説明

基板検査装置

【課題】撮像手段の移動及び停止の際の位置決め精度に優れた基板検査装置を提供すること。
【解決手段】検査対象の基板Bgにライン照明光を照射するライン照明4と、ライン照明光の基板からの反射光を撮像するラインセンサカメラ8とを備え、反射光を撮像した画像をもとに基板表面の状態を検査する基板検査装置1は、互いに異なる位置に配置され、基板で互いに異なる方向へ反射した複数の反射光をラインセンサカメラへそれぞれ反射する複数の反射鏡5,6と、基板から複数の反射鏡を経由してラインセンサカメラに至るまでの光路長を等しく保持しながら、ラインセンサカメラを移動させる移動機構7とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査対象の基板に照射する光の反射光をもとに基板表面に形成されたパターンの状態を検査する基板検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、薄型テレビ等の液晶ディスプレイは、ガラス基板の表面に微細な電気回路を形成した基板が使用されている。ガラス基板上の微細な電気回路は、写真技術を用いて形成されるが、形成過程においてパターン形成装置の不具合や微細粒子が付着することによって、一部に不要な導通部分や破断部分等の欠陥が発生する。このため、ガラス基板等の基板の製造においては、基板表面に形成されたパターンの欠陥を検査している。
【0003】
このような検査対象となる基板には、液晶ディスプレイで使用するガラス基板の他に、プラズマディスプレイパネル(PDP:Plasma Display Panel),有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ,表面伝導型電子放出素子ディスプレイ(SED:Surface-conduction Electron-emitter Display)等のフラットパネルディスプレイ(FPD:Flat Panel Display)用の基板、半導体ウエハ及びプリント基板等がある。
【0004】
そして、基板の検査においては、平面上を移動する基板にライン状の検査光を斜め方向から照射し、基板からの反射光を連続して撮像することによって基板全体の欠陥を検出している。この場合、欠陥の種類によって反射光を検出する位置(角度)が異なり、欠陥を検出できない位置(角度)がある。このため、基板検査装置では、カメラを複数の異なる位置(角度)にそれぞれ設け、検査を行なうが、高価なカメラや撮像した画像を処理する処理装置を複数用意しなければならず、検査費用が嵩むという問題があった。
【0005】
このような問題を解決するため、1つのカメラを使用し、第1の位置(角度)で反射光を検出した後、カメラを第2の位置(角度)に移動して検査を行なう基板検査装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
図6は、特許文献1に開示された従来の基板検査装置の処理動作の概要を示す概略構成図である。図6に示すように、基板検査装置は、複数の搬送ローラCr上を搬送されるガラス基板Bgをライン照明ILから出射される照明光によって照明し、ガラス基板Bgから反射してくる正反射光RRを第1の位置(角度)に配置したカメラCmで撮像する。このようにして、搬送されるガラス基板Bg全体に沿って撮像したラインごとの画像の処理を繰り返すことにより、ガラス基板Bg上に形成されたパターンの状態を検査する。
【0007】
一方、反射光Rによる検査を行なう場合には、図6に示すように、ガラス基板Bgの表面における照明光の照射位置PLを回転中心として鉛直面内で回転させることによってカメラCmを第2の位置(角度)へ移動し、ガラス基板Bgからの反射光Rを異なる位置(角度)で撮像し、撮像した画像を画像処理する。そして、正反射光RRの場合と同様にして、ガラス基板Bg上に形成されたパターンの状態を検査する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−309718号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、特許文献1の基板検査装置は、円弧Acに沿ったカメラCmの移動長さが長いことから、カメラCmを第1の位置(角度)と第2の位置(角度)との間で円弧Acに沿って精度よく移動させ、かつ、精度よく停止させることが難しいという問題があった。
【0010】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、撮像手段の移動及び停止の際の位置決め精度に優れた基板検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の基板検査装置は、検査対象の基板にライン照明光を照射するライン照明手段と、前記ライン照明光の前記基板からの反射光を撮像する撮像手段と、を備え、前記反射光を撮像した画像をもとに前記基板表面の状態を検査する基板検査装置において、互いに異なる位置に配置され、前記基板で互いに異なる方向へ反射した複数の反射光を前記撮像手段へそれぞれ反射する複数の反射鏡と、前記基板から前記複数の反射鏡を経由して前記撮像手段に至るまでの光路長を等しく保持しながら、前記撮像手段を移動させる移動手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、互いに異なる位置に配置され、基板で互いに異なる方向へ反射した複数の反射光を撮像手段へそれぞれ反射する複数の反射鏡と、基板から複数の反射鏡を経由して撮像手段に至るまでの光路長を等しく保持しながら、撮像手段を移動させる移動手段とを備えるので、反射鏡を使用しない従来の基板検査装置に比べて撮像手段を基板の近くに配置することができる。このため、本発明によれば、撮像手段の移動長さを従来の基板検査装置に比べて短縮することができ、移動手段による撮像手段の移動及び停止の際の位置決め精度に優れた基板検査装置を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明に係る基板検査装置の実施の形態を示す概略構成図である。
【図2】図2は、ライン照明が出射し、照射位置でガラス基板から反射した正反射光の反射経路を示す概略構成図である。
【図3】図3は、ライン照明が出射し、照射位置でガラス基板から反射した反射光の反射経路を示す概略構成図である。
【図4】図4は、変形例1に係る基板検査装置の概略構成をラインセンサカメラの移動手段と共に示す概略構成図である。
【図5】図5は、変形例2に係る基板検査装置の概略構成をラインセンサカメラの移動手段と共に示す概略構成図である。
【図6】図6は、従来の基板検査装置を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明に係る基板検査装置の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0015】
(実施の形態)
図1は、本発明に係る基板検査装置の実施の形態を示す概略構成図である。基板検査装置1は、図1に示すように、複数のフリーローラ2、ガラス基板Bgの搬送駆動部3からなる基板搬送ステージと、ライン照明4、第1ミラー5、第2ミラー6、干渉フィルタ9を有するラインセンサカメラ8、ラインセンサカメラ8が設置される回転機構7からなる基板検査部及び機能部100を備えている。
【0016】
フリーローラ2は、図1に示すように、検査対象となるガラス基板Bgの搬送方向(図中X軸方向)に対して直交する方向(図中Y軸方向)に沿って複数配置されている。
【0017】
搬送駆動部3は、ガラス基板Bgの搬送方向(図1のX軸方向)に直交する方向に沿った一方の側縁でガラス基板Bgを吸着して保持しながら、搬送方向に沿って同じ高さで並べられた複数のフリーローラ2の上を搬送(ローラ搬送)する。ここで、フリーローラ2は、ガラス基板Bgの搬送方向と直交する方向(図1のZ軸方向)に平行な軸を中心として回転自在である。そして、搬送駆動部3は、ラインセンサカメラ8によるライン照明光のガラス基板Bgからの正反射光又は反射光の撮像タイミングを一定とするため、ガラス基板Bgを一定の速度で搬送する。なお、搬送駆動部3は、ガラス基板Bgの搬送方向と直交する方向に沿った両側縁でガラス基板Bgを吸着して保持してもよいし、ガラス基板Bgの搬送方向と直交する方向の中央部でガラス基板Bgを吸着して保持してもよい。また、搬送駆動部3は、ガラス基板Bgの所定位置を把持しながらガラス基板Bgを搬送してもよい。また、ガラス基板Bgを下方から吹き付けられる加圧空気によって浮上させた状態で、駆動搬送部3がガラス基板Bgを保持または把持しながら搬送(浮上搬送)するようにしてもよい。
【0018】
ライン照明4は、図1に示すように、ガラス基板Bgの上方にガラス基板Bgの搬送方向(図中X軸方向)と直交する方向(図中Y軸方向)に沿って板面と平行に配置され、ガラス基板Bg上の照射位置PLへ鉛直上方の斜め方向に傾斜した位置からライン照明光を照射する。
【0019】
第1ミラー5は、図1に示すように、ガラス基板Bgの表面において入射角(θ)と等しい反射角(θ1)を有する正反射光(干渉光)をラインセンサカメラ8へ向けて反射する。第2ミラー6は、ガラス基板Bgの表面において入射角(θ)と異なる反射角(θ2)を有する反射光(回折光)を、図中点線で示す位置のラインセンサカメラ8へ向けて反射する。以下、正反射光のうち、ガラス基板Bgにおける正反射光を基板反射光RRBと呼び、第1ミラー5における正反射光を鏡反射光RRMと呼ぶ。また、反射光のうち、ガラス基板Bgにおける反射光を基板反射光RBと呼び、第1ミラー5における反射光を鏡反射光RMと呼ぶ。
【0020】
ラインセンサカメラ8は、ライン照明4が出射したライン照明光のガラス基板Bgからの鏡反射光RRM(正反射光)又は鏡反射光RM(反射光)を撮像する撮像手段であり、図1に示すように、本体8aと、本体8aに取り付けた所定焦点距離の結像レンズ8bとを有している。ラインセンサカメラ8は、撮像したラインごとの鏡反射光RRM又は鏡反射光RMを取り込み、画像データ信号に変換する。ラインセンサカメラ8の本体8aは、鏡反射光RRM及び鏡反射光RMの交点を回転中心7aとする移動手段としての回転機構7に設置されている。このとき、ラインセンサカメラ8は、ガラス基板Bg上のライン照明光の照射位置PLからそれぞれ第1ミラー5及び第2ミラー6を通ってラインセンサカメラ8へ至る反射光の光路長が等しくなる位置に設置する。また、回転機構7の回転中心7aは、鏡反射光RRMと鏡反射光RMとの交点に設置する。
【0021】
なお、ガラス基板Bgからの正反射光を撮像する場合は、鏡反射光RRMの光路LRMに干渉フィルタ9を挿入する。一方、反射光を撮像する場合には、挿入した干渉フィルタ9を鏡反射光RRMの光路LRMから引き抜く。
【0022】
機能部100は、図1に示すように、基板検査装置1全体の動作を制御する制御部101と、ユーザが各種設定や指示を入力する入力部102と、各種プログラムやパラメータ、ならびに、取得された画像データ等を適宜記憶する記憶部103と、取得又は記憶された画像や各種情報を表示する表示部104と、搬送駆動部3によって搬送されるガラス基板Bgの搬送位置をリアルタイムに検出する基板位置検出部105と、を備えている。
【0023】
また、基板検査装置1は、図1に示すように、回転機構7を回転駆動させる回転駆動部106と、鏡反射光RRMの光路LRM上への干渉フィルタ9の抜き差しを行なうフィルタ挿脱部107と、ラインセンサカメラ8から転送される画像データ信号を処理することによってガラス基板Bg上に形成されたパターンの状態を検出する画像処理部108と、を備えている。
【0024】
以上のように構成される基板検査装置1によって基板を検査する際は、先ず、搬送駆動部3の搬入位置にガラス基板Bgを載置する。この場合、ガラス基板Bgは、例えば、搬送用ロボットで搬入位置まで搬送する。
【0025】
続けて、作業員が入力部102から正反射光による検査か反射光による検査かに関する検査条件を設定する。例えば、検査条件を正反射光による検査に設定すると、制御部101が搬送駆動部3にガラス基板Bgの搬送方向(図1のX軸正の方向)への搬送を指示する制御信号を出力し、フィルタ挿脱部107が鏡反射光RRMの光路LRM上へ干渉フィルタ9を挿入する。また、回転駆動部106が回転中心7aを中心として回転機構7を駆動し、ラインセンサカメラ8を鏡反射光RRMの光路LRMへ移動させる。このようにして正反射光による検査条件の設定が終了すると、基板検査装置1では、搬送駆動部3によるガラス基板Bgの搬送方向(図1のX軸正の方向)に沿った搬送と、ラインセンサカメラ8によるガラス基板Bgからの正反射光の撮像が開始される。
【0026】
図2は、ライン照明が出射し、照射位置でガラス基板から反射した正反射光の反射経路を示す概略構成図である。基板検査装置1では、図2に示すように、ライン照明4が出射し、照射位置PLでガラス基板Bgから反射した正反射光である基板反射光RRBが第1ミラー5で反射される。その後、干渉フィルタ9を透過した透過光は、鏡反射光RRMとしてラインセンサカメラ8によって撮像され、画像データ信号に変換される。そして、搬送駆動部3によるガラス基板Bgの搬送方向(図中X軸正の方向)への移動によってライン照明光によるガラス基板Bg全体の走査が終了すると、画像データ信号に基づくガラス基板Bgの画像が表示部104に表示されると共に、画像データ信号が画像処理部108へ転送され、干渉光によるガラス基板Bgの膜厚ムラ等の欠陥が検出される。
【0027】
このようにして、正反射光による検査が終了した後、反射光による検査に検査条件の設定を変更する。すると、基板検査装置1では、先ず、搬送駆動部105が搬送駆動部3に正反射光の場合とは逆方向(図1のX軸負の方向)へのガラス基板Bgの搬送を指示する制御信号を出力し、フィルタ挿脱部107が鏡反射光RRMの光路LRMから干渉フィルタ9を引き抜く。また、回転駆動部106が回転中心7aを中心として回転機構7を回転駆動し、ラインセンサカメラ8を鏡反射光RRMの光路LRMから鏡反射光RMの光路LMへ移動させる。
【0028】
反射光による検査条件の設定が終了すると、基板検査装置1では、搬送駆動部3が、正反射光による検査の場合とは逆方向(図1のX軸負の方向)にガラス基板Bgを搬送し、ラインセンサカメラ8によるガラス基板Bgからの反射光の撮像が開始される。
【0029】
図3は、ライン照明が出射し、照射位置でガラス基板から反射した反射光の反射経路を示す概略構成図である。基板検査装置1では、図3に示すように、ライン照明4が出射し、照射位置PLでガラス基板Bg上のパターンによる回折に起因する反射光である基板反射光RBが第2ミラー6で反射され、鏡反射光RMとしてラインセンサカメラ8によって撮像された後、画像データ信号に変換される。そして、搬送駆動部3によるガラス基板Bgの搬送方向(図中X軸負の方向)への移動によってライン照明光によるガラス基板Bg全体の走査が終了すると、画像データ信号に基づくガラス基板Bgの画像が表示部104に表示されると共に、画像データ信号が画像処理部108へ転送され、回折光によるガラス基板Bgの異物や傷等の欠陥が検出される。
【0030】
このとき、ガラス基板Bgは、基板位置検出部105によって搬送位置がリアルタイムに検出され、制御部101の制御のもとで搬送駆動部3によって一定の速度で搬送される。このため、基板検査装置1は、ラインセンサカメラ8による撮像タイミングが一定に保持される。
【0031】
基板検査装置1は、回転中心7aを中心として回転機構7が回転することによって、ラインセンサカメラ8を鏡反射光RRMの光路LRMと鏡反射光RMの光路LMとの間を移動させ、第1ミラー5がガラス基板Bgで反射した基板反射光RRBをラインセンサカメラ8へ反射すると共に、第1ミラー5と異なる位置に配置される第2ミラー6が基板反射光RBをラインセンサカメラ8へ反射する。このため、基板検査装置1は、第1ミラー5や第2ミラー6を使用しない従来の基板検査装置に比べてラインセンサカメラ8をガラス基板Bgの近くに配置することができる。
【0032】
この結果、基板検査装置1は、回転機構7の回転中心7aを中心とするラインセンサカメラ8の回転移動における円弧の半径及び円弧に沿った移動長さを従来の基板検査装置に比べて短縮することができるので、回転機構7によるラインセンサカメラ8の回転移動及び停止の際の位置決め精度に優れている。また、ラインセンサカメラ8は、従来の基板検査装置に比べて回転中心7aを中心とする短い半径の円弧上を回転機構7によって回転移動されるので、基回転機構7の構造が簡単になり、基板検査装置1を小型化することができる。また、ラインセンサカメラ8の回転移動に要する時間が低減されるので、検査時間を短縮することができる。
【0033】
なお、ガラス基板Bg上のライン照明光の照射位置PLからそれぞれ第1ミラー5及び第2ミラー6を通ってラインセンサカメラ8へ至る反射光の光路長が等しくなる位置であれば、ラインセンサカメラ8は、回転機構7の回転中心7aの直上に設けてもよく、或いは鏡反射光RRM及び鏡反射光RMの進行方向に対して回転中心7aの前方に設けてもよい。
【0034】
(変形例1)
上記実施の形態は、回転中心7aを中心としてラインセンサカメラ8を回転機構7によって回転移動させた。これに対し、ラインセンサカメラ8は、回転せずに移動しても良い。図4は、変形例1に係る基板検査装置1の概略構成をラインセンサカメラ8の移動手段と共に示す概略構成図である。尚、以下の説明においては、実施の形態の基板検査装置1と同一の構成要素には同一の符号を使用している。
【0035】
第1ミラー5及び第2ミラー6は、図4に示すように、鏡反射光RRMと鏡反射光RMとが互いに平行となるように、上下方向に近接した位置に配置されている。また、ラインセンサカメラ8は、干渉フィルタ9と共に移動手段としての直線駆動機構10に設け、直線駆動機構10上のガラス基板Bg上のライン照明光の照射位置PLからそれぞれ第1ミラー5及び第2ミラー6を通ってラインセンサカメラ8へ至る反射光の光路長が等しくなる位置に設置する。直線駆動機構10は、図中に矢印A1で示すように、鏡反射光RRM及び鏡反射光RMに対して傾斜した方向へラインセンサカメラ8を平行移動させる。
【0036】
これにより、直線駆動機構10は、ラインセンサカメラ8を鏡反射光RRMの光路と鏡反射光RMの光路との間で平行移動させることができるので、正反射光による検査か反射光による検査かの検査条件に応じてラインセンサカメラ8の位置を切り替え移動し、ガラス基板Bgを検査条件に応じて検査することができる。
【0037】
従って、変形例1に係る基板検査装置1においても、第1ミラー5や第2ミラー6を使用しない場合に比べてラインセンサカメラ8をガラス基板Bgの近くに配置することができ、従来の基板検査装置に比べて、短い距離を直線駆動機構10によってラインセンサカメラ8を平行移動させるだけであるので、ラインセンサカメラ8の移動及び停止の際の位置決め精度に優れている。また、ラインセンサカメラ8は、直線駆動機構10によって平行移動するので、直線駆動機構10の構造が簡単になり、基板検査装置1を小型化することができる。
【0038】
(変形例2)
また、ラインセンサカメラ8は、回転と移動とを組み合わせて移動させても良い。図5は、変形例2に係る基板検査装置1の概略構成をラインセンサカメラ8の移動手段と共に示す概略構成図である。
【0039】
変形例2に係る基板検査装置1では、ラインセンサカメラ8は、ガラス基板Bg上のライン照明光の照射位置PLからそれぞれ第1ミラー5及び第2ミラー6を通ってラインセンサカメラ8へ至る反射光の光路長が等しくなる位置に設置する。このとき、ラインセンサカメラ8は、移動手段としての移動機構11に干渉フィルタ9と共に設ける。
【0040】
移動機構11は、図5に示すように、支持台11aと、支持台11aの回転中心11bと、鏡反射光RRMの光路LRM及び鏡反射光RMの光路LM上を第1ミラー5及び第2ミラー6に向かって支持台11aを前進又は後退させる直線駆動機構(図示せず)と、支持台11aを回転中心11bを中心として鏡反射光RRMの光路LRMと鏡反射光RMの光路LMとの間で回転移動させる回転機構(図示せず)とを備えている。
【0041】
従って、変形例2に係る基板検査装置1では、正反射光による検査か反射光による検査かの検査条件に応じてラインセンサカメラ8の位置を切り替え移動し、ガラス基板Bgを検査条件に応じて検査することができる。
【0042】
例えば、正反射光によるガラス基板Bgの検査から、反射光によるガラス基板Bgの検査に切り替える場合、移動機構11は、図5に矢印A2で示すように、前記直線駆動機構によって干渉フィルタ9と共にラインセンサカメラ8を前進させた後、矢印A3で示すように、回転中心11bの中心を回転中心として支持台11aを鏡反射光RMの光路LM上へ回転移動させる。これにより、ラインセンサカメラ8が鏡反射光RMの光路LMに配置され、ガラス基板Bgを反射光によって検査することができる。また、移動機構11によってラインセンサカメラ8を以上の説明と逆方向に移動させると、ラインセンサカメラ8が鏡反射光RRMの光路LRMに配置され、ガラス基板Bgを正反射光によって検査することができる。このように、ラインセンサカメラ8は、移動機構11による平行移動と回転移動とを組み合わせることで、ガラス基板Bgの正反射光による検査と反射光による検査とに任意に切り替えて使用することができる。
【0043】
従って、変形例2に係る基板検査装置1においても、第1ミラー5や第2ミラー6を使用しない場合に比べてラインセンサカメラ8をガラス基板Bgの近くに配置することができ、移動機構11によるラインセンサカメラ8を設置した支持台11aの回転中心11bを中心とする回転移動における円弧の半径及び円弧に沿った長さを従来の基板検査装置に比べて短縮することができる。このため、変形例2に係る基板検査装置1は、移動機構11によるラインセンサカメラ8の回転移動及び停止の際の位置決め精度に優れている。また、ラインセンサカメラ8は、回転中心11bの中心を回転中心とする従来の基板検査装置に比べて短い半径上を移動機構11によって回転移動されるので、移動機構11の構造が簡単になり、基板検査装置1を小型化することができる。
【0044】
尚、上記全ての実施例及び変形例において、基板検査部は、基板搬送ステージを跨ぐように設けられる図示しない支持フレームによって支持される。この支持フレームは、例えば門型のフレーム(以下、ガントリーフレーム)であり、フレームの水平部にラインセンサカメラ8と回転機構7を設置すればよい。また、第1ミラー5、第2ミラー6も、ガントリーフレームから水平に延設されたフレーム部に固定されるように構成すればよい。或いは、ラインセンサカメラ8と回転機構7を支持するガントリーフレームとは別に、ガントリーフレームや一対の支柱を設け、第1ミラー5、第2ミラー6を一体的に支持するように構成してもよい。或いは、ラインセンサカメラ8と回転機構7を支持するガントリーフレームと、このガントリフレームから水平に延設されたフレーム部に第1ミラー5を設置し、このガントリーフレームとは別に設けられた支持手段によって第2ミラー6を支持するように構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0045】
以上のように、本発明の基板検査装置は、撮像手段の移動及び停止の際の位置決め精度を高めるのに有用である。
【符号の説明】
【0046】
1 基板検査装置
2 フリーローラ
3 搬送駆動部
4 ライン照明
5 第1ミラー
6 第2ミラー
7 回転機構
7a 回転中心
8 ラインセンサカメラ
8a 本体
8b 結像レンズ
9 干渉フィルタ
10 直線駆動機構
11 移動機構
11a 支持台
11b 回転中心
101 制御部
102 入力部
103 記憶部
104 表示部
105 基板位置検出部
106 回転駆動部
107 フィルタ挿脱部
108 画像処理部
Bg ガラス基板
PL 照射位置
RRB,RB 基板反射光
RRM,RM 鏡反射光
θ 入射角
θ1,θ2 出射角

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象の基板にライン照明光を照射するライン照明手段と、
前記ライン照明光の前記基板からの反射光を撮像する撮像手段と、
を備え、前記反射光を撮像した画像をもとに前記基板表面の状態を検査する基板検査装置において、
互いに異なる位置に配置され、前記基板で互いに異なる方向へ反射した複数の反射光を前記撮像手段へそれぞれ反射する複数の反射鏡と、
前記基板から前記複数の反射鏡を経由して前記撮像手段に至るまでの光路長を等しく保持しながら、前記撮像手段を移動させる移動手段と、
を備えることを特徴とする基板検査装置。
【請求項2】
前記複数の反射鏡でそれぞれ反射する光の複数の光路は、1つの交点を有し、
前記移動手段は、前記交点を通過し、前記複数の光路と直交する軸を回転中心として前記撮像手段を回転移動させることを特徴とする請求項1に記載の基板検査装置。
【請求項3】
前記複数の反射鏡でそれぞれ反射する光の複数の光路は、互いに平行であり、
前記移動手段は、前記複数の光路の間で前記撮像手段を平行移動させることを特徴とする請求項1に記載の基板検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−112678(P2012−112678A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−259428(P2010−259428)
【出願日】平成22年11月19日(2010.11.19)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】