説明

基板収納容器

【課題】蓋体の施錠時に回転体を正確に位置させると共に回転トルクを少なくする。
【解決手段】回転体4が蓋体の開錠位置に対応する第1位置に位置している場合には、回転体4側又は蓋体2側の接触部16を作動部材17に非接触とし、操作キーにより回転体4が第1位置から回転されて第2位置に達する迄は非接触状態を維持し、回転体4が第1位置から第2位置に達する迄は回転力に抗する方向に付勢力を働かさせずに、第2位置に達すると接触部16と作動部材17とを接触させ、さらに回転されて第3位置に達する迄は、付勢手段18により操作キーによる回転力に抗するように回転体4を作動部材17を介して付勢し、さらに第3位置からは、付勢手段18により回転体4が蓋体の施錠位置に対応する第4位置へ達するように回転体4を作動部材17を介して付勢する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコン、金属化合物、ガラス、炭化ケイ素等の半導体ウェハやマスクガラス、液晶ガラス等の基板を収納し、輸送や保管、工程内搬送に使用される基板収納容器に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の基板収納容器は、基板を収納する容器本体と、この容器本体の開口を閉鎖する蓋体と、を備え、蓋体には、一軸を軸心として回転する回転カムと、当該回転カムの動きに連動して、蓋体の周縁部から出没する掛止腕と、を有する施錠機構(掛止機構)が設けられている。そして、回転カムには、当該回転カムをその軸心回りに回転させるための操作キーが挿入されるキースロット(凹部)が設けられ、このキースロットに挿入されている操作キーを回転させることで、掛止腕を出没作動させて施錠/開錠を行い蓋体の自動開閉を行っている。
【0003】
このような基板収納容器の蓋体では、キースロットが正しい位置で静止されずに、操作キーを挿入できなくなるという問題があった。具体的には、蓋体を容器本体の開口を覆うように取り付け、キースロットに挿入されている操作キーを開錠位置から90°回転することで施錠し、操作キーをキースロットから抜くわけであるが、90°に近い角度でも、操作キーとキースロットとの間のガタ等により操作キーをキースロットから抜くことができ、従って、次工程で開錠すべく操作キーを施錠位置(開錠位置から90°離間している位置)で挿入しようとしても、操作キーをキースロットへ挿入できず、工程が中断されてしまうという問題があった。
【0004】
このため、スプリング部材を設けて回転カムを付勢することで、回転カムの位置を、蓋体の施錠位置に対応する位置へ強制的に移動させる技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2005−515121号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記基板収納容器にあっては、施錠時に回転カムを回転させるために大きな回転トルクを必要とするといった問題があった。
【0007】
本発明は、このような課題を解決するために成されたものであり、蓋体の施錠時に、操作キーの操作により一軸を軸心として回転することで蓋体の施錠を可能とする回転カムを始めとした回転体を、蓋体の施錠位置に対応する位置に正確に位置させることができると共に、回転体に対する回転トルクを従来に比して少なくできる基板収納容器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による基板収納容器は、開口を有し基板を収容する容器本体と、開口を閉鎖する蓋体と、蓋体を容器本体に施錠するための施錠機構と、を具備し、施錠機構は、操作キーの操作により一軸を軸心として回転する回転体と、回転体の回転に連動して、容器本体に設けられた容器本体側の係合部に対し係合/解除を行うことで、蓋体を容器本体に対して施錠/開錠する蓋体側の係合部と、回転体の回転位置を制御する位置規制手段とを、蓋体に備えた基板収納容器において、位置規制手段は、回転体側又は蓋体側に設けられた接触部と、接触部に接離可能に設けられた作動部材と、作動部材を付勢する付勢手段と、を有し、作動部材は、回転体が蓋体の開錠位置に対応する第1の位置から、操作キーにより回転体が軸心回りの一方向に回転され接触部が当該作動部材に接触する第2の位置へ達する迄は、接触部に非接触とされ、付勢手段は、操作キーにより回転体が一方向に回転され前記第2の位置から第3の位置へ達する迄は、操作キーにより回転体に付与される回転力に抗するように、回転体を作動部材を介して付勢し、第3の位置からは、操作キーにより回転体に付与される回転力を補助し、回転体が蓋体の施錠位置に対応する第4の位置へ達するように、回転体を作動部材を介して付勢することを特徴としている。
【0009】
このような基板収納容器によれば、回転体が、蓋体の開錠位置に対応する第1の位置に位置している場合には、回転体側又は蓋体側に設けられた接触部は、当該接触部に接離可能に設けられた作動部材に非接触とされている。ここで、操作キーにより回転体が第1の位置から当該回転体の軸心回りの一方向に回転されると第2の位置で接触部と作動部材とが接触し、さらに一方向に回転されると第3の位置迄は、付勢手段によって操作キーによる回転力に抗するように当該回転体が作動部材を介して付勢され、さらに一方向に回転されると第3の位置からは、付勢手段によって今度は回転体が蓋体の施錠位置に対応する第4の位置へ達するように当該回転体が作動部材を介して付勢されるため、蓋体の施錠時に、回転体を蓋体の施錠位置に対応する位置に正確に位置させることができる。また、操作キーにより回転体が第1の位置から第2の位置に達する迄は回転力に抗する方向に付勢力が働かないため、回転体に対する回転トルクを従来に比して少なくできる。
【0010】
ここで、上記作用を好適に奏する構成としては、具体的には、回転体側の接触部は突起部とされ、作動部材は、軸心方向視においてU字状を成す溝を有し、回転体の回転に伴い突起部が接触すると共に当該突起部が溝に進入し一軸を軸心として揺動する構成が挙げられる。
【0011】
また、付勢手段は、回転体が一方向の回転により第4の位置を過ぎると当該第4の位置に戻るように、回転体を作動部材を介して一方向とは反対方向に付勢する構成であると、蓋体の施錠時に、回転体を蓋体の施錠位置に対応する位置に一層正確に位置させることができる。
【0012】
また、上記作用を好適に奏する構成としては、具体的には、回転体側の接触部は突起部とされ、作動部材は、回転体の回転に伴い突起部が接触するカム面を有する構成も挙げられる。
【0013】
また、回転体が一方向の回転により第4の位置を過ぎてしまうのを阻止するためのストッパを有していると、蓋体の施錠時に、回転体を蓋体の施錠位置に対応する位置に一層正確に位置させることができる。
【0014】
ここで、本発明の基板収納容器にあって、容器本体は、各種の基板(例えば300mmや450mmの半導体ウェハ、ガラスウェハ、マスクガラス、液晶ガラス、記憶ディスク等)を収納、輸送、搬送、運搬、保管するもので正面に開口を有するフロントオープンボックスタイプでも良いし、通常は上下が開口し外箱に収容された状態で使用され、各種の精密基板や物品の収納時/取り出し時には倒して使用されるトップオープンボックスタイプでも良い。この容器本体は、透明、半透明、不透明の何れでも良く、背面壁、側壁、天井等に透視窓を適宜設けることができる。また、蓋体も、透明、半透明、不透明の何れに形成しても良い。
【0015】
また、回転体は、各種の円板形状、リング形状のもの等を採用できる。また、蓋体を容器本体に対して施錠/開錠するための蓋体側の係合部は、蓋体周面の上下、前後、左右、四隅等から進退し、容器本体側の係合部に対し係合/解除を行う構成とすることができる。
【0016】
また、施錠機構としては、例えば、蓋体に支持され操作キーの操作により一軸を軸心として回転する回転体と、蓋体にスライド可能に支持されると共に回転体に連結され、当該回転体の回転に基づいて蓋体の内部側から外部側へ進退する複数の連結バーと、蓋体周面に設けられた開口付近に揺動可能に支持されると共に各連結バーの先端部に回転可能に連結され、連結バーの進退に基づいて蓋体の開口から出没し蓋体側の係合部として機能する係止ローラと、を備える構成とすることができる。
【0017】
また、施錠機構を、例えば、蓋体に支持され操作キーの操作により一軸を軸心として回転する回転体と、蓋体に軸受を介してスライド可能に支持されると共に回転体に直接的/間接的に連結され、当該回転体の回転に基づいて蓋体の内部側から外部側へ進退する複数の連結シャフトと、各連結シャフトに回転可能に支持され、連結シャフトの進退に基づいて蓋体周面に設けられた開口から出没し蓋体側の係合部として機能するローラと、を備える構成とすることもできる。ここで、回転体と連結シャフトを間接的に連結する場合には、例えば、回転体と連結シャフトとをクランク係止部等で連結することができる。
【0018】
また、施錠機構を、例えば、塵埃の発生抑制を条件に、蓋体に支持され操作キーの操作により一軸を軸心として回転する一の歯車と、蓋体にスライド可能に支持されると共に一の歯車に他の歯車を介して連結され、一の歯車の回転に基づいて蓋体の内部側から外部側へ進退する複数の連結バーと、各連結バーの先端部に設けられ各連結バーの進退に基づいて蓋体の周面に設けられた開口から出没し蓋体側の係合部として機能する係止爪と、を備え、連結バーの端部を他の歯車の軸心から偏位した箇所に回転可能に支持させる構成とすることもできる。
【0019】
また、回転体側の接触部は、回転体の軸心付近、表面、裏面、又は、周縁部等にバーやピン等の突起部として設けることができる。また、回転体側であれば回転体以外の部品にも設けることができる。また、突起部は、1個の回転体に対して単数又は複数箇所に設けることができ、連結バーのように回転体以外の部品に設ける場合には、回転体の動きを間接的に規制することになる。
【0020】
また、付勢手段としては、バネ機能を有する各種のエラストマーやゴム、熱可塑性樹脂から成るものの他、コイルバネ、板バネ等から成る単数/複数のバネ部材を使用することができる。
【0021】
また、操作キーは、自動又は手動で操作することができる。
【発明の効果】
【0022】
このように本発明によれば、蓋体の施錠時に、回転体を蓋体の施錠位置に対応する位置に正確に位置させることができると共に、回転体に対する回転トルクを従来に比して少なくできる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第一実施形態に係る基板収納容器を示す斜視図であり、容器本体の開口を蓋体により閉鎖している状態を示す斜視図である。
【図2】図1中の蓋体に収容された施錠機構を示す斜視図である。
【図3】図1中の蓋体に収容された施錠機構を示す正面図であり、回転リールが蓋体の開錠位置に対応する第1の位置に位置している状態を示す正面図である。
【図4】図3の状態から回転リールが回転されて第2の位置に位置している状態を示す正面図である。
【図5】図4の状態から回転リールがさらに同方向に回転されて第3の位置に位置している状態を示す正面図である。
【図6】図5の状態から回転リールがさらに同方向に回転されて蓋体の施錠位置に対応する第4の位置に位置している状態を示す正面図である。
【図7】図2中の回転リール及びその近傍を示す縦断面図である。
【図8】図2中のA部を拡大して示す斜視図である。
【図9】図8中の付勢手段を示す斜視図である。
【図10】図1〜図8中の作動部材を示す斜視図である。
【図11】本発明の第二実施形態に係る基板収納容器のその蓋体に収容された施錠機構を示す正面図であり、回転リールが蓋体の開錠位置に対応する第1の位置に位置している状態を示す正面図である。
【図12】図11の状態から回転リールが回転されて第2の位置に位置している状態を示す正面図である。
【図13】図12の状態から回転リールがさらに同方向に回転されて第3の位置に位置している状態を示す正面図である。
【図14】図13の状態から回転リールがさらに同方向に回転されて蓋体の施錠位置に対応する第4の位置に位置している状態を示す正面図である。
【図15】図11〜図14中の作動部材を示す斜視図である。
【図16】本発明の第三実施形態に係る基板収納容器のその蓋体に収容された施錠機構を示す正面図であり、回転リールが蓋体の施錠位置に対応する第4の位置に位置している状態を示す正面図である。
【図17】本発明の第四実施形態に係る基板収納容器のその蓋体に収容された施錠機構を示す正面図であり、回転リールが蓋体の施錠位置に対応する第4の位置に位置している状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明による基板収納容器の好適な実施形態について図1〜図17を参照しながら説明する。なお、各図において、同一の要素には同一の記号を付し、重複する説明は省略する。
【0025】
図1〜図10は、本発明の第一実施形態を、図11〜図15は、本発明の第二実施形態を、図16は、本発明の第三実施形態を、図17は、本発明の第四実施形態を各々示すものであり、先ず、図1〜図10に示す第一実施形態を説明する。
【0026】
図1は、本発明の第一実施形態に係る基板収納容器を示す斜視図、図2は、蓋体内の施錠機構を示す斜視図、図3〜図6は、回転リールが開錠位置に対応する位置から施錠位置に対応する位置に回転されていく状態を各々示す正面図、図7は、回転リール及びその近傍を示す縦断面図、図8は、図2中のA部拡大斜視図、図9は、付勢手段を示す斜視図、図10は、作動部材を示す斜視図である。
【0027】
図1に示す基板収納容器100は、例えば300mmや450mmの半導体ウェハから成る複数枚(例えば25、26枚)の精密基板(不図示)をその内部に収納可能な容器本体1と、この容器本体1の正面開口を塞ぐように着脱可能に装着されて当該開口を開閉する蓋体2と、図1及び図2に示すように、蓋体2を、蓋体開閉装置(不図示)による外部からの操作キー(不図示)の操作によって容器本体1に対して施錠/開錠する左右一対の施錠機構3と、を具備している。そして、このような基板収納容器100は、精密基板に電子回路を形成する工程や加工を行う工程内での搬送や保管、或いは輸送用に使用される。
【0028】
図1に示す容器本体1は、所定の樹脂を使用して透明又は半透明又は不透明をしたフロントオープンボックスタイプに成形され、両側壁が後部(図示奥側)に行くに従い内方向にそれぞれ段階的に小さくされ、これにより背面壁の面積が横長の正面の面積よりも小さく設定されており、その内部に複数枚の精密基板を上下方向又は左右方向に並べて整列収納する。
【0029】
この容器本体1の両側壁の内面には、平面視略く字形又は略半円弧形をしたティース(載置棚;不図示)が上下方向に所定のピッチでそれぞれ並設されており、この左右一対のティースが精密基板を略水平に支持する。なお、これらのティースは、容器本体1と一体的に成形することもできるし、別部品として形成し容器本体1に取り付けることもできる。また、各側壁のティースは複数個に分割され離間配置されていても良い。
【0030】
また、容器本体1の底面の前部両側と後部中央には、図示は省略するが、例えば縦断面略逆M字形、略逆Y字形、凹んだ小判形等に形成され、基板収納容器100を搭載する加工装置に位置決めされるための位置決め具がそれぞれ設けられている。この位置決め具は、容器本体1に設けても良いが、容器本体1の底部に取り付けられるボトムプレート6に設けることもできる。このボトムプレート6は、図示のような平面視多角形、又は、平面視略凹形や平面視Y字形等に形成され、必要に応じて大小が変更される。
【0031】
容器本体1の天井中央部には、平面視略矩形の把持部であるロボテックフランジ7が一体的又は着脱自在に装着され、このロボテックフランジ7が、OHT(オーバーヘッドトランスファー)と称される自動搬送機に把持されることにより、基板収納容器100が工程内を自動的に搬送される。また、容器本体1の両側壁には、肉厚の搬送ハンドル8が選択的に装着され、この搬送ハンドル8が作業者に把持されることにより、基板収納容器100が作業者によって搬送される。
【0032】
なお、上述の容器本体1、ティース、位置決め具、ボトムプレート6、ロボテックフランジ7、搬送ハンドル8は、例えば、ポリカーボネート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、又は、環状オレフィン樹脂等を用いて成形される。そして、これらの材料には、例えばカーボン等の導電性付与剤等が適宜添加される。
【0033】
蓋体2は、容器本体1の開口側の周縁を形成するリム部9内に着脱自在に嵌合される凹形状の嵌合プレート10(図2参照)と、図1に示すように、嵌合プレート10の凹部にセットされた上記左右一対の施錠機構3を被覆するように嵌合プレート10の表側(図1の手前側)に着脱自在に装着されるカバープレート11と、を備えている。
【0034】
嵌合プレート10は、図2に示すように、その四隅部が丸く面取りされた横長の正面視略矩形に形成され、周壁が例えば断面略L字形等に構成されることで剛性が確保されており、この周壁に装着されたエンドレスのシールガスケット(不図示)が、図1に示す容器本体1のリム部9内に変形密嵌されることにより、シール性が確保される。このシールガスケットは、図示は省略するが、例えば、中空枠形の基材と、この基材から傾斜しながら外側に舌状に突出する先細りの屈曲片と、基材から突出して嵌合プレート10の周壁に形成された嵌合保持溝に圧力作用状態で強く嵌め込まれた単数の(又は複数が並設する)嵌合リブと、から構成され、蓋体2により密封された基板収納容器100の内外に圧力差が生じた場合に、基板収納容器100の外部から内部に塵埃を含む気体が流入するのを防止し、基板収納容器100の内部から外部に気体を流出させる一方向性シールとして機能する。
【0035】
このようなシールガスケットとしては、例えば、シリコーンゴム、フッ素ゴム、熱可塑性ポリエステル系エラストマー、熱可塑性ポリオレフィン系エラストマー等を使用して弾性変形可能に成形される。
【0036】
また、図2に示すように、嵌合プレート10は、上記施錠機構3を収容するための凹部を表側(図示手前側)に有している。この嵌合プレート10には、施錠機構3を構成する後述の回転リール4を、当該回転リール4の軸心を中心として回転自在に支持するための円筒リブ11(図7参照)が形成されている。
【0037】
また、嵌合プレート10には、施錠機構3を構成する後述の連結バー14の左右方向の両側面に対応する位置に、当該連結バー14の進退を案内するための一対のカムレール15が上下方向に延びるように設けられていると共に、図2、図7及び図8に示すように、施錠機構3を構成する後述の作動部材17を揺動自在に軸支するための軸部20が設けられている。
【0038】
そして、嵌合プレート10の裏面中央部には、弾性のフロントリテーナ(不図示)が装着されており、このフロントリテーナが、容器本体1の上記ティースとの間に精密基板の前後部周縁を挟んで弾発的に支持する。
【0039】
カバープレート11は、図1に示すように、平板形に形成され、嵌合プレート10に設けられた取付ボス21(図2参照)に載置されて強固に嵌合プレート10に対して螺子留めされる。このカバープレート11には、基板収納容器100を搭載する加工装置に設けられた蓋体開閉装置から施錠/開錠操作を可能とするための貫通操作孔22が設けられており、この貫通操作孔22に蓋体開閉装置の操作キーが挿入されて回転操作される。
【0040】
このカバープレート11の裏面には、嵌合プレート10に設けられたカムレール15に相対する位置に隙間をおいてカムレール(不図示)が設けられており、カバープレート11側のカムレールと嵌合プレート10側のカムレール15は、嵌合プレート10にカバープレート11を装着すると、隙間を介して対向する立体カムレールを構成し、各カムレールの対向面がカム面とされて連結バー14を案内する。
【0041】
なお、蓋体2としては、例えば、ポリカーボネート、フッ素含有ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、又は、ポリアセタール等を用いて成形される。
【0042】
施錠機構3は、図1〜図3に示すように、蓋体2において、操作キーの操作により一軸を軸心として回転する回転リール(回転体)4と、この回転リール4の回転に連動して容器本体1側に係合/解除を行うことで蓋体2を容器本体1に対して施錠/開錠する係合部12を有する連結バー14と、回転リール4の回転位置を制御する位置規制手段5と、を備える構成とされている。
【0043】
図2、図3及び図7に示すように、回転リール4は、円板状に形成され、表面側の中央部に、カバープレート11の貫通操作孔22を通して挿入された操作キーと嵌合する被操作凹部23が正面視略矩形に形成されており、中心部と周縁部との間には、連結バー14用の案内溝24が一対、周方向に沿うようにして設けられている。この案内溝24は、回転リール4において所定の角度で形成されると共に、回転リール4の回転に従い連結バー14が進退し得る半円弧形に湾曲形成されている。
【0044】
また、図7に示すように、回転リール4の裏面には、その中央部に、前述した嵌合プレート10の円筒リブ11により回転自在に軸支される円筒リブ19が設けられている。
【0045】
そして、このような構成の回転リール4は、カバープレート11の貫通操作孔22を通して被操作凹部23に挿入された操作キーによって、開錠/施錠すべく時計回り又は反時計回りに90°回転操作される。
【0046】
図2及び図3に示すように、連結バー14は、一対のカムレール15,15間の幅に対応する正面視略長方形の板状に形成され、上下方向に延びる長手方向の中心線が回転リール4の軸心と一致するように、一対のカムレール15,15間に配置されている。この連結バー14の両側面からはピン26が突出し、このピン26が直接的、又は、当該ピン26に回転自在に装着された発塵防止用の回転ローラを介して間接的に、各カムレール15のカム面とこれに対向するカバープレート11のカムレールのカム面との間に挟まれて案内される。
【0047】
この連結バー14は、その内側の端部に、裏面側である回転リール4側に突出する円筒係合ピン27を備えており、この円筒係合ピン27が直接的、又は、当該円筒係合ピン27に回転自在に装着された発塵防止用の回転ローラを介して間接的に、回転リール4の案内溝24に遊嵌配置されている。
【0048】
そして、このような構成の連結バー14は、回転リール4の回転によって、円筒係合ピン27が回転リール4の案内溝24に案内され、これにより上下方向に進退する。
【0049】
また、連結バー14は、その外側の先端部に上記係合部12が設けられ、この係合部12が嵌合プレート10に揺動可能に軸支される。この係合部12は、連結バー14の上下方向の進退によって、蓋体2の周面に設けられた開口25(図2参照)から出没し、出現時に、容器本体1のリム部9に設けられた係合孔13(係合部;図1参照)に係合する。
【0050】
なお、係合部12の先端の一部を厚さ方向に傾斜させて、係合孔13に接触する接触面積が減少するようにすれば、係合部12が係合孔13に進入し係合する際、抵抗を減少することができる。また、ここにもローラを設けることができる。
【0051】
そして、回転リール4、係合部12を有する連結バー14等は、例えば、ポリカーボネート、フッ素含有ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、又は、ポリアセタール等を用いて成形される。
【0052】
図2及び図3に示すように、施錠機構3を構成し回転リール4の回転位置を制御する位置規制手段5は、回転リール4側に設けられた突起部16(接触部;図7参照)と、この突起部16に接離可能に設けられた作動部材17と、この作動部材17を付勢する付勢手段18と、を備える。
【0053】
回転リール4の突起部16は、図3及び図7に示すように、回転リール4の裏面の周縁側の所定箇所に設けられた円柱状の突起であり、周方向の所定箇所に設けられている(詳しくは後述)。
【0054】
作動部材17は、図8及び図10に示すように、略長方形状の平板に構成されると共に、その一端側に軸心方向視(正面視)においてU字状を成す溝28を有すると共に他端側の表面に付勢手段18と連結するための円柱突起29を有し、さらに、溝28と円柱突起29との間に、嵌合プレート10の軸部20に揺動自在に軸支される円筒ボス80を有している。そして、溝28は、回転リール4の突起部16が進入し得る構成とされ、この突起部16の進入を容易とすべく、その開口部がその奥側の部分に比して拡開されて広く形成されている。
【0055】
付勢手段18は、図8及び図9に示すように、熱可塑性樹脂を使用し軸心方向視(正面視)において略V字形をした弾性部品として形成される。この付勢手段18の両端部には、円筒部30,31が各々設けられ、一方の円筒部30の筒孔には、作動部材17の他端側の円柱突起29が進入し、他方の円筒部31の筒孔には、嵌合プレート10の凹部の表面に突設された軸部32が進入した状態とされている。
【0056】
なお、付勢手段18は、略V字形の他、例えば、L字形やJ字形とすることもでき、勿論他の構成とすることもできる。
【0057】
そして、回転リール4の回転によって、突起部16が作動部材17の溝28に進入して係合し、突起部16と溝28とが係合しながら作動部材17が軸部20を軸心として揺動し、この揺動によって付勢手段18が軸部32を軸心として揺動して付勢力が働き、回転リール4の回転位置を制御することになる(詳しくは後述)。
【0058】
なお、作動部材17に対して、嵌合プレート10の凹部の表面に突設されたストッパ(不図示)を当接させることによって、作動部材17の揺動範囲を規制するようにしても良い。このような作動部材17の揺動範囲の規制は、回転リール4に突起を設けることによっても行うことができる。
【0059】
図3〜図6は、蓋体2に収容された施錠機構3を示す各正面図であり、詳しくは、嵌合プレート10からカバープレート11を取り外した各正面図であり、図3は、回転リール4が蓋体2の開錠位置に対応する第1の位置に位置している状態を示す正面図である。
【0060】
この状態では、回転リール4は、その被操作凹部23が横長となる第1の位置に位置し、連結バー14の円筒係合ピン27は、回転リール4の案内溝24の一方側の端部に位置し、作動部材17は、回転リール4の施錠するための回転(反時計回りの回転)に従いその溝28に、回転リール4の突起部16が進入し得る方向を向くように位置し、回転リール4の突起部16と作動部材17の溝28とは回転リール4の回転角で45°離間するように位置し(非接触とされ)、連結バー14は最も内側に位置すると共に、その先端の係合部12は、蓋体2の開口25(図2参照)から没入し容器本体1の係合孔13(図1参照)に対して離間した状態にある。
【0061】
ここで、蓋体2を容器本体1に施錠すべく、蓋体2が容器本体1に嵌め込まれ、蓋体開閉装置により操作キーがカバープレート11の貫通操作孔22を通して被操作凹部23に挿入され、反時計回り(一方向)に回転操作されると、回転リール4の突起部16は作動部材17の溝28に接近して行き、連結バー14の円筒係合ピン27は、回転する回転リール4の案内溝24に案内され、これにより、連結バー14は外側に向かってスライド移動していき、その先端の係合部12は、蓋体2の開口25から出現していく。
【0062】
そして、操作キーが開錠位置(図3に示す最初の位置)から反時計回りに45°回転操作され回転リール4が第2の位置に位置すると、図4に示すように、回転リール4の突起部16は作動部材17の溝28に接触し係合が開始状態とされる。すなわち、回転リール4が第1の位置から第2の位置に達する迄は、操作キーに対しては付勢手段18による付勢力は働かない。
【0063】
さらに、操作キーが反時計回りに回転操作されると、回転リール4の回転に伴い回転リール4の突起部16は作動部材17の溝28に深く進入していく係合状態となり、作動部材17は軸部20を軸心とし時計回りに揺動し、この揺動によって付勢手段18は軸部32を軸心として反時計回りに揺動しながらV字の開角を初期状態より狭める方向に圧縮される。すなわち、付勢手段18によって、操作キーに対しては反時計回りの回転力に抗するように付勢力が働き、その付勢力は回転リール4の反時計回りの回転に連れて大きくなっていく。
【0064】
さらに、操作キーが反時計回りに25°(図1の開錠位置から反時計回りに70°)回転操作され回転リール4が第3の位置に位置すると、図5に示すように、回転リール4の突起部16は作動部材17の溝28に最も深く進入した係合状態となり、操作キーによる反時計回りの回転力に抗する付勢手段18の付勢力は最大となる。すなわち、回転リール4が第2の位置から第3の位置に達する迄は、付勢手段18によって、操作キーによる反時計回りの回転力に抗する付勢力が働く。
【0065】
さらに、操作キーが反時計回りに回転操作されると、回転リール4の突起部16は、作動部材17の溝28に係合しながら、作動部材17の溝28の最も深く進入した図5に示す位置から抜ける方向に移動していき、このとき、作動部材17は軸部20を軸心とし時計回りにさらに揺動し、この揺動によって付勢手段18は軸部32を軸心として反時計回りにさらに揺動しながらV字の開角を元の位置に戻すように広げていく。すなわち、回転リール4は、当該回転リール4が第2の位置から第3の位置に移動している間とは逆の反時計回りに付勢され、操作キーに対しては回転力と同方向の付勢力が回転を補助するように働き、回転リール4は、蓋体2の施錠位置に対応する第4の位置へ達するように付勢され押圧される。
【0066】
そして、図6に示すように、回転リール4が第4の位置に達すると(図1の開錠位置から反時計回りに90°回転操作されると)、作動部材17の溝28がほぼ横向きとなり、付勢手段18による回転リール4に対する押圧力が無くなった状態となる。すなわち、回転リール4が第3の位置から第4の位置に達する迄は、付勢手段18によって、操作キーによる反時計回りの回転力と同方向の付勢力が働き、回転リール4は、蓋体2の施錠位置に対応する第4の位置の手前(例えば従来技術で述べたように90°に近い角度)で止まってしまうこと無く、第4の位置に位置することとなる。
【0067】
このとき、連結バー14は最も外側に位置しスライド移動し、その先端の係合部12は、容器本体1の係合孔13に対して係合し、これにより、容器本体1に対して蓋体2が施錠される。
【0068】
なお、回転リール4が図6に示す第4の位置を若干過ぎてしまったとしても、この場合には、回転リール4の突起部16の反時計回りのさらなる移動により、作動部材17は軸部20を軸心とし時計回りに揺動し、この揺動によって付勢手段18はV字の開角が初期状態より広げられるため、初期状態に戻ろうとする付勢力が生じ、回転リール4は逆方向(一方向とは反対方向)に回転し第4の位置に戻ることになる。
【0069】
このように、本実施形態においては、回転リール4が、蓋体2の開錠位置に対応する第1の位置に位置している場合には、回転リール4側に設けられた突起部16は、当該突起部16に接離可能に設けられた作動部材17に非接触とされ、操作キーにより回転リール4が第1の位置から施錠方向に回転されると第2の位置で突起部16と作動部材17とが接触し、さらに同方向に回転されると第3の位置迄は、付勢手段18によって操作キーによる回転力に抗するように当該回転リール4が作動部材17を介して付勢され、さらに同方向に回転されると第3の位置からは、付勢手段18によって今度は回転リール4が蓋体2の施錠位置に対応する第4の位置へ達するように当該回転リール4が作動部材17を介して付勢されるため、蓋体2の施錠時に、回転リール4を蓋体2の施錠位置に対応する位置に正確に位置させることができる。また、操作キーにより回転リール4が第1の位置から第2の位置に達する迄は回転力に抗する方向に付勢力が働かないため、回転リール4に対する回転トルクを従来に比して少なくできる。
【0070】
また、本実施形態においては、付勢手段18は、回転リール4が、蓋体2の施錠位置に対応する第4の位置を過ぎると当該第4の位置に戻るように、回転リール4を作動部材17を介して上記回転方向とは逆方向に付勢するため、蓋体2の施錠時に、回転リール4を第4の位置に一層正確に位置させることができる。
【0071】
さらに、本実施形態においては、上述のように、位置規制手段5(付勢手段18)により、回転リール4を第4の位置に位置させるように付勢して制御できるため、輸送時の振動や衝撃により、回転リール4が誤動作して施錠を開錠してしまう虞が無い。また、繰り返し蓋体2を容器本体1に対して開閉する際にも、操作キーを挿入できずに工程が中断されてしまうということを防止できる。
【0072】
図11〜図14は、本発明の第二実施形態に係る基板収納容器のその蓋体に収容された施錠機構を示す正面図であり、回転リールが開錠位置に対応する位置から施錠位置に対応する位置に回転されていく状態を各々示す正面図、図15は、作動部材を示す斜視図である。
【0073】
この第二実施形態の基板収納容器が第一実施形態のそれと違う点は、第一実施形態の位置規制手段5の構成を変更した位置規制手段55を用いた点である。
【0074】
この位置規制手段55にあっては、第一実施形態の作動部材17に代えて、回転リール4の回転に伴い当該回転リール4に設けられた突起部16が接離可能に接触するカム面57aを有する作動部材57が用いられると共に、第一実施形態の略V字形の付勢手段18に代えて、圧縮バネに形成された付勢手段58が用いられている。
【0075】
作動部材57は、図11及び図15に示すように、上下方向に延び正面視において略長方形状に形成された板状部材であり、回転リール4の軸心と嵌合プレート10の中心部との間に配置され、回転リール4側の側面が、回転リール4側に向かってその中心部分が凸となるように緩やかに湾曲するカム面57aを有し、このカム面57aが後述の所定のタイミングで回転リール4側の突起部16と接離する構成とされている。
【0076】
また、付勢手段58は、作動部材57の長手方向の両端に対応して各々配置され、その一端が、作動部材57の長手方向の両端に各々設けられ図11おける左右方向に延びる孔57bに挿入されて支持されると共に、その他端が嵌合プレート10に係止され、作動部材57を回転リール4側に向かって付勢する構成とされている。
【0077】
そして、作動部材57の長手方向の両端面に各々設けられて上下方向に突出する突起57cが、嵌合プレート10に設けられ付勢手段58の伸縮方向(図示左右方向)に延びるガイドレール60に案内されて、作動部材57が付勢手段58の伸縮方向にスライド移動するように構成されている。
【0078】
このように構成された第二実施形態の基板収納容器にあっても、開錠状態では、図11に示すように、回転リール4は、蓋体2の開錠位置に対応する第1の位置に位置し、回転リール4の突起部16と作動部材57のカム面57aとは非接触とされ、ここでは、回転リール4の回転角で30°離間するように位置している。
【0079】
そして、施錠すべく、被操作凹部23に挿入されている操作キーが、図示左側の回転リール4にあっては反時計回りに、図示右側の回転リール4にあっては時計回りに回転操作されると、回転リール4の突起部16は作動部材57のカム面57aに接近して行き、操作キーが開錠位置(図11に示す最初の位置)から30°回転操作され回転リール4が第2の位置に位置すると、図12に示すように、回転リール4の突起部16が、作動部材57のカム面57aの一端側(図示下端側)に接触する。
【0080】
さらに、操作キーが同方向に回転操作されると、カム面57aに接触した突起部16が付勢手段58を圧縮させながら作動部材57を押し込んでいく。すなわち、付勢手段58によって、操作キーに対しては回転力に抗するように付勢力が働き、その付勢力は回転リール4の回転に連れて大きくなっていく。
【0081】
さらに、操作キーが同方向に30°(図11の開錠位置から60°)回転操作され回転リール4が第3の位置に位置すると、図13に示すように、回転リール4の突起部16は作動部材57のカム面57aの頂点に位置し、操作キーによる回転力に抗する付勢手段58の付勢力は最大となる。すなわち、回転リール4が第2の位置から第3の位置に達する迄は、付勢手段58によって、操作キーによる回転力に抗する付勢力が働く。
【0082】
さらに、操作キーが同方向に回転操作されると、回転リール4の突起部16は、作動部材57のカム面57aに接触しながら、付勢手段58の付勢力により押し戻されていく。すなわち、回転リール4は、当該回転リール4が第2の位置から第3の位置に移動している間とは逆の方向に付勢され、操作キーに対しては回転力と同方向の付勢力が回転を補助するように働き、回転リール4は、蓋体2の施錠位置に対応する第4の位置へ達するように付勢され押圧される。
【0083】
そして、図14に示すように、回転リール4が第4の位置に達すると(図1の開錠位置から90°回転操作されると)、突起部16が、作動部材57のカム面57aの他端側(図示上端側)に位置すると共に、作動部材57が、初期位置(図11に示す位置)に復帰し、付勢手段58による回転リール4に対する押圧力が無くなった状態となる。すなわち、回転リール4が第3の位置から第4の位置に達する迄は、付勢手段58によって、操作キーによる回転力と同方向の付勢力が働き、回転リール4は、蓋体2の施錠位置に対応する第4の位置の手前(例えば従来技術で述べたように90°に近い角度)で止まってしまうこと無く、第4の位置に位置することとなる。
【0084】
因みに、連結バー14は、回転リール4の回転に連動して第一実施形態と同様に進退し、蓋体2は容器本体1に対して施錠/開錠される。
【0085】
このような第二実施形態にあっても、回転リール4の案内溝24の周縁位置を第4の位置を越えないように設定したり、回転止め機構を設けることで、第一実施形態とほぼ同様に、蓋体2の施錠時に、回転リール4を蓋体2の施錠位置に対応する第4の位置に正確に位置させることができると共に、回転リール4に対する回転トルクを従来に比して少なくできる。
【0086】
図16は、本発明の第三実施形態に係る基板収納容器のその蓋体に収容された施錠機構を示す正面図であり、回転リールが蓋体の施錠位置に対応する第4の位置に位置している状態を示す正面図である。
【0087】
この第三実施形態の基板収納容器が第二実施形態のそれと違う点は、回転リール4が施錠方向への回転により第4の位置を過ぎてしまうのを阻止するためのストッパ66を設け、このストッパ66、及び、第二実施形態の突起部16、作動部材57、付勢手段58によって、位置規制手段65を構成した点である。
【0088】
ストッパ66は、突起部16と同様に回転リール4の裏面に設けられた円柱状の突起であり、突起部16から回転リール4の周縁に沿って所定に離間して配置されている。
【0089】
このようなストッパ66を有する第三実施形態によれば、回転リール4が第4の位置に達し、回転リール4側の突起部16が作動部材57のカム面57aの他端側(図示上端側)に位置して当該突起部16が押圧されなくなると同時に、回転リール4側のストッパ66が、カム部材57のカム面57aの一端側(図示下端側)に当接し、それ以上回転しようとしてもストッパ66により第4の位置に戻るように付勢されるため、回転リール4を第4の位置に一層正確に位置させることができる。
【0090】
以上、本発明をその実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、上記第三実施形態においては、回転リール4側にストッパ66を設けているが、このストッパ66に代えて、嵌合プレート10側に、突起部16から回転リール4の周縁に沿って所定に離間した位置にストッパを設け、回転リール4が回転して第4の位置に達すると、嵌合プレート10側のストッパが回転リール4の突起部16に当接し、回転リール4の同方向へのそれ以上の回転を阻止するようにしても良く、このように構成しても、ストッパ66の場合と同様な効果を得ることができる。
【0091】
また、上記第一、第二実施形態においては、位置規制手段5,55の付勢手段18,58の一端を蓋体2側に係止し、この付勢手段18,58によって押圧された作動部材17,57を回転リール4の接触部である突起部16に接触させる形態を示したが、これとは逆に、図17に示すように、作動部材70及びこれを付勢する付勢手段71を回転リール4に別体又は一体的に設け、作動部材70に接触する接触部である固定カム面73を蓋体2側に設けても良い。なお、このような構成にあっては、蓋体2側に設けられた接触部としての固定カム面73、回転リール4側に設けられた作動部材70及び付勢手段71により、位置規制手段99が構成される。
【0092】
また、第一実施形態では、接触部である突起部16、作動部材17及び付勢手段18を備える位置規制手段5が、回転リール4を、蓋体2の施錠位置に対応する第4の位置へ位置するように付勢する回転止めとしての機能を兼ね備えているが、図17に示すように、作動部材70、付勢手段71及び固定カム面73とは別に、回転リール4に弾性変形可能な弾性係止片74を別体又は一体的に設けると共に、蓋体2側に、これと係合する係合リブ75を設け、回転リール4が、第4の位置を過ぎると弾性係止片74が縮んでから伸びることにより第4の位置に戻すようにしても、第一実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0093】
また、回転止め機構の例として、例えば、回転リール4の上面又は下面、或いは、外周部に、球面、半球面、多角形等をした係合突起や、ローラー部品を弾性支持させるようにして設け、蓋体には、これと係合する円弧状、U字状、V字状、傾斜面等を有する係止リブやカム面を形成して、付勢手段が回転リール4を付勢する終端で、これらが係合して、所定の停止位置に回転リール4を位置させて保持することができる。
【0094】
また、ローラー部品を回転リール4に設ける場合で、ローラー部品を常時蓋体2と接触させるようにしているときは、移動時の摩耗を低減させて移動を確実に行うために、ローラー部品の先端部が、少しだけ嵌り込むようなレール溝を回転リール4と同心状に形成しておき、終端部に形成した凹部にローラー部品が嵌り込むようにすることができる。このレール溝を形成する部品としては、具体的には、蓋体2を形成する材質よりも摩耗の少ない材質、例えば、ポリアセタールやポリエチレン或いはフッ素樹脂が添加された熱可塑性樹脂等から構成するのが好ましい。
【符号の説明】
【0095】
1…容器本体、2…蓋体、3…施錠機構、4…回転リール(回転体)、5,55,65,99…位置規制手段、10…嵌合プレート、11…カバープレート、12…係合部(蓋体側の係合部)、13…係合孔(容器本体側の係合部)、16…突起部(接触部)、17,57,70…作動部材、18,58,71…付勢手段、028…U字溝、57a…カム面、66…ストッパ、73…固定カム面(接触部)、100…基板収納容器、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を有し基板を収容する容器本体と、前記開口を閉鎖する蓋体と、前記蓋体を前記容器本体に施錠するための施錠機構と、を具備し、前記施錠機構は、操作キーの操作により一軸を軸心として回転する回転体と、前記回転体の回転に連動して、前記容器本体に設けられた容器本体側の係合部に対し係合/解除を行うことで、前記蓋体を前記容器本体に対して施錠/開錠する蓋体側の係合部と、前記回転体の回転位置を制御する位置規制手段とを、前記蓋体に備えた基板収納容器において、
前記位置規制手段は、
前記回転体側又は前記蓋体側に設けられた接触部と、
前記接触部に接離可能に設けられた作動部材と、
前記作動部材を付勢する付勢手段と、を有し、
前記作動部材は、
前記回転体が前記蓋体の開錠位置に対応する第1の位置から、前記操作キーにより前記回転体が前記軸心回りの一方向に回転され前記接触部が当該作動部材に接触する第2の位置へ達する迄は、前記接触部に非接触とされ、
前記付勢手段は、
前記操作キーにより前記回転体が前記一方向に回転され前記第2の位置から第3の位置へ達する迄は、前記操作キーにより前記回転体に付与される回転力に抗するように、前記回転体を前記作動部材を介して付勢し、
前記第3の位置からは、前記操作キーにより前記回転体に付与される回転力を補助し、前記回転体が前記蓋体の施錠位置に対応する第4の位置へ達するように、前記回転体を前記作動部材を介して付勢することを特徴とする基板収納容器。
【請求項2】
前記回転体側の前記接触部は突起部とされ、
前記作動部材は、前記軸心方向視においてU字状を成す溝を有し、前記回転体の回転に伴い前記突起部が接触すると共に当該突起部が前記溝に進入し一軸を軸心として揺動することを特徴とする請求項1記載の基板収納容器。
【請求項3】
前記付勢手段は、前記回転体が前記一方向の回転により前記第4の位置を過ぎると当該第4の位置に戻るように、前記回転体を前記作動部材を介して前記一方向とは反対方向に付勢することを特徴とする請求項1又は2記載の基板収納容器。
【請求項4】
前記回転体側の前記接触部は突起部とされ、
前記作動部材は、前記回転体の回転に伴い前記突起部が接触するカム面を有することを特徴とする請求項1記載の基板収納容器。
【請求項5】
前記回転体が前記一方向の回転により前記第4の位置を過ぎてしまうのを阻止するためのストッパを有することを特徴とする請求項4記載の基板収納容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−184739(P2010−184739A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−31253(P2009−31253)
【出願日】平成21年2月13日(2009.2.13)
【出願人】(000190116)信越ポリマー株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】