説明

基板処理装置

【課題】マイクロバブルを含む洗浄液を使用して基板を枚葉式で洗浄処理する場合に、洗浄むらを生じることなく処理品質の均一性を保持することができる装置を提供する。
【解決手段】搬送ローラ14によって支持され搬送される基板Wの主面対し複数個の吐出口12からマイクロバブルを含む洗浄液を吐出する吐出ノズル10の端部に、その吐出ノズル内部に溜まる気体を小流量の洗浄液と共に排出するためのエアー抜き配管40を連通接続した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、液晶表示装置用ガラス基板、プラズマディスプレイ(PDP)用ガラス基板、半導体ウエハ、磁気ディスク用基板、光ディスク用基板、フォトマスク用ガラス基板等の各種基板に対して洗浄処理を行う基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば半導体デバイスの製造プロセスにおいて、処理液供給源に設置されたマイクロバブル生成器によって処理液中にマイクロバブルを生成させ、処理液供給源からマイクロバブルを含む処理液を基板上に供給して、基板を高度に洗浄する基板処理装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。また、処理液供給源からバッチ式あるいは枚様式の基板処理部へ処理液を供給する処理液供給路の途中にマイクロバブル発生部を設け、マイクロバブル発生部により処理液中にマイクロバブルを発生させて、基板の表面に存在するパーティクルを処理液中のマイクロバブルに吸着させて効率良く除去する基板処理装置が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。さらには、マイクロバブルより小径で直径がナノメータオーダであるナノバブルを洗浄等の処理に利用する試みもなされている(例えば、特許文献3参照。)。
【0003】
ここで、液体中にマイクロバブルを発生させる方法としては、例えば、液体流路の途中にアスピレータを設け、加圧された液体を液体流路に流すことにより、加圧液体がアスピレータを通過する際に旋回流となって、その旋回流中に負圧により気体が吸入され、その旋回流中で空気が粉砕されるようにしてマイクロバブルを発生させるキャビテーション方式、液体流路の途中に三方分岐管を設け、三方分岐管の1つのポートにインジェクト部を介して気体供給配管を接続し、液体流路に三方分岐管を通して加圧された液体を流すとともに、三方分岐管内にインジェクト部を通して加圧された気体を注入することにより、液体流に気体が混合されてマイクロバブルを含む気液混合流が形成されるようにするインジェクション方式、液体中にスクリュー等の攪拌部材を配置し、液体中に気体を供給しながら攪拌部材を高速回転させることにより、液体中に存在する気泡を微細化させてマイクロバブルを生成する気液攪拌方式、多孔膜等の多孔体を液体に浸漬させた状態で、多孔体の内部に気体を導入することにより、気体が微細孔を通って多孔体の表面から極微細な気泡となって放出されるようにしてマイクロバブルを生成する気体分散方式などの各種の方式がある。
【特許文献1】特開2005−93873号公報(第5−7頁、図1)
【特許文献2】特開2006−179764号公報(第5−12頁、図1、図7、図11および図14)
【特許文献3】特開2004−121962号公報(第4頁、第8頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記したマイクロバブルは、直径が70μm〜50μm以下である超微細気泡であり、液中において比較的長時間滞留し続け次第に収縮して破壊され、その収縮に伴い内部圧力が高まって消滅時にエネルギを放出するものである。これに対し、直径が70μmより大きい気泡は、液中において次第に拡大し短時間で破裂して液面付近で消滅する。ところで、上述した何れの方式によってマイクロバブルを発生させるようにしても、液体中にマイクロバブルのみが存在する、といった状態にはならない。すなわち、図6に示すように、液体中で発生する微細気泡の直径とその個数とは、或る直径寸法を中心としたほぼ正規分布状態を示す関係となる。したがって、液体中にはマイクロバブルと共に、直径が70μmより大きい気泡も含まれることとなる。このため、例えば、管状もしくは筒状をなし長手方向に沿って複数個の吐出口が並列して形設された吐出ノズルへマイクロバブルを含む洗浄液を供給し、吐出ノズルの複数個の吐出口から基板の表面に対しマイクロバブルを含む洗浄液を吐出して基板を洗浄処理する場合において、図6のグラフ中にハッチングで示した領域の直径が70μmより大きい気泡は、液体中で次第に拡大し互いに寄り集まって、吐出ノズル内の端部に気体の塊となって溜まる。この吐出ノズルの端部に溜まった気体の塊は、吐出ノズルの端部付近に位置する吐出口から不定期に一気に放出される。この結果、基板の表面上の一部に洗浄液が正常に吐出されずに、洗浄むらを生じて処理品質の均一性が損なわれる、といった問題点がある。
【0005】
この発明は、以上のような事情に鑑みてなされたものであり、マイクロバブルもしくはナノバブルを含む洗浄液を使用して基板を枚葉式で洗浄処理する場合において、洗浄むらを生じることなく処理品質の均一性を保持することができる基板処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、基板を支持する基板支持手段と、管状もしくは筒状をなし長手方向に沿って複数個の吐出口が並列して形設され、前記基板支持手段によって支持された基板の主面に対し前記複数個の吐出口から洗浄液を吐出する吐出ノズルと、この吐出ノズルへ洗浄液を供給する洗浄液供給手段とを備えた基板処理装置において、前記洗浄液供給手段によって前記吐出ノズルへ供給される洗浄液中に気体を混入させて洗浄液中にマイクロバブルもしくはナノバブル(以下、代表して単に「マイクロバブル」という)を発生させるバブル発生手段を備えて、前記吐出ノズルの複数個の吐出口からマイクロバブルを含む洗浄液を基板の主面に対し吐出するようにし、前記吐出ノズルの端部に、その吐出ノズル内部に溜まる気体を小流量の洗浄液と共に排出するための気体抜き配管を連通接続したことを特徴とする。
【0007】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の基板処理装置において、前記基板支持手段は、基板を支持して水平方向へ搬送する複数の搬送ローラであり、前記吐出ノズルが基板搬送方向と交差するように配設されたことを特徴とする。
【0008】
請求項3に係る発明は、請求項2に記載の基板処理装置において、前記吐出ノズルの、基板搬送方向における手前側に、前記搬送ローラによって搬送される基板の主面へ洗浄液を供給する供給ノズルを配設し、その供給ノズルに前記気体抜き配管を流路接続して、前記吐出ノズルの複数個の吐出口からマイクロバブルを含む洗浄液を基板の主面に対し吐出する前に、前記吐出ノズルから排出され前記気体抜き配管を通って前記供給ノズルへ送給される洗浄液を基板の主面へ供給するようにしたことを特徴とする。
【0009】
請求項4に係る発明は、基板を支持する基板支持手段と、この基板支持手段によって支持された基板の主面に対し吐出口から洗浄液を吐出する吐出ノズルと、洗浄液供給配管を通して前記吐出ノズルへ洗浄液を供給する洗浄液供給手段とを備えた基板処理装置において、前記洗浄液供給手段によって前記吐出ノズルへ供給される洗浄液中に気体を混入させて洗浄液中にマイクロバブルを発生させるバブル発生手段を備えて、前記吐出ノズルの吐出口からマイクロバブルを含む洗浄液を基板の主面に対し吐出するようにし、前記洗浄液供給配管の、前記吐出ノズルとの連通部分の近くに、洗浄液供給配管内部に溜まる気体を小流量の洗浄液と共に排出するための気体抜き配管を連通接続したことを特徴とする。
【0010】
請求項5に係る発明は、請求項4に記載の基板処理装置において、前記洗浄液供給配管を前記吐出ノズルとの連通部分の付近において鉛直面内で上下方向に蛇行させ、その蛇行管部分の上側屈曲部に前記気体抜き配管を連通接続したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明の基板処理装置においては、マイクロバブルを含む洗浄液が吐出ノズルへ供給され、マイクロバブルより大きい気泡が洗浄液中で次第に大きくなり集合して吐出ノズル内の端部に気体が溜まっても、その溜まった気体は、吐出ノズル内の端部から気体抜き配管を通って流出する小流量の洗浄液と共に排出される。このため、気体の塊が吐出ノズルの端部付近の吐出口から一気に放出される、といったことは起こらない。
したがって、請求項1に係る発明の基板処理装置を使用すると、マイクロバブルを含む洗浄液を使用して基板を枚葉式で洗浄処理する場合に、洗浄むらを生じることなく処理品質の均一性を保持することができる。
【0012】
請求項2に係る発明の基板処理装置では、搬送ローラによって基板を水平方向へ搬送しつつ、吐出ノズルの複数個の吐出口からマイクロバブルを含む洗浄液を基板の主面に対し吐出して、基板を洗浄処理するときに、洗浄むらを生じることなく処理品質の均一性を保持することができる。
【0013】
請求項3に係る発明の基板処理装置では、吐出ノズル内の端部から気体と共に排出される洗浄液が気体抜き配管を通って供給ノズルへ送給され、その洗浄液が供給ノズルから基板の主面へ供給され、この後に、吐出ノズルからマイクロバブルを含む洗浄液が基板の主面に対し吐出されることとなる。この場合、吐出ノズル内の端部から排出される洗浄液中にもマイクロバブルが含まれているので、基板の洗浄効果がより高まるとともに、洗浄液およびマイクロバブルの利用効率を高めることができる。
【0014】
請求項4に係る発明の基板処理装置においては、マイクロバブルを含む洗浄液が洗浄液供給配管を通して吐出ノズルへ供給され、その過程でマイクロバブルより大きい気泡が洗浄液中で次第に大きくなり集合して洗浄液供給配管内部に気体が溜まっても、その溜まった気体は、洗浄液供給配管と吐出ノズルとの連通部分の近くにおいて浄液供給配管内部から気体抜き配管を通って流出する小流量の洗浄液と共に排出される。このため、気体の塊が吐出ノズルの吐出口から放出される、といったことは起こらない。
したがって、請求項4に係る発明の基板処理装置を使用すると、マイクロバブルを含む洗浄液を使用して基板を枚葉式で洗浄処理する場合に、洗浄むらを生じることなく処理品質の均一性を保持することができる。
【0015】
請求項5に係る発明の基板処理装置では、洗浄液供給配管内においてマイクロバブルより大きい気泡が洗浄液中で次第に大きくなって集合した気体は、洗浄液供給配管の蛇行管部分の上側屈曲部に溜まって、その蛇行管部分の上側屈曲部から気体抜き配管を通って流出する小流量の洗浄液と共に確実に排出される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、この発明の最良の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、この発明の実施形態の1例を示し、基板処理装置の要部の概略構成を洗浄液供給系と共に示す図である。
【0017】
この基板処理装置は、基板Wの主面に対し洗浄液を吐出する吐出ノズル10、および、この吐出ノズル10へマイクロバブルを含む洗浄液を供給する洗浄液供給系を備えている。吐出ノズル10は、管状もしくは筒状をなし、図1に正面から見た図を示すように、基板Wの搬送方向(紙面に対し垂直な方向)と直交するように水平に配設されている。この吐出ノズル10には、長手方向に沿って複数個の吐出口12が並列して形設されている。基板Wは、その搬送方向に間隔を設けて並設された複数本の搬送ローラ14によって支持され、それらの搬送ローラ14によって水平方向へ搬送される。なお、吐出ノズル10は、基板搬送方向と直交する方向に対し平面視で斜めに配設してもよいし、また、水平面に対し傾斜させて配設するようにしてもよい。また、基板Wを傾斜させた状態で水平方向へ搬送するように、搬送ローラ14を水平面に対し傾斜させて配設するようにしてもよい。
【0018】
吐出ノズル10には、洗浄液、例えば純水あるいはアンモニア水、SC1液、中性洗剤液、アルカリ洗剤液等の薬液の供給源に流路接続された洗浄液供給配管16が連通接続されている。洗浄液供給配管16には、上流側から順に高圧ポンプ18、フィルタ20および流量制御弁22がそれぞれ介挿されており、流量制御弁22の下流側に三方分岐管24が介挿されている。流量制御弁22は、その弁開度を調節することにより洗浄液の供給流量を調節する。三方分岐管24の入口ポートおよび出口ポートは、洗浄液供給配管16に連通され、残りの1つのポートにインジェクト部26を介してエアー供給配管28が接続されている。詳細を図示していないが、インジェクト部26は、噴出孔が形成された先端部が三方分岐管24の内部に挿入されている。エアー供給配管28は、エアー供給源に流路接続されている。エアー供給配管28には、上流側から順に増圧弁30、増圧エアータンク32、流量制御弁34および流量計36がそれぞれ介挿されている。増圧弁30は、エアー供給源から供給されるエアーを加圧し、その加圧されたエアーが増圧エアータンク32内に充填される。流量制御弁34は、その弁開度を調節することにより三方分岐管24のインジェクト部26へのエアーの供給流量を調節する。高圧ポンプ18、増圧弁30、各流量制御弁22、34および流量計36は、それぞれ制御部38に電気的に接続されている。そして、制御部38から出力される制御信号により高圧ポンプ18および増圧弁30がそれぞれ制御されて、洗浄液の送給圧力およびエアーの送給圧力がそれぞれ調節される。また、流量計36からの検出信号が制御部38に入力され、その検出信号に基づいて制御部38から出力される制御信号により各流量制御弁22、34がそれぞれ制御されて、洗浄液の送給流量およびエアーの送給流量がそれぞれ所望通りに調節される。
【0019】
上記したように、加圧、例えば8kg/cm〜9kg/cmの圧力に加圧された洗浄液が三方分岐管24を通過して洗浄液供給配管16内に流されるとともに、三方分岐管24内にインジェクト部26を通して加圧、例えば洗浄液の送給圧力より僅かに高い9kg/cm〜10kg/cmの圧力に加圧されたエアーが注入されることにより、洗浄液の液流中にエアーが混合されて洗浄液中にマイクロバブルが発生する。そして、このマイクロバブルを含む洗浄液が洗浄液供給配管16を通って吐出ノズル10へ供給される。
【0020】
吐出ノズル10には、その端部にエアー抜き配管40が連通接続されている。エアー抜き配管40には流量調整弁42が介挿されており、流量調整弁42の開度を調節することにより、吐出ノズル10内の端部から小流量の洗浄液を常時排出することができるように構成されている。
【0021】
上記した構成を備えた基板処理装置においては、洗浄液供給源から洗浄液が洗浄液供給配管16を通り三方分岐管24を通過して吐出ノズル10へ供給される途中で洗浄液中にマイクロバブルが発生し、マイクロバブルを含む洗浄液が吐出ノズル10へ供給されて、吐出ノズル10の複数個の吐出口12からマイクロバブルを含んだ洗浄液が、搬送ローラによって水平方向へ搬送される基板Wの主面に対し吐出される。このとき、基板Wの主面上で洗浄液中のマイクロバブルが破壊されて消滅(圧壊)する際に放出されるエネルギにより基板表面からパーティクルが剥離され、洗浄液の吐出圧によって基板W上からパーティクルが除去され洗浄液と共に流出する。このように、基板Wの主面に対して吐出される洗浄液中にマイクロバブルが含まれていることにより、基板Wが高度に洗浄されることとなる。
【0022】
一方、洗浄液中でマイクロバブルが生成する際において、洗浄液中にはマイクロバブルと共にマイクロバブルより大きい気泡も含まれることとなる。このマイクロバブルより大きい気泡が、洗浄液が吐出ノズル10内へ流入した後にあるいは洗浄液供給配管16を通って吐出ノズル10へ供給される途中に洗浄液中で次第に拡大して互いに寄り集り、吐出ノズル10内の端部に気体が溜まる、といった心配がある。このように吐出ノズル10内の端部に気体が溜まっても、その溜まった気体は、吐出ノズル10内の端部からエアー抜き配管40を通って常時流出する小流量の洗浄液と共に排出されることとなる。このため、気体の塊が吐出ノズル10の端部付近の吐出口12から一気に放出される、といったことは起こらないので、洗浄むらを生じることなく処理品質の均一性を保持することができる。
【0023】
図2は、この発明の実施形態の変形例を示す基板処理装置の概略平面図である。この処理装置では、基板Wの搬送方向(白抜き矢印で示す方向)において吐出ノズル10より手前側に、搬送ローラ(図2には図示せず)によって搬送される基板Wの主面へ洗浄液を供給する供給ノズル44を配設し、吐出ノズル10の端部に連通接続され流量調整弁48が介挿されたエアー抜き配管46を供給ノズル44に流路接続している。このような構成を備えた処理装置では、吐出ノズル10から排出された小流量の洗浄液がエアー抜き配管46を通って供給ノズル44へ送給される。そして、吐出ノズル10からマイクロバブルを含む洗浄液が基板Wの主面に対し吐出される前に、供給ノズル44から基板Wの主面へ洗浄液が供給される。このとき、吐出ノズル10内の端部から排出される小流量の洗浄液中にもマイクロバブルが含まれているので、洗浄液およびマイクロバブルの利用効率を高めることができる。また、供給ノズル44からマイクロバブルを含んだ洗浄液が基板Wの主面へ供給された後に、吐出ノズル10の配設位置まで搬送されてきた基板Wの主面に対し吐出ノズル10からマイクロバブルを含む洗浄液が吐出されることとなるので、基板Wの洗浄効果をより高めることができる。
【0024】
次に、図3および図4は、この発明の別の実施形態を示し、図3は、基板処理装置の要部の概略構成を示す正面図であり、図4は、その構成要素である吐出ノズルの平面図である。この処理装置は、基板を鉛直軸回りに回転させながら基板に対し洗浄液を吐出して基板を洗浄処理する方式の処理装置である。
【0025】
この処理装置は、複数のチャックピン52によって基板Wを固定し水平姿勢に保持する回転ベース部材50、この回転ベース部材50の下面中央部に固着された回転支軸54、ならびに、回転支軸54を鉛直軸回りに回転させて回転ベース部材50および基板Wを水平面内で回転させるモータ56を備えている。回転ベース部材50に保持される基板Wの直ぐ上方には、基板Wの主面に対し洗浄液を吐出する吐出ノズル58が配置される。吐出ノズル58は、管状もしくは筒状をなし、その長手方向に沿って複数個の吐出口60が形設されている。また、図示していないが、図1に示した処理装置と同様の洗浄液供給系を備えており、その洗浄液供給配管62が吐出ノズル58に連通接続されていて、洗浄液供給配管62を通ってマイクロバブルを含む洗浄液が吐出ノズル58へ供給される。さらに、吐出ノズル58には、その端部にエアー抜き配管64が連通接続されており、エアー抜き配管64に流量調整弁66が介挿されている。そして、流量調整弁66の開度を調節することにより、吐出ノズル58内の端部からエアー抜き配管64を通って小流量の洗浄液を常時排出することができるように構成されている。吐出ノズル58およびエアー抜き配管64は一体で、水平面内において回動可能に支持されており、回転ベース部材50に保持された基板Wの表面全体に洗浄液を吐出することができるようになっている。
【0026】
図3および図4に示した基板処理装置において、基板Wを低速で回転させるとともに、吐出ノズル58およびエアー抜き配管64を往復回動させながら、洗浄液供給配管62を通って吐出ノズル58へマイクロバブルを含む洗浄液を供給し、吐出ノズル58の複数個の吐出口60からマイクロバブルを含んだ洗浄液を基板Wに対し吐出することにより、基板Wを高度に洗浄することができる。一方、洗浄液中にマイクロバブルと共に含まれるマイクロバブルより大きい気泡が洗浄液中で次第に拡大し互いに寄り集って、吐出ノズル58内の端部に気体が溜まることがあっても、その溜まった気体は、吐出ノズル58内の端部からエアー抜き配管64を通って常時流出する小流量の洗浄液と共に排出される。このため、気体の塊が吐出ノズル58の端部付近の吐出口60から一気に放出される、といったことは起こらないので、洗浄むらを生じることなく処理品質の均一性を保持することができる。
【0027】
次に、図5は、上記とは異なる構成に係る発明の実施形態を示し、基板処理装置の要部の概略構成を示す正面図である。
【0028】
この処理装置は、基板Wを水平姿勢に保持するスピンチャック68、このスピンチャック68に固着された回転支軸70、ならびに、回転支軸70を鉛直軸回りに回転させてスピンチャック68に保持された基板Wを水平面内で回転させるモータ(図示せず)を備えている。スピンチャック68に保持される基板Wの直上には、下端の吐出口から基板Wの主面に対し洗浄液を吐出する吐出ノズル72が配置される。また、図示していないが、図1に示した処理装置と同様の洗浄液供給系を備えており、その洗浄液供給配管74が吐出ノズル72に連通接続されていて、洗浄液供給配管74を通ってマイクロバブルを含む洗浄液が吐出ノズル72へ供給される。洗浄液供給配管74は、吐出ノズル72との連通部分の付近において鉛直面内で上下方向に蛇行するように形成されていて、その蛇行管部分の上側屈曲部76にエアー抜き配管78が連通接続されており、エアー抜き配管78に流量調整弁80が介挿されている。そして、流量調整弁80の開度を調節することにより、洗浄液供給配管74の上側屈曲部76からエアー抜き配管78を通って小流量の洗浄液を常時排出することができるように構成されている。
【0029】
図5に示した基板処理装置においては、基板Wを回転させつつ、洗浄液供給配管74を通って吐出ノズル72へマイクロバブルを含む洗浄液を供給し、吐出ノズル72の吐出口からマイクロバブルを含んだ洗浄液を基板Wに対し吐出することにより、基板Wを高度に洗浄することができる。一方、マイクロバブルを含む洗浄液が洗浄液供給配管74を通して吐出ノズル72へ供給される過程で、マイクロバブルより大きい気泡が洗浄液中で次第に大きくなって集合しても、その気体は、洗浄液供給配管74の蛇行管部分の上側屈曲部76に溜まって、その上側屈曲部76からエアー抜き配管78を通って常時流出する小流量の洗浄液と共に排出される。このため、気体の塊が吐出ノズル72の吐出口から放出される、といったことは起こらないので、洗浄むらを生じることなく処理品質の均一性を保持することができる。
【0030】
また、図示していないが、基板Wの洗浄効果を高めるために、吐出ノズル72から基板W上に吐出されたマイクロバブルを含む洗浄液に対し超音波振動を付与するメガソニックを併設したり、吐出ノズル72から基板W上にマイクロバブルを含む洗浄液を吐出した後に、基板Wに対し気液混合流体を噴出させる二流体ノズルを併設したりすることができる。
【0031】
なお、上記した各実施形態では、吐出ノズルへ供給される洗浄液中にエアーを混入させて洗浄液中にマイクロバブルを発生させるようにしているが、エアーに代えて不活性ガス、例えば窒素ガスを洗浄液中に混入させてマイクロバブルを発生させるようにしてもよい。また、この発明は、各実施形態に示した構成の基板処理装置に限らず、吐出ノズルから基板の主面に対しマイクロバブルを含む洗浄液を吐出して基板を枚様式で洗浄処理する装置に広く適用できるものである。さらに、マイクロバブル発生の方式は、上記実施形態に示したものに限らず各種方式のものを採用し得るし、吐出ノズルの構成も特に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】この発明の実施形態の1例を示し、基板処理装置の要部の概略構成を洗浄液供給系と共に示す図である。
【図2】この発明の実施形態の変形例を示す基板処理装置の概略平面図である。
【図3】この発明の別の実施形態を示し、基板処理装置の要部の概略構成を示す正面図である。
【図4】図3に示した基板処理装置の構成要素である吐出ノズルの平面図である。
【図5】図1ないし図4に示した発明とは異なる構成に係る発明の実施形態を示し、基板処理装置の要部の概略構成を示す正面図である。
【図6】液体中でマイクロバブルを発生させたときに、液体中で発生する微細気泡の直径とその個数との関係を説明するための図である。
【符号の説明】
【0033】
10、58、72 吐出ノズル
12、60 吐出ノズルの吐出口
14 搬送ローラ
16、62、74 洗浄液供給配管
18 高圧ポンプ
22、34 流量制御弁
24 三方分岐管
26 インジェクト部
28 エアー供給配管
30 増圧弁
32 増圧エアータンク
36 流量計
38 制御部
40、46、64、78 エアー抜き配管
42、48、66、80 流量調整弁
44 供給ノズル
50 回転ベース部材
52 チャックピン
54、70 回転支軸
56 モータ
68 スピンチャック
76 洗浄液供給配管の蛇行管部分の上側屈曲部
W 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を支持する基板支持手段と、
管状もしくは筒状をなし長手方向に沿って複数個の吐出口が並列して形設され、前記基板支持手段によって支持された基板の主面に対し前記複数個の吐出口から洗浄液を吐出する吐出ノズルと、
この吐出ノズルへ洗浄液を供給する洗浄液供給手段と、
を備えた基板処理装置において、
前記洗浄液供給手段によって前記吐出ノズルへ供給される洗浄液中に気体を混入させて洗浄液中にマイクロバブルもしくはナノバブルを発生させるバブル発生手段を備えて、前記吐出ノズルの複数個の吐出口からマイクロバブルもしくはナノバブルを含む洗浄液を基板の主面に対し吐出するようにし、
前記吐出ノズルの端部に、その吐出ノズル内部に溜まる気体を小流量の洗浄液と共に排出するための気体抜き配管を連通接続したことを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の基板処理装置において、
前記基板支持手段は、基板を支持して水平方向へ搬送する複数の搬送ローラであり、
前記吐出ノズルが基板搬送方向と交差するように配設されたことを特徴とする基板処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の基板処理装置において、
前記吐出ノズルの、基板搬送方向における手前側に、前記搬送ローラによって搬送される基板の主面へ洗浄液を供給する供給ノズルを配設し、その供給ノズルに前記気体抜き配管を流路接続して、前記吐出ノズルの複数個の吐出口からマイクロバブルもしくはナノバブルを含む洗浄液を基板の主面に対し吐出する前に、前記吐出ノズルから排出され前記気体抜き配管を通って前記供給ノズルへ送給される洗浄液を基板の主面へ供給するようにしたことを特徴とする基板処理装置。
【請求項4】
基板を支持する基板支持手段と、
この基板支持手段によって支持された基板の主面に対し吐出口から洗浄液を吐出する吐出ノズルと、
洗浄液供給配管を通して前記吐出ノズルへ洗浄液を供給する洗浄液供給手段と、
を備えた基板処理装置において、
前記洗浄液供給手段によって前記吐出ノズルへ供給される洗浄液中に気体を混入させて洗浄液中にマイクロバブルもしくはナノバブルを発生させるバブル発生手段を備えて、前記吐出ノズルの吐出口からマイクロバブルもしくはナノバブルを含む洗浄液を基板の主面に対し吐出するようにし、
前記洗浄液供給配管の、前記吐出ノズルとの連通部分の近くに、洗浄液供給配管内部に溜まる気体を小流量の洗浄液と共に排出するための気体抜き配管を連通接続したことを特徴とする基板処理装置。
【請求項5】
請求項4に記載の基板処理装置において、
前記洗浄液供給配管を前記吐出ノズルとの連通部分の付近において鉛直面内で上下方向に蛇行させ、その蛇行管部分の上側屈曲部に前記気体抜き配管を連通接続したことを特徴とする基板処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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