説明

基板検査システムに用いられるリニアスケールプローブ

【課題】従来のプローブは、筐体からフリーな状態で引き出された配線であるため、配線引き廻しのためのスペースが必要であり、検査パネル製作時や補修時の曲げ伸ばしによる被覆の破れや断線する事態が想定される。
【解決手段】本発明は、筐体内を移動可能な磁性体を有する可動軸と、磁性体と対向し電界を発する一次コイルと、磁性体の移動による誘導電流を取り込む二次コイルと、一次コイル及び二次コイルに電気的に接続する第1及び第2のリード端子用電極が設けられるコンタクト部と、外部機器のハウジング部と嵌脱し、コンタクトピンと接続が可能で、第1及び第2のリード端子用電極に電気的接続されるリード端子が設けられたハウジング部とで構成され、基板に実装された複数の電子部品に可動軸を当接し、実装状態を検出する基板検査システムの検査パネルに用いられるリニアスケールプローブである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント配線基板等に実装されている部品の取り付け状態を検査するための基板検査システムに用いられるリニアスケールプローブに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器の製造分野においても、作業コストの削減や短期間の製造数の増大のためにロボット装置を用いた自動化が図られている。例えば、プリント配線基板等への部品の実装においても自動化が図られている。また、プリント配線基板等に実装された部品は、電気的な検査が行われる。まず、基板の接続端子に検査治具を接続し、所定のシーケンスにより自動的に試験し、その結果に基づき、良品を選別し、不良品に対しては、再度製造ラインに戻すか廃棄している。しかし、実装された部品の取り付け状態の良否は、取り付け位置の間違いや欠品などは、検査作業員の直視又は特許文献1に記載されるような撮影画像による目視検査を行っている。
【0003】
実装された部品の取り付け状態を検査するシステムは、種々考えられている。例えば、距離を測定するレーザ光を走査させて、その反射光から部品までの距離を算出し、算出した距離データと予め測定した良品の測定データとを比較して良否を検査してもよい。
【0004】
また検査に用いることができる小型プローブが知られている。小型プローブは、外装ケース内に可動軸が収容され、可動軸を検査対象に当接させ、可動軸の移動により電気信号を発する小型プローブが知られている。例えば、シンガーインスツルメンツ&コントロール社(Singer Instruments & Control Ltd.)製の超小型バネ荷重型LVDT(micro-miniature spring-loaded LVDT )が知られている。尚、LVDTは、リニア可変作動トランス(Linear Variable Differential Transformer)である。
【特許文献1】特開平5−249045号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述した超小型バネ荷重型LVDTは、1つのプローブに対して、1つの検出器を宛がう構成であるため、多数本を使用しなければならない実装部品検査に用いようとしても、検査システムとしては、装置の規模が大きくなり且つ、高コストになり構築することができない。また、励磁用電力に高周波電力を用いた場合には、励磁コイル及び検出コイルの巻き数を減らすことができ、プローブ自体のコストを低く抑えることができる。それは、励磁コイルに高周波(例えば、1MHz)の励磁用電力を供給すると、図4(a),(b)に示すような誘導電流即ち、うず電流損が大きくなり、熱に変換されてしまう。従って、検出コイル12a,12bのそれぞれの出力は、うず電流損により減少し、正確には検出できなくなる虞がある。そのため、前述したLVDTは、推奨される一次巻き線に印加する交流電圧を励磁周波数40Hz〜20KHz帯で比較的低い周波数帯を用いている。
【0006】
また、LVDTの筐体から引き出された励磁用電力供給線及び出力信号線は、コイルから直接引き出されたそれぞれ一本の配線である。従って、多数のプローブを実装部品検査用の検査パネルに配置した場合、検出器の接続端子と対面するように配置して接続作業を行わなければならない。特に、検査パネルの中ほどに配置されたプローブに対して、修理又は交換等の作業が生じた場合には、繁雑な作業となり手間が掛かる上、配線の引き廻しのスペースが必要となり、小型化が難しくなる。
【0007】
さらに、電力供給線と出力信号線が引き出されていた場合、配線用孔からフリーな状態となるので長期に渡る曲げ伸ばしが行われると被覆の破れや断線する事態が想定される。 また検査パネル製作時や補修時に、これらの配線に引っ張り等の負荷が掛かると、被覆が破損していなくとも内部の線芯が断線する事態も想定される。
【0008】
そこで本発明は、多数の検査ポイントを有する実装部品の基板検査システムに好適し、交換などの補修が容易であり、且つ検査部の小型化を実現するリニアスケールプローブを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、基板に実装された複数の電子部品に当接し、実装状態を検出する基板検査システムの検査パネルに用いられ、筐体内を移動可能で一端が外部に延出し、他端に磁性体が設けられた可動軸と、前記磁性体と対向する位置に励磁用電力が印加され電界を発する一次コイルと、前記電界中の前記磁性体の移動により発生する誘導電流を取り込む2分割された二次コイルと、前記一次コイルに電気的に接続する第1のリード端子用電極及び、前記二次コイルに電気的に接続する第2のリード端子用電極が設けられるコンタクト部と、外部機器のハウジング部と嵌脱して内部のコンタクトピンと接続が可能で、前記コンタクト部の前記第1及び第2のリード端子用電極に電気的接続されるリード端子が設けられたハウジング部と、を備える基板検査システムに用いられるリニアスケールプローブを提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、多数の検査ポイントを有する実装部品の基板検査システムに好適し、交換などの補修が容易であり、且つ検査部の小型化を実現するリニアスケールプローブを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1(a)には、基板検査システムに用いるリニアスケールプローブの構成例を示し説明する。図1(b)は、図1(a)におけるA−Aのリニアスケールプローブの断面構成を示している。
【0012】
このリニアスケールプローブ1は、外装となる筒形状のプローブケース2と、プローブケース2内を長手方向(又は母線方向)に移動可能で一端(先端部)を外部に延出させている可動軸3と、プローブケース2内の可動軸3の他端(後端部)側に装着されたフェライト等からなる磁性体4と、可動軸3の後端部に取り付けられたスプリングガイド5と、可動軸3の後端部に取り付けられるスプリング6と、可動軸3の先端部に設けられたヘッド部7と、プローブケース2の先端側を封止し可動軸3が移動可能に貫通する孔が形成されたつば部8と、プローブケース2の後端側を封止して配線用孔が開口される固定ブッシュ9と、固定ブッシュ9に設けられた溝に嵌合するプローブケース2に設けられた凸形状の固定部10と、通常位置にある磁性体4の略中央部分と対向しプローブケース2の内周面に環装される一次巻き線となる励磁コイル11と、その励磁コイル11の両側に配置され対向する磁性体4の両端から延出しない長さの二次巻き線となる検出コイル12a,12bとで構成される。
【0013】
本実施形態の可動軸3は、直径φ2mm程度の円柱形状であり、プローブケース2は、φ3mm程度の筒形状を成している。また、プローブケース2の長さ(母線長)は、40数mm程度であり、可動軸3は30数mmで、このうち外部に延出した軸の長さは10数mm程度である。可動軸3の外部に延出した軸の長さを含めて、60数mm程度である。勿論、この寸法に限定されるものではなく、測定対象によって設計や仕様により適宜、変更される。
【0014】
可動軸3及びプローブケース2は、金属製が好ましく、剛性の点から例えば、真鍮、ステンレス材料又はチタン材料、又はこれらの合金等の鋼材料が好ましい。また、用途に応じて一回りサイズが大きくてもよければ、アルミニウム又はアルミ合金を用いることも可能である。また、金属材料については単体であっても、複数の金属材料を組み合わせてもよいし、異なる金属による層構造であってもよい。また、磁性体の金属、鉄、ニッケル又はクロム金属等は本実施形態には好適しない。
【0015】
磁性体4は、筒形状を成し、可動軸3の後端周囲に嵌装され、接着剤等で固定される。勿論、磁性体4は、筒形状が複数例えば、母線方向に2つに分割された形状を成して、可動軸3の周囲を囲むように取り付けて接着固定されてもよい。この磁性体4の母線方向の長さは、可動軸3における移動距離に応じて適宜、設定される。
【0016】
スプリングガイド5は、スプリング6内に配置され、可動軸3が後退してスプリング6が縮まった際に、可動軸3が固定ブッシュ9に衝突することを回避し且つスプリング6の縮みすぎによる捩れ等の損傷を防止するためのストッパとして機能する。ヘッド部7は、検出時に検査対象物(例えば、電子部品)に当接する部材であり、その大きさや長さは、検査対象物により適宜、最適なサイズを選択して取り付けることができる。但し、ヘッド部7の大きさや重さには制限があり、図2に示すように、磁性体4の側面と、励磁コイル11及び検出コイル12a,12bとが正対向する位置を維持しなくてはならない。例えば、リニアスケールプローブ1のヘッド部を下に向けて垂直方向に取り付けた際に、多少の位置ずれが発生した場合であれば、バネ定数を変更したスプリングコイルに交換して位置補正することもできる。可動軸3の可動範囲は、内部構造により固定されている。
【0017】
つば部8は、後述する樹脂製の検査パネルに挿嵌して装着された際に、固定箇所となるため、固定状態を保持させる強度が必要であり、硬質な部材、例えばステンレスやチタンなどの金属材料や硬質樹脂材料で作製されている。勿論、複数の部材を組み合わせてもよく、可動軸3と接する円盤形状部分に樹脂材料を用いて、外装として金属薄板で覆う2層構造であってもよい。
【0018】
固定ブッシュ9は、例えば樹脂材料により作製され、少なくとも1つの配線用孔が開口され、励磁コイル11と接続する電力供給線14と、検出コイル12a,12bと接続する出力信号線13とが貫通して出力端子15に引き出されている。電力供給線14及び出力信号線13は、システム側に接続され、交流電源16から電力供給線14を通じて高周波電力が一次コイルの励磁コイル11に供給され、検出した二次コイルの検出コイル12a,12bからの出力(出力電圧)を出力端子15を通じて後述する検出部に送出する。
【0019】
次に、励磁コイル11及び検出コイル12a,12bによる検査対象物の検出方法について説明する。
本実施形態のリニアスケールプローブ1は、図2に示すように、磁性体4の略中央部分に配置された励磁コイルに1MHz程度の高周波の正弦波交流電圧(電流)を印加して磁場を発生させる。図2に示すように、磁性体4が検出コイル12a,12bと正対して外れていない場合には、検出コイル12a,12bのそれぞれの出力のバランスが取れて、図3に示す可動軸位置「0」(通常時に停まる基準位置)となり、電圧差は「0」となる。
【0020】
可動軸3の先端部が検査対象物に当接した後、さらにリニアスケールプローブ1が定位置まで押し付けられると、可動軸3はスプリング6に付勢されつつプローブケース2の後方に後退する。この移動に伴い磁性体4が移動して、検出コイル12aとは対向しなくなり、検出コイル12bとは対向を維持している。この対向位置の移動により誘導電流が検出コイル12a,12bの発生する。しかし、検出コイル12a,12bの出力において左右のバランスが不均等になり、その偏りに応じて出力電圧として発生する。磁性体4が後退(図2の点線部分)した場合には、検出コイル12aは出力が減少し、検出コイル12bは出力を維持する。従って、図3に示す矢印側に移動することになり、出力電圧(V)が発生する。尚、図3に示す振幅出力及び位相出力の特性曲線は、それぞれ特性を示すものであり、出力電圧の値については同等レベルで記載するものではない。
【0021】
また例えば、可動軸3がプローブケース2の先端部から後端部に掛けて移動した場合には、大きく分けて3つの状態が発生し、リニアに変動する。まず、磁性体4は検出コイル12aと正対し、検出コイル12bとは外れている位置から、それぞれに正対する位置に移動し、さらに、検出コイル12aとは外れ、検出コイル12bと正対している正対する位置に移動する。これを図3に示す振幅出力特性では、可動軸位置「0」で出力電圧が最小値になり、位相出力では、出力値が高レベルから低レベルに切り換えられる。振幅出力特性においては、可動軸3の移動量に応じた電圧値が出力するため、検出された電圧値から可動軸3の先端部の移動距離を算出することができる。
【0022】
次に、リニアスケールプローブ1のプローブケース2に設けられるスリットについて説明する。
本実施形態の励磁コイル11には、電力供給線14を通じて高周波(例えば、1MHz)の励磁用電力が印加されている。これは、励磁用電力に高周波電力を用いた場合には、励磁コイル及び検出コイルの巻き数を減らすことができ、プローブ自体のコストを低く抑えることができるためである。
【0023】
しかしながら、励磁用電力に高周波電力を用いた場合には、図4(a),(b)に示すような誘導電流即ち、うず電流損が大きくなり、熱に変換されてしまう。従って、検出された検出コイル12a,12bのそれぞれの出力は、うず電流損により減少し、正確には検出できなくなる虞がある。前述した従来の小型プローブ(LVDT)では、このような事態を回避するために、一次巻き線に印加する交流電圧を励磁周波数40Hz〜20KHz帯で比較的低い周波数帯を用いている。
【0024】
そこで、本実施形態においては、図4(c),(d)に示すように、うず電流の電流通路に対して、スリット21(空間による絶縁領域)を設けて、うず電流の電流通路を遮断する。このスリットをリニアスケールプローブ1に適用した場合には、図5(a),(b)に示すように、プローブケース2において、母線方向に少なくとも1つのスリット21を設ける。本実施形態では、対向する位置に2つのスリット21を設けている。これらのスリット21の長さは、磁性体4が移動する範囲内をカバーすることが好ましく、少なくとも励磁コイル11及び検出コイル12a,12bをカバーする範囲とする。また、スリット21の幅は、うず電流の電流通路が遮断できる幅であればよく、実際の設計に基づいて、適宜設定すればよい。
【0025】
また、このようなスリット21は、プローブケース2の母線方向に長く形成する及びスリット数が多いほど、プローブケース2の強度が低下することとなる。
そこで、図6に示すように、プローブケース2の母線方向に縦断するスリット22を設けて、スリット両端の間に連結スペーサ23を挟み込み、接着剤により固定する。これは、スリット両端を連結スペーサ23で繋いで強度を低下させない構造である。この連結スペーサ23は、絶縁体により形成される。例えば、硬質樹脂(絶縁性)、硬質ゴム(絶縁性)、アルミナ等の酸化された金属薄板等々が考えられる。
【0026】
以上説明したように、電流通路を遮断するスリットを設けることにより、うず電流損を減少させて、高周波数帯の励磁用交流電力を一次巻き線である励磁コイルに印加することができる。従って、励磁コイル及び検出コイルの巻き数を減らすことができ、プローブ自体のコストを低く抑えることができる。
【0027】
次に、リニアスケールプローブ1に設けられるコンタクト部の構成例について説明する。図7(a)は、コンタクト部の正面から見た構成の概念図、図7(b)は コンタクト部の側面から見た構成の概念図、図7(c)は、コンタクト部のハウジング部側から見た構成の概念図である。
【0028】
前述した図1では、励磁コイル11と接続する電力供給線14と、検出コイル12a,12bと接続する出力信号線13と固定ブッシュ9の配線用孔から外部に引き出されている構成であった。しかし、実際の製品においては、電力供給線14と出力信号線13が引き出されていた場合に、配線用孔からフリーな状態となるので長期に渡る曲げ伸ばしが行われると被覆の破れや断線する事態が想定される。さらに、後述する検査パネル製作時や使用時に、これらの配線に引っ張り等の負荷が掛かると、被覆が破損していなくとも内部の線芯が断線している事態も想定される。
【0029】
本実施形態では、リニアスケールプローブ1の後端にコンタクト部30を設ける。
コンタクト部30は、硬質プリント配線基板(以下、基板と称する)31と、キャップ部35と、ハウジング部36とで構成される。基板31の表裏主面には、複数のリード端子用電極及び配線用電極が形成されている。本実施形態の基板31は、図7(a)に示すように、表裏主面に形成される2つの長形のリード端子用電極32(32a〜33d)と、表主面の他端側に6個の配線用電極33(33a〜33f)とが設けられている。
【0030】
これらの配線用電極33においては、図1に示したコイル構成であれば、2つの配線用電極33a,33bは短絡パターン接続された上、それぞれに検出コイル12a,12bの一端が半田付け接続される。また、配線用電極33c,33dは、検出コイル12a,12bの他端に半田付け接続し、さらに配線用電極33e,33fは、励磁コイル11と半田付け接続する。また、配線用電極33a,33bは、表主面上でリード端子用電極32a,32bとパターン配線40により接続される。配線用電極33c,33dは、ビアホールを通じて裏主面上のリード端子用電極32c,32dとパターン配線41により接続される。基板31は、半田付け終了後にリード端子用電極32側からキャップ部35に嵌め込まれ、配線用電極33がキャップ部内に埋没するように樹脂を埋め込み固定される。その後、両面のリード端子用電極32には、ハウジング部36のリード端子37がそれぞれ接触して電気的に接続する。この接続方法としては、リード端子37に弾性を持たせて、その弾性力により電気的な接続状態を維持及び固定させてもよいし、別個に弾性部材を設けて、接続状態を維持及び固定させてもよい。さらに、確実に接続状態を維持させる方法としては、半田付けによる接続部42によりリード端子37をリード端子用電極32に固着してもよい。
【0031】
このように構成されたハウジング部36にシステム側のハウジング部を嵌合させて、高周波励磁用電力を励磁コイル11に印加し、検出コイル12a,12bからそれぞれ検出信号を読み取る。
【0032】
尚、キャップ部35の直径及び基板31の幅は、原則として前述したプローブケース2の直径φ3mmよりも小径である。これは、後述する検査パネルに開口された取り付け孔にコンタクト部30から差し込み、つば部8で固定するためである。
【0033】
以上説明したように、リニアスケールプローブの後端にコンタクト部を設けることにより、このプローブを用いて検査パネル等を作製する際に、ハウジング部を嵌合させるだけで簡単に電気接続が行える。また、電力供給線14と出力信号線13が外部に露呈していないため、曲げ伸ばしや組み立て時の負荷による断線がなくなる。
【0034】
次に、リニアスケールプローブ1を用いた基板検査システムについて説明する。
本実施形態の基板検査システムは、多数の電子部品が実装されたプリント配線基板に対して、検査パネルを用いた一度の検査により、全電子部品における実装の有無、取り付け姿勢の良否を検査するシステムである。
【0035】
図8は、基板検査システムのブロック構成図を示す。この基板検査システムは、複数のリニアスケールプローブ1が嵌装されて構成される検査パネル51と、これらのリニアスケールプローブ1に対して、それぞれ高周波電力の印加と検出信号(出力電圧)の伝搬を行う例えばマルチプレクサからなるインタフェース(IF)部52と、リニアスケールプローブ1に印加する高周波電力を生成する電源部53と、個々のリニアスケールプローブ1から検出信号を受信して出力電圧を生成する検出部54と、出力信号に基づき、全電子部品における実装の有無、取り付け姿勢の良否を判定する判定部55と、判定部55における判定基準設定等のシステム全体の制御及び動作指示を行う制御部56と、検査者による指示入力を行うためのキーボードやタッチパネル等の操作パネルからなる入力部57と、判定結果や入力指示等を表示するための例えば液晶表示画面を有する表示部58と、音声による入力又は音声による告知を行う音声部59とで構成される。
【0036】
図9(a),(b)は、リニアスケールプローブ1が挿嵌された検査パネル51の状態を示す図である。リニアスケールプローブ1は、コンタクト部30側から検査パネル51の開口された固定孔65に差し込み、つば部8まで押し込み挿嵌する。次に、コンタクト部30にシステム側のハウジング部36を差し込む。
【0037】
このように検査パネル51にリニアスケールプローブ1を挿嵌するだけで容易に作製することができる。従って、多数のリニアスケールプローブ1を実装部品検査用の検査パネルに配置した場合、検出部54との接続が容易になる。
【0038】
さらに、図9(a)に示すように、リニアスケールプローブ1のプローブケース2の一部にコの字型の切り込み部を入れておき、その切り込み部の先端部分を突出させて、挿嵌後の固定強化及び脱落防止として機能するストッパを形成してもよい。また、図9(b)に示すように、例えば、電子部品のうち、CPU68などのリード端子が多数あり、実装面積の大きい電子部品に対しては、例えば4隅に対してリニアスケールプローブ1を配置する。このような配置により、実装の有無だけではなく、その実装された姿勢例えば、基板に対して傾斜して取り付けられていないか否かを検査することができる。
【0039】
ここで図10(a),(b)には、リニアスケールプローブ1が嵌装された検査パネルの第1の例を示し説明する。
図10(a)に示すように、基板71上に実装される電子部品群72は、それぞれの電子部品で実装面積が異なるだけでなく、その高さも異なっている。例えば、コンデンサ等は比較的高さを有しているが、CPU等は低くなっている。従って、同じストローク長の可動軸のリニアスケールプローブ1を用いる場合には、検査パネル51に高さ調整用のスペーサ73を貼り付けて、実装された部品に適応させる必要がある。例えば図10(a)に示すように、厚さの異なったスペーサ73を検査パネル51に貼り付けて、プローブ配置位置に固定孔を開口して、リニアスケールプローブ1を挿嵌する。
【0040】
以上のように、平坦な検査パネル51に検査対象となる電子部品の高さに合わせてスペーサを取り付けることにより、どのような実装基板にも対応できる自由度の高い検査パネルを作製することができる。
【0041】
さらに、多数のリニアスケールプローブ1を実装部品検査用の検査パネルに配置した場合、検出器との接続が容易になる。特に、検査パネルの中ほどに配置されたリニアスケールプローブ1に対して、修理又は交換等の作業が生じた場合であっても、簡単に検査パネルを装置から取り外すことができる。さらに、補修作業のために必要であったリニアスケールプローブ1からの配線の引き廻しスペースが無くなり、小型化が容易になる。
【0042】
リニアスケールプローブ1の配置数又は検査部54の検出処理できるプローブ数(ハウジング部の数)に制限されるが、別の仕様の検査パネルと交換し、検出部54及び制御部56のプログラムを書き換えるだけで、容易に短時間で且つ効率的に、部品配置の異なる実装基板に対しても対応することができる。
【0043】
さらに、電力供給線と出力信号線がフリーな状態では引き出されていないため、渡る曲げ伸ばし等による断線が無くなる。特に、検査パネル製作時や補修時における引っ張り等の負荷による被覆の破損や線芯が断線が無くなる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】図1(a)は、基板検査システムに用いるリニアスケールプローブの構成例を示す図、図1(b)は、図1(a)におけるA−Aのリニアスケールプローブの断面構成を示す図である。
【図2】リニアスケールプローブにおける磁性体と、励磁コイル及び検出コイルの位置関係と発生する電圧について説明するための図である。
【図3】可動軸の位置と振幅出力と位相出力について説明するための図である。
【図4】うず電流とスリットとの関係について説明するための図である。
【図5】スリットが設けられたリニアスケールプローブの構成例を示す図である。
【図6】連結スペーサが挟み込まれるスリットが設けられたリニアスケールプローブの構成例を示す図である。
【図7】図7(a)〜(c)は、リニアスケールプローブに設けられるコンタクト部の構成例を示す図である。
【図8】実施形態として基板検査システムのブロック構成を示す図である。
【図9】図9(a),(b)は、リニアスケールプローブが挿嵌された検査パネルを示す図である。
【図10】図10(a),(b)は、リニアスケールプローブが嵌装された検査パネルの構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0045】
1…リニアスケールプローブ、2…プローブケース、3…可動軸、4…磁性体、5…スプリングガイド、6…スプリング、7…ヘッド部、8…つば部、9…固定ブッシュ、10…固定部、11…励磁コイル、12a,12b…検出コイル、30…コンタクト部、36…ハウジング部、51…検査パネル、52…IF部(マルチプレクサ)、53…電源部、54…検査部、55…判定部、56…制御部、57,85,87…入力部、58,84,86…表示部、59…音声部、61…昇降機構、62…検査テーブル、65…固定孔。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に実装された複数の電子部品に当接し、実装状態を検出する基板検査システムの検査パネルに用いられ、
筐体内を移動可能で一端が外部に延出し、他端に磁性体が設けられた可動軸と、
前記磁性体と対向する位置に励磁用電力が印加され電界を発する一次コイルと、
前記電界中の前記磁性体の移動により発生する誘導電流を取り込む2分割された二次コイルと、
前記一次コイルに電気的に接続する第1のリード端子用電極及び、前記二次コイルに電気的に接続する第2のリード端子用電極が設けられるコンタクト部と、
外部機器のハウジング部と嵌脱して内部のコンタクトピンと接続が可能で、前記コンタクト部の前記第1及び第2のリード端子用電極に電気的接続されるリード端子が設けられたハウジング部と、
を具備することを特徴とする基板検査システムに用いられるリニアスケールプローブ
【請求項2】
前記リニアスケールプローブの前記コンタクトの幅は、前記筐体の直径よりも狭く形成され、前記検査パネルに開口された取り付け孔に前記コンタクト側から挿嵌されて、前記検査パネルに固定されることを特徴とする請求項1に記載の基板検査システムに用いられるリニアスケールプローブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−175594(P2008−175594A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−7482(P2007−7482)
【出願日】平成19年1月16日(2007.1.16)
【出願人】(594157142)オー・エイチ・ティー株式会社 (28)
【Fターム(参考)】