説明

基板検査装置

【課題】ブラシ部をピンに摺接させた際にピンが受ける過負荷ダメージをなくしてクリーニングできる基板検査装置の提供。
【解決手段】回転テーブル13を備える基板搬送機構12と、回転テーブル13に配設される複数の基板保持機構22と、各基板保持機構22に保持させた被検査基板29に順次ピンブロック34側を接触させて検査する検査治具機構32と、ピンブロック34に接触させるブラシ体49を備えピンクリーニング機構42とで構成され、ピンクリーニング機構42には、回転テーブル13に固定される基台部43と、該基台部43側から回動可能に突出させてブラシ体49を支持するブラシ支持杆46と、ブラシ支持杆46を弾性的に回動規制してブラシ体49をピンブロック34側に摺接させた際の接触圧を緩和するバネ部片とを少なくとも具備させた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検査基板の検査ポイントにピンを接触させその電気的な特性を測定・検査する基板検査装置に係り、さらに詳しくは、ピンの接触端側に付着する異物を除去するピンクリーニング機構を具備させた基板検査装置に関する技術である。
【背景技術】
【0002】
基板検査装置は、多数本のピン(「プローブ」ともいう。)を有する検査治具機構を備えており、所定位置に定置させた被検査基板の検査ポイントにピンを接触させその電気的な特性を測定して該被検査基板の良否を検査できるようにしたシステムのもとで構成されている。
【0003】
この場合、被検査基板の検査ポイントの周辺領域には、通常、半田かす(酸化被膜)などのような導電性の異物が付着していることが多く、ピンを検査ポイントに接触させた際にその先鋭接触端側にも上記異物を付着させてしまい、このような付着異物を介してピン相互を短絡させてしまうなどの不具合を生じさせるおそれがあった。
【0004】
このため、ピンに付着した異物は、ブラシを用いて手作業で除去することが従来より行われていたが、そのメンテナンス作業に多大な時間を要することから、例えば下記特許文献1,2に開示されているようにピンに付着した異物を自動的に除去できるピンクリーニング機構を具備させた基板検査装置も既に提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平2−12675号公報
【0006】
すなわち、特許文献1には、プリント基板の載置領域が少なくとも3カ所に設けられた回転テーブルと、該回転テーブルへのプリント基板の搬入と搬出とを各別に行う搬送手段と、これらの搬送手段によるプリント基板の搬入と搬出とが行われる領域とは異なる回転テーブル上の領域の上方に昇降可能に設けられ、プリント基板に接触するピンを有する検査手段と、該検査手段のピンの導通状態からプリント基板の良否を判別する検査回路と、回転テーブル上の隣接する前記載置領域の間に設けられて回転テーブルが回転した際に前記ピンと接触するブラシ(クリーニング手段)とを備えてなる基板検査装置が開示されている。
【0007】
このため、特許文献1の開示技術によれば、プリント基板の搬入・検査・搬出を同時に行うことで、大量のプリント基板を能率的に順次検査することができるほか、回転テーブルの回転とともにブラシ(クリーニング手段)を検査手段のピンに接触、摺動させて該ピンを自動的に清掃できる効果が得られることになる。
【0008】
【特許文献2】WO 2010/008030 A1
【0009】
一方、特許文献2には、搬入部から搬出部へと至る搬送路と、該搬送路上に所定の間隔で設けられた被検査基板保持部と、該被検査基板保持部を前記搬送路に沿って移動する移動手段(回転テーブル)を備える搬送手段と、検査治具に設けられた複数のピンを前記被検査基板保持部に保持された被検査基板上の配線の検査点に接触させてその電気的特性を測定すべく前記搬送路の途中に設けられた検査部と、前記移動手段(回転テーブル)の移動により前記検査部を通過する際に前記ピンのクリーニングを行うべく、前記搬送路上の任意の隣り合う被検査基板保持部の間に設けられたクリーニング手段(ブラシ)とを備える基板検査装置が開示されている。
【0010】
このため、特許文献2の開示技術によれば、基板検査を行うための駆動機構や時間を別途必要とすることなく、複数の被検査基板を連続的に検査する流れを中断せずにピン先端部をクリーニング手段(ブラシ)で効率よくクリーニングすることができるとされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、上記特許文献1,2に開示されている技術は、そのいずれもが回転テーブル側に位置固定された状態で配置されているクリーニング手段(ブラシ)を回転テーブルの回転方向への動きに合わせてピンに直接接触させながらクリーニングするものであることから、ピンに対する接触圧が緩和されない過負荷のもとで接触してしまうことがあり、特にピンが微細径化されている場合には予期せぬダメージを受けてしまうという不具合があった。
【0012】
本発明は、従来技術にみられた上記課題に鑑み、ブラシ部分をピンに摺接させた際の接触圧を緩和させながらピンに対し過負荷に起因するダメージを与えることなくクリーニングすることができるようにした基板検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、上記目的を達成すべくなされたものであり、回転軸に回転制御可能に軸支された回転テーブルを備えて装置本体側に配置される基板搬送機構と、前記回転テーブルの回転方向での複数箇所に所定間隔をおいて配設される基板保持機構と、前記回転テーブルの回転方向での所定位置にて個々の前記基板保持機構に保持させた被検査基板の検査ポイントに順次ピンブロック側を接触させてその検査を可能に前記装置本体側に配置される検査治具機構と、前記ピンブロック側への接触が可能なブラシ体を備えて前記回転テーブルにおける前記基板保持機構の位置とは異なる位置に配設されるピンクリーニング機構とで構成され、該ピンクリーニング機構には、前記回転テーブルの周縁部に固定配置される基台部と、該基台部の外側垂直面に対しその面方向とは略直交する方向に突出させ、かつ、回動可能となって前記ブラシ体を支持するブラシ支持杆と、前記ブラシ支持杆の回動方向での弾性的な支持を可能に配置して前記ブラシ体を前記ピンブロック側に摺接させた際の接触圧を緩和するバネ部片とを少なくとも具備させたことを最も主要な特徴とする。
【0014】
この場合、前記検査治具機構は、前記被検査基板を両面方向から各別に検査可能な一対となって対面配置され、前記ピンクリーニング機構は、一方の前記検査治具機構と他方の前記検査治具機構との別に対応させるべく前記回転テーブルの少なくとも2カ所に配設するのが好ましい。
【0015】
また、前記ピンクリーニング機構は、前記ブラシ支持杆近傍に異物吸引部材を具備させて構成することもできる。
【0016】
さらに、前記ブラシ体は、前記ピンブロック側のピン長さ方向を個々の毛足の長さ方向とする位置関係で前記ブラシ支持杆に垂直支持させたり、個々の毛足の長さ方向が後傾する位置関係で前記ブラシ支持杆に傾斜支持させたりすることができる。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に係る発明によれば、基板搬送機構が備える回転テーブルに固定配置された基台部に回動可能で、かつ、バネ部片を介して回動方向での弾性的な支持を可能に取り付けられたブラシ支持杆に対しブラシ体を支持させたピンクリーニング機構を備えているので、検査治具機構が備えるピンブロック側にブラシ体を摺接させた際の接触圧をバネ部片で緩和することでダメージを与えずにピンブロック側を効率よくクリーニングすることができる。
【0018】
しかも、基板保持機構を介して回転テーブルに定置されている被検査基板は、回転テーブルの回転に従って順次、クリーニングされたピンブロックを検査ポイントに接触させて検査を正確に、かつ、効率よく行うことができる。
【0019】
請求項2に係る発明によれば、検査治具機構が被検査基板を両面方向からの各別での検査が可能な一対として配置され、ピンクリーニング機構は、一方の検査治具機構と他方の検査治具機構との別に対応させるべく回転テーブルの少なくとも2カ所に配設されているので、被検査基板の表裏両面の検査ポイントにピンブロック側を接触させて正確に、かつ、効率よく両面検査を行うことができる。
【0020】
請求項3に係る発明によれば、ピンクリーニング機構は、ブラシ支持杆近傍に異物吸引部材を具備させて配置されているので、ブラシ体をピンブロック側に摺接させた際に飛散しようとする異物を確実に吸引除去しながらクリーニングを行うことができる。
【0021】
請求項4に係る発明によれば、ブラシ体は、ピンブロック側のピン長さ方向を個々の毛足の長さ方向とする位置関係でブラシ支持杆に垂直支持されているので、ピンブロック側に対し比較的強い接触圧のもとで擦るように摺接させてピン相互間に入り込んでいる異物をより確実に掻き出すことができる。
【0022】
請求項5に係る発明によれば、ブラシ体は、個々の毛足の長さ方向が後傾する位置関係でブラシ支持杆に傾斜支持されているので、ピンブロック側に対し比較的弱い接触圧のもとで満遍なく円滑に摺接させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一例を示す平面図。
【図2】図1における検査治具機構とピンクリーニング機構との配置関係を側面方向からみた状態で示す説明図。
【図3】図1に示すピンクリーニング機構部分の拡大斜視図。
【図4】図1に示すピンクリーニング機構におけるブラシ体の構成例を拡大して示すものであり、そのうちの(a)は全体斜視図を、(b)は先端接触部のパターン別側面図をそれぞれ示す。
【図5】図1におけるピンクリーニング機構の他例についての拡大斜視図。
【図6】本発明の他例を示す平面図。
【図7】図6に示すピンクリーニング機構の拡大斜視図。
【図8】図6に示す本発明の他例における検査治具機構とピンクリーニング機構との配置関係を側面方向からみた状態で示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
まず、図1に示す一例に基づいて本発明を説明すれば、基板検査装置11の全体は、回転軸14に回転制御可能に軸支された回転テーブル13を備えて図示しない装置本体側に配置される基板搬送機構12と、回転テーブル13の回転方向での4カ所に所定間隔をおいて配設される基板保持機構22と、回転テーブル13の回転方向での所定位置にて各基板保持機構22に保持させた被検査基板29の検査ポイントに順次ピンブロック34側を接触させてその検査を可能に図示しない装置本体側に配置される検査治具機構32と、ピンブロック34側への接触が可能なブラシ体49を備えて回転テーブル13における基板保持機構22の位置とは異なる位置に配設されるピンクリーニング機構42とで少なくとも構成されている。
【0025】
これらのうち、基板搬送機構12は、図示例によれば平面視略正八角形を呈する回転テーブル13と、該回転テーブル13の中心位置に軸支させた回転軸14とを備えており、該回転軸14は、図示しない駆動モータから回転力が付与されて回転テーブル13に対し例えば90度ずつ制御された時計回りでの回転運動を付与することができるように構成されている。
【0026】
基板保持機構22は、回転テーブル13の計8個の縁辺15のうち、一つおきに位置している縁辺15側に位置する各側縁部16を介して固定配置された基部23と、該基部23から延設された拡開突出部24の適位置に設けられて被検査基板29を着脱自在に保持する適宜機構からなる着脱手段25とを備えて構成されている。
【0027】
この場合、基部23は、回転テーブル13の縁辺15側から外方に向かって拡開するようにその面積を拡大させた拡開突出部24に着脱手段25を配設することで、回転テーブル13の外方に位置する平面域を有効に利用して被検査基板29を着脱自在に保持できるようになっている。
【0028】
しかも、着脱手段25は、被検査基板29の両面に設けられている検査ポイントが拡開突出部24に設けられた図示しない開口部に位置するように各被検査基板29を定置させた状態のもとで保持できるようにして構成されている。
【0029】
また、図2に示すように回転テーブル13の表裏2面である一側平面13a側と他側平面13b側とに各別に対面配置される一対の検査治具機構32(図2に示す例では、一側平面13a側に配置された一方の検査治具機構32のみが示されている。)は、それぞれが昇降自在に設置されている検査治具部33と、これらの検査治具部33における被検査基板29の検査ポイントとの対向面方向をそれぞれの軸方向として植設された多数本のピン35からなるピンブロック34とを備えて構成されている。
【0030】
ピンクリーニング機構42は、回転テーブル13の表裏2面である一側平面13a側と他側平面13b側とに各別に対面配置される一対の検査治具機構32に対応させるべく、基板保持機構22が配置されていない回転テーブル13の縁辺15、つまりある1つの基板保持機構22、例えば図1で位置Bに位置する基板保持機構22の両隣に位置する各縁辺15である回転方向で前方に位置する縁辺15と後方に位置する縁辺15とに各別に配置されている。
【0031】
これらのうち、回転テーブル13にあってある1つの基板保持機構22の前方に位置する縁辺15に配置されている一方のピンクリーニング機構42は、図2に示すように回転テーブル13の一側平面13a側に対面配置される一方の検査治具機構32に対応させて配置されている。
【0032】
すなわち、前方に配置される一方のピンクリーニング機構42は、回転テーブル13の縁辺15を含む側縁部16に固定配置される基台部43と、該基台部43の外側垂直面44に対しその面方向とは略直交する方向に突出させ、かつ、回動可能となってブラシ体49を支持するブラシ支持杆46と、該ブラシ支持杆46の回動方向での弾性的な支持を可能に配置してブラシ体49側をピンブロック34に摺接させた際の接触圧を緩和するバネ部片としての引っ張り用コイルバネ52とを少なくとも備えて構成されている。
【0033】
この場合、基台部43は、図1および図3からも明らかなように、回転テーブル13の縁辺15長さ方向に対しその外側垂直面44の面方向を直交させる位置関係のもとで直立させた状態で位置固定されている。
【0034】
また、基台部43の外側垂直面44には、ベアリング(図示せず)を介在させるなどして基台部43側に回動可能に回動片部45が取着されており、該回動片部45に対しその面方向とは略直交する外方向に突出させた状態のもとでブラシ支持杆46の一端側が固着されている。
【0035】
しかも、該ブラシ支持杆46は、その長さ方向に沿わせてブラシ体49を取り付けるための凹陥平坦面47がその面方向を垂直方向に向けて形成されており、該凹陥平坦面47にブラシ体49の基端側を配置した上で、凹陥平坦面47との対面側から着脱片48をネジ止めすることでブラシ体49を垂直に直立させた状態のもとで着脱自在に取り付けることができるようになっている。
【0036】
さらに、回転テーブル13の回転方向での前方側に位置する基台部43と回動片45との間には、バネ部片としての引っ張り用コイルバネ52が介在配置されており、該引っ張り用コイルバネ52が生成する引っ張り力により図3に示すように回動片部45の時計方向への回転運動を弾性的に支持規制している。なお、図3中の符号53は、回動片部45の反時計方向への逆回転を規制するストッパーを示す。
【0037】
図4は、この場合にブラシ支持杆46に取り付けられるブラシ体49の好適例を示す説明図であり、その代表的な形状は、図4(a)に示されているように所定の毛足長さで密集形成され、かつ、その先端部50aが全体で角柱状に整列されているブラシ部50と、該ブラシ部50をその基端部50b側にて保持するブラシ保持部51とで一体的に形成されている。また、ブラシ部50の先端接触部50aの正面形状は、図4(b)において最左側に位置している図4(a)に示す例のほか、図4(b)において最左側を除く右側に位置する3パターンのように、三角形状や左傾斜面や湾曲状に形成することで、異物を擦り取る効果をより高めてやることができる。
【0038】
また、後方に配置される他方のピンクリーニング機構42は、図2において回転テーブル13の他側平面13b側に対面配置される他方の検査治具機構(図示せず)に対応させて配置されるものであることから、一方のピンクリーニング機構42とはブラシ体49の毛先方向が反対側(図示例では真下)を向くように取り付けることができるようになっている点で相違するのみであり、他の構成は同じである。
【0039】
図5は、上記したピンクリーニング機構42についての他例を示すものであり、図3に示すピンクリーニング機構42とは、ブラシ支持杆46近傍に異物吸引部材54を具備させた点で相違し、その余の構成は同じである。
【0040】
すなわち、図5によれば、ピンクリーニング機構42は、図3に示すピンクリーニング機構42と同様に、基台部43の外側垂直面44に回動可能に回動片部45が取着されており、該回動片部45に対しその面方向とは略直交する外方向に突出させた状態のもとでブラシ支持杆46の一端側が固着されている。また、基台部43と回動片部45との間に引っ張り用コイルバネ52を介在させて回動片部45の時計方向への回転運動を弾性的に支持規制させている点も同じである。
【0041】
しかし、図5に示すピンクリーニング機構42は、ブラシ支持杆46の後方位置(回転テーブル14の回転方向での後方側)に異物吸引部材54を備えている点で図3に示すピンクリーニング機構42とはその構造を異にしている。
【0042】
この場合、該異物吸引部材54は、ブラシ支持杆46と近接する後方に略平行となって位置するように基台部43側から引き出された吸塵部55と、該吸塵部55にあって吸塵口56と連通するようにして内部側に設けられている図示しない吸気部側にその一端側が連結され、他端側を図示しない空気引き装置側に接続させて吸塵口56から吸引した異物を他所へと強制的に排出することができるようにした吸引管部57とを備えて構成されている。
【0043】
このような構成からなる基板搬送機構12と基板保持機構22と検査治具機構32とピンクリーニング機構42とは、図1に示す位置関係のもとで配置されている。すなわち、図1における位置Aは、該A位置にある基板保持機構22に被検査基板29を供給する位置とされており、位置Bは、該B位置にある基板保持機構22が備える着脱手段25を介して保持されている被検査基板29が回転テーブル13の所定位置に位置しているか否かをその表裏両面側から各別にチェックするCCDカメラ(図示せず)が設置される位置とされており、位置Cは、該C位置にある基板保持機構22に定置されている被検査基板29の検査ポイントに表裏両面側からそれぞれのピンブロック34側を接触させるための一対の検査治具機構32が配設される位置とされており、位置Dは、該D位置にある基板保持機構22から検査済みの被検査基板29を搬出する位置とされている。
【0044】
一方、図6に示す本発明の他例は、図1に示す本発明の一例と基本的な構成は同じであることから、図1との対応部位に同じ符号を付してその説明を省略するが、ピンクリーニング機構42のみが図5に示すピンクリーニング機構42とその具体的な構造を異にしていることから、図7に基づいてその相違点を以下に説明する。なお、図6に示すピンクリーニング機構42は、図2にも示されているように、図3に示すピンクリーニング機構42と同様に異物吸引部材54を備えない構造のものを採用することもできる。
【0045】
すなわち、図6に示す本発明の他例におけるピンクリーニング機構を図7の拡大斜視図に基づいて説明すれば、ピンクリーニング機構42の全体は、図5と同様に基台部43の外側垂直面44に回動可能に回動片部45が取着されており、該回動片部45に対しその面方向とは略直交する外方向に突出させた状態のもとでブラシ支持杆46の一端側が固着されている。また、基台部43と回動片部45との間に引っ張り用コイルバネ52を介在させて回動片部45の時計方向への回転運動を弾性的に支持規制させている点も同じである。
【0046】
また、図6に示すピンクリーニング機構42は、ブラシ支持杆46の後方位置(回転テーブル14の回転方向での後方側)に異物吸引部材54を備えている点でも図5に示すピンクリーニング機構42と同じである。
【0047】
しかし、ブラシ体69は、図5に示すブラシ体69とは異なる支持角度のもとでブラシ支持杆46に支持させることから、ブラシ体69自体の形状のほか、該ブラシ体69を支持するためのブラシ支持杆46も図5に示す例とは異なる構造が採用されることになる。
【0048】
すなわち、ブラシ体69は、個々の毛足の長さ方向が後傾する位置関係でブラシ支持杆46に支持されることから、その傾斜分だけ図4に示すブラシ部の毛足長さよりもその毛足長さが長くなって形成されることになる。
【0049】
また、ブラシ支持杆46は、その長さ方向に沿わせてブラシ体49を取り付けるための凹陥平坦面47がその面方向をやや後上がり方向に傾けて形成されており、該凹陥平坦面47にブラシ体49の基端側を配置した上で、凹陥平坦面47との対面側から着脱片48をネジ止めすることでブラシ体49を後傾させた状態のもとで着脱自在に取り付けることができるようになっている。
【0050】
次に、上記構成からなる本発明の作用効果を図1に示す例に基づいて説明すれば、まず、図1における位置Aでは、ここに位置している基板保持機構22が備える着脱手段25を開状態にした上で、その両面に設けられている検査ポイントが図示しない開口部に位置する位置関係のもとで被検査基板29を供給配置した後、着脱手段25を閉状態にして被検査基板29を保持させる。
【0051】
位置Aに位置している基板保持機構22は、基板搬送機構12を構成している回転テーブル13を90度時計回りに回転させることにより、位置Bへと移動する。
【0052】
位置Bでは、図示しないCCDカメラにより現に位置している基板保持機構22が備える着脱手段25を介して保持されている被検査基板29が予め定められている所定位置に位置しているか否かがチェックされ、その情報は検査治具機構32側に送られて必要なアライメント処理が行われる。
【0053】
位置Bに位置している基板保持機構22は、必要なアライメント処理を経た後、基板搬送機構12を構成している回転テーブル13をさらに90度時計回りに回転させることにより、位置Cへと移動する。
【0054】
位置Cには、基板保持機構22に定置されている被検査基板29の検査ポイントに表裏両面側からそれぞれのピンブロック34側を接触させるための一対の検査治具機構32が配設されており、それぞれの検査治具部33が備えるピンブロック34のピン35を位置Cへと移動してきた基板保持機構22に保持されている被検査基板29の表裏両面の検査ポイントに接触させて必要な検査が行われる。
【0055】
位置Cに位置している基板保持機構22は、該基板保持機構22側に保持されている被検査基板29に対する一対の検査治具機構32による必要な検査が行われた後、基板搬送機構12を構成している回転テーブル13をさらに90度時計回りに回転させることにより位置Dへと移動し、この位置でここに位置している基板保持機構22が備える着脱手段25を開状態として検査を終えた被検査基板29が搬出される。
【0056】
図1に示す基板搬送機構12を介して行われる被検査基板29に対する検査は、回転テーブル13を90度ずつ回転させることで、各基板保持機構22を上記したような位置A→位置B→位置C→位置Dへと移動させ、さらに位置Aへと戻すことにより繰り返し行われることになる。
【0057】
しかも、基板搬送機構12を構成している回転テーブル13には、既に説明した構造を備えるピンクリーニング機構42が配設されているので、該ピンクリーニング機構42を介して一対の検査治具機構32の各検査治具部33におけるピンブロック34を構成している各ピン35を自動的にクリーニングすることができることになる。
【0058】
これをより詳しく説明すれば、ピンクリーニング機構42は、回転テーブル13の一側平面13a側の一方の検査治具機構32に対応させるために、図1に示す例では回転テーブル13の位置Bに位置している基板保持機構22の回転方向での前方に位置する縁辺15側に配置されている一方のピンクリーニング機構42と、回転テーブル13の他側平面13b側の他方の検査治具機構(図示せず)に対応させるために、図1に示す例では回転テーブル13の位置Bに位置している基板保持機構22の回転方向での後方に位置する縁辺15側に配置されている他方のピンクリーニング機構42とで構成されている。
【0059】
このため、前方に位置している一方のピンクリーニング機構42は、例えば図1において位置Bに位置している基板保持機構22が90度回転して一方の検査治具機構32一方の検査治具機構32との対面位置に移動するに先だって、そのブラシ体50のブラシ部50の先端接触部50aが待機状態にある一方の検査治具機構32の検査治具部33が備えるピンブロック34における多数のピン35に摺接させることにより、検査に先立ってピンブロック34側をクリーニングしておくことができる。
【0060】
しかも、一方のピンクリーニング機構42におけるブラシ支持杆46は、引っ張りコイルスプリング52を介在させたことにより、ピンブロック34側にブラシ部50を摺接させた際に過負荷となるに至る接触圧を緩和する方向に逃がしてやることができるので、ピンブロック34側にダメージを与えることなく各ピン35を効率よくクリーニングすることができる。
【0061】
しかも、図1において位置Bに位置している基板保持機構22は、このように一方の検査治具機構32の検査治具部33が備えるピンブロック34における多数のピン35が一方のピンクリーニング機構42のブラシ部50によりクリーニングされた後に一方の検査治具機構32側に投入される結果、異物が除去されたピン35を用いて被検査基板29の検査ポイントに接触させて検査を正確に、かつ、効率よく行うことができる。
【0062】
この場合、一方のピンクリーニング機構42が図5に示すように異物吸引部材54を備えている場合には、一方のピンクリーニング機構42のブラシ部50を摺接させてピン35側から異物を除去した際に飛散させることなく吸塵口56から吸引して吸引管部57へと導いて外部へと排出することができる。
【0063】
また、図1に示す例では回転テーブル13の位置Bに位置している基板保持機構22の回転方向での後方に位置する縁辺15側に配置されている他方の他方のピンクリーニング機構42は、位置Bに位置している基板保持機構22が保持している被検査基板29の検査が終了した後に、ブラシ部50が図示しない他方の検査治具機構側を通過する結果、その際に該検査治具機構側のピンブロックにおける多数のピンに摺接させることにより、待機状態にある他方の検査治具機構のピンブロック側を同様にしてクリーニングすることができる。
【0064】
一方、図6に示す本発明の他例は、図1に示す本発明の一例とはピンクリーニング機構の構造のみが異なっているだけなので、説明上の重複を避けるためにピンクリーニング機構42の作用効果に限って以下に説明することとする。
【0065】
すなわち、図6に示すピンクリーニング機構42におけるブラシ体49は、図7からも明らかなように個々の毛足の長さ方向が後傾する位置関係でブラシ支持杆46に支持させる必要があることから、その傾斜分だけ図4に示すブラシ部50の毛足長さよりもその毛足長さを長くして形成されている。
【0066】
このため、ブラシ体49を後傾させてブラシ支持杆46に支持させた状態にあっても、ブラシ部50の先端接触部50aは、待機状態にある検査治具機構32の検査治具部33が備えるピンブロック34における多数のピン35に比較的弱い接触圧のもとで満遍なく円滑に摺接させることができるので、例えば図2(ここでは、異物吸引部材54を備えていない例が示されている。)に示されているように、図5に示すブラシ部50に比べ比較的弱い接触圧のもとで満遍なく円滑に摺接させて個々のピン35をクリーニングすることができる。
【0067】
また、ピンクリーニング機構43は、引っ張りコイルスプリング52を介在させたことにより、この場合においてもピンブロック34側にブラシ部50を摺接させた際に過負荷となるに至る接触圧を緩和する方向に逃がしてやることができるので、ピンブロック34側にダメージを与えることなく各ピン35を効率よくクリーニングすることができる。
【0068】
さらに、図6に示すピンクリーニング機構42は、異物吸引部材54を備えているので、ブラシ部50を摺接させてピン35側から異物を除去した際に飛散させることなく吸塵口56から吸引して吸引管部57へと導いて外部へと排出することができる。
【0069】
このため、本発明によれば、ピンクリーニング機構42は、基板搬送機構12が備える回転テーブル13に固定配置された基台部43に回動可能で、かつ、バネ部片である引っ張り用コイルバネ52を介して回動方向での弾性的な支持を可能に取り付けられたブラシ支持杆46に対しブラシ体49を支持させて構成されているので、検査治具機構32が備えるピンブロック34側にブラシ体49を摺接させた際の接触圧を緩和することでダメージを与えずにピンブロック34側を効率よくクリーニングすることができることになる。
【0070】
しかも、基板保持機構22を介して回転テーブル13側に定置されている被検査基板29の検査ポイントに対しては、回転テーブル13の回転に従ってピンクリーニング機構42により順次クリーニングされたピンブロック34を接触させて検査を正確に、かつ、効率よく行うことができることになる。
【0071】
また、検査治具機構32が被検査基板29を両面方向からの各別での検査が可能な一対として配置され、ピンクリーニング機構42も一方の検査治具機構32と図示しない他方の検査治具機構との別に対応させるべく回転テーブル13の少なくとも2カ所に配設されている場合には、被検査基板29の表裏両面の検査ポイントにピンブロック34側を接触させて正確に、かつ、効率よく検査を行うことができることになる。
【0072】
さらに、ブラシ支持杆46近傍に異物吸引部材54を具備させたピンクリーニング機構42を配置する場合には、ブラシ体49をピンブロック34側に摺接させた際に飛散しようとする異物を確実に吸引除去しながらクリーニングを行うことができる。
【0073】
また、ブラシ体49がピンブロック34側のピン35長さ方向を個々の毛足の長さ方向とする位置関係でブラシ支持杆46に垂直支持されている場合には、ピンブロック側に対し比較的強い接触圧のもとで擦るように摺接させてピン相互間に入り込んでいる異物をより確実に掻き出すことができるので、それだけクリーニング効果を高めてやることができる。
【0074】
さらに、ブラシ体49が個々の毛足の長さ方向が後傾する位置関係でブラシ支持杆46に支持されている場合には、ピンブロック34側に対し比較的弱い接触圧のもとで満遍なく円滑に摺接させることができるので、その接触時に個々のピンが受けるダメージをそれだけ低減させることができる。
【0075】
以上は、本発明を図示例に基づいて説明したものであり、本発明の要旨はこれに限定されるものではない。例えば、基板保持機構22は、所望に応じて回転テーブル13の3箇所や5箇所以上の位置に所定間隔をおいて配設することもできる。また、検査治具機構32は、回転テーブル13のいずれか一方の面と対面させて配置し、これに伴ってピンクリーニング機構42も1箇所に配置するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0076】
11 基板検査装置
12 基板搬送機構
13 回転テーブル
13a一側平面
13b他側平面
14 回転軸
15 縁辺
16 側縁部
22 基板保持機構
23 基部
24 拡開突出部
25 着脱手段
29 被検査基板
32 検査治具機構
33 検査治具部
34 ピンブロック
35 ピン
42 ピンクリーニング機構
43 基台部
44 外側垂直面
45 回動片部
46 ブラシ支持杆
47 凹陥平坦面
48 着脱片
49 ブラシ体
50 ブラシ部
50a 接触端部
50b 基端部
51 ブラシ保持部
52 引っ張り用コイルバネ(バネ部片)
53 ストッパー
54 異物吸引部材
55 吸塵部
56 吸塵口
57 吸引管部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸に回転制御可能に軸支された回転テーブルを備えて装置本体側に配置される基板搬送機構と、前記回転テーブルの回転方向での複数箇所に所定間隔をおいて配設される基板保持機構と、前記回転テーブルの回転方向での所定位置にて個々の前記基板保持機構に保持させた被検査基板の検査ポイントに順次ピンブロック側を接触させてその検査を可能に前記装置本体側に配置される検査治具機構と、前記ピンブロック側への接触が可能なブラシ体を備えて前記回転テーブルにおける前記基板保持機構の位置とは異なる位置に配設されるピンクリーニング機構とで構成され、
該ピンクリーニング機構には、前記回転テーブルの周縁部に固定配置される基台部と、該基台部の外側垂直面に対しその面方向とは略直交する方向に突出させ、かつ、回動可能となって前記ブラシ体を支持するブラシ支持杆と、前記ブラシ支持杆の回動方向での弾性的な支持を可能に配置して前記ブラシ体を前記ピンブロック側に摺接させた際の接触圧を緩和するバネ部片とを少なくとも具備させたことを特徴とする基板検査装置。
【請求項2】
前記検査治具機構は、前記被検査基板を両面方向から各別に検査可能な一対となって対面配置され、
前記ピンクリーニング機構は、一方の前記検査治具機構と他方の前記検査治具機構との別に対応させるべく前記回転テーブルの少なくとも2カ所に配設した請求項1に記載の基板検査装置。
【請求項3】
前記ピンクリーニング機構は、前記ブラシ体近傍に異物吸引部材を具備させた請求項1または2に記載の基板検査装置。
【請求項4】
前記ブラシ体は、前記ピンブロック側のピン長さ方向を個々の毛足の長さ方向とする位置関係で前記ブラシ支持杆に支持させた請求項1ないし3のいずれかに記載の基板検査装置。
【請求項5】
前記ブラシ体部は、個々の毛足の長さ方向が後傾する位置関係でブラシ支持杆に支持させた請求項1ないし3のいずれかに記載の基板検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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