説明

基板温度の均一性を制御する方法、および、内蔵式加熱ユニットおよびそれを使用する薬剤供給ユニット

基板の温度の均一性およびピーク温度を制御しながら急速に加熱するための方法が開示される。これらの方法を使用する加熱ユニット、薬剤供給ユニットおよび薬剤運搬物品が開示される。急速な加熱は、基板内に配置された、発熱金属酸化還元反応を受けることができる固体燃料を使用することによって得られる。固体燃料が、それに配置された薬剤を急速に熱的に気化するのに十分な温度へ基板を加熱するように構成される薬剤供給ユニットおよび薬剤運搬物品もまた開示される。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の参照】
【0001】
[0001]本明細書は、Haleらによって2003年5月21日に出願された米国予備特許出願第60/472,697号、発明の名称「内蔵式加熱ユニットおよびそれを使用する薬剤供給ユニット(Self−Contained Heating Unit and Drug−Supply Unit Employing Same)」の一部継続出願であり、その優先権を主張し、その全体を参照として本明細書に組み入れる。
【分野】
【0002】
[0002]本開示は、表面にわたって基本的に均一な温度へ基板を急速に加熱することができる加熱ユニット、および、そのような加熱ユニットを使用する物品および方法に関する。
【序論】
【0003】
[0003]内蔵式熱源は、食品および飲み物を加熱するための食品業界から、ハンドウォーマーおよびフットウォーマーを提供するための野外レクリエーション業界、吸入装置用の医療用途まで、広い範囲の業界で使用されている。多くの内蔵式熱源は、発熱化学反応またはオーム加熱に基づいている。例えば、発熱化学反応によって熱を生成する自己加熱ユニットは、少なくとも2つの構成要素を有することが多く、1つは熱生成組成物を保持するためのものであり、1つは活性化溶液を保持するためのものである。2つの構成要素は、壊れやすいシールによって分離されており、シールは、壊れたときに、構成要素が混合するのを可能にし、発熱反応を開始させ、熱を生成する(例えば、米国特許第5,628,304号;第4,773,389号;第6,289,889号を参照のこと)。この種類の不燃性の、自己加熱ユニットは、熱生成が比較的穏やかであるため、食品、飲み物、または、冷たいつま先および指を暖めるのに適切である。内蔵式熱用の別の一般的な源は、オーム加熱である。オーム加熱では、電流が電気抵抗性材料を通って進み、熱を生成し、それが隣接する物品へ伝えられる。熱生成のこのモードを使用して、揮発性物質例えばタバコを、ユーザが吸入するように、気化するかまたは加熱する。タバコフレーバーを揮発させるために熱を生成する電気抵抗コイルを有する吸口および火皿が、記載されている(米国特許第2,104,266号;第4,922,901号;第6,095,143号)。オーム加熱でタバコ以外の薬剤を加熱することもまた記載されている。例えば、Rosenに付与された国際公開公報94/09842号には、薬剤を電気的抵抗性表面に加えて、表面を加熱し薬剤を吸入のために気化することが記載されている。オーム加熱は、生成される熱を決定するために加えられるエネルギーを正確に制御するのを容易にするという利点を有する。しかし、多くのオーム加熱システムでは、および、特に限られたエネルギーしか利用可能ではない小型システムでは、例えば電池を使用するときには、加熱を開始するときと最大温度が達せられるときとの間に、秒または分の大きさの実質的な遅延が存在しうる。さらに、小型装置、例えば電源が電池を含む携帯用医療装置では、オーム加熱は高価であり且つ嵩張る可能性がある。
【0004】
[0004]制御された熱を提供するための別のアプローチは、電気化学的相互作用を使用することである。ここで、発熱反応の開始後に電気化学的に相互作用する構成要素を使用して、熱を生成する。発熱電気化学的反応は、金属剤および電解質の反応を含み、例えば、金属剤としてマグネシウム顆粒および鉄粒子の混合物、および、電解質として顆粒塩化カリウム結晶である。水の存在下で、熱は、マグネシウムの発熱ヒドロキシル化によって生成され、ヒドロキシル化の速度は、マグネシウムと鉄との間の電気化学的相互作用によって制御されたやり方で加速され、これは、塩化カリウム電解質が液体水との接触時に解離するときに、開始される。電気化学的相互作用は、吸入のためにタバコを気化するために喫煙業界で使用されている(米国特許第5,285,798号;第4,941,483号;第5,593,792号)
【0005】
[0005]前述の自己加熱方法は、数分の間に摂氏数百度へ隣接する物品を加熱するのに十分な熱を生成することができる。当分野には、急速に、すなわち、秒または秒の何分の1の大きさで、熱を生成することができ、規定された温度範囲内に物品を加熱することができ、且つ、人々によって使用されるべき物品に使用されるのに適切である装置の必要性がある。
【概要】
【0006】
[0006]ある実施形態は、固体燃料の選択された質量の薄い層を基板の表面にコーティングすることによって、基板表面の温度の均一性およびピーク温度を制御する方法を開示する。
【0007】
[0007]ある実施形態は、外側表面および内側表面を有する少なくとも1つの基板を有するエンクロージャと、エンクロージャ内に配置された、発熱金属酸化還元反応を受けることができる固体燃料と、基板の外側表面の一部に配置された薬剤と、を備える薬剤供給ユニットを含む。
【0008】
[0008]ある実施形態は、気道を画成するハウジングと、外側表面および内側表面を有する少なくとも1つの基板を有するエンクロージャを備える加熱ユニットと、エンクロージャ内に配置された、発熱金属酸化還元反応を受けることができる固体燃料と、基板の外側表面の一部に配置された薬剤であって、薬剤を含む外側表面の一部は、気道内に配置されるように構成される薬剤と、固体燃料を点火するように構成された点火剤と、を備える薬剤運搬装置を含む。
【0009】
[0009]ある実施形態は、薬剤のエアロゾルを生成する方法と、このような加熱ユニット、薬剤供給ユニットおよび薬剤運搬装置を使用して患者の疾病を治療する方法と、を含む。
【0010】
[0010]前述の一般的な説明および下記の詳細な説明の両方は、模範的且つ例示的なだけであり、請求されるように、ある実施形態の制限的なものではないことを理解すべきである。
【様々な実施形態の説明】
【0011】
[0037]特に指定のない限り、明細書および特許請求の範囲に使用される成分の量、反応状態等を表すすべての数字は、すべての場合に「約」という用語によって修正されると理解されるものである。
【0012】
[0038]この明細書において、別途記載のない限り、単数形の使用は、複数形も含む。本出願において、別途記載のない限り、「または」は「および/または」を意味する。さらに、「含んでいる」という用語、および、「含む」および「含んだ」等の他の形態の使用は、限定的ではない。また、「要素」または「構成要素」等の用語は、別途記載のない限り、1つのユニットを備える要素および構成要素と、2つ以上のサブユニットを備える要素および構成要素と、の両方を包含する。
【0013】
被覆された基板及び温度制御
[0039]図1Aは、本発明において使用される基板12の一例を示している。この基板は、熱伝導材料から形成され得る。熱伝導材料は既知であり、典型的に、金属、例えば、アルミニウム、鉄、銅、ステンレス鋼等、合金、セラミックおよび充填剤入ポリマーを含むが、それらに限定されない。基板は、1つ以上のこのような材料から形成することができ、ある実施形態において、マルチレイヤ構造物を有することができる。例えば、基板は、1つ以上のフィルムおよび/またはコーティングおよび/または材料の複数のシートまたは層を備えることができる。ある実施形態において、基板の部分は、複数のセクションから形成することができる。ある実施形態において、加熱ユニットの基板を形成する複数のセクションは、異なる熱特性を有することができる。基板はいずれの適切な形状であってもよく、図1Aに示される矩形構成は、単に模範例である。基板はいずれの適切な厚さを有することもでき、基板の厚さは、一定の領域では異なってもよい。基板12は、図1Aおよび1Bに示されるように、内側表面14および外側表面16を有する。熱を、内側表面14から外側表面16へ伝導することができる。外側表面16に隣接してまたは接触して配置された物品または物体は、伝導された熱を受け取ることができ、所望の作用を達成し、例えば、固体または流体の物体を暖めるかまたは加熱し、さらなる反応を行い、位相変化を生じさせる。ある実施形態において、伝導された熱は、外側表面16に直接または間接的に接触する化合物に相転移を達成することができる。
【0014】
[0040]固体燃料を使用して、基板を急速に加熱することができる。固体燃料を使用する発熱反応中に解放されるエネルギーを使用して、外側表面に隣接する材料を直接または間接に加熱するのに必要な温度上昇を提供することができる。ある実施形態において、基板12は、内側表面14に直接接触してすなわち接して、固体燃料20の広い空間を有する。
【0015】
[0041]固体燃料は、いずれの適切な形状であってもよく、且つ、いずれの適切な寸法を有してもよい。例えば、図1Aに示されるように、固体燃料20は、表面の広い空間26および側部の広い空間28、30を備えることができる。図1Bに示されるように、加熱ユニット40は、外側表面44および内側表面46を有する基板42を備える。ある実施形態において、固体燃料48は、基板42の長さ方向に延在し且つ内側表面46の直径よりも短い直径を呈する中空ロッドの形状である。フィン付またはリブ状の外側表面が、表面に接触する物品または組成物へ固体燃料から熱を移すのを容易にするのに有用でありうる高い表面積を提供することができることを認識することができる。
【0016】
[0042]固体燃料の構成要素は、発熱反応で反応して熱を生成することができる。例えば、固体燃料は、発熱酸化還元反応または金属間合金反応で反応することができる。酸化還元反応は、一方の化合物が電子を得、他方の化合物が電子を失う化学反応を意味する。電子を得る化合物は酸化剤と称され、電子を失う化合物は還元剤と称される。酸化還元反応の例は、分子酸素(O2)を備えた化合物、または、酸化されている化合物に1つ以上の酸素原子を加える酸素含有化合物の化学反応である。酸化還元反応中に、分子酸素または酸素含有化合物は、酸化されている化合物によって還元される。酸素を提供する化合物は、酸化性物質または酸化剤として作用する。酸化されている化合物は還元剤として作用する。酸化還元反応は、発熱性であり、反応が熱を発生することを意味する。発熱酸化還元反応の例は、金属と金属酸化剤との熱反応である。ある実施形態において、固体燃料は、金属還元剤と、酸化剤、例えば、金属含有酸化剤と、を含むことができる。
【0017】
[0043]ある実施形態において、金属還元剤および酸化剤は、粉末の形態であってもよい。「粉末」という用語は、粉末、粒子、小球、フレーク、および、自己伝播点火を維持するために適切なサイズおよび/または表面積を呈する他のいずれの粒子状物質を意味する。例えば、ある実施形態において、粉末は、0.1μm〜200μmの範囲の平均直径を呈する粒子を含むことができる。
【0018】
[0044]ある実施形態において、金属還元剤は、モリブデン、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ホウ素、チタン、ジルコニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、タングステン、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、カドミウム、スズ、アンチモン、ビスマス、アルミニウム、および、ケイ素を含むことができるが、それらに限定されない。ある実施形態において、金属還元剤は、アルミニウム、ジルコニウムおよびチタンを含むことができる。ある実施形態において、金属還元剤は、2つ以上の還元剤を含むことができる。
【0019】
[0045]ある実施形態において、酸化剤は、酸素、酸素系気体、および/または、固体酸化剤を含むことができる。ある実施形態において、酸化剤は、金属含有酸化剤を含むことができる。ある実施形態において、金属含有酸化剤は、過塩素酸塩および遷移金属酸化物を含むが、それらに限定されない。過塩素酸塩は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の過塩素酸塩、例えば、過塩素酸カリウム(KClO4)、塩素酸カリウム(KClO3)、過塩素酸リチウム(LiClO4)、過塩素酸ナトリウム(NaClO4)、および、過塩素酸マグネシウム[(MgClO42]を含むが、それらに限定されない。ある実施形態において、酸化剤として機能する遷移金属酸化物は、モリブデンの酸化物例えばMoO3、鉄の酸化物例えばFe23、バナジウムの酸化物(V25)、クロムの酸化物(CrO3、Cr23)、マンガンの酸化物(MnO2)、コバルトの酸化物(Co34)、銀の酸化物(Ag2O)、銅の酸化物(CuO)、タングステンの酸化物(WO3)、マグネシウムの酸化物(MgO)およびニオブの酸化物(Nb25)を含むが、それらに限定されない。ある実施形態において、金属含有酸化剤は、2つ以上の金属含有酸化剤を含むことができる。
【0020】
[0046]ある実施形態において、固体燃料を形成する金属還元剤は、ジルコニウムおよびアルミニウムから選択することができ、金属含有酸化剤は、MoO3およびFe23から選択することができる。
【0021】
[0047]金属還元剤の金属含有酸化剤に対する比率は、固体燃料の発火温度および燃焼特性を決定するように選択することができる。模範的な化学燃料は、75%のジルコニウムおよび25%のMoO3を含むことができ、パーセンテージは重量に基づいている。ある実施形態において、金属還元剤の量は、固体燃料の合計乾燥重量の60重量%〜90重量%の範囲でありうる。ある実施形態において、金属含有酸化剤の量は、固体燃料の合計乾燥重量の10重量%〜40重量%の範囲であってもよい。ある実施形態において、固体燃料の酸化剤の量は、燃料組成物の共融点またはその近傍における酸化性物質の分子量に関連づけることができる。ある実施形態において、酸化剤は主要構成要素であってもよく、他の実施形態では、金属還元剤が主要構成要素であってもよい。当業者は、化学反応の化学量論に基づいておよび/または日常の実験によって、各構成要素の適切な量を決定することができる。これもまた当分野において既知のように、金属の粒子サイズおよび金属含有酸化性物質は、燃焼率を決定するために変動することができ、より速い燃焼のためにはより小さな粒子サイズが選択される(例えば、米国特許第5,603,350号参照のこと)。
【0022】
[0048]ある実施形態において、固体燃料は、例えば、処理を容易にするために、且つ/または、固体燃料の点火中およびその後に加熱ユニットの熱的特性および時間的特性を決定するために、添加剤材料を含むことができる。添加剤材料は、反応性であっても不活性であってもよい。不活性添加剤材料は、反応しないか、または、固体燃料の点火中および燃焼中に最小程度に反応する。添加剤材料は、無機材料または有機材料であってもよい。
【0023】
[0049]ある用途において、特に、例えば封止された加熱ユニットに、最小量の気体を生成することが望ましい場合には、添加剤材料は無機材料であってもよい。無機材料は、結合剤、接着剤、ゲル化剤、チキソトロープ剤、および/または、界面活性剤として機能することができる。ゲル化剤の例として、粘土、例えば、Laponite(登録商標)、Montmorillonite、Cloisite(登録商標)、金属アルコキシド、例えば、化学式R−Si(OR)nおよびM(OR)nによって表され、ただし、nは3または4でありえ、且つMはTi、Zr、Al、Bまたは他の金属でありえるもの、および、遷移金属水酸化物または酸化物に基づいたコリダル粒子が挙げられるが、それらに限定されない。結合剤の例として、可溶性ケイ酸塩例えばNa−またはK−ケイ酸塩、ケイ酸アルミニウム、金属アルコキシド、無機ポリアニオン、無機ポリカチオン、および、無機ゾルゲル材料例えばアルミナまたはシリカ系ゾルが挙げられるが、それらに限定されない。
【0024】
[0050]ある実施形態において、固体燃料が基板の表面に接着し、固体燃料の成分が互いに接着し、物理的一体性を維持することが有用でありうる。ある実施形態において、固体燃料が基板表面に接着したままであり、処理、保管および使用中に物理的一体性を維持し、その時間中に固体燃料コーティングが様々な機械的且つ環境的状態に露出されることができることが有用でありうる。上記に検討されたように、数種類の添加剤、例えば本明細書に開示されたもの等が、固体燃料内に組み込まれ、固体燃料コーティングに接着および物理的な頑丈さを与えることができる。
【0025】
[0051]ある実施形態において、固体燃料は、Laponite(登録商標)を含み、特に、不活性添加剤材料として、Laponite(登録商標)RDSを含む。Laponite(登録商標)は、合成層状ケイ酸塩、特に、フィロケイ酸塩マグネシウムであり、天然産粘土鉱物ヘクトライト(Na0.4Mg2.7Li0.3Si10(OH))の構造に類似した構造を備える。Laponite(登録商標)RDは、商用銘柄材料であり、水に加えられると急速に分散し、水和するときにゲルを形成する(Southern Clay Products、テキサス州ゴンザレス)。Laponite(登録商標)RDは、重量パーセントで下記の化学分析を有する:59.5%SiO2:27.5%MgO:0.8%Li2O:2.8%Na2O。Laponite(登録商標)RDS(Southern Clay Products、テキサス州ゴンザレス)は、ポリリン酸分散剤またはペプタイザで改質されたLaponite(登録商標)の市販のゾル形成グレードであり、Laponite(登録商標)RDSが分散として配合内に加えられるまで、レオロジー活動を遅らせる。ゾルは、固体が液体内に懸濁する連続液相を有するコロイドを意味する。Laponite(登録商標)RDSは、重量パーセントで下記の化学分析を有する:54.5%SiO2:26%MgO:0.8%Li2O:5.6%Na2O:4.1%P25。電解質の存在中で、Laponite(登録商標)は、ゲル化剤およびチキソトロープ剤として作用することができる。チキソトロピーは、剪断下で減少した粘性を呈する材料の特性を意味する。
【0026】
[0052]金属還元剤および金属含有酸化剤、例えば本明細書に開示されたいずれのもの等を含む固体燃料組成物内に組み込まれるときに、ゲル化およびチキソトロープの特性を与えるのに加えて、Laponite(登録商標)RDSは、結合剤としても作用することができる。
【0027】
[0053]Laponite(登録商標)RDSを含む固体燃料の調製および金属箔基板へ固体燃料を加えることの例は、実施例1に記載されている。
【0028】
[0054]他の有用な添加剤として、ガラスビーズ、珪藻土、ニトロセルロース、ポリビニルアルコール、および、結合剤として機能してもよい他のポリマーが挙げられる。ある実施形態において、固体燃料は、2つ以上の添加剤材料を含むことができる。金属、酸化剤および/または添加剤材料および/またはいずれの適切な水性または有機可溶性結合剤を含む固体燃料の構成要素は、いずれの適切な物理的または機械的な方法によって混合して、有用なレベルの分散および/または均質性を達成することができる。ある実施形態において、固体燃料はガスを抜くことができる。
【0029】
[0055]添加剤を備えた固体燃料の高められた結合特性に加えて、無機添加剤を使用する他の利点は、非常に高温まで添加剤が安定しており、添加剤によるいずれの有毒ガスがないかまたは解放が最小であることである。閉鎖システムにおいて、無機添加剤から追加気体が生成されないことはまた、閉鎖加熱ユニットが破裂する可能性を減少するかまたは最小限にする。
【0030】
[0056]表1A〜1Eは、使用される添加剤を含む固体燃料組成物のある実施形態を要約する。一定の固体燃料組成物を含む構成要素の重量比率が提供される。
【表1】


【表2】


【表3】


【表4】


【表5】

【0031】
[0057]固体燃料内での添加剤の使用は、固体燃料の結合特性を向上させる一方、このような燃料で被覆された基板の使用と製造性を容易化ないしは向上させる。特に、添加剤の使用は、例えば、浸漬コーティング、スプレーコーティング、ローラーコーティング、グラビアコーティング、リバースロールコーティング、ギャップコーティング、計量ロッドコーティング、スロットダイコーティング、カーテンコーティングおよびエアナイフコーティング等(これらに限定されない)のようなウェットコーティングを使用することができ、これらの手法は、基板表面上に燃料粉末を堆積させたり、図1Bの基板の内側表面のような円筒形表面や、図10Aに示す箔(ホイル)のような平坦な表面上に燃料粉末を堆積させたりする手段としてのものである。
【0032】
[0058]基板をコーティング(被覆)するために添加剤を有する固定燃料スラリーの使用は、よりよい材料の混合性、粘着特性の向上、表面への固体燃料の均一性の制御の向上をもたらす。円筒装置の壁の周りに本質的に均質の層として固体燃料粉末の物理的混合を行うことができるが、密度、粒サイズ、形状、S/V比、化学誘発的な面と面との反応の欠如等が相違している複数の材料を使用した場合に特に、問題となる。(本質的に均質は、本質的に均一であると定義し、2つ以上の要素の混合が適用される場合に、混合物全体にわたり異なる種々の粒子の分布が基本的に均一であることをいう。これは、種々の要素が攪拌される係合がある場合、あるいは、高密度粒子の沈着がある場合等の、不均一な混合に対するものである。)基板の内側表面に燃料粉末の分散のためのコア(core)の使用は、固体燃料粉末のギャップや層厚を制御可能とするものであり、混合物内の粒子の分離のような他の問題は生じない。混合を巧く行わなかったことによる燃料混合物それ自体に関する不十分な均質性は、基板の外側表面の不安定な加熱をもたらす。混合は容易に行うことができ、乾燥粉末に対するものである「スラリー」として使用した場合、自動化さえできる。
【0033】
[0059]加えて、基板の内側表面と接している、或いは、その上、その中の燃料の厚さに関する均質性の欠如も、基板の外側表面の不安定な加熱をもたらす。添加剤を含むスラリーを用いることにより、コーティングの粘着性や付着の容易性を向上させることができる。
【0034】
[0060]ある実施形態において、固体燃料は、薄いフィルムまたは層ないしはコーティングとして基板上に配置することができ、その場合、固体燃料の薄い層の厚さは、ウェットコーティングの使用により、例えば0.001〜0.030インチの範囲とすることができる。
【0035】
[0061]例えば図10Aに示す基板510のような基板は、薬剤514が付着された外側表面に対応する基板の内側領域上に、固体燃料512の薄い層または薄いコーテング(被膜)を形成するために、ほぼ均等な厚さにコーティングされうる。基板の厚さ、その熱伝導性、その熱容量、固体燃料512の薄い層の厚さ、および、固体燃料512の組成により、最大温度(ピーク温度)、さらに、固体燃料の燃焼によって生成される温度プロファイルの時間的動力および空間的動力を決定する。
【0036】
[0062]0.001インチ〜0.005インチの範囲の厚さを有する薄い固体燃料の層を使用する研究によって、固体燃料が配置される薄いフィルム基板によって達せられた最大温度が、加えられた固体燃料の質量に対して直線状でありうることが例証される。例えば、数種類の異なる固体燃料組成用に図12に示されるように、0.13g〜0.25gの範囲の質量を有するZr/MoO3固体燃料の0.001インチ〜0.003インチ厚の層では、燃焼中に基板によって達せられる最大温度は、直線状である。0.12g〜0.24gの範囲の質量を有する固体燃料層での他の研究によって、375℃〜625℃の範囲の温度にわたる直線性が例証される。当業者が他の固体燃料組成および構成に類似の関係性を確立することができることが認識される。このような研究によって、固体燃料が燃焼されるときに基板によって達せられる温度は、基板に加えられる固体燃料の量を制御することによって確立することができることが例証される。
【0037】
[0063]基板の表面温度の測定は、金属還元剤および金属含有酸化剤を含む固体燃料の薄いコーティングが均質な加熱を作ることができることを例証する。温度の均一性は、ここでは、基板の内側表面の燃料被覆エリアに対応する基板の外側表面の温度(℃)が、点火された燃料の火炎の前方への伝播の完了後、100ミリ秒内で計測を行う場合に、得られる平均表面温度から50℃の標準偏差内にあると定義する。固体燃料の点火後の、実質的に図10Aおよび10Bに示され実施例9に記載されるような加熱ユニットを形成する基板の温度プロファイルは、図19に示される。図19は、固体燃料の0.00163インチ厚コーティングの点火0.25秒後に、1.3インチ×1.3インチ基板の二次元にわたる様々な位置における平均表面温度を示す。効果的な加熱領域の平均表面温度は、約400℃であった。
【0038】
[0064]加熱ユニットの基板から薬剤を蒸発させる等のある適用例においては、基板の加熱の均一性は、高純度薬剤や薬組成物を含むエアゾールの製造を容易化する場合や、エアゾールを形成する基板上の初期に堆積された薬剤の収率を最大化する場合に、重要となる。
【0039】
加熱ユニット
[0065]図1Aには加熱ユニットの一実施形態が示されている。加熱ユニット10は、基板12からなり、この基板12の内側表面14には固体燃料の薄層又はコーティングが接している。固体燃料を点火して、自立酸化還元反応を生成することができる。ひとたび固体燃料の一部が点火されると、酸化還元反応によって生成された熱は、すべての燃料が化学反応のプロセスで消費されるまで、隣接する未燃の燃料を点火することができる。発熱酸化還元反応は、固体燃料の少なくとも一部にエネルギーを加えることによって開始することができる。固体燃料によってまたは固体燃料に接触する要素によって吸収されたエネルギーは、熱に転換することができる。固体燃料が反応体の自己発火温度を超えた温度へ、例えば、燃焼源または炎がないときに自立燃焼を開始するか生じさせるのに必要な最小温度へ加熱されたときには、酸化還元反応が開始し、燃料が消費されるまで自立反応の固体燃料を点火する。
【0040】
[0066]エネルギーは、多数の方法を使用して、固体燃料を点火するために加えることができる。例えば、抵抗性加熱要素を固体燃料に熱接触して位置決めすることができ、これは、電流が加えられるときには、固体燃料を自己発火温度へ加熱することができる。電磁放射線源を固体燃料に方向づけることができ、これは、吸収されるときには、固体燃料をその自己発火温度へ加熱することができる。電磁放射線源は、レーザ、ダイオード、フラッシュランプおよびマイクロ波源を含むことができる。RFまたは誘導加熱は、固体燃料内にあるかまたは固体燃料に熱接触するかのいずれの高い透磁率を有する材料によって吸収されることができる交互RF域を加えることによって、固体燃料源を加熱することができる。エネルギーの源は、吸収材料に集中することができ、エネルギー密度を上げてより高い局所温度を作り出し、それによって点火を容易にする。ある実施形態において、固体燃料は衝撃力によって点火することができる。
【0041】
[0067]本明細書に開示されるような金属還元剤および金属含有酸化剤を含む固体燃料の自己発火温度は、400℃〜500℃の範囲でありうる。このように高い自己発火温度は、多くの使用状況下で、例えば携帯用医療装置として、固体燃料の安全な処理および安全な使用を容易にするが、同一の理由で、このような高い温度を達成するためには、自立反応を開始するために大量のエネルギーを加えなければならない。さらに、固体燃料によって表される熱質量は、非現実的に高い温度を加えて固体燃料の温度を自己発火温度より上へ上げることを必要とする可能性がある。熱が固体燃料および/または固体燃料が配置されるサポートに加えられているときには、熱はまた追い出されてもいる。固体燃料を直接加熱することは、固体燃料およびサポートの熱質量のために相当な量のパワーを必要とする可能性がある。
【0042】
[0068]例えば花火産業において、当分野において既知のように、火花を使用して燃料組成物を安全且つ効率的に点火することができる。火花は、誘電体媒質の電気的破壊または燃焼粒子の排出を意味する。第1の意味において、電気的破壊は、例えば、電圧が加えられる別個の電極の間に作ることができる。火花はまた、広大なレーザ照射域で化合物をイオン化することによって作ることもできる。燃焼粒子の例として、摩擦によって生成されるもの、および、間欠性電流によって生成される中断火花が挙げられる。固体燃料に入射した十分なエネルギーの火花は、自立酸化還元反応を開始することができる。
【0043】
[0069]十分に加熱されるときには、固体燃料の発熱酸化還元反応は、火花、および、放射線エネルギーを作ることができる。したがって、ある実施形態において、固体燃料の信頼のおける再現可能な制御された点火は、発熱酸化還元反応で反応することができる反応開始組成物の使用によって容易にすることができる。反応開始組成物は、固体燃料を備えるものと同一または類似の反応体を含むことができる。ある実施形態において、反応開始組成物は、固体燃料を点火するために十分なエネルギーを有する火花の生成を最大限にするように配合されることができる。反応開始組成物から発した火花は、固体燃料の表面にぶつかることができ、自立発熱酸化還元反応で固体燃料を発火させる。点火剤は、物理的に小さく熱的に孤立した加熱要素を含むことができ、それに、火花を作ることができる少量の反応開始組成物が加えられるか、または、反応開始組成物は、燃料自体に直接置くことができ、且つ、例えば光学式または衝撃式を含む様々な手段によって点火することができる。
【0044】
[0070]図1Aに示されるように、加熱ユニット10は、固体燃料20の一部を点火することができる反応開始組成物50を含むことができる。ある実施形態において、図1Aに示されるように、反応開始組成物50は、固体燃料20の中心領域54に近接して位置決めされることができる。反応開始組成物50は、固体燃料20の他の領域に位置決めされることができ、例えば縁へ向けて等である。ある実施形態において、加熱ユニットは2つ以上の反応開始組成物を含むことができ、そこで、2つ以上の反応開始組成物50は固体燃料20と同一の側にまたは異なる側に位置決めされることができる。ある実施形態において、反応開始組成物は、基板12と一体的に形成され、且つ/または、基板12の適切にサイズづけられた開口内に固定される保持部材56に装着されることができる。保持部材56および基板12は、固体燃料20の点火および燃焼中に生成された反応体および反応生成物が加熱ユニット10外部に解放されるのを防止するために封止することができる。ある実施形態において、反応開始組成物50に電気的に接触する電気リード線58a、58bは、反応開始組成物50を活性化する(図示せず)ように構成された機構へ電気接続するために保持部材56から延在することができる。
【0045】
[0071]熱、力または火花への露出時に火花を作ることができる反応開始組成物は、例えば、花火分野および写真用閃光球業界では既知である。ある実施形態において、反応開始組成物は、少なくとも1つの金属、例えば本明細書に記載されたもの、および、少なくとも1つの酸化剤、例えば、アルカリ金属のまたはアルカリ土類金属の塩素酸塩または過塩素酸塩、または、酸化金属、および本明細書に開示された他のものを含むことができる。ある実施形態において、反応開始剤は、少なくとも1つの結合剤および/または添加剤材料例えばゲル化剤および/または結合剤を含むことができる。ゲル化剤および/または結合剤を含む添加剤材料の例は、本明細書に開示される。ある実施形態において、添加剤材料は、反応開始組成物の一定の処理特性、点火特性、および/または、燃焼特性を決定するのに有用でありうる。
【0046】
[0072]図2Aは、加熱ユニットの実施形態の長手方向断面図を示す。図2Bは、図2Aに示された組み立てられていない個別の構成要素を例示する実施形態の対応する斜視図を示す。図2Aに示されるように、加熱ユニット60は、形状が略円筒形であり、一方の端でテーパ状のノーズ部分64で終端し、他方の端で開口レセプタクル66で終端する基板62を含むことができる。基板62は、内側表面68および外側表面70を有し、それが内側領域72を画成する。内側裏打ち部材74は、形状が円筒形であってもよく、内側領域72内に位置することができる。裏打ち部材74の対向する端76、78は、開口であってもよい。ある実施形態において、裏打ち部材74は、加熱ユニットの所望の熱的動力および時間的動力に依存して、熱伝導材料または熱吸収材料を含むことができる。熱吸収材料から構造されるときには、裏打ち部材74は、固体燃料80の点火後に基板62によって達した最大温度を減少することができる。
【0047】
[0073]ある実施形態において、例えば、本明細書に記載されたいずれの固体燃料を含む固体燃料80は、基板62と裏打ち部材74との間に制限されることができるか、または、内側領域72を充填することができる。固体燃料80は、基板62の内側表面68に接することができる。
【0048】
[0074]ある実施形態において、反応開始組成物82は、基板62の開口レセプタクル66に位置決めされることができ、固体燃料80を点火するように構成することができる。ある実施形態において、保持部材84は、開口レセプタクル66に位置することができ、いずれの適切な機構、例えば結合または溶接等を使用して、適所に固定することができる。保持部材84および基板62は、反応開始組成物82および固体燃料80の点火および燃焼中に生成された反応体または反応生成物が解放されるのを防止するために封止することができる。保持部材84は、内側領域72に面する表面に窪み86を含むことができる。窪み86は、反応開始組成物82を保持することができる。ある実施形態において、電池(図示せず)等の電源の正および負の末端に接続されたリード線88、90を経由して、電気刺激を反応開始組成物82に直接加えることができる。リード線88、90は、反応開始組成物82(図示せず)に物理的に接触して配置された電気的に抵抗性の加熱要素に接続することができる。ある実施形態において、リード線88、90は、反応開始組成物82を塗布することができる。
【0049】
[0075]図2Aを参照すると、反応開始組成物82に刺激を加えることは、結果として、裏打ち部材74の開口端78から端76へ向けて方向づけることができる火花を作ることができる。端76へ向けて方向づけられた火花は、固体燃料80に接触することができ、固体燃料80を発火させる。固体燃料80の発火は、発火した固体燃料80の自己伝播波を生成することができ、波は、開口端78からノーズ部分64へ向けて移動し、基板62のレセプタクル端66内に保持された保持部材84へ向けて戻る。発火した固体燃料80の自己伝播波は、基板62の内側表面68から外側表面70へ伝わることができる熱を生成することができる。
【0050】
[0076]加熱ユニットの実施形態は、図2Cに例示される。図2Cに示されるように、加熱ユニット60は、保持部材84の窪み86に配置された第1の反応開始組成物82と、裏打ち部材74の開口端76に配置された第2の反応開始組成物94と、を含むことができる。内側領域72に位置する裏打ち部材74は、開口領域96を画成する。固体燃料80は、基板62と裏打ち部材74との間の内側領域内に配置される。ある実施形態において、リード線88、90を通して、電気刺激を第1の反応開始組成物82に加えたときに作られた火花は、開口領域96を通って第2の反応開始組成物94へ向けて方向づけることができ、第2の反応開始組成物94を発火させて火花を作る。次いで、第2の反応開始組成物94によって作られた火花は、固体燃料80を点火することができ、点火は当初は基板62のノーズ部分へ向けて発生し、点火の自己伝播波で対向する端へ移動する。
【0051】
[0077]ある実施形態において、点火剤は、サポートおよびサポートに配置された反応開始組成物を備えることができる。ある実施形態において、サポートは、熱的に孤立され、熱損失の電位を最小限にすることができる。このようにして、アセンブリおよびサポートの組み合わせに加えられたエネルギーの浪費は、最小限にすることができ、それによって、エネルギー源のパワーの必要を減少し、物理的により小さくより安価な熱源の使用を容易にする。例えば、電池式携帯用医療装置を備えたある用途において、このような考慮は、特に有用でありうる。ある実施形態において、エネルギー源が小型の低価格の電池、例えば、1.5Vアルカリ電池であることが有用でありうる。ある実施形態において、反応開始組成物は、金属還元剤および金属含有酸化剤を含むことができる。
【0052】
[0078]ある実施形態において、金属還元剤は、モリブデン、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ホウ素、チタン、ジルコニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、タングステン、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、カドミウム、スズ、アンチモン、ビスマス、アルミニウム、および、ケイ素を含むことができるが、それらに限定されない。ある実施形態において、金属還元剤は、アルミニウム、ジルコニウム、および、チタンを含むことができる。ある実施形態において、金属還元剤は、2つ以上の還元剤を含むことができる。ある実施形態において、酸化剤は、酸素、酸素系気体、および/または、固体酸化剤を含むことができる。ある実施形態において、酸化剤は、金属含有酸化剤を含むことができる。ある実施形態において、金属含有酸化剤は、過塩素酸塩および遷移金属酸化物を含むが、それらに限定されない。過塩素酸塩は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の過塩素酸塩、例えば、過塩素酸カリウム(KClO4)、塩素酸カリウム(KClO3)、過塩素酸リチウム(LiClO4)、過塩素酸ナトリウム(NaClO4)、および、過塩素酸マグネシウム[(MgClO42]を含むが、それらに限定されない。ある実施形態において、酸化剤として機能する遷移金属酸化物は、モリブデンの酸化物例えばMoO3、鉄の酸化物例えばFe23、バナジウムの酸化物(V25)、クロムの酸化物(CrO3、Cr23)、マンガンの酸化物(MnO2)、コバルトの酸化物(Co34)、銀の酸化物(Ag2O)、銅の酸化物(CuO)、タングステンの酸化物(WO3)、マグネシウムの酸化物(MgO)およびニオブの酸化物(Nb25)を含むが、それらに限定されない。ある実施形態において、金属含有酸化剤は2つ以上の金属含有酸化剤を含むことができる。
【0053】
[0079]金属還元剤の金属含有酸化剤に対する比率は、適切な燃焼特性および火花生成特性を決定するように選択することができる。ある実施形態において、反応開始組成物の酸化剤の量は、燃料組成物の共融点でまたはその近傍における酸化性物質の分子量に関連づけることができる。ある実施形態において、酸化剤は主要構成要素であってもよく、他の実施形態において、還元剤が主要構成要素であってもよい。当業者は、化学反応の化学量論に基づいておよび/または日常の実験によって、各構成要素の適切な量を決定することができる。これもまた当分野において既知のように、金属の粒子サイズおよび金属含有酸化性物質は、燃焼率を決定するために変動することができ、より速い燃焼のためにはより小さな粒子サイズが選択される(例えば、国際公開公報第2004/01396号参照のこと)。
【0054】
[0080]ある実施形態において、反応開始組成物は、例えば処理を容易にし、機械的一体性を高め、且つ/または、燃焼特性および火花生成特性を決定するために、添加剤材料を含むことができる。添加剤材料は、無機材料であってもよく、結合剤、接着剤、ゲル化剤、チキソトロープ剤、および/または、界面活性剤として機能することができる。ゲル化剤の例として、粘土、例えば、Laponite(登録商標)、Montmorillonite、Cloisite(登録商標)、金属アルコキシド、例えば、化学式R−Si(OR)nおよびM(OR)nによって表され、ただし、nは3または4でありえ且つMはTi、Zr、Al、Bまたは他の金属でありえるもの、および、遷移金属水酸化物または酸化物に基づいたコロイド粒子が挙げられるが、それらに限定されない。結合剤の例として、可溶性ケイ酸塩例えばNa−またはK−ケイ酸塩、ケイ酸アルミニウム、金属アルコキシド、無機ポリアニオン、無機ポリカチオン、無機ゾルゲル材料例えばアルミナまたはシリカ系ゾルが挙げられるが、それらに限定されない。他の有用な添加剤として、ガラスビーズ、珪藻土、ニトロセルロース、ポリビニルアルコール、グアーガム、エチルセルロース、酢酸セルロース、ポリビニルピロリドン、フルオロカーボンゴム(Viton)、および、結合剤として機能することができる他のポリマーが挙げられる。ある実施形態において、反応開始組成物は、2つ以上の添加剤材料を含むことができる。金属、金属含有酸化剤および/または添加剤材料および/またはいずれの適切な水性のまたは有機可溶性の結合剤を含む反応開始組成物の構成要素は、いずれの適切な物理的または機械的な方法によって混合することができ、有用なレベルの分散および/または均質性を達成する。ある実施形態において、添加剤材料は、反応開始組成物の一定の処理特性、点火特性、および/または、燃焼特性を決定するのに有用でありうる。ある実施形態において、反応開始剤の構成要素の粒子サイズは、当分野において既知のように、点火特性および燃焼率特性を調整するように選択することができる(例えば、米国特許第5,739,460号参照のこと)。
【0055】
[0081]ある実施形態において、反応開始組成物は、少なくとも1つの金属、例えば本明細書に記載のもの等、および、少なくとも1つの酸化剤例えばアルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩素酸塩または過塩素酸塩または金属酸化物、および、本明細書に記載の他のものを含むことができる。
【0056】
[0082]反応開始組成物の例として、10%Zr:22.5%B:67.5%KClO3;49%Zr:49.0%MoO3および2.0%ニトロセルロース、および、33.9%Al:55.4%MoO3:8.9%B:1.8ニトロセルロース;26.5%Al:51.5%MoO3:7.8%B:14.2%Vitonを重量パーセントで含む組成物を含む。
【0057】
[0083]他の反応開始組成物を使用することもできる。例えば、衝撃力の添加時に発火することができる反応開始組成物は、塩素酸ナトリウム(NaClO3)、リン(P)および酸化マグネシウム(MgO)の混合物を含む。
【0058】
[0084]反応開始組成物を自己発火温度へ加熱するのに十分なエネルギーを、反応開始組成物に、および/または、反応開始組成物が配置されるサポートに、加えることができる。エネルギー源は、本明細書に開示のいずれのもの、例えば、抵抗加熱、放射加熱、誘導加熱、光学加熱および衝撃加熱であってもよい。反応開始組成物が入射エネルギーを吸収することができる実施形態において、サポートは断熱材料を含むことができる。ある実施形態において、入射エネルギーは、熱伝導サポートへ加えることができ、それは、熱伝導によって反応開始組成物を自己発火温度より上へ加熱することができる。
【0059】
[0085]ある実施形態において、エネルギー源は、電気的に抵抗性の加熱要素であってもよい。電気的に抵抗性の加熱要素は、反応開始組成物の自己発火温度で一体性を維持することができるいずれの材料を含むことができる。ある実施形態において、加熱要素は、タングステン等の元素金属、ニクロム等の合金、または、炭素等の他の材料を含むことができる。抵抗性加熱要素に適切な材料は、当分野において既知である。抵抗性加熱要素は、いずれの適切な形態を有することができる。例えば、抵抗性加熱要素は、ワイヤ、フィラメント、リボンまたは箔の形態であってもよい。ある実施形態において、加熱ユニットの電気抵抗は、2Ω〜4Ωの範囲でありうる。加熱要素の適切な抵抗は、電源の電流、所望の自己発火温度、または、所望の点火時間によって、少なくとも部分的に決定することができる。ある実施形態において、反応開始組成物の自己発火温度は、200℃〜500℃の範囲でありうる。抵抗性加熱要素は、電気的に接続することができ、電源に電気的に接続された2つの電極の間に浮遊することができる。
【0060】
[0086]サポートは、1つ以上の加熱ユニットを備えることができる。
【0061】
[0087]抵抗性加熱要素を備える点火剤の実施形態は、図16に示される。図16に示されるように、抵抗性加熱要素716は、電極714に電気的に接続される。電極714は、電池(図示せず)等の外部電源に電気的に接続することができる。図16に示されるように、電極714は、印刷回路材料等のラミネート材料712に配置される。このような可撓性があるかまたは剛性のラミネートされた回路を製作するこのような材料および方法は、当分野において周知である。ある実施形態において、ラミネート材料712は、反応開始組成物718によって生成される火花を含む発熱反応によって、抵抗性加熱要素716によって達成された温度で、および、固体燃料の燃料中に達成された温度で、劣化しない材料を備えることができる。例えば、ラミネート712は、Kapton(登録商標)、フルオロカーボンラミネート材料またはFR4エポキシ/繊維ガラス印刷回路基板を備えることができる。抵抗性加熱要素716は、ラミネート712の開口713に位置決めされる。開口713は、抵抗性加熱要素716を熱的に孤立させ、熱損失を最小限にし、抵抗性加熱要素によって生成された熱を反応開始組成物へ移すのを容易にし、且つ、反応開始組成物718から排出される火花用の経路を提供し、固体燃料(図示せず)にぶつかることができる。
【0062】
[0088]図16に示されるように、反応開始組成物718は、抵抗性加熱要素716に配置される。
【0063】
[0089]下記の手順を使用して、反応開始組成物を抵抗性加熱要素へ加えた。
【0064】
[0090]0.0008インチ直径のニクロムワイヤが、0.005インチ厚のFR4エポキシ/繊維ガラス印刷回路基板(Onanon)に配置されたCu導体にはんだづけされた。点火剤印刷回路基板の寸法は、1.82インチ×0.25インチであった。導体リード線は、電源へ接続するために印刷回路基板から延在することができる。ある実施形態において、電気リード線は、電気コネクタに接続することができる。
【0065】
[0091]点火剤印刷回路基板は、10分間、純水で超音波で分解することによって(Branson 8510R−MT)洗浄され、乾燥され、アセトンがスプレーされ、空気乾燥された。
【0066】
[0092]反応開始組成物は、0.68グラムのナノ−アルミニウム(40〜70mm直径、Argonide Nanomaterial Technologies、フロリダ州サンフォード)、1.23グラムのナノ−MoO3(EM−NTO−U2;Climax Molybdenum、コロラド州ヘンダーソン)、および、0.2グラムのナノ−ホウ素(33,2445−25G;Aldrich)を含んだ。反応開始組成物を含むスラリーは、8.6mLの4.25%Viton A500(100mLの酢酸アミル(Mallinckrodt)に4.25グラムのViton)溶液を加えることによって、調製された。
【0067】
[0093]1.1uL滴のスラリーが加熱要素に配置され、20分間乾燥され、反応開始組成物を含む別の0.8uL滴のスラリーが、加熱要素の対向する側に配置された。
【0068】
[0094]2つのA76アルカリ電池から1,000μFキャパシタを通してニクロム加熱要素へ3.0Vを加えることによって、1〜50ミリ秒以内に、典型的に1〜6ミリ秒以内に、Al:MoO3:B反応開始組成物を点火した。金属還元剤および金属含有酸化剤を含む固体燃料、例えば、76.16%Zr:19.04%MoO3:4.8%LaoniteRDS(登録商標)を含む燃料等の表面の0.12”インチ内に位置決めされるときには、反応開始組成物によって生成された火花が固体燃料を点火して、自立発熱反応を生成した。ある実施形態において、反応開始組成物を含む1uL滴のスラリーを、抵抗性加熱要素に配置された反応開始組成物に隣接した固体燃料の表面に配置して、固体燃料の点火を容易にすることができる。
【0069】
[0095]Al:MoO3:Bを含む反応開始組成物がニクロムワイヤに接着し、温度循環(−25℃←→40℃)、落下試験および衝撃試験を含む機械的および環境的な試験後に物理的一体性を維持した。
【0070】
[0096]ある実施形態において、図2Dに示されるように、加熱要素は、加熱ユニット内に配置された円筒形ロッドとして図2Dに示される、熱シャント98を含むことができる。ある実施形態において、熱シャントは、粒子状物質として固体燃料の広い空間内に組み込まれることができ、熱シャントは、裏打ち部材を備えることができ、且つ/または、熱シャントは、図示のように、別個の要素であってもよい。熱シャントは、固体燃料に直接接触してもよく、且つ/または、固体燃料に間接接触してもよい。ある実施形態において、熱シャントは、熱シャントを加熱ユニットに組み込むことが、加熱ユニットを形成する基板の外側表面によって達成された最大温度を制御するかまたは低下することができるように、熱を吸収することができる。例えば、ある実施形態において、熱シャントは、固体燃料の発火温度でまたはそれを超えて、位相変化を受けることができる材料を含むことができる。位相変化材料の例として、スズ等の低融点金属、ウッド合金および鉛−スズ合金等の低融点合金、無機塩類およびその混合物が挙げられる。ある実施形態において、熱シャントは、吸収した熱を解放して加熱ユニットの加熱時間を引き延ばすことができる材料を含むことができる。ある実施形態において、熱シャントは、高熱容量を呈する少なくとも1つの材料、例えば、銅、アルミニウム、ステンレス鋼およびガラス等を含むことができる。吸収した熱を解放することができる材料の例として、糖、ワックス、金属塩、および、固体燃料の燃焼中に溶融することができ、次いで加熱ユニットが冷却するときに結晶化を受け、したがって結晶体の発熱を生成することができる他の材料、およびその混合物が挙げられる。熱シャントとして機能することができる他の材料は、多孔性材料および繊維性材料を含み、例えば、多孔性セラミック膜および/または繊維マット等である。このような材料は、高表面積を呈することができ、それは、反応体および反応生成物から材料マトリクスへ熱を移すのを容易にすることができる。ある実施形態において、多孔性材料および/または繊維性材料は、点火および燃焼中に生成された反応体または反応生成物に反応せず、劣化せず、且つ/または、加熱ユニットによって達成された温度でガス状生成物を生成する。ある実施形態において、熱シャント材料は、金属繊維、シリカ繊維、ガラス繊維、グラファイト繊維、および/または、ポリマー繊維等の繊維を含むことができるが、それらに限定されない。
【0071】
[0097]ある実施形態において、図1A〜1Bおよび2A〜2Dに例示され記載された加熱ユニットは、急速加熱が有用である用途に使用することができる。ある実施形態において、基板の一部は3秒未満で最大(ピーク)温度に達することができ、ある実施形態では1秒未満、ある実施形態では500ミリ秒未満、および、ある実施形態では250ミリ秒未満である。
【0072】
[0098]実質的に図2Bに例示されたような加熱ユニットは、固体燃料の点火後に、基板の外側表面の温度を測定するために製作された。図2Bを参照すると、円筒形基板62は、長さおよそ1.5インチであり、開口レセプタクル66の直径は0.6インチであった。重量パーセントで75%Zr:25%MoO3を含む固体燃料80が、裏打ち部材74と基板62の内側表面との間の空間で内側領域に置かれた。重量パーセントで10%Zr:22.5%B:67.5%KClO3の5mgを含む第1の反応開始組成物82が保持部材の窪みに置かれ、重量パーセントで10%Zr:22.5%B:67.5%KClO3の第2の反応開始組成物94の10mgが、加熱ユニット60のテーパ状部分近傍で裏打ち部材74の開口端76に置かれた。2つの1.5V電池からの電気リード線88、90が、0.3アンペアの電流を提供して第1の反応開始組成物82を点火し、したがって、火花を生成して第2の反応開始組成物94を点火した。両方の点火剤は、電流の添加後1ミリ〜20ミリ秒以内に点火された。第2の反応開始組成物94によって生成された火花は、シリンダのテーパ状ノーズ領域64で固体燃料80を点火した。基板62の外側表面に置かれた熱電対を使用して、時間の関数として基板表面温度をモニタした。外側基板表面は、100ミリ秒未満で400℃の最大温度に達した。
【0073】
[0099]固体燃料の点火時に、発熱酸化還元反応は、短時間にかなりの量のエネルギーを生成し、例えば、ある実施形態では1秒未満、ある実施形態では500ミリ秒未満、および、ある実施形態では250ミリ秒未満等である。発熱反応の例として、電気化学反応および金属酸化還元反応が挙げられる。閉鎖加熱ユニットに使用されるときには、反応体の量および反応条件を最小限にすることによって、反応を制御することができるが、結果として、熱の解放が遅くなり、且つ/または、穏やかな温度上昇になることがある。しかし、ある用途では、1秒以内に200℃を超える温度に基板を急速に加熱することが有用でありうる。このような急速で強烈な熱パルスは、医薬組成物を気化させ、エアロゾルを生成するのに有用でありうる。急速で強烈な熱パルスは、発熱酸化還元反応を使用して、特に、金属および金属含有酸化剤を有するテルミット反応を使用して、生成することができる。熱の急速な生成に伴って、高並進エネルギーでガス状生成物および未反応の反応体が急速に生成される。エンクロージャ内に封止されるときには、発熱酸化還元反応は、圧力を大幅に増加することができる。
【0074】
[00100]熱であれ光学的であれ機械的例えば粒子排出であれ化学的であれ、発熱反応によって生成されたエネルギーは、封止されたエンクロージャ内に含まれるときには、大きな圧力を生成することができる。ある実施形態において、発熱酸化還元反応で反応することができる固体燃料を使用して、加熱ユニットを形成することができる。例えば、本明細書に開示されたような固体燃料を使用して、薬剤コーティングを熱的に気化して、医薬用途のために薬剤のエアロゾルを生成することができる。携帯用医療装置等のある用途において、花火材料、および、発熱反応およびエンクロージャ内の高温度から生じる他の化学反応の生成物を含むことが、有用でありうる。発熱反応を含むことは、エンクロージャを適切に封止することによって達成され、固体燃料および存在する場合には反応開始組成物の燃焼から生じる内部圧力に耐えることができるが、加熱要素の安全性を確実にし装置製作を容易にするために内部圧力を最小限にすることが有用でありうる。
【0075】
[00101]ある実施形態において、基板内の圧力は、反応開始組成物および固体燃料の点火および燃焼中におよびその後に、増加することができる。圧力の増加は、少なくとも部分的には、固体燃料の量および組成、燃料構成要素の相対量、固体燃料の圧縮の密度および/または程度、燃料構成要素の粒子サイズ、基板の構成、反応開始剤の量、および/または、反応開始剤の組成に依存することができる。ある実施形態において、固体燃料、反応開始組成物および基板の構成は、圧力の増加を制御し且つ有用な操作範囲内に最大圧力を維持するように選択することができる。反応開始組成物および固体燃料は、点火および燃焼中に、気相反応生成物を生成することができる。したがって、ある実施形態において、基板内の圧力は、加熱ユニット内に配置された反応開始組成物および固体燃料の量を最小限にすることによって、管理することができる。当業者は、固体燃料を確実に点火するために必要な反応開始組成物の最小量を実験で決定することができる。当業者はまた、有用な基板温度を達成するために加熱ユニット内の固体燃料の特性、構成および配置を決定することもできる。
【0076】
[00102]ある実施形態において、加熱ユニットの内部圧力は、高温で最小気体生成物を生成する材料から、基板、裏打ちおよび他のいずれの内部構成要素を作ることによって、管理するか減少することができる。ある実施形態において、圧力は、反応開始剤および固体燃料が燃焼されるときに、気体が収集され且つ/または放出される内部容量を提供することによって、管理するか減少することができる。ある実施形態において、内部容量は、高表面積および大間隙容量を有する多孔性材料または繊維性材料を含むことができる。間隙容量は、反応開始剤および固体燃料の反応の結果として生成された気体を含むことができ、それによって、エンクロージャ内の圧力を減少することができ、反応体および反応生成物が多孔性材料または繊維性材料のマトリクスと衝突することによって、内部エネルギーおよび並進エネルギーを効率的に移すことができる。
【0077】
[00103]反応開始組成物および固体燃料の燃焼中およびその後の加熱ユニットの内部圧力は、上記に検討されたパラメータに依存して、変動することができる。加熱ユニットのある実施形態の内部圧力は、図3に例示された固定具を使用して測定された。図3に示されるように、加熱ユニット300は、閉鎖ノーズ部分304および開口受取端306を有する実質的に円筒形に形状づけられた基板302を備える。裏打ち部材308は、基板302の内側領域に配置される。裏打ち部材308は、形状は円筒形であるが、基板302よりも全体的に小さな寸法である。テーパ状のノーズ部分310は、裏打ち部材308に開口312を画成する。裏打ち部材308のテーパ状のノーズ部分310から対向する端314は、開口している。基板302の内側表面および裏打ち部材308の外側表面は、環状シェルまたはギャップを画成し、その中に固体燃料316を配置することができる。プラグ320は、基板302の開口受取端306内に挿入されるようにサイズづけられ、Oリング322によって確実に封止される。加熱ユニット300内に配置された反応開始組成物(図示せず)に接触した電極324は、加熱ユニット300外部の電源(図示せず)へ電気接続するためにプラグ320を通して延在する。加熱ユニット300内で線328を経由して定常状態圧力を測定するための圧力変換器326が、プラグ320に装着されることができる。線332を経由して加熱ユニット300内の圧力をモニタするために、動的圧力変換器330を設けることができる。
【0078】
[00104]図3に例示されたように、2つの圧力変換器を装備した加熱ユニットを使用して、図2に示された種類の加熱ユニット内の動的圧力および定常状態圧力を同時に測定した。動的圧力測定のために、ラインパワーICPシグナルコンディショナ(PCB、モデル484B06)が組み合わされた高周波衝撃波/ブラストICP圧力センサ(PCB、モデル113A24、最大圧力=1,000psig)が、使用された。定常状態圧力測定用に、超小型ミリボルト出力型圧力変換器(Omega Engineering、モデルPX600−500GV、最大圧力=500psig)およびアナログ出力付高性能歪みゲージインジケータ(PCB、DP41−S−A)が、使用された。圧力変換器によって生成された信号は、2つのオシロスコープを使用して、記録され格納された。加熱ユニットの性能における圧力測定の影響を最小限にするために、線328および332の容量は、加熱ユニットの合計未充填内部容量の2%を超えないように設計された。測定された内部圧力は、100psi〜300psigの範囲であり、主に固体燃料の組成に依存した。内部圧力に対する反応開始組成物の寄与は、最大100psigであった。
【0079】
[00105]金属還元剤および金属含有酸化剤を含む固体燃料の薄いフィルム層の点火後の、図10に示されるような種類の封止された加熱ユニット内のピーク内部圧力の測定は、図17に示される。図17に示された結果を生成するのに使用された実験的な配列は、実施例2に記載される。図17は、ある実施形態用に、加熱ユニット内のピーク圧力が10psi〜40psigの範囲であってもよく、基板の外側表面のピーク温度に相関することができることを示す。また、図17に示されるように、加熱ユニット内のピーク圧力、および基板表面のピーク温度は、加熱ユニット測定のある実施形態では、固体燃料の組成、および箔基板の厚さに依存する。
【0080】
[00106]加熱ユニット内の内部圧力はまた、気相反応生成物を吸収するか吸着するかまたはそれに反応することができる材料を組み込むことによって、管理するかまたは減少することもできる。材料の表面は、内在的に、気体状生成物を吸収するか吸着するかまたはそれに反応することができてもよく、または、例えば、要素、化合物および/または組成物を塗布するかまたは塗装することができる。ある実施形態において、固体燃料の燃焼から生じる圧力の即座の噴出は、衝撃吸収材料および/またはコーティングを加熱ユニット内に位置づけることによって減少することができる。衝撃吸収材料を備える加熱ユニットの実施形態は、図13に概略的に例示される。
【0081】
[00107]図13A〜Cは、熱伝導基板210、例えば、固体燃料212のコーティングが配置される金属箔を示す。固体燃料212は、酸化還元反応を形成することができる金属還元剤および金属含有酸化剤を含むことができ、例えば本明細書に開示されたいずれのもの等であるが、それらに限定されない。図13A〜Cにおいて、熱伝導基板210は、封止剤220を使用してエンクロージャ218に封止され、加熱ユニットを形成する。封止剤220は、接着剤であっても封止を形成する他のいずれの方法であってもよく、例えば、溶接、はんだづけ、締結またはクリンプである。衝撃吸収材料214は、エンクロージャ218の内側表面と基板210の内側表面と固体燃料212との間に配置される。図13A〜Cに示されるように、衝撃吸収材料は、加熱ユニットの内側表面によって画成された内部容量を充填する。ある実施形態において、衝撃吸収材料は、加熱ユニット(図示せず)の内側表面によって画成された内部容量の一部を充填することができる。衝撃吸収材料の厚さ、例えば、固体燃料212の内側表面とエンクロージャ218の内側表面との間の寸法は、固体燃料212の燃焼から生じる初期圧力衝撃を適切なレベルへ減じるいずれの適切な厚さでありうる。適切な厚さは、少なくとも部分的に、固体燃料の量、固体燃料の組成、および/または、衝撃吸収材料の物理的な特性、例えば、多孔率、密度および組成、および、エンクロージャ内の組成および最大容認圧力で変動しうる。一定の厚さより上で、追加の衝撃吸収材料が加熱ユニット内でピーク圧力を減じることに限定された効果を有することができることが認識される。衝撃吸収材料は、1つ以上の材料、および、衝撃吸収材料の1つ以上の層を備えることができる。衝撃吸収材料の複数の層が使用されるある実施形態において、各層は、同一のまたは異なる材料を備えることができる。図13Cにおいて、要素216は、衝撃吸収材料214にオーバーレイする。要素216は、同一のまたは異なる材料であってもよく、ある実施形態では、ゲッターを含むことができる。図13Bは、基板210と、固体燃料212の層と、衝撃吸収材料214で充填された中心領域と、を備える円筒形加熱ユニットの断面図を例示する。
【0082】
[00108]ある実施形態において、衝撃吸収材料は、固体燃料および存在する場合には反応開始組成物の燃焼中に生成された反応体および反応生成物の熱エネルギーおよび並進エネルギーを吸収することができる材料を含むことができる。ある実施形態において、例えば本明細書に開示された反応開始組成物のいずれを備える反応開始組成物が、封止された加熱ユニット内に組み込まれて、固体燃料の自立発熱反応を開始することができる。衝撃吸収材料は、熱的および並進的な熱分子の圧力衝撃を吸収するために高い表面積を呈することができ、それは、固体燃料の燃焼中およびその後に加熱ユニット内で到達した温度で反応しない。このような材料の例として、多孔性材料例えばセラミック膜、および、繊維性材料例えば繊維マットが挙げられる。燃焼している固体燃料から物理的に且つ/または熱的に排出された熱分子は、多孔性または繊維性のマトリクスによって画成された隙間空間を通って進むことができ、大きな表面積にアクセスし、それは、衝突時に、熱エネルギーおよび並進エネルギーを衝撃吸収材料のマトリクスへ移すのを容易にすることができ、それによって、加熱ユニット内のピーク圧力を減少する。
【0083】
[00109]多孔性膜の例として、セラミック膜、フルオロカーボン膜、アルミナ膜、ポリマー膜、および、焼結金属粉末から形成された膜が挙げられるが、それらに限定されない。繊維性材料の例として、ガラス、シリカ、炭素、グラファイト、金属、および、高温抵抗ポリマーが挙げられるが、それらに限定されない。スポンジ材料を使用することもできる。衝撃吸収材料の多孔率および密度は、適切な量によってピーク圧力を減少するように選択することができる。所与の量の固体燃料、固体燃料の組成および加熱ユニット寸法用に、衝撃吸収材料の適切な多孔率および密度を、経験によって決定することができる。ある実施形態では、衝撃吸収材料の内部、または、異なる多孔率および/または組成を備えた衝撃吸収材料の1つ以上の追加層に、熱的および並進的な熱分子が入るのを容易にするほど十分に大きな孔を有し、熱分子から衝撃吸収材料へエネルギーが移るのを容易にすることが有用でありうる。
【0084】
[00110]加熱ユニットの内部圧力にガラスファイバマットを組み込む効果は、図14に示される。ガラスファイバマットは、0.004インチ厚のステンレス鋼箔に配置された80%Zr:20%MoO3の177mgの平均質量を有する固体燃料のコーティング上に置かれ、エンクロージャ内の圧力は、固体燃料の点火後に測定された。各ガラスファイバマットは、0.040インチ厚であった。図14に示されるように、ガラスファイバマットは、加熱ユニットのピーク内部圧力を大幅に減少した。単一のマットが使用されたときには、封止されたエンクロージャ内の最大圧力は22psigであり、2枚のマットが使用されたときには最大圧力は13psig、5枚のマットが使用されたときにはピーク圧力は9psigであった。
【0085】
[00111]加熱ユニット内の温度を減少するガラスファイバマットの能力は、図15に示される。図14に記載されたのと同一の実験的な配列が使用された。固体燃料と第1のマットとの間で測定されたピーク温度は、約515℃および325℃であり、第1のマットと第2のマットとの間では約200℃および180℃であり、第2のマットと第3のマットとの間では100℃未満であり、したがって、反応体および反応生成物の内部エネルギーおよび並進エネルギーは、衝撃吸収材料へ移されることを例証した。
【0086】
[00112]図14に示された結果によって例証されたように、加熱ユニットの残留圧力、例えば固体燃料点火後10秒以上の圧力は、衝撃吸収材料の存在に対して感度が悪かった。理論に限定されることなく、残留圧力は、固体燃料の燃焼中に展開され且つ/または生成された気体の結果でありうる。可能な気体源は、金属還元剤に結合された水素、および、酸化反応中に生成された未反応酸素、および、未反応気体状中間体を含む。例えば、金属含有酸化剤によって生成された酸素は、金属還元剤と即座に反応しなくてもよいが、数種類の気体状反応中間体を通して進むことができる。
【0087】
[00113]ある実施形態において、加熱ユニット内の残留圧力は、残留気体状反応生成物を得ることができる材料を含むことによって減少することができる。このような材料は、衝撃吸収材料とともに含まれることができ、衝撃吸収材料に固有であってもよく、且つ/または、コーティング、気相堆積、層等として衝撃吸収材料へ加えることができる。ある実施形態において、ゲッターは、加熱ユニット内に配置されたサポートに且つ/または加熱ユニットの1つ以上の内側表面に、塗布されるかまたは配置されることができる。
【0088】
[00114]ゲッターは、気体を吸収するか吸着するかまたはそれに反応することができる材料であり、これを使用して、真空を改良し且つ/または維持し、且つ/または、気体を浄化することができる。吸収は、一方の材料が他方の材料によって保持されるプロセスを意味し、例えば、物理的な力によって気体または蒸気の分子を固体燃料へ接着することを意味する。吸着は、凝縮相と気相または液相とのインタフェースで、溶解した物質の濃度が増すことを意味する。ゲッターは、例えば、高真空システムで残留気体を減少するために半導体業界で使用される。ある実施形態において、水素ガスH2および分子酸素O2を除去することができるゲッターは、金属および非金属、例えば、Ta、Zr、Tb、Ti、Al、Mg、Ba、FeおよびP等を含む組成物を含むが、それらに限定されない。H2ガスを除去するのに有用なゲッターの例として、焼結されたZr/グラファイト粉末、Zr/Al組成物、Zr/V/Fe、ポリマー結合ゲッター例えばポリマーマトリクスに分散したPdO/ゼオライト、および、ポリジエン水素化触媒組成物が挙げられるが、それらに限定されない。鉄系およびポリマーのゲッターは、O2を吸収するように開発されている。炭素および/またはグラファイト系の材料を使用して、H2およびO2を吸収し且つ/または吸着する。ある実施形態において、ゲッターは、発熱酸化還元反応の揮発性中間体生成物または未反応の反応体、例えば、MoOx、CO、CO2およびN2を吸収し吸着し且つ/またはそれに反応することもできる。
【0089】
[00115]ゲッターは、いずれの適切な方法によって基板へ加えることができる。ある実施形態において、大きな表面積のゲッターを提供して、残留気体圧力を急速に効率的に減少することが有用でありうる。これは、例えば、多孔性材料例えば焼結粉末、または、繊維性材料から形成されたゲッターを提供することによって達成することができる。ある実施形態において、ゲッターは、多孔性材料または繊維性材料の表面に加えることができる。
【0090】
[00116]加熱ユニットのある実施形態を使用して、点火後の固体燃料の燃焼伝播速度を試験した。燃焼伝播速度は、燃焼最前部の速度を意味し、それは、未燃焼の固体燃料領域と燃焼した固体燃料領域とを分離する。ある実施形態において、燃焼伝播速度は、固体燃料組成物、固体燃料の構成要素の粒子サイズ、固体燃料の密度または圧縮のレベル、固体燃料の形状および寸法、加熱ユニットを形成する材料、および/または、裏打ち部材等のいずれの内部構成要素によって、少なくとも部分的に決定することができる。円筒形に形状づけられた加熱ユニットの燃焼伝播速度の時間的特性および空間的特性は、赤外線熱イメージングカメラ(FLIR Systems、Thermacam SC3000)を使用して加熱ユニットの表面温度をモニタすることによって、評価された。
【0091】
[00117]赤外線熱イメージングによって時間の関数としてミリ秒で測定された円筒形に形状づけられた加熱ユニットの熱画像が、図4A〜4Fに示される。熱画像を生成するのに使用される加熱ユニットの構造は、実施例3に提供される。基板は直径1.5cm、長さ4.5cmであった。図4A〜4Fには、各パネルに2つの画像が示される。両方の画像において、色の白い領域は500℃の表面温度に対応し、黒い領域は250℃の表面温度に対応する。上の画像は、加熱ユニットの正面図に対応し、下の画像は、加熱ユニットの背面図に対応し、これは、ユニット背部に装着された鏡の反射から得られた。図4Aは、点火された固体燃料の自己伝播波の、点火後100ミリ秒の程度を示す。図4B〜4Eは、それぞれ、点火後200、300、400および500ミリ秒で取られ、点火された燃料の波が加熱ユニットの軸方向に沿って伝播し続けるのを示す。図4Fに示される画像は、点火後600ミリ秒で取られ、そのときには、基板の表面全体が加熱され、固体燃料が消費されたことを示す。様々な固体燃料組成物および加熱ユニット構成を使用してこの研究および他の研究から集められたデータは、燃焼伝播速度が1.5cm/秒〜50cm/秒の範囲でありうることを例証した。したがって、ある実施形態において、加熱ユニットを形成する基板へ熱が移される速度は、ある用途に有用であるように調整することができる。
【0092】
[00118]他の研究において、実施例4Aおよび4Bに記載されたように加熱ユニットが製作され、表面温度の均一性は、赤外線熱イメージングによって評価された。これらの研究用に準備された加熱ユニットは、固体燃料を形成するのに使用される金属および酸化剤の質量比でのみ、燃焼伝播速度の調査に使用されたものとは異なった。固体燃料の点火後400ミリ秒に取られた熱画像は、図5A、5Bに示される。図5Aに示された画像は、実施例4Aに記載された固体燃料組成物を備える加熱ユニットに対応し、図5Bの画像は、実施例4Bに記載された固体燃料組成物を備える加熱ユニットに対応する。加熱された領域の寸法は、1.5cm×4.5cmであった。図5B示された画像を生成するために使用された加熱ユニットの外側基板表面は、図5Aに示された加熱ユニットのものよりも、より均一である。ある実施形態において、基板表面温度は、軸方向炎伝播用に設計された加熱ユニットで、より均一でありうる。ある実施形態において、わずか10%の外側表面が、外側表面の残りの90%の平均温度よりも低い50℃〜100℃の温度を呈するならば、基板表面温度は均一に加熱されるとみなされる。
【0093】
[00119]ある実施形態において、基板の外側表面の少なくとも一部が均一な温度に加熱され且つ加熱される部分は類似速度で加熱されることが有用でありうる。基板の少なくとも一部の均一な加熱は、加熱されるべき基板の熱質量を減じることによって、且つ/または、固体燃料が生成する熱の量を制御することによって、容易にすることができる。基板の外側表面の均一な加熱は、短い時間内に外側基板表面に配置された化合物を気化するのに有用であり、高い収率および純度を有する気化化合物を含むエアロゾルを形成することができる。例として、1.3インチ×1.3インチ基板領域の均一な加熱は、0.00163±0.000368インチ厚層の固体燃料を0.004インチ厚の箔に加えることによって、達成することができる。点火時に、0.18gの固体燃料が加えられる表面に対向する箔の表面は、点火後250ミリ秒で1.3インチ×1.3インチの領域にわたって440℃の最大温度に達することができる。当業者に認識されるように、選択される燃料厚さは、燃料組成、燃料厚さ、および、所望の温度に依存する。
【0094】
[00120]実施例5〜7は、燃焼中の圧力、燃焼伝播速度、および、基板温度均一性のために準備され評価される加熱ユニットを提供する。実施例5に記載された加熱ユニットは、Zr、MoO3、KClO3、ニトロセルロースおよび珪藻土の固体燃料組成物から構成された。固体燃料を加熱ユニットの先端(図3の開口312)から遠隔点火した後に、内部圧力は、0.3秒の燃焼期間中に150psigへ増大した。燃焼後1分で、残留圧力は60psig以下であった。燃焼伝播速度は、赤外線熱イメージングによって13cm/秒であると測定された。表面温度均一性に関して、明らかなコールドスポットは観察されなかった(コールドスポットは、実施例5〜7の目的のために、外側表面の残りの90%の平均温度未満のよりも低い50℃〜100℃の温度を呈する表面の一部として規定される)。
【0095】
[00121]実施例6に記載されたように準備された加熱ユニットは、Zr、MoO3およびニトロセルロースから構成される固体燃料組成を含んだ。基板と裏打ち部材との間のギャップまたは環状シェルは、0.020インチであった。裏打ち部材の外側表面は、燃焼伝播速度を上げるために、反応開始組成物が塗布された。固体燃料は、加熱ユニットの先端(図3の開口312)から遠隔式に点火された。内部圧力は、0.25秒の反応期間中に200psigへ増大し、残留圧力は60psig以下であった。燃焼伝播速度は、15cm/秒であった。表面温度均一性に関して、明らかなコールドスポットは観察されなかった。
【0096】
[00122]実施例7に記載されたように準備された加熱ユニットは、Al、MoO3およびニトロセルロースの固体燃料組成を含んだ。固体燃料は、基板と裏打ち部材との間の0.020インチ環状シェルギャップに置かれた。固体燃料は、プラグ近傍で直接点火された。内部圧力は、5ミリ秒未満の反応期間中に300psigへ増大した。残留圧力は60psig以下であった。基板の外側表面は均一に加熱され、外側表面の5%〜10%の間で、残りの外側表面のものよりも低い50℃〜100℃の温度を呈した。
【0097】
薬剤供給ユニット
[00123]ある実施形態は、本明細書に記載されたような加熱ユニットを備える薬剤供給ユニットを含む。薬剤供給ユニットは薬剤運搬装置に使用することができ、そこで薬剤は、熱的に気化され次いでユーザに投与するために凝縮されるものとする。ある実施形態において、薬剤凝縮物は、吸入または鼻摂取によってまたは局所的に投与することができる。薬剤は、治療剤および治療物質を含む治療用使用または非治療用使用のためのいずれの化合物を意味する。治療剤は、疾病の診断、養生、鎮静、治療または予防に使用されるいずれの化合物、または、疾病の症状の鎮静または治療に使用されるいずれの化合物を意味する。一方、物質は、非治療用使用に、典型的に娯楽目的または実験目的に、使用される化合物を意味する。
【0098】
[00124]図6A〜6Cは、図2Bに記載されたものに類似した加熱ユニットを備える薬剤供給ユニット100の断面図を概略的に例示する。より具体的には、図6A〜6Cは、外側基板表面に配置された薬剤のフィルム(図6A)、加熱ユニットの点火(図6B)、および、薬剤フィルムを気化するのに効果的な熱の波の生成(図6C)を有する薬剤供給ユニット100を例示する。最初に図6Aを参照すると、薬剤供給ユニット100は、図2Bに記載されたものに類似した加熱ユニット102を備える。図6A、6Bにおいて、実質的に円筒形に形状づけられた熱伝導基板104は、外側表面106と内側表面108とを有し、これらは、内側領域112を画成する。薬剤のフィルム110は、外側表面106のすべてまたは一部に配置することができる。
【0099】
[00125]ある実施形態において、フィルム110は、いずれの適切な方法によって外側基板表面106に加えることができ、少なくとも部分的に、薬剤の物理的特性およびフィルムの最終厚さに依存することができる。ある実施形態において、外側基板表面へ薬剤を加える方法として、ブラッシング、浸漬コーティング、スプレーコーティング、スクリーン印刷、ローラーコーティング、インクジェット印刷、気相堆積、スピンコーティング等が挙げられるが、それらに限定されない。ある実施形態において、薬剤は、少なくとも1つの溶剤を含む溶液として調製されることができ、外側表面へ加えられる。ある実施形態において、溶剤は、揮発性溶剤、例えば、アセトンまたはイソプロパノールを含むことができるが、それらに限定されない。ある実施形態において、薬剤は、溶融体として基板の外側表面へ加えることができる。ある実施形態において、薬剤は、剥離コーティングを有するサポートへ加えることができ、サポートから基板へ移すことができる。室温で液体である薬剤には、増粘剤を薬剤に混合することができ、本明細書に記載のものを含むいずれの適切な方法によって外側基板表面へ加えることができる薬剤を含む粘性組成物を生成する。ある実施形態において、化合物のフィルムは、単回添加中に形成されることができるか、または、繰り返し添加中に形成されることができ、フィルムの最終厚さを増加する。ある実施形態において、外側基板表面に配置された薬剤のフィルムの最終厚さは、50μm未満であってもよく、ある実施形態では20μm未満、ある実施形態では10μm未満であり、ある実施形態では、フィルム厚さは、0.02μm〜20μmの範囲であってもよく、ある実施形態では0.01μm〜10μmの範囲であってもよい。
【0100】
[00126]ある実施形態において、フィルムは、少なくとも1つの薬剤の治療に効果的な量を含むことができる。治療に効果的な量は、治療が必要な患者またはユーザに投与されるときに治療に影響を与える十分な量を意味する。いずれの疾病、状態または障害の処置または治療は、疾病、状態または障害の進行を止めるかまたは改善するか、疾病、状態または障害を獲得するリスクを減少するか、疾病、状態または障害かまたは疾病、状態または障害の少なくとも1つの臨床的症状の発現を減少するか、疾病、状態または障害かまたは疾病または障害の少なくとも1つの臨床的症状の発現のリスクを減少することを意味する。処置または治療はまた、物理的に例えば識別できる症状の安定化か、または、生理的に例えば物理的パラメータの安定化か、またはその両方かで、疾病、状態または障害を抑制するか、または、患者に識別可能でなくてもよい少なくとも1つの物理的パラメータを抑制することを意味する。さらに、処置または治療は、たとえその患者が疾病、状態または障害の症状を経験していなくとも、またそれらが現れていなくても、疾病、状態または障害にさらされるかまたはかかりやすくなることがある患者における疾病、状態または障害かまたはその少なくとも1つの症状の開始を遅らせることを意味する。ある実施形態において、薬剤フィルムは、1つ以上の医学的に許容されるキャリア、アジュバントおよび/または賦形剤を含むことができる。医薬的に許容されるとは、動物およびより詳細には人間に使用するために、連邦または州政府の規制当局によって承認されたかまたは承認可能であるか、または、米国薬局方または他の一般に認められた薬局方にリストされたことを意味する。
【0101】
[00127]図6A〜6Cに示されるように、薬剤供給ユニット100の基板104は、固体燃料114を配置することができる内側領域112を画成することができる。図示のように、固体燃料114は、内側基板表面108および内側の円筒形裏打ち部材118によって画成される環状シェルとして配置することができる。第1の反応開始組成物120は、円筒形裏打ち部材118の一方の端に位置することができ、第2の反応開始組成物122は、円筒形裏打ち部材118の対向する端に位置することができる。第1の反応開始組成物120は、電源(図示せず)への電気リード線124、126を経由して電気的に抵抗性の加熱要素に物理的に接触することができる。
【0102】
[00128]図6Bに示されるように、電源(図示せず)によって提供される電流をリード線124、126へ加えることは、反応開始組成物120に火花、例えば火花128、130を生成させることができ、これを第2の反応開始組成物122へ向けて方向づけることができる。第2の反応開始組成物122の点火は、矢印132、134によって示される領域で固体燃料114を点火することができる。矢印132、134によって示される領域で固体燃料114を点火することは、図6Cに概略的に例示されるように、燃焼している固体燃料の自己伝播波を達成する。図6Cでは、自己伝播燃焼は矢印136、138、140、142によって示され、固体燃料燃焼は点火の点から固体燃料を通って伝播する。固体燃料が燃焼するときには、熱を生成することができ、それは、基板104を通って伝導され、外側基板表面106に配置された薬剤フィルム110の気化を生じさせる。図6Cにおいて、熱的に気化した薬剤は、薬剤144の「クラウド」として例示される。ある実施形態において、図6Cに例示されるように、薬剤の気化は、矢印136、138、140、142の方向に発生し、そこで、固体燃料の点火点に最も近いフィルムが最初に気化し、薬剤供給ユニット100の長さ方向に沿った領域の気化が続く。図6Cに示されるように、熱的に気化した薬剤144は、薬剤供給ユニット100のテーパ状領域に例示され、外側表面106からまだ気化していない薬剤フィルムは、点110に例示される。
【0103】
[00129]図7A〜7Eは、図6A〜6Cに記載されたものに類似した薬剤供給ユニットから蒸気を熱生成するのを示す高速写真を表す。図7Aは、治療剤アルプラゾラムの3〜5μm厚のフィルムが塗布された長さ4cmの熱伝導基板を示す。薬剤が塗布された基板がチャンバに置かれ、それを通って空気のストリームが、15L/分の速度で、図7Aでは、矢印によって示される上流から下流の方向に流れていた。加熱ユニットに含まれる固体燃料が点火されて、基板を加熱した。薬剤供給ユニットの外側表面から薬剤気化が進行することは、リアルタイム写真撮影を使用してモニタされた。図7B〜7Eは、それぞれ、反応開始組成物の点火後150ミリ秒、250ミリ秒、500ミリ秒および1,000ミリ秒の時間間隔で熱蒸発の連続を示す。薬剤フィルムから形成された熱蒸気のクラウドは、写真では目に見える。薬剤フィルムの完全な気化は、1,000ミリ秒未満で達成された。
【0104】
[00130]薬剤供給ユニットは、ある実施形態では固体燃料の点火後少なくとも3秒以内に、他の実施形態では固体燃料の点火後1秒以内に、他の実施形態では固体燃料の点火後800ミリ秒以内に、他の実施形態では固体燃料の点火後500ミリ秒以内に、他の実施形態では固体燃料の点火後250ミリ秒以内に、固体燃料が、薬剤を熱的に気化するのに十分な温度へ基板の外側表面の一部を加熱するように、構成される。
【0105】
[00131]ある実施形態において、薬剤供給ユニットは、ユーザが直接吸入することができ、且つ/または、運搬媒体例えば気体と混合することができ、例えばスプレーノズルを経由して、皮膚状態の急性または慢性の治療、手術中の切開部位または開放創への薬剤の投与を含む様々な治療計画のために局所部位へ運搬するためのストリームを生成する薬剤を含むエアロゾルを生成することができる。
【0106】
[00132]ある実施形態において、薬剤フィルムの急速な気化は、薬剤の最小熱分解で発生することができる。例えば、ある実施形態において、10%未満の薬剤が熱気化中に分解され、ある実施形態では、5%未満の薬剤が熱気化中に分解される。ある実施形態において、薬剤は、液相へ次いで気相への相転移を受けることができるか、または、昇華することができ、すなわち、固体状態から気体状態へ直接進むことができる。ある実施形態において、薬剤は、医薬化合物を含むことができる。ある実施形態において、薬剤は、治療化合物または非治療化合物を含むことができる。非治療化合物は、娯楽、実験または臨床前目的に使用することができる化合物を意味する。使用することができる薬剤のクラスとして、麻酔薬、抗痙攣薬、抗鬱薬、抗糖尿病薬、解毒剤、制吐剤、抗ヒスタミン剤、抗感染薬、抗腫瘍薬、抗パーキンソン薬、抗リウマチ薬、抗精神病薬、抗不安薬、食欲刺激薬および食欲抑制薬、血液変異剤、心血管作動薬、中枢神経興奮薬、アルツハイマー病管理用薬剤、嚢胞性線維症管理、診断、食餌補助用の薬剤、勃起障害用薬剤、胃腸薬、ホルモン、アルコール中毒症治療用薬剤、依存症治療用薬剤、免疫抑制薬、肥満細胞安定剤、片頭痛製剤、乗り物酔い製品、多発性硬化症管理用薬剤、筋肉弛緩剤、非ステロイド系抗炎症薬、オピオイド、他の鎮痛薬および興奮剤、点眼薬、骨粗鬆症製剤、プロスタグランジン、呼吸薬、鎮静剤および睡眠薬、皮膚および粘膜薬、禁煙補助、トゥーレット症候群薬、尿路薬、および、目眩薬が挙げられるが、それらに限定されない。
【0107】
[00133]麻酔薬の例として、ケタミンおよびリドカインが挙げられる。
【0108】
[00134]抗痙攣薬の例は、下記クラスの1つからの化合物を含む。すなわち、γアミノ酪酸類似体、チアガビン、ビガバトリン、バルビツール酸塩例えばペントバルビタール、ベンゾジアゼピン例えばクロナゼパム、ヒダントイン例えばフェニトイン、フェニルトリアジン例えばラモトリジン、その他の抗痙攣薬例えばカルバマゼピン、トピラメート、バルプロ酸およびゾニサミドである。
【0109】
[00135]抗鬱薬の例として、アミトリプチリン、アモキサピン、ベンモキシン、ブトリプチリン、クロミプラミン、デシプラミン、ドスレピン、ドクサピン、イミプラミン、キタンセリン(kitanserin)、ロフェプラミン、メジホキサミン、ミアンセリン、マプロトリン(maprotoline)、ミルタザピン、ノルトリプチリン、プロトリプチリン、トリミプラミン、ベンラファクシン、ヴィロキサジン、シタロプラム、コチニン、デュロキセチン、フルオキセチン、フルボキサミン、ミルナシプラン、ニソキセチン、パロキセチン、レボキセチン、セルトラリン、ティアネプチン、アセタフェナジン(acetaphenazine)、ビネダリン、ブロファロミン、セリクラミン、クロボキサミン、イプロニアジド、イソカルボキサジド、モクロベミド、フェニルヒドラジン、フェネルジン、セレギリン、シブトラミン、トラニルシプロミン、アデメチオニン(ademetionine)、アドラフィニル、アメセルギド(amesergide)、アミスルプリド、アンペロジド、ベナクチジン、ブプロピオン、カロキサゾン(caroxazone)、ジェピロン、イダゾキサン、メトラリンドール、ミルナシプラン、ミナプリン、ネファゾドン、ノミフェンシン、リタンセリン、ロキシンドール、S−アデノシルメチオニン、エスシタロプラム、トフェナシン、トラゾドン、トリプトファンおよびザロスピロンが挙げられる。
【0110】
[00136]抗糖尿病薬の例として、ピオグリタゾン、ロシグリタゾンおよびトログリタゾンが挙げられる。
【0111】
[00137]解毒剤の例として、塩化エドロホニウム、フルマゼニル、デフェロキサミン、ナルメフェン、ナロキソンおよびナルトレキソンが挙げられる。
【0112】
[00138]制吐剤の例として、アリザプリド、アザセトロン、ベンズキナミド、ブロモプリド、ブクリジン、クロルプロマジン、シンナリジン、クレボプリド、シクリジン、ジフェンヒドラミン、ジフェニドール、ドラセトロン、ドロペリドール、グラニセトロン、ヒヨスチン、ロラゼパム、ドロナビノール、メトクロプラミド、メトピマジン、オンダンセトロン、ペルフェナジン、プロメタジン、プロクロルペラジン、スコポラミン、トリエチルペラジン、トリフルオプロマジン、トリメトベンズアミド、トロピセトロン、ドンペリドンおよびパロノセトロンが挙げられる。
【0113】
[00139]抗ヒスタミン剤の例として、アステミゾール、アザタジン、ブロムフェニラミン、カルビノキサミン、セチリジン、クロルフェニラミン、シンナリジン、クレマスチン、シプロヘプタジン、デクスメデトミジン、ジフェンヒドラミン、ドキシラミン、フェキソフェナジン、ヒドロキシジン、ロラタジン、プロメタジン、ピリラミンおよびテルフェナジンが挙げられる。
【0114】
[00140]抗感染薬の例は、下記クラスの1つから選択された化合物を含む。すなわち、抗ウイルス薬例えばエファビレンツ;AIDS補助薬例えばダプソン;アミノグリコシド例えばトブラマイシン;抗真菌剤例えばフルコナゾール;抗マラリア薬例えばキニーネ;抗結核薬例えばエタンブトール;β−ラクタム例えばセフメタゾール、セファゾリン、セファレキシン、セフォペラゾン、セフォキシチン、セファセトリル、セファログリシン、セファロリジン、セファロスポリン例えばセファロスポリンC、セファロチン;セファマイシン例えばセファマイシンA、セファマイシンBおよびセファマイシンC、セファピリン、セフラジン;レプロスタティクス(leprostatics)例えばクロファジミン;ペニシリン例えばアンピシリン、アモキシシリン、ヘタシリン、カルフェシリン、カリンダシリン、カルベニシリン、アミルペニシリン、アジドシリン(azidocillin)、ベンジルペニシリン、クロメトシリン、クロキサシリン、シクラシリン、メチシリン、ナフシリン、2−ペンテニルペニシリン、ペニシリンN、ペニシリンO、ペニシリンS、ペニシリンV、ジクロキサシリン;ジフェニシリン;ヘプチルペニシリン(heptylpenicillin);および、メタンピシリン;キノロン例えばシプロフロキサシン、クリナフロキサシン、ジフロキサシン、グレパフロキサシン、ノルフロキサシン、オフロキサシン、テマフロキサシン;テトラサイクリン例えばドキシサイクリンおよびオキシテトラサイクリン;その他の抗感染薬例えばリネゾリドおよびスルファメトキサゾールである。
【0115】
[00141]抗腫瘍薬の例として、ドロロキシフェン、タモキシフェンおよびトレミフェンが挙げられる。
【0116】
[00142]抗パーキンソン薬の例として、アマンタジン、バクロフェン、ビペリデン、ベンズトロピン、オルフェナドリン、プロシクリジン、トリヘキシフェニジル、レボドパ、カルビドパ、アンドロピニロル(andropinirole)、アポモルヒネ、ベンセラジド、ブロモクリプチン、ブジピン、カベルゴリン、エリプロディル、エプタスチグミン、エルゴリン、ガランタミン、ラザベミド、リスリド、マジンドール、メマンチン、モフェギリン、ペルゴリド、ピリベジル、プラミペキソール、プロペントフィリン、ラサギリン、レマセミド、ロピニロール、セレギリン、スフェラミン、テルグリド、エンタカポンおよびトルカポンが挙げられる。
【0117】
[00143]抗リウマチ薬の例として、ジクロフェナク、ヒドロキシクロロキンおよびメトトレキサートが挙げられる。
【0118】
[00144]抗精神病薬の例として、アセトフェナジン、アリザプリド、アミスルプリド、アモキサピン、アンペロジド、アリピプラゾール、ベンペリドール、ベンズキナミド、ブロムペリドール、ブラマート、ブタクラモール、ブタペラジン、カルフェナジン、カルピプラミン、クロルプロマジン、クロルプロチキセン、クロカプラミン、クロマクラン、クロペンチキソール、クロスピラジン(clospirazine)、クロチアピン、クロザピン、シアメマジン、ドロペリドール、フルペンチキソール、フルフェナジン、フルスピリレン、ハロペリドール、ロキサピン、メルペロン、メソリダジン、メトフェナザート(metofenazate)、モリンドロン(molindrone)、オランザピン、ペンフルリドール、ペリシアジン、パーフェナジン、ピモジド、ピパンペロン、ピペラセタジン、ピポチアジン、プロクロルペラジン、プロマジン、クエチアピン、レモキシプリド、リスペリドン、セルチンドール、スピペロン、スルピリド、チオリダジン、チオチキセン、トリフルペリドール、トリフルプロマジン、トリフルオペラジン、ジプラシドン、ゾテピンおよびズクロペンチキソールが挙げられる。
【0119】
[00145]抗不安薬の例として、アルプラゾラム、ブロマゼパム、オキサゼパム、ブスピロン、ヒドロキシジン、メクロカロン、メデトミジン、メトミデート(metomidate)、アジナゾラム、クロルジアゼポキシド、クロベンゼパム、フルラゼパム、ロラゼパム、ロプラゾラム、ミダゾラム、アルピデム、アルサーオキシロン、アンフェニドン、アザサイクロノール、ブロムイソバルム、カプトジアミン(captodiamine)、カプリド、カルブクロラル(carbcloral)、カルブロマール、クロラールベタイン、エンシプラジン、フレシノキサン、イプサピラオン(ipsapiraone)、レソピトロン、ロキサピン、メタカロン、メトプリロン(methprylon)、プロパノロール(propanolol)、タンドスピロン、トラゾドン、ゾピクロンおよびゾルピデムが挙げられる。
【0120】
[00146]食欲刺激薬の例として、ドロナビノールが挙げられる。
【0121】
[00147]食欲抑制薬の例として、フェンフルラミン、フェンテルミンおよびシブトラミンが挙げられる。
【0122】
[00148]血液変異剤の例として、シロスタゾールおよびジピリダモールが挙げられる。
【0123】
[00149]心血管作動薬の例として、ベナゼプリル、カプトプリル、エナラプリル、キナプリル、ラミプリル、ドキサゾシン、プラゾシン、クロニジン、ラベタロール、カンデサルタン、イルベサルタン、ロサルタン、テルミサルタン、バルサルタン、ジソピラミド、フレカイニド、メキシレチン、プロカインアミド、プロパフェノン、キニジン、トカイニド、アミオダロン、ドフェチリド、イブチリド、アデノシン、ゲムフィブロジル、ロバスタチン、アセブトロール、アテノロール、ビソプロロール、エスモロール、メトプロロール、ナドロール、ピンドロール、プロプラノロール、ソタロール、ジルチアゼム、ニフェジピン、ベラパミル、スピロノラクトン、ブメタニド、エタクリン酸、フロセミド、トルセミド、アミロリド、トリアムテレンおよびメトラゾンが挙げられる。
【0124】
[00150]中枢神経興奮薬の例として、アンフェタミン、ブルシン、カフェイン、デキスフェンフルラミン、デキストロアンフェタミン、エフェドリン、フェンフルラミン、マジンドール、メチルフェニデート、ペモリン、フェンテルミン、シブトラミンおよびモダフィニルが挙げられる。
【0125】
[00151]アルツハイマー病管理用薬剤の例として、ドネペジル、ガランタミンおよびタクリンが挙げられる。
【0126】
[00152]嚢胞性線維症管理用の薬剤の例として、CPX、IBMX、XACおよび類似体;4−フェニル酪酸;ゲニステインおよび類似イソフラボン;および、ミルリノンが挙げられる。
【0127】
[00153]診断薬の例として、アデノシンおよびアミノ馬尿酸が挙げられる。
【0128】
[00154]食餌補助の例として、メラトニンおよびビタミンEが挙げられる。
【0129】
[00155]勃起障害用薬剤の例として、タダラフィル、シルデナフィル、バルデナフィル、アポモルヒネ、アポモルヒネ二酢酸、フェントラミンおよびヨヒンビンが挙げられる。
【0130】
[00156]胃腸薬の例として、ロペラミド、アトロピン、ヒヨスチアミン、ファモチジン、ランソプラゾール、オメプラゾールおよびレベプラゾール(rebeprazole)が挙げられる。
【0131】
[00157]ホルモンの例として、テストステロン、エストラジオールおよびコルチゾンが挙げられる。
【0132】
[00158]アルコール中毒症治療用薬剤の例として、ナロキソン、ナルトレキソンおよびジスルフィラムが挙げられる。
【0133】
[00159]依存症治療用薬剤の例として、ブプレノルフィンが挙げられる。
【0134】
[00160]免疫抑制薬の例として、ミコフェノール酸、シクロスポリン、アザチオプリン、タクロリムスおよびラパマイシンが挙げられる。
【0135】
[00161]肥満細胞安定剤の例として、クロモリン、ペミロラストおよびネドクロミルが挙げられる。
【0136】
[00162]片頭痛用薬剤の例として、アルモトリプタン、アルペロプリド(alperopride)、コデイン、ジヒドロエルゴタミン、エルゴタミン、エレトリプタン、フロバトリプタン、イソメテプテン、リドカイン、リスリド、メトクロプラミド、ナラトリプタン、オキシコドン、プロポキシフェン、リザトリプタン、スマトリプタン、トルフェナム酸、ゾルミトリプタン、アミトリプチリン、アテノロール、クロニジン、シプロヘプタジン、ジルチアゼム、ドクサピン、フルオキセチン、リシノプリル、メチセルギド、メトプロロール、ナドロール、ノルトリプチリン、パロキセチン、ピゾチフェン、ピゾチリン、プロプラノロール、プロトリプチリン、セルトラリン、チモロールおよびベラパミルが挙げられる。
【0137】
[00163]乗り物酔い製品の例として、ジフェンヒドラミン、プロメタジンおよびスコポラミンが挙げられる。
【0138】
[00164]多発性硬化症管理用薬剤の例として、ベンシクラン、メチルプレドニゾロン、ミトキサントロンおよびプレドニゾロンが挙げられる。
【0139】
[00165]筋肉弛緩剤の例として、バクロフェン、クロルゾキサゾン、シクロベンザプリン、メトカルバモール、オルフェナドリン、キニーネおよびチザニジンが挙げられる。
【0140】
[00166]非ステロイド系抗炎症薬の例として、アセクロフェナク、アセトアミノフェン、アルミノプロフェン、アンフェナク、アミノプロピロン、アミキセトリン、アスピリン、ベノキサプロフェン、ブロムフェナク、ブフェキサマック、カルプロフェン、セレコキシブ、コリン、サリチル酸塩、シンコフェン、シンメタシン、クロプリアック(clopriac)、クロメタシン、ジクロフェナク、ジフルニサル、エトドラク、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、インドプロフェン、ケトプロフェン、ケトロラク、マジプレドン(mazipredone)、メクロフェナメイト、ナブメトン、ナプロキセン、パレコキシブ、ピロキシカム、ピルプロフェン、ロフェコキシブ、スリンダク、トルフェナメイト(tolfenamate)、トルメチンおよびバルデコキシブが挙げられる。
【0141】
[00167]オピオイドの例として、アルフェンタニル、アリルプロジン、アルファプロジン、アニレリジン、ベンジルモルヒネ(benzylmorphine)、ベジトラミド、ブプレノルフィン、ブトルファノール、カルビフェン(carbiphene)、シプラマドール(cipramadol)、クロニタゼン、コデイン、デキストロモラミド、デキストロプロポキシフェン、ジアモルヒネ、ジヒドロコデイン、ジフェノキシレート、ジピパノン、フェンタニル、ヒドロモルフォン、L−アルファアセチルメタドール、ロフェンタニル、レボルファノール、メペリジン、メタドン、メプタジノール、メトポン、モルヒネ、ナルブフィン、ナロルフィン、オキシコドン、パパベレタム、ペチジン、ペンタゾシン、フェナゾシン、レミフェンタニル、スフェンタニルおよびトラマドールが挙げられる。
【0142】
[00168]他の鎮痛薬の例として、アパゾン、ベンズピペリロン、ベンジドラミン(benzydramine)、カフェイン、クロニキシン、エトヘプタジン、フルピルチン、ネフォパム、オルフェナドリン、プロパセタモールおよびプロポキシフェンが挙げられる。
【0143】
[00169]点眼薬の例として、ケトチフェンおよびベタキソロールが挙げられる。
【0144】
[00170]骨粗鬆症製剤の例として、アレンドロネート、エストラジオール、エストロピテート(estropitate)、リセドロネートおよびラロキシフェンが挙げられる。
【0145】
[00171]プロスタグランジン薬の例として、エポプロステノール、ジノプロストン、ミソプロストールおよびアルプロスタジルが挙げられる。
【0146】
[00172]呼吸薬の例として、アルブテロール、エフェドリン、エピネフリン、フォルモテロール、メタプロテレノール、テルブタリン、ブデソニド、シクレソニド、デキサメタゾン、フルニソリド、プロピオン酸フルチカゾン、トリアムシノロンアセトニド、臭化イプラトロピウム、プソイドエフェドリン、テオフィリン、モンテルカスト、ザフィルルカスト(zafirlulkast)、アムブリセンタン(ambrisentan)、ボセンタン、エンラセンタン(enrasentan)、シタキシセンタン(sitaxsentan)、テゾセンタン、イロプロスト、トレプロスチニルおよびピルフェニドン(pirfenidone)が挙げられる。
【0147】
[00173]鎮静剤および睡眠薬の例として、ブタルビタール、クロルジアゼポキシド、ジアゼパム、エスタゾラム、フルニトラゼパム、フルラゼパム、ロラゼパム、ミダゾラム、テンパゼパム(tempazepam)、トリアゾラム、ザレプロン、ゾルピデムおよびゾピクロンが挙げられる。
【0148】
[00174]皮膚および粘膜薬の例として、イソトレチノイン、ベルガプテンおよびメトキサレンが挙げられる。
【0149】
[00175]禁煙補助の例として、ニコチンおよびバレニクリンが挙げられる。
【0150】
[00176]トゥーレット(Tourette)症候群薬の例として、ピモジドが挙げられる。
【0151】
[00177]尿路薬の例として、トルテリジン(tolteridine)、ダリフェニシン(darifenicin)、臭化プロパンテリンおよびオキシブチニンが挙げられる。
【0152】
[00178]目眩薬の例として、ベタヒスチンおよびメクリジンが挙げられる。
【0153】
[00179]ある実施形態において、薬剤は、解放、エアロゾル形成、肺内運搬、治療効能、治療有効性、安定性等を高め、調節し、且つ/または、制御するための物質をさらに含むことができる。例えば、治療効能を高めるために、薬剤は、肺胞を通して第1の薬剤の吸収または拡散を増大するか、または、体循環における薬剤の劣化を抑制する1つ以上の活性剤と併用することができる。ある実施形態において、薬剤は、薬剤の治療効能を高める薬理効果を有する活性剤と併用することができる。ある実施形態において、薬剤は、1つ以上の疾病、状態または障害を治療するのに使用することができる化合物を含むことができる。ある実施形態において、薬剤は、1つの疾病、状態または障害を治療するための、または、2つ以上の疾病、状態または障害を治療するための化合物を含むことができる。
【0154】
薄フィルム薬剤供給ユニット
[00180]薄フィルム薬剤供給ユニットの実施形態が、図10A、10Bに示される。図10Aは斜視図を例示し、図10Bは薄フィルム薬剤供給ユニット500の組み立て図を例示する。薄フィルム薬剤供給ユニット500は、図10Bに示されるように、薄フィルム加熱ユニット530を備え、それに、熱的に気化されるべき薬剤514が配置される。図10Aに示されるように、薄フィルム加熱ユニット530は、第1および第2の基板510、および、スペーサー518を備える。
【0155】
[00181]図示のように、第1および第2の基板510は、内側表面に配置された固体燃料512を備える領域と、外側表面に配置された気化されるべき薬剤514を備える領域と、を含む。第1および第2の基板510は、熱伝導材料を含むことができ、例えば、金属、セラミックおよび熱伝導ポリマーを含む本明細書に記載されたもの等である。ある実施形態において、基板510は、金属、例えば、ステンレス鋼、銅、アルミニウム、および、ニッケル、または、その合金を含むことができるが、それらに限定されない。基板は1つ以上の層を有することができ、複数の層は異なる材料を含むことができる。例えば、基板は、ラミネートされた金属箔の複数の層を備えることができ、且つ/または、表面に配置された1つ以上の材料の薄いフィルムを備えることができる。複数の層は、例えば、基板の熱特性を決定するために使用することができ、且つ/または、外側表面に配置された化合物に対して表面の反応性を決定するために使用することができる。マルチレイヤ基板は、異なる材料を備える領域を有することができる。基板510の厚さは、内側表面から外側表面への熱移動を容易にし、且つ/または、熱質量を最小限にするように、薄くてもよい。ある実施形態において、薄い基板は、より厚い基板と比較してより少ない量の固体燃料で、外側表面の急速で均質な加熱を容易にすることができる。基板510は、固体燃料512および薬剤フィルム514用の構造的サポートを提供することもできる。ある実施形態において、基板510は、金属箔を備えることができる。ある実施形態において、基板510の厚さは、0.001インチ〜0.020インチの範囲であってもよく、ある実施形態では0.001インチ〜0.010インチ、ある実施形態では0.002インチ〜0.006インチ、ある実施形態では0.002インチ〜0.005インチであってもよい。より少ない量の固体燃料を使用することによって、加熱過程の制御を容易にすることができ、且つ/または、薬剤供給ユニットの小型化を容易にすることができる。
【0156】
[00182]ある実施形態において、基板510の厚さは、表面にわたって変動することができる。例えば、可変厚さは、熱移動の時間的特性および空間的特性を制御するために、且つ/または、基板510の縁を例えば基板510に対向するスペーサー518にまたは別のサポート(図示せず)に封止するのを容易にするために、有用でありうる。ある実施形態において、基板510は、固体燃料512および薬剤514が配置される基板の領域に均質なまたはほぼ均質な厚さを呈することができ、固体燃料が配置される基板のその領域にわたって均質な温度を達成するのを容易にする。基板の均質な加熱は、高純度の薬剤または医薬組成物を備えるエアロゾルの生成を容易にすることができ、エアロゾルを形成する基板に最初に配置された薬剤の収率を最大限にすることができる。
【0157】
[00183]基板510は、内側表面例えば対向する基板510に面する表面に配置された固体燃料512の領域を備えることができる。固体燃料512の適切な量は、薬剤の熱的気化または昇華温度、気化されるべき薬剤の量、基板の厚さおよび熱伝導性、固体燃料の組成、および、意図された熱的気化過程の時間的特性によって、部分的に決定することができる。固体燃料512は、いずれの適切な方法を使用して、基板510へ加えることができる。例えば、固体燃料512は、ブラッシング、浸漬コーティング、スクリーン印刷、ローラーコーティング、スプレーコーティング、インクジェット印刷、スタンピング、スピンコーティング等によって、基板510へ加えることができる。処理を容易にするために、固体燃料510は、本明細書に開示されるように、少なくとも1種の添加剤材料、および/または、溶剤を備えることができる。ある実施形態において、固体燃料512は、特定の寸法に切断してその後基板510に加えることができる予備成形シートとして形成することができる。ある実施形態において、固体燃料は、サポートへ加えることができ、予備成形されたセクションとして基板へ移されることができる。また、固定燃料512は、薄いフィルムまたは層として基板510の一部へ加えることができる。
【0158】
[00184]ある実施形態において、固体燃料512は、Zr/MoO3、Zr/Fe23、Al/MoO3またはAl/Fe23の混合物を備えることができる。ある実施形態において、金属還元剤の量は60重量%〜90重量%の範囲であってもよく、金属含有酸化剤の量は40重量%〜10重量%の範囲であってもよい。ある実施形態において、より高い比率の金属還元剤は、固体燃料をより緩徐により低温で燃焼させることができ、一方、より低い比率の金属還元剤は、固体燃料をより速くより高い最大温度で燃焼させることができる。金属還元剤および金属含有酸化剤の重量パーセントにかかわらず、固体燃料は、金属還元剤および金属含有酸化剤の化学量論的な量を含むことができる。例えば、バランスの取れたZr:Fe23金属酸化還元反応は、
3Zr+2Fe23→3ZrO2+4Fe
と書くことができる。この反応のZr:Fe23の化学量論的な量は、重量で1:1.67である。
【0159】
[00185]薬剤514は、基板510の外側表面に配置することができる。基板510の外側表面に配置された薬剤514の量は、いずれの適切な量であってもよい。例えば、薬剤514の量は、治療に効果的な量でありえる。治療に効果的な量は、薬剤の有効性、臨床的な指示、および、投与のモードによって決定することができる。ある実施形態において、薄フィルム薬剤供給ユニットは、薬剤の95%を超えて、ある実施形態では薬剤の98%を超えて、薬剤の最小劣化で、熱的に気化するように構成することができる。薬剤供給ユニットを使用して形成されたエアロゾルは、基板に加えられた薬剤の90%を超えて、ある実施形態では基板に加えられた薬剤の95%を超えて、含むことができる。エアロゾルの収率および純度は、化合物に移される熱衝撃の時間的特性および大きさによって制御することができ、それに基づいて選択することができる。
【0160】
[00186]ある実施形態用の基板温度および固体燃料の質量における医薬化合物を含むエアロゾルの収率および純度の関係性は、図18に示される。実質的に図10Aおよび10Bに示され且つ実施例9に記載されるような薄フィルム薬剤供給ユニットを使用して、図18に示される測定値が作られた。気化した薬剤を含むエアロゾルのパーセント収率およびパーセント純度を分析するために使用される実験的配列は、実施例10に記載される。図18に示されるように、約355℃〜425℃の範囲の基板温度で、エアロゾルを形成する薬剤のパーセント収率は約85%を超え、パーセント純度は約90%を超えた。パーセント収率は、エアロゾルの合計固体重量の、基板に最初配置された薬剤の重量に対する率×100である。パーセント収率を減少する可能性がある因子として、薬剤の不完全な気化、および、薬剤が基板に再付着することが挙げられる。
【0161】
[00187]パーセント純度は、エアロゾル純度に対して、エアロゾル内の薬剤組成物の割合/エアロゾル内の薬剤組成物+薬剤分解産物の割合×100である。したがって、純度は、出発原料の純度に対して相対的である。例えば、基板コーティング用に使用される出発薬剤または薬剤組成物が、検出可能な不純物を含んだときには、エアロゾルの報告された純度は、エアロゾルにも見出された出発原料に存在したこれらの不純物を含まず、例えば、場合によって、出発原料が1%の不純物を含みエアロゾルが同一の1%の不純物を含むと見出された場合には、エアロゾル純度は、それにもかかわらず、99%を超える純度と報告されてもよく、検出可能な1%純度は気化−凝縮エアロゾル生成過程中に生成されたものではないという事実を反映する。
【0162】
[00188]エアロゾルのパーセント純度を減少する可能性がある因子として、熱気化中の薬剤の分解が挙げられる。少なくとも部分的には特定の薬剤または医薬組成物の組成および熱特性に依存して、高い収率および純度を有する特定の薬剤または医薬組成物を含むエアロゾルを生成する適切な熱気化温度は、2003年11月20日に出願された米国特許出願第10/718,982号に述べられたように決定することができる。
【0163】
[00189]薬剤514は、いずれの適切な方法、例えば、ブラッシング、浸漬コーティング、スクリーン印刷、ローラーコーティング、スプレーコーティング、インクジェット印刷、スタンピング、気相堆積等によって、基板510へ加えることができる。薬剤514は、剥離層を有するサポートへ加えて、基板510へ移すこともできる。薬剤514は、添加を容易にするために、例えばアセトンまたはイソプロパノール等ではあるが、それらに限定されない揮発性溶剤に懸濁されることもできる。揮発性溶剤は、真空の添加の有無にかかわらず、室温でまたは高温で、除去することができる。ある実施形態において、溶剤は、医学的に許容される溶剤を含むことができる。ある実施形態において、残留溶剤は、医学的に許容されるレベルへ減少することができる。
【0164】
[00190]薬剤514は、いずれの適切な形態で、例えば、固体、粘性液体、液体、結晶性固体または粉末等で、基板510に配置されることができる。ある実施形態において、薬剤のフィルムは、基板に配置された後に、結晶化することができる。
【0165】
[00191]図10A、10Bに示されるように、薬剤供給ユニットは、点火剤520を備えることができる。ある実施形態において、点火剤520は、絶縁材料(図示せず)の2本のストリップの間に配置された電気リード線に接続された電気的に抵抗性の加熱要素に配置された反応開始組成物522を含むことができる。電気リード線は、電源(図示せず)に接続することができる。反応開始組成物522は、本明細書に記載されたいずれの単数または複数の反応開始組成物を含むことができる。ある実施形態において、反応開始組成物の発火温度は、200℃〜500℃の範囲であってもよい。電気的に抵抗性の材料は、電流が加えられるときに、熱を生成することができる材料を含むことができる。例えば、電気的に抵抗性の材料は、金属例えばニクロム、タングステンまたはグラファイト等であってもよい。反応開始組成物は、電気的に抵抗性の材料が反応開始組成物の発火温度へ加熱されるときに、反応開始組成物が発火して火花を作ることができるように、電気的に抵抗性の材料の表面に配置されることができる。反応開始組成物は、反応開始組成物を含むスラリーを配置し乾燥することによって、電気的に抵抗性の加熱要素へ加えることができる。ある実施形態において、反応開始組成物は、組み立てられたときに点火剤を形成する反応開始組成物が固体燃料に配置された反応開始組成物に隣接するような点で、固体燃料に配置されることができる。固体燃料の少なくとも一部に反応開始組成物を有することによって、点火の速度および点火過程の確実性を上げることができる。
【0166】
[00192]電気的に抵抗性の加熱要素は、電気導体に接続することができる。加熱要素は、電気的に絶縁の基板例えばポリイミド、ポリエステルまたはフルオロポリマー等に配置された導体例えばCu導体またはグラファイトインクトレースに、はんだづけされるかまたは電気的に接続されることができる。導体は、電気的に絶縁の材料例えば可撓性があるかまたは剛性の印刷回路基板材料の2つの対向する層の間に配置されることができる。反応開始組成物が配置される加熱要素は、点火アセンブリ520の端にある開口を通して露出されることができる。
【0167】
[00193]点火剤520は、反応開始組成物522によって作られる火花を固体燃料512へ向けて方向づけることができ、固体燃料512を発火させ燃焼させるように、固体燃料512に対して位置決めすることができる。反応開始組成物522は、点火剤によって作られる火花が固体燃料512を発火させるように、いずれの位置に位置することができる。固体燃料512に対する反応開始組成物522の場所は、固体燃料512が燃焼する方向を決定することができる。例えば、反応開始組成物522は、気流と同一の方向、気流に対向する方向、または、気流に垂直な方向を含む、気流に対していずれの方向に、固体燃料512を燃焼させるように位置することができる。気流に対する固体燃料の燃焼の方向は、エアロゾルを生成する熱的に気化された薬剤を含む粒子状物質の平均粒子直径に影響を与える可能性がある。例えば、ある実施形態において、気流の方向に対向する固体燃料の燃焼は、固体燃料の燃焼の方向が気流と同一方向であるときよりも、より小さな直径の粒子を生成することができる。固体燃料燃焼の動力は、他のパラメータ、例えば、表面温度の空間的特性および時間的特性、および、基板におよび/または薬剤供給ユニットが組み込まれるハウジング等の他の表面に、気化した薬剤が再付着する程度、によって影響されることがある。
【0168】
[00194]ある実施形態において、薄フィルム薬剤供給ユニット500は2つ以上の点火剤520を備えることができ、且つ/または、各点火剤520は2つ以上の反応開始組成物522を備えることができる。
【0169】
[00195]ある実施形態において、燃焼中に反応開始組成物によって生成される可能性のある気体および他の反応生成物の量を減少するように、使用される反応開始組成物の量を最小限にすることが有用でありうる。
【0170】
[00196]ある実施形態において、点火剤520は、火花を作るために、伝えられた放射線によって吸収し加熱されることができる反応開始組成物へ、伝えられた放射線を方向づけるように構成された機構を備えることができる。例えば、ある実施形態において、放射線は、赤外線、可視光線、または、紫外線、例えば、ダイオードレーザ、発光ダイオードまたはフラッシュランプによって生成されるもの等であってもよい。放射線源によって生成された放射線は、光ファイバ等の導波管を通って伝えることができ、反応開始剤へ方向づけるか、または、放射線源は、外部電源に接続するための電気導体を備えた点火アセンブリ522内に組み込むことができる。伝送装置は、伝えられた放射線を反応開始組成物へ集中させるためのレンズ等の要素を含むことができる。ある実施形態において、放射線は、ウインドウを通って加熱ユニット内に配置された反応開始組成物へ方向づけることができる。伝えられた放射線は、吸収材または放射線を吸収することができる材料へ方向づけることができ、それは、反応開始組成物であってもよく、または、反応開始組成物が配置される要素であってもよい。ある実施形態において、反応開始組成物は、例えばジルコニウム、チタンまたはアルミニウムであるがそれらに限定されない少なくとも1つの金属と、例えばMoO3、KClO4、CuOまたはWO3であるがそれらに限定されない少なくとも1つの固体酸化剤を含むことができる。反応開始組成物は、本明細書に開示されたもののいずれを含むことができる。
【0171】
[00197]図10Aに示されるように、薄フィルム薬剤供給ユニット500は、スペーサー518を有することができる。スペーサー518は、点火剤520を保持することができる。ある実施形態において、スペーサー518は、反応開始組成物522および固体燃料512の燃焼中に生成された気体および副生成物を収集するために、薄フィルム加熱ユニット500の内部内に容量または空間を提供することができる。スペーサー518によって生成される容量は、燃料の点火時に薄フィルム薬剤供給ユニット500内の内部圧力を減少することができる。ある実施形態において、容量は、多孔性または繊維性の材料例えばセラミックまたは繊維マットを備えることができ、その中で、固体マトリクス構成要素は、未充填容量の小さな割合である。多孔性または繊維性の材料は、高い表面積を提供することができ、そこで、反応開始組成物および固体燃料の燃焼中に生成された反応生成物を吸収するか吸着するかまたはそれに反応することができる。燃焼中に生成された圧力は、部分的には、使用される反応開始組成物および固体燃料の組成および量に依存することができる。ある実施形態において、スペーサーは、0.3インチ厚さ未満であってもよく、ある実施形態では0.2インチ厚さ未満であってもよい。ある実施形態において、燃焼中および燃焼後の最大内部圧力は、50psig未満であってもよく、ある実施形態では20psig未満であってもよく、ある実施形態では10psig未満であってもよく、ある実施形態では6psig未満であってもよい。ある実施形態において、スペーサーは、固体燃料の燃焼によって生成された温度で構造的特性および化学的特性を維持することができる材料であってもよい。ある実施形態において、スペーサーは、約100℃の温度まで構造的および化学的な特性を維持することができる材料であってもよい。スペーサーを形成する材料は、加熱ユニットによって露出される温度で最小量の気体および/または反応生成物のみを、生成せず且つ/または解放するか、または、生成することが有用でありうる。ある実施形態において、スペーサー518は、金属、熱可塑性樹脂、例えば、ポリイミド、フルオロポリマー、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、他の高温抵抗性熱可塑性ポリマー等であるがそれらに限定されないもの、または、熱硬化性樹脂を含むことができ、それらは、任意に充填材を含むことができる。
【0172】
[00198]ある実施形態において、スペーサー518は、スペーサーが薄フィルム薬剤供給ユニットの熱質量に寄与せず、それによって、薬剤514が配置される基板への熱移動を容易にするように、断熱材を備えることができる。断熱材または衝撃吸収材料、例えば、ガラス、シリカ、セラミック、炭素または高温抵抗性ポリマーファイバのマット等を使用することができる。ある実施形態において、スペーサー518は、スペーサーが熱シャントとして機能して基板の温度を制御するように、熱導体であってもよい。
【0173】
[00199]基板510、スペーサー518および点火剤520を、封止することができる。封止は、反応開始組成物522および固体燃料514の燃料によって解放されたいずれの反応体および反応生成物を保持することができ、且つ、自立ユニットを提供することができる。図10Aに示されるように、基板510は、接着剤516を使用してスペーサー518へ封止することができる。接着剤516は、熱および圧力の添加時に基板510とスペーサー518とを結合することができる感熱フィルムであってもよい。ある実施形態において、基板510およびスペーサー518は、結合されるべき表面の少なくとも一方に加えられる接着剤を使用して結合することができ、部品が組み立てられ、接着剤が硬化する。点火剤520が挿入されるスペーサー518のアクセスもまた、接着剤を使用して封止することができる。ある実施形態において、封止を形成するために他の方法を使用することができ、例えば、溶接、はんだづけまたは締結である。
【0174】
[00200]ある実施形態において、薄フィルム薬剤供給ユニット500を形成する要素を組み立て、インサート成形およびトランスファー成形等の熱可塑性成形または熱硬化性成形を使用して封止することができる。
【0175】
[00201]適切な封止方法は、基板510およびスペーサー518を形成する材料によって、少なくとも部分的に決定することができる。ある実施形態において、薬剤供給ユニット500は、50psig未満の最大圧力に耐えるために封止することができる。ある実施形態では20psig未満、ある実施形態では10psig未満である。ある実施形態において、封止を形成するのに使用される材料は、物品によって達せられる温度で構造的一体性を維持することができる。ある実施形態において、使用される材料は、最小分解を呈することができ、加熱ユニットによって達せられる温度で最小気体状反応生成物を生成する。
【0176】
複数回投与薬剤供給ユニット
[00202]ある実施形態において、薬剤供給ユニットは、単回使用装置または複数回使用装置に使用されるように構成されることができる。図9A、9Bは、複数回使用のために設計された薬剤運搬装置に使用されるように構成された薬剤供給ユニットのある実施形態を例示する。図9Aに示されるように、スプールまたはリール400の形態のテープ406は、複数の薬剤供給ユニット402、404を備える。複数の薬剤供給ユニット402、404は、熱的に気化されるべき薬剤の薄いフィルムが配置される加熱ユニットを備えることができる。複数の薬剤供給ユニット402、404の各々が、本明細書に記載のもの、例えば図1Aおよび/または図1Bに記載されたものと同一の特徴を備えることができる。ある実施形態において、テープ406は、複数の加熱ユニットを備えることができる。各加熱ユニットは、固体燃料、反応開始組成物および基板を備えることができる。
【0177】
[00203]薄フィルム薬剤供給ユニットの実施形態は、図11A、11Bに概略的に例示される。図11A、11Bは、薄フィルム薬剤供給ユニット600が複数の層を備えるテープ650の形態であるある実施形態を例示する。図11Aに示されるように、テープ650は、熱的に気化されるべき薬剤610が配置される開口を有する第1の層601を備える。第1の層601の下にある第2の層602は、第2の層602の下にある第3の層603内に配置された固体燃料620から薬剤610を分離する。第2の層602は、熱を固体燃料620から化合物610へ効果的に移動することができるように、熱導体でありうる。ある実施形態において、第2の層602は、本明細書に記載のいずれの金属であってもよい。固体燃料620を備える領域は、薬剤610を備える領域の下にある。固体燃料620の量は、薬剤610を熱的に気化するのに十分な量でありうる。固体燃料620を備える領域の寸法および形状は、いずれの適切な寸法でありうる。ある実施形態において、第3の層603は、固体燃料620の燃焼中に生成された反応生成物を収集するための容量640を備えることができ、それによって、薄フィルム薬剤供給ユニット600内の圧力を減少する。ある実施形態(図示せず)において、容量640は、固体、例えば、多孔性セラミックまたは繊維性材料の燃焼中に生成された反応生成物を吸収するか吸着するかまたはそれに反応することができる材料を備えることができる。第3の層603は、機械的特性が実質的に維持され、薬剤供給ユニット600によって達せられる温度まで感知できるほど化学的に分解しない材料を備えることができる。ある実施形態において、第3の層603は、金属またはポリマー、例えば、ポリイミド、フルオロポリマー、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、または、他の高温抵抗性ポリマーを備えることができる。
【0178】
[00204]ある実施形態において、テープ650は、化合物610および固体燃料620を物理的に且つ/環境的に保護するように構成された上部および下部の層(図示せず)を備えることができる。上部および/または下部の保護層は、例えば金属箔、ポリマーを備えることができ、または、金属箔およびポリマーを備えるマルチレイヤを備えることができる。ある実施形態において、保護層は、酸素、湿気および/または腐食性ガスへ低透過性を呈することができる。化合物610および固体燃料620に露出するために使用する前に、保護層のすべてまたは一部を除去することができる。化合物610を気化するために、固体燃料620を外部源(図示せず)からのエネルギーによって点火することができ、熱を生成し、それは、化合物610を熱的に気化するために第2の層602を通って伝導されることができる。反応開始剤の例として、本明細書に検討されたもの、例えば、火花または電気抵抗性加熱が挙げられるが、それらに限定されない。保護層の使用は、粉末または液体の形態の薬剤610を使用するのを容易にすることができる。
【0179】
[00205]図11Bは、薄フィルム薬剤供給ユニット600を備えるテープ670の断面図を示し、それは、図11Aに列挙された要素に加えて、反応開始組成物630をさらに備える。テープ670は、化合物610が配置される第1の層601、第1の層601を分離する第2の層602、および、第3の層603を含む複数の層を有する。層603は、固体燃料620と、ある実施形態では、容量640と、を保持する。第4の層604の開口は、第3の層603に配置された固体燃料620と、第5の層605の領域内に配置された反応開始組成物630と、を分離するギャップを画成する。反応開始組成物630は、本明細書に開示されたいずれの反応開始組成物を備えることができる。反応開始組成物630は、第6の層606内に配置された電気導体680に接続された電気的に抵抗性の加熱要素682に接することができ、それは、第6の層606内に配置されている。図示のように、第7の層607が第6の層606の上にあり、開口617を有して、電気導体680と電源(図示せず)との間の電気接続を容易にする。
【0180】
[00206]模範的な操作において、テープ670は、気道(図示せず)内に薬剤610を備える少なくとも1つの領域を突きとめ、且つ、それぞれの電気接触680を電源(図示せず)に接続するために、進むことができる。電源の起動時に、電流は、抵抗要素682を加熱して、反応開始組成物630を点火し火花を生成することができる。ギャップ645にわたって方向づけられた火花は、固体燃料620を点火することができる。固体燃料620の点火によって生成された熱は、第2の層602を通って伝導されることができ、化合物610を熱的に気化し、気道内に薬剤610を備えるエアロゾルを生成する。
【0181】
[00207]複数回投与の運搬用に構成された別の薬剤供給物品のある実施形態が、図9Bに例示される。図9Bは、カード410に設けられた複数の個別の薬剤供給ユニットを示す。薬剤供給ユニット412、414、416は、各々が、裏打ち部材と基板例えばユニット412上の基板418との間に含まれる固体燃料から構成される。薬剤のフィルムを基板418に塗布することができる。カード410は、1回に少なくとも1つの薬剤供給ユニットを点火するように構成された適切な装置に装填されることができる。点火は、例えば、本明細書に開示されたように、火花によってもよい。その後の投与を提供するために、カード410は、回転して、新しい薬剤供給ユニットを進めることができる。
【0182】
[00208]図9Cは、複数の円筒形形状の薬剤供給ユニット422、424、426、428を含むカートリッジ420を示す。薬剤供給ユニットは、本明細書に記載されたものであってもよく、基板を備えるエンクロージャ内に含まれる固体燃料を備える。基板の外側表面に、薬剤のフィルムを塗布することができる。各薬剤供給ユニットは、固体燃料を点火し、薬剤を気化し、且つユーザに投与するために薬剤運搬装置チャンバの適所に続けて進めることができる。
【0183】
薬剤運搬装置
[00209]ある実施形態は、気道を画成するハウジングと、本明細書に開示されたような加熱ユニットと、加熱ユニットの基板の外側表面の一部に配置された薬剤であって、薬剤を備える外側表面の一部が気道内に配置されるように構成される薬剤と、固体燃料を点火するように構成された反応開始剤と、を備える薬剤運搬装置を含む。薬剤運搬装置は、本明細書に開示された加熱ユニットおよび薬剤供給ユニットを組み込むことができる。薬剤運搬装置は、気道を画成するハウジングを備えることができる。ハウジングは、いずれの適切な形状または寸法を有する気道を画成することができ、少なくとも1つの入口および少なくとも1つの出口を備えることができる。気道の寸法は、単回吸入でユーザによって口または外鼻孔を通して吸入されることができる空気の量、気道を通る気流の意図された比率、および/または、気道に連結され薬剤が配置される基板の表面における意図された気流速度によって、少なくとも部分的に決定することができる。ある実施形態において、気流は、患者が気道の出口で口で吸入することによって、および/または、気道の出口で外鼻孔で吸入することによって、生成することができる。ある実施形態において、気流は、例えば、空気および/または気体で満たされた可撓性のある容器を機械的に圧縮すること等によって空気または気体を入口内に注入することによって、または、圧縮された空気および/または気体を気道の入口内に解放することによって生成することができる。空気および/または気体を気道内に注入することによって気流を生成することは、薬剤を含むエアロゾルの局所的投与が意図される薬剤運搬装置に有用でありうる。
【0184】
[00210]ある実施形態において、ハウジングは、熱気化中に薬剤のエアロゾルを生成するのに十分なほど気道を通って気流速度を提供するように寸法づけることができる。ある実施形態において、気流速度は、薬剤が配置される基板の近傍で、少なくとも1m/秒でありうる。
【0185】
[00211]ある実施形態において、ハウジングは、気道を通って一定の気流率を提供するように寸法づけることができる。ある実施形態において、気道を通る気流率は、10L/分〜120L/分の範囲でありうる。ある実施形態において、10L/分〜120L/分の範囲の気流率は、出口が0.1cm2〜20cm2の範囲の断面積を呈するときにユーザによる吸入中に生成されることができる。ある実施形態において、出口の断面積は、0.5cm2〜5cm2の範囲であってもよく、ある実施形態では、1cm2〜2cm2の範囲であってもよい。
【0186】
[00212]ある実施形態において、気道は、気道における気流率および気流速度を制御するために1つ以上の気流制御弁を備えることができる。ある実施形態において、気流制御弁は、少なくとも1つの弁、例えば、アンブレラバルブ、リード弁、フラッパーバルブ、または、圧力差に応答して曲がるフラップ弁等を備えることができるが、それらに限定されない。ある実施形態において、気流制御弁は、気道の出口に、気道の入口に、気道内に位置することができ、且つ/または、気道を画成するハウジングの壁内に組み込まれることができる。ある実施形態において、気流制御弁は、能動的に制御されることができ、例えば、気道内に位置する変換器によって提供された信号が弁の位置を制御することができるように電子的に作動されることができ、または、例えば、気道と装置の外部との間の圧力差等によって、受動的に制御されることができる。
【0187】
[00213]薬剤供給ユニットから生成された熱蒸気の吸入運搬用に構成された薬剤運搬装置のある実施形態は、図8に例示される。吸入装置150は、上部外部ハウジング部材152と下部外部ハウジング部材154とを有し、それらは一緒にスナップ嵌めする。各ハウジング部材の下流端は、上部ハウジング部材152の下流端156に示されるように、ユーザの口内に挿入されるように穏やかにテーパされることができる。上部および下部のハウジング部材の上流端は、上部ハウジング部材152に示されるように、スロット状にされることができ158、ユーザが吸入するときに空気取入を提供する。一緒に嵌められるときに、上部および下部のハウジング部材152、154は、チャンバ160を画成する。薬剤供給ユニット162は、チャンバ160内に位置決めされることができる。薬剤供給ユニット162は、薬剤のフィルム166が配置される外側表面168を有するテーパ状の実質的に円筒形の基板164を備える。基板の内側表面170および内側の円筒形裏打ち部材172の一部が、薬剤供給ユニット162の切り欠け図に示される。固体燃料174は、裏打ち部材172および内側基板表面170によって画成される環状シェル領域内に位置する。少なくとも1つの反応開始組成物を加熱ユニット用に設けることができ、図8に示されるようなある実施形態では、反応開始組成物は、空気取入が発生する装置の上流端に位置決めされることができる(図示せず)。反応開始組成物は、末端部176に位置する電池(図示せず)に接続されたオーム加熱要素に電流を加えることによって、固体燃料174を点火するように構成されることができる。反応開始組成物の作動は、火花を生成することができ、それは、裏打ち部材172によって画成された空間内に限定され、したがって、点178で示される薬剤供給ユニットの下流端へ向けて方向づけることができる。下流端178でテーパ状のノーズ部分に到達する火花は、固体燃料174を点火することができる。固体燃料174は、次いで、下流から上流の方向へ燃焼し、すなわち、点178から点158で装置の空気取入端へ向けてであり、下流から上流の方向に熱の波を生成し、それは、外側基板表面168に配置された薬剤フィルム166を気化する。したがって、固体燃料の燃焼の方向および熱的に薬剤蒸気を生成する方向は、吸入装置のチャンバ160を通る気流の方向に対向する。
【0188】
エアロゾルを生成し使用するための方法
[00214]ある実施形態は、本明細書に開示された加熱ユニット、薬剤供給ユニットおよび薬剤運搬装置を使用して化合物のエアロゾルを生成する方法を含む。ある実施形態において、器具によって生成されたエアロゾルは、治療に効果的な量の薬剤を含むことができる。基板に配置された化合物を熱的に気化するために加えられた熱の時間的特性および空間的特性、および、気流率は、一定の特性を有する薬剤を含むエアロゾルを生成するように選択することができる。例えば、肺内運搬用に、0.01μm〜0.1μmの範囲のおよび1μm〜3.5μmの範囲の平均質量空気動力学的直径を有するエアロゾル粒子が、肺胞から体循環へ薬剤を効果的に移動するのを容易にすることができる。エアロゾルが局所的に加えられる用途において、エアロゾルは、同一のまたは異なる特性を有することができる。
【0189】
[00215]ある実施形態は、下記を含むエアロゾルを生成するための方法を含むことができ、すなわち、(i)薬剤供給ユニットを形成する基板の外側表面の一部に配置された薬剤上に気流を提供するステップであって、薬剤供給ユニットは、本明細書に開示されたような加熱ユニットと基板の外側表面の一部に配置された薬剤とを備え、薬剤を含む外側表面の一部は気道内に配置され、さらに、固体化学燃料を点火するように構成された反応開始組成物を提供するステップと、(ii)気道に薬剤のエアロゾルを形成するために薬剤を熱的に気化し凝縮するステップと、を含む。ある実施形態において、薬剤は、薄いフィルムとして基板の表面に配置される。
【0190】
[00216]ある実施形態は、治療に効果的な量の薬剤を含むエアロゾルを患者に投与するステップを備えるこのような治療を必要とする患者の疾病を治療する方法を含み、エアロゾルは、本明細書に開示された方法および装置によって生成される。エアロゾルは、口を通る吸入によって、鼻摂取によって、および/または、局所的に加えることによって、投与することができる。
【0191】
[00217]他の実施形態は、本明細書に開示された発明を考慮し実行することから、当業者には明らかになる。明細書および実施例は、単に模範的なもとして考慮されることが、意図される。
[実施例]
【0192】
[00218]下記の実施例において、下記の略語は下記の意味を有する。略語が規定されていない場合は、一般に受け入れられた意味を有する。
【0193】
[00219]wt% 重量パーセント
【0194】
[00220]psig 1平方インチ当たりのポンド、ゲージ
【0195】
[00221]DI 脱イオン化した
【0196】
[00222]mL ミリリットル
【0197】
[00223]m秒 ミリ秒
【0198】
[00224]L/分 1分当たりのリットル
【0199】
[00225]μm マイクロメートル
[実施例1]
【0200】
Laponiteを備えた固体燃料の調製
[00226]下記の手順を使用して、76.16%Zr:19.04%MoO3:4.8%Laponite(登録商標)RDSを含む固体燃料コーティングを調製した。
【0201】
[00227]湿潤ジルコニウム(Zr)を調製するために、得られた純水中のZrの懸濁液(Chemetall、ドイツ)が、30分間、roto−mixerで攪拌された。10mL〜40mLの湿潤Zrが、50mLの遠心分離管内に排出され、3,200rpmで30分間、遠心分離された(Sorvall 6200RT)。純水は除去され、湿潤Zrペレットが残った。
【0202】
[00228]15%Laponite(登録商標)RDS溶液を調製するために、85グラムの純水がビーカーに加えられた。攪拌する間に、15グラムのLaponite(登録商標)RDS(Southern Clay Products、テキサス州ゴンザレス)が加えられ、懸濁液は30分間、攪拌された。
【0203】
[00229]反応体スラリーは、まず、先に遠心分離管から調製されビーカーに置かれた湿潤Zrペレットを除去することによって調製された。湿潤Zrペレットの計量時に、乾燥Zrの重量は下記の式から決定された。すなわち、乾燥Zr(g)=0.8234(湿潤Zr(g))−0.1059である。
【0204】
[00230]次いで、ZrのMoO3に対する80:20比率を提供するために、三酸化モリブデンの量が決定され、例えば、MoO3=乾燥Zr(g)/4であり、適切な量のMoO3粉末(Accumet、ニューヨーク州)が、湿潤Zrを含むビーカーへ加えられ、湿潤Zr:MoO3スラリーを生成した。76.16%Zr:19.04%MoO3:4.80%Laponite(登録商標)RDSの乾燥構成要素の最終重量パーセント比率を得るために、Laponite(登録商標)RDSの量が決定された。40%純水を含む反応体スラリーを得るために、過剰水が、湿潤ZrおよびMoO3スラリーへ加えられた。反応体スラリーは、S25N−8G分散ヘッド(設定4)付IKA Ultra−Turrax混合モータを使用して5分間混合された。次いで、先に決定された15%Laponite(登録商標)RDSの一定量が反応体スラリーに加えられ、IKA Ultra−Turraxミキサーを使用してさらに5分間混合された。反応体スラリーは、シリンジに移され、コーティング前に少なくとも30分間、保管された。
【0205】
[00231]次いで、Zr:MoO3:Laponite(登録商標)RDS反応体スラリーが、ステンレス鋼箔に塗布された。ステンレス鋼箔は、まず、60℃で純水のRidoline298の3.2%bv溶液内で5分間、超音波処理することによって清浄された。ステンレス鋼箔は、各0.004インチ厚304ステンレス鋼箔の中心部分が露出されるように、0.215インチ幅のMylar(登録商標)でマスクされた。箔は、縁に0.008インチ厚シムを有する真空チャックに置かれた。2mLの反応体スラリーが、箔の一方の縁に置かれた。Sheen Auto−Draw Automatic Film Applicator 1137(Sheen Instruments)を使用して、反応体スラリーが、箔の表面にわたって50mm/秒までの自動引き出しコーティング速度で#12コーティングロッドを引き出すことによって、箔に塗布され、Zr:MoO3:Laponite(登録商標)RDS反応体スラリーのおよそ0.006インチ厚の層を付着した。次いで、塗布された箔が40℃強制空気対流炉に置かれ、少なくとも2時間、乾燥された。次いで、マスクが箔から除去され、各箔の中心部分に固体燃料のコーティングを残した。
【0206】
[00232]Laponite(登録商標)RDSを含む固体燃料コーティングが、ステンレス鋼箔の表面に接着され、温度循環(−25℃←→40℃)を含む機械的および環境的な試験後に、物理的一体性を維持し、湿潤曝露(40℃/75%RH)、落下試験、衝撃試験および曲げ試験を促進した。
[実施例2]
【0207】
内部圧力の測定
[00233]薄フィルム加熱ユニットを使用して、固体燃料の点火後に基板の外側表面のピーク内部圧力およびピーク温度を測定した。
【0208】
[00234]薄フィルム加熱ユニットは、実質的に下記実施例9に記載され図10Aおよび10Bに例示されたようなものであった。2枚の、2×2平方インチ、0.004インチ厚304ステンレス鋼箔が、基板を形成した。76.16重量%Zr、19.04%MoO3、4.8%Laponite(登録商標)RDSを含む固体燃料および水が、ステンレス鋼基板の内側表面に塗布された。固体燃料層の厚さは、0.0018±0.0003インチであった。固体燃料の層は1.69in2の面積をカバーし、乾燥後、各基板の内側表面に配置された固体燃料の重量は、0.165〜0.190グラムであった。スペーサーは、0.24インチ厚セクションのポリカーボネート(Makrolon)を含んだ。点火アセンブリは、スペーサーおよび基板によって画成されたエンクロージャ内に配置されるべき端に0.03インチ直径の開口を有するFR−4印刷回路基板を備えた。0.0008インチ直径のニクロムワイヤが、印刷回路基板上で電気導体にはんだづけされ、開口にわたって位置決めされた。26.5%Al、51.4%MoO3、7.7%Bおよび14.3%Viton A500重量パーセントを含む反応開始組成物が、ニクロムワイヤに配置され、乾燥された。
【0209】
[00235]薄フィルム薬剤供給ユニットを組み立てるために、反応開始組成物を含むニクロムワイヤが、固体燃料領域の一方の端に位置決めされた。エポキシのビード(Epo−Tek353ND、Epoxy Technology)が、スペーサーの両面に加えられ、スペーサー、基板および点火アセンブリが位置決めされ圧縮された。エポキシは、100℃の温度で3時間、硬化された。
【0210】
[00236]固体燃料を点火するために、0.4アンペア電流が、ニクロムワイヤに接続された電気導体に加えられた。
【0211】
[00237]ピーク内部圧力は、圧縮センサ(Motorola、MPXA4250A)を使用して測定された。外側表面温度は、IRカメラ(FLIR、Therma CAM SC3000)を使用して測定された。
[実施例3]
【0212】
加熱ユニットの熱画像
[00238]ジルコニウム(40.6重量%)、MoO3(21.9重量%)およびKClO3(1.9重量%)の混合物、ニトロセルロース(0.6重量%)および珪藻土(35重量%)から構成される固体燃料が調製された。固体燃料は、ステンレス鋼基板(0.015インチ壁厚)とステンレス鋼裏打ち部材(0.015インチ壁厚)との間の0.030インチのギャップに置かれた。基板の直径は、9/16インチであった。燃料が点火され、加熱ユニットの熱画像は、点火後の時間の関数として取られた。結果は、図4A〜4Fに示される。
[実施例4]
【0213】
表面温度均一性を評価するための加熱ユニットの熱画像
[00239]A.ジルコニウム(53.8重量%)、MoO3(23.1重量%)およびKClO3(2.3重量%)の混合物、ニトロセルロース(0.8重量%)および珪藻土(20重量%)から構成される固体燃料が調製された。固体燃料混合物は、ステンレス鋼基板(0.015インチ壁厚)とステンレス鋼裏打ち部材(0.015インチ壁厚)との間の0.030インチのギャップに置かれた。基板の直径は、9/16インチであった。燃料が点火され、加熱ユニットの熱画像は、点火後400ミリ秒で取られた。画像は、図5Aに示される。
【0214】
[00240]B.ジルコニウム(46.9重量%)、MoO3(25.2重量%)、KClO3(2.2重量%)、ニトロセルロース(0.7重量%)および珪藻土(25.0重量%)の混合物から構成される固体燃料が調製された。固体燃料は、ステンレス鋼基板(0.015インチ壁厚)とステンレス鋼裏打ち部材(0.015インチ壁厚)との間の0.030インチのギャップに置かれた。基板の直径は、9/16インチであった。燃料が点火され、加熱ユニットの熱画像は、点火後400ミリ秒で取られた。画像は、図5Bに示される。
[実施例5]
【0215】
模範的な加熱ユニット
[00241]ジルコニウム(46.9重量%)、MoO3(25.2重量%)およびKClO3(2.2重量%)の混合物、粒度100〜325メッシュから構成され、ニトロセルロース(0.7重量%)および珪藻土(25.0重量%)を含む固体燃料が調製された。固体燃料は、ステンレス鋼基板(0.015インチ壁厚)とステンレス鋼裏打ち部材(0.015インチ壁厚)との間の0.030インチのギャップに置かれた。基板の直径は、9/16インチであった。固体燃料は、加熱ユニットの先端から遠隔式に点火された。燃焼中および燃焼後に、円筒形基板の圧力が、本明細書に記載されたように測定された。燃焼伝播速度および表面温度均一性は、赤外線イメージングによって評価された。
【0216】
[00242]内部圧力は、0.3秒の反応期間中に150psigに増加した。残留圧力は、60psig以下であった。燃焼伝播速度は、13cm/秒であった。表面温度均一性に関して、明らかなコールドスポットは観察されなかった。
[実施例6]
【0217】
加熱ユニットの実施形態
[00243]ジルコニウム(69.3重量%)およびMoO3(29.7重量%)の混合物、粒度100〜325メッシュから構成され、ニトロセルロース(1.0重量%)を含む固体燃料が調製された。固体燃料混合物は、ステンレス鋼基板(0.020インチ壁厚)とステンレス鋼裏打ち部材(0.020インチ壁厚)との間の0.020インチのギャップに置かれた。裏打ち部材の外側は、燃焼伝播速度を上げるために、反応開始剤が塗布された。一次燃料は、加熱ユニットの先端から遠隔式に点火された。燃焼中および燃焼後に、円筒形基板の圧力が、本明細書に記載されたように測定された。燃焼伝播速度および表面温度均一性は、赤外線イメージングによって評価された。
【0218】
[00244]内部圧力は、0.25秒の反応期間中に200psigに増加した。残留圧力は、60psig以下であった。燃焼伝播速度は、15cm/秒であった。表面温度均一性に関して、明らかなコールドスポットは観察されなかった。
[実施例7]
【0219】
加熱ユニットの実施形態
[00245]アルミニウム(49.5重量%)およびMoO3(49.5重量%)の混合物、粒度100〜325メッシュから構成され、ニトロセルロース(1.0重量%)を含む固体燃料が調製された。固体燃料混合物は、ステンレス鋼基板(0.020インチ壁厚)とステンレス鋼裏打ち部材(0.020インチ壁厚)との間の0.020インチのギャップに置かれた。一次燃料は、プラグ近傍で直接点火された。燃焼中および燃焼後に、円筒形基板の圧力が、本明細書に記載されたように測定された。表面温度均一性は、赤外線イメージングによって評価された。
【0220】
[00246]内部圧力は、5ミリ秒未満の反応期間中に300psigに増加した。残留圧力は、60psig以下であった。外側表面の広い空間は、均一に加熱され、表面の5%〜10%は、広い空間の残りよりも低い50℃〜100℃であった。
[実施例8]
【0221】
ジルコニウム燃料スラリー用の湿潤処理
[00247]下記の手順を使用して、薄フィルム薬剤供給ユニット用に、ZrおよびMoO3を含む燃料組成物が調製された。2μm〜3μmの粒子サイズを有する湿潤Zr粒子46.7重量%が、Chemetall,GmbH、ドイツから得られた。Zr粒子は純水ですすがれ、その後、過剰水が静かに注がれた。純水5.1重量%がZrに加えられ、混合物が遠心分離された。過剰水は静かに注がれた。次いで、乾燥MoO3、20重量%(Climax Molybdenum社、アリゾナ州)および純水が、洗われたZrに加えられ、混合物は、高剪断ミキサー(IKA、ドイツ)で2分間、均質化された。Laponite(登録商標)RDS、2.5重量%(Southern Clay Products社、テキサス州)の15%水性溶液が加えられ、混合物は、高剪断ミキサーでさらに5分間、均質化された。Zr:MoO3固体燃料スラリーが、次のコーティング用に、シリンジまたは保持容器に移された。湿潤Zrは8.5重量%の水を含み、Laponite(登録商標)RDSは14重量%の水を含んだ。重量パーセントは、合計湿潤組成物のパーセント重量を表す。
[実施例9]
【0222】
薄フィルム薬剤供給ユニットの実施形態
[00248]図10A、10Bによる薄フィルム薬剤供給ユニットが製作され、性能が評価された。2枚の、2×2平方インチ、0.004インチ厚304ステンレス鋼箔が、基板を形成した。76.16重量%Zrおよび19.04%MoO3、4.8%Laponite(登録商標)RDSを含む固体燃料および水が、ステンレス鋼基板の内側表面に塗布された。固体燃料層の厚さは、0.0018±0.0003インチであった。固体燃料の層は1.69in2の面積をカバーし、乾燥後、各基板の内側表面に配置された固体燃料の重量は、0.165〜0.190グラムであった。薬剤の〜6μm厚の薄いフィルムが、スプレーコーティングを使用して、外側基板表面の1.21in2の面積に配置された。薬剤は、処理を容易にするために、イソプロパノールまたはアセトンの15mg/ml溶液に溶解された。薬剤の薄いフィルムは、周囲条件で乾燥され、1.5mg〜3.0mgの薬剤が、各基板の外側表面に配置された。スペーサーは、0.24インチ厚セクションのポリカーボネート(Makrolon)を含んだ。点火アセンブリは、スペーサーおよび基板によって画成されたエンクロージャ内に配置されるべき端に0.03インチ直径の開口を有するFR−4印刷回路基板を備えた。0.0008インチ直径のニクロムワイヤが、印刷回路基板上で電気導体にはんだづけされ、開口にわたって位置決めされた。26.5%Al、51.4%MoO3、7.7%Bおよび14.3%Viton A500重量パーセントを含む反応開始組成物が、ニクロムワイヤに配置され、乾燥された。
【0223】
[00249]薄フィルム薬剤供給ユニットを組み立てるために、反応開始組成物を含むニクロムワイヤが、固体燃料領域の一方の端に位置決めされた。エポキシのビード(Epo−Tek353ND、Epoxy Technology)が、スペーサーの両面に加えられ、スペーサー、基板および点火アセンブリが位置決めされ圧縮された。エポキシは、100℃の温度で3時間、硬化された。
【0224】
[00250]固体燃料を点火するために、0.4アンペア電流が、ニクロムワイヤに接続された電気導体に加えられた。
【0225】
[00251]測定用に使用された気道の気流は、14L/分〜28L/分の範囲であり、それぞれ1.5m/秒および3m/秒の気流速度に対応した。
【0226】
[00252]このような薬剤供給ユニットにおける測定は、基板の外側表面が、反応開始剤の作動後150ミリ秒未満で400℃を超える温度に達し、その時点で薬剤は完全に熱的に気化したことを例証した。エンクロージャ内の最大圧力は、10psig未満であった。別個の測定において、エンクロージャは、室温で60psigを超える静圧に耐えることができることが例証された。固体燃料の広い空間にわたる燃焼伝播速度は、25cm/秒であると測定された。エアロゾルを形成する粒子状物質は、薬剤の95%を超えるものから構成され、基板にもともと配置された薬剤の90%を超えるものがエアロゾルを形成した。
[実施例10]
【0227】
エアロゾル純度および収率の測定
[00253]実質的に、実施例9に記載され図10Aおよび10Bに例示された薬剤供給ユニットを使用して、エアロゾルのパーセント収率およびパーセント純度を測定した。
【0228】
[00254]2枚の、2×2平方インチ、0.004インチ厚304ステンレス鋼箔が、基板を形成した。76.16重量%Zr、19.04%MoO3、4.8%Laponite(登録商標)RDSを含む固体燃料および水が、ステンレス鋼基板の内側表面に塗布された。固体燃料層の厚さは、0.0018±0.0003インチであった。固体燃料の層は1.69in2の面積をカバーし、乾燥後、各基板の内側表面に配置された固体燃料の重量は、0.165グラム〜0.190グラムであった。薬剤の〜6μm厚の薄いフィルムが、スプレーコーティングを使用して、外側基板表面の1.21in2の面積に配置された。薬剤は、処理を容易にするために、イソプロパノールまたはアセトンの15mg/ml溶液に溶解された。薬剤の薄いフィルムは、周囲条件で乾燥され、1.5mg〜3.0mgの薬剤が、各基板の外側表面に配置された。スペーサーは、0.24インチ厚セクションのポリカーボネート(Makrolon)を含んだ。点火アセンブリは、スペーサーおよび基板によって画成されたエンクロージャ内に配置されるべき端に0.03インチ直径の開口を有するFR−4印刷回路基板を備えた。0.0008インチ直径のニクロムワイヤが、印刷回路基板上で電気導体にはんだづけされ、開口にわたって位置決めされた。26.5%Al、51.4%MoO3、7.7%Bおよび14.3%Viton A500重量パーセントを含む反応開始組成物が、ニクロムワイヤに配置され、乾燥された。
【0229】
[00255]薄フィルム薬剤供給ユニットを組み立てるために、反応開始組成物を含むニクロムワイヤが、固体燃料領域の一方の端に位置決めされた。エポキシのビード(Epo−Tek353ND、Epoxy Technology)が、スペーサーの両面に加えられ、スペーサー、基板および点火アセンブリが位置決めされ圧縮された。エポキシは、100℃の温度で3時間、硬化された。
【0230】
[00256]固体燃料を点火するために、0.4アンペア電流が、ニクロムワイヤに接続された電気導体に加えられた。
【0231】
[00257]測定用に使用された気道の気流は、14L/分〜28L/分の範囲であり、それぞれ1.5m/秒および3m/秒の気流速度に対応した。
【0232】
[00258]気化後に、エアロゾルは、収率の定量化および純度の分析のためにマットに捉えられた。マットに回収された材料の量を使用して、基板に塗布された薬剤の質量に基づいて、パーセント収率を決定した。ハウジングに配置されたいずれの材料または基板に残っているものもまた回収され定量化され、パーセント合計回収を決定した。((マット上の薬剤の質量+基板およびハウジングに残っている薬剤の質量)/基板に塗布された薬剤の質量)。化合物用に、UV吸収なしで、GC/MSまたはLC/MSを使用して、回収を定量化した。
【0233】
[00259]パーセント純度は、250nmでHPLC UV吸収を使用して決定された。しかし、当業者が認識するように、薬剤含有エアロゾルの純度は、多数の異なる方法を使用して決定されてもよい。「純度」という用語が使用されるときには、エアロゾルのパーセンテージ−形成に生成されたパーセンテージ副生成物を意味することに注意しなければならない。副生成物は、例えば、気化中に生成される不必要な生成物である。例えば、副生成物は、熱崩壊生成物、および、いずれの単数または複数の活性化合物の不必要な代謝産物を含む。エアロゾルの純度を決定するための適切な方法の例は、Sekineら著、Journal of Forensic Science32:1271−1280(1987)、および、Martinら著、Journal of Analytic Toxicology 13:158−162(1989)に記載されている。
【0234】
[00260]1つの適切な方法は、トラップの使用に関与する。この方法において、エアロゾルは、副生成物のパーセントまたは割合を決定するために、トラップに収集される。いずれの適切なトラップが使用されてもよい。適切なトラップとして、マット、ガラスウール、インピンジャ、溶剤トラップ、コールドトラップ等が挙げられる。マットが最も望ましいことが多い。トラップは次いで典型的に、溶剤例えばアセトニトリルで抽出され、抽出物は、当分野において既知のいずれの様々な分析方法によって分析を受け、例えば、ガスクロマトグラフィ、液体クロマトグラフィ、および、高速液体クロマトグラフィが特に有用である。
【0235】
[00261]ガスクロマトグラフィまたは液体クロマトグラフィの方法は典型的に、ディテクタシステム、例えば、質量分析ディテクタまたは紫外線吸収ディテクタ等を含む。理想的には、ディテクタシステムは、薬剤組成物および副生成物の構成要素の量を、重量で決定するのを可能にする。これは、実際には、薬剤組成物および副生成物(基準)の構成要素の1つ以上の既知の質量(単/複)の分析時に得られる信号を測定し、次いで、エアロゾルの分析時に得られた信号を、基準(単/複)の分析時に得られた信号と比較することによって達成され、アプローチは当分野においては周知である。
【0236】
[00262]多くの場合、副生成物の構造は知られてなくてもよく、または、そのための基準が利用可能でなくてもよい。このような場合には、薬剤組成物内の単数または複数の薬剤構成要素に対して同一の応答係数(例えば、紫外線吸収検出用に同一の吸光係数)を有するのを仮定することによって、副生成物の重量割合を計算してもよい。このような分析を行うときには、薬剤化合物の非常に小さな割合未満で存在する副生成物、例えば、薬剤化合物の0.1%または0.03%未満で存在する副生成物は、典型的に除外される。副生成物の重量パーセンテージを計算する際に薬剤と副生成物との間に同一の応答係数を仮定する必要性が頻繁にあるため、このような仮定が妥当性の高い確率を有する分析的アプローチを使用することがより望ましいことが多い。この点で、225nmで紫外線の吸収による検出で高速液体クロマトグラフィが典型的に望ましい。化合物が250nmでより強く吸収する場合では、250nmでのUV吸収が、化合物の検出のために使用されてもよく、または、他の理由のために、当業者は、250nmでの検出が、HPCL分析を使用する重量による純度を概算する最も適切な手段であるとみなす。UVによる薬剤の分析が実行可能ではない一定の場合には、他の分析ツール、例えば、GC/MSまたはLC/MSを使用して純度を決定してもよい。
【0237】
[00263]本発明は、特定の実施形態に関連して説明されてきたが、本発明から逸脱せずに、様々な変更および修正を行うことができることが、当業者には明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0238】
【図1A】ある実施形態にしたがった加熱ユニットの断面図を例示する。
【図1B】ある実施形態にしたがった加熱ユニットの斜視図を例示する。
【図2A】ある実施形態にしたがった円筒形形状を有する加熱ユニットの断面図を例示する。
【図2B】ある実施形態にしたがった円筒形形状を有する加熱ユニットの斜視図を例示する。
【図2C】ある実施形態にしたがった、図2A、2Bの加熱ユニットに類似するが修正された点火剤設計を有する円筒形加熱ユニットの断面図を例示する。
【図2D】ある実施形態にしたがった熱シャントを含む円筒形に形状づけられた加熱ユニットの断面図を例示する。
【図3】ある実施形態にしたがって、固体燃料の点火中および点火後に内部圧力を測定するために2つの圧力変換器を有する化学的加熱ユニットの概略断面図を例示する。
【図4A】ある実施形態にしたがって、点火後100ミリ秒で赤外線熱イメージングカメラを使用して測定された円筒形に形状づけられた加熱ユニットの熱画像である。
【図4B】ある実施形態にしたがって、点火後200ミリ秒で赤外線熱イメージングカメラを使用して測定された円筒形に形状づけられた加熱ユニットの熱画像である。
【図4C】ある実施形態にしたがって、点火後300ミリ秒で赤外線熱イメージングカメラを使用して測定された円筒形に形状づけられた加熱ユニットの熱画像である。
【図4D】ある実施形態にしたがって、点火後400ミリ秒で赤外線熱イメージングカメラを使用して測定された円筒形に形状づけられた加熱ユニットの熱画像である。
【図4E】ある実施形態にしたがって、点火後500ミリ秒で赤外線熱イメージングカメラを使用して測定された円筒形に形状づけられた加熱ユニットの熱画像である。
【図4F】ある実施形態にしたがって、点火後600ミリ秒で赤外線熱イメージングカメラを使用して測定された円筒形に形状づけられた加熱ユニットの熱画像である。
【図5A】ある実施形態にしたがって、2つの円筒形に形状づけられた加熱ユニットの点火後400ミリ秒の外側基板表面の広い空間の温度均一性を示す熱画像である。
【図5B】ある実施形態にしたがって、2つの円筒形に形状づけられた加熱ユニットの点火後400ミリ秒の外側基板表面の広い空間の温度均一性を示す熱画像である。
【図6A】ある実施形態にしたがって、外側基板表面に薬剤のフィルムを運ぶ薬剤供給ユニットから薬剤の蒸気を生成するのを例示する概略図である。
【図6B】ある実施形態にしたがって、加熱ユニットの点火を例示する概略図である。
【図6C】ある実施形態にしたがって、薬剤フィルムを気化するのに効果的な熱の波を生成するのを例示する概略図である。
【図7A】ある実施形態にしたがって、固体燃料の点火後に時間の関数として薬剤供給ユニットから熱蒸気を生成するのを示す高速写真である。
【図7B】ある実施形態にしたがって、固体燃料の点火後に時間の関数として薬剤供給ユニットから熱蒸気を生成するのを示す高速写真である。
【図7C】ある実施形態にしたがって、固体燃料の点火後に時間の関数として薬剤供給ユニットから熱蒸気を生成するのを示す高速写真である。
【図7D】ある実施形態にしたがって、固体燃料の点火後に時間の関数として薬剤供給ユニットから熱蒸気を生成するのを示す高速写真である。
【図7E】ある実施形態にしたがって、固体燃料の点火後に時間の関数として薬剤供給ユニットから熱蒸気を生成するのを示す高速写真である。
【図8】ある実施形態にしたがって、薬剤を含むエアロゾルの運搬のために吸入薬剤運搬装置の一部として加熱ユニットを収容する薬剤運搬装置を示す。
【図9A】ある実施形態にしたがって、複数薬剤投与を送出するために設計された薬剤運搬装置に使用される薬剤供給ユニットを示す。
【図9B】ある実施形態にしたがって、複数薬剤投与を送出するために設計された薬剤運搬装置に使用される薬剤供給ユニットを示す。
【図9C】ある実施形態にしたがって、複数薬剤投与を送出するために設計された薬剤運搬装置に使用される薬剤供給ユニットを示す。
【図10A】ある実施形態にしたがった薄フィルム薬剤供給ユニットの斜視図を例示する。
【図10B】ある実施形態にしたがった薄フィルム薬剤供給ユニットの組立図を例示する。
【図11A】ある実施形態にしたがった、複数回投与を含む薄フィルム薬剤供給ユニットの断面図を例示する。
【図11B】ある実施形態にしたがった、複数回投与を含む薄フィルム薬剤供給ユニットの断面図を例示する。
【図12】ある実施形態にしたがって、固体燃料コーティングの質量と基板の外側表面のピーク温度との間の関係を示す。
【図13A】ユニット内に配置された衝撃吸収材料を有する加熱ユニットの断面図を例示する。
【図13B】ユニット内に配置された衝撃吸収材料を有する円筒形加熱ユニットの断面図を例示する。
【図13C】エンクロージャ内に配置された衝撃吸収材料および追加圧力減少要素を有する加熱ユニットの断面図を例示する。
【図14】固体燃料の点火後のガラスファイバマットを備える加熱ユニット内の測定された圧力を示す。
【図15】固体燃料の点火後の加熱ユニット内の様々な点における温度を示す。
【図16】電気的に抵抗性の加熱要素に配置された反応開始組成物を含む点火剤の概略例示である。
【図17】金属還元剤および金属含有酸化剤を含む固体燃料の薄いフィルム層の点火後の、封止された加熱ユニット内のピーク内部圧力を示す。
【図18】様々な実施形態用に、固体燃料の異なる質量から得られた異なる基板温度を使用して、特定の医薬化合物を含むエアロゾルの収率および純度の関係を示す。
【図19】固体燃料の点火後の、加熱ユニット基板の温度プロファイルを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
急速に加熱された基板の外側表面の温度の均一性およびピーク温度を制御する方法であって、規定された比率で金属含有酸化剤および還元剤を含む、固体燃料の選択された質量の本質的に均質なスラリーの薄い層を、加熱されるべき前記基板の内側表面の一部にコーティングするステップを備える方法。
【請求項2】
前記コーティングが、浸漬コーティング、スプレーコーティング、ローラーコーティング、グラビアコーティング、リバースロールコーティング、ギャップコーティング、計量ロッドコーティング、スロットダイコーティング、カーテンコーティングおよびエアナイフコーティングである、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記ギャップコーティングが、巻き線型コーティングロッドでなされる、請求項2記載の方法。
【請求項4】
加熱時の前記基板の前記ピーク温度が、前記ピーク温度を与えるために決定された固体燃料の質量を選択してコーティングすることによって制御される、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記基板が、金属、合金およびセラミックから選択される、請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記基板が、金属箔である、請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記金属箔が、0.001インチ〜0.010インチの範囲の厚さを呈する、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記固体燃料の前記薄い層が、0.001インチ〜0.030インチの範囲の厚さを呈する、請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記固体燃料の前記薄い層が、0.001インチ〜0.005インチの範囲の厚さを呈する、請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記金属含有酸化剤が、次の、MoO3、KClO4、KClO3およびFe23の少なくとも1つから選択される、請求項1記載の方法。
【請求項11】
前記金属還元剤が、次の、アルミニウム、ジルコニウム、鉄およびチタンの少なくとも1つから選択される、請求項1記載の方法。
【請求項12】
前記金属還元剤の量が、前記固体燃料の合計乾燥重量の60重量%〜90重量%の範囲である、請求項1記載の加熱ユニット。
【請求項13】
前記金属含有酸化剤の量が、前記固体燃料の合計乾燥重量の10重量%〜40重量%の範囲である、請求項1記載の加熱ユニット。
【請求項14】
前記固体燃料が、少なくとも1つの添加剤材料を含む、請求項1記載の加熱ユニット。
【請求項15】
前記添加剤材料が、無機材料である、請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記無機材料が、粘土、金属アルコキシド、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸アルミニウム、アルミナ、シリカ系ゾル、および、無機ゾルゲル材料からなる群から選択される、請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記粘土が、Laponite、Montmorillonite、および、Cloisiteからなる群から選択される、請求項16記載の方法。
【請求項18】
乾燥固体燃料の本質的に均質で均一のコーティングを基板の表面に提供する方法であって、
a.少なくとも1つの酸化剤および少なくとも1つの還元剤を含む固体燃料を、溶剤内の添加剤材料で混合して、均質なスラリーを形成するステップと、
b.前記スラリーの薄い層を設定された厚さで基板の表面にコーティングするステップと、
c.前記コーティングされたスラリーを乾燥して、前記基板上に乾燥固体燃料を形成するステップと、
を備える方法。
【請求項19】
前記コーティングが、浸漬コーティング、スプレーコーティング、ローラーコーティング、グラビアコーティング、リバースロールコーティング、ギャップコーティング、計量ロッドコーティング、スロットダイコーティング、カーテンコーティングおよびエアナイフコーティングである、請求項18記載の方法。
【請求項20】
前記ギャップコーティングが、バーコーターの巻き線型コーティングロッドでなされる、請求項19記載の方法。
【請求項21】
前記コーティング前に、マスクが前記基板の前記表面の一部に位置決めされ、前記部分に前記固体燃料が堆積するのを防止する、請求項18記載の方法。
【請求項22】
前記基板が、金属箔である、請求項18記載の方法。
【請求項23】
前記金属箔が、0.001インチ〜0.010インチの範囲の厚さを呈する、請求項22記載の方法。
【請求項24】
前記固体燃料の前記薄い層が、0.001インチ〜0.030インチの範囲の厚さを呈する、請求項18記載の方法。
【請求項25】
前記固体燃料の前記薄い層が、0.001インチ〜0.005インチの範囲の厚さを呈する、請求項18記載の方法。
【請求項26】
前記金属含有酸化剤が、次の、MoO3、KClO4、KClO3およびFe23の少なくとも1つから選択される、請求項18記載の方法。
【請求項27】
前記金属還元剤が、次の、アルミニウム、ジルコニウム、鉄およびチタンの少なくとも1つから選択される、請求項18記載の方法。
【請求項28】
前記添加剤材料が、無機材料である、請求項18記載の方法。
【請求項29】
前記添加剤材料が、Laponiteである、請求項18記載の方法。
【請求項30】
前記乾燥が、炉内で少なくとも2時間である、請求項18記載の方法。
【請求項31】
点火時に基板の外側表面の規定された面積を基本的に均一な温度および設定されたピーク温度へ急速に加熱する加熱ユニットであって、
a.外側表面および内側表面を有する少なくとも1つの基板を備えるエンクロージャと、
b.加熱されるべき前記基板の前記外側表面の規定された面積に対応する前記基板の前記内側表面にコーティングされた固体燃料の本質的に均質で薄い層と、
c.前記固体燃料を点火するために前記エンクロージャ内に配置された点火剤と、
を備える加熱ユニット。
【請求項32】
前記ピーク温度が、前記基板の前記内側表面にコーティングされた固体燃料の質量によって設定される、請求項31記載の加熱ユニット。
【請求項33】
前記固体燃料の前記薄い層が、0.001インチ〜0.030インチの範囲の厚さを呈する、請求項31記載の方法。
【請求項34】
前記固体燃料の前記薄い層が、0.001インチ〜0.005インチの範囲の厚さを呈する、請求項31記載の方法。
【請求項35】
前記エンクロージャが、2つ以上の基板を備える、請求項31記載の方法。
【請求項36】
前記基板が、金属箔である、請求項31記載の方法。
【請求項37】
前記金属含有酸化剤が、次の、MoO3、KClO4、KClO3およびFe23の少なくとも1つから選択される、請求項31記載の方法。
【請求項38】
前記金属還元剤が、次の、アルミニウム、ジルコニウム、鉄およびチタンの少なくとも1つから選択される、請求項31記載の方法。
【請求項39】
前記固体燃料が、少なくとも1つの添加剤材料を含む、請求項31記載の方法。
【請求項40】
前記添加剤材料が、Laponiteである、請求項39記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図4E】
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【図4F】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図7E】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【図13C】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公表番号】特表2007−516149(P2007−516149A)
【公表日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−533347(P2006−533347)
【出願日】平成16年5月20日(2004.5.20)
【国際出願番号】PCT/US2004/016249
【国際公開番号】WO2004/104493
【国際公開日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【出願人】(503412296)アレックザ ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド (15)
【Fターム(参考)】