説明

基板用シールドコネクタ

【課題】半田付け不良の検査における精度を低下させることなく、基板と接続部との接続状態を良好にする。
【解決手段】内導体端子10と、内導体端子10の外周を覆う外導体端子30と、内導体端子10と外導体端子30との間に配設される誘電体20と、外導体端子30を収容して回路基板Pに固定されるコネクタハウジング50とを備えた基板用シールドコネクタであって、内導体端子10は第一リード部14と、第一リード部14の先端に位置する第一接続部15とを備え、外導体端子30は第二リード部35と、第二リード部35の先端に位置して第一接続部15と平行に並ぶ第二接続部36とを備え、コネクタハウジング50の後方両側面には第一及び第二のリード部14,35の両側面を囲む一対の保護壁56が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板用シールドコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等に搭載されるカーナビゲーションシステムなどの各種電気機器には高周波信号を用いるものがあり、そのような電気機器には高周波信号を伝送するためにシールド電線が使用される。そのため、電気機器の基板とシールド電線とを中継する部材として、例えば特許文献1に記載の基板用シールドコネクタが使用されている。この基板用シールドコネクタは、高周波信号を伝送する内導体端子と、内導体端子の外周を覆う絶縁性の誘電体と、誘電体の外周を覆ってアース接続される外導体端子と、これら全てを収容するコネクタハウジングとを備えている。コネクタハウジングに収容された外導体端子は、その後端部分がコネクタハウジングの後方端面から後方に突出した状態で収容されている。
そして、外導体端子の後方部には互いに反対方向に向かって延びる第二リード部が設けられている。この第二リード部のうち基板に半田付けされる部分が第二接続部とされている。また、外導体端子に覆われた内導体端子の後方端面には後方に延びる第一リード部が設けられている。この第一リード部のうち基板に半田付けされる部分が第一接続部とされている。
【0003】
ところが、第一及び第二接続部はコネクタハウジングから露出された状態で基板に半田付けされるため、他の部材などが接触するとこれらの接続部が基板から剥がれてしまう虞がある。そのため、コネクタハウジングの後方における幅方向両側に外導体端子の上端部よりも高く、且つ、第一及び第二接続部の後端よりも後方に延びて内導体端子及び外導体端子を幅方向両側から覆う一対の保護壁を設けることが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−252379号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年、半田付け不良の検査において接続部の先端面にレーザーを照射し、先端面から反射される反射光を測定することで半田付けの状態を判断する方式が採用されている。そのため、前記のような保護壁を第一及び第二接続部の両側に設けると、第一接続部の半田付け不良の検査において最も重要視される先端面が側面からは死角となってしまう。
また、従来のように、コネクタハウジングの後方側から半田付け不良の視認検査を実施する場合には、顕微鏡を狭いスペースに用いるなど作業性が低下すると共に、その精度が低下するといった問題がある。
【0006】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、半田付け不良の検査における精度を低下させることなく、基板と接続部との接続状態を良好にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成する手段として本発明は、内導体端子と、前記内導体端子の外周を覆う外導体端子と、前記内導体端子と前記外導体端子との間に配設される誘電体と、前記外導体端子を内部に収容して基板に固定されるコネクタハウジングとを備えた基板用シールドコネクタであって、前記内導体端子は前記誘電体に収容される内導体本体部と、前記内導体本体部の後端から前記基板側に屈曲して延びて前記基板の板面と当接する位置において更に後方に向かって屈曲する第一リード部と、前記第一リード部の先端に位置して前記基板に半田付けされる第一接続部とを備え、前記外導体端子は前記誘電体を覆う円筒状の外導体本体部と、前記外導体本体部の後方部から前記基板側に延びて前記基板の板面と当接する位置において後方に向かって屈曲する第二リード部と、前記第二リード部の先端に位置して前記第一接続部と平行に並んで前記基板に半田付けされる第二接続部とを備え、前記コネクタハウジングの後方両側面に前記第一及び第二のリード部の両側面を適切に囲む一対の保護壁が設けられているところに特徴を有する。
このような構成の基板用シールドコネクタによると、基板に半田付けされた後に半田付け不良の検査を実施するにあたって、最も重要視される第一及び第二の接続部の先端面を確実に、且つ、同時にチェックすることができる。また、第一及び第二のリード部の両側にはこれらを覆う保護壁が設けられているため、他の部材との干渉を防ぐことができる。
【0008】
本発明の実施の態様として、以下の構成が望ましい。
前記保護壁は前記第一及び第二のリード部よりも高く、且つ、前記第一及び第二のリード部よりも後方に延びる一対の保護壁が設けられている構成としてもよい。このような構成によると、前記第一及び第二のリード部をより確実に保護することができる。
【0009】
前記外導体本体部の両側に一対の前記第二リード部が設けられ、前記第一接続部は前記第二接続部よりも後方にずれて配置されている構成としてもよい。
相手方コネクタを嵌合又は離脱させる過程において、基板用シールドコネクタの前方側が基板から剥がされる方向に応力がかかる虞がある。しかしながら、このような構成によると、電気信号を伝送する内導体端子の第一接続部が外導体端子の第二接続部よりも後方にずれて配置されているため、第一接続部が前記の応力を吸収し、最も重要な第二接続部へ作用する応力を緩和することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、半田付け不良の検査における精度を低下させることなく、基板と接続部との接続状態を良好にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態に係る基板用シールドコネクタの斜視図
【図2】同平面図
【図3】同底面図
【図4】同背面図
【図5】図2のV−V線断面図
【図6】図4のVI−VI線断面図
【図7】本実施形態に係る基板用シールドコネクタの分解斜視図
【図8】外導体端子の斜視図
【図9】同正面図
【図10】同側面図
【図11】同底面図
【図12】誘電体の背面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
<実施形態>
本発明の一実施形態について図1乃至図12を参照して説明する。
【0013】
本実施形態の基板用シールドコネクタは、図5及び図6に示すように、回路基板(基板に相当する)Pに取り付けられるコネクタハウジング50と、コネクタハウジング50に収容された外導体端子30と、外導体端子30の内部に誘電体20を介して収容された内導体端子10とを備えている。尚、以下の説明において、上下方向とは図5における上下方向を基準とし、前後方向とは図5における左右方向を基準とし、基板用シールドコネクタの嵌合面側(図5の右側)を前側とする。
【0014】
コネクタハウジング50は、合成樹脂製であって、全体としては箱型状をなしている。このコネクタハウジング50は、図5に示すように、前方側がフード部51とされ、後方側が端子保持部52とされている。また、コネクタハウジング50の両側面には、図1及び図7に示すように、基板取付片54が固定された装着溝53が形成されている。この基板取付片54は半田付けによって回路基板Pに固定される。
【0015】
フード部51は前方に向かって開口しており、前方から図示しない相手方コネクタハウジングがフード部51の内部に嵌合される構成になっている。フード部51の開口縁部における上方内面には、図5に示すように、ロック爪51Aが突設されている。このロック爪51Aは、フード部51に挿入される相手方コネクタハウジングに係止して互いのコネクタハウジングの嵌合状態を保持する。
端子保持部52には前後方向に貫通する円孔形状のキャビティ55が設けられている。このため、キャビティ55はフード部51の奥壁51Bと端子保持部52の後方端面とに開口した形態をなしている。
また、コネクタハウジング50の下面には、一対の位置決めボス57が形成されている。この位置決めボス57は、回路基板Pに形成された位置決め孔P1に対して嵌合され、コネクタハウジング50を回路基板Pの所定の位置に位置決めする。
【0016】
一方、コネクタハウジング50内に収容された外導体端子30は、導電性に優れた金属板をプレスによって打ち抜き形成して、所定の曲げ加工等を施すことによって成形されている。この外導体端子30は、図8乃至図11に示すように、円筒形状をなす本体筒部31と、本体筒部31の後端両側に設けられた左右一対の基板接続片32とを備えて構成されている。また、外導体端子30は内導体端子10の外周を覆うことで内導体端子10を電磁的にシールドする役割を果たしている。
【0017】
本体筒部31は、図5に示すように、コネクタハウジング50のキャビティ55内において端子保持部52を貫通した状態に保持されている。そのため、本体筒部31は端子保持部52の後方端面から突出するとともに、フード部51の奥壁51Bから突出している。また、本体筒部31の内部には誘電体20が収容可能とされている。
本体筒部31には、図6及び図9に示すように、本体筒部31の内側に向かって叩き出し形成した一対の第一圧入突起33が形成されている。
この第一圧入突起33は本体筒部31の左右両側の壁面に設けられている。また、第一圧入突起は後方から前方に向かって拡がる形状をなしている。第一圧入突起33は、本体筒部31内に誘電体20が挿入されたときに、誘電体20の外面に食い込んで誘電体20を外導体端子30に対して保持固定する役割を果たしている。
また、第一圧入突起33の前方には本体筒部31の外側に向かって叩き出し形成した一対の第二圧入突起34が形成されている。この第二圧入突起34は第一圧入突起33に比べてやや大きく形成されている。また、第二圧入突起34は、第一圧入突起33とは逆に、前方から後方に向かって拡がる形状をなしている。第二圧入突起34は、外導体端子30がキャビティ55内に挿入されたときにキャビティ55の内面に食い込んで外導体端子30をコネクタハウジング50のキャビティ55内に保持固定する役割を果たしている。
【0018】
また、本体筒部31の底面には、図11に示すように、基板接続片32の前方に収容溝37が形成されている。この収容溝37は、後述する誘電体20に設けられた位置決めリブ22が収容される構成となっている。
この収容溝37の後方両側縁部には、図8乃至図11下方に突出した一対の位置決め片38が設けられている。この一対の位置決め片38は、図5に示すように、コネクタハウジング50におけるキャビティ55の底面に設けられたリブ収容凹部58に後方から嵌合される構成となっている。これにより、外導体端子30は第二圧入突起34と共に、位置決め片38によってコネクタハウジング50に対して二重に固定されている。
また、両位置決め片38は、外導体端子30がキャビティ55内に収容されるときに、リブ収容凹部58の内側面と摺動することで、外導体端子30をキャビティ55内の所定の位置に案内する役割を果たしている。
【0019】
一方、誘電体20は、図7及び図12に示すように、全体としては円筒形状をなしている。この誘電体20は、円筒形状をなす誘電体本体21と、誘電体本体21の底面中央部に設けられた位置決めリブ22とを備えて構成されている。
誘電体本体21は、図1及び図5に示すように、外導体端子30の本体筒部31の内周形状とほぼ同一の外周形状をなしている。このため、誘電体20は、図5に示すように、外導体端子30の本体筒部31の内周面に外周面を密着させて本体筒部31の先端側に空間を余した状態で収容されている。
また、誘電体本体21の内部には端子収容部23が形成されており、図5に示すように、端子収容部23内には内導体端子10が収容されている。
位置決めリブ22は箱型状をなし、その幅寸法は外導体端子30の収容溝37の溝幅寸法とほぼ同一に設けられている。この位置決めリブ22は、外導体端子30の収容溝37に後方から挿入され、外導体端子30における一対の位置決め片38に挟持されている。これにより、誘電体20は外導体端子30の第一圧入突起33と共に、位置決めリブ22によって外導体端子30に対して二重に固定されている。
また、位置決めリブ22は、誘電体20が外導体端子30に挿入されるときに、位置決め片38と摺動することで、誘電体20を外導体端子30の所定の位置まで案内する役割を果たしている。
【0020】
誘電体20に収容された内導体端子10は、外導体端子30と同様、導電性に優れた金属板をプレスによって打ち抜き形成して、所定の曲げ加工等を施すことによって成形されている。
内導体端子10は、図5乃至図7に示すように、先端に位置するピン型接続部11と、ピン型接続部11の後方に位置する角型圧入部12と、角型圧入部12の後方に位置する幅広の端子本体13とを備えて構成されている。尚、ここで示されるピン型接続部11と、角型圧入部12と、端子本体13とを併せたものが、特許請求の範囲に記載の「内導体本体部」に相当する。
【0021】
内導体端子10は、誘電体20の端子収容部23の後方から挿入されて、図5及び図6に示すように、誘電体20の前方端面からピン型接続部11を突出させた状態に保持固定されている。尚、このとき、誘電体20の前方端面から突出したピン型接続部11は外導体端子30の本体筒部31内に位置するように構成されている。
ピン型接続部11は円柱形状をなし、図示しない相手方コネクタと嵌合されるときに、相手方端子と接続されて、電気的に接続されるようになっている。
角型圧入部12は、ピン型接続部11よりもやや幅広に設けられており、細長い角柱状をなしている。また、角型圧入部12の左右両側面には誘電体20の端子収容部23の内面に係合する係止突起12Aがそれぞれ二箇所に設けられている。
端子本体13は、角型圧入部12よりも更に幅広な板状をなしている。
【0022】
一方、誘電体20の端子収容部23は、図6に示すように、前方側が細長の直方体形状をなす端子支持部24とされ、後方側が端子支持部24よりも幅広な端子本体収容部25とされている。
端子支持部24は、内導体端子10の角型圧入部12を収容可能とし、左右両内側面の間隔は角型圧入部12の幅方向の長さ寸法とほぼ同じ寸法に設けられている。また、端子支持部24の両内側面は角型圧入部12の係止突起12Aが圧入される係合面24Aとされている。そして、内導体端子10が端子収容部23に収容されたときには、角型圧入部12の係止突起12Aが係合面24Aに圧入された状態となって内導体端子10を端子収容部23内に保持固定する構成となっている。
端子本体収容部25の上部内面における幅方向の両端には内側に向かって突出して前後方向に延びる圧入リブ25Aが形成されている。この圧入リブ25Aは、内導体端子10が端子収容部23に挿入された時には端子本体13の上面を押さえつけて内導体端子10を端子収容部23内に保持固定する構成となっている。
【0023】
また、端子支持部24及び端子本体収容部25にはその上下両面にこれらを連続的に前後方向に切り欠いて形成された逃がし凹部26が設けられている(図5及び図12参照)。
上方に位置する逃がし凹部26は端子支持部24及び端子本体収容部25の上面における左右方向の中央付近を最上部として上昇傾斜して、正面視略V字状に形成されている。下方に位置する逃がし凹部26は、上方に位置する逃がし凹部26とは逆に、端子支持部24及び端子本体収容部25の下面における左右方向の中央付近を最下部として下降傾斜して、正面視略V字状に形成されている。
また、両逃がし凹部26における略V字状の最上部及び最下部の開き角度は、ピン型接続部11が上下に振れる場合においても、ピン型接続部11の上下に位置して相手方端子と接続される部分が逃がし凹部26の内面と接触しないように設定されている。これにより、内導体端子10を誘電体20における端子収容部23の後方から挿入するときに、ピン型接続部11が上下左右に振れる場合においても、相手方端子と接続される部分が端子支持部24の内面に接触することを防ぐ構成となっている。
【0024】
さて、内導体端子10の端子本体13の後端には第一リード部14が設けられている。この第一リード部14は、図1、図5乃至図7に示すように、端子本体13の後端面から下方向に屈曲して延びて、コネクタハウジング50の底面50Aとほぼ同じ位置において更に後方に向かって屈曲したクランク状に形成されている。そして、この第一リード部14の先端部は回路基板Pの板面に沿った形態をなす第一接続部15とされている。
【0025】
一方、外導体端子30の本体筒部31の後方に位置する左右一対の基板接続片32は、図8及び図10に示すように、本体筒部31の後端部に設けられた第二リード部35が設けられている。
この一対の第二リード部35は本体筒部31の後端部の両側から真っ直ぐ下方に延設され、図5に示すように、コネクタハウジング50の底面50Aとほぼ同じ位置において後方に向かって屈曲されて形成されている。そして、この第二リード部35の先端部は回路基板Pの板面に沿った形態をなす第二接続部36とされている。尚、基板接続片32は、図8に示すように、一対の対向状態にある第二リード部35の下方後端部から真っ直ぐ下方向に延びる細長片35Aを互いに外方に向かって曲げ加工して、更に細長片35Aの略中央部を後方に向かって屈曲させることで形成されている。
また、一対の第二リード部35における第二接続部36は、図1乃至図4に示すように、第一接続部15を中央に挟んで、三本の第一及び第二の接続部15,36が平行状態に横並びに配されている。また、三本の接続部15,36の中央に位置する第一接続部15は第二接続部36に比べて後方にずれて配置されている。
【0026】
一方、コネクタハウジング50の端子保持部52の後方両側には、後方に向かって延びる一対の保護壁56が延設されている。この保護壁56は、コネクタハウジング50の端子保持部52から突出した内導体端子10及び外導体端子30を幅方向両側から囲んでいる。詳しくは、保護壁56の上端面の位置は外導体端子30の上端よりも高く、端子保持部52の上面と同じ位置に設定されている。また、保護壁56の後方端部は内導体端子10の第一接続部15よりも後方の位置に設定されている。これにより、保護壁56はコネクタハウジング50の端子保持部52から突出した内導体端子10の第一リード部14及び外導体端子30の第二リード部35を覆うことで、図示しない他の部材が内導体端子10及び外導体端子30に接触することを防止する役割を果たしている。
また、保護壁56は、コネクタハウジング50の後方部に設けたことで基板用シールドコネクタの重心を従来に比べて後方にシフトさせる役割を果たしている。これにより、基板用シールドコネクタを回路基板Pの板面に配置したときに、各接続部15,36が回路基板Pの板面から浮き上がることを抑制している。
【0027】
本実施形態の基板用シールドコネクタは上記のような構造であって、続いて回路基板Pに基板用シールドコネクタを実装する方法を簡単に説明し、併せてその作用効果を説明する。
まず、例えばクリーム半田が適切に塗布された回路基板Pの位置決め孔P1に対してコネクタハウジング50の位置決めボス57を嵌合させる。尚、このとき、第一接続部15は、図2に示すように、回路基板Pの信号パターンP2に配置される。また、第二接続部36は回路基板PのグランドパターンP3に配置される。
次に、回路基板Pに配置された基板用シールドコネクタを回路基板Pと共に、例えば図示しないリフロー装置に通して半田付けする。これにより、コネクタハウジング50の基板取付片54と、第一及び第二接続部15,36とは半田付けによって回路基板Pに固定される。
【0028】
このようにして、回路基板Pに接続された基板用シールドコネクタは、次に第一及び第二接続部15,36が適切に半田付けされているかレーザー式の外観検査を行う。
本実施形態の基板用シールドコネクタの検査は基板用シールドコネクタの後方からレーザーを照射し、その反射光を測定する。このとき、検査において最も重要視される第一及び第二接続部15,36の先端面は後方に向かった状態となっていることから、第一及び第二接続部15,36と各パターンP2,P3との接続状態を確実に確認することができる。また、三本の接続部15,36が後方に向かって平行に並んだ状態となっていることから、接続状態を一括して検査することができ、作業効率を向上させることができる。これにより、外観検査における精度を低下させることなく、回路基板Pと第一及び第二の接続部15,36との接続状態を良好にすることができる。
また、上記のように基板用シールドコネクタを回路基板Pの板面に配置したときには、保護壁56がコネクタハウジング50の後方に設けられていることから基板用シールドコネクタの重心が従来に比べて後方にシフトしており、各接続部15,36が回路基板Pの板面から浮き上がらないようになっている。
【0029】
ところで、回路基板Pに固定された本実施形態の基板用シールドコネクタのフード部51に図示しない相手方コネクタを嵌合又は離脱させるにあたって、フード部51側が持ちあがって基板用シールドコネクタが回路基板Pから剥がされるような応力がかかる場合がある。しかしながら、本実施形態の内導体端子10の第一接続部15は外導体端子30の一対の第二接続部36の中央において、後方にずれて配置されているため、主に第二接続部36が前記の応力を吸収し、第一接続部15に作用する応力を緩和することができる。これにより、第一接続部15の接続状態を良好に維持することができる。また、一対の保護壁56は、第一及び第二の接続部15,36の側方において、これらの接続部15,36よりも前方から延びて設けられていることから、各接続部15,36に作用する前記の応力を吸収して、各接続部15,36の接続状態を良好に保持する役割を果たしている。
【0030】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、コネクタハウジング50の下面に一対の位置決めボス57を回路基板Pの位置決め孔P1に嵌合して基板用シールドコネクタを回路基板Pに対して位置決めする構成とした。しかしながら、本発明はこのような態様に制限されるものではなく、例えば画像処理装置などを用いることで、基板用シールドコネクタと回路基板Pの取付位置とを合わせて位置決めし、コネクタハウジング50に位置決めボス57を設けない構成としてもよい。
(2)上記実施形態では、雄型の内導体端子10を備えて構成された雄側コネクタを例示したが、本発明は、雌型の内導体端子を備えて構成される雌側コネクタに適用することも可能である。
【符号の説明】
【0031】
10:内導体端子
11:ピン型接続部(内導体本体部)
12:角型圧入部(内導体本体部)
13:端子本体(内導体本体部)
14:第一リード部
15:第一接続部
20:誘電体
30:外導体端子
31:本体筒部(外導体本体部)
35:第二リード部
36:第二接続部
50:コネクタハウジング
56:保護壁
P:回路基板(基板)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内導体端子と、前記内導体端子の外周を覆う外導体端子と、前記内導体端子と前記外導体端子との間に配設される誘電体と、前記外導体端子を内部に収容して基板の板面に固定されるコネクタハウジングとを備えた基板用シールドコネクタであって、
前記内導体端子は前記誘電体に収容される内導体本体部と、前記内導体本体部の後端から前記基板側に屈曲して延びて前記基板の板面と当接する位置において更に後方に向かって屈曲する第一リード部とを備え、前記第一リード部のうち前記基板に半田付けされる部分が第一接続部とされ、
前記外導体端子は前記誘電体を覆う円筒状の外導体本体部と、前記外導体本体部の後方部から前記基板側に延びて前記基板の板面と当接する位置において後方に向かって屈曲する第二リード部とを備え、前記第二リード部のうち前記第一接続部と平行に並んで前記基板に半田付けされる部分が第二接続部とされ、
前記コネクタハウジングの後方に前記第一及び第二のリード部をその並び方向両側から囲む一対の保護壁が設けられていることを特徴とする基板用シールドコネクタ。
【請求項2】
前記保護壁は基板の板面からの高さが前記第一及び第二のリード部よりも高く、且つ、前記第一及び第二のリード部の後端よりも後方に延びて形成されている請求項1記載の基板用シールドコネクタ。
【請求項3】
前記外導体本体部の両側に一対の前記第二リード部が設けられ、前記第一接続部は前記第二接続部よりも後方にずれて配置されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の基板用シールドコネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−22885(P2012−22885A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−159756(P2010−159756)
【出願日】平成22年7月14日(2010.7.14)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】