに、請求項14に記載の特徴を有する本明細書の冒頭部分で述べたタイプの流体分配装置において、特に、上記特徴を有する基板案内装置によって、上記課題を解決する。
【0010】
本発明による、出口開口に沿って特にウェブ形態の基板を案内する案内要素を変形させるデバイスは、案内要素が出口開口の幾何学的状態及び形状の変化に特定的に対象を定めて適合され得ることを意味する。特に、ノズル機構の領域における温度変動又は他の熱的若しくは機械的応力に起因したスロット形状の出口開口の形状の変化が、本発明による案内要素を弾性変形させるデバイスによって特定的に対象を定めて補償され得る。その点で、本発明は、局所的に変形した出口開口の特定的な適合が、案内要素の特定的なまた任意的な局所的な弾性変形によって達成され得るという認識を利用する。したがって、例えば、比較的広い塗布幅の場合に用いられる、スロット形状の出口開口に対して比較的長いスロットノズル機構の場合、スロット形状の出口開口の曲率への基板案内要素の適合は、特定的に対象を定めた局所的関係で行われ得る。本発明による弾性変形デバイスを用いて、細長いロッド、棒、又は回転可能な案内ローラを特定的に対象を定めて変形させると共に、これらを例えばスロット形状の出口開口の形状に適合させることが、可能である。同様に、本発明による変形デバイスは、複数の離間したビーズ又はスロット形塗布パターンを基板、例えばウェブ形態等のフィルムに塗布する分配装置に関しても用いられ得る。弾性変形デバイスは、棒又はローラを出口開口の曲率に特定的に一致させる。換言すれば、基板案内装置は、特にスロットノズル機構の形状又は輪郭に適合させることができる。したがって、案内要素又は複数の案内要素のその後の特定的な弾性変形も、動作の際に実施することができる。
【0011】
本発明のさらなる有利な展開は、少なくとも1つの案内要素及び弾性変形デバイスが配置される案内装置の一部であるフレーム構造を提供する。
【0012】
特に流体分配装置に対する案内要素の長手方向軸の間隔が可変であるように案内要素の位置が流体分配装置に対して可変であるように、案内要素がフレーム構造に変位可能に取り付けられることで、案内装置の好ましい調節性が得られる。したがって、基板は、特に塗布に有利な間隔でノズル機構の出口開口に厳密に沿って案内され得る。
【0013】
代替的な好ましい実施の形態では、少なくとも1つの案内要素を弾性変形させるデバイスが、案内要素に変形力を加えるようにフレーム構造に対して変位可能である少なくとも1つの変形部材を有し、好ましくは複数の変形部材が案内要素と互いに離間した隣接関係で配置される。正確な変形、したがって分配装置のノズル機構の1つ又は複数の出口開口の形状への適合を、このようにして実施することが可能である。
【0014】
構造的に有利な展開によれば、変形部材がフレーム構造に実質的に軸方向に変位可能に取り付けられ、軸方向変位軸が、案内要素の長手方向軸に対して実質的に垂直に配置されることが提案される。変形部材が、変形力を加えるために案内要素と接触している2つの互いに離間した接触要素を有し、接触要素が変形部材に好ましくは回転可能に取り付けられれば、さらに有利である。結果として、わずかな摩擦しか生じず、調節性が容易に得られる。
【0015】
さらなる好ましい実施の形態では、変形デバイスは、ねじ山と係合すると共に変形力を加えるように回転によってフレーム構造に対して軸方向に変位可能である少なくとも1つのねじボルトを有する。したがって、変形は構造的に単純に達成され得る。
【0016】
基板案内の調節性をさらに改善及び最適化するための展開によれば、フレーム構造が、細長い案内要素と実質的に平行に延びる少なくとも1つのプロファイル要素(profile element)を有し、複数の変形部材が、プロファイル要素に離間関係で取り付けられ、各変形部材に、変形力を加えるためのねじボルトが関連付けられ、各ねじボルトが、プロファイル要素のねじ山と係合することが提案される。
【0017】
基板案内は、案内要素を弾性変形させるデバイスがそれぞれに関連付けられる、実質的に互いに平行関係で配置される2つ以上の細長い案内要素によってさらに改善され得る。好ましくは、各案内要素は、流体分配装置に対する案内要素の長手方向軸の間隔が可変であるように支持され、かつ/又は各案内要素はさらに、1つの案内要素に対する別の案内要素の間隔が可変であるように変位可能に支持される。
【0018】
脆い基板、例えば薄膜の慎重な案内に関しては、案内要素が、その長手方向軸の周りに回転可能に取り付けられるローラの形態であり、好ましくは、各ローラが少なくとも1つの転がり軸受によってプロファイル要素に取り付けられ、プロファイル要素が、ローラと共にフレーム構造に変位可能に取り付けられることが提案される。好ましくは、プロファイル要素は、スピンドルねじによってフレーム構造に長手方向に変位可能に取り付けられる。
【0019】
流体分配装置のさらなる有利な展開では、案内装置及び本体がフレーム構造に固定される。
【0020】
さらなる好ましい実施の形態によれば、ノズル機構は、少なくとも1つのスロット形状の出口開口を有し、案内装置の少なくとも1つの細長い案内要素は、スロット形状の出口開口と実質的に平行な離間関係で延び、スロット形状の出口開口の構成に適合され得るように弾性変形デバイスによって変形され得る。回転可能に取り付けられるローラの形態の、望ましくは2つの離間した案内要素が、分配装置のスロット形状の出口開口と実質的に平行な離間関係で配置される。
【0021】
例として実施形態を用いて、添付図面を参照して、本発明を以下で説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】基板案内装置を備える本発明による流体分配装置の斜視図を示す。
【図2】図1の装置の側面図を示す。
【図2A】弁機構の領域2A−2Aにおける図1の装置の部分断面図を示す。
【図3】図1の装置の一部の側面図を示す。
【図4】図1の装置の一部の拡大側面図を示す。
【図5】図1の装置の一部の拡大斜視図を示す。
【図6】本発明による案内要素を変形させるデバイスの一部の側面図を示す。
【図7】本発明による案内要素を変形させるデバイスの一部の斜視図を示す。
【図8】本発明による案内要素を変形させるデバイスの一部の側面図を示す。
【図9】本発明による案内要素を変形させるデバイスの一部の分解図を示す。
【図10】本発明による案内要素を変形させるデバイスの一部の分解図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図示の流体分配装置1は、液体、特にホットメルト接着剤を種々の基板に分配する役割を果たす。他の液体が分配及び塗布されてもよく、特に、一定領域にわたって塗布されてもよい。ビード形態、ストリップ状、又は他の形態で液体を塗布することができる、代替的な実施形態も実施することができる。流体分配装置1には、流体分配装置を通過する基板の移動中に、基板、特にウェブ形態の基板を案内する基板案内装置3が設けられ、これについては以下でより詳細に説明する。
【0024】
図1〜図3に示す分配装置1は、ディストリビュータとも呼ばれ得る本体2と、本実施形態ではスロットノズル機構の形態であり本体2に螺合されるノズル機構4とを有する。図示のように、本体2及びノズル機構4は、複数の隣接するセグメントを備えるモジュラー構成とすることができる。本体2は、フレーム構造6に固定され、フレーム構造6は、複数の好ましくは金属のプロファイル部材を有することで、分配装置1によって分配された液体が、搬送装置(図示せず)によって分配装置に対して可動である基板に塗布されるように、固定的に装着及び位置決めされ得る。好適には、ウェブ又はフィルム形態である基板Sが、図3に示されている。ノズル機構4を通過する基板Sの移動経路は、矢印5で示されている。
【0025】
図1及び図2Aは、分配装置1内の流路及び流体の流れを示している。接着剤又は別の液体が、図2Aに示されているように、本体2に設けられている流体供給路10に導入され得るように、本体2は、1つ又は複数の接続部8によって、溶融ユニット等の形態の接着剤源(図示せず)に接続され得る。供給路10は、装置1の長手方向に延びる。流体の流れを選択的に遮断又は解放する複数の弁機構12も、本体2に配置される。各弁機構12は、いわゆる制御部を有し、これは、それ自体が既知の方法で空気圧式又は電気式に弁座に対して弁体を可動にすることで、ノズル機構4への流体の導入及びノズル機構4からの流体の分配が選択的に行われ得るように流体の流れを選択的に遮断又は解放する。その目的で、弁機構12が開かれると、弁機構が開いた状態で流体が接続部8から流出して供給路10及びチャンバ14(図2Aを参照)に入るように、接続部8と弁機構12の自由流断面との間に流体導通が提供される。チャンバ14は、本体2のボア(内腔)16と連通する。ボア16はさらに、本体2内にあり図2Aでは垂直であるボア(内腔)18と連通する。これらの通路を通して、弁機構12が開かれると、流体が供給路10を通ってチャンバ14に入り、ボア16及び18を通ってノズル機構4に至ることができる。図示の実施形態では、弁機構12の制御部は、空気圧で作動される。その目的で、弁座に対して弁体を移動させるためのピストンに作用する圧縮空気を導入することが可能である。
【0026】
図2A及び図3から分かるように、ノズル機構4は、2つのノズル部20、22を有する。第1のノズル部20は、ボア又は通路24を有し、これを通して本体2から、より詳細には通路24と流体連通しているボア18を通して、流体が導入され得る。通路24は、ノズル機構4のディストリビュータ通路26に通じる。図示の実施形態では、ディストリビュータ通路26は、第1のノズル部20に設けられ、チャネル又は溝の形態である。図示の実施形態の断面では、ディストリビュータ通路26は矩形であるが、他の形状も具現することができる。流体は、ディストリビュータ通路26を通してノズル機構4の長さの実質的な部分にわたって分配され得る。ディストリビュータ通路26は、実質的にスロット形状の出口通路28(図3)と流体連通し、出口通路28は、ノズル機構4から、したがって装置1から流体を分配するためのスロット形状の出口開口30に通じている。図3に示されているように、出口通路28は、第1のノズル部20の一部及び第2のノズル部22の一部によって画定される。出口通路28は、2つのノズル部20、22間の隙間によって形成される。ここでは図示されていないが、ノズル機構は、スロットノズル機構の形態でなくてもよく、流体を分配するための円形の出口開口を有する複数の例えば円筒形の出口通路を含むノズル機構の形態であってもよい。図3、図5及び図6から分かるように、ノズル部20、22は、細長い実質的に板状の構成要素として形成される。出口通路28の領域では、ノズル部20、22は、ノズル機構の外部輪郭が出口開口30に向かって集束するようになっている。この場合、ノズル部20、22の2つの外面23、25は、側面で見て、互いに対して実質的にV字形の構成で配置される。必要であれば、図3に対応させて、ノズル機構4のディストリビュータ通路26に流体を供給するための複数の弁機構12と通路とを設けて、複数の場所でノズル機構4への流体の供給を行うことを可能にしてもよい。弁機構12の数、したがって供給デバイスの数は、ノズル機構の全長に応じて決定することができる。
【0027】
図2Aが示すように、ディストリビュータ通路26は、矩形断面を有する溝の形態である。他の形状、例えば、断面が部分円形である形状も考えられるであろう。ディストリビュータ通路26は、概して円形断面を有する実質的に円筒形のディストリビュータ通路26が得られるように、ノズル部20と、また対向関係でノズル部22とにある対向配置された2つの溝によって形成されてもよい。図2Aから分かるように、ノズル機構4に設けられるディストリビュータ通路26の全長は、ディストリビュータ通路26の各側にある閉鎖体によって横方向で画定される。閉鎖体60は、ディストリビュータ通路26の各側に位置決めされ、ディストリビュータ通路26を横方向で完全に封止する。閉鎖体60は、モータ、特に電気モータ(図示せず)によってディストリビュータ通路内で変位又は摺動させることができるため、ディストリビュータ通路26の有効長、したがってスロットノズル機構の塗布幅を変えることができる。
【0028】
基板案内装置3について、特に図2〜図10を参照して以下で説明する。これは、フレーム構造6に取り付けられると共に2つの基板案内要素32、34(図3〜図5)を担持する一連のプロファイル部材を含み、基板案内要素32、34は、動作の際に基板Sを案内するために基板Sと接触する。長手方向軸の周りを回転可能であるローラの形態の2つの細長い案内要素32、34が設けられている。しかしながら、1つの案内要素32のみ又は複数の案内要素を設けることも可能であろう。各案内要素32、34は、各案内要素32、34の端に配置されている2つの対向配置された軸受マウント(bearing mountings)36、38で保持され、そこに転がり軸受等が回転可能に支持されるように配置される。軸受マウント36、38は、角型構成であり、プロファイル要素46、48それぞれに固定される。案内要素32、34及びプロファイル要素46、48は、互いに実質的に平行に、かつ細長いスロットノズル機構4のスロット形状の出口開口30と実質的に平行に延びる。各プロファイル要素46、48は、マウント50、52に横方向で固定される。横方向マウント50、52は、垂直のキャリアプロファイル部材54、57に垂直方向に変位可能にそれぞれ取り付けられるため、プロファイル要素46、48と一緒に、したがって案内要素32、34と一緒に、垂直方向に変位可能であり、これにより、互いに対する間隔及び出口開口30に対する位置が可変となっている。その目的で、キャリアプロファイル部材54、57には、対応する滑り軸受とスピンドル及びねじ山を有する駆動機構とが設けられるため、はずみ車56又はモータを用いたスピンドルの回転によって案内要素32、34を変位させることができる。マウント50、52は、プロファイル部材54、57それぞれに関連付けられるシャフト70、72によって個別に変位させることができる。さらに、マウント50、52内にも軸受機構及び駆動機構が設けられ、分配装置1に対する、したがって基板に対する案内要素32、34の間隔を変えることを可能にするために、軸受機構及び駆動機構を用いてプロファイル要素46、48を、したがって案内要素32、34を、図4に矢印55で示すようにさらなる平面内で水平方向に変位させることができる。その目的で、マウント50、52内には、はずみ車56を装着することができるシャフト62、64(図4)に接続されるスピンドルが設けられる。シャフト62、64は、ハウジング66、68内に部分的に配置される。
【0029】
案内装置3は、一方又は両方の案内要素32、34を弾性変形させるデバイス80を有する。これは、図示の実施形態では、案内要素32、34に曲げを加えるように案内要素32、34を変形させる役割を果たすことで、変形の可能性のあるスロット形状の出口開口に適合させることを可能にする。デバイス80も、フレーム構造6に配置されており、以下でより詳細に説明する。これは、変形力、本実施形態では案内要素32、34の長手方向軸に対して横方向力を案内要素32、34に加える、複数の変形部材82を有する。図示の実施形態では、これは圧力を用いるが、その点に関して、案内要素32、34に張力又はトルクを加えることができるデバイス80も考えられる。図示の実施形態では、複数の、すなわち2つの変形部材82が、案内要素32、34に隣接する異なる位置で互いに離間関係で設けられるが、他の数の場合も想定され得る。デバイス80は、一方又は両方の案内要素32、34を他の方向に弾性変形させることができるように、他の変形力作用方向を場合によっては伴うように選択的に配置及び構成されることもできる。
【0030】
各変形部材82は、矢印55(図4)の方向に軸方向に変位可能に、フレーム構造6に、より詳細にはプロファイル要素46、48に取り付けられる。その目的で、変形部材82に形成される実質的に平行六面体状の突起84が、プロファイル要素46、48の凹部又は溝86内に配置される。変形部材82は、それぞれV字形ノッチ90が設けられている実質的にU字形の部分88(図7)を有する。回転可能に取り付けられたローラの形態の2つの接触要素92、94が、部分88に取り付けられる。その目的で、ボルト96及びナット98が設けられる。接触要素92、94は、案内要素32、34と接触して変形力を加える。
【0031】
さらに、変形デバイス80は、変形部材82に関連付けられると共に固定用リング102(図8)によって部分88に結合される、それぞれのねじボルト100を有する。ボルト100は、変形部材のボア104内に端部が配置される。その螺刻部分106によって、各ボルトがプロファイル要素46、48それぞれに設けられているねじ山と係合する。好ましくは、ねじ山は、ねじブッシュ108(図9)に設けられ、ねじブッシュ108がさらに、プロファイル要素46、48のボア等に圧入固定される。したがって、ボルト100の回転によって、変形部材82が軸方向(図4の矢印55)に摺動又は変位するため、案内要素32、34は、案内要素32、34に変形力を加えることによって特定的に対象を定めて弾性変形させられることで、分配装置1のノズル機構4の出口開口30の形状に適合することが可能になる。必要に応じて特定的に対象を定めた変形をそれぞれもたらすことができるように、複数のボルト100が回転によって個別に調節されるようにしてもよい。図示の実施形態では、案内要素32、34は実質的に湾曲させることができる。ローラの形態の1つ又は複数の接触要素92が設けられ得る。
【0032】
図9及び図10は、詳細に上述した弾性変形デバイス80の個々の構成要素を示す分解図を示している。
【0033】
案内要素32、34の形状を適合させるための他の種類のデバイス80も想定され得ることが理解されるであろう。ボルト100の代わりに、水撃ポンプ又は電気モータ等によって回転可能なスピンドルを用いて、局所的かつ/又は特定的に対象を定めた変形を加えることができるようにすることも可能である。
【0034】
変形力は、ねじボルト100を緩めることによって減らすことができる。案内要素32、34の弾性は、それらが実質的に元の形状に戻ることを意味する。案内要素32、34は、剛性の棒、ロッド、板部材、又はプラスチック部品等の形態であってもよい。
【0035】
本発明による装置の動作モードを以下で説明する。
【0036】
変形している可能性のあるノズル機構4の形状、特にスロットノズル機構4の出口開口30の形状に適合できるようにするために、動作前又は動作の中断中に、若しくは動作中にも、弾性変形デバイス80を用いて、基板案内要素32、34を特定的に対象を定めて変形させることができる。さらに、はずみ車56を用いてシャフト62、64及び70、72をそれぞれ作動させることによって、案内要素32、34の分配装置1に対する間隔と互いに対する間隔とを調節できる可能性がある。動作の際には、基板Sが案内要素32、34によって出口開口30を通過して案内されながら、分配装置1によって流体が塗布される。案内要素32、34の形状は、変形装置80によって適合させることができる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板、特にウェブ形態の基板を案内する少なくとも1つの細長い案内要素を用いて、スロットノズルを有する流体分配装置に対して基板を案内する案内装置に関する。
【0002】
本発明はさらに、基板に流体を分配する分配装置であって、基板が該装置に対して可動であり、本体と、スロット形状の出口開口又は複数の離間した出口開口を有するノズル機構とを備え、該出口開口を通して、ノズル機構に導入され得る流体を装置から分配し、かつ装置に対して可動である基板に塗布することができ、分配装置を通過する移動経路に沿って基板を案内するように構成される案内装置が設けられている、分配装置に関する。
【背景技術】
【0003】
流体分配装置は、フィルム、包装材料等のウェブ形態の基板に接着剤又は他の液体を塗布するために、種々の工業部門において用いられ得る。これに関して、アプリケータヘッドと呼ばれることもあるアプリケータ装置が、例えばフレームに取り付けられ、基板は、分配装置の出口開口を通過して移動させられる基板の表面に流体が塗布されるように、アプリケータヘッドを通過してコンベヤデバイスによって移動させられることで、コーティングされる。
【0004】
多くの工業用途で、ノズル機構は、一定領域に渡ってコーティングを施すことが可能であるようなスロット形状の出口開口を有する。その場合、ウェブ形態の基板は、スロット形状の出口開口に密接してそこを通過しながら案内される。棒又は回転可能なローラ等の案内要素が、案内目的で用いられ、分配された流体の膜を基板に所望するように堆積させるように分配装置に対して位置決めされる。
【0005】
案内要素の正確な向きに関しては、例えばスロット形状の出口開口に対する案内要素の間隔を特定の限度内で変えることができるように、案内要素の向きが調節可能であることが知られている。複数の細長い案内棒の互いに対する間隔を変更できる案内装置も知られている。
【0006】
比較的広い塗布幅を伴う用途、すなわち比較的広い幅を有するコーティング対象基板を伴う用途では、これに対応した、塗布幅全体にわたって延び得る比較的長いスロット形状の出口開口を有する幅広のアプリケータヘッドが用いられる。例えば、2メートルの塗布幅が必要とされ得ることにより、これに対応した幅広のスロットノズル機構が設けられる。多くの場合、流体、例えばホットメルト接着剤が、約180℃という比較的高温に加熱されて分配される。その場合、アプリケータヘッドの一部も、特にスロット形状の出口開口の領域が比較的高温に加熱される。これらの温度と長いスロットノズル機構での比較的広い塗布幅とにより、動作の際にスロットノズル機構が変形するという結果になる場合がある。したがって、例えば、スロット形状の出口開口の場合、低温状態では直線状である出口開口が、高温の動作温度ではわずかに湾曲した構成になり得る。それによってさらに、基板に対する出口開口の間隔が全幅にわたって変わるか、又はスロット形状の出口開口が基板の移動方向に関して湾曲した構成をとるという結果になり得ることで、塗布幅全体で不規則な塗布状態も招き得る。その結果さらに、基板に塗布された流体の厚さが変わり、コーティング重量が局所的に異なることで跡が残ることにもなり得る。概して、それによって完全に申し分がないとは言えない塗布パターンが生じ得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の課題は、上述の欠点を減らすことができると共に、特にスロットノズル機構の出口開口の領域の、特に詳細にはスロット形状の出口開口の領域の、さまざまな幾何学的変化への適合を実施することを特に可能にする、流体分配装置及び基板案内装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、請求項1に記載の特徴を有する本明細書の冒頭部分で述べたタイプの基板案内装置において、特に、少なくとも1つの案内要素及び案内要素を弾性変形させるデバイスが配置されるフレーム構造によって、上記課題を解決する。
【0009】
本発明はさらに、請求項14に記載の特徴を有する本明細書の冒頭部分で述べたタイプの流体分配装置において、特に、上記特徴を有する基板案内装置によって、上記課題を解決する。
【0010】
本発明による、出口開口に沿って特にウェブ形態の基板を案内する案内要素を変形させるデバイスは、案内要素が出口開口の幾何学的状態及び形状の変化に特定的に対象を定めて適合され得ることを意味する。特に、ノズル機構の領域における温度変動又は他の熱的若しくは機械的応力に起因したスロット形状の出口開口の形状の変化が、本発明による案内要素を弾性変形させるデバイスによって特定的に対象を定めて補償され得る。その点で、本発明は、局所的に変形した出口開口の特定的な適合が、案内要素の特定的なまた任意的な局所的な弾性変形によって達成され得るという認識を利用する。したがって、例えば、比較的広い塗布幅の場合に用いられる、スロット形状の出口開口に対して比較的長いスロットノズル機構の場合、スロット形状の出口開口の曲率への基板案内要素の適合は、特定的に対象を定めた局所的関係で行われ得る。本発明による弾性変形デバイスを用いて、細長いロッド、棒、又は回転可能な案内ローラを特定的に対象を定めて変形させると共に、これらを例えばスロット形状の出口開口の形状に適合させることが、可能である。同様に、本発明による変形デバイスは、複数の離間したビーズ又はスロット形塗布パターンを基板、例えばウェブ形態等のフィルムに塗布する分配装置に関しても用いられ得る。弾性変形デバイスは、棒又はローラを出口開口の曲率に特定的に一致させる。換言すれば、基板案内装置は、特にスロットノズル機構の形状又は輪郭に適合させることができる。したがって、案内要素又は複数の案内要素のその後の特定的な弾性変形も、動作の際に実施することができる。
【0011】
本発明のさらなる有利な展開は、少なくとも1つの案内要素及び弾性変形デバイスが配置される案内装置の一部であるフレーム構造を提供する。
【0012】
特に流体分配装置に対する案内要素の長手方向軸の間隔が可変であるように案内要素の位置が流体分配装置に対して可変であるように、案内要素がフレーム構造に変位可能に取り付けられることで、案内装置の好ましい調節性が得られる。したがって、基板は、特に塗布に有利な間隔でノズル機構の出口開口に厳密に沿って案内され得る。
【0013】
代替的な好ましい実施の形態では、少なくとも1つの案内要素を弾性変形させるデバイスが、案内要素に変形力を加えるようにフレーム構造に対して変位可能である少なくとも1つの変形部材を有し、好ましくは複数の変形部材が案内要素と互いに離間した隣接関係で配置される。正確な変形、したがって分配装置のノズル機構の1つ又は複数の出口開口の形状への適合を、このようにして実施することが可能である。
【0014】
構造的に有利な展開によれば、変形部材がフレーム構造に実質的に軸方向に変位可能に取り付けられ、軸方向変位軸が、案内要素の長手方向軸に対して実質的に垂直に配置されることが提案される。変形部材が、変形力を加えるために案内要素と接触している2つの互いに離間した接触要素を有し、接触要素が変形部材に好ましくは回転可能に取り付けられれば、さらに有利である。結果として、わずかな摩擦しか生じず、調節性が容易に得られる。
【0015】
さらなる好ましい実施の形態では、変形デバイスは、ねじ山と係合すると共に変形力を加えるように回転によってフレーム構造に対して軸方向に変位可能である少なくとも1つのねじボルトを有する。したがって、変形は構造的に単純に達成され得る。
【0016】
基板案内の調節性をさらに改善及び最適化するための展開によれば、フレーム構造が、細長い案内要素と実質的に平行に延びる少なくとも1つのプロファイル要素(profile element)を有し、複数の変形部材が、プロファイル要素に離間関係で取り付けられ、各変形部材に、変形力を加えるためのねじボルトが関連付けられ、各ねじボルトが、プロファイル要素のねじ山と係合することが提案される。
【0017】
基板案内は、案内要素を弾性変形させるデバイスがそれぞれに関連付けられる、実質的に互いに平行関係で配置される2つ以上の細長い案内要素によってさらに改善され得る。好ましくは、各案内要素は、流体分配装置に対する案内要素の長手方向軸の間隔が可変であるように支持され、かつ/又は各案内要素はさらに、1つの案内要素に対する別の案内要素の間隔が可変であるように変位可能に支持される。
【0018】
脆い基板、例えば薄膜の慎重な案内に関しては、案内要素が、その長手方向軸の周りに回転可能に取り付けられるローラの形態であり、好ましくは、各ローラが少なくとも1つの転がり軸受によってプロファイル要素に取り付けられ、プロファイル要素が、ローラと共にフレーム構造に変位可能に取り付けられることが提案される。好ましくは、プロファイル要素は、スピンドルねじによってフレーム構造に長手方向に変位可能に取り付けられる。
【0019】
流体分配装置のさらなる有利な展開では、案内装置及び本体がフレーム構造に固定される。
【0020】
さらなる好ましい実施の形態によれば、ノズル機構は、少なくとも1つのスロット形状の出口開口を有し、案内装置の少なくとも1つの細長い案内要素は、スロット形状の出口開口と実質的に平行な離間関係で延び、スロット形状の出口開口の構成に適合され得るように弾性変形デバイスによって変形され得る。回転可能に取り付けられるローラの形態の、望ましくは2つの離間した案内要素が、分配装置のスロット形状の出口開口と実質的に平行な離間関係で配置される。
【0021】
例として実施形態を用いて、添付図面を参照して、本発明を以下で説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】基板案内装置を備える本発明による流体分配装置の斜視図を示す。
【図2】図1の装置の側面図を示す。
【図2A】弁機構の領域2A−2Aにおける図1の装置の部分断面図を示す。
【図3】図1の装置の一部の側面図を示す。
【図4】図1の装置の一部の拡大側面図を示す。
【図5】図1の装置の一部の拡大斜視図を示す。
【図6】本発明による案内要素を変形させるデバイスの一部の側面図を示す。
【図7】本発明による案内要素を変形させるデバイスの一部の斜視図を示す。
【図8】本発明による案内要素を変形させるデバイスの一部の側面図を示す。
【図9】本発明による案内要素を変形させるデバイスの一部の分解図を示す。
【図10】本発明による案内要素を変形させるデバイスの一部の分解図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図示の流体分配装置1は、液体、特にホットメルト接着剤を種々の基板に分配する役割を果たす。他の液体が分配及び塗布されてもよく、特に、一定領域にわたって塗布されてもよい。ビード形態、ストリップ状、又は他の形態で液体を塗布することができる、代替的な実施形態も実施することができる。流体分配装置1には、流体分配装置を通過する基板の移動中に、基板、特にウェブ形態の基板を案内する基板案内装置3が設けられ、これについては以下でより詳細に説明する。
【0024】
図1〜図3に示す分配装置1は、ディストリビュータとも呼ばれ得る本体2と、本実施形態ではスロットノズル機構の形態であり本体2に螺合されるノズル機構4とを有する。図示のように、本体2及びノズル機構4は、複数の隣接するセグメントを備えるモジュラー構成とすることができる。本体2は、フレーム構造6に固定され、フレーム構造6は、複数の好ましくは金属のプロファイル部材を有することで、分配装置1によって分配された液体が、搬送装置(図示せず)によって分配装置に対して可動である基板に塗布されるように、固定的に装着及び位置決めされ得る。好適には、ウェブ又はフィルム形態である基板Sが、図3に示されている。ノズル機構4を通過する基板Sの移動経路は、矢印5で示されている。
【0025】
図1及び図2Aは、分配装置1内の流路及び流体の流れを示している。接着剤又は別の液体が、図2Aに示されているように、本体2に設けられている流体供給路10に導入され得るように、本体2は、1つ又は複数の接続部8によって、溶融ユニット等の形態の接着剤源(図示せず)に接続され得る。供給路10は、装置1の長手方向に延びる。流体の流れを選択的に遮断又は解放する複数の弁機構12も、本体2に配置される。各弁機構12は、いわゆる制御部を有し、これは、それ自体が既知の方法で空気圧式又は電気式に弁座に対して弁体を可動にすることで、ノズル機構4への流体の導入及びノズル機構4からの流体の分配が選択的に行われ得るように流体の流れを選択的に遮断又は解放する。その目的で、弁機構12が開かれると、弁機構が開いた状態で流体が接続部8から流出して供給路10及びチャンバ14(図2Aを参照)に入るように、接続部8と弁機構12の自由流断面との間に流体導通が提供される。チャンバ14は、本体2のボア(内腔)16と連通する。ボア16はさらに、本体2内にあり図2Aでは垂直であるボア(内腔)18と連通する。これらの通路を通して、弁機構12が開かれると、流体が供給路10を通ってチャンバ14に入り、ボア16及び18を通ってノズル機構4に至ることができる。図示の実施形態では、弁機構12の制御部は、空気圧で作動される。その目的で、弁座に対して弁体を移動させるためのピストンに作用する圧縮空気を導入することが可能である。
【0026】
図2A及び図3から分かるように、ノズル機構4は、2つのノズル部20、22を有する。第1のノズル部20は、ボア又は通路24を有し、これを通して本体2から、より詳細には通路24と流体連通しているボア18を通して、流体が導入され得る。通路24は、ノズル機構4のディストリビュータ通路26に通じる。図示の実施形態では、ディストリビュータ通路26は、第1のノズル部20に設けられ、チャネル又は溝の形態である。図示の実施形態の断面では、ディストリビュータ通路26は矩形であるが、他の形状も具現することができる。流体は、ディストリビュータ通路26を通してノズル機構4の長さの実質的な部分にわたって分配され得る。ディストリビュータ通路26は、実質的にスロット形状の出口通路28(図3)と流体連通し、出口通路28は、ノズル機構4から、したがって装置1から流体を分配するためのスロット形状の出口開口30に通じている。図3に示されているように、出口通路28は、第1のノズル部20の一部及び第2のノズル部22の一部によって画定される。出口通路28は、2つのノズル部20、22間の隙間によって形成される。ここでは図示されていないが、ノズル機構は、スロットノズル機構の形態でなくてもよく、流体を分配するための円形の出口開口を有する複数の例えば円筒形の出口通路を含むノズル機構の形態であってもよい。図3、図5及び図6から分かるように、ノズル部20、22は、細長い実質的に板状の構成要素として形成される。出口通路28の領域では、ノズル部20、22は、ノズル機構の外部輪郭が出口開口30に向かって集束するようになっている。この場合、ノズル部20、22の2つの外面23、25は、側面で見て、互いに対して実質的にV字形の構成で配置される。必要であれば、図3に対応させて、ノズル機構4のディストリビュータ通路26に流体を供給するための複数の弁機構12と通路とを設けて、複数の場所でノズル機構4への流体の供給を行うことを可能にしてもよい。弁機構12の数、したがって供給デバイスの数は、ノズル機構の全長に応じて決定することができる。
【0027】
図2Aが示すように、ディストリビュータ通路26は、矩形断面を有する溝の形態である。他の形状、例えば、断面が部分円形である形状も考えられるであろう。ディストリビュータ通路26は、概して円形断面を有する実質的に円筒形のディストリビュータ通路26が得られるように、ノズル部20と、また対向関係でノズル部22とにある対向配置された2つの溝によって形成されてもよい。図2Aから分かるように、ノズル機構4に設けられるディストリビュータ通路26の全長は、ディストリビュータ通路26の各側にある閉鎖体によって横方向で画定される。閉鎖体60は、ディストリビュータ通路26の各側に位置決めされ、ディストリビュータ通路26を横方向で完全に封止する。閉鎖体60は、モータ、特に電気モータ(図示せず)によってディストリビュータ通路内で変位又は摺動させることができるため、ディストリビュータ通路26の有効長、したがってスロットノズル機構の塗布幅を変えることができる。
【0028】
基板案内装置3について、特に図2〜図10を参照して以下で説明する。これは、フレーム構造6に取り付けられると共に2つの基板案内要素32、34(図3〜図5)を担持する一連のプロファイル部材を含み、基板案内要素32、34は、動作の際に基板Sを案内するために基板Sと接触する。長手方向軸の周りを回転可能であるローラの形態の2つの細長い案内要素32、34が設けられている。しかしながら、1つの案内要素32のみ又は複数の案内要素を設けることも可能であろう。各案内要素32、34は、各案内要素32、34の端に配置されている2つの対向配置された軸受マウント(bearing mountings)36、38で保持され、そこに転がり軸受等が回転可能に支持されるように配置される。軸受マウント36、38は、角型構成であり、プロファイル要素46、48それぞれに固定される。案内要素32、34及びプロファイル要素46、48は、互いに実質的に平行に、かつ細長いスロットノズル機構4のスロット形状の出口開口30と実質的に平行に延びる。各プロファイル要素46、48は、マウント50、52に横方向で固定される。横方向マウント50、52は、垂直のキャリアプロファイル部材54、57に垂直方向に変位可能にそれぞれ取り付けられるため、プロファイル要素46、48と一緒に、したがって案内要素32、34と一緒に、垂直方向に変位可能であり、これにより、互いに対する間隔及び出口開口30に対する位置が可変となっている。その目的で、キャリアプロファイル部材54、57には、対応する滑り軸受とスピンドル及びねじ山を有する駆動機構とが設けられるため、はずみ車56又はモータを用いたスピンドルの回転によって案内要素32、34を変位させることができる。マウント50、52は、プロファイル部材54、57それぞれに関連付けられるシャフト70、72によって個別に変位させることができる。さらに、マウント50、52内にも軸受機構及び駆動機構が設けられ、分配装置1に対する、したがって基板に対する案内要素32、34の間隔を変えることを可能にするために、軸受機構及び駆動機構を用いてプロファイル要素46、48を、したがって案内要素32、34を、図4に矢印55で示すようにさらなる平面内で水平方向に変位させることができる。その目的で、マウント50、52内には、はずみ車56を装着することができるシャフト62、64(図4)に接続されるスピンドルが設けられる。シャフト62、64は、ハウジング66、68内に部分的に配置される。
【0029】
案内装置3は、一方又は両方の案内要素32、34を弾性変形させるデバイス80を有する。これは、図示の実施形態では、案内要素32、34に曲げを加えるように案内要素32、34を変形させる役割を果たすことで、変形の可能性のあるスロット形状の出口開口に適合させることを可能にする。デバイス80も、フレーム構造6に配置されており、以下でより詳細に説明する。これは、変形力、本実施形態では案内要素32、34の長手方向軸に対して横方向力を案内要素32、34に加える、複数の変形部材82を有する。図示の実施形態では、これは圧力を用いるが、その点に関して、案内要素32、34に張力又はトルクを加えることができるデバイス80も考えられる。図示の実施形態では、複数の、すなわち2つの変形部材82が、案内要素32、34に隣接する異なる位置で互いに離間関係で設けられるが、他の数の場合も想定され得る。デバイス80は、一方又は両方の案内要素32、34を他の方向に弾性変形させることができるように、他の変形力作用方向を場合によっては伴うように選択的に配置及び構成されることもできる。
【0030】
各変形部材82は、矢印55(図4)の方向に軸方向に変位可能に、フレーム構造6に、より詳細にはプロファイル要素46、48に取り付けられる。その目的で、変形部材82に形成される実質的に平行六面体状の突起84が、プロファイル要素46、48の凹部又は溝86内に配置される。変形部材82は、それぞれV字形ノッチ90が設けられている実質的にU字形の部分88(図7)を有する。回転可能に取り付けられたローラの形態の2つの接触要素92、94が、部分88に取り付けられる。その目的で、ボルト96及びナット98が設けられる。接触要素92、94は、案内要素32、34と接触して変形力を加える。
【0031】
さらに、変形デバイス80は、変形部材82に関連付けられると共に固定用リング102(図8)によって部分88に結合される、それぞれのねじボルト100を有する。ボルト100は、変形部材のボア104内に端部が配置される。その螺刻部分106によって、各ボルトがプロファイル要素46、48それぞれに設けられているねじ山と係合する。好ましくは、ねじ山は、ねじブッシュ108(図9)に設けられ、ねじブッシュ108がさらに、プロファイル要素46、48のボア等に圧入固定される。したがって、ボルト100の回転によって、変形部材82が軸方向(図4の矢印55)に摺動又は変位するため、案内要素32、34は、案内要素32、34に変形力を加えることによって特定的に対象を定めて弾性変形させられることで、分配装置1のノズル機構4の出口開口30の形状に適合することが可能になる。必要に応じて特定的に対象を定めた変形をそれぞれもたらすことができるように、複数のボルト100が回転によって個別に調節されるようにしてもよい。図示の実施形態では、案内要素32、34は実質的に湾曲させることができる。ローラの形態の1つ又は複数の接触要素92が設けられ得る。
【0032】
図9及び図10は、詳細に上述した弾性変形デバイス80の個々の構成要素を示す分解図を示している。
【0033】
案内要素32、34の形状を適合させるための他の種類のデバイス80も想定され得ることが理解されるであろう。ボルト100の代わりに、水撃ポンプ又は電気モータ等によって回転可能なスピンドルを用いて、局所的かつ/又は特定的に対象を定めた変形を加えることができるようにすることも可能である。
【0034】
変形力は、ねじボルト100を緩めることによって減らすことができる。案内要素32、34の弾性は、それらが実質的に元の形状に戻ることを意味する。案内要素32、34は、剛性の棒、ロッド、板部材、又はプラスチック部品等の形態であってもよい。
【0035】
本発明による装置の動作モードを以下で説明する。
【0036】
変形している可能性のあるノズル機構4の形状、特にスロットノズル機構4の出口開口30の形状に適合できるようにするために、動作前又は動作の中断中に、若しくは動作中にも、弾性変形デバイス80を用いて、基板案内要素32、34を特定的に対象を定めて変形させることができる。さらに、はずみ車56を用いてシャフト62、64及び70、72をそれぞれ作動させることによって、案内要素32、34の分配装置1に対する間隔と互いに対する間隔とを調節できる可能性がある。動作の際には、基板Sが案内要素32、34によって出口開口30を通過して案内されながら、分配装置1によって流体が塗布される。案内要素32、34の形状は、変形装置80によって適合させることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板、特にウェブ形態の基板を案内する少なくとも1つの細長い案内要素を用いて、スロットノズルを有する流体分配装置に対して前記基板を案内する案内装置であって、
前記少なくとも1つの案内要素を弾性変形させるデバイスを特徴とする、案内装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つの案内要素及び前記弾性変形させるデバイスが配置されるフレーム構造を特徴とする、請求項1に記載の案内装置。
【請求項3】
前記案内要素は、該案内要素の位置が前記流体分配装置に対して可変であるように、特に、前記流体分配要素に対する該案内要素の長手方向軸の間隔が可変であるように、前記フレーム構造に変位可能に取り付けられることを特徴とする、請求項2に記載の案内装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つの案内要素を弾性変形させるデバイスは、前記案内要素に変形力を加えるように前記フレーム構造に対して変位可能である少なくとも1つの変形部材を有し、好ましくは、複数の変形部材が前記案内要素と互いに離間した隣接関係で配置されることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の案内要素。
【請求項5】
前記変形部材は、前記フレーム構造に実質的に軸方向に変位可能に取り付けられ、軸方向変位軸が、前記案内要素の前記長手方向軸に対して実質的に垂直に配置されることを特徴とする、請求項4に記載の案内装置。
【請求項6】
前記変形部材は、変形力を加えるために前記案内要素と接触する2つの互いに離間した接触要素を有し、該接触要素は、前記変形部材に好ましくは回転可能に取り付けられることを特徴とする、請求項4又は5に記載の案内装置。
【請求項7】
前記弾性変形させるデバイスは、ねじ山と係合すると共に変形力を加えるように回転によって前記フレーム構造に対して軸方向に変位可能である少なくとも1つのねじボルトを有することを特徴とする、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の案内装置。
【請求項8】
前記フレーム構造は、前記細長い案内要素と実質的に平行に延びる少なくとも1つのプロファイル要素を有し、該プロファイル要素に離間関係で複数の変形部材が取り付けられ、該変形部材のそれぞれに、変形力を加えるためのねじボルトが関連付けられ、該ねじボルトのそれぞれは、前記プロファイル要素のねじ山と係合することを特徴とする、請求項7に記載の案内装置。
【請求項9】
実質的に互いに平行関係で配置される2つ以上の細長い案内要素であって、それぞれに該案内要素を弾性変形させるデバイスが関連付けられる、2つ以上の細長い案内要素を特徴とする、請求項1ないし8のいずれか1項に記載の案内装置。
【請求項10】
前記案内要素のそれぞれは、前記流体分配装置に対する該案内要素の前記長手方向軸の間隔が可変であるように支持されることを特徴とする、請求項9に記載の案内装置。
【請求項11】
前記案内要素のそれぞれはさらに、1つの前記案内要素に対する別の該案内要素の間隔が可変であるように変位可能に支持されることを特徴とする、請求項9又は10に記載の案内装置。
【請求項12】
前記案内要素は、その長手方向軸の周りに回転可能に取り付けられるローラの形態であり、好ましくは、該ローラのそれぞれは、少なくとも1つの転がり軸受によってプロファイル要素に取り付けられ、該プロファイル要素は、前記ローラと共に前記フレーム構造に変位可能に取り付けられることを特徴とする、請求項10又は11に記載の案内装置。
【請求項13】
前記案内要素は、スピンドルねじによって前記フレーム構造に長手方向に変位可能に取り付けられることを特徴とする、請求項1ないし12のいずれか1項に記載の案内装置。
【請求項14】
基板に流体を分配する流体分配装置であって、
該基板は該流体分配装置に対して可動であり、
本体と、スロット形状の出口開口又は複数の離間した出口開口を有するノズル機構とを備え、該出口開口を通して、前記ノズル機構に導入され得る流体を該流体分配装置から分配し、該流体分配装置に対して可動である前記基板に塗布することができ、
該流体分配装置を通過する移動経路に沿って前記基板を案内するように構成される案内装置が設けられており、
請求項1ないし13のいずれか1項に記載の案内装置を特徴とする、流体分配装置。
【請求項15】
前記案内装置及び前記本体は、フレーム構造に固定されることを特徴とする、請求項14に記載の流体分配装置。
【請求項16】
前記ノズル機構は、少なくとも1つのスロット形状の出口開口を有し、前記案内装置の少なくとも1つの細長い案内要素が、前記スロット形状の出口開口と実質的に平行な離間関係で延び、該スロット形状の出口開口の形態に適合し得るように弾性変形させるデバイスによって変形させることができることを特徴とする、請求項14又は15に記載の流体分配装置。
【請求項17】
回転可能に取り付けられたローラの形態の2つの離間した案内要素が、前記流体分配装置の前記スロット形状の出口開口と実質的に平行な離間関係で配置されることを特徴とする、請求項16に記載の流体分配装置。
【請求項1】
基板、特にウェブ形態の基板を案内する少なくとも1つの細長い案内要素を用いて、スロットノズルを有する流体分配装置に対して前記基板を案内する案内装置であって、
前記少なくとも1つの案内要素を弾性変形させるデバイスを特徴とする、案内装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つの案内要素及び前記弾性変形させるデバイスが配置されるフレーム構造を特徴とする、請求項1に記載の案内装置。
【請求項3】
前記案内要素は、該案内要素の位置が前記流体分配装置に対して可変であるように、特に、前記流体分配要素に対する該案内要素の長手方向軸の間隔が可変であるように、前記フレーム構造に変位可能に取り付けられることを特徴とする、請求項2に記載の案内装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つの案内要素を弾性変形させるデバイスは、前記案内要素に変形力を加えるように前記フレーム構造に対して変位可能である少なくとも1つの変形部材を有し、好ましくは、複数の変形部材が前記案内要素と互いに離間した隣接関係で配置されることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の案内要素。
【請求項5】
前記変形部材は、前記フレーム構造に実質的に軸方向に変位可能に取り付けられ、軸方向変位軸が、前記案内要素の前記長手方向軸に対して実質的に垂直に配置されることを特徴とする、請求項4に記載の案内装置。
【請求項6】
前記変形部材は、変形力を加えるために前記案内要素と接触する2つの互いに離間した接触要素を有し、該接触要素は、前記変形部材に好ましくは回転可能に取り付けられることを特徴とする、請求項4又は5に記載の案内装置。
【請求項7】
前記弾性変形させるデバイスは、ねじ山と係合すると共に変形力を加えるように回転によって前記フレーム構造に対して軸方向に変位可能である少なくとも1つのねじボルトを有することを特徴とする、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の案内装置。
【請求項8】
前記フレーム構造は、前記細長い案内要素と実質的に平行に延びる少なくとも1つのプロファイル要素を有し、該プロファイル要素に離間関係で複数の変形部材が取り付けられ、該変形部材のそれぞれに、変形力を加えるためのねじボルトが関連付けられ、該ねじボルトのそれぞれは、前記プロファイル要素のねじ山と係合することを特徴とする、請求項7に記載の案内装置。
【請求項9】
実質的に互いに平行関係で配置される2つ以上の細長い案内要素であって、それぞれに該案内要素を弾性変形させるデバイスが関連付けられる、2つ以上の細長い案内要素を特徴とする、請求項1ないし8のいずれか1項に記載の案内装置。
【請求項10】
前記案内要素のそれぞれは、前記流体分配装置に対する該案内要素の前記長手方向軸の間隔が可変であるように支持されることを特徴とする、請求項9に記載の案内装置。
【請求項11】
前記案内要素のそれぞれはさらに、1つの前記案内要素に対する別の該案内要素の間隔が可変であるように変位可能に支持されることを特徴とする、請求項9又は10に記載の案内装置。
【請求項12】
前記案内要素は、その長手方向軸の周りに回転可能に取り付けられるローラの形態であり、好ましくは、該ローラのそれぞれは、少なくとも1つの転がり軸受によってプロファイル要素に取り付けられ、該プロファイル要素は、前記ローラと共に前記フレーム構造に変位可能に取り付けられることを特徴とする、請求項10又は11に記載の案内装置。
【請求項13】
前記案内要素は、スピンドルねじによって前記フレーム構造に長手方向に変位可能に取り付けられることを特徴とする、請求項1ないし12のいずれか1項に記載の案内装置。
【請求項14】
基板に流体を分配する流体分配装置であって、
該基板は該流体分配装置に対して可動であり、
本体と、スロット形状の出口開口又は複数の離間した出口開口を有するノズル機構とを備え、該出口開口を通して、前記ノズル機構に導入され得る流体を該流体分配装置から分配し、該流体分配装置に対して可動である前記基板に塗布することができ、
該流体分配装置を通過する移動経路に沿って前記基板を案内するように構成される案内装置が設けられており、
請求項1ないし13のいずれか1項に記載の案内装置を特徴とする、流体分配装置。
【請求項15】
前記案内装置及び前記本体は、フレーム構造に固定されることを特徴とする、請求項14に記載の流体分配装置。
【請求項16】
前記ノズル機構は、少なくとも1つのスロット形状の出口開口を有し、前記案内装置の少なくとも1つの細長い案内要素が、前記スロット形状の出口開口と実質的に平行な離間関係で延び、該スロット形状の出口開口の形態に適合し得るように弾性変形させるデバイスによって変形させることができることを特徴とする、請求項14又は15に記載の流体分配装置。
【請求項17】
回転可能に取り付けられたローラの形態の2つの離間した案内要素が、前記流体分配装置の前記スロット形状の出口開口と実質的に平行な離間関係で配置されることを特徴とする、請求項16に記載の流体分配装置。
【図1】
【図2】
【図2A】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図10】
【図8】
【図9】
【図2】
【図2A】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図10】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2011−92934(P2011−92934A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−243556(P2010−243556)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(391019120)ノードソン コーポレーション (150)
【氏名又は名称原語表記】NORDSON CORPORATION
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−243556(P2010−243556)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(391019120)ノードソン コーポレーション (150)
【氏名又は名称原語表記】NORDSON CORPORATION
【Fターム(参考)】
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