説明

基板検査装置および基板処理システム

【課題】基板の不良率を低減すること。
【解決手段】搬送されてきた基板のエッジに接触して基板を位置決めする複数のクランプ機構を備える複数の処理装置が配置された製造ライン上に設けられ、基板に対するクランプ機構ごとの接触位置を記憶する記憶部33と、基板のエッジに生じた欠陥を検出してその位置を測定する欠陥位置測定部37と、欠陥位置測定部37によって測定された基板の欠陥位置と、記憶部33に記憶されている基板に対する各クランプ機構の接触位置とを比較して、基板の欠陥位置に接触位置が対応するいずれかのクランプ機構を特定する制御部39とを備えるエッジ検査装置11を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板検査装置およびこれを備える基板処理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ガラス基板のような透明板に発生したクラックを検出する装置として、透明板欠陥検査装置が知られている(特許文献1参照。)。
この透明板欠陥検査装置は、波長の異なる複数の光源からの光を基板に照射し、得られた画像に基づいてクラックを検出することとしている。
【特許文献1】特開2004−317470号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、液晶用ガラス基板やプラズマディスプレイ用ガラス基板等のガラス基板は薄く、かつ、サイズが大型化しているため、その製造工程において取り扱われる際に撓んで、繰り返し内部応力が作用する。このため、単にガラス基板のエッジに形成されたクラックを検出するだけでは、検査のときはまだ小さな欠け欠陥が、後の工程において内部応力によりクラックに成長する可能性があり、このようなガラス基板を予め排除することができないという不都合がある。
【0004】
例えば、2m×2mクラスのガラス基板においては、製造装置や検査装置内で最初は小さな欠け欠陥が成長し、各製造装置あるいは検査装置内で割れてしまうと、そのガラスの排除および装置復旧に多大な時間を必要とし、生産効率に以前に増して影響する。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、基板の不良率を低減する検査装置およびこれを備える基板処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を採用する。
本発明は、搬送されてきた基板のエッジに接触して該基板を位置決めする位置決め機構を備える複数の処理装置が配置された搬送ライン上に設けられる基板検査装置であって、前記基板に対する前記位置決め機構ごとの接触位置を記憶する記憶部と、前記基板のエッジに生じた欠陥を検出してその位置を測定する欠陥位置測定部と、該欠陥位置測定部によって測定された前記基板の欠陥位置と、前記記憶部に記憶されている前記基板に対する各前記位置決め機構の接触位置とを比較して、前記基板の欠陥位置に前記接触位置が対応する前記位置決め機構を特定する特定部とを備える基板検査装置提供する。
【0007】
本発明によれば、基板が搬送ライン上を搬送されて各処理装置に送られ、各処理装置において位置決め機構によって位置決めされて各種処理が行われる。各処理装置においては、位置決め機構が接触した際の衝撃によって基板のエッジに欠けが生じる可能性がある。
【0008】
本発明に係る基板検査装置においては、欠陥位置測定部により、基板のエッジに生じた欠け等の欠陥が検出されてその欠陥位置が測定され、特定部により、その基板の欠陥位置に接触位置が対応する位置決め機構が特定されるので、特定された位置決め機構、すなわち、基板に欠陥を生じさせた位置決め機構に対して調整等を行うことができる。これにより、基板の不良率を低減することが可能となる。
【0009】
上記発明においては、前記基板のエッジを撮影する撮影部を備え、前記欠陥位置測定部が、前記撮影部により取得された前記基板のエッジの画像に基づいて欠陥を検出することとしてもよい。
【0010】
このように構成することで、撮影部および欠陥位置測定部により、位置決め機構との接触によって衝撃を受け易い基板のエッジに撮影範囲が制限されて欠陥の検出が行われるので、細かい欠け等の欠陥であっても効率的にかつ精度よく見つけることができる。
【0011】
また、上記発明においては、前記特定部により前記基板の欠陥位置に対応する前記位置決め機構が特定された場合に、特定された前記位置決め機構を外部に報知する報知部を備えることとしてもよい。
【0012】
このように構成することで、報知部の作動により、基板に欠陥を生じさせた位置決め機構が外部のオペレータに報知され、オペレータがこれを認識することができる。したがって、例えば、基板を位置決めする際の押しつけ圧力を弱める等の位置決め機構の調整に迅速に当たることができ、基板の欠陥の発生をより低減することができる。
【0013】
本発明は、前記搬送ライン上に配置され、前記位置決め機構を有する複数の前記処理装置と、該処理装置によって処理された前記基板を検査する上記の基板検査装置とを備える基板処理システムを提供する。
【0014】
本発明によれば、基板検査装置により、基板に欠陥を生じさせる処理装置を早期に発見して調整等に当たることができ、基板の不良率を低減することができる。
【0015】
上記発明においては、各前記位置決め機構の前記基板に対する位置決め時の押付け圧力を調整する調整部と、前記特定部により前記基板の欠陥位置に対応する前記位置決め機構が特定された場合に、前記調整部の押付け圧力を制御する制御部とを備えることとしてもよい。
【0016】
このように構成することで、調整部および制御部により、基板に欠陥を生じさせる処理装置の押付け圧力が調整されるので、押付け圧力が強すぎることによって生じるエッジの欠け等の基板の不良率を低減するとともに、早期の調整によって作業効率の向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、基板の不良率を低減することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態に係るエッジ検査装置(基板検査装置)11およびこれを備える基板処理システム100について、図面を参照して説明する。
本実施形態に係る基板処理システム100は、例えば、図1に示すように、液晶TFT(Thin Film Transistor)製造ライン(搬送ライン、以下「製造ライン」という。)10に基板Aの欠陥を検査するエッジ検査装置11を備えるものである。
【0019】
基板処理システム100は、製造ライン10間を搬送される基板Aの表面を洗浄して薄膜を成膜する洗浄・成膜装置1と、洗浄・成膜装置1によって形成された基板Aの薄膜上にフォトレジストを塗布するレジスト塗布装置3と、フォトレジストが塗布された基板Aに対して露光を行う露光機5と、露光後の基板Aに現像を行う現像装置7と、基板Aの薄膜をエッチングし、薄膜上に残ったフォトレジストを剥離するエッチング・剥離装置9と、これらの装置(以下、「処理装置1,3,5,7,9」という。)を経由してLCD用のパターンGate、N+、S/D、PasおよびITOが作成された基板Aを検査するエッジ検査装置11とを備えている。
【0020】
また、基板処理システム100には、図2に示すように、複数のローラ13と一対のレール15で構成される基板搬送装置17と、基板搬送装置17による基板Aの搬送をコントロールする搬送コントローラ(図示略)とが設けられており、処理装置1,3,5,7,9およびエッジ検査装置11がこの基板搬送装置17上にそれぞれ間隔をあけて配置されている。この基板搬送装置17は、搬送コントローラの作動により、基板Aを一方向に搬送するものである。
【0021】
各処理装置1,3,5,7,9には、図3に示すように、基板搬送装置17により搬送されてきた基板Aを静止して位置決めするための5つのクランプ機構(位置決め機構)21A,21B,21C,21D,21Eがそれぞれ設けられている。クランプ機構21A,21B,21C,21D,21Eは、基板Aの4辺を支持して位置決めするものである。
【0022】
具体的には、クランプ機構21A,21B,21C,21D,21Eは、基板Aの搬送方向に対して先端のエッジに接触する基準クランプ機構21Aおよび一方の側端のエッジに接触する基準クランプ機構21B,21Cと、基板Aを基準クランプ機構21Aに後端から押付ける押付クランプ機構21Dと、基板Aを基準クランプ機構21B,21Cに他方の側端から押付ける押付クランプ機構21Eとに分けられる。
【0023】
これらクランプ機構21A,21B,21C,21D,21Eは、基板搬送装置17のローラ13間から上下方向に出没可能とされており、各処理装置1,3,5,7,9において基板Aが搬送されてくると基板搬送装置17上に上昇し、各処理装置1,3,5,7,9での処理が終わると基板搬送装置17のローラ13の下に引っ込むようになっている。
【0024】
基準クランプ機構21Aは、処理装置1,3,5,7,9ごとに基板Aの先端のエッジの異なる位置に接触するように配置されている。すなわち、各基準クランプ機構21Aは、基板搬送装置17のレール15が延在する方向に直交する方向において、処理装置1,3,5,7,9ごとに異なる位置に配置されている。したがって、処理装置1,3,5,7,9ごとに、基準クランプ機構21Aと基板Aの先端のエッジとの接触位置を特定できるようになっている。言い換えれば、基板Aに対する基準クランプ機構21Aの接触位置に基づいて、処理装置1,3,5,7,9のうちのいずれの基準クランプ機構21Aであるかを特定できるようになっている。
【0025】
同様に、基準クランプ機構21B,21Cも、それぞれ処理装置1,3,5,7,9ごとに基板Aの側端のエッジの異なる位置に接触するように配置されている。すなわち、各基準クランプ機構21B,21Cは、基板搬送装置17のレール15が延在する方向において、処理装置1,3,5,7,9ごとに異なる位置に配置されている。したがって、処理装置1,3,5,7,9ごとに、基準クランプ機構21B,21Cと基板Aの側端のエッジとの接触位置をそれぞれ特定できるようになっている。また、基板Aに対する基準クランプ機構21B,21Cの接触位置によっても、処理装置1,3,5,7,9のうちのいずれの基準クランプ機構21B,21Cであるかを特定できるようになっている。
【0026】
また、押付クランプ機構21D,21Eも、それぞれ処理装置1,3,5,7,9ごとに基板Aの後端のエッジまたは他方の側端のエッジの異なる位置に接触するように配置されている。したがって、処理装置1,3,5,7,9ごとに、押付クランプ機構21Dと基板Aの後端のエッジ、または、押付クランプ機構21Eと他方の側端のエッジとの接触位置をそれぞれ特定できるようになっている。また、基板Aに対する押付クランプ機構21D,21Eの接触位置によっても、処理装置1,3,5,7,9のうちのいずれの押付クランプ機構21D,21Eであるかを特定できるようになっている。
【0027】
エッジ検査装置11は、図4に示すように、3つの撮影部23a,23b,23cと、基板Aのエッジの検査処理を行うシステム制御部30とを備えている。
各撮影部23a,23b,23cは、基板搬送装置17により搬送されている基板Aのエッジから約100mmの範囲の画像を連続的に取得して、二次元的な画像を取得するものである。
【0028】
撮影部23a,23b,23cは、図5に示すように、それぞれ一対の照明装置25a,25b,25cおよび撮影装置26a,26b,26cと、照明装置25a,25b,25cおよび撮影装置26a,26b,26cによる撮影をそれぞれコントロールする撮影コントローラ(図示略)とを備えている。
【0029】
これら撮影部23a,23b,23cは、撮影コントローラの作動により、照明装置25a,25b,25cから基板Aに向けて照明光が発せられ、基板Aの表面で反射した反射光が撮影装置26a,26b,26cにより撮影されるようになっている。
【0030】
各照明装置25a,25b,25cは、基板搬送装置17上の基板Aの表面に対して、照明光の光軸が所定の傾斜角度に傾けて配置されている。
各撮影装置26a,26b,26cは、例えば、ラインセンサカメラであり、基板搬送装置17上の基板Aの表面に対して、その光軸を所定の傾斜角度に傾けるとともに、各照明装置25a,25b,25cによる照明範囲の中心に光軸を一致させるように配置されている。
【0031】
撮影部23aおよび撮影部23bは、互いに一方のレール15と他方のレール15に配置されている。これら撮影部23aの照明装置25aおよび撮影装置26aと、撮影部23bの照明装置25bおよび撮影装置26bは、それぞれ固定部材(図示略)によってレール15上に固定されている。このように配置された照明装置25aおよび撮影装置26aと、照明装置25bおよび撮影装置26bは、基板Aの搬送方向に対する両側端部のエッジから約100mmの範囲を撮影するようになっている。
【0032】
撮影部23cは、撮影部23a,23bよりも基板Aの搬送方向の下流側に配置されている。この撮影部23cは、図6に示すように、基板搬送装置17のレール15が延在する方向に直交するように一対のレール15に架け渡される架渡し部27と、架渡し部27に沿って移動可能に支持されるスライダ29とを備えており、照明装置25cおよび撮影装置26cが固定部材(図示略)によってスライダ29に固定されている。
【0033】
照明装置25cおよび撮影装置26cは、撮影コントローラの作動により、基板Aの搬送方向に対して直交するように移動され、基板Aの搬送方向に対する先端および後端のそれぞれエッジから約100mmの範囲を撮影するようになっている。
【0034】
システム制御部30は、搬送コントローラおよび撮影コントローラとの通信を行う通信部31と、各処理装置1,3,5,7,9のクランプ機構21A,21B,21C,21D,21Eごとの配置位置を記憶する記憶部33と、各撮影部23a,23b,23cにより取得された基板Aのエッジの画像を処理する画像処理部35と、画像処理部35により得られた画像情報から欠陥を検出してその位置を測定する欠陥位置測定部37と、基板Aの欠陥位置に接触位置が対応するいずれかのクランプ機構21A,21B,21C,21D,21Eを特定する制御部(特定部)39とを備えている。以下、特定されたクランプ機構を「クランプ機構ID」と表記する。
【0035】
また、システム制御部30には、欠陥位置測定部37により検出された欠陥の画像や検査プログラムのGUIを表示する表示部41と、制御部39により基板Aの欠陥位置に対応するいずれかのクランプ機構21A,21B,21C,21D,21Eが特定された場合に、クランプ機構IDを外部に報知する報知部43と、ユーザインターフェースのための操作部45と、通信部31と通信可能に設けられ、オペレータへの通知処理が行われる上位システム(報知部)47とが接続されている。
【0036】
通信部31は、基板Aの搬送時に搬送コントローラと通信したり、基板Aの撮影時に撮影コントローラと通信したりするほか、押付け圧力等を見直す必要があるいずれかのクランプ機構21A,21B,21C,21D,21Eが特定された場合に上位システム47に通知するようになっている。
【0037】
記憶部33には、処理装置1,3,5,7,9ごとの各クランプ機構21A,21B,21C,21D,21Eの配置位置、すなわち、処理装置1,3,5,7,9ごとの各クランプ機構21A,21B,21C,21D,21Eの基板Aとの接触位置のX座標およびY座標(以下、「接触位置情報」という。)がそれぞれ記憶されるようになっている。また、記憶部33には、エッジ検査の結果が保存されることとしてもよい。
【0038】
画像処理部35は、撮影装置26a,26b,26cにそれぞれ接続されており、撮影装置26a,26b,26cにより取得された基板Aの4辺のエッジの画像の画像処理を行うものである。
【0039】
欠陥位置測定部37は、画像処理部35から送られてくる画像情報から基板Aの欠陥を検出し、欠陥の位置座標(X座標およびY座標)を測定するものである。欠陥としては、例えば、図7(a)および図7(b)に示すように、基板Aのエッジから内側に向かって線状に延びるひび割れ(クラック)Dや、図7(c)に示すように、基板Aのエッジの一部が切り欠かれて脱落した欠け(欠損)Eが挙げられる。
【0040】
欠陥の検出方法としては、例えば、搬送されている基板Aと同種類の正常な、すなわち、欠陥がない基板の明るさデータが欠陥位置測定部37に入力されており、この正常な基板の明るさデータと、画像情報から得られた基板Aの明るさデータとの差分が算出されることによって欠陥が検出されることとしてもよい。この場合、正常な基板の明るさデータの値を0とし、また、同じ基板でも明るさにばらつきがあるので差分が所定の許容値以下なら欠陥なし、許容値以上なら欠陥ありと判断すればよい。
【0041】
また、欠陥位置測定部37は、欠陥がクラックであるか、あるいは、欠けであるかを判定し、欠けである場合にはその面積を算出するようになっている。さらに、欠陥位置測定部37は、欠けの面積が所定の閾値より大きいか否かにより、欠陥の程度を判定するようになっている。
【0042】
また、欠陥位置測定部37は、検出された基板Aの全ての欠陥について、欠陥位置情報(X座標およびY座標)を算出するようになっている。算出された欠陥の座標位置は、画像データ等とともに欠陥位置情報として欠陥位置測定部37から制御部39へ送られるようになっている。
【0043】
制御部39は、欠陥位置測定部37から送られてくる欠陥位置情報と、記憶部33に記憶されている接触位置情報とを比較して、欠陥位置情報に接触位置情報が対応するいずれかのクランプ機構21A,21B,21C,21D,21E、すなわち、基板Aの欠陥位置のX座標およびY座標に、基板Aとの接触位置のX座標およびY座標がほぼ一致するいずれかのクランプ機構21A,21B,21C,21D,21Eを特定するようになっている。
【0044】
また、制御部39は、いずれかのクランプ機構21A,21B,21C,21D,21Eを特定すると、そのクランプ機構IDを通信部31を介して上位システム47に通知するようになっている。また、制御部39は、画像データを表示部41に送り、欠陥の画像を表示させるようになっている。
【0045】
また、制御部39は、報知部43による警報のON/OFFを制御するようになっている。具体的には、制御部39は、欠陥がクラックである場合に、報知部43の警報フラグをONして警報を鳴らすようになっている。この動作は、警報中であることを記憶するために、記憶部33の領域に警報フラグがONであることを示すデータが書き込まれることで実現される。また、制御部39は、警報を止める場合には警報フラグをOFFするようになっている。
【0046】
また、制御部39は、クランプ機構IDの確認処理を行うようになっている。具体的には、欠陥が面積の大きい欠けである場合に、基板のナンバー、基板種等必要な工程データおよび画像データ等とともにクランプ機構IDを上位システム47に通知するようになっている。
【0047】
また、制御部39は、クランプ機構IDの監視処理を行うようになっている。具体的には、欠陥が面積の小さい欠けである場合に、基板のナンバー、基板種等必要な工程データおよび画像データ等とともに、クランプ機構IDを記憶部33に保存するようになっている。そして、同じクランプ機構IDの監視処理回数が規定値以上になると、そのクランプ機構IDの確認処理を行うようになっている。
【0048】
上位システム47は、通信部31を介してクランプ機構IDが通信されると、オペレータにそのクランプ機構IDを通知するようになっている。これにより、オペレータは、どの処理装置1,3,5,7,9のどのクランプ機構21A,21B,21C,21D,21Eを見直す必要があるかを認識することが可能となる。
【0049】
報知部43は、制御部39の作動により、警報フラグがONされると警報を発し、警報フラグがOFFされると警報を止めるようになっている。
【0050】
このように構成された本実施形態に係るエッジ検査装置11およびこれを備える基板処理システム100の作用について説明する。
製造ライン10においては、搬送コントローラの作動により、基板Aが基板搬送装置17上を搬送されて各処理装置1,3,5,7,9に順に送られる。
【0051】
各処理装置1,3,5,7,9では、基板Aが基準クランプ機構21A,21B,21Cに接触し、押付クランプ機構21D,21Eによって基板Aが基準クランプ機構21A,21B,21Cに押付けられることにより位置決めされる。位置決めされた基板Aには各処理が行われる。
【0052】
このように基板Aは、薄膜を成膜する洗浄・成膜装置1、レジスト塗布装置3、露光機5、現像装置7、エッチング・剥離装置9を順に経由することにより、LCD用のパターンGate、N+、S/D、PasおよびITOが作成され、その後、エッジ検査装置11へと搬送されて欠陥検査が行われる。
【0053】
エッジ検査装置11においては、まず、基板Aが撮影部23a,23bまで搬送されてくると、搬送コントローラにより、基板Aが到達したことを知らせる信号が撮影コントローラに送信される。
【0054】
撮影コントローラは、基板Aの到達が通知されると、撮影の開始を知らせる信号を搬送コントローラ13に送信し、撮影装置26a,26bによる撮影を開始する。搬送コントローラ13は、撮影開始が通知されると、撮影装置26a,26bによる撮影に適した一定速度となるように基板Aの搬送をコントロールする。
【0055】
そして、撮影部23aの照明装置25aおよび撮影装置26aと、撮影部23bの照明装置25bおよび撮影装置26bにより、基板Aの両側端のエッジの画像が取得される。
基板Aの先端が撮影部23cのところまでくると、搬送コントローラにより基板Aの搬送が停止され、基板Aの先端が撮影部23cに到達したことを知らせる信号が撮影コントローラに送られる。
【0056】
撮影コントローラ13は、基板Aの先端の到達が通知されると、撮影装置26a,26bによる撮影を終了する。続いて、撮影部23cの照明装置25cおよび撮影装置26cが架渡し部27に沿って基板Aの搬送方向に直交するように移動させられ、基板Aの先端のエッジが撮影される。
【0057】
撮影部23cが基板端までくると、撮影装置26cによる撮影が終了され、撮影コントローラから搬送コントローラに搬送信号が送られる。搬送コントローラは、搬送信号が通知されると基板Aをさらに搬送する。基板Aの後端が撮影部23cまでくると、搬送コントローラにより基板Aの搬送が停止され、基板Aの後端が撮影装置26cに到達したことを知らせる信号が撮影コントローラに送信される。
【0058】
撮影コントローラは、基板Aの後端の到達が通知されると、撮影部23cの照明装置25cおよび撮影装置26cを架渡し部27に沿って基板Aの先端の撮影時の移動方向とは逆方向に移動させながら、基板Aの後端のエッジの撮影を行う。
撮影部23cが基板端までくると、撮影装置26cによる撮影が終了される。
【0059】
次に、このようにして撮影された基板Aのエッジの欠陥検査について、図8に示すフローチャートを参照して説明する。
撮影装置26a,26b,26cにより取得された基板Aの4辺のエッジの画像は、画像処理部35に読み込まれて画像処理される(ステップSA1)。画像処理部35により得られた画像情報は、欠陥位置測定部37に送られて基板Aの欠陥検出処理が行われる(ステップSA2)。
【0060】
欠陥位置測定部37においては、まず、基板Aのエッジにクラックが存在するか否かが判定される(ステップSA3)。クラックが存在すると判定されると(ステップSA3「YES」)、欠陥位置測定部37によりそのクラックの座標位置が測定されて、欠陥位置情報が制御部39に送られる(ステップSA4)。
【0061】
制御部39においては、欠陥位置測定部37から欠陥位置情報が送られてくると、欠陥の画像データが表示部41に送られるとともに、記憶部33に記憶されている処理装置1,3,5,7,9ごとの各クランプ機構21A,21B,21C,21D,21Eの接触位置情報が読み出される。そして、欠陥位置情報と接触位置情報とが比較され、制御部39により、欠陥位置情報に接触位置情報が対応するいずれかのクランプ機構21A,21B,21C,21D,21Eが特定される(ステップSA5)。
【0062】
いずれかのクランプ機構21A,21B,21C,21D,21Eが特定されると、制御部39により、報知部43の警報フラグがONされる(ステップSA6)。報知部43においては、警報フラグがONされるとサイレン等の警報が発せられる。これにより、オペレータは、基板Aにクラックが発生したことを認識することができる。また、表示部41には欠陥の画像が表示され、オペレータが欠陥を確認することができる。
【0063】
操作部45において警報OFFのスイッチ(図示略)が押されると、制御部39により警報フラグがOFFされて、警報が止められる(ステップSA7)。
欠陥検査はステップSA3へと戻る。
【0064】
ステップSA3において、欠陥位置測定部37により、クラックが存在しないと判定されると(ステップSA3「NO」)、次に、欠けが存在するか否か判定される(ステップSA8)。
【0065】
欠けが存在すると判定されると(ステップSA8「YES」)、欠陥位置測定部37により、欠けの座標位置が測定される。また、欠けの面積が算出されて欠けが所定の閾値より大きいか否かが判定される。欠陥位置測定部37により得られた欠陥位置情報と欠陥程度情報は制御部39に送られる(ステップSA9)。
【0066】
制御部39においては、欠陥位置測定部37から欠陥位置情報と欠陥程度情報が送られてくると、欠陥の画像データが表示部41に送られるとともに、記憶部33に記憶されている処理装置1,3,5,7,9ごとの各クランプ機構21A,21B,21C,21D,21Eの接触位置情報が読み出される。そして、欠陥位置情報と接触位置情報とが比較され、欠陥位置情報に接触位置情報が対応するいずれかのクランプ機構21A,21B,21C,21D,21Eが特定される(ステップSA10)。
【0067】
そして、欠けの面積が大きい場合には(ステップSA11「YES」)、制御部39により、クランプ機構IDの確認処理が行われる(ステップSA12)。具体的には、基板ナンバー、基板種等必要な工程データおよび欠陥の画像データ等とともに、クランプ機構IDが制御部39から上位システム47に送られる。
【0068】
上位システム47においては、どの処理装置1,3,5,7,9のどのクランプ機構21A,21B,21C,21D,21Eを見直す必要があるかがオペレータに通知される。また、表示部41には欠陥の画像データが表示される。これにより、オペレータは、そのクランプ機構IDの押しつけ圧力を弱める等の調整に早期に当たることができる。
欠陥検査はステップSA8へと戻る。
【0069】
一方、欠けの面積が小さい場合には(ステップSA11「NO」)、制御部39により、クランプ機構IDの監視処理が行われる(ステップSA13)。具体的には、制御部39により、そのクランプ機構IDが監視対象とされ、基板ナンバー、基板種等必要な工程データおよび画像データ等とともにクランプ機構IDが記憶部33に記憶される。
【0070】
制御部39により、同じクランプ機構IDに対する監視回数が規定値以上か確認され、規定値以上であるとそのクランプ機構IDについて確認処理が行われる。
欠陥検査はステップSA8へと戻る。
欠陥位置測定部37により、クラックも欠けも存在しないと判定されると(ステップSA8「NO」)、欠陥検査は終了する。
【0071】
以上説明したように、本実施形態に係るエッジ検査装置11およびこれを備える基板処理システム100によれば、制御部39により、予め記憶した各処理装置1,3,5,7,9の接触位置と基板Aの欠陥位置とが対応付けられることで、どの処理装置内で欠陥が発生したかを特定することができる。
【0072】
また、制御部39により、基板Aに欠陥を生じさせたいずれかのクランプ機構21A,21B,21C,21D,21Eが特定されると、警報が鳴らされたりそのクランプ機構IDが報知されたりするので、オペレータは、クラックの発生を認識したりクランプ機構IDの調整等に早期に当たったりすることができる。これにより、基板Aの不良率を低減することが可能となる。また、1製造ライン10につき1つのエッジ検査装置11で欠陥検査を実現することができる。
【0073】
また、小さな欠けが検出された場合に、その画像データをクランプ機構ID等と関連付けて記憶部33に保存するので、画像データが蓄積されることによりその欠陥が大きくなっていくか、すなわち、そのクランプ機構IDに不具合が生じているかを監視することができる。
【0074】
なお、本実施形態においては、欠陥がクラックであるか欠けであるかによって、警報を発したり、あるいは、クランプ機構IDをオペレータに通知したりすることとしたが、例えば、欠陥がクラックである場合にもクランプ機構IDをオペレータに通知することとしてもよいし、また、欠陥が欠けである場合にも警報を発することとしてもよい。
【0075】
また、本実施形態においては、欠陥位置測定部37が、欠陥が欠けである場合にその欠陥の程度を判定することとしたが、欠陥がクラックである場合にも、その長さを算出して所定の閾値より長いか否かよってクラックの程度を判定することとしてもよい。この場合、クラックの長さに応じて、警報を発したり、クランプ機構IDの確認処理や監視処理を行ったりすることとしてもよい。
【0076】
また、本実施形態は、以下のように変形することができる。
例えば、各処理装置1,3,5,7,9が、クランプ機構21A,21B,21C,21D,21Eの押付け圧力等を調整する調整部(図示略)をさらに備え、制御部39がこの調整部を制御することとしてもよい。
【0077】
この場合、例えば、各調整部は、押付クランプ機構21Dおよび押付クランプ機構21Eによる基準クランプ機構21A,21B,21Cへの押付け力を調整可能とすることとし、また、制御部39は、クランプ機構IDを特定した場合に、欠陥の程度に応じて、該当する押付クランプ21Dまたは押付クランプ21Eの押付け力を弱めるように、調整部を制御することとすればよい。例えば、欠陥が基板の先端または後端に生じた場合には、押付クランプ21Dによる押付け力を弱め、欠陥が基板の側端に生じた場合には、押付クランプ21Eによる押付け力を弱めることとしてもよい。
【0078】
このようにすることで、オペレータによらずクランプ機構21A,21B,21C,21D,21Eの押付け圧力等の調整が行われるので、押付け圧力が強すぎることによって生じるエッジの欠陥を防ぎ、基板Aの不良率を低減するとともに、より早い調整によって作業効率の向上を図ることができる。
【0079】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
例えば、上記実施形態においては、5つのクランプ機構21A,21B,21C,21D,21Eを例示して説明したが、各処理装置1,3,5,7,9において基板Aを位置決めすることができればよく、クランプ機構の数はこれに限定されるものではない。
また、上記実施形態においては、エッジ検査装置11を製造ライン10の下流側に1つ配置することとしたが、例えば、処理装置1,3,5,7,9間に適宜エッジ検査装置11を配置することとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の一実施形態に係る基板処理システムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る基板搬送装置、および、その上を搬送される基板の概略構成を上方から示した図である。
【図3】図2の基板搬送装置の各処理装置における概略構成を上方から示した図である。
【図4】図1のエッジ検査装置のブロック図である。
【図5】図4の撮影部を基板の搬送方向に対して側方から示した概略図である。
【図6】図5の撮影部のうち基板の搬送方向に対して直交する方向に移動可能な撮影部を上方から示した概略図である。
【図7】(a)は基板に生じた長いクラックを示し、(b)は基板に生じた短いクラックを示し、(c)は基板に生じた欠けを示した図である。
【図8】図4のエッジ検査装置による基板の欠陥検査の流れを示すフローチャート図である。
【符号の説明】
【0081】
1,3,5,7,9 処理装置
10 液晶TFT製造ライン(搬送ライン)
11 エッジ検査装置(基板検査装置)
21A,21B,21C,21D クランプ機構(位置決め機構)
23a,23b,23c 撮影部
33 記憶部
37 欠陥位置測定部
39 制御部(特定部)
45 報知部
A 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送されてきた基板のエッジに接触して該基板を位置決めする位置決め機構を備える複数の処理装置が配置された搬送ライン上に設けられる基板検査装置であって、
前記基板に対する前記位置決め機構ごとの接触位置を記憶する記憶部と、
前記基板のエッジに生じた欠陥を検出してその位置を測定する欠陥位置測定部と、
該欠陥位置測定部によって測定された前記基板の欠陥位置と、前記記憶部に記憶されている前記基板に対する各前記位置決め機構の接触位置とを比較して、前記基板の欠陥位置に前記接触位置が対応する前記位置決め機構を特定する特定部と
を備える基板検査装置。
【請求項2】
前記基板のエッジを撮影する撮影部を備え、
前記欠陥位置測定部が、前記撮影部により取得された前記基板のエッジの画像に基づいて欠陥を検出する請求項1に記載の基板検査装置。
【請求項3】
前記特定部により前記基板の欠陥位置に対応する前記位置決め機構が特定された場合に、特定された前記位置決め機構を外部に報知する報知部を備える請求項1または請求項2に記載の基板検査装置。
【請求項4】
前記搬送ライン上に配置され、前記位置決め機構を有する複数の前記処理装置と、
該処理装置によって処理された前記基板を検査する請求項1から請求項3のいずれかに記載の基板検査装置と
を備える基板処理システム。
【請求項5】
各前記位置決め機構の前記基板に対する位置決め時の押付け圧力を調整する調整部と、
前記特定部により前記基板の欠陥位置に対応する前記位置決め機構が特定された場合に、前記調整部の押付け圧力を制御する制御部と
を備える請求項4に記載の基板処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−71880(P2010−71880A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−241352(P2008−241352)
【出願日】平成20年9月19日(2008.9.19)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】